JP3124583B2 - 熱可塑性軟質樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性軟質樹脂組成物

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JP3124583B2 JP03234808A JP23480891A JP3124583B2 JP 3124583 B2 JP3124583 B2 JP 3124583B2 JP 03234808 A JP03234808 A JP 03234808A JP 23480891 A JP23480891 A JP 23480891A JP 3124583 B2 JP3124583 B2 JP 3124583B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は衝撃吸収の為の適度な柔
軟性と低温衝撃強度を有し、塗装の為のトリクロロエタ
ン(TCE)蒸気洗浄後の成形品の外観(フローマー
ク、ウェルド)を改善することができる性能バランスを
有する熱可塑性軟質樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車は軽量化による燃費の向上
を目的として自動車用部品のプラスチック化が急速に進
み、インストルメントパネル、コンソールボックス、グ
ローブボックス、ハンドル、トリム等の内装部品やモー
ルプロテクター、ランプハウジング、フロントグリル、
マッドガード、コーナーバンパー等の外装部品だけでな
く、従来金属が使用されていたバンパー、フェイシア、
ドアガーニッシュおよびボデー(一部分)等にまで各種
のプラスチック材料が用いられるようになってきた。
【0003】このような自動車部品に用いられるプラス
チック類としては、例えば、RIM・ウレタン、複合ポ
リプロピレン、ポリカーボネート/ABSやポリフェニ
レンエーテル/ポリアミド等のポリマーアロイ材料が挙
げられる。とりわけ、バンパーやフェイシアに用いられ
る材料は、現在、主として衝突時の衝撃を変形すること
によって吸収し、その後形状が回復する特性を有する低
剛性の材料を使用するタイプと、変形回復の性能は劣る
が、軽量で、低価格の高剛性材料を使用するタイプの二
つに分けられている。
【0004】これ等のうち、前者のタイプに使用される
材料としては、主にRIM・ウレタン、部分架橋エチレ
ン・プロピレン共重合体ゴム配合のポリプロピレンやエ
チレン・プロピレン共重合体ゴム、オイル配合のポリプ
ロピレン等が使用され、曲げ弾性率も一般には3,000 〜
7,000 kg/cm2 程度を示すものである。また後者のタイ
プに使用される材料としては、エチレン・プロピレン共
重合体ゴム、無機フィラー配合のポリプロピレン等が使
用され、その弾性率も8,000 〜20,000kg/cm2 程度を示
すものである。RIM・ウレタンを除くこれ等の材料
は、汎用性のある射出成形によって生産されることか
ら、生産性が高く低コストであるため、最近特に広く使
用されるようになって来た。
【0005】前述の材料のうち、低剛性タイプのバンパ
ーに用いる材料は、例えば、ポリプロピレンに部分的に
架橋されたエチレン・プロピレン共重合体ゴムと、更に
オイル等を配合したポリプロピレン組成物に関するもの
で特開昭53−145857号公報、同54−16554 号公報、およ
び同57−135847号公報などに記載されている方法、ある
いは、非架橋エチレン・プロピレン共重合体ゴムと高密
度ポリエチレンを配合したポリプロピレン系組成物に関
するもので特開昭56−106948号公報などに記載されてい
る方法、さらに非架橋エチレン・プロピレン共重合体ゴ
ムとオイルを配合したポリプロピレン組成物に関するも
ので、特開昭63−146951号公報などに記載されている方
法などによって製造されている。また、高剛性タイプの
バンパーに用いる材料は、例えば、非架橋エチレン・プ
ロピレン共重合体ゴムとオイルを配合したポリプロピレ
ン組成物に関するもので特開昭52−23148 号公報、同52
−126450号公報などに記載されている方法などによって
製造されている。
【0006】また、車体と一体化した形状(面一性すな
わち平面均一性)を要求されるバンパー、フェイシアや
ドアトリムなどの射出成形品では線膨張係数を極力低く
おさえることにより環境温度の変化(−40℃〜80℃)に
よる不具合を改良するものとして無機フィラーを殆んど
用いず特定のポリプロピレンと特定のエチレンプロピレ
ンゴムの組合せが特開平2−311533号公報に提案されて
いる。
【0007】さらに本出願人等はすでに同様の分野向け
に成形品の外観(ウェルド)、塗装品外観と低温衝撃性
に良好な配合からなる射出成形体についての提案(特願
平2−166870号)を行っている。
【0008】一方、これまではバンパー全体を塗装する
ものが主流であったが、最近はデザインの点からバンパ
ーの上部又は下部、デザインによっては中央部にストラ
イプ状に無塗装部分を設けアクセントにすることが多く
なって来た。この場合、塗装は部分塗装であるが、塗装
の前処理であるトリクロルエタン(TCE)蒸気洗浄は
成形品全体が処理される。TCE処理に於てはオレフィ
ン系ポリマーの非晶部分とりわけエチレンプロピレンゴ
ムは一部溶け出すことが知られている。このことにより
成形直後は目立たなかったフローマークやウェルドライ
ンはTCE処理により著しく目立って来ることが判明し
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかるにこれまで提案
された特許文献に記載された公知技術を用いて得られる
成形品ではTCE洗浄後の成形品外観(フローマーク、
ウェルド)の良好なものは得られなかった。
【0010】従って本発明の目的は塗装のためのTCE
洗浄後の成形品外観(フローマーク、ウェルド)が大幅
に改善され、適度な柔軟性と低温衝撃強度を有すること
により衝撃を吸収し得る熱可塑性軟質樹脂組成物を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の問
題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の粘弾性
挙動を有するプロピレン重合体樹脂に2種類の特定のエ
チレン・プロピレン共重合体系ゴムと特定のリニアロー
デンシティ ポリエチレンを特定量配合することにより
TCE蒸気洗浄後の成形品外観(フローマーク、ウェル
ド)が大幅に改良され、且つ、上記目的を達成し得るこ
とを見出して、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち本発明の熱可塑性軟質樹脂組成物
は、 成分A:メルトフローレート(MFR)(230 ℃、2.16
kg荷重)20〜100 g/10分、スエル2.3 以上、エチレン
含量1〜10重量%のポリプロピレンブロック共重合体樹
脂50〜70重量%と、 成分B:バナジウム系触媒を用いて重合されたML1+4
100 ℃15〜40、プロピレン含量30〜60重量%のエチレン
・プロピレン共重合体ゴム10〜20重量%と、 成分C:チタン系触媒を用いて重合されたML1+4 100
℃20〜60、プロピレン含量30〜80重量%のエチレン・プ
ロピレン共重合体ゴム10〜20重量%と、 成分D:メルトフローレート(190 ℃、2.16kg荷重)10
〜50g/10分のリニアロ−デンシティ ポリエチレン樹
脂3〜15重量%とからなり、配合物のメルトフローレー
ト(230 ℃、2.16kg荷重)5〜30、スエル2.0 以上で且
つJIS−K7203による曲げ弾性率が3,000 〜7,000 kg
/cm2 であることを特徴とするものである。尚、本発明
において成分Aおよび成分Dにおけるスエルとは、ノズ
ル直径0.5mm 、長さ5mmを有するフローテスターを用い
炉温度200 ℃、シェアレート2,000sec-1で押出した溶融
樹脂のノズル下10mmの位置での直径を測定し、これをノ
ズル直径で除した値を言う。
【0013】以下本発明を具体的に説明する。 〔1〕構成成分/組成物 <成分A>本発明の樹脂組成物に用いられるプロピレン
ブロック共重合体樹脂は、結晶性ポリプロピレン部(a
成分)とエチレン・プロピレンランダム共重合体部(b
成分)を含有し、a成分はブロック共重合体の70〜95重
量%を占め、メルトフローレート(230 ℃、2.16kg荷
重)は40〜200 g/10分、好ましくは80〜160 g/10分
であり、MW /MN は通常7〜15、好ましくは8〜13で
あり、密度は0.9060以上、好ましくは0.9070以上であ
る。
【0014】またb成分はブロック共重合体の5〜30重
量%を占めエチレン含量は20〜80重量%、メルトフロー
レートは通常0.001 〜1.0 g/10分、好ましくは0.01〜
0.5g/10分であり、且つ全体のメルトフローレートは2
0〜100 g/10分、好ましくは50〜80g/10分である。
これらの(a成分)と(b成分)とは、それぞれ別々に
製造することができるし、また後述の二段重合法等によ
って、得られる重合体中の成分として得ることもでき
る。なお、この(a成分)と(b成分)との割合は、別
々に製造された(a成分)と(b成分)とを所定の割合
で配合したり、(a成分)を主成分とするプロピレン重
合体組成物と(b成分)を主成分とするエチレン・プロ
ピレン共重合体組成物等を管理された割合で配合した
り、あるいは、二段重合法などの重合に於て、その原料
モノマー組成や重合条件方法を管理するなどの方法によ
って調整することができる。
【0015】とりわけ立体規則性触媒を用いる二段重合
法が好適に用いられる。重合に用いられる立体規則性触
媒は、エチレン、プロピレンなどの立体規則性重合反応
に一般に使用される触媒であり通常は、少なくとも遷移
金属のハロゲン化物と有機アルミニウム化合物とから調
合される触媒である。ここで、遷移金属のハロゲン化物
としてはチタンのハロゲン化物が好ましく、例えば四塩
化チタン、三塩化チタンが挙げられる。
【0016】有機アルミニウム化合物としてはAlRn
3-n(但し式中Rは炭素数1〜10のアルキル基、アル
コキシ基またはアリール基を表し、Xはハロゲン原子を
表し、nは0<n≦3の実数を表す。)で示される化合
物が好適である。
【0017】具体的には、例えばトリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−プロピル
アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライドな
どが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いること
ができる。
【0018】重合条件は温度が通常0〜100 ℃、好まし
くは30〜90℃、圧力が通常0.01〜45kg/cm2 、好ましく
は0.05〜40kg/cm2 程度でよい。重合方法としては公知
の方法を適用することができ、例えばスラリー重合、溶
液重合、気相重合、オレフィンモノマーを媒体とした液
相重合等を挙げることができる。なお重合に用いる溶媒
としては通常脂肪族、脂環族、芳香族の不活性炭化水素
が好適に使用でき、具体的には例えば、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン
などを挙げることができる。
【0019】本発明においては、主として二段重合法を
用いて(a成分)と(b成分)を製造し、この際一段目
で(a成分)を二段目で(b成分)を重合した。特に本
発明での高メルトフローレートでかつ高スエルのプロピ
レンブロック共重合体樹脂を得る為には分子量分布ブロ
ード化剤として有機酸エステルを一段目の重合時に有機
アルミニウム化合物に対して0.01〜0.5 のモル比で添加
することが重要である。
【0020】このようにして得られる本発明に用いられ
るプロピレンブロック共重合体樹脂はメルトフローレー
ト (230 ℃、2.16kg荷重) 20〜100 g/10分、好ましく
は50〜80g/10分、スエル2.3 以上、好ましくは2.5 以
上及びエチレン含量1〜10重量%、好ましくは2〜8重
量%であり、配合割合は50〜70重量%、好ましくは55〜
60重量%である。
【0021】メルトフローレートが20g/10分未満のも
のを用いる場合には、成形品のTCE蒸気洗浄後のフロ
ーマークの発生が著しく悪化する。メルトフローレート
が100 g/10分を超えるものを用いる場合には、低温衝
撃強度が低下する。
【0022】スエルが2.3 未満のものを用いる場合も同
様にTCE蒸気洗浄後のフローマークの発生が著しく悪
化する。またエチレン含量が10重量%を超えたものを用
いる場合には、射出成形性(離型性)に問題が生じるだ
けでなく、場合により相対的に成分Bと成分Cの配合量
を低下させる必要が生じる為、低温耐衝撃強度が低下す
ることもある。
【0023】配合割合が50重量%未満の場合には、得ら
れた成形体のTCE蒸気洗浄後のフローマーク発生及び
ウェルド外観が著しく悪化することや成形時の離型性が
悪化する。一方、70重量%を超える場合には低温衝撃強
度が悪化するだけでなく、本発明の目的の1つである適
度な柔軟性、即ちJIS−K7203による曲げ弾性率が3,
000 〜7,000 kg/cm2 を超えることになる。
【0024】<成分B>本発明の樹脂組成物において用
いられる成分Bは、バナジウム化合物と有機アルミニウ
ム化合物からなるバナジウム系触媒を用いて製造され、
ML1+4 100 ℃15〜40、好ましくは20〜35かつ、プロピ
レン含量が30〜60重量%、好ましくは40〜55重量%のエ
チレン・プロピレン共重合体ゴムである。ここで「エチ
レン・プロピレン共重合体ゴム」はエチレンとプロピレ
ンのみからなる共重合体の外に、必要によりこれらと他
の共単量体、特に非共役ジエン、との共重合体を意味す
る。
【0025】非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジ
エン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メ
チルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン
などが用いられる。
【0026】上記触媒を用いて得られるゴムは低温衝撃
性、柔軟性及び低線膨張性を確保する点で必須である。
【0027】ML1+4 100 ℃粘度が15未満のものを用い
た場合には、成形加工性(離型性)、TCE蒸気洗浄後
のウェルド外観及び低温衝撃強度が低下する。一方、40
を超えたものを用いた場合には、TCE蒸気洗浄後のフ
ローマーク発生が著しく悪化する。
【0028】プロピレン含量が上記未満のものを用いた
場合には、柔軟性に問題があり、一方、上記範囲を超え
たものを用いる場合には成形加工性(離型性)に問題が
ある。
【0029】成分Bの配合割合は10〜20重量%、好まし
くは12〜18重量%である。配合割合が10重量%未満の場
合には、低温衝撃強度が低下する。また配合割合が上記
範囲を超える場合には、TCE蒸気洗浄後のフローマー
ク、ウェルド外観が著しく悪化する。
【0030】<成分C>本発明の樹脂組成物に用いられ
る成分Cは、チタン系化合物と有機アルミニウム化合物
からなるチタン系触媒を用いて製造され、ML1+4 100
℃20〜60、好ましくは30〜50でかつ、プロピレン含量が
30〜80重量%、好ましくは40〜75重量%のエチレン・プ
ロピレン共重合体ゴムである。ここでいう「エチレン・
プロピレン共重合体ゴム」は前述の成分Bと同様にエチ
レンとプロピレンのみからなる共重合体及び非共役ジエ
ン等他の共単量体との共重合体を意味する。
【0031】上記触媒を用いて得られるゴムはTCE蒸
気洗浄後の成形品外観とりわけウェルド外観を良好にす
ること及び柔軟性を確保する点で必須である。
【0032】ML1+4 100 ℃粘度が20未満のものを用い
る場合、成形加工性(離型性)、TCE蒸気洗浄後のウ
ェルド外観及び低温衝撃強度が悪化する。一方、60を超
えるたものを用いる場合にはTCE蒸気洗浄後のフロー
マーク発生が悪化する。
【0033】プロピレン含量が30重量%未満のものを用
いる場合にはTCE蒸気洗浄後のウェルド外観に問題が
あり、一方、80重量%を超えたものを用いる場合には低
温衝撃性、及び成形加工性(離型性)に問題が生じる。
【0034】<成分D>本発明の樹脂組成物に用いられ
る成分Dは、常法により製造されるメルトフローレート
(190 ℃、2.16kg荷重) 10〜50g/10分、好ましくは20
〜40g/10分のリニアローデンシティ ポリエチレン樹
脂であって、中低圧法により得られるエチレンと直鎖α
−オレフィンの共重合体である低密度、中密度ポリエチ
レン樹脂が挙げられる。
【0035】コ−モノマーである直鎖α−オレフィンと
しては、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オ
クテン−1などが挙げられる。
【0036】メルトフローレートが10g/10分未満のも
のを用いる場合には、得られる成形体のTCE蒸気洗浄
後のフローマークの発生が著しく悪化し、一方、50g/
10分を超えたものを用いる場合には、低温衝撃強度が低
下する。
【0037】成分Dの配合割合は、3〜15重量%、好ま
しくは5〜10重量%である。配合割合が15重量%を超え
る場合、TCE蒸気洗浄後の成形品のウェルド外観が著
しく悪化し、一方3重量%未満の場合、TCE蒸気洗浄
後の成形品のフローマーク外観が著しく悪化する。
【0038】本発明の樹脂組成物は上記の成分A〜成分
Dからなることを特徴とするものである。ここで「から
なる」ということは、挙示の成分(A,B,Cおよび
D)の外に、本発明の趣旨を損なわない限り、補助成分
(詳細後記)を含んでもよいことを示すものである。
【0039】即ち、本発明の樹脂組成物は、前記成分A
〜D以外に通常の樹脂材料に一般的に配合される顔料、
安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤等の各種添
加剤を目的に応じて添加することができる。また一般に
ゴム用軟化剤として使用されているプロセスオイル又は
エクステンダーオイルと呼ばれている鉱物油系軟化剤や
さらに無機フィラー等も本発明の効果を著しく損なわな
い範囲で添加できる。
【0040】本発明の樹脂組成物は、上記配合成分から
成るものであり、衝撃吸収の為の適度な柔軟性と低温衝
撃性を有するものであって、配合物はメルトフローレー
ト5〜30、スエル2.0 以上で且つJIS−K7203による
曲げ弾性率が3,000 〜7,000kg/cm2 であり、従って各
種成形品の成形に、特に自動車用部品の成形に適し、例
えば射出成形により自動車の外装部品等の成形に用いら
れる。
【0041】〔2〕成分A〜Dの配合方法及び成形 本発明の樹脂組成物は、前記成分A〜D(および必要に
応じて他の成分)を通常前述の配合割合の範囲内でバン
バリーミキサー、ニーダー、1軸押出機、2軸押出機等
通常の混練機にてブレンドし、好ましくはその後常法に
て射出成形により成形される。
【0042】このようにして得られる射出成形体は、例
えば、バンパー、フェイシア、フェンダーエアーダム、
エアースポイラー、モール、フロントグリル、ドアガー
ニッシュ等の自動車外装部材などとして使用される。こ
のため一定の曲げ弾性率(JIS−K7203により測定)
を有していることが重要である。即ち、上記各成分A〜
Dの各配合割合は、上記範囲内において、本発明の要件
の一つである上記曲げ弾性率が3,000 〜7,000 kg/c
m2 、好ましくは4,000 〜6,500 kg/cm2 になるように
選ぶことが望ましい。自動車用外装部材として使用する
際、曲げ弾性率が3,000 kg/cm2 未満ではあまりに柔ら
かすぎて成形時の取り出し、塗装、部材の取付けにおい
て問題を生じる。一方、7,000 kg/cm2 を超える場合に
は、衝撃吸収、変形回復性、車体への損傷性等における
性能が低下をきたす。
【0043】
【実施例】本発明を次の実施例および比較例により具体
的に説明する。以下の実施例および比較例において各種
の評価に用いられた試験法は以下の通りである。
【0044】(評価) (1)曲げ弾性率 後記の成形条件で調整された幅10mm、厚さ4mm、長さ
90mmの射出成形品を用いJIS−K7203準拠で測定し
た。 (2)メルトフローレート(MFR) JIS−K7210準拠、230 ℃、2.16kg。 (3)スエル ノズル直径0.5mm 、長さ5mmを有するフローテスターを
用い炉温度200 ℃、シェアレート2,000sec-1で押出した
溶融樹脂のノズル下10mmの位置での直径を測定し、これ
をノズル直径で除する。 (4)IZOD衝撃強度 後記の成形条件で調整された幅4mm、厚さ12.5mm、長
さ64mmで、長さ方向の中心に角度45°、深さ2.54mm、先
端0.25mmRのV字形切欠き付きの射出成形品を用いJI
S−K7110準拠で−40℃雰囲気にて測定した。 (5)TCE洗浄後の成形品外観 後記成形条件で調整したバンパー状射出成形体を1,
1,1−トリクロルエタンの蒸気洗浄槽を用いて30秒間
蒸気中に放置後取り出してフローマーク、ウェルドを下
記方法によって評価、判定した。 (イ)評価方法 フローマーク:目視 ウェルド(長さ):JIS1級30cm定規 (深さ):表面粗さ計 (ロ)評価箇所 フローマーク:図1に示すバンパー無塗装部1の上面部
3、サイド部4。 ウェルド長さ;深さ:図1に示すサイドランプ部ウェル
ド発生点から10mmの位置5。
【0045】(判定基準) (1)曲げ弾性率 3,000 〜7,000
kg/cm2 (2)IZOD衝撃強度(−40℃) 5.0 kg・cm/cm
以上 (3)TCE洗浄後の外観 (実用可否 ○印:可 ×印:不可) (イ)フローマーク(5段階評価)
【外1】 (ロ)ウェルド長さ 140mm ≦:× 130mm ≧:○ (ハ)ウェルド深さ 4μ≦:× 3μ≧:○
【0046】実施例1〜3および比較例1〜6 構成成分 実施例及び比較例で用いた成分A,B,C,Dは以下の
表1〜4に示す通りのものである。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】配合及び成形 配合成分A,B,C,Dについて表6の配合に従いヘン
シェル型ミキサーにてブレンドし、その後45mm径2軸押
出機にて200 ℃にて溶融混練してペレットを得た。この
ペレットを用い表5の成形条件およびにて射出成形
し、曲げ弾性率、IZOD衝撃強度測定用(実施例1〜
3、比較例1〜6)の成形品および図1に示すバンパー
形状成形体の評価用サンプルを調整した。評価した結果
を表6に示す。
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の低剛
性タイプの熱可塑性軟質樹脂組成物から例えば射出成形
により得られたバンパーはTCE洗浄後の外観(フロー
マーク、ウェルド)が大幅に改良されたものであり、か
つ衝撃吸収性を有する為の適度な柔軟性と低温衝撃強度
に良好な性能バランスを有するものである。とりわけバ
ンパーの無塗装部分のフローマークが目だたないという
良好な成形体外観を特色とするものである。この特色が
表6からも明らかなように本発明の成分Aと成分B及び
成分Cと成分Dを必須成分として組合せたことにより達
成出来るということは、予想外のものであったと解され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例で作成したバンパー形状成
形体の斜視図である。
【符号の説明】
1 無塗装部 2 塗装部 3 バンパー上面部のフローマーク評価箇所 4 バンパーサイド部のフローマーク評価箇所 5 バンパーウェルド外観評価箇所
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 義治 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化 株式会社 四日市総合研究所内 (56)参考文献 特開 平2−29443(JP,A) 特開 昭62−112644(JP,A) 特開 平2−229846(JP,A) 特開 平1−271451(JP,A) 特開 昭64−16848(JP,A) 特開 昭63−39942(JP,A) 特開 昭62−151446(JP,A) 特開 平4−62117(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 53/00 - 53/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分A:メルトフローレート(230 ℃、
    2.16kg荷重)20〜100 g/10分、スエル(ノズル直径0.
    5mm 、長さ5mmを有するフローテスターを用い炉温度20
    0 ℃、シェアレート2,000sec-1で押出した溶融樹脂のノ
    ズル下10mmの位置での直径を測定し、これをノズル直径
    で除した値)2.3 以上、エチレン含量1〜10重量%のプ
    ロピレンブロック共重合体樹脂50〜70重量%と、 成分B:バナジウム系触媒を用いて重合されたML1+4
    100 ℃15〜40、プロピレン含量30〜60重量%のエチレン
    ・プロピレン共重合体ゴム10〜20重量%と、 成分C:チタン系触媒を用いて重合されたML1+4 100
    ℃20〜60、プロピレン含量30〜80重量%のエチレン・プ
    ロピレン共重合体ゴム10〜20重量%と、 成分D:メルトフローレート(190 ℃、2.16kg荷重)10
    〜50g/10分のリニアロ−デンシティ ポリエチレン樹
    脂3〜15重量%とからなり、配合物のメルトフローレー
    ト5〜30、スエル2.0 以上で且つJIS−K7203による
    曲げ弾性率が3,000 〜7,000 kg/cm2 であることを特徴
    とする熱可塑性軟質樹脂組成物。
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