JP3123518B2 - 田植機の植付部昇降制御装置 - Google Patents

田植機の植付部昇降制御装置

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JP3123518B2
JP3123518B2 JP10240342A JP24034298A JP3123518B2 JP 3123518 B2 JP3123518 B2 JP 3123518B2 JP 10240342 A JP10240342 A JP 10240342A JP 24034298 A JP24034298 A JP 24034298A JP 3123518 B2 JP3123518 B2 JP 3123518B2
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玉井  利男
塩崎  孝秀
建之 大内
神谷  寿
隆 鈴木
岡田  卓也
満孝 和泉
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機体に対して植付
部が昇降可能に支持された田植機の植付部昇降制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、従来の乗用田植機は、植付部
を昇降作動させるレバーの操作位置が、植付部を表土面
から一定高さに維持する「植付位置」、植付部を上昇さ
せる「上げ位置」、植付部を下降させる「下げ位置」、
植付部を一定位置に固定する「固定位置」の4位置から
なっていた。よって、非作業時に植付部を任意位置に昇
降させようとする場合、レバーを「上げ位置」もしくは
「下げ位置」に操作して植付部を昇降作動させ、タイミ
ングを見計らってレバーを「固定位置」に操作して植付
部の昇降作動を停止させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】圃場内での植付作業時
は、レバーを「植付位置」にしての表土追従制御状態と
なる。しかしながら、圃場端部で機体を旋回させる際に
は、植付部を作業位置から非作業位置へ上昇、並びに非
作業位置から作業位置へ下降させる動作を伴う。植付部
の上げの場合はレバーを「植付位置」から「上げ位置」
まで操作し、植付部の下げの場合はレバーを「上げ位
置」から「植付位置」まで操作しなければならないの
で、レバー操作量が大きくて操作性が悪く、しかもその
レバー操作中はハンドル操作を片手で行わねばならない
ので操縦性が悪くなるという問題点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するために、まず、請求項1に記載したように、機
体に対して植付部4が昇降可能に支持された田植機の植
付部昇降制御装置において、植付部4の上下高さを適当
な位置に上下調節する操作と植付部4への伝動を入り切
りする操作とを行う第一操作具60を設けるとともに、
該第一操作具60をその操作範囲内の設定位置に位置さ
せたときに植付部4を作業位置と非作業位置とに上下す
る操作と植付部4への伝動を入り切りする操作とが行え
る第二操作具61とを設けたことを特徴とする田植機の
植付部昇降制御装置とし、また、請求項2に記載したよ
うに、第二操作具61をハンドル33の近傍に設けたも
のとした請求項1記載の田植機の植付部昇降制御装置と
したものである。
【0005】
【発明の作用及び効果】本発明にかかる田植機の植付部
昇降制御装置は、水田外で移動するときには、第一操作
具60を操作して、植付部4の上下高さを適当な位置に
上下調節でき、水田内で作業するときは、第一操作具6
0をその操作範囲内の設定位置に位置させれば、その後
は、第二操作具61で、機体旋回時等における植付部4
の作業位置と非作業位置との上げ下げと植付部4への伝
動の入り切りとが、容易に操作できて、操作性の高いも
のとなった。また、第二操作具61をハンドル33の近
傍に設けることで、更に操作性の高いものとなった。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例として、
乗用田植機の植付部昇降制御装置について説明する。こ
の乗用田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置
3を介して植付部4を昇降可能に装着した構成となって
いる。また、走行車体2の後部で植付部4の前側に各植
付条の近傍に施肥する施肥装置5の肥料タンク5a及び
肥料繰出部5b…等が配設されている。
【0007】走行車体1は四輪駆動車両であり、駆動輪
である左右一対の前輪6,6及び後輪7,7を備えてい
る。機体の前部に配したミッションケース8の左右側面
部に前輪アクスルケース9,9が固着して設けられ、さ
らに該前輪アクスルケースの外端部に前輪ファイナルケ
ース10,10が固着して設けられ、その前輪ファイナ
ルケースの下部から外向きに突出する前輪車軸6a,6
aに前輪6,6が取り付けている。ミッションケース8
内の動力が前輪アクスルケース9,9と前輪ファイナル
ケース10,10内の伝動機構により伝達されて、前輪
6,6が駆動回転するようになっている。
【0008】また、ミッションケース8の背面部には左
右一対のメインフレーム11,11の前端部が固着さ
れ、さらにメインフレーム11,11の後端部には横フ
レーム12が固着されている。そして、横フレーム12
の左右中央部に軸心が前後水平に向いた後輪ローリング
軸13aが固定状態で嵌合させてあり、該後輪ローリン
グ軸の突出部に後輪フレーム13がローリング自在に支
持されている。この後輪フレーム13の左右端部に後輪
ギヤケース14,14が一体に設けられ、その後輪ギヤ
ケースの外側部から外向きに突出する後輪車軸7a,7
aに後輪7,7が取り付けられている。ミッションケー
ス8内の動力が後輪伝動軸14a,14aによって左右
の後輪ギヤケース14,14へ伝動され、後輪7,7が
駆動回転するようになっている。
【0009】エンジン20はメインフレーム11,11
の上に搭載されている。エンジン20の回転動力は、エ
ンジン出力軸20aから油圧式前後進無段変速装置(H
ST)21の入力軸21aへ第一ベルト伝動装置22で
伝動され、さらに、前後進無段変速装置21によって変
速後の回転動力が、HST第一出力軸21bからミッシ
ョン入力軸8aへ第二ベルト伝動装置23で伝動される
とともに、HST第二出力軸21cから油圧ポンプ2
4,24′の駆動軸24aへ第三ベルト伝動装置25で
伝動される。また、エンジン20の回転動力は、第四ベ
ルト伝動装置26によりオルタネータ27へも伝動され
る。
【0010】ミッションケース8に入力された回転動力
は、主変速装置によって変速した後、走行系動力と植付
部駆動系動力とに分けられ、走行系動力により前輪車軸
6a,6a及び後輪車軸7a,7aを駆動するととも
に、植付部駆動系動力により植付部4及び施肥装置5を
駆動する。植付部駆動系には、植付部への伝動を入り切
りする植付クラッチ29が設けられている。
【0011】操縦座席30はエンジン20の上側を覆う
エンジンカバー31の上に設置されている。そして、操
縦座席30の前方のフロントカバー32の上方に操縦ハ
ンドル33が設けられている。また、フロントカバー3
2及び操縦座席30の周辺部に、操作パネル、各種操作
レバー、各種操作ペダル等が設けられている。エンジン
カバー31及びフロントカバー32の下部の周りは水平
状のフロアステップ37となり、その上を操縦者が歩行
等をすることができるようになっている。さらに、機体
の側部には、フロアステップ37に昇降するための昇降
ステップ38,38が設けられている。
【0012】昇降リンク装置3は平行リンク構成であっ
て、1本の上リンク40及び左右一対の下リンク41,
41を備えている。これらリンク40,41,41は、
その基部側がメインフレーム11,11の後端部に立設
したリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けら
れ、その先端側に縦リンク43が連結されている。縦リ
ンク43には植付部4をローリング自在に連結するため
のローリング軸43aが設けられている。メインフレー
ム11,11に固着した支持部材(図示せず)と上リン
ク40に一体形成したスイングアーム44の先端部との
間に昇降作動用油圧シリンダ45が介装されており、該
シリンダを油圧で伸縮させることにより、上リンク40
が上下に回動し、縦リンク43に装着した植付部4がほ
ぼ一定姿勢のまま昇降する。なお、油圧シリンダ45は
後記電磁制御弁57によって制御される。
【0013】植付部4は6条植えの構成となっていて、
フレームを兼ねる伝動ケース50に、6条分の苗を載せ
ておく苗載台51と、該苗載台上の苗を圃場面に植え付
ける6組の植付装置52,…等が組み付けられている。
植付部4の下部には、左右中央にセンターフロート54
が、その左右両側に一対のサイドフロート55,55が
それぞれ前端部側が上下動可能な状態で設けられてい
る。各フロートが泥面に接地した状態では、機体重量の
一部がこの接地部で受けられる。各フロートを接地させ
た状態で機体を進行させると、フロートが泥面を整地し
つつ滑走する。
【0014】施肥装置5は、肥料を入れておく肥料タン
ク5aと該肥料タンク内の肥料を一定量づつ順次下方に
繰り出す肥料繰出部5b…とを走行車体1の後部に設
け、該肥料繰出部から繰り出される肥料を、フレキシブ
ルな施肥ホース5c,…を介して、フロート54,5
5,55に取り付けた施肥体5d…に導くようになって
いる。施肥体5d…の前側には、植付条の側部近傍に施
肥用の溝を形成する作溝具5e…が設けられている。
【0015】この田植機の油圧回路は図4のように構成
されている。すなわち、2つの油圧ポンプ24,24′
が設けられていて、一方の油圧ポンプ24から送り出さ
れる圧油は植付部昇降用の電磁制御弁57に供給され、
他方の油圧ポンプ24′から送り出される圧油はパワス
テ用トルクジェネレータ58に供給されるとともに、油
圧式前後進無段変速装置21に供給される。
【0016】水田内での作業時には、各フロート54,
55,55が接地する位置まで植付部4を下げ、植付ク
ラッチ29を「入り」にする。また、路上走行時や水田
内で機体を旋回させる時には、植付部4を適当高さまで
上げ、植付クラッチ29を「切り」にする。これらの植
付部4の上げ下げ操作及び植付クラッチ29の入り切り
は、第一操作具であるモード切替レバー60と第二操作
具である植付部上下・植付クラッチ切替レバー61を併
用して操作する。
【0017】モード切替レバー60は、操縦座席30の
右側部に設けられていて、図8に示すレバーガイド62
に沿って操作するようになっている。「ポジションモー
ド」は非作業時に植付部を昇降させるためのモードで、
この操作範囲内ではモード切替レバー60の操作位置に
応じて植付部4の位置が決まるポジション制御になると
ともに、植付クラッチが「切り」になる。「作業時操作
モード」は水田内での植付作業時のモードで、植付部を
表土面に対して一定高さに維持する表土追従制御になる
とともに、植付クラッチが「入り」になる。また、「作
業時操作モード」では、植付部上下・植付クラッチ切替
レバー61のレバー操作で、植付部の上げ下げ及び植付
クラッチの入り切りを切り替えることができる。「異常
時操作モード」は植付クラッチ切替用の電装関係に異常
が生じた時のモードで、植付部の昇降に関しては「作業
時操作モード」と同じで、植付クラッチはメカ的に「入
り」になる。
【0018】レバーガイド62の「作業時操作モード」
位置には凹部62aが形成され、該位置に操作されたモ
ード切替レバー60はスプリングに付勢されてその凹部
62aに係合する。よって、「作業時操作モード」位置
でモード切替レバー60が安定するようになっている。
また、レバーガイド62を図9に示すようにクランク状
にしてもよい。スプリングによってモード切替レバー6
0を「異常時操作モード」操作部側に付勢し、「作業時
操作モード」位置と「異常時操作モード」位置の間にモ
ード切替レバー60の移動に抵抗を与える障害物62b
を設けてあり、モード切替レバー60を「作業時操作モ
ード」位置に正確かつ安定状態で操作することができる
とともに、異常時以外にほとんど操作することのない
「異常時操作モード」位置にモード切替レバー60を誤
操作することを防止している。
【0019】植付部上下・植付クラッチ切替レバー61
は、図10、図11に示すようにハンドル33の近傍に
設けられていて、指操作により中立位置Nから上下に回
動させられ、指を離すと中立位置Nに自動復帰するよう
になっている。上側の植付部上下切替位置Aに操作する
と、植付部上下切替スイッチSW−UDが切り替わり、
植付部が上げ状態の場合は植付部が下降し、植付部が下
げ状態の場合は植付部が上昇する。また、下側の植付ク
ラッチ切替位置Bに操作すると、植付クラッチ切替スイ
ッチSW−PCが切り替わり、植付クラッチが「切り」
状態の場合は植付クラッチが「入り」になり、植付クラ
ッチが「入り」状態の場合は植付クラッチが「切り」に
なる。
【0020】次いで、植付部昇降制御装置について具体
的に説明する。図12はその構成を示す図である。な
お、植付部昇降制御を司る制御装置(マイコン)MC
は、該植付部昇降制御の他に、植付部のローリング制御
も行い、図12には両制御系が一括して表示されてい
る。モード切替レバー60の支軸64にはレバー位置決
めカム65が取り付けられており、該カムのカム面65
aにローラ支持アーム66に支持されたカムローラ67
が接当している。モード切替レバー60が「ポジション
モード」及び「作業時操作モード」にある時は、カムロ
ーラ67がカム面65aの円周状部分に接当するため、
モード切替レバー60の操作が円滑に行われるが、モー
ド切替レバー60が「異常時操作モード」にある時は、
カムローラ67がカム面65aの凹部に嵌り込み、安定
状態で位置決めされる。モード切替レバー60の操作位
置は、ポテンショメータPM1で検出する。なお、図中
の68はカムローラ67をレバー位置決めカム65側に
押し付けるようローラ支持アーム66を付勢するスプリ
ングである。
【0021】また、支軸64には植付クラッチカム70
が取り付けられており、該カムのカム面70aにローラ
支持アーム71に支持されたカムローラ72が接当する
ようになっている。モード切替レバー60を「ポジショ
ンモード」及び「作業時操作モード」に操作すると、ロ
ーラ支持アーム71がスプリング73に引かれて植付ク
ラッチピン29aを押し込み、植付クラッチ「切り」に
なる。モード切替レバー60を「異常時操作モード」に
操作すると、植付クラッチカム70がカムローラ72を
押し下げることによりローラ支持アーム71が回動して
植付クラッチピン29aを引き出し、植付クラッチ「入
り」になる。
【0022】「作業時操作モード」における植付クラッ
チ入り切り操作は電動モータMPCで行う。電動モータM
PCによってワイヤ74が引き伸ばしするようになってい
て、ワイヤ74を引き作動させると、モード切替レバー
60を「異常時操作モード」に操作した時と同様にロー
ラ支持アーム71が回動し、植付クラッチ「入り」にな
る。植付クラッチ29の入り切り状態は、ローラ支持ア
ーム71によりON/OFF切替される植付クラッチ入
り切りスイッチSW−Cで検出する。
【0023】また、植付部昇降制御用の検出機器とし
て、上リンク40の角度を検出するリンクセンサ75、
表土面の凹凸を検出する接地体であるセンターフロート
54の迎え角を検出する迎え角センサ76、植付部4が
昇降可能範囲の上限にあるとONになる植付部上げ検出
スイッチSW−Uが設けられている。植付部昇降制御は
図13の手順で行う。すなわち、モード切替レバー60
の操作位置をポテンショメータPM1で読み取り、「ポ
ジションモード」である場合は、セフティ状態でない時
に限りポジション制御を行い、「作業時操作モード」も
しくは「異常時操作モード」である場合は、セフティ状
態でなく、かつ植付部上下・植付クラッチ切替レバー6
1の植付部上下切替スイッチSW−UDがONでない時
に限り表土追従制御を行う。「作業時操作モード」もし
くは「異常時操作モード」で、植付部上下切替スイッチ
SW−UDがONである場合は、表土追従制御に優先し
て、植付部が上げ状態の場合は植付部が下降して表土追
従制御状態となり、植付部が下げ状態の場合は植付部上
げ検出スイッチSW−UがONになる最大リフト位置ま
で植付部が上昇する。
【0024】ここで、セフティ状態とは、キースイッチ
SW−KがOFFからONに切り替わった時は植付部の
昇降を規制する状態を云う。このセフティ状態は、「ポ
ジションモード」である場合はモード切替レバー60を
ポジションモード領域の最上位まで操作すると解除さ
れ、「作業時操作モード」もしくは「異常時操作モー
ド」である場合は植付部上下・植付クラッチ切替レバー
61で植付部上下切替スイッチSW−UDをONにする
と解除される。
【0025】ポジション制御については、モード切替レ
バー60のポテンショメータPM1の値(目標値)と、
リンクセンサ75のポテンショメータPM2の値(実測
値)の差分を算出し、その差分が不感帯内に収まるよう
に電磁制御弁57に出力指令を出して植付部4を昇降さ
せる。表土追従制御については、迎え角設定器(図示せ
ず)で設定される迎え角の目標値と、迎え角センサ76
のポテンショメータPM3の値(実測値)の差分を算出
し、その差分が不感帯内に収まるように電磁制御弁57
に出力指令を出して植付部4を昇降させる。
【0026】植付部昇降制御装置は以上の構成で、実際
の運転に際してはモード切替レバー60と植付部上下・
植付クラッチ切替レバー61を以下の要領で操作する。
主に、田植え作業をせずに水田外において移動する時
は、モード切替レバー60を「ポジションモード」の領
域に移動させて、植付部4の上下高さを適当な位置に上
下調節する。モード切替レバー61の操作位置に対応し
て植付部4が上下に位置変更する。
【0027】通常の田植え作業を行う時は、モード切替
レバー60で「作業時操作モード」に切り替え、表土追
従制御による自動昇降制御を行う。旋回時には、植付部
上下・植付クラッチ切替レバー61で植付部4を最大リ
フト位置まで上昇させる(植付部上下切替スイッチSW
−UDをON)とともに、植付クラッチ29を「切り」
にする(植付クラッチ切替スイッチSW−PCをO
N)。そして、旋回終了後、植付部上下・植付クラッチ
切替レバー61で植付部4を作業位置まで下降させる
(植付部上下切替スイッチSW−UDをON)ととも
に、植付クラッチ29を「入り」にする(植付クラッチ
切替スイッチSW−PCをON)。よって、水田内に入
ってから作業を終えて水田から出るまで、特別な場合を
除いて「作業時操作モード」であり、モード切替レバー
60を操作する必要がない。旋回時の植付部上げ下げは
指操作式の植付部上下・植付クラッチ切替レバー61で
行うので、操作が極めて容易である。
【0028】水田内で「ポジションモード」にする特別
な場合として、次のような場合がある。「ポジションモ
ード」で植付部4を接地状態に調節し、その位置に植付
部4を固定したまま走行させると、表土を均平しながら
植付けを行うことができる。また、圃場の端まで植付け
を行いながら水田から脱出する場合、「ポジションモー
ド」で機体の前後傾斜に合わせて植付部4を徐々に走行
車体2に対して上昇させればよい。
【0029】植付クラッチ入り切り操作用電動モータM
PCの故障等で植付部上下・植付クラッチ切替レバー61
による植付クラッチ29の入り切り作動が不能となった
場合、モード切替レバー60を「異常時操作モード」に
すると植付クラッチ29がメカ的に「入り」状態にな
り、「作業時操作モード」にすると植付クラッチ29が
「切り」状態になる。水田内で使用する田植機は泥水等
を被ることにより電装部品の故障が起こりやすい状況に
あるが、「異常時操作モード」を設けておくことによ
り、そのような故障が起きても田植え作業を続行するこ
とができる。
【0030】田植機を始動する時、キースイッチSW−
KをONにするとセフティ機能が働き、モード切替レバ
ー60の操作位置と実際の植付部位置とが違っていて
も、植付部4が昇降作動せず安全である。モード切替レ
バー60をポジションモード領域の最上位まで操作する
とセフティ機能が解除され、ポジション制御状態とな
る。
【0031】また、水田内に田植機を停車させて作業を
中断した場合等は、「作業時操作モード」になっている
ので、キースイッチSW−KをONした後、植付部上下
・植付クラッチ切替レバー61で植付部上下切替スイッ
チSW−UDをONにするだけでセフティ機能が解除さ
れる。さらに、制御装置MCを介さず手動で電磁制御弁
57を駆動する植付部上下手動スイッチSW−UDMも
設けられている。このため、制御装置MCが何らかの原
因で動作しなくなっても、手動操作により植付部4を昇
降させることができる。
【0032】なお、本実施例では、植付部上下切替スイ
ッチSW−UDと植付クラッチ切替スイッチSW−PC
のON/OFFを共通の植付部上下・植付クラッチ切替
レバー61で操作するようにしているが、両スイッチを
それぞれ別のレバーで操作するようにしてもよく、また
レバーではなくボタンスイッチとしてもよい。次に、ロ
ーリング制御系について説明する。
【0033】植付部4はローリング軸43a回りにロー
リング自在に支持され、左右中心に設けたローリングア
ーム80と苗載台フレーム51a,51aをスプリング
81,81で結び、植付部4が弾力的に左右中立位置に
保持している。ローリングアーム80にはギヤ80aが
形成されており、そのギヤにローリングモータMR で回
転させるピニオン82が噛合している。よって、ローリ
ングモータMR でピニオン82を回転させると、ローリ
ングアーム80が回動し、植付部4の左右傾斜が調節さ
れる。ローリングアーム80の角度はポテンショメータ
PM4で検出し、植付部4の左右傾斜は水平センサ83
で検出する(図14)。
【0034】一方、操作パネルには、植付部の目標左右
傾斜を設定する傾き調整ダイヤル85と、植付部の左右
傾斜調節を手動操作で行う手動スイッチ86が設けられ
ている(図15)。常時は、傾き調整ダイヤル85で設
定される左右傾斜(通常は水平)となるようローリング
自動制御する。その制御方法は、水平センサ83と傾き
調整ダイヤル85からの入力信号に基づき、ローリング
モータMR に出力する。
【0035】畦際等で植付部4を走行車体2に対して左
右に傾斜させた状態で植付けを行う場合は、手動スイッ
チ86を操作して植付部4を任意の左右傾斜にする。手
動スイッチ操作した場合は、前記ローリング自動制御が
切れ、その任意の左右傾斜で固定される。その後、植付
部上下・植付クラッチ切替レバー61を植付部上げ操作
もしくはモード切替レバー60をポジションモード領域
の最上部まで操作して植付部4が最大リフト状態となる
と、ローリング自動制御が復帰する。
【0036】また、ローリング制御用センサ(水平セン
サ83)に断線等の異常が発生した時は手動操作状態を
保持するようになっているので、上記センサ異常により
ローリング自動制御が不能になっても、手動によるロー
リング調整によって作業を続行することができる。な
お、植付部の左右傾斜の検出機構としては、図16に示
すように、左右のサイドフロート55,55の上下動を
ポテンショメータPM5−L,PM5−Rによって検出
し、両者の検出結果を比較することにより植付部の左右
傾斜を算出する構成としてもよい。
【0037】次に、HST制御系について説明する。前
後進無段変速装置(HST)21はフロントカバー32
の右側部に設けた走行レバー90で操作する。図18に
示すようにレバーガイド91はクランク状で、中立位置
Nを挟んで前側が前進操作域F、後側が後進操作域Bと
なっている。走行レバー90の操作位置とHSTの斜板
角度がポテンショメータPM6,PM7でそれぞれ検出
され、その検出結果に応じて電動シリンダ92でHST
の斜板角度を変えるようになっている。
【0038】ところで、レバーガイド91の〓幅はレバ
ー径よりも若干の余裕が持たせてあるので、走行レバー
90を前進操作域Fから中立位置Nに操作した時と後進
操作域Bから中立位置Nに操作した時とでは、走行レバ
ー90の操作位置にずれdが生じる。したがって、その
操作位置に対して忠実に電動シリンダ92に出力する
と、前進操作域Fから中立位置Nに操作した場合は微速
ではあるが後進になり、また後進操作域Bから中立位置
Nに操作した場合は微速ではあるが前進になる。そこ
で、これを防止するために、出荷段階で中立位置Nを不
揮発性メモリE2 PROMに記憶させ、前記ずれの範囲
内では出力しないように制御している。
【0039】また、前後進無段変速装置21を手動で前
進及び後進に操作できるHST手動操作スイッチ93が
設けられているので、制御装置MCが何らかの原因で動
作しなくなっても、手動操作により機体の走行が可能で
ある。このような電子制御の田植機には制御装置MCと
通信可能なマイコンチェッカ95が設けられており、こ
のマイコンチェッカ95を用いて制御装置MCから正常
な出力信号が出力されているか否かをチェックする。H
ST制御系をチェックする場合、田植機のチェックスイ
ッチ96がONである時のみ出力チェックが可能である
とともに、出力チェック終了時に走行レバー90がどの
位置にあっても走行レバー90を強制的に中立位置Nに
戻すように制御されている(図20)。これにより、停
止時に走行レバー90が前進操作域F或は後進操作域B
に操作されていて、エンジン始動と同時に機体が発進す
ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用田植機の側面図である。
【図2】乗用田植機の平面図である。
【図3】走行車体の伝動部の構成を示す平面図である。
【図4】油圧回路図である。
【図5】モード切替レバーのレバー機構の正面図であ
る。
【図6】図5のS1−S1面である。
【図7】図5のS2−S2面である。
【図8】モード切替レバーのレバーガイドの第一例を示
す図である。
【図9】モード切替レバーのレバーガイドの第二例を示
す図である。
【図10】植付部上下・植付クラッチ切替レバー取付部
の正面図である。
【図11】植付部上下・植付クラッチ切替レバーの構造
を示す図である。
【図12】植付部昇降制御装置のブロック図である。
【図13】植付部昇降制御のフローチャートである。
【図14】ローリング制御系の第一例の構成を示す図で
ある。
【図15】ローリング制御用操作パネルを示す図であ
る。
【図16】ローリング制御系の第二例の構成を示す図で
ある。
【図17】ローリング制御のフローチャートである。
【図18】走行レバーのレバーガイドを示す図である。
【図19】HSTチェックのブロック図である。
【図20】HSTチェックのフローチャートである。
【符号の説明】
MC:制御装置 1:乗用田植機 2:走行車体 3:昇降リンク装置 4:植付部 45:油圧シリンダ 57:電磁制御弁 60:モード切替レバー(第一操作具) 61:植付部上下・植付クラッチ切替レバー(第二操作
具)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大内 建之 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 神谷 寿 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 鈴木 隆 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 岡田 卓也 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 和泉 満孝 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 審査官 西田 秀彦 (56)参考文献 特開 平6−237612(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01C 11/02 A01B 63/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機体に対して植付部4が昇降可能に支持
    された田植機の植付部昇降制御装置において、植付部4
    の上下高さを適当な位置に上下調節する操作と植付部4
    への伝動を入り切りする操作とを行う第一操作具60を
    設けるとともに、該第一操作具60をその操作範囲内の
    設定位置に位置させたときに植付部4を作業位置と非作
    業位置とに上下する操作と植付部4への伝動を入り切り
    する操作とが行える第二操作具61とを設けたことを特
    徴とする田植機の植付部昇降制御装置。
  2. 【請求項2】 第二操作具61をハンドル33の近傍に
    設けた請求項1記載の田植機の植付部昇降制御装置。
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