JP3120191U - 緊急遮断機能付き湿式流水検知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】湿式スプリンクラー設備に設けられる二次側配管への給水の遮断手段を有する流水検知装置において、構造がシンプルで流水検知装置の非火災時における弁開放による誤報を防止可能であり、さらに弁体が微量に開放した場合においても弁体の開放が確実に検出可能な流水検知装置の提供。
【解決手段】 流水検知装置の弁体が二次側室に設けられ、直線上を摺動するリフト弁構造をしており、弁体と弁箱内壁によって形成された制御室が、配管によって一次側および二次側と連通しており、制御室と二次側との間に通電時のみ閉弁する通電閉止弁を設け、一次側と制御室との間には前記通電閉止弁の弁座口径より小径であるオリフィスと、一次側への逆流を防止した逆止弁が設けられており、スプリンクラーヘッドの作動時に、スプリンクラーヘッドの近傍に設けられた火災感知器からの火災信号が無い場合は前記通電閉止弁が閉止され弁体が弁座に着座する。
【選択図】 図2

Description

本考案は、スプリンクラーヘッドが接続された配管内に消火水が充填されている湿式のスプリンクラー設備に設置される流水検知装置に関するものである。
従来において閉鎖型スプリンクラーヘッドを備えるスプリンクラー消火設備は、スプリンクラーヘッドが設置された配管に消火水を充填した湿式スプリンクラー設備が一般的に用いられている。その他に凍結防止の目的で前記配管内に気体を充填した乾式スプリンクラー設備と、スプリンクラーヘッドと火災感知器の両方が作動した場合に消火水を散布する予作動式スプリンクラー設備とがある。
湿式スプリンクラー設備(以下、「スプリンクラー設備」とする)は、コスト面においても他の2つより経済的である。しかしスプリンクラーヘッドが火災時以外に衝撃を受ける等して放水してしまった場合、室内が水浸しになり水損被害が発生することになる。
そこで上記のスプリンクラー設備に設置される流水検知装置に、放水停止スイッチの操作によってスプリンクラーが設置されている配管、いわゆる二次側配管への消火水の流路を閉止する遮断手段を設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
図9に示す上記の流水検知装置Aは、弁体Vが弁箱内壁に沿って上下に摺動するリフト弁構造をしている自動開閉弁であり、一次側Iが水源と接続し、二次側IIがスプリンクラーヘッドShに接続されている。
弁体Vから弁箱外部に突設した昇降軸V1の先端に設けたリミットスイッチSmにより、弁体Vの開閉による上下運動を検出して弁体の開閉状態を監視している。弁体Vの上部と弁箱内壁とにより形成された空間と一次側Iと二次側IIとは、配管によって連通されており、該配管の前記空間と二次側との間には常時開の電磁弁Mが設けられている。
二次側IIに設けられたスプリンクラーヘッドShが誤作動した場合には、押釦スイッチSbを押して電磁弁Mを閉止させ、弁体上部空間に一次側の消火水を充水させることで弁体Vを弁座に着座させ、二次側IIへの給水を遮断するものである。
また上記以外に、図10に示す火災感知器を備えたスプリンクラー設備において、配管に流水検知装置と直列に常時開状態にある電気制御可能な制御弁が設置されており、スプリンクラーヘッドの作動に伴う流水検知装置からの信号が生じた際に、火災感知器からの火災信号がない場合には、スプリンクラーヘッドが誤作動したと判断し、遮断手段である制御弁を閉止してスプリンクラーヘッドへの送水を遮断するものがある(例えば、特許文献2参照。)。
特公昭35−16346号公報 (第1−2頁、第1図) 特開平10−5365号公報 (第3−7頁、第1図、第5図)
特許文献1に記載されている考案は、手動スイッチによって誤作動したスプリンクラーヘッドの放水を停止するものであり、人がスプリンクラーヘッドの作動現場まで行って、その場に設けられている押釦スイッチを押す必要があるので、放水停止までに早くても数分の時間を要する。
また、他階の自動開閉弁の作動等によりポンプが起動した場合、配管内の消火水が振動して一瞬自動開閉弁が開くことがある。そのときにリミットスイッチが作動して警報ベルを鳴らしてしまうおそれがある。
さらに自動開閉弁の弁体の開閉状態を検知するのに、弁体から外部に貫通して突設した昇降軸の移動をリミットスイッチによって検出しているが、スプリンクラーヘッドが作動した場合における弁体の開放量は微々たるものであり、昇降軸の微量な変位ではリミットスイッチの作動ストロークが得られず、弁体の微量な開放を検知できない可能性があった。
特許文献2に記載されたスプリンクラー消火設備においては、流水検知装置の他に遮断手段が別途配管上に設置されることから、遮断手段である制御弁の設置スペースが必要となり、流水検知装置の設置スペースが限定されている現場には適さないものであった。
そこで本考案では上記問題に鑑み、構造がシンプルでスプリンクラーヘッドの誤作動時には直ちにスプリンクラーヘッドからの放水を遮断して水損被害を抑制可能であり、さらに非火災時における流水検知装置の瞬間的な弁の開放による誤報を防止する流水検知装置の提供を第1の目的とする。
またスプリンクラーヘッドの作動により、弁体が微量に開放した場合においても弁体の開放が確実に検出可能な流水検知装置の提供を第2の目的とし、さらにスプリンクラーヘッドの放水を遮断した後に、再びスプリンクラーヘッドからの放水を行う場合、スプリンクラーヘッドへの給水状態を検知し、異常を検知した場合は異常信号を出力可能な流水検知装置の提供を第3の目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の考案は、消火設備に設けられる開閉弁であり、内部が給水側に接続される一次側室とスプリンクラーヘッド側に接続される二次側室とが隔壁によって仕切られており、隔壁には連通口が設けられ、該連通口の二次側には弁箱の内壁に沿って摺動自在な弁体が載置され、弁体と弁箱内壁によって形成された制御室が一次側および二次側と連通しており、制御室と二次側との間に通電時のみ閉弁する通電閉止弁が設けられた流水検知装置において、一次側と制御室との間には、前記通電閉止弁の弁座口径より小径であるオリフィスと、一次側への逆流を防止した逆止弁が設けられ、スプリンクラーヘッドの作動時に、スプリンクラーヘッドの近傍に設けられた火災感知器からの火災信号が無い場合は前記通電閉止弁が閉止され弁体が弁座に着座する流水検知装置である。
請求項2記載の考案は、前記流水検知装置において、弁体は弁箱外部に貫通して突設された軸を有し、該軸の先端に設けられたリミットスイッチにより弁体の開閉を検知可能であり、リミットスイッチの作動による流水信号が出力された際、前記火災感知器から火災信号が無い場合は前記通電閉止弁が閉止され、弁体が弁座に着座する流水検知装置である。
請求項3記載の考案は、前記流水検知装置において、リミットスイッチの作動が流水検知装置に設けられたタイマーによって、所定時間継続して検出されたことで流水信号が出力されたか、または所定時間経過後にも作動信号が出力されたことで流水信号が出力された際に、前記火災感知器から火災信号が無い場合は、前記通電閉止弁が閉止され弁体が弁座に着座する請求項2記載の流水検知装置である。
請求項4記載の考案は、前記流水検知装置において、リミットスイッチの作動信号を信号制御装置にて受信し、該作動信号が所定時間継続して検出されたことで流水信号が出力されたか、または所定時間経過後にも作動信号が出力されたことで流水信号が出力された際に、前記火災感知器から火災信号が無い場合は、前記通電閉止弁が閉止され弁体が弁座に着座する請求項2記載の流水検知装置である。
請求項5記載の考案は、前記流水検知装置において、通電閉止弁を閉止した後に火災感知器から火災信号が出力され、弁体の弁座着座状態を解除した際に、流水検知装置の弁体の開放が検出されなかった場合には異常警報を出力する請求項1記載の流水検知装置である。
請求項6記載の考案は、前記流水検知装置において、流水検知装置の弁体の開放を検知する手段とは、弁体から弁箱外部に貫通して突設された軸の先端に設けられたリミットスイッチにより弁体の開閉を検知し、該リミットスイッチの作動信号により流水検知装置の弁体の開放を検知する請求項5記載の流水検知装置である。
請求項7記載の考案は、前記流水検知装置において、流水検知装置の弁体の開放を検知する手段とは、流水検知装置の一次側と二次側とを接続するバイパス管に設けた一次側と二次側の差圧検知手段である請求項5記載の流水検知装置である。
請求項8記載の考案は、前記流水検知装置において、通電閉止弁と並列に常時閉止状態にある手動弁を設置し、異常警報が出力された場合には手動弁を開放して流水検知装置の弁体を開放可能である請求項5記載の流水検知装置である。
請求項9記載の考案は、前記流水検知装置に弁体の周面と接触する垂直部を有する弁座面が設けられている請求項1または2記載の流水検知装置である。
請求項10記載の考案は、前記流水検知装置の摺動部分の水密部材として、Oリングのみを設けた場合よりも摩擦抵抗が低い水密部材を設けた請求項1または2記載の流水検知装置である。
請求項1記載の考案によれば、スプリンクラーヘッドが誤作動した際に、該スプリンクラーヘッドの近傍に設置されている火災感知器の作動信号が無い場合には直ちに流水検知装置の弁体を閉止することで水損被害を低減できるものである。
また停電時に火災が発生した場合においても、流水検知装置の機能に支障をきたすことが無いので、スプリンクラーヘッドの作動により火災を抑制・消火可能である。
請求項2記載の考案によれば、スプリンクラーヘッドの作動検知手段として弁体から外部に突出された軸と、弁体の開閉動作による軸の変位を検知するリミットスイッチを用いたことで、スプリンクラーヘッドの作動による弁体の開閉動作を遅延なく検知することができる。
請求項3および4記載の考案によれば、弁体に固定された棒とリミットスイッチによって弁体の開閉状態が検出可能であり、弁体の開放が所定時間継続したときに流水信号を出力して、弁体が瞬時のみ開いた場合には流水信号が出力されず、誤報を防止できる効果がある。
請求項5記載の考案は、通電閉止弁を閉止した後に火災感知器が作動した時に、流水検知装置の弁体の開放を検知することで通電閉止弁の異常を検出可能であり、管理人等にシステムの異常を知らせ、避難・誘導を促すことができる。
請求項6記載の考案は、流水検知装置の弁体の開放を検知する手段として請求項2に記載されている手段を利用することで、スプリンクラーヘッドの作動による現象の検知手段と、二次側への給水遮断状態から給水を再開する際の、流水検知装置の弁体の開放を検知する手段の2つの作用を持たせることができる。
請求項7記載の考案は、差圧検知手段を用いることで、二次側への給水遮断状態の検知および、給水遮断状態が解除され給水が再開されたかを検知することが可能である。
請求項8記載の考案は、流水検知装置の弁体の開放を検知することで異常を検出した時に、通電閉止弁と並列に設けられた手動弁を開放することで、二次側への給水遮断状態を解除し、給水を行うことができる。
請求項9記載の考案は、弁体の周面と接触する垂直部を有する弁座面を設けたことで、微量の水量が流れる場合においても弁体の垂直方向への移動量が多くなり、リミットスイッチの作動ストロークが充分確保できる。
請求項10記載の考案は、弁体が開閉制御される流水検知装置の摺動部の摩擦抵抗を減らし、部品を摺動させるために加える力を低減させて弁体の開閉にかかる時間を早めることができ、水損被害を低減することができる。
以下、この考案の第1実施形態を図1から図4を参照して説明する。図1は本考案の第1実施形態の流水検知装置が設けられたスプリンクラー設備の系統図、図2は警戒時の流水検知装置の断面図、図3は図1のスプリンクラー設備の作動フロー図である。図4は作動時の流水検知装置の断面図である。
本考案の第1実施形態の流水検知装置が設けられたスプリンクラー設備は、図1に示すように水源1、給水装置2、流水検知装置3、スプリンクラーヘッド4、火災感知器5、信号制御装置6から構成される。
水源1は、消火水を貯蔵しておく水槽であり、給水装置2は配管7に水源1から消火水を汲み上げ、配管7に接続されたスプリンクラーヘッド4へ供給するための装置である。警戒時において配管7は末端のスプリンクラーヘッド4まで消火水が充填されている。なお、水源1および給水装置2のかわりに家庭用の水道設備を使用することも可能である。
流水検知装置3は図2に示すように、弁箱内部が隔壁8により一次側室Iと二次側室IIに仕切られており、隔壁8には一次側室Iと二次側室IIを連通する連通口9が穿設されている。
連通口9の二次側室II側を弁座として、該弁座の上に有底円筒型の弁体10が載置されている。該弁体10の上部はフランジ形状をしており、フランジ側面は弁箱の内壁に沿って摺動自在であり、フランジ側面には水平溝が刻設され、該水平溝にリング状の水密部材11が設けられている。
水密部材11は、前述のように摺動運動が行われる箇所に設置されるので、摩擦抵抗が少なく、かつ摺動運動による水密部材のはみだし現象やねじれを防止したものを用いるのが好ましい。
具体的には、図2に示した断面形状がD字型のものの他に、水密部材11を水平溝に装着した状態で摺動面側に少なくとも1つの凸部を有する断面形状(L、X、T、Y、等)のものや、断面が矩形のものや、一般的にピストン等に使用されているピストンリングを用いてもよい。
その他に、異なる断面形状を有する複数のリングを一つの溝に組込んで設置することも可能である。例えばOリングとバックアップリングを併設してもよいし、また水平溝に装着されたOリングの摺動面を覆うように樹脂製のリング部材を装着させることも可能である。
弁体10から弁箱外部へ突設して設けられた軸12の先端付近には、リミットスイッチ13が設けられており、弁体10の開閉による上下運動をリミットスイッチ13により検出可能である。
具体的に説明するとリミットスイッチ13は、アクチュエーターから物体が離れるとスイッチがONとなるb接点のものを用い、アクチュエーターには弾発体により付勢されたプレートPが常に接触した状態にある。
弁体10が開くと軸12も上方へ移動し、アクチュエーターと接触しているプレートPが軸12に押されてアクチュエーターより離れることでリミットスイッチ13がONとなる。該リミットスイッチ13はタイマー回路と接続されており、リミットスイッチ13のON状態が所定時間以上継続して出力された場合に、信号制御装置6へ流水信号を送信する。
弁体10の上部には弁箱内壁および蓋14によって空間が形成され、これを制御室15とする。弁体10と蓋14との間には弾発体16が設けられ、弁体10を弁座側に付勢している。
制御室15は外部へ通じる接続口17を有しており、該接続口17に一次側室Iと二次側室IIへ通じる配管18が接続されている。該配管18の一次側室Iから制御室15までの間18Aには、一次側室I側から制御室への通水が可能な逆止弁19と、オリフィス20が設置され、制御室15から二次側室IIまでの間18Bには、常時開放状態にあり通電時に閉弁する通電閉止弁21が設けられている。
オリフィス20の口径は、通電閉止弁21の弁座口径よりも小径とする。
通電閉止弁21は信号制御装置6と接続されており、信号制御装置6からの信号によって開閉制御可能である。該通電閉止弁21は、平時は弁体が開放されており通電時のみ内部の弁体が閉止される構造で、具体的には電磁弁や、スプリングリターン式のボール弁等を用いる。
スプリンクラーヘッド4は、内部に弁体を支持している感熱作動機構を有しており、火災の熱によって感熱作動機構が作動して弁体を開放させ、二次側IIの配管内の消火水を散布するものである。
火災感知器5は、火災の熱や煙等によって火災を感知し、火災信号を出力するものである。火災感知器5は、スプリンクラーヘッド4の作動よりも早く作動するタイプのものを使用するのが好ましい。
信号制御装置6は、流水検知装置3の流水信号と、火災感知器5の火災信号を受け、各々の信号状態によって給水装置2の起動信号を出力したり、流水検知装置3に設けられた通電閉止弁21の開閉を制御するものである。
次に上記の流水検知装置が設けられたスプリンクラー設備の作動について図3を用いて説明する。
火災が発生すると、火災感知器5が作動して信号制御装置6に火災信号を出力する。火災感知器5の作動に続いてスプリンクラーヘッド4が作動すると、二次側室IIと接続している配管内の消火水がスプリンクラーヘッド4より噴出する。
スプリンクラーヘッド4の作動によって二次側室IIに接続された配管内は減圧し、またオリフィス20によって一次側室Iから制御室15への消火水の供給量が制限されているので、流水検知装置3の弁体10にかかる力は、一次側室Iよりかかる圧力が制御室15内の圧力を上回り弁体10が少し開方向へ移動し、スプリンクラーヘッドの作動分の流量が流れる程度に開き、一次側室Iより二次側室IIへ消火水が流れ込む。
弁体10が開いたことにより軸12も上方へ移動して、リミットスイッチ13がON状態となり、前述のようにタイマー回路によって所定時間経過後、信号制御装置6に流水信号を出力する。
信号制御装置6は、タイマー回路より流水信号を受信した際、前述の火災感知器5による火災信号が出力されていれば、給水装置2を起動させて水源1より消火水を汲み上げ、二次側室IIと接続した配管に設けられたスプリンクラーヘッド4に消火水を供給する。
給水装置2の起動により、配管7から一次側室Iを通って加圧された消火水が送られてくるので、弁体10は全開位置まで移動する。送水された消火水はスプリンクラーヘッド4より散布され火災を鎮圧・消火するものである。
続いて、スプリンクラーヘッド4が火災時以外に誤作動した場合について説明する。
スプリンクラーヘッド4が作動すると、前述のように流水検知装置3の弁体10がスプリンクラーヘッドの作動分の流量が流れる程度に開き、前述のようにタイマー回路から流水信号が信号制御装置6へ出力される。
そのとき、信号制御装置6に火災感知器5より火災信号が入力されていないので、信号制御装置6は通電閉止弁21を閉止させて、制御室15へ一次側室Iの消火水を流入させる。
制御室15内に消火水が流入すると弁体10は下方へ摺動して弁座に着座され、一次側室Iから二次側室IIへの通水を遮断して、スプリンクラーヘッド4の誤作動による水損被害を低減させるものである。
通電閉止弁21が閉止したままの状態で火災が発生した場合、火災感知器により火災が検知されて火災信号が出力されると火災警報が発せられるとともに、通電閉止弁21を開放して制御室15内の消火水が二次側IIに通水可能な状態とする。
ここで二次側IIは、スプリンクラーヘッドが作動している状態なので圧力は大気圧に略等しく、一次側I内の消火水の圧力より低圧になっているので、弁体10は制御室15側に移動して開放され、一次側Iから二次側IIへ消火水が流れる。
弁体10の開放に伴い軸12も移動し、リミットスイッチ13が作動する。該リミットスイッチ13の作動信号により、通電閉止弁21の開放により弁体10が開放されて二次側IIに給水が行われていると判断される。
あるいは、通電閉止弁21を開放したにも関わらず、リミットスイッチ13の作動信号が得られなかった場合は、通電閉止弁21が故障したと判断し、異常警報を出力して人手により通電閉止弁21と並列に設置されている手動弁22を開放して制御室15内の消火水を二次側IIへ通水可能な状態とし、一次側Iから二次側IIへの給水を行う。
一方、通電閉止弁21が閉止したままの状態で火災感知器の作動が無かった場合には、人間により流水検知装置3およびスプリンクラーヘッド4等の確認を行い、問題が無ければ復旧を行う。
上記の第1実施形態における流水検知装置3は、弁体10の開閉による変位をリミットスイッチにより検出することで二次側への給水を検知する構成であるが、これ以外の構成例として、弁座面から外部へ通じる水路の末端に圧力スイッチを設け、弁体が開いたときに水路に消火水が流入して圧力スイッチが作動することで二次側への給水を検知する機構を用いることも可能である。
次に、他階の流水検知装置の作動等によりポンプが起動する等して配管内の消火水が振動した場合の流水検知装置3の作動について説明する。
配管内の消火水の振動により弁体10は一瞬開いて、リミットスイッチ13が作動状態になる。しかし、タイマー回路により所定時間が経過する前に弁体10及びリミットスイッチ13は元の閉止状態に戻るので、信号制御装置6に流水信号を出力することはない。
上記実施形態においては、b接点のリミットスイッチを用いることで弁体の微々たる開放量を検出したが、これ以外の手段として図5に示すように弁体10と弁座との接触部分に垂直部を設け、弁閉止時には弁体と弁座が嵌合している構成にする。
少ない流量が流れる場合においても、弁体10が垂直方向に移動する距離が増えるのでリミットスイッチの作動ストロークが確保でき、弁体の開放検知が容易となる。
また、リミットスイッチ13と信号制御装置6とを直接接続し、タイマー回路を信号制御装置6内に組み込んで構成することも可能である。
続いて第2実施形態について図6から図8を参照して説明する。図6は第2実施形態の流水検知装置の断面図である。図7は差圧検出手段の通常時の断面図である。図8は差圧検出手段の作動時の断面図である。
図6に示す第2実施形態の流水検知装置の構成は、第1実施形態の流水検知装置と略同様であり、該流水検知装置が設置されるスプリンクラー設備も第1実施形態で説明したものと同様である。第2実施形態において、第1実施形態と構造が同じ部分には同符号を付し、詳細な説明は省略する。
第2実施形態の流水検知装置は、第1実施形態の流水検知装置の配管18A、18Bと並列に、差圧検知手段30を設けたものである。該差圧検知手段30とは、一次側Iの圧力が二次側IIの圧力よりも高くなったときに信号を出力するものである。
これは、第1実施形態の作動の説明の際に、通電閉止弁21が閉止状態にあることを管理人等に知らせるために、差圧検知手段30によりスプリンクラー設備が二次側IIへの通水を遮断中であることを検出し、表示や警報を発生して管理人に復旧を促すようにしたり、二次側IIへの通水が再開されたことを検出する装置である。
図7に示す差圧検知手段30の構造は、筒状の本体31には一次側Iと接続する流入口32、二次側IIと接続する流出口33を有している。内部は隔壁34により2つに仕切られており、該隔壁34には通路35が穿設され、該通路35には軸36が貫通して設けられている。
軸36の流入口32側の端には円盤状の弁体37が設置されている。弁体37の流入口32側の面には棒38が本体31を貫通して外部に突出している。棒38は弁体37の移動に伴い回動可能であり、棒38の先端にはリミットスイッチ39のアクチュエーターが接触した状態にある。
リミットスイッチ39は、b接点仕様のものであり、アクチュエーターから物体が離れるとスイッチがオンになるものを用いる。
弁体37の隔壁34側の面は、弁座接触面となっており、隔壁34の弁体37側の面は弁座となり止水部材40が埋設されている。
軸36の流出側33の端には、支持板41が設けられ、流出口33と支持板41との間には圧縮バネ42が介在され、通常、支持板41を流入口32側へ付勢し、弁体37を隔壁34から離して一次側Iから二次側IIへの通水を可能な状態にしている。
次に、差圧検知手段30の作用について説明する。常時、差圧検知手段30は、圧縮バネ42によって弁体37は開いており、一次側Iと二次側IIは通水可能であり、同圧である。
第1実施形態で説明したように、スプリンクラーヘッド4のみが作動したとき、通電閉止弁21が閉止され二次側IIへの給水が遮断される。二次側IIの圧力は、消火水が作動したスプリンクラーヘッド4より流出しているので、一次側Iの圧力よりも低くなっている。
二次側IIが低圧状態にあると、流入口32から流出口33へ流水が生じ、消火水の流れによって弁体37が隔壁34側へ移動して、図8のように弁体37が隔壁34に着座する。
弁体37が隔壁34に着座したことで、流水の流れは遮断され、一次側Iから二次側IIへ消火水が流れ込むことは無い。また弁体37に設置された棒38が回動して棒38の先端がリミットスイッチ39から離れ、リミットスイッチ39から作動信号が出力される。
リミットスイッチ39の作動信号により、二次側IIへの通水が遮断されていることが検知され、表示や警報を発して管理人に復旧を促すことができる。また復旧後にはリミットスイッチ39の作動信号が消滅するので、二次側IIに充水されたことが確認できる。
さらに、上記の差圧検知手段30を利用して、スプリンクラーヘッド4のみの作動により通電閉止弁21が閉止された後、火災感知器5が作動して通電閉止弁21を開放した際に、差圧検知手段30のリミットスイッチ39の作動信号が消滅しなかった場合は、二次側IIに給水が行われていないと判断し、異常警報を出力して人手により通電閉止弁21と並列に設置されている手動弁22を開放して制御室15内の消火水を二次側IIへ通水可能な状態とし、一次側Iから二次側IIへの給水を行う。
尚、上記に説明した図6の流水検知装置においては、弁体10の開閉による変位をリミットスイッチにより検知してスプリンクラーヘッド4の作動検知とした構成であるが、その他の手段として弁座面から外部へ通じる水路の末端に圧力スイッチを設け、弁体が開いたときに水路に消火水が流入して圧力スイッチが作動することでスプリンクラーヘッドの作動を検知する構成の流水検知装置にも差圧検知手段30は適用可能である。
第1実施形態の流水検知装置が設けられたスプリンクラー設備の系統図 警戒時における第1実施形態の流水検知装置の断面図 図1のスプリンクラー設備の作動フロー図 作動時の流水検知装置の断面図 垂直部を有する弁座構造の流水検知装置の断面図 警戒時における第2実施形態の流水検知装置の断面図 通常時の差圧検知手段の断面図 作動時の差圧検知手段の断面図 特許文献1のスプリンクラー設備系統図 特許文献2のスプリンクラー設備系統図
符号の説明
3 流水検知装置
4 スプリンクラーヘッド
5 火災感知器
9 連通口
10 弁体
12 棒
13 リミットスイッチ
14 蓋
15 制御室
16 弾発体
18 配管
19 逆止弁
20 オリフィス
21 通電閉止弁
22 手動弁
30 差圧検知手段

Claims (10)

  1. 消火設備に設けられる開閉弁であり、内部が給水側に接続される一次側室とスプリンクラーヘッド側に接続される二次側室とが隔壁によって仕切られており、隔壁には連通口が設けられ、該連通口の二次側には弁箱の内壁に沿って摺動自在な弁体が載置され、
    弁体と弁箱内壁によって形成された制御室が一次側および二次側と連通しており、制御室と二次側との間に通電時のみ閉弁する通電閉止弁が設けられた流水検知装置において、
    一次側と制御室との間には、前記通電閉止弁の弁座口径より小径であるオリフィスと、一次側への逆流を防止した逆止弁が設けられ、
    スプリンクラーヘッドの作動時に、スプリンクラーヘッドの近傍に設けられた火災感知器からの火災信号が無い場合は前記通電閉止弁が閉止され弁体が弁座に着座することを特徴とした流水検知装置。
  2. 前記流水検知装置において、弁体は弁箱外部に貫通して突設された軸を有し、該軸の先端に設けられたリミットスイッチにより弁体の開閉を検知可能であり、リミットスイッチの作動による流水信号が出力された際、前記火災感知器から火災信号が無い場合は前記通電閉止弁が閉止され、弁体が弁座に着座することを特徴とする請求項1記載の流水検知装置。
  3. 前記流水検知装置において、リミットスイッチの作動が流水検知装置に設けられたタイマーによって、所定時間継続して検出されたことで流水信号が出力されたか、または所定時間経過後にも作動信号が出力されたことで流水信号が出力された際に、前記火災感知器から火災信号が無い場合は、前記通電閉止弁が閉止され弁体が弁座に着座することを特徴とする請求項2記載の流水検知装置。
  4. 前記流水検知装置において、リミットスイッチの作動信号を信号制御装置にて受信し、該作動信号が所定時間継続して検出されたことで流水信号が出力されたか、または所定時間経過後にも作動信号が出力されたことで流水信号が出力された際に、前記火災感知器から火災信号が無い場合は、前記通電閉止弁が閉止され弁体が弁座に着座することを特徴とする請求項2記載の流水検知装置。
  5. 前記流水検知装置において、通電閉止弁を閉止した後に火災感知器から火災信号が出力され、弁体の弁座着座状態を解除した際に、流水検知装置の弁体の開放が検出されなかった場合には異常警報を出力することを特徴とする請求項1記載の流水検知装置。
  6. 前記流水検知装置において、流水検知装置の弁体の開放を検知する手段とは、弁体から弁箱外部に貫通して突設された軸の先端に設けられたリミットスイッチにより弁体の開閉を検知し、該リミットスイッチの作動信号により流水検知装置の弁体の開放を検知することを特徴とする請求項5記載の流水検知装置。
  7. 前記流水検知装置において、流水検知装置の弁体の開放を検知する手段とは、流水検知装置の一次側と二次側とを接続するバイパス管に設けた一次側と二次側の差圧検知手段であることを特徴とする請求項5記載の流水検知装置。
  8. 前記流水検知装置において、通電閉止弁と並列に常時閉止状態にある手動弁を設置し、異常警報が出力された場合には手動弁を開放して流水検知装置の弁体を開放可能であることを特徴とする請求項5記載の流水検知装置。
  9. 前記流水検知装置に弁体の周面と接触する垂直部を有する弁座面が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の流水検知装置。
  10. 前記流水検知装置の摺動部分の水密部材として、Oリングのみを設けた場合よりも摩擦抵抗が低い水密部材を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の流水検知装置。

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