JP3123773B2 - 有機半導体固体電解コンデンサ - Google Patents

有機半導体固体電解コンデンサ

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JP3123773B2 JP03141968A JP14196891A JP3123773B2 JP 3123773 B2 JP3123773 B2 JP 3123773B2 JP 03141968 A JP03141968 A JP 03141968A JP 14196891 A JP14196891 A JP 14196891A JP 3123773 B2 JP3123773 B2 JP 3123773B2
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勝則 水富
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  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は固体電解質として、7、
7、8、8−テトラシアノキノジメタンの錯塩(以下、
TCNQ錯塩と略す。)を用いた有機半導体固体電解コ
ンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電解質としてTCNQ錯塩を用いた有機
半導体固体電解コンデンサに関しては、本願出願人が既
に種々提案している。すなわち、特開昭58−1914
14号(H01G 9/02)等に開示されているN位
をアルキル基で置換したイソキノリンとのTCNQ錯塩
を用いた固体電解コンデンサは、特に優れた高周波特性
を持っているため、スイッチング電源用などに広く採用
されているが、近年、機器の小型化の必要性から、この
種のコンデンサも表面実装用部品(チップ部品)として
の対応を迫られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術によるコンデンサにおいては、表面実装用部品
として必須の、半田付け時の熱ストレス(通常230
℃)には耐えられず、著しい漏れ電流増大等の特性劣化
を招くという欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の従来技術の欠点を
解決するため、本発明は、陽極酸化あるいは陽極化成に
より表面に酸化被膜を設けた弁作用を有する金属上に主
として7、7、8、8−テトラシアノキノジメタンの錯
塩からなる固体電解質層を形成した有機半導体固体電解
コンデンサにおいて、前記固体電解質の組成に重量平均
で分子量11,000以下の低重合体中分子ポリマーを含むこ
とを特徴とするものであるる。
【0005】また、前記中分子ポリマーはポリオレフィ
ンであることを特徴とするものであり、さらには、ポリ
オレフィンはポリエチレンとポリプロピレンのうちの少
なくとも1つを含むことを特徴とするものである。
【0006】
【作用】分子量11,000以下の低重合体中分子ポリマー
は、溶融温度および溶融粘度が低く、常温では固体の物
質である。中でもポリオレフィンとりわけポリエチレ
ン、ポリプロピレンは、150℃前後の温度で粘度70c
ps程度まで軟化溶融する物理的特性を有する物質であ
る。中分子ポリマーは不飽和炭化水素であるため、分子
内に炭素二重結合を少なくとも1個有しており、不飽和
結合への活性水素などによる付加反応、あるいは不飽和
結合へのラジカル重合反応が非常に生じやすい状態にあ
る物質である。
【0007】本発明による有機半導体固体電解コンデン
サでは、このような性質を有する中分子ポリマーを固体
電解質組成内に導入し、これにより酸化被膜欠損部上の
導電体が絶縁化され、漏れ電流が低減される。
【0008】たとえば、ポリオレフィンの場合、基本的
な反応形態は次式のように示される。
【0009】
【化1】
【0010】酸化被膜欠損部分においては、漏れ電流の
ジュール熱により固体電解質内の中分子ポリマーは溶融
し、分子運動論的により自由度の高い液状へと変化す
る。TCNQ錯塩からは熱分解により活性水素を有する
分子およびラジカルなどが分子内より放出され、これら
によって、上式で示されるポリマリゼーションが進行
し、その部分での半導体の電子伝導性を破壊(絶縁化)
し、漏れ電流を低減するものと思われる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は本
発明に使用するコンデンサ素子を示す。まず、高純度
(99.99%以上)のアルミニウム箔を化学的処理に
より粗面化し、実効表面積を増加させるためのいわゆる
エッチング処理を行う。次に電解液中にて、電気化学的
にアルミニウム箔表面に酸化被膜(酸化アルミニウムの
薄膜)を形成する(化成処理)。次にエッチング処理、
化成処理を行ったアルミニウム箔を陽極箔1とし、対向
陰極箔2との間にセパレータ3としてマニラ紙をはさ
み、図1に示すように円筒状に巻き取る。このように、
アルミニウム箔に酸化被膜を形成した陽極箔1と陰極箔
2との両電極箔間にセパレータ3を巻回して、コンデン
サ素子6が形成される。なお、4、4’はアルミリー
ド、5、5’はリード線である。
【0012】次に、コンデンサ素子6に熱処理を施し、
セパレータ3を構成するマニラ紙を炭化することによっ
て、繊維の細径化による密度の低下を図る。なお、セパ
レータとして、マニラ紙をあらかじめ所定の温度と時間
(例えば240℃、40分)で熱処理を施して炭化した
ものや、カーボン不織布を用い、陽極箔と陰極箔との間
にはさんで巻回してもよい。
【0013】続いて、TCNQ錯塩(例えばN、N-ペ
ンタメチレンルチジウム2・TCNQ4とN-フェネチルル
チジウム・TCNQ2の等量混合物)とその錯塩の2重量
部の重量平均で、分子量11,000以下の中分子ポリマー、
例えばポリエチレンあるいはポリプロピレンを均一にな
るように混合する。
【0014】その後、上記の混合物をアルミケース内に
て300℃で加熱融解させ、予熱していた化成・炭化処
理済みのコンデンサ素子6を含浸させ、すぐに急冷し固
化させる。
【0015】そして最後に、図2に示すようにアルミケ
ース7の開口部を樹脂9にて外装し、電圧処理(エージ
ング)を行い、目的とするコンデンサを完成させる。な
お、8は中分子ポリマーを含んだTCNQ錯塩である。
【0016】表1は、本発明による有機半導体固体電解
コンデンサと、中分子ポリマーを含まずそれ以外は本発
明品と同様に製作した従来の有機半導体固体電解コンデ
ンサの、半田付け時の熱を想定したリフロー試験(16
0℃×2分+230℃×30秒のリフロー炉)前後の漏
れ電流の特性を示したものである。
【0017】
【表1】
【0018】表1において(A)(B)(C)は定格1
6V、3.3μFのコンデンサであり、(D)(E)
(F)は定格25V、3.3μFのコンデンサである。
また、(A)(B)(D)(E)は本発明品であり、
(A)(D)は中分子ポリマーとしてポリエチレンを、
(B)(E)はポリプロピレンをそれぞれ使用したもの
である。(C)(F)は従来品である。なお、各特性値
は試料10個の平均値である。
【0019】表1から本発明品は従来品に比べリフロー
試験後においても良好な漏れ電流特性を有していること
が分かる。
【0020】
【発明の効果】上述のように本発明は、TCNQ錯塩よ
りなる固体電解質の組成に重量平均で分子量11,000以下
の低重合体中分子ポリマーを含むことを特徴とする有機
半導体固体電解コンデンサであり、本発明によれば半田
付け後においても漏れ電流特性の極めて優れた有機半導
体固体電解コンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるコンデンサ素子を示す斜視図で
ある。
【図2】本発明の有機半導体固体電解コンデンサの断面
図である。
【符号の説明】
1 陽極箔 2 陰極箔 3 セパレータ 4、4’ アルミリード 5、5’ リード線 6 コンデンサ素子 7 アルミケース 8 中分子ポリマーを含むTCNQ錯塩 9 樹脂

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極酸化あるいは陽極化成により表面に
    酸化被膜を設けた弁作用を有する金属上に主として7、
    7、8、8−テトラシアノキノジメタンの錯塩からなる
    固体電解質層を形成した有機半導体固体電解コンデンサ
    において、前記固体電解質の組成に重量平均で分子量1
    1,000以下の低重合体中分子ポリマーを含むことを特徴
    とする有機半導体固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記中分子ポリマーはポリオレフィンで
    ある請求項1記載の有機半導体固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記ポリオレフィンはポリエチレンとポ
    リプロピレンのうちの少なくとも1つを含む請求項2記
    載の有機半導体固体電解コンデンサ。
JP03141968A 1991-06-13 1991-06-13 有機半導体固体電解コンデンサ Expired - Fee Related JP3123773B2 (ja)

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