JP3122566B2 - 光学装置およびその製造方法 - Google Patents

光学装置およびその製造方法

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JP3122566B2
JP3122566B2 JP05250832A JP25083293A JP3122566B2 JP 3122566 B2 JP3122566 B2 JP 3122566B2 JP 05250832 A JP05250832 A JP 05250832A JP 25083293 A JP25083293 A JP 25083293A JP 3122566 B2 JP3122566 B2 JP 3122566B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の光学部品を備
え、各光学部品相互の位置決め精度が、光透過性樹脂材
料の熱膨張の影響が無視できない程高度に要求される光
ピックアップ等の光学装置およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】複数の光学部品相互間の位置決めが高精
度に要求される光学装置の一例として、光磁気ディスク
用の光ピックアップがある。図7および図8は現在量産
されているタイプの光ピックアップの構成を示す。この
光ピックアップは、例えばアルミダイキャストからなる
金属基板18上に集光光学系、サーボ光学系及び再生光
学系を配置して構成されている。以下に各光学系につい
て説明する。
【0003】集光光学系は、半導体レーザ素子1、コリ
メートレンズ2、整形プリズム3、ビームスプリッター
4、全反射プリズム5、対物レンズ6、レンズ駆動装置
7および電磁石8で構成されている。光源となる半導体
レーザ素子1は、左右に長い金属基板18の右端後側部
に配設されており、半導体レーザ素子1から左側に向け
て出射されたレーザビームは、コリメートレンズ2によ
り平行光化される。平行光化されたレーザビームは、整
形プリズム3によって整形された後、ビームスプリッタ
ー4及び全反射プリズム5を経て、対物レンズ6に導か
れる。対物レンズ6を経たレーザビームはその上に配置
された光磁気ディスクDの情報記録面に集光照射され
る。レンズ駆動装置7は、対物レンズをフォーカス方向
およびトラッキング方向に移動させる。
【0004】今少し説明すると、集光光学系は半導体レ
ーザ素子1から出射されたレーザビームを光磁気ディス
クDの情報記録面に直径が約1.6μmのスポット光と
して集光する。電磁石8は記録・消去用の補助磁界を発
生し、集光スポットの光強度に応じて光磁気ディスクD
に磁気情報を記録する。
【0005】サーボ光学系は、集光レンズ9、シリンド
リカルレンズ10および4分割構造の受光素子11で構
成されている。受光素子11は、例えばフォトダイオー
ドで形成されている。受光素子11には、光磁気ディス
クDから反射された戻り光が導かれ、受光素子11は戻
り光を光電変換してサーボ信号を検出する。より具体的
には、光磁気ディスクDからの戻り光より非点収差検出
方式でフォーカスサーボ信号を検出し、プッシュプル検
出方式でトラッキング誤差信号を検出する。そして、こ
のようにして検出されたサーボ信号がレンズ駆動装置7
や図示しないピックアップ粗動装置に出力される。
【0006】再生光学系は、ビームスプリッター12、
1/2波長板13、集光レンズ14、偏光ビームスプリッ
ター15およびフォトダイオード16で構成されてい
る。再生光学系は、偏光ビームスプリッター15を検光
子とし、光磁気ディスクD上の磁気信号を反射光の偏向
角の回転として検出し、情報の再生を行う。
【0007】なお、図中の17は、各光学系に配設され
た光学部品の調整機構であり、該調整機構17を用い
て、各光学部品相互間の位置決め調整が行われるように
なっている。
【0008】ところで、このような光ピックアップで
は、構成部品が多く、しかも調整機構17を組み込む構
成をとるため、光ピックアップの小型化および軽量化を
図る上で限界があった。しかも、調整機構17、17…
を用いた調整作業に手間取るため、量産性および低コス
ト化を図る上で限界があった。
【0009】そこで、このような問題点を解決するもの
として、特開平3-228234号公報に開示された密封構造を
持つ光ピックアップ装置が提案されている(以下第1従
来例という)。この第1従来例の光ピックアップ装置
は、図9および図10に示すように、半導体レーザ3
1、コリメートレンズ32等の光学部品を搭載した金属
基板35の光学部品間の光軸を整合させ、光学部品間を
光透過性合成樹脂33で埋め込んで光路を形成して光回
路とした微小光学系と、これらの基板35と微小光学系
の周りを光吸収性合成樹脂36で被覆して一体構造とし
ている。
【0010】今少し説明すると、この光ピックアップ
は、調整機構を外部の生産設備側に設け、その分、基板
35を薄肉化し、その強度不足を補い、並びに外光、迷
光を遮断するため、光学部品の光路を光透過性合成樹脂
33で埋める構成をとっている。
【0011】また、特開昭62-117150号公報には、図1
1および図12に示すように、平板状の透明基板40の
内部を光路とし、該基板40の表面に発光素子41等の
光学部品を取り付けることにより、小型、軽量化を図っ
た光ピックアップが提案されている(以下第2従来例と
いう)。
【0012】また、現在量産されているファクシミリ装
置においても、前記光ピックアップと同様の問題点があ
り、かかる問題点を解決するファクシミリ装置として、
特開平2-301715号公報に開示されたものがある(以下第
3従来例という)。
【0013】この第3従来例では、図13に示すよう
に、調整点数の削減や製造性の向上を目的として、透明
基板50の表面に半導体製造プロセスにて進歩したフォ
トリソグラフィにて透過性レンズ51等の光学素子を製
造する構成をとっている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】一般に、図7および図
8に示す光ピックアップのように、各光学部品相互間に
高精度の位置決めを要する光学装置では、 1.光学部品を保持し、かつその位置決めを行う基板の
熱膨張が無視できないため、線膨張係数のより小さい金
属材料が用いられている。従って、基板の重量が重くな
り、軽量化を図る上で限界がある。基板の重量が重い
と、特に光ピックアップに適用する場合は、そのアクセ
ス速度を向上する上でのネックになる。また、低価格を
図る上で限界がある。このような理由により、金属材料
として軽量のアルミニウムが一般に用いられている。
【0015】しかしながら、アルミニウムの熱膨張係数
は、光透過性合成樹脂33の熱膨張係数に比べて無視で
きない程大きいため、第1従来例の金属基板として、ア
ルミニウムを用いると、両者の熱膨張係数の相違に起因
する熱応力により、反り等の変形を生じ、各光学部品相
互間の位置決め精度が劣化するという問題点がある。 2.一方、樹脂材料を用いると、金属材料に比べて軽
く、かつ安くできることから、最近では各種の分野にお
いて、金属材料に代えて繊維強化樹脂が用いられる傾向
にある。繊維強化樹脂は、一般に線膨張係数が金属より
大きい樹脂に、硝子や炭素繊維を混ぜたものであり、金
属材料に比べて線膨張係数が低くなっている。しかしな
がら、一般に使用される樹脂に比べると、価格が高いた
め、光ピックアップの基板に適用すると、光ピックアッ
プの低価格を図る上でのネックになる。 3.また、最近では、樹脂材料の改良が進み、例えばポ
リイミド樹脂では硝子並の線膨張係数が得られるが、ポ
リイミド樹脂は通常の樹脂材料よりも価格が500〜1000
倍高いため、光ピックアップの基板に用いるには、コス
ト上の制約がある。このような理由により、各光学部品
相互の位置決め精度が高精度に要求される光ピックアッ
プにおいては、樹脂製の基板を用い、かつ該樹脂の熱膨
張による悪影響を排除できるものの開発が切に要請され
ているのが現状である。
【0016】一方、第2従来例および第3従来例におい
ては、透明材料として、主に硝子材料等の非樹脂材料が
用いられており、上記した要請に答えるものではない。
但し、その明細書中には、樹脂材料の使用も可能である
と明記されているが、樹脂材料の熱膨張係数は硝子材料
に比べて、10〜30倍大きく、この点に関して、第2従来
例および第3従来例では全く触れられておらず、上記の
構成にそのまま用いた場合に、各光学部品相互間の位置
決め精度を高精度に維持できるかは疑問がある。
【0017】また、第2従来例および第3従来例におい
ては、透明基板であることが前提になるため、不透明で
ある繊維強化樹脂は用いることができない。また、ポリ
イミド樹脂を用いる場合は、同様に製品のコストアップ
を招来する。
【0018】なお、下記の表1および表2は、代表的な
材料の密度、線膨張係数を示している。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】本発明はこのような現状に鑑みてなされた
ものであり、樹脂材料の熱膨張の光学系への悪影響を可
及的に低減でき、しかも装置の軽量化、低価格化が図
れ、更には加工性の向上が図れる、光ピックアップ等の
光学装置およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の光学装置は、複
数の光学部品で形成される光学系の光路を光透過性樹脂
材料中に配置し、かつ該光透過性樹脂材料のみにて各光
学部品を保持し、前記光透過性樹脂材料のある波長かつ
ある温度での屈折率をN 0 、線熱膨張係数をα、温度Tに
対する屈折率の温度変化率β、分極率をγとしたとき、
下式
【数5】 で表わされる前記光透過性樹脂材料の換算線熱膨張係数
N 0 ・α+βがほぼ零であり、そこのことにより上記目的
が達成される。
【0023】
【0024】好ましくは、前記光透過性樹脂材料の換算
線熱膨張係数N 0 ・α+βを、アルミニウムの線熱膨張係
数の値以下とする
【0025】また、本発明の光学装置の製造方法は、複
数の光学部品で形成される光学系の光路を光透過性樹脂
材料中に配置し、かつ該光透過性樹脂材料のみで各光学
部品を保持した光学装置の製造方法であって、離型剤を
塗布した基板又は金型上に複数の光学部品を位置決めし
て配設する工程と、ある波長かつある温度での屈折率を
N 0 、線熱膨張係数をα、温度Tに対する屈折率の温度変
化率β、分極率をγとしたとき、下式
【数6】 で表わされる換算線熱膨張係数N 0 ・α+βがほぼ零であ
光透過性樹脂材料を注型、射出成形等により該複数の
光学部品間に充填する工程と、該光透過性樹脂材料の硬
化後に、該基板又は金型から該複数の光学部品を離型す
る工程とを包含しており、そのことにより上記目的が達
成される。
【0026】好ましくは、硬化後の光透過性樹脂材料の
表面に耐湿コーティングを施す工程を包含する。
【0027】また、本発明の光学装置の製造方法は、複
数の光学部品で形成される光学系の光路を光透過性樹脂
材料中に配置し、かつ該光透過性樹脂材料のみで各光学
部品を保持した光学装置の製造方法であって、ある波長
かつある温度での屈折率をN 0 、線熱膨張係数をα、温度
Tに対する屈折率の温度変化率β、分極率をγとしたと
き、下式
【数7】 で表わされる換算線熱膨張係数N 0 ・α+βがほぼ零であ
光透過性樹脂材料で注型、射出成形等により基板を形
成する工程と、注型、射出成形等により光透過性樹脂材
料で基板を形成する工程と、該基板の表面に複数の光学
部品を相互に位置決めして取り付ける工程とを包含して
おり、そのことにより上記目的が達成される。
【0028】また、本発明の光学装置の製造方法は、複
数の光学部品で形成される光学系の光路を光透過性樹脂
材料中に配置し、かつ該光透過性樹脂材料のみで各光学
部品を保持した光学装置の製造方法であって、ある波長
かつある温度での屈折率をN 0 、線熱膨張係数をα、温度
Tに対する屈折率の温度変化率β、分極率をγとしたと
き、下式
【数8】 で表わされる換算線熱膨張係数N 0 ・α+βがほぼ零であ
光透過性樹脂材料で注型、射出成形等により基板を形
成する工程と、該基板の表面に複数の光学部品を形成す
る工程とを包含しており、そのことにより上記目的が達
成される。
【0029】好ましくは、前記基板の表面に耐湿コーテ
ィングを施す工程を包含する。
【0030】
【作用】上記のように、複数の光学部品で形成される光
学系の光路を光透過性樹脂材料中に配置し、かつ該光透
過性樹脂材料のみにて各光学部品を保持し、上記したよ
うな光透過性樹脂材料の換算線熱膨張係数N 0 ・α+βを
ほぼ零とすることにより、光透過性樹脂材料の熱膨張と
屈折率の温度変化を相殺できるので、結果的に光透過性
樹脂材料の熱膨張の光学系への悪影響、即ち位置決めの
狂いを可及的に低減できる。
【0031】以下にその理由を図5および図6に基づき
説明する。但し、図5および図6では、説明の簡略化の
ために2つの光学部品A1、A2が光透過性樹脂材料から
なる基板20上に位置決め固定された状態を想定してい
る。基板20の温度がTである場合の両光学部品A1
2の離隔寸法(距離)Lは、基板20の基準となる温
度をT0、線熱膨張係数をα、その時の離隔寸法をL0
すると、下記(1)式で表される。
【0032】L=L0{1+α(T−T0)}…(1) 上記の表1および表2に示すように、線熱膨張係数は一
般に正の値をとる。即ち、一般に温度が上昇すると材料
の寸法は延びる。
【0033】一方、本発明者等は樹脂材料の物性を調査
したところ、樹脂材料の屈折率の温度変化が負の値をと
ることを知見した。即ち、樹脂材料の線熱膨張係数と屈
折率の温度変化は逆の関係がある。そこで、本発明者等
は樹脂材料の線熱膨張係数と屈折率の温度変化を加算す
れば、両者が相殺されることになるので、熱膨張の悪影
響を可及的に低減できることに思い至った。
【0034】図6はこの着想を実現した構成である。即
ち、光学部品A1、A2間の光路中に光透過性樹脂材料を
充填し、かつ該光透過性樹脂材料からなる基板20で光
学部品A1、A2を保持する構成をとっている。この場
合、光学部品A1、A2間の距離Lは幾何学的距離ではな
く、幾何学的距離と樹脂材料の屈折率の積である光路長
を考える必要がある。ここで、樹脂温度がTである場合
の、光透過性樹脂材料のd線での屈折率Ndは、該光透
過性樹脂材料の温度T0でのd線の屈折率をNd0、屈折
率の温度変化率をβとすると、下記(2)式で表され
る。
【0035】Nd=Nd0+β(T−T0)…(2) また、光透過性樹脂材料の温度Tでの幾何学的距離L
は、温度T0での幾何学的距離をL0、線熱膨張係数をα
とすると、上記(1)式と同様に表される。
【0036】従って、光透過性樹脂材料の温度Tでの光
路長L’は、上記(1)式と(2)式の積として、下記
(3)式で表される。
【0037】
【数9】
【0038】ここで、上記の(3)式において、その第
3項は2次の微小量であるので、省略できる。従って、
L’は下記(4)式で表される。
【0039】
【数10】
【0040】ここで、温度変化に着目し、上記(1)式
と(4)式とを比較すれば、(1)式中の線熱膨張係数
αが(4)式中のNd0・α+βとなっていることがわか
る。それ故、以下ではこのNd0・α+βを換算線熱膨張
係数と称する。
【0041】一方、屈折率と分子構造を関係付けるLore
ntz-Lorenzの式を変形すれば、屈折率の温度変化率βは
下記(5)式で表される。
【0042】
【数11】
【0043】但し、γは分極率、vは比容積である。
【0044】ここで、(5)式中の第1項は分極率の温
度変化による屈折率の変化率、第2項は体積膨張による
屈折率の変化率をそれぞれ示しているが、下記の表3に
示すように、第1項は第2項に比べて2オーダー小さく
なっている。
【0045】
【表3】
【0046】ここで、(5)式中の第2項の体積膨張率
は等方性材料の場合を仮定すると、線熱膨張係数αとの
間に下記(6)式の関係を有する。
【0047】
【数12】
【0048】従って、換算線熱膨張係数Nd0・α+β
は、上記(5)式、(6)式より、下記(7)式で表さ
れる。
【0049】
【数13】
【0050】それ故、この(7)式を零にできる、即ち
換算線熱膨張係数Nd0・α+β=0となる新しい樹脂を
合成すれば、熱膨張の悪影響を理論的に零にすることが
できる。以上の説明は、d線波長を例にとって説明した
が、この理論は基本的にはいずれの波長においても成立
する。従って、新しい樹脂材料を合成しなくとも、現存
する樹脂材料によっては(7)式を零にできる波長が存
在する可能性がある。よって、その波長において使用す
れば、熱膨張の悪影響を理論的に零にすることができ
る。
【0051】この式(7)においても、表3に示したよ
うに、第1項は第2項に比べて小さいので、無視すれ
ば、Nd0=21/2において、換算線熱膨張係数は零にな
る。実際は第2項が第1項のオーダーになると、第1項
を無視することはできないので、Nd0=21/2で換算線
熱膨張係数は零になるわけではないが、Nd0=21/2
傍の光透過性樹脂材料では、第1項並のオーダー、即
ち、表3からわかるように硝子並の線熱膨張係数を得ら
れることがわかる。
【0052】下記の表4に、現存する光透過性樹脂材料
および上記(7)式で得られるその換算線熱膨張係数を
示す。
【0053】
【表4】
【0054】表4からわかるように、いずれの光透過性
樹脂材料もアルミニウムの線熱膨張係数と同等かそれ
下の換算線熱膨張係数が得られる。
【0055】なお、表4において、屈折率の温度変化率
βが実測されているものは、それを用いた換算線熱膨張
係数も示してあるが、(7)式の第2項から求めたもの
とは値が異なっている。これは等方性材料を仮定した
(6)式や線熱膨張係数と屈折率の温度変化率βの測定
温度の相違から生じた誤差等と考えられるが、表4から
わかるように、本発明の有用性、即ち熱膨張の悪影響の
低減性を損なうものではない。
【0056】なお、樹脂材料では吸湿により屈折率が変
化するため、これを防止するために、光透過性樹脂材料
の表面に耐湿コーティングを施すと実施する上で好まし
いものになる。
【0057】このように、本発明によれば、複数の光学
部品で形成される光学系の光路を光透過性樹脂材料中に
配置し、かつ光透過性樹脂材料のみにて各光学部品を保
持し、光透過性樹脂材料の換算線熱膨張係数N 0 ・α+β
をほぼ零とすることにより、光透過性樹脂材料の熱膨張
と屈折率の温度変化を相殺させる構成をとるので、熱膨
張による各光学部品間の光路長の変動を可及的に低減で
きる。
【0058】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0059】図1および図2は本発明を適用した光ピッ
クアップを示す。以下にその構成を動作と共に説明す
る。この光ピックアップは、集光光学系、サーボ光学系
及び再生光学系を有し、各光学系の以下に説明する光学
部品間の光路を光透過性樹脂材料(以下光透過性樹脂と
称する)20中に配置し、かつ各光学部品を光透過性樹
脂20のみで保持する構成をとっている。以下に各光学
系について説明する。
【0060】集光光学系は、半導体レーザ素子1、コリ
メートレンズ2、整形プリズム3、ビームスプリッター
4、全反射プリズム5、対物レンズ6、レンズ駆動装置
7および電磁石8で構成されている。光源となる半導体
レーザ素子1は、左右に長い光透過性樹脂20からなる
基板の右端後側部に配設されており、半導体レーザ素子
1から左側に向けて出射されたレーザビームは、コリメ
ートレンズ2により平行光化される。平行光化されたレ
ーザビームは、整形プリズム3によって整形された後、
ビームスプリッター4及び全反射プリズム5を経て、対
物レンズ6に導かれる。対物レンズ6を経たレーザビー
ムはその上に配置された光磁気ディスクDの情報記録面
に集光照射される。レンズ駆動装置7は、対物レンズを
フォーカス方向およびトラッキング方向に移動させる。
【0061】今少し説明すると、集光光学系は半導体レ
ーザ素子1から出射されたレーザビームを光磁気ディス
クDの情報記録面に直径が約1.6μmのスポット光と
して集光する。電磁石8は記録・消去用の補助磁界を発
生し、集光スポットの光強度に応じて光磁気ディスクD
に磁気情報を記録する。
【0062】サーボ光学系は、集光レンズ9、シリンド
リカルレンズ10および4分割構造の受光素子11で構
成されている。受光素子11は、例えばフォトダイオー
ドで形成されている。受光素子11には、光磁気ディス
クDから反射された戻り光が導かれ、受光素子11は戻
り光を光電変換してサーボ信号を検出する。より具体的
には、光磁気ディスクDからの戻り光より非点収差検出
方式でフォーカスサーボ信号を検出し、プッシュプル検
出方式でトラッキング誤差信号を検出する。そして、こ
のようにして検出されたサーボ信号がレンズ駆動装置7
や図示しないピックアップ粗動装置に出力される。
【0063】再生光学系は、ビームスプリッター12、
1/2波長板13、集光レンズ14、偏光ビームスプリッ
ター15およびフォトダイオード16で構成されてい
る。再生光学系は、偏光ビームスプリッター15を検光
子とし、光磁気ディスクD上の磁気信号を反射光の偏向
角の回転として検出し、情報の再生を行う。
【0064】加えて、光透過性樹脂20の表面には、耐
湿コーティング21が施されている。
【0065】このような構成の光ピックアップによれ
ば、上記の作用の項で説明したように、光透過性樹脂2
0の熱膨張と屈折率の温度変化を相殺できるので、熱膨
張による各光学部品間の光路長の変動を可及的に低減で
きる。即ち、熱膨張の悪影響を可及的に排除できる。そ
れ故、光ピックアップの歩留りおよび製造効率を向上で
き、その低価格化が図れる。また、基板が樹脂材料で形
成されているので、軽量化が図れ、アクセス速度の向上
が図れる。
【0066】加えて、光透過性樹脂20の表面に耐湿コ
ーティング21を施してあるので、吸湿により屈折率が
変化することがない。それ故、信頼性を一層向上でき
る。
【0067】次に、図3および図4に従い本発明光ピッ
クアップの製造方法について説明する。図3に示すよう
に、まず、弗素シリコーンコーティング剤(一例とし
て、信越化学製KP-801M)等の離型剤が塗布された金型
(又は基板)19に上記の各光学部品(対物レンズ6は
除く)を調整して配置し、接着剤若しくはねじ等の機械
式締結部品を用いて仮止めする。
【0068】続いて、ディスペンサー又は射出成形機に
て、各光学部品間に光透過性樹脂20を充填する(図4
参照)。なお、ディスペンサーを用いた方法は注型にて
製造する方法であり、射出成形機を用いた方法はインサ
ート成形にて製造する方法である。
【0069】光透過性樹脂20が硬化すると、金型19
から光透過性樹脂20にて結合された光学部品群を離型
する。そして、光透過性樹脂20の表面に耐湿コーティ
ング21を施す。耐湿コーティング材としては、例えば
デュポン社製テフロンAFを用いる。耐湿コーティング2
1の層厚は極めて薄くて済むので、光ピックアップの寸
法、重量、コスト等に悪影響を及ぼすことがない。
【0070】次に、表面に耐湿コーティング21が施さ
れ、かつ光透過性樹脂20にて結合された光学部品群の
所定箇所に対物レンズ6を取り付ける。また、この時
に、レンズ駆動装置7および電磁石8を取り付ける。こ
れにより、本発明の光ピックアップが得られる。
【0071】上記の製造方法では、光学系を組込んでか
ら光透過性樹脂20を充填し、該光透過性樹脂20によ
り光学部品を結合、かつ保持することにしたが、まず、
注型や射出成形等により光透過性樹脂20を成形してお
き、その後に、光学部品を適宜位置決めして取り付ける
方法によっても、本発明の光ピックアップを得ることが
できる。
【0072】また、光透過性樹脂20を成形する際に、
その表面に上記の光学素子を形成する方法によっても本
発明の光ピックアップを得ることができる。
【0073】なお、以上の実施例では、光ピックアップ
に本発明を適用する場合について説明したが、本発明は
高精度の位置決めを必要とする他の光学装置についても
同様に適用できる。このような光学装置としては、ファ
クシミリ装置、光距離計等の各種センサー、複写機およ
びレーザープリンター等が挙げられる。
【0074】
【発明の効果】以上の本発明光学装置は、複数の光学部
品で形成される光学系の光路を光透過性樹脂材料中に配
置し、かつ光透過性樹脂材料のみにて各光学部品を保持
し、光透過性樹脂材料の換算線熱膨張係数N 0 ・α+βを
ほぼ零とすることにより、光透過性樹脂材料の熱膨張と
屈折率の温度変化を相殺させる構成をとるので、光透過
性樹脂材料の熱膨張による光学系への悪影響を可及的に
低減できる。従って、光学装置の歩留りおよび製造効率
を向上でき、低価格が図れる。
【0075】また、光学部品を保持する基板として、金
属材料や硝子材料の代わりに、通常の樹脂材料を使用で
きるので、軽量化、低価格化および加工性の向上が図れ
る優れた光学装置を実現できる。
【0076】また、請求項2記載の光学装置によれば、
従来のアルミニウム基板を用いたものより、光透過性樹
脂材料の温度変化による光路長の変化を低減できる
【0077】また、請求項〜請求項記載の光学装置
の製造方法によれば、複数の光学部品で形成される光学
系の光路を光透光性樹脂材料中に配置し、かつ該光透光
性樹脂材料のみで各光学部品を保持した構成で、上記の
ような利点を有する光学装置を確実に得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ピックアップを示す平面断面図。
【図2】図1のA−A線による断面図。
【図3】本発明の光ピックアップの製造方法を説明する
ための平面断面図。
【図4】図3のB−B線による断面図。
【図5】本発明の原理を示す略示側面図。
【図6】同じく本発明の原理を示す略示側面図。
【図7】光ピックアップの従来例を示す平面断面図。
【図8】図7のC−C線による断面図。
【図9】光ピックアップの他の従来例を示す平面図。
【図10】図9の光ピックアップの側面図。
【図11】光ピックアップのまた他の従来例を示す側面
図。
【図12】図11の光ピックアップの斜視図。
【図13】ファクシミリ装置の従来例を示す側面図。
【符号の説明】
1 半導体レーザ素子 2 コリメートレンズ 3 整形プリズム 4 ビームスプリッター 5 全反射プリズム 6 対物レンズ 7 レンズ駆動装置 8 電磁石 9 集光レンズ 10 シリンドリカルレンズ 11 4分割構造の受光素子 12 ビームスプリッター 13 1/2波長板 14 集光レンズ 15 偏光ビームスプリッター 16 フォトダイオード 19 金型 20 光透過性樹脂(光透過性樹脂製の基板) 21 耐湿コーティング D 光磁気ディスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 貴彦 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 河村 政宏 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−74909(JP,A) 特開 平1−259310(JP,A) 特開 昭63−176(JP,A) 特開 平2−139726(JP,A) 実開 昭59−161122(JP,U) 特表 平7−505235(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/12,7/135,7/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の光学部品で形成される光学系の光
    路を光透過性樹脂材料中に配置し、かつ該光透過性樹脂
    材料のみにて各光学部品を保持し、前記光透過性樹脂材料のある波長かつある温度での屈折
    率をN 0 、線熱膨張係数をα、温度Tに対する屈折率の温
    度変化率β、分極率をγとしたとき、下式 【数1】 で表わされる前記光透過性樹脂材料の換算線熱膨張係数
    N 0 ・α+βがほぼ零である光学装置。
  2. 【請求項2】 前記光透過性樹脂材料の換算線熱膨張係
    数N 0 ・α+βが、アルミニウムの線熱膨張係数の値以下
    である請求項1記載の光学装置。
  3. 【請求項3】 複数の光学部品で形成される光学系の光
    路を光透過性樹脂材料中に配置し、かつ該光透過性樹脂
    材料のみで各光学部品を保持した光学装置の製造方法で
    あって、 離型剤を塗布した基板又は金型上に複数の光学部品を位
    置決めして配設する工程と、 ある波長かつある温度での屈折率をN 0 、線熱膨張係数を
    α、温度Tに対する屈折率の温度変化率β、分極率をγ
    としたとき、下式 【数2】 で表わされる換算線熱膨張係数N 0 ・α+βがほぼ零であ
    る光透過性樹脂材料を注型、射出成形等により該複数の
    光学部品間に充填する工程と、 該光透過性樹脂材料の硬化後に、該基板又は金型から該
    複数の光学部品を離型する工程と を包含する光学装置の
    製造方法
  4. 【請求項4】 複数の光学部品で形成される光学系の光
    路を光透過性樹脂材料中に配置し、かつ該光透過性樹脂
    材料のみで各光学部品を保持した光学装置の 製造方法で
    あって、 ある波長かつある温度での屈折率をN 0 、線熱膨張係数を
    α、温度Tに対する屈折率の温度変化率β、分極率をγ
    としたとき、下式 【数3】 で表わされる換算線熱膨張係数N 0 ・α+βがほぼ零であ
    る光透過性樹脂材料で注型、射出成形等により基板を形
    成する工程と、 該基板の表面に複数の光学部品を相互に位置決めして取
    り付ける工程と を包含する光学装置の製造方法
  5. 【請求項5】 複数の光学部品で形成される光学系の光
    路を光透過性樹脂材料中に配置し、かつ該光透過性樹脂
    材料のみで各光学部品を保持した光学装置の製造方法で
    あって、 ある波長かつある温度での屈折率をN 0 、線熱膨張係数を
    α、温度Tに対する屈折率の温度変化率β、分極率をγ
    としたとき、下式 【数4】 で表わされる換算線熱膨張係数N 0 ・α+βがほぼ零であ
    る光透過性樹脂材料で注型、射出成形等により基板を形
    成する工程と、 該基板の表面に複数の光学部品を形成する工程と を包含
    する光学部品の製造方法
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