JP3121216U - 昇降機 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震で建物に揺れが発生しても巻上ロープが昇降路内の突起物に引っ掛らない昇降機の提供。
【解決手段】半径比率が1:2の小滑車11a及び大滑車11bを有する輪軸11を設け、小滑車11aには小滑車用錘14と引っ掛り防止具15を釣瓶状に吊り下げる小滑車用ロープ12をかけ、大滑車11bには大滑車用錘16とかご用釣合錘8を連結する大滑車用ロープ13をかける。引っ掛り防止具15は昇降路2内を上下動するスライド部材15a及びその側面より跳ね出すアーム15b先端にあって巻上ロープ5を遊挿する振止用環状部15cを備える。引っ掛り防止具15は常にかご上端と昇降路天井下面までの距離の中間に位置する。
【選択図】図2

Description

本考案は、地震等の発生に伴う建物の揺れでエレベータかごの昇降用ケーブルである巻上ロープが大きく揺れて昇降路内の突起物に引っ掛ることを防止するための引掛かり防止具を備えた昇降機に関する。
地震時あるいは強風時に建物が揺れた際には、エレベータかごの昇降用ケーブルである巻上ロープが大きく揺れて昇降路内の突起物に引掛かり、停止したエレベータ内に人が閉じ込められる恐れがある。
地震や強風の発生時に一定値以上の建物の揺れをセンサーが感知した場合には、昇降機を最寄階に停止させると共に、その昇降機の停止を検出して監視センター等に連絡する遠隔監視システムを備えるエレベータが普及しているが、このような建物の揺れに伴って昇降機を停止させた場合には、技術者がその建物に赴いて点検作業を実施し、異常が発生していない場合にのみ管制運転装置を復旧(異常通報解除)させている。
エレベータの昇降路内には、かごの昇降に伴って移動する各種のロープやテールコード、その他これに類するものが配置されており、地震時には建物の振動の影響を受けて、これらに大きな振動や揺れを生ずることがある。
この振動あるいは揺れが大きくなると、それらのものが昇降路内の梁やガイドその他の突出物に接触したり、更にはこれらが引っ掛って昇降不能状態となるケースも生ずる。
従って、昇降機停止時の点検作業は主に、これらのロープ類が昇降路内の突出物に引っ掛かっていないかを確認するものであった。特に巻上ロープは、その揺れが大きくなりがちで、引っ掛りやすいため各階毎に目視確認を行う必要があり、その点検作業は煩雑で時間を要するものであった。
このため昇降機停止時の点検作業を簡易にし迅速な復旧作業が行なえるよう、例えば特許文献1に記載されるようなエレベータ昇降機のケーブル監視システムが提案されていた。
特開2003−341954号公報
このケーブル監視システムは、巻上ロープの上方に位置する検知体を、昇降機停止時に巻上ロープに沿って案内落下させ、下方に設置する検知器でその接触の有無を確認することで巻上ロープの引っ掛りの有無を確認するものであった。
しかし、従来のケーブル監視システムでは巻上ロープの揺れは制限できず、当然引っ掛かりを防止できるものではなかった。首都圏で最大震度5強を記録した地震時には、多数のエレベータが停止し、しかも巻上ロープの引っ掛りで停止したエレベータ内に人が閉じ込められるケースが続発したが、巻上ロープの引っ掛りを防ぐ具体的な構成は未だ提示されていない。
この考案は、従来の昇降機が有する上記の問題点を解消すべくなされたものであり、地震等で建物に揺れが発生しても巻上ロープが昇降路内の突起物に引っ掛らない昇降機を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、この考案の昇降機は、昇降路内に配設するかご及びかご用釣合錘と、このかご及びかご用釣合錘を巻上機の滑車を介して釣瓶状に吊り下げる巻上ロープを有する昇降機において、半径比率が1:2である小滑車及び大滑車を同一軸に固定する輪軸と、この大滑車にかけ一端を前記かご用釣合錘に連結する輪軸回転用ロープと、この輪軸回転用ロープの他端に連結して昇降路内を上下動する大滑車用錘と、前記小滑車にかける小滑車用ロープの一端に連結して昇降路内を上下動する小滑車用錘と、この小滑車用ロープの他端に連結し前記かごの上端と前記昇降路天井部下面までの距離の中間位置をガイドに沿って上下動するスライド部材と、このスライド部材より跳ね出すアームの先端にあって前記巻上ロープを遊挿する振止用環状部を備えることを特徴とものである。
輪軸は同一軸に取付けた大小の滑車で、かごの上方、例えばエレベータ機械室等に配置する。小滑車と大滑車の半径比率を1:2とすることで、かご用釣合錘から大滑車にかける輪軸回転用ロープの運行速度を小滑車にかける小滑車用ロープにおいて1/2の速度に減速する。
輪軸回転用ロープは大滑車用錘の重量で輪軸を回転し得る張力を得ている。即ち、かご用釣合錘が上下動するとこれに伴い輪軸回転用ロープが上下動し、この時輪軸を左右に回転せしめる。
小滑車用ロープは小滑車用錘と引っ掛り防止具であるスライド部材及びアームを小滑車を介して釣瓶状に吊り下げており、引っ掛り防止具の位置はかごの上端と昇降路天井部下面までの距離の中間とする。
巻上ロープの移動速度に対し、小滑車用ロープは常に1/2の速度で追随するので、振止用環状部は常に巻上ロープの中間に位置する。このため、地震等で巻上ロープに揺れが発生しても、その振幅は大きく低減される。
振止用環状部は、巻上ロープの通常運転時の振幅には接触しない程度の大きさが望ましい。引っ掛り防止具の一部であるスライド部材を案内するガイドは昇降路の壁面に取り付け、小滑車用錘及び大滑車用錘も壁面に取り付けるガイドに沿って上下動させる。
この考案の昇降機は、半径比率が1:2である輪軸を設け、これにかけるロープによってかごの上端と昇降路天井部下面までの距離の中間位置に引っ掛り防止具のスライド部材及びアームを配置するので、巻上ロープの揺れを大きく制限し、昇降路内の突起物に引っ掛るのを防止できる。
次にこの考案の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は昇降路内のガイドレール配置図、図2は図1のII−II断面を示す断面図である。昇降機1は、昇降路2内に収容するエレベータかご3の支持枠4に巻上ロープ5の一端を係止し、昇降路2の上方に設けるエレベータ機械室6内の巻上機7の滑車7aを介してかご用釣合錘8を釣瓶状に吊り下げている。
エレベータかご3は、昇降路内面2aに取り付けるかご用ガイドレール9に支持枠4より突設する案内部4aを摺接しながら上下動する。この時、かご用釣合錘8も同一速度で反対方向に釣合錘用ガイドレール10内を移動する。
エレベータ機械室6には、半径比率が1:2である小滑車11a及び大滑車11bを同一軸に固定する輪軸11を設け、小滑車11aには小滑車用ロープ12、大滑車11bには大滑車用ロープ13を夫々かける。
小滑車用ロープ12は、一端に小滑車用錘14を、他端に引っ掛り防止具15を連結し、これらを釣瓶状に吊り下げている。又大滑車用ロープ13は、一端を大滑車用錘16に、他端をかご用釣合錘8に連結しており、かご用釣合錘8の上下動に伴い輪軸11を左右に回転せしめる。即ち大滑車用ロープ13は大滑車用錘16の重量で輪軸11を回転し得る張力を得ており輪軸回転用ロープとしての作用を有する。
小滑車用錘14、引っ掛り防止具15及び大滑車用錘16は、夫々昇降路内面2aに設ける小滑車用錘ガイドレール17、引っ掛り防止具ガイドレール18及び大滑車用錘ガイドレール19に沿って昇降路2内を上下動する。
引っ掛り防止具15は、引っ掛り防止具ガイドレール18に摺接するスライド部材15aと、その側面より跳ね出すアーム15bと、アーム先端にあって巻上ロープ5を遊挿する振止用環状部15cを備える。
引っ掛り防止具15はエレベータかご3の上端と昇降路2の天井20下面までの距離Lに対し、中間位置(L/2)にあるよう小滑車用ロープ12の長さを設定する。
輪軸11の小滑車11aと大滑車11bの半径比率を1:2とすることで、大滑車用ロープ13の運行速度を小滑車用ロープ12において1/2の速度に減速し、これにより振止用環状部15cは常に巻上ロープ5の中間に位置することになる。
このため、地震等で巻上ロープ5に揺れが発生しても、その振幅は大きく低減され、昇降路2内の突起物に引っ掛る恐れがなくなる。
昇降路内のガイドレール配置図である。 図1のII−II断面を示す断面図である。
符号の説明
1 昇降機
2 昇降路
3 エレベータかご
5 巻上ロープ
8 かご用釣合錘
11 輪軸
11a 小滑車
11b 大滑車
12 小滑車用ロープ
13 大滑車用ロープ
14 小滑車用錘
15 引っ掛り防止具
15a スライド部材
15b アーム
15c 振止用環状部

Claims (1)

  1. 昇降路内に配設するかご及びかご用釣合錘と、このかご及びかご用釣合錘を巻上機の滑車を介して釣瓶状に吊り下げる巻上ロープを有する昇降機において、半径比率が1:2である小滑車及び大滑車を同一軸に固定する輪軸と、この大滑車にかけ一端を前記かご用釣合錘に連結する輪軸回転用ロープと、この輪軸回転用ロープの他端に連結して昇降路内を上下動する大滑車用錘と、前記小滑車にかける小滑車用ロープの一端に連結して昇降路内を上下動する小滑車用錘と、この小滑車用ロープの他端に連結し前記かごの上端と前記昇降路天井部下面までの距離の中間位置をガイドに沿って上下動するスライド部材と、このスライド部材より跳ね出すアームの先端にあって前記巻上ロープを遊挿する振止用環状部を備えることを特徴とする昇降機。
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