JP3125664B2 - 極低炭素鋼スラブの連続鋳造方法 - Google Patents

極低炭素鋼スラブの連続鋳造方法

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JP3125664B2
JP3125664B2 JP08007734A JP773496A JP3125664B2 JP 3125664 B2 JP3125664 B2 JP 3125664B2 JP 08007734 A JP08007734 A JP 08007734A JP 773496 A JP773496 A JP 773496A JP 3125664 B2 JP3125664 B2 JP 3125664B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、極低炭素鋼から
なるスラブの連続鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車外装用鋼板、缶用鋼板、家庭電化
製品用鋼板など多くの用途に使用されている薄鋼板に対
し、年々その加工性の向上が強く要求されている。一
方、冷間圧延後の薄鋼板に施される焼鈍は、従来のバッ
チ焼鈍から連続焼鈍に、急速に転換されている。このよ
うな状況により、薄鋼板用の鋼は、炭素含有量が0.0
1〜0.1wt.%の低炭素鋼から、炭素含有量が0.01
wt.%以下の極低炭素鋼に転換されつつある。
【0003】このような、極低炭素鋼の溶鋼をスラブに
連続鋳造し、鋳造されたスラブを素材として薄鋼板を製
造した場合、スラブ中に含まれている非金属介在物が原
因となる鋼板表面疵の発生が、低炭素鋼のスラブを素材
とした薄鋼板と比較して多いことが知られている。
【0004】特徴的な表面疵の一つは、「ブリスター
疵」と呼ばれている「ふくれ」状の疵である。この「ブ
リスター疵」が発生する原因は、溶鋼をスラブに連続鋳
造する際に、凝固シエルの表層下にアルミナが捕捉さ
れ、冷間圧延後の連続焼鈍時に、アルミナの周囲に鋼中
の固溶水素が凝集気化して、膨張するためであるといわ
れている。
【0005】極低炭素鋼は、精錬中に、CO生成反応に
よって、鋼中の炭素含有量を0.01wt.%以下の低いレ
ベルまで下げるために、精錬中における溶鋼中の溶存酸
素濃度が高い。従って、脱炭反応終了後におけるアルミ
ニウムによる脱酸量が多くなるため、鋼中に懸濁するア
ルミナの量が、低炭素鋼よりも多くなり、従って「ブリ
スター疵」が発生しやすくなる。
【0006】特徴的な表面疵の他の一つは、「スリバー
疵」と呼ばれている線状の疵である。「スリバー疵」が
発生する原因は、極低炭素鋼からなる溶鋼をスラブに連
続鋳造する際に、鋳型内における湯面位置の凝固シエル
先端の爪部分に、モールドパウダーの液滴や脱酸生成物
のアルミナが捕捉されるためであるといわれている。極
低炭素鋼は、低炭素鋼と比較して凝固温度が高く、上述
した爪が成長しやすいので、「スリバー疵」が発生しや
すくなる。
【0007】「ブリスター疵」を低減する手段として、
アルミニウム脱酸後のアルミナを鍋上スラグによって回
収する方法や、「材料とプロセス」Vol.5(1992)−21
1に開示されているように、浸漬ノズルの溶鋼吐出孔角
度を浅角化することによって、鋳型内の溶鋼中における
アルミナの浮上率を向上させる方法(以下、先行技術1
という)が知られており、このような方法を行うことに
よって、「ブリスター疵」の発生頻度は激減し、低炭素
鋼と遜色のないものになってきた。
【0008】また、「スリバー疵」を低減する手段とし
て、「材料とプロセス」Vol.4(1992)−253に開示さ
れているように、鋳型短辺近傍の湯面直下における溶鋼
の流速を、図1に示す適正範囲即ち0.25〜0.33
m/秒に維持する方法(以下、先行技術2という)が知
られている。以下に、先行技術2の方法について述べ
る。
【0009】「スリバー疵」の発生原因である、スラブ
表層下におけるモールドパウダー液滴の捕捉は、スラブ
の幅方向両端部(以下、スラブコーナー部という)付近
に多い。実際に凝固シェル先端部の爪の長さも、スラブ
コーナー部が最も長くなる傾向がある。図1には、鋳型
短辺近傍における湯面直下の溶鋼流速と冷間圧延された
薄鋼板コイルの表面欠陥発生率との関係が示されてい
る。図1に示すように、鋳型短辺近傍における湯面直下
の溶鋼流速には、コイルの表面欠陥発生率を最小にする
適正範囲(0.25〜0.33m/秒)がある。
【0010】鋳型短辺近傍における湯面直下の溶鋼流速
が、上記適正範囲よりも遅すぎてもまたは速すぎても、
コイルの表面欠陥発生率が高くなる。即ち、上記溶鋼流
速が遅すぎる領域では、前述したように、スラブコーナ
ー部において凝固シエル先端の爪が成長し、モールドパ
ウダーの液滴を捕捉して、表層下介在物が生成する結
果、「スリバー疵」が発生しやすくなる。一方、上記溶
鋼流速が速すぎる領域では、湯面直下の溶鋼流によって
モールドパウダーの液滴が巻き込まれ、ストランド内部
にまで移送されて、凝固シエルの先端から凝固シエルの
厚さが20〜30mmに相当するストランド鋳造方向の深
さ位置までの広範な範囲にわたり、溶鋼の凝固界面に付
着し、表層下介在物となる。
【0011】そこで、鋳型短辺近傍の湯面直下における
溶鋼流速を、上述した0.25〜0.33m/秒の範囲
内に維持することにより、鋳型短辺近傍における溶鋼の
熱供給が十分に行われ、スラブコーナー部における凝固
シエル先端の爪の成長が抑制される結果、極低炭素鋼の
薄鋼板コイルの表面欠陥発生率を従来の数%から約1%
にまで低減させることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、鋳型
短辺近傍の湯面直下における溶鋼流速を0.25〜0.
33m/秒の範囲内に維持することにより、極低炭素鋼
からなる薄鋼板コイルの表面欠陥発生率を従来の数%か
ら約1%にまで低減させることができるようになった。
しかしながら、これを低炭素鋼からなる薄鋼板コイルと
比較した場合には、その表面欠陥発生率は約2倍であ
り、依然として高いレベルにある。一方、先行技術2が
開発された当時と比較して、現在は薄鋼板に占める極低
炭素鋼の割合が約2倍に増加していることから、薄鋼板
の製造歩留りを高く維持するためには、極低炭素鋼から
なる薄鋼板の製造歩留りを更に向上させること即ち極低
炭素鋼からなる薄鋼板の表面欠陥発生率を一段と低減さ
せることが必要になってきた。
【0013】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、極低炭素鋼からなる薄鋼板の表面欠陥発生率
を一段と低減し、その製造歩留りを向上させることがで
きる、極低炭素鋼からなるスラブの連続鋳造方法を提供
することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題を解決し、極低炭素鋼からなる薄鋼板の表面欠陥発
生率を一段と低減し、その製造歩留りを向上させること
ができる、極低炭素鋼からなるスラブの連続鋳造方法を
開発すべく、鋭意研究を重ねた。
【0015】先行技術2においては、前述したように、
鋳型短辺近傍の湯面直下における溶鋼の流動が、凝固シ
ェル先端の爪部分の成長に影響を及ぼしている点のみに
着目し、鋳型短辺近傍の湯面直下における溶鋼の流速を
適正範囲に制御して、スラブの表層下介在物を低減して
いる。そこで、本発明者等は、スラブの表層下介在物の
多少に影響を及ぼす鋳型内における溶鋼流動の要素は、
鋳型短辺近傍における湯面直下の溶鋼流速以外にもある
と考え研究を進めた。
【0016】その結果、鋳型短辺近傍のみではなく、鋳
型幅4分の1の鋳型短辺寄りの位置における湯面直下の
溶鋼流速が、当該溶鋼によって連続鋳造されたスラブを
素材とする冷間圧延薄鋼板の表面欠陥発生率に大きな影
響を及ぼすことを知見した。
【0017】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、請求項1に記載の発明は、極低炭素鋼か
らなる溶鋼を、その下部が鋳型内の溶鋼中に浸漬された
浸漬ノズルを通して鋳型内に注入し、そして、前記鋳型
から連続的に引き抜くことによりスラブを連続鋳造する
方法において、前記浸漬ノズルから前記鋳型内に注入さ
れる溶鋼の、鋳型幅4分の1の鋳型短辺寄りの位置にお
ける流速を、前記鋳型短辺から前記浸漬ノズルに向けた
溶鋼流を正で表し、そして、前記浸漬ノズルから前記鋳
型短辺に向けた溶鋼流を負で表したときに、−0.07
m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持することに特
徴を有するものである。
【0018】そして、請求項2に記載の発明は、浸漬ノ
ズルから鋳型内に注入される溶鋼の流速を、請求項1に
規定した範囲内に維持するために、前記鋳型の外側にそ
の幅方向に設けられたリニア移動磁場型電磁攪拌装置を
使用して、前記溶鋼の流速を制御することに特徴を有す
るものである。
【0019】
【発明の実施の形態】表1に示す仕様のスラブ連続鋳造
機を使用し、表2に示す化学成分組成の極低炭素鋼から
なる溶鋼をスラブに連続鋳造したときの、浸漬ノズルと
一方の鋳型短辺との間の鋳型幅方向における中点、即
ち、鋳型幅4分の1の鋳型短辺寄りの位置(以下、1/
4幅位置という)における湯面直下の溶鋼流速を測定
し、これと当該溶鋼によって連続鋳造されたスラブを素
材とする冷間圧延薄鋼板の表面欠陥発生率との関係を調
べた。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】1/4幅位置における湯面直下の溶鋼流速
は、図2に示すような方法によって測定した。即ち、鋳
型1の中央に配置されている浸漬ノズル2から、一方の
鋳型短辺1a寄りの1/4幅位置に、長さ410mm、直径
20mmのモリブデンージルコニア系サ−メット製の浸漬
棒3を、その下端部を鋳型1内の溶鋼中に浸漬させた状
態で、その上端付近を支点とし、鋳型1の幅方向に回動
可能に支持させて取り付けた。浸漬棒3の下端から湯面
4までの距離即ち浸漬棒3の溶鋼内における浸漬深さD
は、約100mmである。
【0023】このように鋳型1内の溶鋼中に浸漬棒3を
浸漬すると、浸漬棒3の浸漬部分は、湯面直下の溶鋼流
によって、その上端付近の支点を中心として回動し、浸
漬棒3に働く重力と、湯面直下の溶鋼流による力とがつ
りあったところで停止する。このときの、浸漬棒3の軸
線方向と鉛直方向とがなす角度θを測定し、浸漬棒3に
働く重力と湯面直下の溶鋼流とによる力のつりあい計算
によって、湯面直下の溶鋼流速を求めるることができ
る。
【0024】上述した方法により、種々の鋳造条件にお
ける、湯面直下の溶鋼流速を測定し、当該溶鋼によって
連続鋳造されたスラブを素材とする冷間圧延薄鋼板の表
面欠陥発生率との関係を調べ、これを図3に示した。
【0025】図3において、横軸は1/4幅位置の湯面
直下溶鋼流速で、鋳型短辺1aから浸漬ノズル2に向けた
流れを正方向とし、浸漬ノズル2から鋳型短辺1aに向け
た流れを負方向とし、そして、正方向の流速を正数字で
表し、負方向の流速を負数字で表した。
【0026】図3から明らかなように、1/4幅位置の
湯面直下溶鋼流速が正方向に約0.05m/秒を超え、
そして、負方向に約0.07m/秒を超えると、表面欠
陥の発生率が多くなる。
【0027】図4は、1/4幅位置の湯面直下溶鋼流が
正方向に流れるときの、鋳型1内における溶鋼の流動状
態を示す図である。図4に示すように、1/4幅位置の
湯面直下溶鋼流が正方向に流れるときには、浸漬ノズル
2からの溶鋼吐出流は、矢印に示すように、鋳型短辺1a
に衝突して上方向および下方向に分岐し、上方向に分岐
した溶鋼流は、湯面4の直下を流れ浸漬ノズル2の位置
に到達した後、再び、浸漬ノズル2からの溶鋼吐出流と
合流して循環流を形成すると考えられる。
【0028】浸漬ノズル2からの溶鋼吐出流の速度は1
〜2m/秒であって、この速度は、浸漬ノズル2からの
単位時間当りの溶鋼吐出量によって決まる。このような
循環流は、浸漬ノズル2から鋳型両短辺1a,1aに向けた
両側に発生するので、浸漬ノズル2付近の湯面において
は、鋳型両短辺1a,1aからの湯面直下流が出会う形にな
る。湯面直下における溶鋼流速は、時間的に一定ではな
く、変動しているので、鋳型両短辺1a,1aからの双方の
湯面直下流の速度に差があると、浸漬ノズル2の付近に
おいて縦渦5が生ずる結果、湯面下のモールドパウダー
を巻き込むおそれが生ずる。
【0029】図5は、1/4幅位置の湯面直下溶鋼流が
負方向に流れるときの、鋳型1内における溶鋼の流動状
態を示す図である。図5に示すように、1/4幅位置の
湯面直下溶鋼流が負方向に流れるときには、後述するリ
ニア移動磁場型電磁攪拌装置による溶鋼吐出流に対する
減速力が強すぎるために、浸漬ノズル2からの溶鋼吐出
流の一部分がすぐ湯面4に向って浮上し、浸漬ノズル2
から鋳型両短辺1a,1aに向けた湯面直下の流れが形成さ
れると考えられる。このような湯面直下の溶鋼流が生ず
ると、浸漬ノズル2からの溶鋼吐出流が鋳型両短辺1a,
1aに衝突し、湯面4に向って反射する流れと干渉して、
縦渦5や湯面の波動が生ずる結果、湯面下のモールドパ
ウダーを巻き込むおそれが生ずる。
【0030】そこで、この発明においては、図3に示し
た如く、浸漬ノズルから鋳型内に注入される溶鋼の、鋳
型幅4分の1の鋳型短辺寄りの位置における流速を、鋳
型短辺から浸漬ノズルに向けた溶鋼流を正とし、そし
て、浸漬ノズルから鋳型短辺に向けた溶鋼流を負とした
ときに、−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内
に維持するようにした。
【0031】実際の鋳造において、1/4幅位置におけ
る湯面直下の溶鋼の流速を、上記適正範囲内に維持する
ためには、スラブ断面積に対する鋳造速度、浸漬ノズル
の形状、タンディッシュからモールドへのアルゴンガス
吹込み量などの条件を適正に設定し、且つ、リニア移動
磁場型電磁攪拌装置を使用して、1/4幅位置における
湯面直下溶鋼流速を、上記範囲内となるように制御す
る。なお、前述した1/4幅位置における湯面直下溶鋼
流速と表面欠陥発生率との関係を調査するための鋳造に
おいても、このリニア移動磁場型電磁攪拌装置を使用し
た。
【0032】図6はリニア移動磁場型電磁攪拌装置によ
り発生したリニア移動磁場によって、浸漬ノズルからの
溶鋼吐出流に制動力が付加された状態を示す、鋳型の幅
方向概略断面図であり、図7はその概略平面図である。
図6および図7に示すように、鋳型1の両長辺1b, 1bに
沿ってリニア移動磁場型電磁攪拌コイル 6a,6b、6a',6
b' が設けられており、発生した磁場が、スラブの幅方
向に平行に且つ水平に、鋳型1の両短辺1a, 1aから浸漬
ノズル2に向けて移動するようになっている。これによ
って、浸漬ノズル2からの溶鋼吐出流の方向と磁場の方
向とが相対するため、電磁力によって、溶鋼吐出流に対
し制動力が作用する。表3に上記リニア移動磁場型電磁
攪拌装置の仕様を示す。
【0033】
【表3】
【0034】図8は、リニア移動磁場型電磁攪拌装置の
電流値と、鋳型内における1/4幅位置の湯面直下溶鋼
流の流速との関係を示す図である。1/4幅位置におけ
る湯面直下の溶鋼流速は、前述したモリブデンージルコ
ニア系サ−メット製の浸漬棒3を使用して測定した。図
8から明らかなように、リニア移動磁場型電磁攪拌装置
に対する印加電流を、0から2160Aまで増すと、1
/4幅位置における湯面直下の溶鋼流速は単調減少し、
印加電流に応じた溶鋼流速が得られる。
【0035】この例の鋳造条件においては、1/4幅位
置における湯面直下の溶鋼流速を、ー0.07m/秒か
ら0.05m/秒の範囲内に維持するためには、リニア
移動磁場型電磁攪拌装置に、約1100Aから約140
0Aの電流を通電すればよいことがわかる。
【0036】図9は、リニア移動磁場型電磁攪拌装置に
よって、鋳型内における1/4幅位置の湯面直下溶鋼流
の流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内
に制御したときの鋳型内における溶鋼の流動状態を示す
図である。図9に示すように、1/4幅位置における湯
面直下の溶鋼流速を、−0.07m/秒から0.05m
/秒のほぼ0に近い値に維持したときには、浸漬ノズル
からの溶鋼吐出流は、リニア移動磁場型電磁攪拌装置に
よる移動磁場を透過せず、磁場によって十分に減速され
つつ、磁場の移動方向と直交する方向に分散する。
【0037】このような、1/4幅位置における湯面直
下の溶鋼流速が実現された状態においては、湯面直下の
溶鋼流速は、十分に小さくなるため、図4および図5に
おいて説明したような縦渦5の発生によるモールドパウ
ダー液滴の発生が防止され、且つ、リニア移動磁場によ
って減速分散された溶鋼吐出流によって、湯面には十分
な溶鋼の熱供給が行われる結果、スラブコーナー付近の
凝固シエルの爪の成長も防止されると考えられる。
【0038】
【実施例】次にこの発明を、実施例により説明する。表
1に示した仕様のスラブ連続鋳造機を使用し、表2に示
した化学成分組成の極低炭素鋼からなる溶鋼をスラブに
連続鋳造した。連続鋳造に際し、図6および図7に示し
たリニア移動磁場型電磁攪拌装置により、1/4幅位置
における湯面直下の溶鋼流速を、本発明の範囲内に維持
されるように制御した。
【0039】図10に、鋳造速度が2.0〜2.4m/
分のときの、リニア移動磁場型電磁攪拌装置に対するス
ラブ幅別の印加電流値を、先行技術2の従来法の場合と
比較して示す。図面において、白丸印は本発明法の場合
の印加電流値であり、黒丸印は従来法の場合の印加電流
値である。本発明法の場合には、印加電流値を、1/4
幅位置における湯面直下の溶鋼流速が−0.07m/秒
から0.05m/秒の範囲内に維持されるように制御
し、従来法の場合には、印加電流値を、鋳型短辺近傍に
おける湯面直下の溶鋼流速が0.25m/秒から0.3
3m/秒の範囲内に維持されるように制御した。
【0040】図11に、鋳造速度が2.0〜2.4m/
分のときの、本発明法および従来法における1/4幅位
置のスラブ幅別の湯面直下溶鋼流速を示す。図11から
明らかなように、従来法の場合には、スラブ幅の狭い範
囲では、鋳型短辺近傍の湯面直下溶鋼流速を適正値に維
持するために、リニア移動磁場型電磁攪拌装置の電流値
は比較的小さく、そのために、1/4幅位置における湯
面直下溶鋼流速は、0.07m/秒を超えている。ま
た、スラブ幅が広い範囲では、鋳型短辺近傍の湯面直下
溶鋼流速を適正値に維持するために、リニア移動磁場型
電磁攪拌装置の電流値は比較的大きく、そのために、1
/4幅位置における湯面直下溶鋼流は、負方向即ち浸漬
ノズルから鋳型短辺に向けた方向に流れており、その流
速は0.05m/秒を超えている。
【0041】これに対して、本発明法の場合には、1/
4幅位置における湯面直下溶鋼流の流速が、適正範囲で
ある−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維
持されている。
【0042】図12は、本発明方法および先行技術2の
従来法による、スラブ幅別の冷間圧延コイル表面欠陥発
生率を示す図である。図12から明らかなように、1/
4幅位置における湯面直下溶鋼流の流速が本発明の範囲
を外れた従来法によって鋳造されたスラブによる、スラ
ブ幅別の冷間圧延コイル表面欠陥発生率は、約0.2〜
0.8%の高い値を示した。これに対し、本発明法によ
り、1/4幅位置における湯面直下溶鋼流の流速を本発
明の範囲内に維持して鋳造したスラブによる、スラブ幅
別の冷間圧延コイル表面欠陥発生率は、全スラブ幅にわ
たって極めて低かった。
【0043】図13は、本発明法および従来法による、
全スラブ幅平均の冷間圧延コイル表面欠陥発生率を示す
図である。図13から明らかなように、本発明法の場合
には、冷間圧延コイル表面欠陥発生率が従来法の約4分
の1に低減し、極低炭素鋼からなる冷間圧延コイルの製
造歩留りを大きく向上させることができた。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
極低炭素鋼からなる溶鋼をスラブに連続鋳造するに際
し、浸漬ノズルから鋳型内に注入される溶鋼の、鋳型幅
4分の1の鋳型短辺寄りの位置における流速を、鋳型短
辺から浸漬ノズルに向けた溶鋼流を正で表し、そして、
浸漬ノズルから鋳型短辺に向けた溶鋼流を負で表したと
きに、−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に
維持されるようにに制御したことにより、モールドパウ
ダーの液滴が鋼中に取り込まれてスラブの表層下介在物
が発生することが防止され、これによって、薄鋼板の表
面欠陥発生率が顕著に低減し、その製造歩留りを向上さ
せることができる、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による、鋳型短辺近傍における湯面直
下の溶鋼流速と冷間圧延コイルの表面欠陥発生率との関
係を示す図である。
【図2】鋳型内における1/4幅位置の湯面直下溶鋼流
速の測定方法を示す図である。
【図3】鋳型内における1/4幅位置の湯面直下溶鋼流
速と冷間圧延コイルの表面欠陥発生率との関係を示す図
である。
【図4】鋳型内における1/4幅位置の湯面直下溶鋼流
が正方向に流れるときの鋳型内の溶鋼流動状態を示す図
である。
【図5】鋳型内における1/4幅位置の湯面直下溶鋼流
が負方向に流れるときの鋳型内の溶鋼流動状態を示す図
である。
【図6】リニア移動磁場型電磁攪拌装置により発生した
リニア移動磁場によって、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流
に制動力が付加された状態を示す、鋳型の幅方向概略断
面図である。
【図7】図6の概略平面図である。
【図8】リニア移動磁場型電磁攪拌装置の電流値と、鋳
型内における1/4幅位置の湯面直下溶鋼流の流速との
関係を示す図である。
【図9】リニア移動磁場型電磁攪拌装置によって、鋳型
内における1/4幅位置の湯面直下溶鋼流の流速を−
0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に制御した
ときの鋳型内における溶鋼の流動状態を示す図である。
【図10】本発明方法および従来法による、スラブ幅別
のリニア移動磁場型電磁攪拌装置の印加電流値を示す図
である。
【図11】図10に示した電流値によってリニア移動磁
場型電磁攪拌装置を運転し鋳造を行ったときの、本発明
方法および従来法による、鋳型内における1/4幅位置
の湯面直下溶鋼流速を示す図である。
【図12】本発明方法および従来法による、スラブ幅別
の冷間圧延コイル表面欠陥発生率を示す図である。
【図13】本発明方法および従来法による、全スラブ幅
平均の冷間圧延コイル表面欠陥発生率を示す図である。
【符号の説明】
1 鋳型 1a 鋳型短辺 1b 鋳型長辺 2 浸漬ノズル 3 浸漬棒 4 湯面 5 縦渦 6 リニア移動磁場型電磁攪拌コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 正之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 鈴木 真 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 石井 俊夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−108797(JP,A) 特開 平2−70354(JP,A) 特開 平9−168847(JP,A) 特開 平9−47853(JP,A) 特開 平8−174184(JP,A) 特開 平7−214716(JP,A) 特開 平5−329594(JP,A) 特開 平5−76993(JP,A) 特開 平2−258152(JP,A) 特開 平7−9098(JP,A) 国際公開95/26243(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/11 B22D 11/04 311 B22D 11/115 B22D 11/16 104

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極低炭素鋼からなる溶鋼を、その下部が
    鋳型内の溶鋼中に浸漬された浸漬ノズルを通して鋳型内
    に注入し、そして、前記鋳型から連続的に引き抜くこと
    によりスラブを連続鋳造する方法において、 前記浸漬ノズルから前記鋳型内に注入される溶鋼の、鋳
    型幅4分の1の鋳型短辺寄りの位置における流速を、前
    記鋳型短辺から前記浸漬ノズルに向けた溶鋼流を正で表
    し、そして、前記浸漬ノズルから前記鋳型短辺に向けた
    溶鋼流を負で表したときに、−0.07m/秒から0.
    05m/秒の範囲内に維持することを特徴とする、極低
    炭素鋼スラブの連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】 浸漬ノズルから鋳型内に注入される溶鋼
    の流速を、請求項1に規定した範囲内に維持するため
    に、前記鋳型の外側にその幅方向に設けられたリニア移
    動磁場型電磁攪拌装置を使用して、前記溶鋼の流速を制
    御する、極低炭素鋼スラブの連続鋳造方法。
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