JP3122006B2 - トレーリングアーム式サスペンション - Google Patents

トレーリングアーム式サスペンション

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JP3122006B2
JP3122006B2 JP07071445A JP7144595A JP3122006B2 JP 3122006 B2 JP3122006 B2 JP 3122006B2 JP 07071445 A JP07071445 A JP 07071445A JP 7144595 A JP7144595 A JP 7144595A JP 3122006 B2 JP3122006 B2 JP 3122006B2
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直文 佐藤
博之 井出
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日産車体株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車軸を支持するトレー
リングアームにキャンバ変化をコントロールするための
アッパアームならびにロアアームを連結した、ダブルウ
イッシュボーン式とも呼ばれるトレーリングアーム式サ
スペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】操縦安定性が高く、ジオメトリ変化やコ
ンプライアンスチューニングなどの設計自由度が高いサ
スペンションとしてトレーリングアームにアッパアーム
とロアアームとを連結させたダブルウイッシュボーンタ
イプのトレーリングアーム式サスペンションが知られて
いる。この形式のサスペンションは、上述のように設計
自由度が高いことで荷室の床面を低く設計することに有
効であることから、スポーツタイプの車両だけでなく、
ワンボックスタイプやワゴンタイプやトラックタイプの
車両にも用いられることが多い。
【0003】上述のようなトレーリングアーム式サスペ
ンションとして、例えば、特開平4−358909号公
報に記載のものが知られており、この従来のトレーリン
グアーム式サスペンションは、トレーリングアームの前
端が車体にゴムブッシュを介して支持され、このトレー
リングアームの後端に車軸が支持され、トレーリングア
ームの車軸の近傍位置に、アッパアームならびにロアア
ームの一端がボールジョイントを介して連結され、これ
らアッパアームならびにロアアームの他端が車体にボー
ルジョイントを介して連結され、さらに、補助リンクが
ボールジョイントを介してトレーリングアームの前端近
傍と車体とに連結された構造となっており、旋回時や制
動時などにおいて、トレーリングアームに対して横方向
と後方とのいずれか一方あるいは両方に力が作用したと
きには、補助リンクがトレーリングアームの前端が後端
よりも車両内方に変位するように作用し、すなわち、ト
ーイン方向に変位させるように作用して、車両がオーバ
ステア傾向となるのを防止できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
にトレーリングアーム式サスペンションは高い旋回性能
が得られるが、このように操縦安定性を高めるためには
ロールセンタ高が低くなるようなチューニングが行われ
るのが一般的である。すなわち、図2に示すアッパアー
ム6の車体への取り付け位置を下げると車輪がネガティ
ブキャンバ角に設定されて旋回性能が高くなる。なお、
図において7はロアアーム、1はトレーリングアームで
ある。
【0005】そこで、上述の従来のサスペンションを、
特に、荷物の積載量の大きな車両、すなわち空車時と最
大積載時の重量差の大きな車両(以下、これを空積差の
大きな車両という)に適用し、かつ、上述のように旋回
性能を高めるべく、図4のに示すようにフルストロー
ク時(高G旋回時)にネガティブキャンバ角となるよう
なキャンバ角特性に設定すると、図示のようにサスペン
ションストロークの常用域(すなわち、空車からフル積
車の範囲)でも、ネガティブキャンバ角が大きくなり、
タイヤに偏摩耗が生じるという問題があった。
【0006】要するに、従来のサスペンションは、スト
ローク量とキャンバ角とが略線形の比例関係にあるた
め、フルストローク時(高G旋回時)のネガティブキャ
ンバ角を大きくすると常用域のネガティブキャンバ角も
大きくなり過ぎてタイヤが偏摩耗するという問題が生じ
る。そこで、従来では図4に示すように、常用域でタ
イヤの偏摩耗がある程度生じ難く、フルストローク時
(高G旋回時)の旋回性能もある程度得られるキャンバ
角特性に設定するというように折衷案的なチューニング
を行っていた。
【0007】要するに、従来では、ストローク量とキャ
ンバ角とが略線形の比例関係にあるため、高G旋回性能
とタイヤの偏摩耗防止の両立を図ることができなかっ
た。
【0008】また、上述のように空積差の大きな車両で
は、空車時と積車時とで操縦性が大きく変化しないよう
に空車時・積車時のロール率を均等にするのが好まし
く、このためには、ロールセンタ高変化をできるだけ小
さくするのが好ましいのであるが、ロールセンタ高変化
を小さくすると、フルストローク時の操縦安定性が不足
することになる。すなわち、図7においては従来のロ
ールセンタ高特性を示すものであるが、従来、ストロー
ク量とロールセンタ高とが略線形の関係にあるため、
のようにストローク量に対するロールセンタ高の変化率
を小さく(の傾斜が立った特性)すると、フルストロ
ーク時のロールセンタ高が高くなり、操縦安定性が不足
するものである。ところで、上述のようにロールセンタ
高の変化率の小さい特性であっても、常用域のロールセ
ンタ高を低く設定すると、フルストローク時のロールセ
ンタ高も低くなって操縦安定性が高くなるが、このよう
に設定した場合、車両の重心とロールセンタ高との間隔
が広がることになり、旋回時に重心に作用するモーメン
トが大きくなってロールが大きくなり好ましくない。
【0009】要するに、従来では、常用域で旋回時のロ
ール量が大きくならないようなロール高さを確保しなが
ら、ロールセンタ高の変化率を小さく抑えることと、フ
ルストローク時(高G旋回時)にロールセンタ高を低く
することの両立が図れないという問題があった。
【0010】さらに、上述の従来技術では、フルストロ
ーク時のストッパとなるバンパラバーは、トレーリング
アームと車体との間にストラットが設けられている場合
にはストラットに設定するのが一般的である。
【0011】また、アッパアームとして例えばA形状な
どの受け面積を大きく確保できる形状のアッパアームを
用いている場合には、アッパアームをバンパラバーに衝
突させることもあるが、このように、アッパアームをA
形状などの受け面積が大きな形状に形成した場合には、
上述の従来技術のような1本ロッド構造のアッパアーム
で得たいジオメトリに設定できない場合もある。
【0012】すなわち、従来では、1本のロッド構造の
アッパアームでバンパラバーを受けることは成されてお
らず、また、このような1本のロッド構造で受けた場
合、アッパアームがバンパラバーに斜めに当たると、ア
ッパアームの取付部に対して軸直交方向の分力が生じ
て、アッパアームの取付部のブッシュが車体側の部材と
衝突したり車体側の部材とこじれるおそれがあるという
問題があった。
【0013】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、高G旋回性能とタイヤの偏摩耗防止と
の両立を図ることを第1の目的とし、常用域で旋回時の
ロール量が大きくならないようなロール高さを確保しな
がら、ロールセンタ高変化率を小さく抑えることと、フ
ルストローク時(高G旋回時)にロールセンタ高を低く
することの両立を図ることを第2の目的とし、さらに、
1本ロッド構造のアッパアームをバンパラバーと衝突さ
せても、アッパアームの取付部が車体側の部材と衝突し
たりこじれたりし難いようにすることを第3の目的とし
ている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述の第1の目的を達成
するため請求項1記載の発明では、車輪の車軸を支持す
るトレーリングアームが、車両前後方向に延在されてい
るとともに、前端部が車体に上下方向に回動可能に支持
され、前記トレーリングアームに、それぞれ一端が車体
に上下方向に回動可能に取り付けられているアッパアー
ムならびにロアアームの他端が上下方向に回動可能に取
り付けられているトレーリングアーム式サスペンション
において、前記アッパアームとその上方の車体との少な
くともいずれか一方に、サスペンションのフルストロー
ク時にいずれか他方と衝突可能にバンパラバーが設けら
れ、前記アッパアームの少なくとも車体側取付部が、弾
性ブッシュを介して取り付けられているとともに、この
弾性ブッシュの弾性変形に基づいてサスペンションのフ
ルストローク時に、バンパラバーがアッパアームとその
上方の車体のいずれかとに衝突してアッパアームが下方
に押し下げられたときに、アッパアームの車体側取付部
の下方への変位量がトレーリングアーム側取付部の下方
への変位量よりも大きくなるよう構成した。
【0015】上述の第2の目的を達成するため請求項2
記載の発明では、車輪の車軸を支持するトレーリングア
ームが、車両前後方向に延在されているとともに、前端
部が車体に上下方向に回動可能に支持され、前記トレー
リングアームに、それぞれ一端が車体に上下方向に回動
可能に取り付けられているアッパアームならびにロアア
ームの他端が上下方向に回動可能に取り付けられている
トレーリングアーム式サスペンションにおいて、前記ア
ッパアームとその上方の車体との少なくともいずれか一
方に、サスペンションのフルストローク時に他方と衝突
可能にバンパラバーが設けられ、このバンパラバーは、
アッパアームあるいは車体との衝突時にアッパアームを
後方に押す反力を形成する角度に傾斜して取り付けられ
ている構成とした。
【0016】上述の第3の目的を達成するため請求項3
記載の発明では、車輪の車軸を支持するトレーリングア
ームが、車両前後方向に延在されているとともに、前端
部が車体に上下方向に回動可能に支持され、前記トレー
リングアームに、それぞれ一端が車体に上下方向に回動
可能に取り付けられているアッパアームならびにロアア
ームの他端が上下方向に回動可能に取り付けられている
トレーリングアーム式サスペンションにおいて、前記ア
ッパアームの上方の車体に、サスペンションのフルスト
ローク時にアッパアームと衝突可能にバンパラバーが設
けられ、前記アッパーアームが、一本のロッドで形成さ
れているとともに、一般軸部が両端の取付部を結ぶ直線
よりも下方にオフセットされて形成されている構成とし
た。
【0017】
【作用】まず、請求項1記載の発明の作用を説明する。
【0018】高速旋回のように横加速度の大きい旋回
(これを高G旋回と称する)を行い、サスペンションが
フル積載時よりもバウンド方向にストロークすると、ア
ッパアームがバンパラバーを介して車体と衝突する。
【0019】この衝突により、アッパアームを下方に押
す反力が生じ、この反力でアッパアームの車体側取付部
の弾性ブッシュが変形して車体側の取り付け点の位置が
下がる。これにより、サスペンションのジオメトリが、
通常、ネガティブキャンバに設定する場合と同様に変化
して、車輪のネガティブキャンバ角が大きくなる。
【0020】このように、アッパアームがバンパラバー
を介して車体と衝突するフルバウンド時にはネガティブ
キャンバ角を大きくできるため、常用域では、タイヤの
偏摩耗を防止できるキャンバ角に設定しながら、高G旋
回時には必要な操縦性が得られるだけネガティブキャン
バ角を大きくすることができる。
【0021】次に、請求項2記載の発明の作用を説明す
る。
【0022】高G旋回を行い、サスペンションが常用域
よりもバウンド方向にストロークすると、アッパアーム
がバンパラバーを介して車体と衝突する。この時、バン
パラバーでは、その傾斜に基づいてアッパアームを後方
に押し戻す方向に反力が生じて、アッパアームが後方に
変位する。このアッパアームの動きにより、トレーリン
グアームならびに車輪が車両の内側に変位することにな
り、この結果、ロールセンタ高が低下する。
【0023】このように、アッパアームがバンパラバー
を介して車体と衝突するフルバウンド時にはロールセン
タ高さを低くできるため、常用域では、ロールセンタ高
の高さをある程度確保した上でロール率の変化の少ない
特性に設定しながら、高G旋回時には必要な操縦安定性
が得られるだけロールセンタ高を低くすることができ
る。
【0024】次に、請求項3記載の発明の作用を説明す
る。
【0025】アッパアームの一般軸部がバンパラバーに
衝突した時には、それよりも上方にオフセット配置され
ている両端の取付部に対して、下方への引張力が生じ
る。したがって、一般軸部とバンパラバーとが斜めに衝
突してバンパラバーの反力が一般軸部に対して前後方向
に作用した場合、一般軸部は、両端の取付部を中心とし
かつオフセット量を半径として回動するように動作す
る。
【0026】
【実施例】本発明実施例を図面に基づいて説明する。な
お、実施例を説明するにあたり、荷物の積載スペースが
大きく空積差の大きな車両に適用した場合を例に採る。
【0027】図1は、請求項1記載の発明の実施例であ
る第1実施例のトレーリングアーム式サスペンションを
示す平面図である。ちなみに、図には左車輪LRを懸架
している部分を示している。図中1はトレーリングアー
ムで、このトレーリングアーム1は、前端(図において
FRが車両前方、Lが車両左方向を示す)がゴムブッシ
ュ2を介して回動軸を中心に上下方向に回動可能に車体
に支持されている。また、前記トレーリングアーム1の
後端部には、図2に示すように左車輪LRの車軸3が回
転自在に支持されている。
【0028】前記トレーリングアーム1の車軸3を支持
している位置の上下には、アッパアーム6ならびにロア
アーム7の一端が、ゴムブッシュ6a,7aを介して上
下方向に回動自在に取り付けられている。また、前記ア
ッパアーム6ならびにロアアーム7の他端は、トレーリ
ングアーム1への連結位置よりも車両前方位置の車体B
に、ゴムブッシュ6b,7bを介して上下方向に回動可
能に取り付けられている。そして、アッパアーム6を支
持するゴムブッシュ6a,6bのうちで、アッパアーム
6の車体Bへの取付位置のゴムブッシュ6bは、他方6
aよりも弾性係数の低いものが用いられている。なお、
各ゴムブッシュ2,6a,6b,7a,7bは、図示は
省略するが金属製の内筒と外筒の間にゴム製のインシュ
レータを介在させた周知のものが用いられ、内筒が車体
Bの軸に支持されている。
【0029】前記トレーリングアーム1の中間位置と車
体Bとの間には、図示を省略したショックアブソーバと
スプリングとが略同軸に設けられたストラット8が介在
されている。
【0030】さらに、前記アッパアーム6の上方位置の
車体には、サスペンションがフルストロークしたときに
アッパアーム6が衝突する高さにバンパラバー9が設け
られている。
【0031】ところで、前記各アーム1,6,7は、左
後輪LRのキャンバ角特性が、空車状態から最大積載の
フル積車までの常用域では、図4の実線に示す特性、
すなわち、常用域のストローク範囲の中間でキャンバ角
が0となるようにタイヤTの偏摩耗の少ない特性に設定
されている。
【0032】次に、第1実施例の作用について説明す
る。
【0033】常用域の範囲でサスペンションがストロー
クしているときには、タイヤTのキャンバ角は、図4に
示すようにストローク量に略比例した特性となってお
り、この場合、キャンバ角が小さくタイヤTの偏摩耗量
が少ない。
【0034】次に、高G旋回を行って、サスペンション
がフル積車状態よりもバウンド方向にストロークする
と、図3に示すように、アッパアーム6がバンパラバー
9に衝突する。
【0035】この衝突により、アッパアーム6を下方に
押す力が生じ、これによりゴムブッシュ6a,6bが変
形するが、弾性係数の小さな車体B側のゴムブッシュ6
bの方が大きく変形してアッパアーム6の車体Bへの取
り付け点の位置が下がる。これにより、通常、ネガティ
ブキャンバに設定する場合と同じにジオメトリが変化し
て、図4のに示すように、非線形特性となってタイヤ
Tのネガティブキャンバ角が大きくなる。
【0036】以上のように第1実施例では、空車とフル
積車の間の常用域を越えるバウンド方向へのフルストロ
ーク時には、アッパアーム6がバンパラバー9に衝突し
て車体Bへの取り付け点が下方に移動するように構成し
たため、常用域では、タイヤTの偏摩耗を防止できるキ
ャンバ角に設定しながら、高G旋回時にはストローク量
に対するキャンバ角特性を非線形としてネガティブキャ
ンバ角を大きくすることができ、高G旋回性能とタイヤ
の偏摩耗防止との両立を図ることができるという効果が
得られる。
【0037】以下に、他の実施例について説明するが、
これら実施例を説明するにあたり、第1実施例と同様の
構成については第1実施例と同じ符号をつけて説明を省
略する。
【0038】請求項2記載の発明の実施例である第2実
施例のトレーリングアーム式サスペンションについて説
明する。
【0039】図5は第2実施例のサスペンションの側面
図、図6は同平面図であり、第2実施例のサスペンショ
ンは、トレーリングアーム1、アッパアーム6、ロアア
ーム7を備えているとともに、アッパアーム6の上方位
置に、常用域を越えるバウンド方向へのストローク時に
アッパアーム6と衝突する位置にバンパラバー9が設け
られている点は第1実施例と同様である。なお、各ゴム
ブッシュ6a,6b,7a,7bの弾性係数は等しいも
のとする。
【0040】そして、第2実施例では、バンパラバー9
の下面9a、ならびに車体Bのバンパラバー9の支持面
Baが、車両後側ほど上方に位置するように、角度αだ
け傾斜されている。
【0041】また、第2実施例のサスペンションでは、
ロールセンタ高の変化率が、図7に示すように、空車と
フル積車の間の常用域では、ロールセンタ高がある程度
の高さを有し、かつ変化率を小さく抑えたロールセンタ
高特性に設定されている。
【0042】次に、第2実施例の作用について説明す
る。
【0043】常用域の範囲でサスペンションがストロー
クしているときには、ロールセンタ高の変化率が小さ
い。したがって、空車時と積車時とでの操縦性の変化が
小さく操縦性に優れている。また、常用域ではロールセ
ンタ高は高めに設定されているから、車両重心との距離
が抑えられ、これにより旋回時のロール量も抑えられる
ようになっている。
【0044】次に、高G旋回を行って、サスペンション
がフル積車時よりもバウンド方向にストロークすると、
アッパアーム6がバンパラバー9に衝突する。この時、
バンパラバー9の下面9aが後方に上向きに傾斜してい
ることから、アッパアーム6を車両後方に移動させる反
力が生じる。この反力により、アッパアーム6は両端の
ゴムブッシュ6a,6bの変形に基づいて後方に変位す
る。すなわち、図5の一点鎖線はバンパラバー9を設
けない場合の左後輪LRの中心の移動軌跡であるが、ア
ッパアーム6がバンパラバー9に衝突して後方に押され
ることにより左後輪LRの中心の移動軌跡は同図二点鎖
線に示すように後方にずれる。
【0045】これを図6の平面図で見ると、左後輪LR
の接地点は一点鎖線上を移動するわけであるが、アッパ
アーム6がバンパラバー9に押されて後方に移動するた
め接地点の外側(左側)に変位する量も抑えられる(バ
ンパラバー9に押されることにより接地点はからへ
移動する)。すなわち接地点が外側へふくらむのが抑え
られるため、ロールセンタ高を低くすることができる。
【0046】以上のように第2実施例では、空車とフル
積車の間の常用域を越えるバウンド方向へのフルストロ
ーク時には、アッパアーム6がバンパラバー9に衝突し
てアッパアーム6を後方に押す反力が作用するように構
成したため、常用域では、ロールセンタ高の高さをある
程度確保した上でロール率の変化の少ない特性に設定し
ながら、高G旋回によりアッパアーム6とバンパラバー
9とが衝突した時には、ストローク量に対するロールセ
ンタ高特性を非線形としてロールセンタ高を低くするこ
とができ、常用域で旋回時のロール量が大きくならない
ようなロール高さを確保しながら、ロールセンタ高変化
量を抑えることと、フルストローク時(高G旋回時)に
ロールセンタ高を低くすることの両立を図ることができ
るという効果が得られる。
【0047】次に、図8,9に示す請求項3記載の発明
の実施例である第3実施例のトレーリングアーム式サス
ペンションについて説明する。
【0048】図8は第3実施例のサスペンションの背面
図、図9は図8の矢視C図であり、第3実施例のサスペ
ンションは、トレーリングアーム1、アッパアーム3
6、ロアアーム7を備えているとともに、アッパアーム
36の上方位置に、常用域を越えるバウンド方向へのス
トローク時にアッパアーム36と衝突する位置にバンパ
ラバー9が設けられている点は、第1実施例と同様であ
る。
【0049】そして、第3実施例のアッパアーム36
は、一般軸部36aの略全体が両端の取付部であるゴム
ブッシュ6a,6bの中心どうしを結ぶ直線aよりも寸
法Hだけ下方にオフセットして配置され、この一般軸部
36aは円柱形状に形成されている。
【0050】次に、第3実施例の作用を説明する。
【0051】トレーリングアーム1に対して路面や車体
から様々な方向の入力があるため、アッパアーム36の
トレーリングアーム1側の取付点が前後左右に移動した
りあるいは捩れたりすることがあり、アッパアーム36
の一般軸部36aがバンパラバー9に衝突する際に、真
下からだけでなく斜め下方から衝突したりする。
【0052】この衝突時には、アッパアーム36の一般
軸部36aが両端から下方にオフセットされている結
果、一般軸部36aがどのような角度で衝突しても、そ
の時に生じる反力Fは、アッパアーム36の両端のゴム
ブッシュ6a,6bを下方に引っ張るように作用する。
したがって、ゴムブッシュ6a,6bの中心点Dを中心
として、一般軸部36aを回動させるような動作を行
い、ゴムブッシュ6a,6bは軸方向(図9のb方向)
に移動しない。
【0053】これに対して、アッパアームが一般軸部が
オフセットしない一直線上に形成されている場合、例え
ば、図10に示すように、一般軸部がバンパラバー9に
対して斜めに衝突すると、軸方向に生じる分力F01によ
りゴムブッシュが軸方向に移動して、ゴムブッシュの外
筒が車体側の部材に衝突したり、こじれたりするおそれ
があるもので、特に、ゴムブッシュは、軸直交方向の弾
性係数よりも軸方向の弾性係数が小さい特性を有してい
ることから、軸方向の移動量が大きくこの問題が生じや
すい。
【0054】以上説明したように、第3実施例では、ア
ッパアーム36の一般軸部36aがバンパラバー9に衝
突した際に、ゴムブッシュ6a,6bでは、中心点Dを
中心とした回動運動となるため、ゴムブッシュ6a,6
bが車体側の部材に衝突したり、こじれたりすることが
ないという効果が得られる。
【0055】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても本発
明に含まれる。
【0056】例えば、第1・第2実施例のアッパアーム
6として第3実施例のアッパアーム36を用いてもよ
い。
【0057】また、第1・第2実施例では、アッパアー
ム、ロアアームとして実施例で示した1本ロッド形状以
外のアームを用いてもよい。
【0058】第1・第2実施例では、バンパラバー9を
車体に設けた例を示したが、バンパラバーをアッパアー
ム6に固定してもよい。
【0059】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1記載
のトレーリングアーム式サスペンションにあっては、ア
ッパアームの車体側を弾性ブッシュを介して取り付けて
トレーリングアーム側よりも上下方向に変位可能に取り
付け、アッパアームと車体との少なくともいずれか一方
に、フルストローク時に他方と衝突するバンパラバーを
設けた構成としたため、アッパアームと車体とがバンパ
ラバーを介して衝突するフルバウンド時にはネガティブ
キャンバ角を大きくすることができ、常用域では、タイ
ヤの偏摩耗を防止できるキャンバ角に設定しながら、高
G旋回時にはネガティブキャンバ角を大きくして、高G
旋回性能とタイヤの偏摩耗防止との両立を図ることがで
きるという効果が得られる。
【0060】請求項2記載の発明にあっては、バンパラ
バーを、アッパアームと車体との衝突時にアッパアーム
を後方に押す反力を形成する角度で取り付けた構成とし
たため、アッパアームがバンパラバーを介して車体と衝
突するフルバウンド時にはロールセンタ高さを低くで
き、常用域では、ロールセンタ高の高さをある程度確保
した上でロール率の変化の少ない特性に設定しながら、
高G旋回時にはストロークに対するロールセンタ高特性
を非線形としてロールセンタ高を低くすることができる
もので、常用域で旋回時のロール量が大きくならないよ
うなロール高さを確保しながら、ロールセンタ高変化量
を抑えることと、高G旋回時にロールセンタ高を低くす
ることの両立を図ることができるという効果が得られ
る。
【0061】請求項3記載の発明では、アッパアームを
一本のロッドで形成して、一般軸部が両端の取付部を結
ぶ直線よりも下方にオフセットさせて形成した構成とし
たため、アッパアームの一般軸部がバンパラバーに衝突
した時に、両端の取付部は一般軸部から下方へ引っ張ら
れるように反力が作用し、取付部側では1点を中心に回
動するように動作して、車体側の部材と衝突したりこじ
れたりするのを防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例のトレーリングアーム式サス
ペンションの平面図である。
【図2】第1実施例の背面図である。
【図3】第1実施例の動作説明図である。
【図4】第1実施例のキャンバ角特性図である。
【図5】本発明第2実施例のトレーリングアーム式サス
ペンションの側面図である。
【図6】第2実施例の平面図である。
【図7】第2実施例のロールセンタ高特性図である。
【図8】本発明第3実施例のトレーリングアーム式サス
ペンションの背面図である。
【図9】第8図の矢視C図である。
【図10】従来の動作説明図である。
【符号の説明】
LR 左車輪 1 トレーリングアーム 3 車軸 6 アッパアーム 6b ゴムブッシュ(弾性ブッシュ) 7 ロアアーム 9 バンパラバー 36 アッパアーム 36a 一般軸部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−51508(JP,A) 特開 平4−358909(JP,A) 実開 昭63−65505(JP,U) 実開 平1−114406(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60G 3/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪の車軸を支持するトレーリングアー
    ムが、車両前後方向に延在されているとともに、前端部
    が車体に上下方向に回動可能に支持され、 前記トレーリングアームに、それぞれ一端が車体に上下
    方向に回動可能に取り付けられているアッパアームなら
    びにロアアームの他端が上下方向に回動可能に取り付け
    られているトレーリングアーム式サスペンションにおい
    て、前記アッパアームとその上方の車体との少なくともいず
    れか一方に、サスペンションのフルストローク時にいず
    れか他方と衝突可能にバンパラバーが設けられ、 前記アッパアームの少なくとも車体側取付部が、弾性ブ
    ッシュを介して取り付けられているとともに、この弾性
    ブッシュの弾性変形に基づいてサスペンションのフルス
    トローク時に、バンパラバーがアッパアームとその上方
    の車体のいずれかとに衝突してアッパアームが下方に押
    し下げられたときに、アッパアームの車体側取付部の下
    方への変位量がトレーリングアーム側取付部の下方への
    変位量よりも大きくなるよう構成されていることを特徴
    とするトレーリングアーム式サスペンション。
  2. 【請求項2】 車輪の車軸を支持するトレーリングアー
    ムが、車両前後方向に延在されているとともに、前端部
    が車体に上下方向に回動可能に支持され、 前記トレーリングアームに、それぞれ一端が車体に上下
    方向に回動可能に取り付けられているアッパアームなら
    びにロアアームの他端が上下方向に回動可能に取り付け
    られているトレーリングアーム式サスペンションにおい
    て、 前記アッパアームとその上方の車体との少なくともいず
    れか一方に、サスペンションのフルストローク時に他方
    と衝突可能にバンパラバーが設けられ、 このバンパラバーは、アッパアームあるいは車体との衝
    突時にアッパアームを後方に押す反力を形成する角度に
    傾斜して取り付けられていることを特徴とするトレーリ
    ングアーム式サスペンション。
  3. 【請求項3】 車輪の車軸を支持するトレーリングアー
    ムが、車両前後方向に延在されているとともに、前端部
    が車体に上下方向に回動可能に支持され、 前記トレーリングアームに、それぞれ一端が車体に上下
    方向に回動可能に取り付けられているアッパアームなら
    びにロアアームの他端が上下方向に回動可能に取り付け
    られているトレーリングアーム式サスペンションにおい
    て、 前記アッパアームの上方の車体に、サスペンションのフ
    ルストローク時にアッパアームと衝突可能にバンパラバ
    ーが設けられ、 前記アッパーアームが、一本のロッドで形成されている
    とともに、一般軸部が両端の取付部を結ぶ直線よりも下
    方にオフセットされて形成されていることを特徴とする
    トレーリングアーム式サスペンション。
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