JP4569320B2 - 極低炭素鋼スラブ鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents

極低炭素鋼スラブ鋳片の連続鋳造方法 Download PDF

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本発明は、極低炭素鋼スラブ鋳片の連続鋳造方法に関し、詳しくは、鋳型内の溶鋼に移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御しながら鋳造する極低炭素鋼スラブ鋳片の連続鋳造方法に関するものである。
自動車外装用鋼板、缶用鋼板、家庭電化製品用鋼板など、多くの用途に使用されている薄鋼板に対して、年々その加工性の向上がユーザーから要求されている。一方、冷間圧延後の薄鋼板に施される焼鈍は、従来のバッチ焼鈍から連続焼鈍へと急速に転換されている。このような状況により、薄鋼板用の鋼は、炭素含有量が0.01〜0.1質量%の低炭素鋼から、炭素含有量が0.01質量%以下の極低炭素鋼に転換されつつある。
このような組成の極低炭素鋼の溶鋼をスラブ鋳片に連続鋳造し、鋳造されたスラブ鋳片を素材として薄鋼板を製造した場合、スラブ鋳片中に含まれている非金属介在物が原因となる鋼板表面疵の発生が、低炭素鋼のスラブ鋳片を素材とした薄鋼板と比較して多いことが知られていた。
特徴的な表面疵の一つは、「ブリスター疵」と呼ばれているふくれ状の疵である。このブリスター疵の発生する原因は、連続鋳造の際に凝固シェルの表層下にアルミナが捕捉され、冷間圧延後の連続焼鈍時に、アルミナの周囲に鋼中の固溶水素が凝集し気化して膨張するためである、といわれている。
極低炭素鋼は、精錬過程で、CO生成反応(脱炭反応)によって鋼中の炭素含有量を0.01質量%以下の低いレベルまで下げることにより溶製されているので、精錬中における溶鋼中の溶存酸素濃度が高くなる。従って、CO生成反応終了後におけるアルミニウムによる脱酸量が多くなるため、鋼中に懸濁するアルミナの量が低炭素鋼よりも多くなり、従って、ブリスター疵が発生しやすくなる。
特徴的な表面疵の他の一つは、「スリバー疵」と呼ばれている線状の疵である。スリバー疵が発生する原因は、極低炭素鋼の溶鋼をスラブ鋳片に連続鋳造する際に、鋳型内における湯面位置の凝固シェル先端の爪部分に、モールドパウダーの液滴や脱酸生成物のアルミナが捕捉されるためである、といわれている。極低炭素鋼は、低炭素鋼と比較して凝固温度が高く、前記爪部分が成長しやすいので、スリバー疵が発生しやすくなる。
このようなことから、スラブ連続鋳造機で溶鋼、特に極低炭素鋼の溶鋼を鋳造する際には、鋳型内に磁場を印加することによって凝固シェルへの非金属介在物(以下、「介在物」と記す)の捕捉を抑制する方法が多数提案されている。例えば、特許文献1には、鋳型長辺背面にリニア型移動磁場発生装置を配置して、溶鋼湯面に水平方向の旋回攪拌流を形成するように移動磁場を印加し、溶鋼湯面の流速を0.1〜0.6m/秒に制御して、介在物を凝固シェルに補足させない方法が提案されている。
また、非特許文献1には、洗い流す介在物の粒径と必要な流速との関係が提案されており、特許文献2には、鋳型内溶鋼に磁場を印加して鋳型内湯面近傍の溶鋼流速を所定の範囲内に制御する方法が提案されている。
特開平6−606号公報 特許第3125664号公報 新日鐵、君津:第111回製鋼部会「鋳型内電磁攪拌装置による鋳片品質向上技術」(1994)
しかしながら、上記の従来技術には、それぞれ以下の問題がある。
即ち、特許文献1の技術は、まさに積極的に鋳型内の溶鋼を攪拌して洗浄流速を増加させ、溶鋼中に混在する介在物を凝固シェルに捕捉させないようにする方法であるが、逆に、攪拌によってモールドパウダーを溶鋼中に混入させる危険がある。
非特許文献1では、より小さい介在物を洗い流すためには、より大きな流速が必要であるとしているが、湯面近傍における大きな流速(表面流速)は、逆に湯面変動やモールドパウダーの巻き込みの原因となる。鋳片品質を総合的に判断すれば、単に洗浄流速を増加させればよいというものではない。
特許文献2では、鋳型内湯面の表面流速の抑制に主眼をおいており、モールドパウダーの巻き込み防止には効果的であるが、近年の厳しい品質要求に応えるためには、鋳片表層の微小介在物の除去も必要であり、この観点からは十分とはいえない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋳型内の溶鋼に移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御しながら極低炭素鋼スラブ鋳片を連続鋳造するに当たり、特許文献2と同様に鋳型内の表面流速を最適範囲に抑制した上で、更に、凝固シェルへの介在物の捕捉防止を促進させることのできる、換言すれば、モールドパウダーの巻き込みがなく且つ凝固シェルに捕捉される微小介在物の少ないスラブ鋳片を鋳造することのできる、極低炭素鋼スラブ鋳片の連続鋳造方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究・検討した。その結果、従来、鋳型内面空間における磁束密度を高める観点から、鋳型銅板による磁束の減衰量の少ない、比較的周波数の低い移動磁場を印加することが一般的であったが、この移動磁場の周波数を見直すことによって、鋳型内の表面流速を最適範囲に抑制すると同時に、凝固シェル近傍の溶鋼流速を増大させることができる、つまり上記課題を解決できるとの知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る極低炭素鋼スラブ鋳片の連続鋳造方法は、磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア型移動磁場発生装置を用い、矩形状鋳型の中央部に設置された浸漬ノズルから吐出される、極低炭素鋼からなる溶鋼の吐出流に、制動力を与えるべく鋳型短辺側から浸漬ノズル側に向かう移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御しながら鋳造する極低炭素鋼スラブ鋳片の連続鋳造方法であって、前記移動磁場の周波数を2Hzから4Hzの範囲内として、浸漬ノズルから鋳型内に注入される溶鋼の、鋳型幅1/4の鋳型短辺寄りの位置における湯面直下溶鋼流速を、鋳型短辺から浸漬ノズルに向けた溶鋼流を正で表し、浸漬ノズルから鋳型短辺に向けた溶鋼流を負で表したときに、−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持すると同時に、凝固シェル壁面における溶鋼流動を、凝固シェル壁面近傍での溶鋼流速を0.1m/秒以上とする部位が鋳型幅方向の8割以上を占める溶鋼流動に維持することを特徴とするものである。
本発明によれば、印加する移動磁場の周波数を2Hzから4Hzとするので、鋳型内の溶鋼流動を適切に制御することが可能となり、鋳型内の溶鋼湯面の流速を所定の範囲に制御することができると同時に、凝固シェル近傍の溶鋼流速を確保することができる。その結果、凝固シェルへのモールドパウダーの巻き込みがなく、且つ凝固シェルへの微細介在物の付着が極めて少ない、清浄で高品質の極低炭素鋼スラブ鋳片を安定して製造することが可能となり、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、鋳型短辺側から鋳型中央の浸漬ノズル側に向かって移動する磁場を印加する場合の流動制御装置及びメカニズムの概略斜視図、図2は、本発明を実施する際に用いたスラブ連続鋳造機の鋳型部位の概略正面図である。
図1及び図2において、相対する鋳型長辺4と、この鋳型長辺4の内側に内装された、相対する鋳型短辺5とから、水平断面が矩形状の鋳型1が構成されており、鋳型長辺4と鋳型短辺5とに囲まれて形成される鋳型1の内面空間のほぼ中央位置には、鋳型1の上方所定位置に配置されるタンディッシュ(図示せず)の底部に取り付けられた浸漬ノズル2が挿入されている。浸漬ノズル2の下部には、溶鋼7を鋳型短辺5の方向に向かって吐出するための一対の吐出孔6が備えられている。鋳型長辺4の背面には、浸漬ノズル2を境として鋳型長辺4の幅方向左右で2つに分割された合計4基のリニア型移動磁場発生装置3が、その鋳造方向の中心位置を吐出孔6の直下位置として、鋳型長辺4を挟んで対向して配置されている。それぞれのリニア型移動磁場発生装置3は電源(図示せず)と結線され、また、電源は、磁場の移動方向、周波数、及び磁場強度を制御する制御装置(図示せず)と接続されており、制御装置から入力される磁場移動方向、周波数及び磁場強度に基づいて電源から供給される電力により、リニア型移動磁場発生装置3から印加される磁場強度、周波数及び磁場移動方向がそれぞれ個別に制御されるようになっている。
このような構成のスラブ連続鋳造機を用い、リニア型移動磁場発生装置3によって移動磁場を印加しながら炭素含有量が0.01質量%以下に調整された極低炭素鋼の溶鋼7を鋳造する。
リニア型移動磁場発生装置3により印加される磁場は移動磁場であり、浸漬ノズル2からの溶鋼7の吐出流8に制動力を与える場合には、移動磁場の移動方向を鋳型短辺5の側から浸漬ノズル2の側とし、一方、浸漬ノズル2からの吐出流8に加速力を与える場合には、移動磁場の移動方向を浸漬ノズル2の側から鋳型短辺5の側とする。図1では、磁場が鋳型短辺5から鋳型1の中央部の浸漬ノズル2に向かって移動する状態を示しており、図1において、FX は溶鋼7の吐出流8に作用する電磁力を表し、VX は移動磁場の移動速度を表し、BYは移動磁場の磁束密度を表している。
リニア型移動磁場発生装置3には、図1に示すように複数の電磁コイル(但し図2では図示せず)が幅方向に並んで設置されており、隣り合う電磁コイルに流す電流の位相をずらすことにより、所謂リニアタイプの移動磁場を発生させている。その磁場の移動速度VX は、電磁コイルのポールピッチτと周波数fとから、下記の(1)式によって表される。電磁コイルのポールピッチとは、S極からN極までの距離である。
Figure 0004569320
ローレンツの法則より、発生する誘導電流JZ は下記の(2)式で表される。但し、(2)式において、σは溶鋼の電気伝導度、VX は移動磁場の移動速度、BY は移動磁場の磁束密度である。
Figure 0004569320
電磁力FX は下記の(3)式で表され、主に磁場の移動方向と同じ向きに電磁力FX が作用する。
Figure 0004569320
鋳造速度が速く、鋳型1における溶鋼流動を抑制したい場合には、磁場を両方の鋳型短辺5から浸漬ノズル2の方向に移動させ、電磁力FX によって浸漬ノズル2から吐出される溶鋼7の吐出流8を減速させ、逆に、鋳造速度が遅く、鋳型1における溶鋼流動を促進させたい場合には、磁場を浸漬ノズル2から鋳型短辺5の方向に移動させ、電磁力FXによって浸漬ノズル2から吐出される溶鋼7の吐出流8を加速させる。
ここで、(3)式に示すように、周波数fを増加させることにより、電磁力FX は周波数fに比例して増加することが分かる。但し、周波数fを増加すると、鋳型長辺4を構成する銅板によって磁束が減衰し、磁束密度BY が低下するので、実際には周波数fに単純に比例するわけではない。
本発明者等は、磁場を鋳型短辺5から浸漬ノズル2の方向に移動させて鋳型内の溶鋼流動を制御する場合に、鋳型内における溶鋼湯面9の近傍の鋳型幅方向水平流速を適性に維持すると同時に、鋳型内の凝固シェル10の壁面近傍における溶鋼流速を適正化することを目的として、印加する磁場の周波数を最適化することを検討した。以下、検討結果について説明する。
連続鋳造中、溶鋼湯面9の上に添加したモールドパウダー11の巻き込みを防止すると同時に、鋳型内の湯面変動を防止するためには、溶鋼湯面9の近傍の表面流速を低位に安定させることが必要である。そこで、本発明では、前述した特許文献2と同様に、鋳型幅1/4の鋳型短辺寄りの位置における表面流速を−0.07m/秒から0.05m/秒のゼロに近い範囲内に維持することとした。ここでは、鋳型短辺5から浸漬ノズル2に向けた流れの方向を正とし、その逆の流れの方向を負としている。即ち、本発明では、鋳型幅1/4の鋳型短辺寄りの位置(以下、「1/4幅位置」とも記す)における表面流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持した状態で、最適な周波数fを求めることとした。
1/4幅位置の湯面直下の溶鋼流速は、図3に示すような方法によって測定した。即ち、鋳型1の中央に配置されている浸漬ノズル2から、一方の鋳型短辺寄りの1/4幅位置に、長さ410mm、直径20mmのモリブデン−ジルコニア系サ−メット製の浸漬棒12を、その下端部を鋳型内の溶鋼7に浸漬させた状態で、その上端付近を支点とし、鋳型1の幅方向に回動可能に支持させて取り付けた。浸漬棒12の下端から溶鋼湯面9までの距離即ち浸漬棒12の溶鋼内における浸漬深さDは、約100mmである。
このように鋳型内の溶鋼中に浸漬棒12を浸漬すると、浸漬棒12の浸漬部分は、湯面直下の溶鋼流によって、その上端付近の支点を中心として回動し、浸漬棒12に働く重力と、湯面直下の溶鋼流による力とが釣合ったところで停止する。このときの、浸漬棒12の軸線方向と鉛直方向とがなす角度θを測定し、浸漬棒12に働く重力と湯面直下の溶鋼流による力との釣合い計算をすることによって、溶鋼湯面直下の溶鋼流速を求めることができる。
このようにして1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を測定しながら、移動磁場の周波数を1Hzと2Hzの2種類として磁束密度を変化させたときの1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速と磁束密度との関係を図4に示す。図4に示すように、周波数を1Hzから2Hzへと2倍に増大させても、1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持するための磁束密度の減少は僅かであって、磁束密度は、周波数を大きくすることによって若干減少するものの1/2以下には減少しておらず、従って、前述した(3)式からも明らかなように、周波数を増大することによって電磁力FX は増加することが分かる。
移動磁場の周波数を1Hz及び2Hzとして1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持したときの、鋳型厚み中央位置(浸漬ノズルの中心を通る断面)における溶鋼7の流速ベクトル図を、それぞれ図5及び図6に示す。尚、図5及び図6は、鋳型1の向かって右側半分における鋳型内溶鋼の流速を電磁流体シミュレーションによって求めた結果を示す図であり、矢印が溶鋼7の流れの方向を表しており、図中左側の上部部分が浸漬ノズル2に、図中右側端部が鋳型短辺5の内壁面位置に相当し、図5が1Hzの周波数で印加した場合を示し、図6が2Hzの周波数で印加した場合を示している。図5及び図6に示すように、鋳型厚み中央位置における溶鋼流動は、周波数が1Hzの場合と2Hzとの場合で、ほぼ同様の溶鋼流動になっていることが分かる。
更に、移動磁場の周波数を1Hz及び2Hzとして1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持したときの、鋳型幅方向における溶鋼湯面直下の溶鋼流速の分布を図7に示す。図7において、鋳型幅方向位置=0.65mの位置が浸漬ノズル2の中心位置に相当する。吐出流8に対して移動磁場を鋳型短辺5から浸漬ノズル2の方向に印加することで、図7に示すように、移動磁場の周波数が1Hzの場合もまた2Hzの場合も、移動磁場による浸漬ノズル2から鋳型短辺5へ向いた逆流と、吐出流8による鋳型短辺5から浸漬ノズル2へ向いた反転流とがぶつかりあい、1/4幅位置の溶鋼湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に抑制していることが分かる。但し、周波数を2Hzとした場合の方が、前記逆流及び前記反転流の絶対値はともに大きいことが分かる。
また更に、移動磁場の周波数を1Hz及び2Hzとして1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持したときの、鋳型長辺壁面における流速ベクトルを図8及び図9に示す。尚、図8及び図9は、鋳型1の向かって右側半分における鋳型内溶鋼の流速を電磁流体シミュレーションによって求めた結果を示す図であり、矢印が溶鋼7の流れの方向を表しており、図中左側端部が鋳型中央位置に、図中右側端部が鋳型短辺5の内壁面位置に相当し、図8が1Hzの周波数で印加した場合を示し、図9が2Hzの周波数で印加した場合を示している。
図8と図9とを比較すると、図9の方が、浸漬ノズル2から鋳型短辺5への逆流が大きくなっていることが分かる。これは、周波数の増大によって単位時間当たりの電磁力が増大し、その増加分が溶鋼流動に影響して、鋳型長辺壁面における浸漬ノズル2から鋳型短辺5へ向いた逆流が増大したためである。即ち、周波数を1Hzとした場合よりも2Hzとした場合の方が、鋳型長辺壁面の溶鋼流速が増大することが分かった。
この場合の鋳型長辺壁面における溶鋼流速の鋳型幅方向の分布を図10に示す。図10において、鋳型幅方向位置=0.65mの位置が浸漬ノズル2の中心位置に相当する。図10からも明らかなように、移動磁場の周波数を1Hzにした場合よりも2Hzにした場合の方が、鋳型長辺壁面における溶鋼流速が増大することが分かった。これによって、凝固シェル10における介在物の洗浄効果が向上し、周波数を1Hzにした場合よりも2Hzにした場合の方が、凝固シェル10に付着する介在物は低減することになる。
これらの結果から、移動磁場を鋳型短辺5から浸漬ノズル2の方向に移動させて印加し、浸漬ノズル2からの吐出流8を制御する場合には、鋳型長辺側の凝固シェル10の近傍における溶鋼流速が高くなり、微小介在物の凝固シェル10への捕捉を防止することができるという観点から、印加する移動磁場の周波数は1Hzよりも2Hzの方が良いことが分かった。但し、周波数を過剰に大きくすると、鋳型銅板による磁束の減衰が大きくなって磁束密度BY が急激に減少する。(3)式に示すように、電磁力FX は磁束密度BY の二乗に比例しており、磁束密度BY が低下してしまうと、溶鋼流動の制御自体が困難になる。本発明者等は、後述する試験結果から、印加する周波数が4Hzまでの範囲である限り、1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持し、且つ鋳型長辺側の凝固シェル10の近傍における溶鋼流速を高くすることができることを確認している。
従って本発明では、移動磁場を鋳型短辺5から浸漬ノズル2の方向に移動させて印加し、浸漬ノズル2からの吐出流8を制御する場合に、印加する移動磁場の周波数を2Hzから4Hzの範囲に限定した。
印加する移動磁場の周波数を2Hzから4Hzとすることで、鋳型内の溶鋼流動を適切に制御することが可能となり、鋳型内の溶鋼湯面9の流速を所定の範囲に制御することができると同時に、凝固シェル10の近傍の溶鋼流速を確保することができ、凝固シェル10へのモールドパウダー11の巻き込みのない、且つ凝固シェル10への微細介在物の付着の極めて少ない、清浄で高品質の極低炭素鋼スラブ鋳片を安定して製造することが可能となる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機を使用し、転炉及びRH真空脱ガス装置で溶製した極低炭素鋼の溶鋼をスラブ鋳片に連続鋳造した。表1に、使用したスラブ連続鋳造機の仕様を示し、表2に、極低炭素鋼の化学成分組成を示す。
Figure 0004569320
Figure 0004569320
鋳片幅が1500mmの極低炭素鋼スラブ鋳片を2.4m/分の鋳造速度で連続鋳造する際に、移動磁場の周波数を1Hzの場合(水準1)と2Hzの場合(水準2)との2水準として、リニア型移動磁場発生装置によって、1/4幅位置における溶鋼湯面直下の溶鋼流速が−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持されるように制御した。水準1及び水準2における鋳片サンプルを採取し、鋳片幅方向で7箇所、鋳片の上面と下面との2箇所、合計14箇所の位置について、鋳片凝固組織のデンドライト傾角に基づいて鋳片表層部の溶鋼流速を推定した。表3に、デンドライト傾角から推定した溶鋼流速を示す。
Figure 0004569320
表3に示すように、鋳片表層部の溶鋼流速の絶対値にはばらつきがあるものの、水準1(周波数1Hz)では、14箇所での溶鋼流速の平均値は0.09m/秒であるのに対し、水準2(周波数2Hz)では14箇所での平均値は0.18m/秒であり、約2倍の流速に増加した。また、凝固シェルへの介在物の付着が防止されると予想される0.1m/秒以上の溶鋼流速の範囲は、水準1では、14箇所のうちの8箇所であり、比率にして57%であった。これに対して水準2では、0.1m/秒以上の溶鋼流速の範囲が14箇所のうちで12箇所となり、比率にして86%であった。つまり、水準2では、鋳片幅方向の80%以上の部位で0.1m/秒以上の溶鋼流速を得られることが確認できた。
更に、スラブ鋳片の幅が1500mm、鋳造速度が2.4m/分の条件下で極低炭素鋼を連続鋳造する際に、移動磁場の周波数を0.5Hz、1.0Hz、1.5Hz、2.0Hz、3.0Hz,4.0Hzとして、リニア型移動磁場発生装置によって、1/4幅位置における溶鋼湯面直下の溶鋼流速が−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持されるように制御して鋳造し、鋳造されたスラブを素材とする冷間圧延薄鋼板の表面欠陥発生率と、デンドライト傾角に基づく鋳片表層部の溶鋼流速との関係を調査した。鋳片表層部の溶鋼流速は、上記の水準1及び水準2と同一の方法で調査した。
図11に、冷間圧延薄鋼板の表面欠陥発生率と鋳片表層部の溶鋼流速との関係を調査した結果を示す。図11では、鋳片表層部の溶鋼流速を表す横軸を、鋳片表層部の溶鋼流速が0.1m/秒となる部位の鋳片幅方向における比率で表示している。この表示方法によれば、前述の水準1では57%、水準2では86%になる。
図11から明らかなように、移動磁場の周波数が2Hz未満の場合(比較例)では、鋳片表層部の溶鋼流速が0.1m/秒以上になる比率は80%未満であり、冷間圧延薄鋼板の表面欠陥発生率は高かった。それに対して、移動磁場の周波数が2Hz〜4Hzの場合(本発明例)には、鋳片表層部の溶鋼流速が0.1m/秒以上になる比率は80%以上であり、冷間圧延薄鋼板の表面欠陥発生率は低位安定していた。このように、本発明によって極低炭素鋼からなる冷間圧延薄鋼板の製造歩留りを大きく向上させることができた。
鋳型短辺から鋳型中央の浸漬ノズルに向かって移動する磁場を印加する場合の流動制御装置及びメカニズムを示す概略斜視図である。 本発明を実施する際に用いたスラブ連続鋳造機の鋳型部位の概略正面図である。 1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速の測定方法を示す図である。 移動磁場の周波数を1Hzと2Hzの2種類として磁束密度を変化したときの1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速と磁束密度との関係を示す図である。 周波数を1Hzとして1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持したときの、鋳型厚み中央位置における溶鋼流速ベクトル図である。 周波数を2Hzとして1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持したときの、鋳型厚み中央位置における溶鋼流速ベクトル図である。 1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持したときの、溶鋼湯面直下における溶鋼流速の鋳型幅方向の分布を周波数別に示す図である。 周波数を1Hzとして1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持したときの、鋳型長辺壁面における流速ベクトル図である。 周波数を2Hzとして1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持したときの、鋳型長辺壁面における流速ベクトル図である。 1/4幅位置の湯面直下溶鋼流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持したときの、鋳型長辺壁面における溶鋼流速の鋳型幅方向の分布を周波数別に示す図である。 冷間圧延薄鋼板の表面欠陥発生率と鋳片表層部の溶鋼流速との関係を示す図である。
符号の説明
1 鋳型
2 浸漬ノズル
3 リニア型移動磁場発生装置
4 鋳型長辺
5 鋳型短辺
6 吐出孔
7 溶鋼
8 吐出流
9 溶鋼湯面
10 凝固シェル
11 モールドパウダー
12 浸漬棒

Claims (1)

  1. 磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア型移動磁場発生装置を用い、矩形状鋳型の中央部に設置された浸漬ノズルから吐出される、極低炭素鋼からなる溶鋼の吐出流、制動力を与えるべく鋳型短辺側から浸漬ノズル側に向かう移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御しながら鋳造する極低炭素鋼スラブ鋳片の連続鋳造方法であって、前記移動磁場の周波数を2Hzから4Hzの範囲内として、浸漬ノズルから鋳型内に注入される溶鋼の、鋳型幅1/4の鋳型短辺寄りの位置における湯面直下溶鋼流速を、鋳型短辺から浸漬ノズルに向けた溶鋼流を正で表し、浸漬ノズルから鋳型短辺に向けた溶鋼流を負で表したときに、−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持すると同時に、凝固シェル壁面における溶鋼流動を、凝固シェル壁面近傍での溶鋼流速を0.1m/秒以上とする部位が鋳型幅方向の8割以上を占める溶鋼流動に維持することを特徴とする、極低炭素鋼スラブ鋳片の連続鋳造方法。
JP2005053284A 2005-02-28 2005-02-28 極低炭素鋼スラブ鋳片の連続鋳造方法 Active JP4569320B2 (ja)

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