JP3120577B2 - 画像形成装置の用紙搬送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、画像形成装置本体に対
して、給紙トレイを収容する給紙ユニットを複数組み合
わせて、電子写真複写機等を構成する装置に関し、特
に、給紙ユニットから送り出される用紙に対して、その
ユニットで整合作用を付与し、画像形成装置本体での整
合機構を省略できるようにした用紙搬送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】電子写真複写機やプリンタ装置等のよう
に、給紙トレイから給紙する用紙に対して、トナー画像
を転写してコピーを作成する画像形成装置では、感光体
ドラム等の画像担持体に形成されるトナー画像の位置に
合わせて、用紙を位置決めする状態に用紙搬送装置を構
成している。例えば、実公昭５９−１３６３１号公報等
に示される装置では、給紙トレイからの送り出し部に、
用紙ガイドを設けておき、用紙が給紙トレイから正確に
位置決めされた状態で、画像転写部に向けて給紙される
ように構成している。

【０００３】また、実公昭５７−３９３９６号公報等に
示される例では、用紙搬送路の所定の位置にストッパを
配置するとともに、該ストッパの両側に縦ローラ部材を
配置し、用紙が斜め送りの状態にある際に、ローラ装置
により斜め送りの状態を解消させるような手段を設けて
いる。前述したように、給紙トレイから給紙する際に、
用紙を正確に位置決めすることや、用紙搬送路の途中
で、用紙の整合作用を行うことは、従来より一般に知ら
れている技術手段である。そして、前述したような用紙
の整合機構は、比較的用紙搬送路が短く構成されている
小型の画像形成装置に対して有効に使用されている。

【０００４】ところが、電子写真複写機が比較的大型の
ものである場合には、その装置の内部に配置される用紙
搬送路が長く形成され、該用紙搬送路に配置される搬送
ローラ装置の数も多くなり、それ等の搬送ローラにより
搬送される用紙に対して、斜め送りの力が作用する場合
が多く発生する。また、長い用紙搬送路内を用紙が搬送
される場合には、その用紙がガイド板等に摺動すること
も多くなり、その摺動抵抗により、用紙に対して斜め送
り（スキュー）が発生するという問題がある。前述した
ように、用紙搬送路内で用紙がスキューするという問題
は、例えば、用紙搬送路を横切るように配置される搬送
ローラ装置の、複数のローラによるニップ圧力が一定し
ない場合にも容易に発生する。その他に、用紙がガイド
板に対して局部的に押圧されたりする場合にも、その紙
がガイド板に対して局部的に摺動するための抵抗の差に
より、スキューが発生するという問題がある。

【０００５】そこで、実開平３−１０７４４９号公報等
に示されるように、用紙搬送路内で用紙を搬送している
途中で、用紙に対して整合作用を行わせることが提案さ
れている。前記従来例の装置は、図５に示されるように
構成されているもので、給紙トレイ４０から給紙ベルト
４１、４１ａにより送り出す際に、その用紙に対する送
り速度に差を持たせ、最初からスキューする状態にして
送り出すようにする。つまり、給紙トレイに収容されて
いる状態の用紙Ｐ１を、用紙Ｐ２のように斜めにした状
態で送り出すようにする。

【０００６】そして、用紙搬送路内を搬送する途中で
は、搬送ローラ４２によりその用紙の状態Ｐ３のまま搬
送するが、用紙搬送路に設けた整合部では、斜め送りロ
ーラ４３、４４により、用紙ガイド４５に向けて斜めに
移動させ、用紙Ｐ４の状態からＰ５の状態にまで修正す
る。したがって、整合部を抜けた用紙Ｐ５は、その用紙
の側部が用紙ガイド４５に押圧される状態で規制され、
次の画像転写等に向けて給紙されることになる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記図５に
示されるように、用紙搬送路内に用紙の整合機構を設け
る場合には、その用紙搬送路を比較的長く形成すること
が必要であり、小型の電子写真複写機等では、前述した
ような整合手段を用いることができない場合が多い。ま
た、前記従来例のように、用紙を給紙トレイから送り出
す段階でスキューさせると、用紙搬送路内で搬送する際
に、その用紙に対する搬送作用に支障が生じることがあ
り、そのような問題を回避するためには、用紙搬送路に
配置するガイド板等に関しても、配慮して設計すること
が必要となる。

【０００８】また、小型の電子写真複写機においては、
給紙トレイを一体に組み込んだ画像形成装置本体に対し
て、給紙トレイを組み込んだ給紙ユニットを複数重ねる
ようにして組み合わせ、多種の用紙を給紙できるような
装置を構成することが行われている。例えば、特開平１
−３０８３５４号公報等に示される例では、装置本体に
対して給紙トレイを組み込んだ給紙ユニットを組み合わ
せて、電子写真複写機を多機能化することが提案されて
いる。

【０００９】前記従来例の他に、特開平３−２６７２３
０号公報等に示される電子写真複写機では、給紙部に多
数の給紙トレイを配置し、該給紙トレイに対応する給紙
装置を上下に重ねる状態で、用紙搬送路を形成してい
る。そして、各給紙トレイから給紙ローラにより給紙さ
れる用紙に対して、その対応するユニットの用紙搬送路
に設けた搬送ローラにより用紙の送りの作用を行うこと
に加えて、その上部のユニットに配置する搬送ローラに
より、用紙を順次駆動させるような機構を設けている。

【００１０】しかしながら、前述したように、複数の給
紙装置を重ねる状態で用紙搬送路を構成した場合には、
用紙搬送路内で用紙がスキューしていると、その用紙に
対する搬送作用を良好に行い得ないという問題がある。
また、１つのユニット内では給紙トレイと給紙装置との
間で、用紙に対する整合状態を調整してから出荷すると
しても、それ等の給紙装置を複数組み合わせた場合に
は、各ユニット間の用紙の搬送状態等に多少の差が生じ
ることがある。そして、複数のユニットを組み合わせて
用紙搬送路を構成した場合には、用紙のジャムが生じや
すいという問題が発生する。

【００１１】

【発明の目的】本発明は、前述したように、複数の給紙
ユニットを重ねる状態で用紙搬送路を構成してなる装置
において、各給紙ユニットに対して用紙の整合機構を配
置し、ユニットから用紙が送り出される状態では、用紙
が基準線に沿う状態に規制する装置を提供することを目
的としており、さらに、用紙が他のユニットの用紙搬送
路を通過する際にも、搬送ローラによる整合作用が付与
される状態にし、用紙搬送路の下流部に整合機構を設け
なくとも、用紙の位置決めを行い得るようにする装置を
提供することを目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段および作用】本発明は、画
像形成部と定着装置等を配置した装置本体に対して、別
体に構成した複数の給紙ユニットを積み重ねる状態で配
置し、前記給紙ユニットに設けた用紙搬送路がそれぞれ
接続され、該用紙搬送路に配置するローラ装置により用
紙搬送作用を行うように構成してなる画像形成装置に関
する。本発明の画像形成装置の用紙搬送装置において
は、前記給紙ユニットの用紙搬送路には、その一方の側
部に用紙ガイドを配置し、該用紙搬送路に配置するロー
ラ装置を、搬送作用と斜め送りの作用とを行う部材とし
て構成し、給紙ユニットから送り出す用紙に対して、用
紙搬送路内で整合しながら搬送作用を付与する機構を設
けている。また、本発明の用紙に対する整合機構は、各
給紙ユニットの用紙搬送路の一方の側部に配置する用紙
ガイドと、用紙搬送路に設ける搬送・整合ローラ装置と
から構成し、前記搬送・整合ローラ装置においては、用
紙を用紙ガイドに向けて斜め送りを付与する状態で搬送
作用を行う機構を構成することができる。

【００１３】前述したように構成することにより、本発
明の画像形成装置の用紙搬送装置では、給紙トレイを設
けたユニットから用紙を送り出した際に、その用紙に対
する整合作用が行われていることにより、次のユニット
の用紙搬送路との接続部では、用紙の受け渡しを支障な
く行うことができる。また、複数のユニットでの用紙搬
送路の用紙ガイドの位置が多少ズレを持っていた場合で
も、それぞれのユニットでの用紙に対する整合作用を順
次繰り返して行うことにより、画像転写部まで搬送され
た用紙は、さらに整合作用を付与する必要がなくなる。
したがって、本発明の電子写真複写機では、画像転写部
の直前部に配置するレジスト装置に対しては、用紙の幅
方向の整合を特に要求することがなく、そのレジスト部
の構成を簡素化することができる。

【００１４】

【実施例】図示される例にしたがって、本発明の画像形
成装置の用紙搬送装置を説明する。図１に示される電子
写真複写機１は、電子写真方式を用いて画像を形成し、
コピーを作成する機構を設けた画像形成装置本体２に対
して、３つの給紙ユニット１０〜１２を重ねる状態で組
み合わせ、給紙部を構成した装置を示している。前記画
像形成装置本体１では、一般の電子写真方式を用いる装
置の場合と同様に、感光体ドラム３の周囲に、現像装置
４、転写コロトロン５、クリーニング装置６等を配置
し、図示を省略した書き込み手段（光学走査装置、また
は、レーザ書き込み手段）等により感光体ドラムに静電
潜像を形成し、その静電潜像にトナーを付着させてトナ
ー画像として可視像化する機構を配置している。

【００１５】また、前記感光体ドラムに形成したトナー
画像は、装置本体２の下部に配置する給紙トレイから送
られるか、または、手差しトレイ１６から送られる用紙
に対して、転写コロトロン５の放電により転写される。
そして、トナー画像が転写された用紙は、定着装置を通
して定着され、排出トレイ８に排出される。また、前記
給紙トレイ等から送り出される用紙は、感光体ドラムの
画像転写部の直前部に配置されるレジスト装置１７によ
り一旦停止され、感光体ドラムに形成するトナー画像に
タイミングを合わせて給紙され、用紙に対するトナー画
像の転写位置を規定できるようにされる。なお、感光体
ドラムに対して配置するクリーニング装置６は、用紙に
トナー画像を転写した後で、そのドラムの表面に残留す
るトナーを清掃し、次のトナー画像の形成に対応させる
作用を行う。

【００１６】前述したように構成される装置本体２に対
して、その下部に複数の給紙ユニット１０〜１２を配置
し、各ユニットに設けた給紙トレイから、電子写真複写
機の制御装置により指定されたサイズの用紙を送り出す
ようにしている。前記複数の給紙ユニットは、図２に示
されるように構成されたものを用いている。前記図２に
示される給紙ユニット１０では、その内部に用紙を収容
する給紙トレイ１３を設け、該給紙トレイ１３の用紙送
り出し部に半月ローラ１４と、図示を省略したさばき部
材（スナバー）を配置し、給紙装置を構成している。

【００１７】前記給紙ユニットには、給紙トレイからの
用紙送り出しのために給紙路１５を配置し、該給紙路１
５を、ユニットの側部を上下に貫通する状態で配置した
用紙搬送路２０に接続している。また、前記用紙搬送路
２０には搬送・整合ローラ装置２５を配置し、該搬送・
整合ローラ装置２５により用紙を上方に向けて送り出す
機構を設けている。前記用紙搬送路２０では、その用紙
を案内するためのガイド板２１、２２と、そのガイド板
により規制される通路の一方の側部に配置する用紙ガイ
ド２３とを設けて、用紙を用紙ガイド２３に押圧する状
態で整合作用を行うようにしている。

【００１８】前記用紙搬送路での用紙の整合機構は、図
３に示されるように構成される。図示されるように、本
発明のユニットに設けられる整合機構は、用紙搬送路２
０に配置される搬送・整合ローラ装置２５を、駆動軸２
６に設けた２つの駆動ローラ２７、２８と、該駆動ロー
ラのそれぞれに押圧される加圧ローラ３０、３２とを組
み合わせて構成している。前記２つの加圧ローラ３０、
３２は、押圧スプリング３１、３３により、駆動ローラ
２７、２８に対する押圧力を設定している。図３に示さ
れる例では、加圧ローラ３０と駆動ローラ２７との間の
ニップ圧力を大きく設定することにより、用紙を用紙ガ
イド２３に向けて斜め送りする状態で、整合作用を付与
し、用紙の側部を用紙ガイドに押圧しながら、次のユニ
ットの用紙搬送路に向けて給紙する機構を構成してい
る。

【００１９】前記図３に示される例では、２つの加圧ロ
ーラ３０、３２は、ガイド板２２に設けた開口から用紙
搬送路に向けて突出させる機構を設けているが、そのガ
イド板に対してローラ部材を配置する機構は任意に設定
することができる。また、加圧ローラを支持する押圧ス
プリングは、任意のスプリング部材により構成すること
ができるもので、該スプリング部材を、ガイド板２２に
対して取り付ける機構は、加圧ローラのニップ圧力を調
整可能なものであれば、任意の手段を用いることができ
る。なお、本発明の用紙搬送路に設ける整合機構は、用
紙に対する斜め送りの力が比較的弱いものとして構成す
ることができる。つまり、各ユニットの内部では、給紙
トレイでの用紙の位置と、給紙路とはズレが少ない状態
に調整されているものであり、そのような給紙部から用
紙搬送路に向けて送られる用紙では、基準線に対して大
きなズレが生じていることがないためである。

【００２０】前述したように構成される搬送・整合ロー
ラ装置を用いることにより、給紙トレイから送り出され
た用紙は、矢印Ｔ方向に搬送される際に、該ローラ装置
による斜め送りの作用によって、矢印Ｓ方向に斜め送り
される。そして、前記給紙ユニットから送り出される用
紙は、その用紙の側部が矢印Ｓ方向に移動される状態
で、用紙ガイド２３に押圧され、整合作用が付与され
る。また、上部に同様のユニットを配置した給紙ユニッ
トにおいて、そのようにして整合された用紙は、次のユ
ニットの用紙搬送路内でも、同様に構成された整合機構
により、用紙を用紙ガイドに向けて押圧される状態で搬
送作用を行うようにする。したがって、前記実施例に示
されるような給紙ユニットを組み合わせて設けることに
より、画像形成装置本体に向けて送られる用紙は、ほぼ
正確な整合作用が付与された状態となっている。

【００２１】前述したように構成される給紙ユニットを
用いる本発明の電子写真複写機では、図４に示されるよ
うにして、用紙に対する整合作用が行われる。つまり、
給紙トレイ１３から給紙される用紙Ｐａは、用紙搬送路
に設ける用紙ガイド２３に対して、若干のズレδを持っ
た状態で、符号Ｐｂに示すようにして送り出される。そ
して、給紙ユニットの用紙搬送路を構成する整合領域Ａ
では、用紙の搬送方向Ｔに対して、搬送・整合ローラ装
置による斜め送りの作用を加えて、矢印Ｓ方向に移動さ
せ、符号Ｐｃで示すように、用紙ガイドに押圧して整合
した状態の用紙を、感光体ドラム３の画像領域Ｂに対応
させて送り出すようにする。

【００２２】本発明の画像形成装置の用紙搬送装置で
は、前述したように、装置本体に接続する複数の給紙ユ
ニットに対して、その用紙搬送路に用紙整合機構を配置
することにより、用紙を整合しながら搬送することがで
きる。そして、複数のユニットの用紙搬送路を上下に接
続しても、そのユニットの接続部での用紙の受け渡しの
動作を、安定した状態で行うことができる。したがっ
て、各給紙ユニットでの用紙の搬送状態が若干異なる場
合にも、各ユニットでは用紙に対して整合作用を行いな
がら、次のユニットに向けて用紙を送り出すことが可能
になり、最終段階では用紙に対する整合作用が終了した
状態にすることができる。

【００２３】なお、本発明の画像形成装置の用紙搬送装
置においては、多段に配置する給紙トレイに、給紙装置
をそれぞれ配置してなる装置に対して、本発明の整合機
構を適用することができる。そして、その給紙装置を多
段に重ねるように接続した装置でも、その給紙装置を上
下に貫通する用紙搬送路に対して、それぞれ整合機構を
設けることによって、本体でのレジスト機構を簡素化す
ることができる。

【００２４】

【発明の効果】本発明の画像形成装置の用紙搬送装置
は、前述したように構成することにより、給紙トレイを
設けたユニットから用紙を送り出した際に、その用紙に
対する整合作用が行われているのであるから、次のユニ
ットの用紙搬送路との接続部では、用紙の受け渡しを支
障なく行うことができる。また、複数のユニットでの用
紙搬送路の用紙ガイドの位置が多少ズレを持っていた場
合でも、それぞれのユニットでの用紙に対する整合作用
を順次繰り返して行うことにより、画像転写部まで搬送
された用紙は、さらに整合作用を付与する必要がなくな
る。したがって、本発明の電子写真複写機では、画像転
写部の直前部に配置するレジスト装置に対しては、用紙
の幅方向の整合を特に要求することがなく、そのレジス
ト部の構成を簡素化することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の画像形成装置の用紙搬送装置を適用
可能な電子写真複写機の構成を示す側面図である。

【図２】 本発明のユニットの構成を示す側面図であ
る。

【図３】 本発明の用紙整合機構の斜視図である。

【図４】 本発明による用紙の整合作用の説明図であ
る。

【図５】 従来の用紙整合方式の説明図である。

【符号の説明】

１ 電子写真複写機、 ２ 装置本体、 ３ 感
光体ドラム、１０〜１２ 給紙ユニット、 １３
給紙トレイ、１４ 給紙ローラ、 ２０ 用紙搬送
路、 ２１ ガイド板、２３ 用紙ガイド、 ２５
搬送・整合ローラ装置、２７・２８ 駆動ロー
ラ、 ３０・３２ 加圧ローラ、３１、３３ 押圧
スプリング。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 画像形成部と定着装置等を配置した装置
   本体に対して、別体に構成した複数の給紙ユニットを積
   み重ねる状態で配置し、 前記給紙ユニットに設けた用紙搬送路がそれぞれ接続さ
   れ、該用紙搬送路に配置するローラ装置により用紙搬送
   作用を行うように構成してなる装置において、 前記給紙ユニットの用紙搬送路には、その一方の側部に
   用紙ガイドを配置し、該用紙搬送路に配置するローラ装
   置を、搬送作用と斜め送りの作用とを行う部材として構
   成し、 給紙ユニットから送り出す用紙に対して、用紙搬送路内
   で整合しながら搬送作用を付与することを特徴とする画
   像形成装置の用紙搬送装置。