JPH08117357A - 流水検知装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工困難な内部加工をする必要がなく、しか
も高感度スプリンクラーヘッドのように作動時に消火液
を少量しか散布しないものでも、火災と非火災を確実に
判別して誤報をなくす。 【構成】 弁座周囲に信号水取り出し孔をなくし、一次
側室３と二次側室４間にバイパス８を設け、該バイパス
に逆止弁９を設置するとともに、逆止弁には外部に突出
させた作動部１４を設置して該作動部でスイッチ１５を
作動させるようにする。また本体１の主弁体２にはねじ
りコイルバネ６のような弁体開放抑制手段を設置してあ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分】本発明は、スプリンクラー消火設備
に設置する流水検知装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】スプリンクラー消火設備は、火災発生時
に各部屋の天井に取り付けられたスプリンクラーヘッド
から自動的に消火液を散布して消火を行うものである。
従って、スプリンクラー消火設備は火災で人命を損なっ
たり、火災を大きくしたりすることがないという非常に
優れた特長を有している。

【０００３】しかしながら、たとえスプリンクラー消火
設備が設置された建物でも、火災では有毒ガスが発生
し、またスプリンクラーヘッドからは消火液が散布され
て室内が水浸しとなるため、火災時には、警報を発して
早期避難や重要書類の持ち出しを行わなければならな
い。そのためスプリンクラー消火設備では、火災を感知
して警報を発したり、火災発生場所を表示したりする流
水検知装置が配管途中に設置されている。

【０００４】流水検知装置とは、火災が発生してスプリ
ンクラー消火設備の配管内を消火液が流動するときに、
この消火液の流動を感知して電気的信号を発するもので
ある。

【０００５】従来の流水検知装置は、本体内が主弁体で
一次側室と二次側室に仕切られており、この仕切りの弁
座に信号水取り出し孔が穿設されていた。火災発生時に
流水検知装置の主弁体が開放されると同時に信号水取り
出し孔も開放されて、そこに消火液が流入する。そして
信号水取り出し孔から流水検知装置の外部に導き出され
た消火液は、遅延タイマーやチャンバーを介して設置さ
れたスイッチを作動させることにより電気的な信号を発
するようになっていた。

【０００６】流水検知装置では、火災時に流水検知装置
内を流動する消火液と非火災時に流水検知装置内を流動
する消火液とを確実に判別して、火災発生時だけに警報
を発するようなものでなければならない。

【０００７】非火災時に消火液が流水検知装置内を流動
する現象は次のようにして起こる。つまりスプリンクラ
ーヘッドを取り付けた二次側配管内の消火液が漏洩して
圧力が下がった場合、これを補充して設定された圧力以
上にしておかなければならない。通常、このような場
合、水源の消火用ポンプを起動させずに、吐出量の少な
い補助ポンプが自動的に起動し、設定された圧力範囲を
維持するようになっている。この補助ポンプは所定の圧
力になると自動的に停止するものである。

【０００８】このように補助ポンプが起動したときにも
流水検知装置では圧力の高い消火液で主弁体が押し上げ
られ、消火液が信号水取り出し孔に流入する。しかしな
がら、この消火液の流動を感知して警報を発していたの
では常に誤報となってしまう。そこで流水検知装置で
は、このような場合には流水検知装置がを感知しないよ
うになっている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】ところで従来の流水検
知装置は、弁座に穿設された信号水取り出し孔から消火
液を本体外に流出させ、この消火液が火災時のものであ
るか、或いは非火災時のものであるかを判断するもので
あった。しかしながら、流水検知装置は、全体が鋳造法
で一体成形されているものであるため、弁座に信号水取
り出し孔を作るための機械加工を施すときに、狭い開口
から工具を挿入して行わなければならないことから、信
号水取り出し孔の穿設加工が困難となっていた。

【００１０】また従来の流水検知装置は、実際の火災時
における消火液の流動と非火災時における消火液の流動
との判別が困難で、しばしば非火災時に警報を発してし
まう誤報があった。その原因は最近のスプリンクラー消
火設備が高感度スプリンクラーヘッドを使用するように
なってきたためである。

【００１１】該高感度スプリンクラーヘッドは火災が発
生すると直ぐにそれを感知して作動し、少量の消火液で
消火が行えるようになっている。従って、高感度スプリ
ンクラーヘッドは初期消火が早く行え、しかも火災が鎮
火しても他のものを消火液で濡らすことが少なくて済む
という長所を有している。しかしながら、従来の流水検
知装置では高感度スプリンクラーヘッドの火災発生時に
散布する消火液の量が少ないために、非火災時に流動す
る少量の消火液との判別ができなくなって、誤報を発す
ることがあった。

【００１２】本発明は、信号水取り出し孔のような内部
加工を施さなくても済み、しかも高感度スプリンクラー
ヘッドを取り付けたスプリンクラー消火設備においても
絶対に誤報を発しないという製造容易で信頼性に優れた
流水検知装置を提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明者は、流水検知装
置の内部に信号水取り出し孔をなくせば狭い本体内の困
難な加工が必要なくなり、また少量の液体の流量を感知
するには大きな流路よりも小さな流路での方が正確とな
ることに着目して本発明を完成させた。

【００１４】本発明は、本体内が主弁体で一次側室と二
次側室に仕切られた流水検知装置において、主弁体には
開放を抑制する手段が講じられており、一次側室と二次
側室間にバイパスが形成されているとともに、該バイパ
スに逆止弁が取り付けられており、また逆止弁には弁体
の開閉にともなって移動する作動部が設置されていて、
しかも作動部の近傍には該作動部で操作することのでき
るスイッチが設置されていること特徴とする流水検知装
置である。

【００１５】本発明では、バイパスに設置する逆止弁と
して、軸に取り付けられた弁体が回動するスウィング弁
やステムの先端に固定されたディスク状弁体が平行移動
するリフト弁等が使用できる。

【００１６】スイッチを作動させる作動部は、スウィン
グ弁では弁体の軸に固定してあって弁体の開閉で作動部
が回動するようにして、回動する作動部でスイッチを操
作したり、或いは弁体の先端に設置した磁石がリミット
スイッチを操作したりするものである。またリフト弁で
はディスク状弁体のステムに固定してあって、該弁体の
開閉で作動部を往復動させるようにし、該作動部でスイ
ッチを作動させてもよい。

【００１７】逆止弁に設置する作動部やスイッチは逆止
弁の外部に設置した方が調整やメンテナンスが容易とな
るが、磁石の移動で作動するリミットスイッチのような
ものであれば逆止弁の内部に設置することもできる。

【００１８】本発明で主弁体の開放を抑制する手段は、
主弁体を押圧するねじりコイルバネや主弁体自体の重量
を重くして開放を抑制すること等である。

【００１９】

【作用】一次側室と二次側室間にバイパスを設けて消火
液を該バイパスに流動させ、ここで消火液の流動を感知
するようにしたため、信号水取り出し孔が不要となる。
またバイパスに設置した逆止弁の流路は、流水検知装置
の流路よりも小さいため、少量の消火液の流動を的確に
捕らえることができて感度が良好となる。

【００２０】

【実施例】以下図面に基づいて本発明を説明する。図１
は本発明の流水検知装置の正面断面図、図２は本発明に
使用するスウイング式逆止弁の正面拡大図、図３は同リ
フト式の逆止弁の正面拡大図、図４は磁石とリミットス
イッチを内蔵したスウイング式逆止弁の正面拡大図であ
る。

【００２１】流水検知装置の本体１内には、矢印Ａ方向
に開閉する逆止弁方式の主弁体２が設置されており、該
主弁体で仕切られた下部が一次側室３、上部が二次側室
４となっている。一次側室３には図示しない水源からの
一次側配管が接続され、二次側室には図示しないスプリ
ンクラーヘッドを取り付けた二次側配管が接続される。

【００２２】主弁体２は弁座５を閉止することにより消
火液が二次側室４から一次側室３に逆流するのを阻止し
ている。また主弁体２には開放を抑制する手段が講じら
れている。実施例に示す抑制手段は、ねじりコイルバネ
６であり、ねじりコイルバネは主弁体２を軸支した軸７
に設置され、一方の腕が主弁体２の上部を押圧し、もう
一方の腕が本体１の内壁に係止されている。

【００２３】流水検知装置の一次側室３と二次側室４間
にはバイパス８が形成されており、該バイパスの途中に
は逆止弁９が取り付けられている。一次側室３と逆止弁
９は流出管１０で接続されており、逆止弁９と二次側室
４は流入管１１で接続されている。

【００２４】図１、２に示す逆止弁はスウイング式であ
り、弁体１２を取り付けた軸１３は逆止弁の外部に突出
していて、該軸には作動部１４が固定されている。図
１、２に示す作動部は板バネであり、弁体の開放途中で
作動部の先端が他のものに接しても、板バネが反って弁
体はそれ以上容易に開くことができるようになってい
る。

【００２５】作動部１４の下方にはスイッチ１５が設置
されている。スイッチ１５は押圧される部分がバネ附勢
されており、上方から押圧するとスイッチＯＮとなり、
上方の押圧が解かれるとＯＦＦとなるものである。

【００２６】スイッチ１５には図示しない遅延タイマー
が電気的に接続されている。遅延タイマーとは、スイッ
チの作動が一定時間以上連続して行われると、電気的信
号を送信するが、スイッチの作動が一定時間以内である
場合は、電気的信号を送信しないようになっているもの
である。

【００２７】次に上記構造を有する本発明の流水検知装
置の作動状況について説明する。

【００２８】火災が発生し、二次側室４に接続した図示
しない二次側配管のスプリンクラーヘッドが作動して二
次側配管内の消火液が流出すると二次側配管内の圧力が
下がる。すると二次側室４の消火液の圧力は一次側室の
消火液の圧力よりも低くなる。しかし、主弁体２はねじ
りコイルバネ６で開放が抑制されているため、直ぐには
開放されず、先に逆止弁９の弁体１２が矢印Ｂ方向に開
く。その後に主弁体２が開き、消火液が一次側室から二
次側室に流動して一次側配管の圧力も下がる。この圧力
の低下を図示しない圧力スイッチが検知して水源のポン
プを起動させ、消火液を二次側配管に圧送する。

【００２９】圧送された消火液は流水検知装置の一次側
室３から二次側室４を通って二次側配管に流入し、二次
側配管に取り付けられたスプリンクラーヘッドから散布
されて消火が行われる。

【００３０】このときも流水検知装置を通る消火液の一
部は一次側室に接続された流出管１０からバイパス８に
流入を続けている。

【００３１】バイパス８に流入した消火液で逆止弁９の
弁体１２が開かれると、弁体を取り付けた軸１３が回動
し、それにともなって軸１３に固定された作動部１４も
矢印Ｃ方向に回動する。回動する作動部は回動途中でス
イッチ１５を作動させ、スイッチ１５からは図示しない
遅延タイマーを経由して電気的信号を図示しない制御盤
に送る。信号を受けた制御盤はベルやブザー等の警報を
発し、また表示板に火災の場所を表示する。警報や火災
発生場所を知った人達は、安全な場所に避難したり、重
要書類を持ち出したりして、火災からの被害を最小限に
抑える。

【００３２】ところで非火災時に二次側配管で消火液の
漏洩があった場合、二次側配管の圧力が下がる。この圧
力低下により補助ポンプが起動すると一次側配管には圧
力の高い消火液が急激に送られてくる。この高圧の消火
液により流水検知装置では主弁体が開こうとするが、主
弁体はねじりコイルバネで押圧されているため、ほとん
ど開かないか、開いてもほんの短い時間である。従っ
て、一次側室の消火液は流出管１０からバイパス８に流
入し、バイパスの途中に設置された逆止弁９の弁体１２
を開放すると同時に、作動部１４がスイッチ１５を作動
させる。

【００３３】しかしながら、一次側配管の漏洩を補う量
は少しであるため、補助ポンプの稼働時間も短い。その
ため消火液がバイパス８に設置された逆止弁９を流通す
る時間も短く、作動部１４がスイッチ１５を作動させて
も、作動時間が短くなって、遅延タイマーが電気的信号
を送信するには至らない。従って、非火災時の消火液の
流通を流水検知装置は感知せず、警報や表示を行わな
い。

【００３４】図３に示す逆止弁は、本発明に使用できる
リフト式である。リフト式逆止弁１６は、エルボウ継手
となっており、流出管１０と接続する部分に弁座１７が
形成され、該弁座の上にディスク状弁体１８が載置され
ている。ディスク状弁体１８の上部中央にはステム１９
が取り付けられており、該ステムは摺動可能に水密状態
で外部に突出している。外部に突出したステムには内部
に圧縮バネ２０を挿入したシリンダー２１が載置されて
いる。またシリンダー２１の上部にはスイッチ１５が設
置されている。

【００３５】リフト式逆止弁に流水管１０から消火液が
流入すると、消火液はディスク状弁体１８を押し上げる
ため、ステム１９上のシリンダー２１がスイッチ１５を
作動させる。このときシリンダー２１内には圧縮バネ２
０が挿入されているため、ステムが上昇してスイッチ１
５を作動させた後も、ディスク状弁体が上昇すれば圧縮
バネ２０が圧縮してステムの上昇を妨げないようになっ
ている。

【００３６】図４に示す逆止弁は、スウイング式である
が、作動部とスイッチが逆止弁の内部に設置されたもの
である。この逆止弁２２は、弁体１２の先端に作動部で
ある磁石２３が取り付けられており、弁体１２が開放さ
れた状態の磁石の近傍には磁気で作動するリミットスイ
ッチ２４が設置されている。該リミットスイッチにも電
気的に遅延タイマーが接続されている。この逆止弁で
は、弁体１２が開放されると、弁体の先端に取り付けら
れた磁石２３がリミットスイッチ２４を作動させ、電気
的信号を発するようになっている。作動部を逆止弁の内
部に設置すると、突出する部分の水密を心配する必要が
なく、また突出する部分の回転性や摺動性が悪くなるこ
ともない。

【００３７】

【発明の効果】以上説明した如く、本発明の流水検知装
置は、従来の流水検知装置のように信号水取り出し孔を
弁座に穿設しない構造であるため、困難な内部の加工を
行わなくても済むという製造が容易なものであり、また
流水検知装置内を流動する消火液の感知をバイパスに設
置した逆止弁の弁体の開放で行うようにしたため、口径
の小さなバイパスを通過する消火液を高感度で感知で
き、火災時に少量の消火液を散布する高感度スプリンク
ラーヘッドに用いた場合、火災時と非火災時の判別を正
確に行って誤報を発しないという信頼性に優れたもので
もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の流水検知装置の正面断面図

【図２】本発明に使用するスウイング式逆止弁の正面拡
大図

【図３】本発明に使用するリフト式の逆止弁の正面拡大
図

【図４】本発明に使用する磁石とリミットスイッチを内
蔵したスウイング式逆止弁の正面拡大図

【符号の説明】

１ 流水検知装置本体 ２ 主弁体 ３ 一次側室 ４ 二次側室 ６ 開放抑制手段のねじりコイルバネ ８ バイパス ９ 逆止弁 １４ 作動部 １５ スイッチ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 本体内が主弁体で一次側室と二次側室に
   仕切られた流水検知装置において、主弁体には開放を抑
   制する手段が講じられており、一次側室と二次側室間に
   バイパスが形成されているとともに、該バイパスに逆止
   弁が取り付けられており、また逆止弁には弁体の開閉に
   ともなって移動する作動部が設置されていて、しかも作
   動部の近傍には該作動部で操作することのできるスイッ
   チが設置されていること特徴とする流水検知装置。
2. 【請求項２】 前記逆止弁は、スウィング式であり、作
   動部は逆止弁の外部に突出した軸に固定された板バネで
   あることを特徴とする請求項１記載の流水検知装置。
3. 【請求項３】 前記逆止弁は、リフト式であり、作動部
   は逆止弁の外部に突出したステムであることを特徴とす
   る流水検知装置。
4. 【請求項４】 前記逆止弁は、スウイング式であり、作
   動部は弁体に設置された磁石であって、スイッチは本体
   内部に設置されたリミットスイッチであることを特徴と
   する請求項１記載の流水検知装置。
5. 【請求項５】 前記主弁体の開放を抑制する手段は、主
   弁体を押圧するねじりコイルバネであることを特徴とす
   る請求項１記載の流水検知装置。
6. 【請求項６】 前記主弁体の開放を抑制する手段は、重
   量を重くした主弁体であることを特徴とする請求項１記
   載の流水検知装置。