JP3118515B2 - 投写型表示装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、液晶プロジェク
タなどの台形歪み補正手段を備えた投写型表示装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、液晶プロジェクタに代表される固
定ピッチの画素を表示するための光の生成、または、ラ
ンプなどで発生した光の調節を行う、いわゆるライトバ
ルブとして使用した場合に、垂直方向における投写角度
の設置位置によっては、投写された画像の上端および下
端、または、右端および左端と表示部までの投写距離が
設計された値と異なる比率となる場合があり、この時、
画像は台形状に表示される。

【０００３】つまり、図２に示すように投写装置１０を
標準位置に置いた場合は、表示画像２０が長方形に投写
される。しかしながら、図３のように投写装置１０を上
に向けた場合、画像下端３０は表示部４０と投写装置１
０の距離が短くなり、小さい画像が表示され、画像上端
５０は表示部４０と投写装置１０の距離が長くなり、大
きい画像が表示される。これによって、台形歪みが発生
する。

【０００４】この現象は、左右方向においては、投写装
置１０の左右の位置を調整することで可能な場合も多い
が、上下方向の調整は、設置される台の高さに依存する
場合が多く、調整出来ないことが多い。

【０００５】これを改善するために、レンズシフトと呼
ばれる光学系を用いた調整手段がある。

【０００６】レンズシフトは、光学系を用いて、光学的
な位置関係の補正を行うため、機械的なレンズ等の位置
関係を変更する手段を付ければよい。

【０００７】しかしながら、レンズ等の位置関係を可変
させることから、レンズ性能の劣化が生じ、台形歪み以
外の性能である、フォーカス、たる型歪み、糸巻き歪み
などの画像上の歪みが増加してしまう傾向にある。

【０００８】一方、図４に示すように、台形歪み補正を
電気的に補正するため、上下方向の台形歪み補正の場合
は、画像上端５０での画像表示範囲と画像下端３０での
画像表示範囲とを可変させ、投写された表示画像２０が
目的の形になるよう、構成したものがある。通常、目的
とする形は矩形である。

【０００９】今まで、上記台形歪み補正を電気的に補正
する手段をとった場合に、表示画像２０自体は、台形状
に広がった面積全体に投写されるように光が広がるが、
台形歪み補正を施し、電気的に画像表示範囲を可変した
場合、ライトバルブとして構成された固定ピッチの画素
を通る光の量は変化しない。従って、台形歪みを施した
部分で表示範囲を可変した所は、投写された表示部４０
上の単位面積あたりの光量が表示範囲の可変量に応じて
変わることになる。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】台形歪みを矩形になる
ように補正すると、画像上端５０と画像下端３０におい
て、表示画像２０は長方形となるが、実際には台形状に
なるべき画像を上端の画像を下端の画像と比較し、相対
的に小さく表示していることになる。

【００１１】従って、上端で大きくなった画像を電気的
に小さく表示しただけの画像は、投写装置１０を標準位
置に設置して投写した画像よりも電気的に小さく表示し
た分暗くなるという問題があった。

【００１２】この発明は、上記の事情に鑑みてなされた
もので、液晶プロジェクタなどにおいて、台形歪み補正
を電気的に実現する装置に、台形歪み補正を施した場合
の明るさの変化を補正する明るさ補正手段を備えた投写
型表示装置を提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】この発明の投写型表示装
置では、上記課題を解決するため、以下の手段を採用し
た。すなわち、請求項１記載の投写型表示装置によれ
ば、投写装置により表示部に表示された画像の輪郭が、
表示部の表示面の角度により台形となるときに、前記画
像の輪郭を矩形に補正する台形歪み補正手段を備えた投
写型表示装置において、前記画像の明るさについて、前
記補正により減少した明るさを補正する明るさ補正手段
を備えてなることを特徴とする。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下に、この発明の一実施の形態
について説明する。本件については、その中心を電気的
台形歪み補正を行うことと同時に、明るさについても補
正する事を主眼としており、最初に、その明るさの補正
方法について説明し、その後に台形歪み補正方法につい
て補足的に説明する。

【００１５】明るさの補正は、図５に示す画像のように
表示された場合に、以下のように表される。

【００１６】明るさの変化は、単位面積あたりの光の量
によって決まる。

【００１７】図５の場合は、左右対称、縦方向はＨv固
定として考えると、明るさは、台形歪み補正前の画像範
囲における、左右方向の長さに反比例すると言える。

【００１８】任意の高さ方向での下端からの位置をｈd
とし、その時の左右方向の長さをＵhdとすると、台形歪
み補正後の明るさ比（Ｂri）は、以下の式で求められ
る。

【００１９】 Ｂri＝Ａcd／Ｕhd ＝Ａcd／（Ａcd＋２×Ｃd×（ｈd／Ｈv）） ＝Ａcd／（Ａcd＋（Ｕh−Ａcd）×（ｈd／Ｈv）） ＝１／（１＋（Ｕh−Ａcd）×（ｈd／Ｈv）／Ａcd）

【００２０】従って、明るさの補正量（Ｃbri）は、以
下のような式になる。 Ｃbri＝（１＋（Ｕh−Ａcd）×（ｈd／Ｈv）／Ａcd）

【００２１】明るさは、上記補正量に応じて設定でき
る。この補正は、単純な直線近似で実現でき、具体的に
は、下記に示すアナログ回路による方法によって実現可
能である。

【００２２】図１は本装置の回路ブロック図である。ま
た、図６に本回路におけるタイミングチャートのうち、
補正波形を示す。

【００２３】上下方向の台形歪み補正を行うための手段
の一つにＡ／Ｄ変換する際のクロック周波数を変化させ
る方法がある。

【００２４】この方法は、台形歪みに対して、例えば、
図４のように上端が広がっている台形歪みを補正するた
めに下端に対して上端を相対的に小さくする必要があ
る。

【００２５】上端を小さくするためには、入力画像信号
を取り込むためのクロック周波数を下げ、取り込まれる
画像の表示されている範囲を少なくすればよい。

【００２６】このための回路は、図６に示すように、取
り込みのためのクロック発生器の周波数可変端子に対し
て、垂直同期信号に同期したノコギリ波形を重畳すれば
よい。

【００２７】明るさ調整回路については、入力画像信号
に対して、振幅方向の調整を行えば良く、同じく垂直同
期信号に同期したノコギリ波形を明るさ調整用端子に重
畳すればよい。

【００２８】以上の方法で、機械的に生じる台形歪みに
対して、その大きさと明るさを簡易的に調整することが
出来る。

【００２９】次に、この発明の一実施の形態による投写
型表示装置の作動について、図１を用いて説明する。

【００３０】画像信号入力端子より入力された信号は、
振幅調整用のアンプをとおり、Ａ／Ｄ変換器１００に入
力される。

【００３１】Ａ／Ｄ変換器１００では、ＶＣＯ１１０か
らのクロック信号出力により、デジタル信号に変換さ
れ、信号処理部１２０を経て、表示デバイス１３０に導
かれる。

【００３２】クロック発生は、ＶＣＯ１１０より出力さ
れたクロック信号を分周器１４０に入力し、水平同期入
力と位相比較し、加算器１５０を通してＶＣＯ１１０の
周波数制御端子に入力することでＰＬＬループを構成す
る。

【００３３】途中、加算器１５０では、垂直同期入力か
らノコギリ波形発生器１６０により発生されたノコギリ
波形Ｖoscによって、画像上端と下端の発振周波数を可
変し、台形歪み補正を行う。

【００３４】また、同時に垂直同期入力からノコギリ波
形発生器１６０により発生されたノコギリ波形Ｖampに
よって、画像上端と下端の画像振幅を可変し、明るさの
補正も行う。

【００３５】以上説明したように、この発明の投写型表
示装置には、画像の明るさについて、台形歪み補正によ
り減少した明るさを補正する明るさ補正手段が備えられ
ている。

【００３６】従って、上記の投写型表示装置によれば、
台形歪み補正と同時にそれにより変化した明るさの補正
も同時に行うことが出来る。

【００３７】

【発明の効果】この発明の投写型表示装置によれば、画
像の明るさについて、台形歪み補正により減少した明る
さを補正する明るさ補正手段が備えられているので、台
形歪み補正を施した場合の明るさの変化を補正すること
が出来るという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明による投写型表示装置の回路ブロッ
ク図である。

【図２】 この発明の一実施の形態を示す図であって、
投写装置を標準位置に置いて、表示部に画像を投写する
場合の概念図である。

【図３】 同投写装置を上に向けて置いて、表示部に画
像を投写する場合の概念図である。

【図４】 同投写装置を上に向けて置いて、表示部に投
写された画像に台形歪み補正を行った場合の概念図であ
る。

【図５】 明るさの補正量を算出するための説明図であ
る。

【図６】 図１の回路におけるタイミングチャートであ
る。

【符号の説明】

１０ 投写装置 ２０ 画像 ４０ 表示部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G03B 21/00 G02F 1/13 H04N 5/74

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 投写装置により表示部に表示された画像
   の輪郭が、表示部の表示面の角度により台形となるとき
   に、前記画像の輪郭を矩形に補正する台形歪み補正手段
   を備えた投写型表示装置において、 前記画像の明るさについて、前記補正により減少した明
   るさを補正する明るさ補正手段を備えてなることを特徴
   とする投写型表示装置。