JPH0635730B2 - 外壁パネルの防水構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、建築物の外壁を構成するために上下左右に配
列されている外壁パネル間の防水構造に関する。

（従来の技術） 従来、建築物の外壁パネルの防水構造としては、例え
ば、特公昭５８−４６６１８号公報等に記載されている
ような構造が知られている。

この従来の防水構造は、ポリエチレンシートやポリ塩化
ビニルシート等の樹脂シートで形成されている防水シー
トを用いて、上階住宅ユニットの外壁パネルと下階住宅
ユニットの外壁パネルとの間に形成される隙間から水が
浸入するのを防止しようとしたもので、防水シートは、
上縁部が上階の外壁パネルと床パネルの間に挾着され、
下縁部が垂下された状態で取り付けられていた。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、このような従来の防水構造にあっては、
防水シートの垂下されている下縁部が、上階住宅ユニッ
トと下階住宅ユニットとの接合部分を覆う位置まで達し
ておらず、上階の外壁パネルと下階の外壁パネルの間の
防水が完全でなかった。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、上述のような問題点を解決することを目的と
してなされたもので、この目的達成のために、本発明で
は、上下左右に配列されている外壁パネルの、左右に隣
接する外壁パネル間に形成される隙間には、ガスケット
が設けられていると共に、外壁パネルの四隅が集まる部
分であって、上側の外壁パネル間に設けられている上側
のガスケットと下側の外壁パネル間に設けられている下
側のガスケットとの隙間には、防水ジョイントプレート
が設けられており、前記防水ジョイントプレートは、上
縁部が、上側のガスケットと重なるように上側左右二枚
の外壁パネルの下隅部裏面に接着されていると共に、下
縁部が、下側のガスケットと重なるように下側左右二枚
の外壁パネルの上隅部表面に接続されている手段とし
た。

（作用） 本発明の外壁パネルの防水構造では、左右に隣接する外
壁パネル間にガスケットが設けられているのに加えて、
外壁パネルの四隅が集まる部分にも防水ジョイントプレ
ートが設けられており、この防水ジョイントプレート
が、更に上側の外壁パネル間に設けられている上側のガ
スケットと、下側の外壁パネル間に設けられている下側
のガスケットとに重なるように取り付けられているため
に、上下方向の隙間を完全に覆い、防水することができ
る。

また、防水ジョイントプレートは、その上縁部が上側の
外壁パネルの裏面側に接着されていると共に、下縁部が
下側の外壁パネルの表面側に接着されているので、防水
ジョイントプレートと外壁パネルとの接合部分からの水
の浸入も防止できる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面により詳述する。

まず、第１図〜第６図に示す第１実施例について、その
構成を説明する。

本実施例を説明するあたり、ユニット住宅を構成してい
る上階住宅ユニットＡの上階外壁パネルａ及び下階住宅
ユニットＢの下階外壁パネルｂ間の防水構造を例にとっ
て説明する。尚、これらの上階及び下階外壁パネルａ，
ｂは、硬質木片セメント板１と、その裏面に固定されて
いる鉄フレーム２とで構成されている。

本実施例の防水構造は、第１図に示すように、防水シー
ト１０と、ガスケット２０と、防水ジョイントプレート
３０とが用いられている。

前記防水シート１０は、第３図に示すように、上階外壁
パネルａと下階外壁パネルｂの間に形成される左右方向
の隙間４０に設けられ、そこからの水の浸入を防止する
もので、横方向に長尺に形成されており、シート本体１
１が、ゴム引布で形成されている。

尚、このゴム引布は、布地の片面にゴム層が設けられた
もので、布地としては、天然繊維や化学繊維やグラスウ
ール等の編織布または不編織布が用いられ、ゴム層は、
ゴムを塗布あるいは薄層ゴムを張り合せることによって
形成されている。

また、この防水シート１０は、ゴム層が設けられている
シート本体１１の表面には、上縁部に上階外壁パネルａ
に接着させるための上階パネル用接着層１２が設けられ
ていると共に、下縁部に仮留め用接着層１３が設けら
れ、布地が露出している裏面側には、下縁部に下階外壁
パネルｂに接着させるための下階パネル用接着層１４が
設けられている。

尚、前記上階パネル用接着層１２と仮留め用接着層１３
とは、粘着材を塗布することによって形成され、また、
下階パネル用接着層１４は、ブチルゴムシートを接着す
ることによって形成されており、各接着層１２，１３，
１４の表面は、それぞれ離型紙１５によって保護されて
いる。

また、ガスケット２０は、左右に隣接する上階外壁パネ
ルａ，ａ間及び下階外壁パネルｂ，ｂ間に形成される上
下方向の隙間５０に設けられ、そこからの水の浸入を防
止するもので、ゴムで長尺に形成されており、前記隙間
５０に押し込みにより取り付けられる。

また、防水ジョイントプレート３０は、第１図に示すよ
うに、外壁パネルａ，ｂの四隅が集まる部分に設けら
れ、そこからの水の浸入を防止するもので、プレート本
体３１がステンレス板で形成されている。

この防水ジョイントプレート３０は、第４図に示すよう
に、プレート本体３１が、上階外壁パネルａの裏面に沿
って設けられる垂直部３１１と、下階外壁パネルｂの上
端面に沿って設けられる水平部３１２と、下階外壁パネ
ルｂの表面に沿って設けられる押え部３１３とで形成さ
れている。そして、前記垂直部３１１の表面側には、右
縁部と左縁部とに、上階外壁パネルａに接着させるため
の上階パネル用接着層３２，３３が縦長に設けられてい
ると共に、水平部から押え部にかけての裏面側には、下
階外壁パネルｂに接着させるための下階パネル用接着層
３４が横長に設けられている。

尚、これらの接着層３２，３３，３４は、全てブチルゴ
ムシートを接着することによって形成されており、各接
着層の表面は、それぞれ離型紙３５によって保護されて
いる。

次に、第１実施例の施工手順を説明する。

予め、第５図に示すように、防水シート１０を上階住宅
ユニットＡの左右の上階外壁パネルａ，ａにそれぞれ取
り付けておく、この防水シート１０は、離型紙１６を外
した上側パネル用接着層１２を、上階外壁パネルａの下
縁部裏面に接着させておくと共に、仮留め用接着層１３
を、その上階外壁パネルａの下端から表側に回して持ち
上げ、上階外壁パネルａの下縁部表面に接着させて仮留
め状態にしておく。

また、下階住宅ユニットＢの下階外壁パネルｂ，ｂ間の
隙間５０には、ガスケット２０を取り付けておく。

この状態で、上階住宅ユニットＡを下階住宅ユニットＢ
の上に載せる。ここで、上階外壁パネルａと下階外壁パ
ネルｂとは、左右方向の隙間４０を介して上下に並設さ
れることになる。

次に、上階外壁パネルａと下階外壁パネルｂとの間の隙
間を利用して、防水ジョイントプレート３０を、上階外
壁パネルａの下隅部及び下階外壁パネルｂの上隅部の四
隅が集まる部分に取り付ける（第５図参照）。

この防水ジョイントプレート３０を取り付けるにあた
り、垂直部３１１を防水シート１０と梁ｃの間に挿入さ
せると共に、水平部３１２を下階外壁パネルｂの上端面
に押し当てる。こうすることにより、垂直部３１１の上
階パネル用接着層３２，３３が、左右二枚の上階外壁パ
ネルａの下隅部裏面側で防水シート１０の裏面に接着す
ると共に、水平部３１２及び押え部３１３の下階パネル
用接着層３４が、左右二枚の下階外壁パネルｂ，ｂの上
隅部表面及び下階のガスケット２０に接着する。

次に、第６図に示すように、防水シート１０を、仮留め
用接着層１３を上階外壁パネルａから外して、下側パネ
ル用接着層１４を下階外壁パネルｂの上縁部表面に接着
する。このとき、防水シート１０は、防水ジョイントプ
レート３０の水平部３１２にも重ねて接着され、左右方
向の隙間を完全に覆うことになる。

更に、第１図に示すように、ガスケット２０を上階外壁
パネルａ，ａ間に形成される上下方向の隙間に取り付け
る。ここでも、ガスケット２０は、その下端部が防水ジ
ョイントプレート３０の上に重ねて取り付けられ、上下
方向の隙間５０を完全に塞ぐことになる。

尚、第２図に示す３は水切り、４は化粧カバーであっ
て、これらの取り付けは、防水シート１０及び防水ジョ
イントプレート３０の取り付けを完了した後に行う。

このように、防水シート１０と防水ジョイントプレート
３０とで、上階外壁パネルａと下階外壁パネルｂの間に
形成される左右方向の隙間４０を完全に覆うことができ
ると共に、ガスケット２０と防水ジョイントプレート３
０とで左右に隣接する上階外壁パネルａ，ａ間及び下階
外壁パネルｂ，ｂ間に形成される上下方向の隙間５０を
塞ぐことができるため、外壁を全体的に隙間を余すこと
のない完全な防水状態にすることができる。

しかも、防水シート１０の上縁部の接着面及び防水ジョ
イントプレート３０の上縁部の接着面が上階外壁パネル
ａの裏側に設けられているので、防水シート１０及び防
水ジョイントプレート３０と上階外壁パネルａとの間か
らの水の浸入も防止でき、高い防水性能を確保すること
ができる。

また、この防水シート１０には、表面側下縁部に仮留め
用接着層１３が設けられていることで、上述のように防
水シート１０の下縁部を垂れないように持ち上げて上階
外壁パネルｂに仮留めしておくことができるので、住宅
ユニットＡ，Ｂの据え付け時のみならず、例えば、保管
や輸送の際にも邪魔にならず便利である。

また、実施例の防水シート１０は、テープ本体１１がゴ
ム引布で形成されており、また、防水ジョイントプレー
ト３０は、プレート本体３１がステンレス板で形成され
ているために、これらは、樹脂シートで形成されている
ものと比較して以下に述べる点で優れている。

伸縮し難いので、外壁パネルａ，ｂへの接着時にシワ
がより難くあるいはシワがよらず、全面密着させ易い。

上からビスや釘等を打ち込んでも、シワやヤブレが少
なく、また、穴開きの回復性も良い。

布面に対するブチルゴムの接着性が良く、密着性の高
いブチルゴムの使用が効果的となる。

経時による寸法変化が少ない。

冬季の寒冷地においても、ある程度の柔軟性が保てる
ので取付作業性が良い。

次に、第７図及び第８図に示す第２実施例について説明
する。

尚、第２実施例を説明するにあたり、第１実施例と同様
の構成には同じ符号を付けて説明を省略する。また、作
用についても第１実施例と同様の作用は説明を省略す
る。

この実施例は、第１実施例の防水構造を外壁パネルａ，
ｂの入隅に適用した例で、防水ジョイントプレート３
０′のブレート本体３１′が、ステンレスとゴムとの複
合材等の弾性変形可能な素材を用い、平面から見てＬ形
に形成されている。

従って、防水ジョイントプレート３０′を外壁パネル
ａ，ｂに取り付ける際には、垂直部３１１′を広げなが
ら上階外壁パネルａの裏側に挿入させる。

以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、具
体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。

例えば実施例では、外壁パネルの直線部分あるいは入隅
部分の防水構造について示したが、防水ジョイントプレ
ートの形状を対応させることによって出隅の防水構造に
適用してもよい。

（発明の効果） 以上説明してきたように、本発明の外壁パネルの防水構
造にあっては、左右に隣接する外壁パネル間に形成され
る上下方向の隙間を完全に覆うことができ、かつ、防水
ジョイントプレートと外壁パネルとの接着部分からの水
の浸入も防止できるために、高い防水性能が確保できる
という効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明第１実施例の外壁パネルの防水構造を示
す斜視図、第２図は第１図のII−II断面図、第３図は第
１実施例に用いた防水シートを示す斜視図、第４図は第
１実施例に用いた防水ジョイントプレートを示す斜視
図、第５図及び第６図は第１実施例構造の施工手順を説
明する斜視図、第７図は第２実施例の防水構造に用いた
防水ジョイントプレートを示す斜視図、第８図は第２実
施例構造の施工状態を示す斜視図である。 ａ……上階外壁パネル（外壁パネル） ｂ……下階外壁パネル（外壁パネル） ２０……ガスケット ３０……防水ジョイントプレート ４０，５０……隙間

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上下左右に配列されている外壁パネルの、
   左右に隣接する外壁パネル間に形成される上下方向の隙
   間には、ガスケットが設けられていると共に、外壁パネ
   ルの四隅が集まる部分であって、上側の外壁パネル間に
   設けられている上側のガスケットと下側の外壁パネル間
   に設けられている下側のガスケットとの隙間には、防水
   ジョイントプレートが設けられており、 前記防水ジョイントプレートは、上縁部が、上側のガス
   ケットと重なるように上側左右二枚の外壁パネルの下隅
   部裏面に接着されていると共に、下縁部が、下側のガス
   ケットと重なるように下側左右二枚の外壁パネルの上隅
   部表面に接着されていることを特徴とする外壁パネルの
   防水構造。