JP3117567B2 - 横目地用防水材 - Google Patents

横目地用防水材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は上下に隣接する外壁構
成部材間に設けられる横目地用防水材に係り、特に、壁
式工法によるユニット建物の防水施工に適用して好適で
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の防水材としては、例え
ば、特開昭64−33335号公報等に記載されている
ものが知られている。上記公報等に記載されている防水
材は、ゴム引布等の水密性シート部材により防水材本体
が形成され、この防水材本体の下縁部には接着層が設け
られている。
【0003】このような防水材を、例えば、下階部屋ユ
ニットの上部に上階部屋ユニットを据え付けた際に、上
階外壁面材と下階外壁面材との間に生じる横目地に取り
付けるには、上階床根太と上階外壁面材の下縁部との間
に防水材の上縁部を挟着すると共に、下階外壁面材の上
縁部表面側に防水材の下縁部を粘着固定する。このよう
にして、外壁パネル間を完全に覆い、水の浸入を確実に
防止するようにしている。ここで、防水材の上縁部を上
階床根太と上階外壁面材の下縁部との間に挟着するに
は、予め工場において上階部屋ユニットを生産する際
に、ライン生産の都合上、まず、対応する最外側の上階
床根太に防水材の上縁部を張着する。次いで、上階外壁
面材を取り付ける際に、当該防水材の上縁部に上階外壁
面材の下縁部を当接して釘打ちして上階床根太に固定す
る。
【0004】ところで、このような防水材は、シート状
のもの故、弛緩し易いために、ときに、裏あて材を必要
とする場合がある。例えば、上階部屋ユニットの屋外側
側面に下屋ユニット(差掛屋根ユニット)を隣接配置し
てユニット建物を構築する場合には、上階外壁面材の下
端部が上階床根太に達しないこととなる。このような場
合、上記従来の防水材を用いて上階外壁面材の下縁部と
下屋ユニットの上階側接合部との間に生じる横目地を防
水するには、防水材の上縁部を、工場において、まず、
(横目地が形成されることとなる)縦枠間に張設しなけ
ればならないが、上記したように、防水材は弛緩し易い
ため、上階壁面材と防水材との間を確実に閉塞すること
は困難である。それ故、上記した裏あて材が必要となる
が、従来は、裏あて材として剛性のある横長の鋼板を用
いていた。すなわち、防水材の上縁部に防水性粘着剤を
介して上記鋼板を粘着接合することにより、防水材が弛
緩することを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、裏あて
材が鋼板で形成される場合には、錆等の化学腐食が生じ
易く、錆等の進行に伴って防水性能が劣化するので、防
錆処理が不可欠である。加えて、外壁面材に硬質木片セ
メント板等を適用する場合には、鋼板表面で酸アルカリ
反応が行われる恐れがあり、このような場合には化学腐
食が一層促進されるので適切な塗装処理も不可欠とな
る。このように、上記従来の鋼板製の裏あて材は、煩雑
な防錆処理や塗装処理を必要とすることから、製作費の
高騰を招いていた。
【0006】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、煩雑な防錆処理や塗装処理を必要とせず、それ
故、安価に製造できる横目地用防水材を提供することを
目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明の横目地用防水材は、防水シートと、該防
水シートの少なくとも片面に設けられ、該防水シートを
上側の外壁構成部材に張設するための合成樹脂フィルム
製の裏打ち材と、上記防水シートの下縁部に設けられ、
当該防水シートを下側の外壁構成部材に粘着固定させる
ための下側粘着層とからなり、前記裏打ち材は、外側に
折り返された部分を有し、該折り返された部分は、上側
の前記外壁構成部材に当接されるものであることを特徴
としている。
【0008】
【作用】この発明の横目地用防水材は、防水シートの裏
あて材として合成樹脂フィルムを使用するものなので、
錆等の化学腐食が生じ難く、それ故、煩雑な防錆処理や
塗装処理を要しないので安価に製造できる。そして、裏
打ち材(合成樹脂フィルム)を折曲2重にして、折り返
し部分を上側の外壁構成部材に当接させて用いるように
しているので、折曲状態から伸張状態に経時的に戻ろう
とする経時的復原力が裏打ち材(合成樹脂フィルム)に
生じ、この経時的復原力は、折り返し部分が上側の外壁
面材を強く押しつける力として発現されるので、防水材
と上側の外壁構成部材との間を一層閉塞状態とすること
ができ、それ故、一段と優れた防水性能を得ることがで
きる。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例につ
いて説明する。図1は、この発明の実施例である横目地
用防水材(以下、単に防水材という)の構成を示す縦断
面図、図2は同防水材の取付状態を示す縦断面図であ
る。この例の防水材は、横目地からの水の浸入を防止
するために、全体として横方向に長尺に形成され、図1
に示すように、布地の片面にゴム層を有するゴム引布で
形成された防水シート11と、該防水シート11が弛緩
状態やシワシワ状態となるのを防止するための裏あて材
82と、防水シート11を横目地4の下側部材(介挿合
板5、図2)に粘着固定させるための防水性粘着層13
とからなっている。上記防水シート11において、上記
布地は、天然繊維、化学繊維、グラスウール等の編織布
や、不編織布等が用いられ、また、上記ゴム層は、上記
布地にゴムを塗布するか、あるいは、薄層ゴムを張り合
わせる等して形成されている。
【0010】上記裏あて材82は、長尺のポリプロピレ
ンフィルム(厚さが0.5mm〜1.0mm)を断面概略三
角形状に折曲して得られたもので、垂直板部82aと、
折り返し板部82bと、これらを連結する繋ぎ板部82
cとからなっている。上記垂直板部82aは、防水シー
ト11のゴム層が設けられている表面側に図示せぬ粘着
剤塗布層を介して粘着固定されている。繋ぎ板部82c
は、垂直板部82aの下端縁を折曲して得られる。上記
折り返し板部82bは、繋ぎ板部82cをさらに折曲し
て得られ、垂直板部82aに対向配置され、取付状態に
おいては上階外壁面材23に当接される。裏打ち材8の
一端部でもある垂直板部82aの端部と、裏打ち材8の
他端部でもある折り返し板部82bの端部とは、図示せ
ぬ粘着剤塗布層を介して張り合わせられている。このよ
うにして、垂直板部82a、繋ぎ板部82c、折り返し
板部82bの各辺からなる三角形状の裏打ち材82が形
成されている。また、上記防水性粘着層13は、ブチル
ゴムシートを、防水シート11の布地が露出している裏
面側下縁部に、その長手方向に亘って連続的に粘着する
ことによって形成され、表面は、離型紙14によって保
護されている。
【0011】次に、この例の防水材8を、図2に示すよ
うに、上階床パネル21の屋外側側面に隣接配置される
下屋ユニット3の上階側接合部と、該上階側接合部の上
方に配設される上階外壁面材23の下縁部との間に生じ
る横目地4に取り付ける場合の施工手順について説明す
る。
【0012】予め、防水材8は、工場において上階部屋
ユニット2が生産される際に、上階壁パネルの下縁部に
取り付けられる。防水材8の取付にあたっては、防水シ
ート11の布地面(裏面)を、まず、壁枠材の横目地と
なる箇所に当てがい、交差する縦枠22にタッカーで仮
止めする。このとき、防水シート11には裏打ち材82
が貼着されているので、縦枠と縦枠との間で防水シート
11が弛緩状態やシワシワ状態になることはない。次
に、硬質木片セメント板の上階外壁面材23を縦枠22
や裏打ち材82の折り返し板部82bに当接して釘打ち
して緊結する。このとき、三角形の大半部分は潰され、
垂直板部82aと折り返し板部82bとは、当接状態と
なる。なお、繋ぎ板部82cと折り返し板部82bの下
縁部は、上階外壁面材23の下端面の下方に配置されて
三角形状をとどめ、上階外壁面材23を伝ってきた水滴
を下方に落とす働きをする。
【0013】このようにして生産された上階部屋ユニッ
ト2を建築現場に輸送して、図示せぬ下階部屋ユニット
の上に据え付け、同じく下階部屋ユニットに隣接して据
え付けられた下屋ユニット3に介挿合板5を介して連結
する。ここで、上階外壁面材23と介挿合板5とは、間
隙を介して上下に並設されることになる。下屋ユニット
3の屋根面上縁部から介挿合板5の上縁部にわたる外側
面には雨おさえ6が取り付けられる。次に、防水材8の
防水性粘着層13を被覆する離型紙14を剥離して、防
水材8の下縁部を雨おさえ6に粘着固定させる。この
後、上階外壁面材23の下縁部外側に水切りカバー7を
取り付けて、横目地4を隠して防水施工を完了する。
【0014】このように、防水材8を、上階外壁面材2
3の下縁部裏面から下屋屋根3の上階側接合部に亘る取
付状態で使用することにより、横目地4を完全に覆うこ
とができ、また、裏打ち材82は、必要な剛性を有する
ので、上階外壁面材23の裏面に完全に圧着され、それ
故、裏打ち材82と上階外壁面材23との間からの水の
浸入も防止でき、高い防水性能を確保することができ
る。また、裏あて材82の繋ぎ板部82cと折り返し板
部82bの下縁部は、外気に接しているが、ポリプロピ
レンフィルムからなるものなので、錆が生じる恐れはな
い。一方、裏あて材82の折り返し板部82bは、硬質
木片セメント板の上階外壁面材23に当接する状態とな
るが、同様の理由により酸アルカリ反応は生じない。さ
らにまた、水切りカバー7は紫外線を遮断するので、裏
打ち材82の紫外線による劣化が防止される。
【0015】また、上記構成によれば、折曲部がヒンジ
となり、ポリプロピレンフィルム等合成樹脂フィルムの
有する経時的性質により、折り返し板部82bが元の伸
張状態に戻ろうとしてヒンジを開こうとするので、上階
外壁面材23が強く圧迫を受け、これにより、折り返し
板部82bと上階外壁面材23との間が強く閉塞状態と
なる。それ故、一段と優れた防水性能を得ることができ
る。
【0016】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述の実
施例においては、シート本体を布地の片面にゴム層を有
するゴム引布で形成するようにした場合について述べた
が、これに限らず、布地の両面にゴム層を有するゴム引
布で形成するようにしても良い。
【0017】また、上述の実施例においては三角形状の
裏あて材を用いるようにした場合について述べたが、三
角形の1辺を構成する繋ぎ板部82cは、適宜省略する
ことができる。すなわち、垂直板部から直接折り返し板
部を設けるようにしても、略上述したと同様の効果を得
ることができる。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の防水材
によれば、錆等の化学腐食が生じ難く、それ故、煩雑な
防錆処理や塗装処理を要しないので安価に製造できる。
そして、裏打ち材(合成樹脂フィルム)を折曲2重にし
て、折り返し部分を上側の外壁構成部材に当接させて用
いるようにしているので、折曲状態から伸張状態に経時
的に戻ろうとする経時的復原力が裏打ち材(合成樹脂フ
ィルム)に生じ、この経時的復原力は、折り返し部分が
上側の外壁面材を強く押しつける力として発現されるの
で、防水材と上側の外壁構成部材との間を強く閉塞状態
とすることができ、それ故、一段と優れた防水性能を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例である防水材の構成を示す縦
断面図である。
【図2】同防水材の取付状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
8 防水材(横目地用防水材) 11 防水シート 82 裏打ち材 13 防水性粘着層(下側粘着層) 23 上階外壁面材(外壁構成部材) 3 下屋ユニット 5 介挿合板(外壁構成部材) 82b 折り返し板部(外側に折り返された部分)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下に隣接する外壁構成部材間に設けら
    れる横方向に長尺の横目地用防水材であって、防水シー
    トと、該防水シートの少なくとも片面に設けられ、該防
    水シートを上側の前記外壁構成部材に張設するための合
    成樹脂フィルム製の裏打ち材と、前記防水シートの下縁
    部に設けられ、当該防水シートを下側の前記外壁構成部
    材に粘着固定させるための下側粘着層とからなり、前記
    裏打ち材は、外側に折り返された部分を有し、該折り返
    された部分は、上側の前記外壁構成部材に当接されるも
    のであることを特徴とする横目地用防水材。
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