JP3121986B2 - 記録再生ヘッド用非磁性セラミックス - Google Patents

記録再生ヘッド用非磁性セラミックス

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JP3121986B2
JP3121986B2 JP06074547A JP7454794A JP3121986B2 JP 3121986 B2 JP3121986 B2 JP 3121986B2 JP 06074547 A JP06074547 A JP 06074547A JP 7454794 A JP7454794 A JP 7454794A JP 3121986 B2 JP3121986 B2 JP 3121986B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、薄膜磁気ヘッ
ド用セラミック基板、各種磁気ヘッド用スライダー、磁
気ヘッドのスペーサ、磁気テープ等のテープガイド、マ
イクロマシン用部品等に使用される記録再生ヘッド用非
磁性セラミックスに関するものであり、特にコンピュー
タ用ハードディスク(コンポジットタイプ、薄膜タイ
プ、積層タイプ等)、光磁気ディスク、フロッピーディ
スク、磁気テープ、またはオーディオ用レコーダやビデ
オテープレコーダ等の磁気記録に使用される磁気ヘッド
のスライダー用磁器に最適な記録再生ヘッド用非磁性セ
ラミックスに関するものである。
【0002】
【従来技術】近年においては、磁気記録の高密度化は急
速な進歩を遂げているが、この高密度化に伴い、ハード
ディスク、8mmVTR、電子スチルカメラ、ビデオフ
ロッピィーやデジタルオーディオ等の高保磁力媒体の記
録再生用磁気ヘッドとして、従来のフェライト等を使用
した磁気ヘッドに代わって、磁性薄膜を利用した磁気記
録の高密度化に好適な薄膜ヘッドが注目されている。
【0003】磁性薄膜を利用した薄膜ヘッドは、例えば
以下のようにして作製される。先ず、直径6インチない
し直径3インチの基板の表面にアルミナのスパッタ膜を
絶縁膜として形成した後、このアルミナ膜の上面にリソ
グラフィ技術を用い数千個のトランスデューサを形成す
る。トランスデューサを形成した基板上に再び絶縁性ア
ルミナ膜を形成する。そして、スライダーとしての研磨
代を考慮して、基板から個々の磁気ヘッドを切り出すこ
とにより得られる。個々の薄膜ヘッドを含むバー材を切
り出した後、そのバー材の一面が摺動面として研磨加工
される。
【0004】ところで、近年では、ウインチェスター型
の磁気ヘッドの記録密度の向上と共に、ディスク表面か
らの磁気ヘッドの浮上量はサブミクロン以下と小さくな
りつつあるが、磁気ディスクの内周及び外周における周
速の違いからスライダーの浮上量が変化する。この浮上
量の変化を小さくするために、浮上面に従来の正圧部を
設けるだけでなく、摺動面の一部に微小な溝(凹部)を
形成して負圧部を形成し、ディスクの内外周でヘッドの
浮上量を一定化することが提案されている。
【0005】従って、上記のような理由から、基板から
切り出されたバー材の一面である摺動面を研磨した後、
この摺動面に溝(凹部)を形成する。この溝は、一般的
には機械加工されるが、その他数μmの溝を有する負圧
スライダーを形成する場合はイオンビームによるミリン
グ、反応性イオンミリング、ケミカルエッチング等で加
工される。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】従来の薄膜ヘッドで
は、上記切り出し加工の際にスライダー用バー材に長さ
50mm当たり数ミクロンの反りが生じ、摺動面にある
磁気ギャップデプス(スロートハイト)の変化も数ミク
ロンとなるものの、再生記録に関する電気特性への影響
は少なかった。
【0007】しかしながら、さらに高密度記録用の磁気
ヘッドでは、この反りによるギャップデプスのばらつき
は電気特性の低下の原因となる。そのため、スライダー
用バー材を切り出した状態での反りは長さ50mm当た
りサブミクロン以下が必要となる。高密度記録用の磁気
ヘッド等には、従来スライダー材料としてアルミナ・炭
化チタン系材料が使用されているが、この材料系では、
スライダー用バー材を切りだした状態での反りをある程
度小さくすることはできるが、未だ反りが大きく、また
ダイヤモンド砥石による切断加工時の負荷が大きく、短
時間で精度良く切断加工することが困難であるとの問題
があった。
【0008】更に、スライダー用バー材に溝を形成する
際には、イオンミリング等で摺動面の微細加工をする必
要もあるが、量産および精度という観点から、加工時間
と加工面の均一性は製造上重要な特性である。しかし、
従来のアルミナ・炭化チタン複合材料では、ミリング速
度も小さく、しかもミリング後の加工面の凹凸も大きい
という問題があった。即ち、近年においてはミリング速
度が大きく、しかもミリング後の加工面凹凸の小さな材
料が要求されている。
【0009】また、従来のアルミナ・炭化チタンからな
る薄膜ヘッド用スライダー材料では、ディスクとの吸着
力や摩擦力が大きく、ヘッドクラシュ等の故障の原因と
なり情報記録装置の信頼性を著しく低下させるという問
題があった。磁気ヘッドの信頼性を高める為にも、磁気
ヘッドとディスクの間に発生する摩擦力や吸着力の小さ
な、摺動特性の優れた材料が要求されていた。
【0010】このような記録ディスクと記録または及び
再生ヘッドとの摩擦力や吸着力を軽減するために、ヘッ
ドの浮上面にクラウン等を形成して吸着力を軽減するこ
とが提案されているが、このクラウンの大きさは数ナノ
メータであり、これを精度良く作製するには加工治具、
装置の高精度化等が必要であり、この点から安価なヘッ
ドの量産を困難なものとしていた。
【0011】本発明は、バー材切り出し時や研磨加工時
等における変形を抑制できるとともに、微細加工が可能
で、研削加工時の負荷が小さく、ミリング速度が大き
く、かつ、ミリング等の微細加工後の凹凸も小さく、さ
らに、ディスクとの吸着力や摩擦力が小さく摺動特性に
優れた記録再生ヘッド用非磁性セラミックスを提供する
ことを目的とするもので、特には、ミリング速度が大き
く加工性に優れた非磁性セラミックスを提供することを
目的とする。
【0012】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、上記の問
題点に対して検討した結果、記録再生ヘッド用非磁性材
料では、材料自体のヤング率を大きくすることにより、
スライダー用バー材の加工時の変形を抑制することがで
き、微細加工が容易であることを知見した。また、記録
再生ヘッド用非磁性セラミックスを、炭化ジルコニウム
とアルミナとから構成したり、硼化ジルコニウムとアル
ミナとジルコニアとから構成することにより、加工負荷
が小さく、ミリング速度が大きく、かつミリング等にお
ける微細加工後の加工面の凹凸が小さく、ディスクとの
吸着力や摩擦力が小さく摺動特性に優れた材料を得るこ
とができることを見出し本発明に至った。
【0013】即ち、本発明の記録再生用非磁性セラミッ
クスは、炭化ジルコニウムを5〜55体積%と、アルミ
ナを95〜45体積%とからなる記録再生ヘッド用非磁
性セラミックスであり、また、炭化硼素を5〜55体積
%と、アルミナを95〜45体積%とを主成分とし、こ
の主成分100重量部に対してジルコニアを0.1〜5
重量部含有するものである。
【0014】さらには、硼化ジルコニウムを5〜95体
積%と、アルミナを95〜5体積%とからなるものであ
り、また、硼化ジルコニウムを5〜95体積%と、アル
ミナを95〜5体積%とを主成分とし、この主成分10
0重量部に対してジルコニアを0.1〜5重量部含有す
ることが望ましい。
【0015】ここで、炭化ジルコニウムまたは炭化硼素
5〜55体積%(アルミナを95〜45体積%)含有
したのは、炭化ジルコニウム,炭化硼素が5体積%より
も少ないと(アルミナが95体積%よりも多いと)、現
在薄膜ヘッドに多用されるアルミナ・30wt%炭化チ
タンコンポジット材料の変形量と同等であり、スライス
加工後のバーの変形を防止する上で効果が小さい。ま
た、摺動特性が劣化するからである。
【0016】炭化ジルコニウム,炭化硼素が55体積%
を越えると(アルミナが45体積%よりも少なくなる
と)焼結体の緻密化が困難になるからである。特に、焼
結性という点から、炭化ジルコニウム,炭化硼素は10
〜45体積%、アルミナは90〜55体積%含有するこ
とが望ましく、さらには、摺動特性という点から、炭化
ジルコニウム,炭化硼素は5〜55体積%、アルミナは
95〜45体積%含有することが望ましい。
【0017】炭化ジルコニウムを添加含有する場合に
は、炭化ジルコニウムの一部が酸化反応し酸化ジルコニ
ウムとなる場合がある。また、炭化硼素を添加含有する
場合には、炭化硼素の一部がアルミナと反応し、硼酸ア
ルミニウム(Al184 33)となる場合がある。硼酸
アルミニウムは研削面のX線回折パターンにおいて硼酸
アルミニウムの(111)面のピーク強度とB4 Cの
(003)面のX線回折ピークの比(I(111)/I
(003))が1以下となると基板の均一性の良い材料
が得られる。硼酸アルミニウムは30重量%を越えると
基板の均一性が阻害され基板の内部と周辺部で組織の異
なった材料が生じ、均一なスライダー材料を作製する上
で好ましくない。
【0018】そして、本発明の非磁性セラミックスは、
炭化硼素とアルミナからなる主成分100重量部に対し
てジルコニアを0.1〜5重量部含有することが重要で
あるが、これは、ジルコニアを添加することで機械加工
時のチッピング特性を改善することができるからであ
る。ここで、主成分に対してジルコニアを0.1〜5重
量部含有したのは、ジルコニアが0.1重量部よりも少
ない場合にはその効果が顕著でなく、5重量部よりも多
い場合には、材料のヤング率が低下して好ましくないか
らである。炭化硼素とアルミナからなる主成分100重
量部に対するジルコニア量は、焼結性という点からは2
〜5重量部、さらには耐チッピング性という点からは
0.1〜3重量部含有することが望ましい。
【0019】また、硼化ジルコニウムとアルミナからな
る系において、硼化ジルコニウムを5〜95体積%と、
アルミナを95〜5体積%とから構成したのは、硼化ジ
ルコニウムが5体積%よりも少ない場合(アルミナが9
5体積%よりも多い場合)には、前記薄膜ヘッドに多用
されるアルミナ−炭化チタン系材料の変形量と同等であ
り、スライス加工後のバーの変形を防止する上で効果が
小さい。また、摺動特性が劣化するからである。
【0020】硼化ジルコニウが95体積%を越えると
(アルミナが5体積%よりも少なくなると)焼結体の緻
密化が困難になるからである。特に、焼結性、摺動特性
という点から、硼化ジルコニウムは10〜50体積%、
アルミナは90〜50体積%含有することが望ましい。
【0021】さらに、硼化ジルコニウムとアルミナから
なる主成分100重量部に対してジルコニアを0.1〜
5重量部含有したのは、炭化ジルコニウムおよび炭化硼
素のいずれか一種とアルミナの系と同様の理由による。
【0022】また、本発明の炭化ジルコニウムとアルミ
ナの系、炭化硼素とアルミナとジルコニアの系、および
硼化ジルコニウムとアルミナ系の非磁性セラミックスで
は、ヤング率は380GPa以上であることが望まし
い。ヤング率は380GPaよりも少ない場合には、切
断加工時の曲がり量が大となる傾向があるからである。
このヤング率は切断加工時の曲がり量を小さくするとい
う点からは410GPaであることが望ましく、さらに
は機械加工特性が優れるという点から400GPaが最
適である。
【0023】本発明の非磁性セラミックスは、例えば、
原料粒径が2.0μm以下の炭化ジルコニウム,炭化硼
素とアルミナを含有する混合粉末や、原料粒径が1.0
μm以下の硼化ジルコニウムとアルミナを含有する混合
粉末をホットプレスまたは熱間静水圧処理(HIP)し
たり、前記混合粉末の成形体をホットプレスまたは熱間
静水圧処理したり、前記混合粉末を成形焼成した焼結体
をホットプレスまたは熱間静水圧処理したりすることに
より得られる。これらの中でも特に真空焼成炉、還元雰
囲気焼成炉等により作製した予備焼結体を熱間静水圧処
理することが望ましい。
【0024】尚、炭化ジルコニウム,炭化硼素の原料の
平均粒径(マイクロトラックで積算粒径分布における体
積率が50%となる粒径)を2.0μm以下としたり、
硼化ジルコニウムの原料の平均粒径を1.0μm以下と
したのは、炭化ジルコニウム,炭化硼素の原料の平均粒
径が2.0μmよりも大きい場合や硼化ジルコニウムの
原料の平均粒径が1.0μmよりも大きい場合には、焼
結温度が高くなり、アルミナ結晶の粒径が大きくなり、
ポアを除去することが困難となりやすいからである。ま
た、焼結体が緻密化されても焼結体の結晶粒径が2μm
以上と大きく、イオンミリングにより微細加工した加工
面の表面粗さRaが100nm以上と大きくなり、例え
ばスライダー材料として適切でないからである。また、
混合粉末をホットプレスまたは熱間静水圧処理したの
は、焼結体密度を99%以上とし1μm以上のポアを取
り除くことができるためである。
【0025】炭化ジルコニウムとアルミナの系、炭化硼
素とアルミナとジルコニアの系では、ホットプレス処理
はカーボン型において圧力100〜500kgf/cm
2、1500〜1900℃で0.5〜2時間行い、熱間
静水圧処理は、アルゴンまたはN2雰囲気において圧力
500〜2000kgf/cm2、1400〜1800
℃で1〜2時間行うのが最適である。また、硼化ジルコ
ニウムとアルミナの系ではホットプレス処理はカーボン
型において圧力50〜500kgf/cm2、1700
〜2000℃で0.5〜2時間行い、熱間静水圧処理
は、アルゴンまたはN2雰囲気において圧力500〜2
000kgf/cm2、1400〜1800℃で1〜2
時間行うのが最適である。
【0026】また、炭化ジルコニウム,炭化硼素として
平均粒径(マイクロトラックによる50%粒径)1.0
μm以下の原料を用いることにより、ホットプレス時や
熱間静水圧処理時の温度が1900℃以下の低い温度で
緻密化され、しかも2.0μm以下の微細な平均結晶粒
径を有するコンポジット材料を作製できる。
【0027】
【作用】スライダーの浮上面を鏡面加工する際、ディス
クに対面する浮上面の平坦度はその浮上量の低下に従い
厳しく制御する必要が生じている。図1に、鏡面加工時
にワークに荷重をかけた状態でのワークの変形量を有限
要素法で計算した模式図を示す。このような状態は、ワ
ーク固定治具に、例えば接着剤で固定した場合、接着剤
の効果により端部にfの力が作用する。尚、ワーク形状
は4mm×1.3mm×2.5mmであり、荷重を1.
0kgfとした。そして、ヤング率が13000kgf
/mm2 、25000kgf/mm2 、40000kg
f/mm2と異なる材料についてそれぞれ計算した結
果、ワークの変形量Δxは2.19×10-4mm、1.
14×10-4mm、7.13×10-5mmであり、ヤン
グ率が大きい程変形が小さくなることが判る。これよ
り、ヤング率の大きな材料ほど変形が少なく平面度の良
い面に加工でき、微細加工が容易になることが判る。
【0028】そこで、本発明の記録再生ヘッド用非磁性
セラミックスは、ヤング率の大きい炭化ジルコニウム,
炭化硼素とアルミナから構成したり、ヤング率の大きい
硼化ジルコニウムとアルミナから構成することにより、
材料自体のヤング率を向上し、ダイヤモンド砥石等によ
る切断加工や溝切り加工,鏡面加工時等における変形を
抑制することが可能となるとともに、加工時の負荷を小
さくし、ミリング速度が大きく、かつミリング後の凹凸
も小さく、さらに、ディスクとの摩擦力や吸着力を小さ
くすることが可能となる。
【0029】また、炭化ジルコニウム,炭化硼素とアル
ミナからなる主成分や、硼化ジルコニウムとアルミナか
らなる主成分に対してジルコニアを含有させることによ
り、機械加工時のチッピング特性を改善し、加工後の表
面粗さを向上することが可能となる。
【0030】
【実施例】
実施例1 平均粒径0.96μmの炭化ジルコニウム原料粉末と、
平均粒径0.4μmのアルミナ原料粉末を、焼結体の組
成が表1となるように秤量し、アルミナボールを媒体と
して粉砕混合した。混合粉砕した原料粉末を乾燥し、4
0メッシュを通し整粒した後、カーボン型に充填し40
0kgf/cm2 の加圧力を加え、1700℃で0.5
時間ホットプレス焼成した。焼結体の特性を表1に示
す。
【0031】
【表1】
【0032】ここで、密度はアルキメデス法を使い、硬
度はAVK((株)明石製作所製)の硬度計を使い測定
した。測定条件はビッカース圧子により荷重20kgf
を15秒間加えた後、圧子による圧痕の大きさから測定
した。強度は3mm×4mmの断面を有する試験片を作
製し、30mmのスパンで3点曲げ試験法により測定し
た。この時のヘッドのスピードを0.5mm/minと
した。ヤング率は超音波法により測定した。ポアの有無
は1μmのダイヤモンド砥粒を使い研磨した後、走査型
電子顕微鏡で研磨面を観察し1μm以上のポアの有無を
観察した。
【0033】次に試料をカウフマン型ミラトロンのアル
ゴンソース源を用いミリング加工し、ミリング面粗度を
求めた。ミリング条件は、加速電圧800V、ビーム電
流200mA、ガス流量10sccm、加工面への入射
角45度であった。また、ミリング速度はイオンビーム
をマスク面と加工面の段差を市販の触針式表面粗さ計で
測定し求めた。表面粗さはデジタルインスツルメンツ社
製のナノスコープ2原子間力顕微鏡(AFM)を使用し
た。AFMにはオリンパス(株)で製造した窒化珪素製
の探針先端曲率R10〜30nmの探針を使用した。ま
た、この測定視野は10μm角とした。
【0034】この表1より、本発明の非磁性セラミック
ス(試料No.2〜)は、ヤング率が378GPa以
上で従来のアルミナ・炭化チタン材料とほぼ同等であ
り、焼結体中には1μm以上のポアが存在せず、ミリン
グ速度も165A/min以上であり、ミリング加工後
のミリング面粗度Raも108nm以下と小さいことが
判る。一方従来のアルミナ・炭化チタンコンポジット材
料(試料No.)では、ヤング率が398GPaと高
いが、ミリング速度が小さいにもかかわらず、ミリング
面粗度Raが大きいことが判る。本発明材料のミリング
速度はアルミナ−30重量%炭化チタン系材料より大き
く、しかも表面粗度は小さいことが判る。
【0035】次に、表1のNo.1,4の試料とNo.
のアルミナ−30重量%炭化チタン系材料を1.6×
2.2×0.9mmのサイズの2本のレールを有するス
ライダーを作製し、榛名通信(株)製のCSSテスター
を使い、CSS回数とメディアのダメージ、ヘッドダメ
ージを評価した。CSSサイクルは停止時間5秒、停止
から3600rpmまでの時間を5秒、保持時間を3秒
間、停止までの時間を5秒間とした。その結果、No.
1,の材料は30000回でダメージを生じるのに対
し、本発明の試料No.4のコンポジット材料は400
00回でもダメージがなく優れた摺動特性を示すことが
判明した。また、上記スライダーを作成中において、N
o.の材料のものはレール面(エアベアリング面)に
50μm以上のチッピングを少量生じた。
【0036】実施例2 実施例1の表1の組成の原料を1ton/cm2 の加圧
力で成形し、窒素雰囲気中において1000℃で2時間
予備焼成した。この予備焼成体を金属でシールした後1
700℃で2000気圧の圧力を加え1時間熱間静水圧
焼成(HIP)処理した。この材料の特性を表2に示
す。また、密度,硬度,強度,ヤング率,ポアの有無,
ミリング速度,ミリング面粗度について、上記実施例1
と同様にして測定し、結果を表2に記した。
【0037】
【表2】
【0038】この表2より、本発明の非磁性セラミック
ス(試料No.12)は、ヤング率が395GPa
以上で従来のアルミナ・炭化チタン材料とほぼ同等であ
り、焼結体中には1μm以上のポアが存在せず、ミリン
グ速度も152A/min以上であり、ミリング加工後
のミリング面粗度Raも98nm以下と小さいことが判
る。また、試料No.11について上記実施例1と
同様にしてCSS試験を行った結果、試料No.では
30000回でダメージを生じるのに対して、本発明の
試料No.11のコンポジット材料は40000回でも
ダメージがなく優れた摺動特性を示すことが判明した。
【0039】実施例3 平均粒径0.96μmの炭化硼素原料粉末と、平均粒径
0.4μmのアルミナ原料粉末を、焼結体の組成が表3
となるように秤量し、アルミナボールを媒体として粉砕
混合した。混合粉砕した原料粉末を乾燥し、40メッシ
ュを通し整粒した後、カーボン型に充填し400kgf
/cm2 の加圧力を加え、1750℃で0.5時間ホッ
トプレス焼成した。焼結体の特性を表3に示す。また、
密度,硬度,強度,ヤング率,ポアの有無,ミリング速
度,ミリング面粗度について、上記実施例1と同様にし
て測定し、結果を表3に記した。
【0040】
【表3】
【0041】この表3より、本発明の非磁性セラミック
ス(試料No.1518)は、ヤング率が383GP
a以上で従来のアルミナ・炭化チタン材料とほぼ同等で
あり、焼結体中には1μm以上のポアが存在せず、ミリ
ング速度も109A/min以上であり、ミリング加工
後のミリング面粗度Raも87nm以下と小さいことが
判る。これに対して従来のアルミナ・炭化チタンコンポ
ジット材料(表1の試料No.)では、ヤング率が3
98GPaと高いが、ミリング速度が小さいにもかかわ
らず、ミリング面粗さRaが110nmと大きいことが
判る。本発明材料のミリング速度はアルミナ−30重量
%炭化チタン系材料より大きく、しかも表面粗度は小さ
いことが判る。
【0042】また、試料No.14について上記実施例
1と同様にしてCSS試験を行った結果、試料No.
では30000回でダメージを生じた。また、スライ
ダーを作成中において、No.18の材料のものはレー
ル面(エアベアリング面)に50μm以上のチッピング
を全く生じなかった。
【0043】実施例4 実施例3の表3の組成の原料を1ton/cm2 の加圧
力で成形し、アルゴン雰囲気中において1000℃で2
時間予備焼成した。この予備焼成体を金属でシールした
後1700℃で2000気圧の圧力を加え1時間熱間静
水圧焼成(HIP)処理した。この材料の特性を表4に
示す。また、密度,硬度,強度,ヤング率,ポアの有
無,ミリング速度,ミリング面粗度について、上記実施
例1と同様にして測定し、結果を表4に記した。
【0044】
【表4】
【0045】この表4より、本発明の非磁性セラミック
ス(試料No.2124)は、ヤング率が386GP
a以上で従来のアルミナ・炭化チタン材料とほぼ同等で
あり、焼結体中には1μm以上のポアが存在せず、ミリ
ング速度も98A/min以上であり、ミリング加工後
のミリング面粗度Raも81nm以下と小さいことが判
る。また、試料No.20について上記実施例1と同様
にしてCSS試験を行った結果、試料No.20では3
0000回でダメージを生じた
【0046】実施例5 平均粒径0.7μmの硼化ジルコニウム原料粉末と、平
均粒径0.2μmのアルミナ原料粉末を、焼結体の組成
が表5となるように秤量し、アルミナボールを媒体とし
て粉砕混合した。混合粉砕した原料粉末を乾燥し、40
メッシュを通し整粒した後、カーボン型に充填し400
kgf/cm2 の加圧力を加え、1750℃で0.5時
間ホットプレス焼成した。焼結体の特性を表5に示す。
また、密度,硬度,強度,ヤング率,ポアの有無,ミリ
ング速度,ミリング面粗度について、上記実施例1と同
様にして測定し、結果を表5に記した。
【0047】
【表5】
【0048】この表5より、本発明の非磁性セラミック
ス(試料No.2735)は、ヤング率が385GP
a以上で従来のアルミナ・炭化チタン材料とほぼ同等で
あり、焼結体中には1μm以上のポアが存在せず、ミリ
ング速度も138A/min以上であり、ミリング加工
後のミリング面粗度Raも108nm以下と小さいこと
が判る。これに対して従来のアルミナ・炭化チタンコン
ポジット材料(表1の試料No.)では、ヤング率が
398GPaと高いが、ミリング速度が小さいにもかか
わらず、ミリング面粗さRaが大きいことが判る。本発
明材料のミリング速度はアルミナ−30重量%炭化チタ
ン系材料より大きく、しかも表面粗度は小さいことが判
る。
【0049】また、試料No.2629について上記
実施例1と同様にしてCSS試験を行った結果、試料N
o.26では30000回でダメージを生じるのに対し
て、本発明の試料No.29のコンポジット材料は40
000回でもダメージがなく優れた摺動特性を示すこと
が判明した。また、スライダーを作成中において、N
o.34の材料のものはレール面(エアベアリング面)
に50μm以上のチッピングを少量生じたのに対して、
No.33は全く生じなかった。
【0050】実施例6 実施例5の表5の組成の原料を1ton/cm2 の加圧
力で成形し、アルゴン雰囲気中において1000℃で2
時間予備焼成した。この予備焼成体を金属でシールした
後1700℃で2000気圧の圧力を加え1時間熱間静
水圧焼成(HIP)処理した。この材料の特性を表6に
示す。また、密度,硬度,強度,ヤング率,ポアの有
無,ミリング速度,ミリング面粗度について、上記実施
例1と同様にして測定し、結果を表6に記した。
【0051】
【表6】
【0052】この表6より、本発明の非磁性セラミック
ス(試料No.3846)は、ヤング率が389GP
a以上で従来のアルミナ・炭化チタン材料よりも大き
く、焼結体中には1μm以上のポアが存在せず、ミリン
グ速度も119A/min以上であり、ミリング加工後
のミリング面粗度Raも99nm以下と小さいことが判
る。また、試料No.3740について上記実施例1
と同様にしてCSS試験を行った結果、試料No.37
では30000回でダメージを生じるのに対して、本発
明の試料No.40のコンポジット材料は40000回
でもダメージがなく優れた摺動特性を示すことが判明し
た。
【0053】
【発明の効果】本発明の記録再生ヘッド用非磁性セラミ
ックスでは、材料自体のヤング率を高くすることがで
き、加工時の変形が小さく、浮上面の平坦度を精度良く
コントロールでき、微細加工が可能で、加工速度が大き
く、微細加工面における凹凸も小さく、ヘッドとディス
クの間に発生する摩擦力や吸着力の小さな摺動特性の優
れた材料を得ることができる。また、ミリング加工時の
ミリング速度を早くした場合でも、表面粗さの良好な材
料を得ることができる。したがって、例えば、磁気ヘッ
ドの量産において加工効率が良く、大量生産に対応でき
る。これにより、例えば、薄膜磁気ヘッド用セラミック
基板、各種磁気ヘッド用スライダー、磁気ヘッドのスペ
ーサ、テープガイド、マイクロマシン部材等に最適な非
磁性セラミックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鏡面加工時にワークに荷重をかけた状態でのワ
ークの変形量を有限要素法で計算した模式図を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G11B 21/21 101 C04B 35/56 B

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化ジルコニウムを5〜55体積%と、ア
    ルミナを95〜45体積%とからなることを特徴とする
    記録再生ヘッド用非磁性セラミックス。
  2. 【請求項2】炭化硼素を5〜55体積%と、アルミナを
    95〜45体積%とを主成分とし、この主成分100重
    量部に対してジルコニアを0.1〜5重量部含有するこ
    とを特徴とする記録再生ヘッド用非磁性セラミックス。
  3. 【請求項3】硼化ジルコニウムを5〜95体積%と、ア
    ルミナを95〜5体積%とからなることを特徴とする記
    録再生ヘッド用非磁性セラミックス。
  4. 【請求項4】硼化ジルコニウムを5〜95体積%と、ア
    ルミナを95〜5体積%とを主成分とし、この主成分1
    00重量部に対してジルコニアを0.1〜5重量部含有
    することを特徴とする記録再生ヘッド用非磁性セラミッ
    クス。
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