JP3122414B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3122414B2
JP3122414B2 JP10239556A JP23955698A JP3122414B2 JP 3122414 B2 JP3122414 B2 JP 3122414B2 JP 10239556 A JP10239556 A JP 10239556A JP 23955698 A JP23955698 A JP 23955698A JP 3122414 B2 JP3122414 B2 JP 3122414B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体と磁
性層とからなる磁気記録媒体の改良に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープあるいはフロッピーディスクなどとして広く用い
られている。磁気記録媒体は、基本的には、強磁性粉末
が結合剤(バインダ)中に分散された磁性層が非磁性支
持体上に積層されてなるものである。基本的に、磁気記
録媒体は、電磁変換特性、走行耐久性および走行性能な
どの諸特性において高いレベルにあることが必要とされ
る。殊に、最近の8ミリビデオテープレコーダーなどの
普及に伴ない、ビデオテープは、ビデオ出力が高く、そ
して原画再生能力が優れていることなど、特に電磁変換
特性が優れているものであることが要求されている。
【0003】磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させる
方法には種々の改良方法があるが、磁気記録物質である
強磁性粉末の特性を改良する方法が直接的であり、かつ
効果的である。従って、強磁性粉末は、高密度記録が可
能なように次第に微粉末化され、さらに強磁性粉末の素
材も、酸化鉄からコバルトなどの異種金属で変性した酸
化鉄へと移行しており、さらに最近では鉄、ニッケル、
コバルトのような強磁性の金属あるいはこれらを含む合
金が使用されるようになってきている。
【0004】このようにして改良された強磁性粉末を用
いることにより、本質的には電磁変換特性の良好な磁気
記録媒体を得ることが可能であるが、実際には強磁性粉
末の改良に対応するように電磁変換特性が向上した磁気
記録媒体を製造することが難しい。これは、強磁性粉末
が微粉末になるに従って、結合剤への分散性が低下する
傾向があり、また強磁性粉末の特性として、たとえばγ
−酸化鉄、コバルト被着γ−酸化鉄、強磁性金属微粉末
の順に分散性が低下する傾向があるので、強磁性粉末を
改良することにより、逆に磁性層における強磁性粉末の
分散状態は悪くなるとの事態を生ずることがあり、従っ
て強磁性粉末の優れた特性が充分に発揮されないことに
起因する。
【0005】こうした強磁性粉末の分散状態を改善する
ために磁性塗料を調製する際の混練分散を長時間行なう
方法もあるが、混連分散時には強磁性粉末に相当の剪断
力が作用するので、強磁性粉末の特性が損なわれること
があり、さらに磁気記録媒体の製造に長時間を要するこ
とになることは作業効率上も問題がある。
【0006】そこで、通常の磁気記録媒体の製造方法に
大きな変更を加えることなく、上記のような強磁性粉末
を有効に分散させる方法が検討されており、このような
方法としては、強磁性粉末をシランカップリング剤のよ
うな表面処理剤により表面処理して用いる方法、脂肪酸
のような強磁性粉末の分散性を向上させる成分(分散
剤)で強磁性粉末を前処理する方法(特公昭54−70
74号公報)、あるいは上記脂肪酸を製造時に添加する
方法などが知られている。
【0007】しかし、本発明者の検討によると、上記の
方法を利用したとしても、強磁性粉末の分散状態が充分
に改善されない場合があることが判明した。すなわち、
たとえば、上記のシランカップリング剤を用いて表面処
理した強磁性粉末は、磁性塗料中における分散状態の安
定性は通常は向上するが、樹脂成分に対する相溶性は逆
に低下することがある。従って、最終的に磁性層におけ
る強磁性粉末の分散状態が充分には改善されないことが
ある。また、磁気記録媒体の磁性層に潤滑剤として通常
導入される脂肪酸は、強磁性粉末に対する分散作用を有
しているが、脂肪酸を分散剤として使用する場合には、
通常、潤滑剤として磁性層に配合する場合よりも多量に
使用しなければ充分な効果を得ることができない。この
ような多量の脂肪酸は結合剤を可塑化するとの問題があ
る。
【0008】一方、上記のような方法により強磁性粉末
の分散性が向上するのに伴ない、磁性層表面の平滑性も
向上し、このため磁性層表面の摩擦係数が上昇して、か
えって走行性および走行耐久性が悪化する傾向が生ず
る。
【0009】上記脂肪酸等を用いることにより問題とさ
れた結合剤の可塑化を防止することが可能な分散剤とし
て、安息香酸およびその塩等を含有する磁気記録媒体
が、特願昭61−184631号明細書に記載されてい
る。この磁気記録媒体は、分散性および結合剤の可塑化
については良好なものであるが、上記走行性および走行
耐久性については充分に優れているとは言えない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に電磁変
換特性が良好であって、走行性および走行耐久性が優れ
た磁気記録媒体を提供することを目的とする。さらに詳
しくは、本発明は、用いた強磁性金属微粉末の特性が充
分に発揮されるように磁性層における強磁性金属微粉末
の分散状態を改善して電磁変換特性を向上させ、且つこ
の分散状態の向上による走行性および走行耐久性の劣化
のない磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性支持体
と、該支持体上に設けられた結合剤中に比表面積が42
2 /g以上の強磁性金属微粉末を分散させた磁性層か
らなる磁気記録媒体において、該磁性層が、下記の一般
式(1)もしくは(2)
【0012】
【化2】
【0013】[但し、Rは、アリール基で置換されてい
炭素数1〜4のアルキル基、またはメチルもしくはエ
チルで置換されていてもよいアリール基を表し、Mは、
水素原子、アルカリ金属、または−N+ (R1 4 (但
し、R1 は炭素数2以下のアルキル基)を表わし、そし
てnは、1または2を表わす]で表わされるアリール基
含有有機リン化合物を少なくとも一種含み、かつ該結合
剤が、−COOM2 、−SO3 1 、−OSO3 1
及び−PO(OM1 2 (但し、M1 は水素原子もしく
はアルカリ金属原子を、そしてM2 はアルカリ金属原子
を表わす)で表わされる極性基を少なくとも一種含む塩
化ビニル系共重合体もしくはポリウレタン系樹脂を含む
ものであることを特徴とする磁気記録媒体んにある。
【0014】本発明の磁気記録媒体の磁性層の結合剤の
極性基は、−SO3 Naで表わされる基であることが好
ましい。
【0015】本発明の磁気記録媒体の他の好ましい態様
は以下の通りである。 1)一般式(1)もしくは(2)におけるRが、アリー
ル基である。 2)一般式(1)もしくは(2)におけるRが、フェニ
ル基である。 3)磁性層に置ける上記有機リン化合物の含有率が、強
磁性粉末100重量部に対して0.03〜10重量部の
範囲内にある。 4)結合剤が、極性基を有する樹脂を含む樹脂成分の硬
化体である。
【0016】本発明の磁気記録媒体では、アリール基を
有する特定の有機リン化合物と特定の極性基を有する塩
化ビニル系共重合体もしくはポリウレタン系樹脂を用い
ることにより、この化合物が強磁性金属微粉末の分散改
善に作用して、磁性層における強磁性金属微粉末の分散
状態を顕著に改善する。
【0017】すなわち、本発明で用いられるアリール基
含有有機リン化合物は金属表面へ吸着する性質を有して
おり、且つその吸着力はカルボン酸やスルホン酸等の他
の有機酸化合物に比較して強いため、一旦吸着した有機
リン化合物は金属表面から脱着することはほとんど無
い。従って、本発明の磁気記録媒体で使用する強磁性金
属微粉末の表面には、有機リン化合物が強く吸着され、
さらに芳香族環等で被覆されたような状態になる。この
ような強磁性金属微粉末は樹脂成分に対する親和性につ
いても顕著に向上する。これにより磁性層における強磁
性金属微粉末の分散状態が良好なものとなり、磁気特性
および電磁変換特性が優れた磁気記録媒体を得ることが
できる。
【0018】また、強磁性金属微粉末と結合剤とがアリ
ール基含有有機リン化合物の上記作用により、強い相互
作用を示すようになるため、磁性層が形成された時の強
磁性金属微粉末の表面からの脱着が起こり難くなり、走
行性および走行耐久性が顕著に向上する。
【0019】従って、本発明の磁気記録媒体は、優れた
電磁変換特性を有し、且つ良好な走行性および走行耐久
性を有するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体は、基本的
には、非磁性支持体と、この支持体の上に設けられた結
合剤中に分散された強磁性金属微粉末からなる磁性層か
らなる構成を有する。
【0021】非磁性支持体素材は、通常磁気記録媒体
の非磁性支持体の素材として使用されているものを用い
ることができる。支持体の素材の例としては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミ
ドイミドおよびポリイミドなどの合成樹脂、そして、ア
ルミ箔、ステンレス箔などの金属箔を挙げることができ
る。非磁性支持体の厚さは、通常2.5〜100μm
(好ましくは3〜80μm)の範囲内にある。非磁性支
持体は、磁性層が設けれらていない側にバックコート層
(バッキング層)が設けられたものであっても良い。
【0022】非磁性支持体上には、強磁性金属微粉末が
結合剤中に分散された磁性層が設けられる。特に本発明
は、分散性が他の強磁性粉末よりも劣る強磁性金属微粉
末を用いた磁気記録媒体に利用すると有利である。強磁
性金属微粉末を使用する場合には、強磁性金属微粉末と
して、鉄、コバルトあるいはニッケルを含む強磁性金属
微粉末であって、その比表面積が42m2 /g以上(特
に好ましくは45m2/g以上)を用いた場合に有効性
が高い。このような強磁性金属微粉末の具体的な例とし
ては、強磁性金属微粉末中の金属分が75重量%以上で
あり、そして金属分の80重量%以上が少なくとも一種
類の強磁性金属あるいはその合金(例、Fe、Co、N
i、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni
−Fe)であり、該金属分の20重量%以下の範囲内で
他の成分(例、Al、Si、S、Sc、Ti、V、C
r、Mn、Cu、Zn、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、
W、Sn、Sb、B、Te、Ba、Ta、Re、P、A
u、Hg、Bi、La、Ce、Pr、Nd、Pb、Z
n)を含むことのある合金を挙げることができる。ま
た、上記強磁性金属成分が少量の水、水酸化物または酸
化物を含むものであってもよい。これらの強磁性金属微
粉末の製造方法は既に公知であり、本発明で用いる強磁
性金属微粉末についてもこれら公知の方法に従って製造
することができる。
【0023】結合剤としては、後に述べる特定の極性基
を有する塩化ビニル系共重合体およびポリウレタン樹脂
の少なくとも一種を強磁性金属微粉末100重量部に対
して通常、10〜40重量部(好ましくは15〜30重
量部)の範囲内で用いることができる。
【0024】本発明の特定の極性基を有する塩化ビニル
系共重合体あるいはポリウレタン樹脂は他の樹脂と併用
しても良く、その樹脂の例としては、セルロース誘導
体、塩化ビニル系共重合体(例、塩化ビニル・酢酸ビニ
ル共重合体)、塩化ビニリデン系共重合体、ポリエステ
ル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹
脂、ポリビニルブチラール系樹脂、フェノキシ系樹脂、
エポキシ系樹脂、ブタジエン・アクリロニトリル系共重
合体、ポリウレタン系樹脂、およびウレタンエポキシ系
樹脂を挙げることができ、本発明においては、これらを
単独であるいは組合わせて使用することができる。
【0025】塩化ビニル系共重合体が含む極性基を有す
る繰返し単位の例としては、−COOM2 (但し、M2
はアルカリ金属原子を表わす)、−SO3 1 、−OS
31 、及び−PO(OM1 2 、[M1 は水素原子
もしくはアルカリ金属原子を表わす]を挙げることがで
きる。塩化ビニル系重合体がこれらの繰り返し単位が単
独で含んでいても、二種以上を含んでいてもよい。これ
らのなかでも−SO3Naを有する繰り返し単位を含む
塩化ビニル系共重合体の使用が好適である。
【0026】極性基を有する繰り返し単位の共重合体中
における含有率は、通常0.001〜5.0モル%(好
ましくは、0.05〜3.0モル%)の範囲内にある。
極性基を有する繰り返し単位の含有率が0.001モル
%より低いと強磁性金属微粉末の分散状態が低下するこ
とがあり、また5.0モル%より高いと共重合体が吸湿
性を示すようになり、磁気記録媒体の耐候性が低下しや
すい。
【0027】上記の極性基を有する塩化ビニル系共重合
体は、さらにエポキシ基を有する繰り返し単位を含むこ
とが好ましい。塩化ビニル系共重合体中におけるエポキ
シ基は、主に塩化ビニル系共重合体を安定化させ、経時
的に進行する共重合体の脱塩酸反応を抑制するように作
用する。
【0028】エポキシ基を有する繰り返し単位を含む場
合、共重合体中におけるエポキシ基を有する繰り返し単
位の含有率は、1〜30モル%の範囲内にあることが好
ましく、塩化ビニル系共重合体を構成する塩化ビニル繰
り返し単位1モルに対するエポキシ基を有する繰り返し
単位の比率は、0.01〜0.5モル(特に好ましくは
0.01〜0.3モル)の範囲内にあることが好まし
い。
【0029】このような塩化ビニル系共重合体の数平均
分子量は、通常10,000〜100,000(好まし
くは15,000〜60,000)の範囲内にある。
【0030】上記の極性基を有する塩化ビニル系共重合
体は、塩化ビニル単量体と、極性基および反応性二重結
合を有する単量体(例、2−(メタ)アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸およ
びそのアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸−2−スル
ホン酸エチルおよびそのアルカリ金属塩、(無水)マレ
イン酸および(メタ)アクリル酸並びに(メタ)アクリ
ル酸−2−リン酸エステル)を公知技術に従って共重合
させることにより製造することができる。エポキシ基を
導入する場合には、反応性二重結合とエポキシ基とを有
する単量体として通常はグリシジル(メタ)アクリレー
トを用いる。
【0031】あるいは上記の製造法の他に、予め水酸基
を有する塩化ビニル系共重合体を調製し、この水酸基と
極性基および塩素原子を含有する化合物(例、モノクロ
ル酢酸など)とを反応させ、エピクロルヒドリンとの脱
塩酸反応によりエポキシ基を導入する方法を利用して製
造することもでき、本発明においては、この方法により
製造されたものであっても使用することができる。
【0032】また、塩化ビニル系共重合体を製造する際
に、塩化ビニル系共重合体の特性を損なわない範囲内に
おいて、他の単量体(例、ビニルエーテル、α−モノオ
レフィン、アクリル酸エステル、不飽和ニトリル、芳香
族ビニル、ビニルエステル)を共存させることもでき
る。
【0033】ポリウレタン系樹脂が極性基を有する繰り
返し単位を含む場合において、極性基を有する繰り返し
単位の例としては、−SO3 1 、−OSO3 1 、−
COOM2 (M2 の意味は前記)および−PO(O
1 2 、(M1 の意味は前記)を挙げることができ
る。これらの繰り返し単位は、単独で含有されていて
も、二以上が組み合わされて含有されていてもよい。こ
れらのなかでも−SO3 Naを有する繰り返し単位を有
するポリウレタン系樹脂の使用が好ましい。
【0034】ポリウレタン系樹脂中における極性基を有
する繰り返し単位の含有率は、通常0.001〜5.0
モル%(好ましくは、0.01〜2.0モル%)の範囲
内にある。極性基を有する繰り返し単位の含有率が0.
001モル%より低いと強磁性金属微粉末の分散性が不
充分となることがあり、5.0モル%より高いとポリウ
レタン系樹脂が吸湿性を有するようになり耐候性が低下
することがある。
【0035】このようなポリウレタン系樹脂は、たとえ
ば次のようにして製造することができる。一般にポリウ
レタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物とポリオール
成分との反応により製造される。そして、一般にはポリ
オール成分としてポリオールと多塩基酸との反応により
得られるポリエステルポリオールが使用される。
【0036】本発明におけるポリウレタン系樹脂は、こ
の公知のポリウレタン樹脂の製造方法を利用して、多塩
基酸の一部もしくはポリオールの一部として極性基を有
する多塩基酸もしくは極性基を有するポリオールを使用
してポリエステルポリオールに極性基を導入し、このポ
リエステルポリオールとポリイソシアネート化合物とを
反応させることにより得ることができる。極性基を有す
る多塩基酸及び極性基を有するポリオールの例として
は、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル
酸、4−スルホフタル酸、3−スルホフタル酸、5−ス
ルホイソフタル酸ジアルキル、2−スルホイソフタル酸
ジアルキル、4−スルホフタル酸アルキル、3−スルホ
フタル酸アルキル、およびこれらのナトリウム塩あるい
はカリウム塩並びにジメチロールプロピオン酸およびこ
のナトリウムあるいはカリウム塩を挙げることができ
る。この反応自体はすでに公知であり、本発明において
も公知の方法に従って行なうことができる。なお、ポリ
エステルポリオールの調製の際に用いる極性基を有しな
いポリオール成分および極性基を有しない多塩基酸とし
ては通常のものを用いることができる。
【0037】こうして得られる特定の極性基を有するポ
リエステルポリオールの数平均分子量は通常500〜8
000の範囲内に調整される。このポリエステルポリオ
ールと反応するポリイソシアネート化合物は通常のもの
を用いることができる。
【0038】ポリウレタン系樹脂は、数平均分子量が1
0,000〜200,000(好ましくは15,000
〜60,000)の範囲内にあることが好ましい。
【0039】また、上記の製造法の他に、予め水酸基を
有するポリウレタン樹脂を調製し、この水酸基と極性基
および塩素原子を含有する化合物(例、モノクロル酢
酸)との脱塩酸反応により極性基を導入する方法を利用
することもできる。
【0040】本発明において結合剤として、上記の塩化
ビニル系共重合体とポリウレタン系樹脂とを併用する場
合、塩化ビニル系共重合体とポリウレタン系樹脂とは重
量比で、通常35:65〜80:20(好ましくは4
0:60〜70:30)の範囲内にて使用される。上述
した塩化ビニル系共重合体とポリウレタン系樹脂とを併
用した場合、他の樹脂成分を使用した場合よりも磁性層
中における強磁性金属微粉末の分散状態は向上する傾向
がある。そして、本発明においては、後述の特定の有機
リン化合物を用いることにより、強磁性金属微粉末の分
散性能がさらに向上し、また上記の樹脂成分を使用する
ことによりこの強磁性金属微粉末が結合剤中に分散され
やすくなり、両者が共同して磁気記録媒体の電磁変換特
性がさらに向上するとの効果を有するようになる。
【0041】さらに結合剤は、上記の塩化ビニル系共重
合体とポリウレタン系樹脂にポリイソシアネート化合物
を添加した硬化体であることが好ましい。この場合、ポ
リイソシアネート化合物としては通常のものを用いるこ
とができ、その具体的な例としては、ジフェニルメタン
−4、4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネートなどのジイソシアネ
ート3モルとトリメチロールプロパン1モルの反応生成
物、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルのビューレ
ットアダクト化合物、トリレンジイソシアネート5モル
のイソシアヌレートアダクト化合物、トリレンジイソシ
アネート3モルとヘキサメチレンジイソシアネート2モ
ルのイソシアヌレートアダクト化合物、およびジフェニ
ルメタンジイソシアネートのポリマーを挙げることがで
きる。ポリイソシアネート化合物の使用量は、通常上記
ポリウレタン系樹脂と同等もしくはそれ以下とする。
【0042】このようにポリウレタン系樹脂、塩化ビニ
ル系共重合体およびポリイソシアネート化合物を用いる
ことにより、ポリイソシアネート化合物がポリウレタン
系樹脂と塩化ビニル系共重合体との間に三次元的な架橋
を形成し強靭な結合剤とすることができる。
【0043】本発明の磁気記録媒体は、上記強磁性金属
微粉末が上記結合剤に分散されてなる磁性層中に、下記
の一般式(1)もしくは(2)で表わされるアリール基
含有有機リン化合物を少なくとも一種含むことを特徴と
している。
【0044】
【化3】
【0045】[Rは、アリール基で置換されてい炭素
数1〜4のアルキル基、またはメチルもしくはエチルで
置換されていてもよいアリール基を表わし、Mは、水素
原子、アルカリ金属、または−N+(R1 )4、(但し、R
1 は炭素数2以下のアルキル基)を表わし、そしてn
は、1または2を表わす]
【0046】Mの具体例としては、水素原子、ナトリウ
ム、カリウム、テトラエチルアンモニウムイオン等を挙
げることができる。
【0047】Rの具体例としては、下記のものを挙げる
ことができる。アリール基で置換されてい炭素数1〜
4のアルキル基、例えば、ジフェニルメチル基等、メチ
ルもしくはエチルで置換されていてもよいアリール基、
例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ジフ
ェニル基、p−エチルフェニル基、トリル基、キシリル
基等。なお、上記アリール基はインデンあるいはテトラ
リンのようなベンゼン環以外の環を含むものであっても
よい。
【0048】上記一般式で表わされるアリール基含有
機リン化合物としては、下記の化合物を挙げることがで
きる。 (1)α−ナフチルリン酸
【0049】
【化4】
【0050】(2)フェニルリン酸
【0051】
【化5】
【0052】(3)ジフェニルリン酸
【0053】
【化6】
【0054】(4)上記のリン酸のモノおよびジエステ
ルの塩
【0055】(5)亜リン酸ジフェニル
【0056】
【化7】
【0057】(6)上記の亜リン酸のモノおよびジエス
テルの塩を挙げることができる。
【0058】アリール基含有有機リン酸化合物の中で
、フェニル基を有する有機リン化合物が好ましい。
【0059】このような有機リン化合物は、金属表面に
上記の極性基で吸着もしくは結合する性質を有してお
り、磁性層において上記有機リン化合物は主に強磁性金
属微粉末の表面に上記の極性基で吸着もしくは結合した
状態で存在しているものと推察される。この金属表面へ
の吸着力は、カルボン酸やスルホン酸等のほかの有機酸
化合物に比較して、本発明で用いられる有機リン化合物
は金属表面から脱着し難い。従って、本発明の強磁性金
属微粉末の表面には、有機リン化合物が強く吸着し、且
アリール基の芳香族環で被覆されたような状態になる
ので、強磁性粉末の樹脂成分に対する親和性が向上し、
さらに強磁性金属微粉末の分散安定性も改善されるもの
と推察される。
【0060】また、強磁性金属微粉末と結合剤とが有機
リン化合物の上記作用により強い相互作用を持つように
なるため、磁性層が形成された時の強磁性金属微粉末の
表面からの脱着が起こらなくなり、走行性および走行耐
久性が顕著に向上すると考えられる。さらに、本発明の
用いられる有機リン化合物は、スルホン酸等の他の有機
酸化合物に比較して吸水性が低いため耐水性および耐久
性も良好であるといえる。
【0061】本発明の磁気記録媒体の磁性層には通常、
上記有機リン化合物が、強磁性金属微粉末100重量部
に対して通常0.03〜10重量部の範囲内の含有量で
含まれている。特にその含有量を0.04〜7重量部の
範囲内に設定することにより磁性層表面の光沢度が高く
なるなど強磁性金属微粉末の分散状態が良好になる。さ
らにその含有量を0.05〜5重量部の範囲内に設定す
ることにより電磁変換特性が著しく改善される。含有量
が0.03重量部より少ないと、配合の効果が有効に現
われないことがあり、また10重量部より多く配合して
も強磁性金属微粉末の分散状態がそれ以上向上しないこ
とがある。
【0062】本発明において、有機リン化合物を磁性層
に含有させて強磁性金属微粉末の分散性を向上させる方
法としては、この有機リン化合物を低沸点の有機溶媒中
に溶解もしくは分散状態にし、この溶液中に強磁性金属
微粉末を投入して混合したのち、有機溶剤を除去して前
処理した強磁性金属微粉末を調製し、この強磁性金属微
粉末を用いて磁気記録媒体を製造する方法、および磁性
塗料を調製する際に上記の有機リン化合物を、好ましく
は磁性塗料調製用溶剤の一部に溶解もしくは分散した状
態で投入して混練分散を行なう方法などを利用すること
ができる。
【0063】さらに、本発明の磁気記録媒体の磁性層に
は、脂肪酸が含有されていることが好ましい。磁性層に
おいて、脂肪酸は潤滑剤として作用するが、磁性塗料を
調製する際には、強磁性金属微粉末の分散性を向上させ
るように作用する。脂肪酸を含む場合において、脂肪酸
の含有量は、強磁性金属微粉末100重量部に対して通
常は0.1〜5重量部(特に好ましくは0.3〜4重量
部)の範囲内に設定する。脂肪酸の例としては、カプリ
ン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレ
イン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレイン酸およ
びステアロール酸等を挙げることができる。
【0064】脂肪酸を使用する場合にはさらに、潤滑剤
として、脂肪酸エステルを組み合わせて使用することに
より潤滑性が向上する。脂肪酸エステルを用いる場合に
おいて、脂肪酸エステルの含有量は、強磁性金属微粉末
100重量部に対して通常は0.1〜5重量部(特に好
ましくは0.3〜4重量部)の範囲内に設定する。脂肪
酸および脂肪酸エステルを併用する場合、通常脂肪酸と
脂肪酸エステルとは重量比で1:9〜9:1の範囲内の
配合比率にて使用する。脂肪酸エステルの例としては、
ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸メチル、ステアリン
酸ブチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブトキシ
エチルおよびステアリン酸ブトキシエチル等を挙げるこ
とができる。
【0065】本発明の磁気記録媒体の磁性層は、さらに
モース硬度5以上の無機質粒子を含有することが好まし
い。無機質粒子は、モース硬度が5以上であれば特に制
限がない。その例としては、Al2 3(モース硬度
9)、TiO(同6)、TiO2(同6.5)、SiO
2(同7)、SnO2(同6.5)、Cr2 3(同9)、α
−Fe2 3(同5.5)等を挙げることができる。これ
らは、単独あるいは混合して使用することができる。こ
れらの中では、モース硬度8以上の無機質粒子が走行耐
久性を向上させる上で好ましい。無機質粒子の含有量
は、一般に、強磁性金属微粉末100重量部に対して
0.1〜20重量部の範囲であり、好ましくは1〜10
重量部である。
【0066】また、帯電防止剤として、カーボンブラッ
ク(特に平均粒径が10〜300nmのものが好まし
い)などが含まれていることが好ましい。
【0067】次に本発明の磁気記録媒体を製造する方法
について説明する。本発明の磁気記録媒体は、強磁性金
属微粉末、結合剤、さらに所望により用いられる上記の
添加剤などを、通常使用されている分散媒体であるメチ
ルエチルケトン、トルエン、酢酸ブチルあるいはシクロ
ヘキサキノンなどの有機溶剤に分散して磁性塗料を調製
し、この磁性塗料を磁性層の乾燥厚が通常0.2〜10
μmとなるように非磁性支持体上に塗布した後、磁場配
向処理、乾燥、表面平滑化処理および硬化処理などを行
ない、次いで裁断する通常の方法を利用して製造するこ
とができる。ただし、上記方法を実施する際に、上述し
たようにして前処理した強磁性金属微粉末を用いるか、
もしくは混練分散の際に上記有機リン化合物を添加する
などの方法を利用して上記有機リン化合物が磁性層に含
有されるようにする。
【0068】磁性層は非磁性支持体上に直接塗布して付
設されるのが一般的であるが、接着層あるいは下塗り層
を介して付設することも可能である。磁性塗料の調製方
法、塗布方法、磁場配向処理方法、乾燥方法、表面平滑
化処理方法および硬化処理方法などは既に公知であり、
本発明の磁気記録媒体もこれらの方法に従って製造する
ことができる。
【0069】
【実施例】次に本発明の実施例及び比較例を示す。な
お、以下に記載する実施例および比較例において、
「部」とは「重量部」を表わすものである。
【0070】[実施例1]
【0071】
【表1】 ──────────────────────────────────── 磁性塗料組成 強磁性金属微粉末 100部 (組成:Fe 94Wt%、 Zn 4Wt% 、 Ni 2Wt% 、 Hc: 15000e 、 σs: 122 emu / g 、 比表面積:54m2 /g) 塩化ビニル共重合体 *1 12部 ポリウレタン樹脂 *2 8部 α−Al2 3 5部 ステアリン酸 2部 ステアリン酸ブチル 2部 メチルエチルケトン 125部 トルエン 125部 フェニルリン酸 1.0部 ────────────────────────────────────
【0072】上記の塩化ビニル系共重合体(*1)およ
びポリウレタン系樹脂(*2)は以下に記載する方法に
より調製したものである。
【0073】(*1):塩化ビニル系共重合体 電磁誘導攪拌機及び圧力計が備えられている容量500
mLのステンレス製オートクレーブにポリビニルアルコ
ール0.6gを溶解した窒素置換されている蒸留水(3
00mL)、アゾビスイソブチルニトリル(0.15
g)、グリシジルメタクリレート(16.6g)および
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウム(8.0g)を加え、蓋をした後、オートクレ
ーブ内の温度が−20℃になるまでドライアイス・メタ
ノール溶中で冷却した。次いで、オートクレーブ内に窒
素ガスを導入して内部の気体を窒素ガスで置換し、冷却
した液状の塩化ビニル100gをすばやく加え、攪拌し
ながら約15分間で60℃まで昇温し重合反応を行なっ
た。この反応は、オートクレーブ内の反応性成分が消費
され圧力が低下するまで行なった。
【0074】圧力低下後、常温まで冷却し、オートクレ
ーブ内に残存する塩化ビニルを窒素を導入して除去し、
生成物を取出して充分水洗いし、白色粉末上の重合物を
濾取し、40℃で12時間真空乾燥した。生成物は、元
素分析の結果、塩化ビニル、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸ナトリウム及びグリシジルメ
タクリレートが、87.5:2.5:10のモル比で共
重合した塩化ビニル系共重合体であった。また、メチル
エチルケトンで測定した共重合体の極限粘度[η]は、
0.21であった。
【0075】(*2):ポリウレタン樹脂 温度計、攪拌機および部分還流式冷却装置を備えた反応
容器にジメチルテレフタレート582g、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸ジメチル157g、エチレングリ
コール434g、ネオペンチルグリコール728g、酢
酸亜鉛0.66g、酢酸ナトリウム0.08gを加え1
40〜220℃で2時間反応させ、次にセバチン酸12
12gを加え2時間反応させた後、反応系を30分間か
けて20mmHgまで減圧し、さらに5〜20mmH
g、250℃で50分間重合反応を行なってポリエステ
ルポリオールを製造した。
【0076】得られたポリエステルポリオールは、テレ
フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチ
ル、セバシン酸、エチレングリコール、ネオペンチルグ
リコールが、15.3:2.9:30.7:22.5:
28.6のモル比で結合しているポリエステルポリオー
ルであった。
【0077】温度計、攪拌機、そして還流式冷却器を備
えた反応容器の中に上記ポリエステルポリオール100
0g、トルエン1280g、メチルイソブチルケトン8
50g、ジフェニルメタンジイソシアネート71g、そ
してジブチル錫ジラウレート1.2gを加え、70〜9
0℃で8時間反応させた。得られたポリウレタン系樹脂
中には5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルが
0.25モル%が重合していた。
【0078】[磁性塗料の調製及び磁気記録媒体の製
造] 前記のトルエンの一部を採りフェニルリン酸を加えて、
フェニルリン酸の20重量%トルエン溶液を調製した。
得られたトルエン溶液および上記の組成物成分の残部を
ボールミルを用いて48時間混練分散した後、これにポ
リイソシアネート化合物(バイエル社製、デスモジュー
ルL)8部を加え、さらに1時間混練分散した後、1μ
mの平均孔径を有するフィルタを用いて濾過し、磁性塗
料を調製した。得られた磁性塗料を、乾燥後の磁性層の
厚さが4.0μmになるように、厚さ10μmのポリエ
チレンテレフタレート支持体の表面に塗布した。磁性塗
料が塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が未乾燥の状
態で3000ガウスの磁石で磁場配向処理を行ない、さ
らに乾燥後、スーパーカレンダー処理を行ない、8mm
幅にスリットして、8ミリビデオ用テープを製造した。
【0079】[比較例1] 実施例1において、フェニルリン酸を使用しなかった以
外は同様にして比較用の8ミリビデオテープ用テープを
製造した。
【0080】[比較例2] 実施例1において、フェニルリン酸の代わりにリン酸n
−ブチルを使用した以外は同様にして比較用の8ミリビ
デオテープ用テープを製造した。
【0081】実施例1、そして比較例1と2のそれぞれ
おいて製造した8ミリビデオテープ用テープの諸特性
を下記評価項目により評価した。
【0082】[評価項目] (1)表面光沢度 標準光沢度計(スガ試験機(株)製)を用いて入射角4
5度、反射角45度における磁性層表面の光沢度を測定
した。なお、表記した値は比較例1で得られた磁気記録
媒体の磁性層表面の光沢度を100%としたときの値で
ある。
【0083】(2)最大残留磁束密度(Bm)及び角型
比(SQ) 振動試験磁束計(VSM)(東英工業(株)製)を用い
て磁場強度(Hm)5kOeにおける磁気特性を測定し
て求めた。
【0084】(3)C/N比 市販の8mmビデオテープレコーダー(Fujix−
8)を用いて、5MHzの信号を記録し、この信号を再
生した時の5±1MHzの範囲内に発生するノイズを測
定し、このノイズに対する再生信号の比を測定した。測
定は、NV−870HD型出力レベル測定器(松下電器
産業(株)製)を用いて行なった。なお、表記した値は
比較例1で得られた磁気記録媒体のC/N比をOdBと
したときの値である。
【0085】(4)摩擦係数 ステンレスボール(SUS420J、表面粗さ0.1
s、5mmφ)と接触させて、荷重20g、1.4m/
秒の速度でビデオテープ走行させた時の摩擦係数を測定
した。測定時の雰囲気は、温度25℃、湿度65%RH
である。評価結果を第1表に示す。
【0086】
【表2】 第1表 ──────────────────────────────────── 表面光沢 Bm SQ C/N 摩擦係数 (%) (ガウス) (dB) ──────────────────────────────────── 実施例1 118 3030 0.86 2.6 0.30 ──────────────────────────────────── 比較例1 100 2800 0.81 0 0.35 比較例2 115 3000 0.84 1.8 0.34 ────────────────────────────────────
【0087】なお、摩擦係数測定時にスティックスリッ
プの有無についても観察したが、実施例1および比較例
2ではスリップが見られず、比較例1では少しスリップ
が見られた。
【0088】第1表から明らかなように、本発明の磁気
記録媒体は、ビデオテープの表面光沢度が高いことから
ビデオテープ表面の平滑性、BmおよびSQが高いこと
から磁気特性、S/Nが高いことから電磁変換特性、そ
して摩擦係数が低くスティックスリップも見られないこ
とから走行性および走行耐久性、これら全てが優れたも
のであることが分かる。
【0089】一方、本発明の有機リン化合物を使用して
いない比較例1では強磁性金属微粉末の分散性が充分な
ものでは無いため、上記評価結果が実施例に比較して全
般的に劣ったものとなっている。また、比較例2に見ら
れるように、用いる有機リン化合物がアリール基を持た
ない場合には、有機リン化合物を添加しない場合に比べ
ると、ビデオテープ表面の平滑性、磁気特性、そして電
磁変換特性のそれぞれについて向上しており、また摩擦
係数の低下も見られるが、アリール基を持つ有 機リン化
合物を添加した場合に比べると、それらの改良効果が少
ないことが明らかである。
【0090】
【発明の効果】本発明の磁性層に極性基を有する結合剤
と置換基としてアリール基を有する特定の有機リン化合
物を含む磁気記録媒体は、磁性層の表面の平滑性、磁気
特性、電磁変換特性、そして走行性および走行耐久性の
全てが優れたものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大屋 隆男 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富士写真フイルム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−289924(JP,A) 特開 昭62−76026(JP,A) 特開 昭62−26630(JP,A) 特開 昭62−146432(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/708 C09D 5/23 G11B 5/702

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体と、該支持体上に設けられ
    た結合剤中に比表面積が42m2 /g以上の強磁性金属
    微粉末を分散させた磁性層からなる磁気記録媒体におい
    て、該磁性層が、下記の一般式(1)もしくは(2): 【化1】 [但し、Rは、アリール基で置換されてい炭素数1〜
    4のアルキル基、またはメチルもしくはエチルで置換さ
    れていてもよいアリール基を表し、Mは、水素原子、ア
    ルカリ金属、または−N+ (R1 4 (但し、R1 は炭
    素数2以下のアルキル基)を表わし、そしてnは、1ま
    たは2を表わす]で表わされるアリール基含有有機リン
    化合物を少なくとも一種含み、かつ該結合剤が、−CO
    OM2 、−SO3 1 、−OSO3 1 、及び−PO
    (OM1 2 (但し、M1 は水素原子もしくはアルカリ
    金属原子を、そしてM2 はアルカリ金属原子を表わす)
    で表わされる極性基を少なくとも一種含む塩化ビニル系
    共重合体もしくはポリウレタン系樹脂を含むものである
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 結合剤の極性基が−SO3 Naで表わさ
    れる基である特許請求の範囲第1項記載の磁気記録媒
    体。
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