JP3113118B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

車両の制御装置

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JP3113118B2
JP3113118B2 JP4775693A JP4775693A JP3113118B2 JP 3113118 B2 JP3113118 B2 JP 3113118B2 JP 4775693 A JP4775693 A JP 4775693A JP 4775693 A JP4775693 A JP 4775693A JP 3113118 B2 JP3113118 B2 JP 3113118B2
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vehicle
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陽子 小川
満 長岡
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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の運動特性をドラ
イバーの心理状態に応じて変化させる制御装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両の運動特性を車両の走行
環境に応じて変化させることにより、車両の運動特性を
ドライバーの要求に合致したものに変更制御しようとす
るものが提案されている。このような車両の制御装置と
して、道路状況に応じてスロットルゲインを変化させる
ものが提案されている(例えば、特開平2−24193
5号公報参照)。この制御装置は、道路状況を市街地
路、高速道路、登坂道路および渋滞道路に分類して、各
種道路状況に応じて定めたスロットル開度をスロットル
開度特性記憶手段に予め記憶させ、道路状況設定手段に
予め設定した上記道路状況の中から特定の道路状況を選
択指定することにより、その選択指定ごとにスロットル
開度を変更しようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、自動車の走行
環境は、上記の各種道路状況だけで定まるものではな
く、同じ道路状況であってもその時の交通流の状態によ
っても種々変化する。このため、各種道路状況によって
のみ車両を制御しても、車両の運動特性に実際の走行環
境を必ずしも反映させることはできない。その上、上記
走行環境に対してドライバーの望む車両の運動特性、す
なわち、ドライバーの要求は、走行環境の状態のみなら
ず、その時の走行環境下で運転操作するドライバーの緊
張度合いなどで表される心理状態によっても変化する。
そして、この心理状態はドライバーの主として運転習熟
度合いなどの相違に起因してドライバー各人で相違す
る。従って、たとえ走行環境の把握を各種センサなどを
用いて行ったとしても、それら車両や道路の側からのみ
の検出情報によって車両の運動特性を画一的に制御する
だけでは、ドライバーの内面的要求と必ずしも合致せ
ず、個々のドライバー各人にとって、車両の運動特性を
必ずしも実際の走行環境に適応したものとすることがで
きない。
【0004】このため、実際の走行環境における生体で
あるドライバーの要求を検出し、このような要求に応じ
て車両の運動特性を変化させることが考えられるが、そ
のようなドライバーの要求、すなわち、ドライバーの心
理状態を表す生体信号を検出し、これを制御用コンピュ
ータに入力することは困難であり、従来、実現されては
いない。
【0005】ところで、上記ドライバーの心理状態を表
す生体信号の一つとして心拍数があり、この心拍数を用
いてドライバーの要求を検出することが考えられる。こ
の場合、走行の度にドライバーに心拍数検出のための計
測機器を装着させるのはドライバーに過度の負担となり
非現実的であり、採用することはできない。このため、
走行中、生体であるドライバーと直接接触するステアリ
ングホイールを電極としてドライバーの手の掌から心電
位を検出し、この心電位の時間的変化である心電図(心
電位の波形;図5参照)より心拍信号としてR波を取り
出して心拍数を計測することが考えられる。すなわち、
1分間当りのR波の回数を心拍数とするものである。
【0006】しかしながら、ドライバーの手とステアリ
ングホイールとの接触が転舵操作などのために離れてR
波が一時的にとぎれたり、上記心拍信号が微弱な生体信
号であるためノイズの混入によりR波の誤検出が発生し
たりするおそれが考えられる。これらに対して、心拍間
の最大心拍変動量に基いて正しいR波の判別を行うこと
も考えられるが、この場合、上記R波が長時間(例えば
10秒程度)にわたりとぎれると、とぎれ後に検出した
R波について真値であるか否かの上記判別が不能とな
る。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、ドライバーか
ら心拍信号を取り出して走行中のドライバーの実際心拍
数を計測するに当り、上記心拍信号の長時間のとぎれが
生じても、ドライバーの実際心拍数を正確に計測するこ
とにある。加えて、そのドライバーの実際心拍数の計測
数のいかんに拘らずドライバーの心理状態を正確に把握
して、各種走行環境下におけるドライバーの内面的要求
を車両の運動特性の制御に的確に反映させることにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、図1に示すように、車両を
制御する制御手段1と、運転者から心拍信号を取り出し
て運転者の実際心拍数を計測する実際心拍数検出手段2
と、この計測された実際心拍数に基いて上記制御手段1
の制御ゲインを変更する制御ゲイン変更手段3とを備え
る。そして、上記実際心拍数検出手段2に、心拍信号の
検出が所定時間以上とぎれた後の実際心拍数を計測する
とぎれ後計測部2aを備え、このとぎれ後計測部2a
を、上記とぎれの後に検出した連続する複数の心拍信号
間の時間間隔がそれぞれ設定時間間隔の範囲内にある
時、この心拍信号の時間間隔に基く心拍数を真値として
計測するように構成するものである。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、制御ゲイン変更手段3に、実際心拍数検出
手段2により検出された実際心拍数の平均値を演算する
演算部3aと、この演算部3aで演算された平均実際心
拍数と所定の基準心拍数との偏差に応じて制御ゲインを
変更する制御ゲイン変更部3bとを備える構成とするも
のである。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、制御ゲイン変更手段3に、実際心拍数検出
手段2により検出された実際心拍数の変動量である心拍
ゆらぎ量を演算する演算部3cと、この演算部3cで演
算された心拍ゆらぎ量に応じて制御ゲインを変更する制
御ゲイン変更部3dとを備える構成とするものである。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項2もしくは
3に記載の発明において、演算部3aもしくは3cを、
設定時間内に計測された実際心拍数の計測数が設定数よ
り多いとき、その計測された実際心拍数に基いて演算を
実行するように構成するものである。
【0012】請求項5記載の発明は、請求項2もしくは
3に記載の発明において、演算部3aもしくは3cを、
設定時間内に計測された実際心拍数の計測数が設定数よ
り少ないか等しいときであっても、計測された心拍数群
の変動率が設定値より小さいか等しいとき、その計測さ
れた実際心拍数に基いて演算を実行するように構成する
ものである。
【0013】請求項6記載の発明は、請求項2記載の発
明において、演算部3aを、今回計測された実際心拍数
の変動率が設定値より大きいとき、今回値に代えて前回
計測された実際心拍数を用いて演算を実行するように構
成するものである。
【0014】また、請求項7記載の発明は、請求項3記
載の発明において、演算部3cに平均心拍数と心拍ゆら
ぎ量との関係を記憶保持させ、上記演算部3cを、設定
時間範囲内に計測された実際心拍数の計測数が設定数よ
り極めて小さいとき、平均心拍数に基き上記関係から心
拍ゆらぎ量の演算を行うように構成するものである。
【0015】さらに、請求項8記載の発明は、請求項3
記載の発明において、演算部3cを、設定時間範囲内に
計測された実際心拍数の計測数が設定数より極めて小さ
いとき、各瞬時心拍数間の単位時間当りの変動量の平均
値に基いて心拍ゆらぎ量の演算を行うように構成するも
のである。
【0016】
【作用】上記の構成により、請求項1記載の発明では、
実際心拍数検出手段においてドライバーから心拍信号を
取り出す際、その心拍信号の検出が所定時間以上とぎれ
た場合、とぎれ後計測部によって、その後に検出した連
続する複数の心拍信号間の時間間隔がそれぞれ設定時間
間隔の範囲内にある時、その心拍信号の時間間隔に基く
心拍数が真値とされる。これにより、ドライバーの実際
心拍数の変動を把握する上で上記とぎれに起因して検出
心拍数の有効性判断が不能となる事態が回避されて、心
拍信号の長時間のとぎれ後に検出する心拍数についての
有効性が的確に判定される。このため、心拍信号検出に
長時間のとぎれが発生しても、ドライバーの実際心拍数
について的確な把握が可能となる。
【0017】そして、このような的確な計測結果に基き
制御ゲイン変更手段にて制御ゲインが変更されて制御手
段における車両の運動特性が変更されるため、制御中
に、心拍信号検出に長時間のとぎれが発生しても、実際
心拍数に基く車両の制御が可能となり、その実際心拍数
より把握される運転者の心理状態が車両の制御に反映さ
れる。
【0018】請求項2記載の発明では、上記請求項1記
載の発明による作用に加えて、制御ゲイン変更手段にお
いて、計測された実際心拍数に基き演算部で平均値が演
算され、制御ゲイン変更部でこの平均値と基準心拍数と
の偏差に応じて制御ゲインの変更が行われる。これによ
り、走行中の運転者の緊張度合いにより把握される心理
状態の変化が上記基準心拍数を基準としてより客観的に
判定されて、車両の制御に的確に反映される。また、こ
の際、上記偏差を求める対象として上記実際心拍数検出
手段からの計測結果がそのまま用いられるのではなく、
それらの平均値が用いられるため、上記計測結果の個々
の変動によりその都度制御ゲインが変更されることを防
止して、ドライバーに違和感を与えることなく車両の変
更制御が行われる。
【0019】請求項3記載の発明では、上記請求項1記
載の発明による作用に加えて、制御ゲイン変更手段にお
いて、計測された実際心拍数に基き演算部で実際心拍数
の変動量である心拍ゆらぎ量が演算され、制御ゲイン変
更部でこの心拍ゆらぎ量に応じて制御ゲインの変更が行
われる。これにより、走行中の運転者の緊張度合いの変
化がより客観的に判定され、運転者の心理状態がより的
確に車両の動きに反映される。すなわち、上記心拍ゆら
ぎ量は、運転者が緊張状態にある時、副交感神経の働き
が減弱して比較的小さい値となる一方、リラックス状態
にある時、副交換神経の機能が亢進して比較的大きい値
となるという生理特性に基き変化するため、この心拍ゆ
らぎ量の大小に基いて運転者の緊張度合いの変化が的確
に把握可能となる。
【0020】請求項4記載の発明では、上記請求項2も
しくは請求項3に記載の発明による作用に加えて、設定
時間範囲内に計測された実際心拍数の計測数が設定数よ
り多い場合にその計測された実際心拍数を有効なものと
して各演算部での演算処理が実行される。このため、制
御ゲインの変更が有効なデータに基き行われてドライバ
ーの心理状態がより的確に車両の制御に反映される。
【0021】請求項5記載の発明では、上記請求項2も
しくは請求項3に記載の発明による作用に加えて、設定
時間範囲内に計測された実際心拍数の計測数が設定数よ
り少ない場合であっても、その計測数の心拍数群の変動
率が設定値より小さいか等しければ上記計測された実際
心拍数は有効なものとして各演算部での演算処理が実行
される。このため、車両の制御へのドライバーの心理状
態の反映が、請求項4記載の発明と比べより広範な心拍
数データに基いて行われる。
【0022】請求項6記載の発明では、上記請求項2記
載の発明による作用に加えて、計測された実際心拍数の
変動率が設定値より大きいとき、その計測された心拍数
を無効なものとしてキャンセルして前回値を今回の心拍
数として用いられる。このため、無効なデータに基く誤
制御が回避され、かつ、その間の制御が現在の状況に最
も近い前回値に基いて継続される。
【0023】また、請求項7記載の発明では、上記請求
項3記載の発明による作用に加えて、実際心拍数につい
ての計測数が設定数と比べ極めて少ない場合であって
も、演算部における心拍ゆらぎ量が、上記少ない計測数
の実際心拍数の平均心拍数に基いて、予め記憶設定され
た平均心拍数と心拍ゆらぎ量との関係から求められる。
このため、計測数が極端に少ない場合であっても、有効
な心拍ゆらぎ量が得られ、この心拍ゆらぎ量に基いて無
制御状態の発生が防止されて有効かつ継続した制御が可
能となり、制御ゲイン変更手段での制御のバックアップ
が行われる。
【0024】さらに、請求項8記載の発明では、上記請
求項3記載の発明による作用に加えて、実際心拍数につ
いての計測数が設定数と比べ極めて少ない場合であって
も、演算部における心拍ゆらぎ量が、計測された各実際
心拍数間の前後の瞬時心拍数の単位時間当りの変動量の
平均値に基いて求められる。このため、計測数が極端に
少ない場合であっても、請求項7記載の発明と同様に、
有効な心拍ゆらぎ量が得られ、この心拍ゆらぎ量に基い
て無制御状態の発生が防止されて有効かつ継続した制御
が可能となり、制御ゲイン変更手段での制御がバックア
ップされる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図2以下の図面に基
いて説明する。
【0026】(第1実施例)図2は、4輪操舵車に、本
発明の第1実施例に係る制御装置を適用した車両の概略
平面図を示す。
【0027】まず、上記4輪操舵車の構成について説明
する。同図において、4はステアリングホイール、Fw
は左右の前輪、Rw は左右の後輪、10は上記ステアリ
ングホイール4の操作により左右の前輪Fw ,Fw を操
舵する前輪操舵装置、20はこの前輪操舵装置10によ
る前輪Fw ,Fw の転舵に応じて左右の後輪Rw ,Rw
を操舵する後輪操舵装置である。
【0028】上記前輪操舵装置10は、車幅方向に配置
されたリレーロッド11を有し、このロッド11の両端
部は各々タイロッド12、12及びナックルアーム1
3、13を介して左右の前輪Fw ,Fw に連結されてい
る。上記リレーロッド11には、このリレーロッド11
をステアリングホイール1の操作に連動して左右に移動
させるラック・アンド・ピニオン機構14が付設されて
おり、上記ステアリングホイール1の操作時にその操作
量に応じた角度だけ上記左右の前輪Fw ,Fw を操舵す
るようになっている。
【0029】一方、上記後輪操舵装置20は、上記前輪
操舵装置10の場合と同様に、車幅方向に配置されたリ
レーロッド21を有し、このロッド21の両端部は各々
タイロッド22、22及びナックルアーム23、23を
介して左右の後輪Rw ,Rwに連結されている。上記リ
レーロッド21には、このロッド21を中立位置に付勢
するセンタリングバネ24が配置されているとととも
に、ラック・アンド・ピニオン機構25が配置されてい
る。この機構25にはクラッチ26、減速機構27、及
びモータ28が連携されており、クラッチ26の締結時
にモータ28の回転駆動によりラック・アンド・ピニオ
ン機構25を介してリレーロッド21を車幅方向に移動
させて、上記後輪Rw ,Rw をモータ28の回転量に応
じた角度だけ操舵するようになっている。そして、上記
モータ28はコントロールユニット29からの制御信号
により所定の回転量だけ駆動されるようになっている。
【0030】上記コントロールユニット29は上記モー
タ28の駆動を制御することにより車両の4輪操舵特性
を制御する制御手段30を備えており、この制御手段3
0には車速を検出する車速センサ31と、前輪Fw ,F
w の転舵角を検出する前輪転舵角センサ32と、上記モ
ータ28により移動されるリレーロッド21の移動量を
検出することにより後輪Rw ,Rw の転舵角を検出する
後輪転舵角センサ33とが接続されている。
【0031】そして、上記制御手段30は、内部に、前
輪転舵角θF に対するリレーロッド21の移動量SAの
基準特性マップ、すなわち、前輪転舵角θF に対する後
輪転舵角θR の基準転舵比特性マップが予め入力記憶さ
れており、上記車速センサ31からの車速検出値に基い
て所定の転舵比fv に対応する上記リレーロッド21の
移動量SAを演算し、この移動量SAに相当する駆動制
御信号を上記モータ28に出力するようになっている。
具体的には、上記車速検出値に対応する転舵比fv が選
択され、このfv に基いて θR =fv ・θF ・k (但し、kは制御ゲイン;通常はk=1.0) によって、後輪転舵角θR が演算されるようになってい
る。
【0032】上記基準転舵比特性マップは、図3に実線
で示すように、車速が所定の設定速度VO 以下の低車速
域で後輪Rw ,Rw が前輪Fw ,Fw とは逆位相とな
り、車速がVO より高い中・高速域で同位相となるよう
設定されている。つまり、低車速域では車両の回転半径
を小さくして小回りや車庫入れなどの容易化に行い得る
ようにする一方、高車速域では後輪の前輪に対するコー
ナリングフォースの位相遅れを短縮してレーンチェンジ
(車線変更)や緩やかな旋回を安定して行い得るように
なっている。
【0033】次に、上記制御手段30による4輪操舵特
性の制御をドライバーの実際心拍数に基いて変更する構
成について説明する。
【0034】上記コントロールユニット29は、上記制
御手段30のほかに、この制御手段30における制御ゲ
インを実際心拍数検出手段40(図2参照)により検出
されたドライバーの実際心拍数に基いて変更する制御ゲ
イン変更手段50を備えている。
【0035】上記実際心拍数検出手段40は、ステアリ
ングホイール4の所定の各部位に配設されてドライバー
の左右両手間の電位差を検出するための電極41と、こ
の電極41に接続されて上記電位差を増幅する増幅器4
2と、この増幅器42により増幅された電位差から心電
位以外の所定の周波数信号成分を除去するバンドパスフ
ィルタ43と、このバンドパスフィルタ43を通過した
心電位から心拍信号であるR波の出現した時間間隔に基
き心拍数を計測する計測部44と、この計測部44で計
測された今回の心拍数と前回の心拍数との変動幅を見て
設定変動幅を超える心拍計測値をキャンセルし前回値を
今回の有効心拍数として上記制御ゲイン変更手段50に
出力するキャンセル部45とを備えている。
【0036】上記電極41は、図4に詳細を示すよう
に、各一対の+極41a,41aおよび−極41b,4
1bからなる。この電極41は、ステアリングホイール
4の上下左右の各位置に所定幅の4つの絶縁部4a,4
a,…を形成することにより上記ステアリングホイール
4のホイール部を左上、左下、右下および右上の4つの
領域(同図にメッシュ模様で示す領域)4b,4c,4
d,4eに分割し、この各領域4b,4c,…に+極4
1aおよび−極41bを交互に配設する構成となってい
る。つまり、ドライバーが相対向した状態でステアリン
グホイール4の左右両側の領域4b,4eまたは4c,
4d、すなわち、ドライバーの左右の各手により握られ
る左右の領域の一方4b,4dが+極41a、他方4
c,4eが−極41bとなるように配設されており、こ
れにより、上記ステアリングホイール4を握るドライバ
ーの左右両手間の電位差を検出するようになっている。
このような電極41はステアリングホイール4の各領域
4b,4c,…の表面に導電性ゴムもしくは導電性プラ
スチックなどを用いて皮膜を形成することによって配設
される一方、上記各絶縁部4aが未処理部とされること
によりステアリングホイール4自体の材質により絶縁体
部分が形成されている。
【0037】上記各電極41a,41bはステアリング
シャフトとステアリングコラムとの間に介在させたスリ
ップリング46(図2参照)を介してインピーダンス変
換用増幅器42に接続されており、この増幅器42は生
体であるドライバーからのインピーダンスの極めて高い
心拍信号を増幅し、この増幅した心拍信号を上記バンド
パスフィルタ43を介して上記計測部44に送るように
なっている。
【0038】上記バンドパスフィルタ43は、そのカッ
トオフ周波数として高周波側および低周波側にそれぞれ
所定値が設定されており、これら両設定値の間の周波数
帯域のものを通過させるようになっている。すなわち、
上記高周波側のカットオフ周波数はドライバーが手でス
テアリングホイール4の電極41を握る際の手の筋肉活
動に伴い心電位に混入する高周波信号成分である筋電位
をカットし得る値に設定され、一方、上記低周波側のカ
ットオフ周波数は上記ドライバーの手と上記電極41と
の接触不良に伴い上記心拍信号に混入する低周波信号成
分をカットし得る値に設定されている。
【0039】上記計測部44での心拍数計測の原理は、
心電位の時間的変化の波形である心電図(図5参照)に
おいて順に表れるP,Q,R,S,TおよびUの各波の
内のR波がベース電位より所定量高く設定されたトリガ
ーレベルを超える1分間当りの回数を計測し、この回数
をドライバーの実際心拍数とするものである。そして、
実際の計測部44での処理は、通常時計測と、上記R波
が長時間にわたりとぎれた後のとぎれ後計測とに分けて
行われる。通常時計測は、上記トリガーレベルを超えた
前回のR波と今回のR波との時間間隔dtを検出し、こ
の時間間隔dtより1分間当りの心拍数hr を演算によ
り求め今回の実際心拍数とするようになっている。ま
た、とぎれ後計測は、上記R波のとぎれた後に計測され
た連続する複数の心拍数hr が所定の設定範囲(例えば
60〜120bpm ;beat per minute )にある時、その
心拍数hr を実際心拍数の真値とするようになってい
る。
【0040】上記キャンセル部45は、上記計測部44
で計測された時間間隔dtに基く心拍数hr の今回値と
前回値との変動幅が所定の設定変動幅の範囲外のもので
あるとき今回値に基く心拍数hr を無効データとしてキ
ャンセルする一方、上記設定変動幅内のものであると
き、今回値に基く心拍数hr を有効データである有効心
拍数Hr として制御ゲイン変更手段50に出力するよう
になっている。なお、上記設定変動幅はドライバーであ
る生体の実際心拍数の単位時間当りの心拍変動量につい
ての最大値に対応して定められている(例えば±5bpm
)。
【0041】以下、上記計測部44とキャンセル部45
での処理を、図6に示すフローチャートに基いて具体的
に説明する。
【0042】まず、ステップSA1で上記トリガーレベ
ルを超えるR波を検出したか否かを検出するまで繰り返
し、検出したらステップSA2でその時のタイマ値を読
取りこれを今回値t(n) に記憶する。そして、ステップ
SA3で今回値t(n) から前回値t(n-1)を減算して時間
間隔dtを求める。
【0043】次に、ステップSA4でとぎれ時フラグf
1 が1であるか否かを判別して、とぎれ時フラグf1 が
1の場合、後述のステップSA11に進み、1でない場
合、ステップSA5に進む。このステップSA5で上記
時間間隔dtが10秒より長いか否かを判別し、10秒
以下の場合、ステップSA6〜SA9に進んで通常時計
測を行い、10秒より長い場合、とぎれ後計測とするた
めステップSA10に進んで上記とぎれ時フラグf1 に
1を設定し、その後、共にリターンする。
【0044】通常時計測の場合、上記ステップSA6で
時間間隔dtの逆数に60を乗じて1分間当りの心拍数
hr の今回値hr(n)を求め、ステップSA7で心拍数h
r の今回値hr(n)から前回値hr(n-1)を減算したもの
(心拍数の変動幅)が設定変動幅(±5bpm )の範囲内
か否かを判別し、範囲内であればステップSA8で今回
値hr(n)を今回の有効心拍数Hr としてこの有効心拍数
Hr を制御ゲイン変更手段50に出力してステップSA
9に進み、範囲外であればステップSA8を抜かしてス
テップSA9に進む。このステップSA9では検出心拍
数hr(n)の更新、すなわち、今回のhr(n)の値をhr(n-
1)に入れ替えしてリターンする。つまり、上記ステップ
SA7で心拍数の変動幅が±5bpm の範囲外である場
合、今回値hr(n)は無効データとしてキャンセルされ
る。
【0045】とぎれ後計測の場合、上記ステップSA1
0でとぎれ時フラグf1 が1とされるため、リターンし
てステップSA1〜SA4を繰り返した後、ステップS
A4からステップSA11に進む。このステップSA1
1で時間間隔dtが1.5秒より小さいか否か、すなわ
ち、このdtに基く心拍数が40より大きいか否かを判
別し、上記時間間隔dtが1.5秒以上(換算心拍数4
0以下)である場合、無効データであるためリターンし
て再度R波および時間間隔dtの検出(ステップSA1
〜SA3)し、上記ステップSA11の判別を繰り返
す。
【0046】そして、上記時間間隔dtが1.5秒より
短い場合、ステップSA12でその時間間隔dtに基き
上記ステップSA6と同じ要領で心拍数hr の演算を行
い、ステップSA13でR波検出フラグf2 が1である
か否かを判別し、1でなければ、とぎれ後に一応有効な
R波が検出されたとしてステップSA14で上記R波検
出フラグf2 に1を設定し、ステップSA9を経てリタ
ーンする。すでに、上記R波検出フラグf2 に1が設定
されていれば、ステップSA15で上記心拍数hr が所
定の心拍数範囲内、すなわち、60〜120bpm の範囲
内にあるか否かを判別し、範囲外であれば、検出したR
波は無効データであるとしてステップSA16で上記R
波検出フラグf2 の1を0に入れ替え、ステップSA9
を経てリターンする。上記範囲内であれば、さらに、ス
テップSA17で心拍数hr の今回値と前回値との変動
幅が±5bpm の範囲内にあるか否かを判別する。範囲外
であれば、上記ステップSA16でR波検出フラグf2
の1を0に入れ替え、上記ステップSA9を経てリター
ンする。また、上記変動幅が±5bpm の範囲内にあれ
ば、ステップSA18で次回のためにとぎれ時フラグf
1 およびR波検出フラグf2 を共に0とした後、ステッ
プSA8に進み、このステップSA8でとぎれ後に検出
した今回の心拍数hr(n)を有効心拍数Hr として制御ゲ
イン変更手段50に出力し、ステップSA9で心拍数デ
ータhr(n)の更新を行った後リターンする。
【0047】つまり、とぎれ後計測の場合、とぎれ後に
検出した連続する2つの心拍数hrが所定の心拍数範囲
にあり、かつ、前後の変動幅が所定の変動幅にある場合
に、その検出した心拍数を真値として判断し、それを制
御ゲイン変更手段50で用いる有効心拍数Hr とするよ
うになっている。
【0048】上記ステップSA1〜SA6およびステッ
プSA11〜SA15が上記計測部を、上記ステップS
A7〜SA8およびステップSA17〜ステップSA8
が上記キャンセル部45をそれぞれ構成する。そして、
上記計測部44の内、ステップSA1〜SA5,SA1
0およびステップSA4,SA11〜SA15がとぎれ
後計測部2aを構成している。
【0049】上記制御ゲイン変更手段50は、上記実際
心拍数検出手段40から入力された有効心拍数Hr に基
いて平均周波数を演算する平均値演算部51と、この平
均心拍数と予め設定された所定の基準心拍数との偏差を
演算してその偏差の大小に応じて、図3に実線で示す基
準転舵比特性が同図に一点鎖線で示すようにより安定
側、すなわち、より同位相側に変更されるように制御ゲ
インkを変更する制御ゲイン変更部52とを備えてい
る。すなわち、上記制御ゲイン変更部52には上記基準
心拍数としてドライバーがリラックスした状態で運転操
作を継続している状態の実際心拍数が設定されており、
上記偏差が大きい程ドライバーがより緊張状態にあるも
のとして上記基準転舵比特性をより大きく同位相側に移
行させるための制御ゲインkを演算し、この制御ゲイン
kを制御手段30に出力するようになっている。
【0050】以下、上記平均値演算部51と制御ゲイン
変更部52とにおける処理を、図7および図8に示すフ
ローチャートに基いて具体的に説明する。
【0051】まず、ステップSA19で上記実際心拍数
検出手段40からの有効心拍数Hrが入力されたか否か
を検出するまで繰り返し、検出したらステップSA20
で検出するごとに有効心拍計測数aに1ずつ積算する。
そして、ステップSA21で上記有効心拍数Hr を有効
心拍データHm(i)に蓄積する。
【0052】次に、ステップSA22で所定の平均化処
理時間Tの経過を判別し、未経過であればステップSA
19に戻りステップSA19〜SA22を繰り返してさ
らに有効心拍データHm(i)(i=1〜a)の蓄積を行
う。上記平均化処理時間Tの経過によりステップSA2
3で上記時間Tのタイマカウントを0にしてステップS
A24で単純平均心拍数Fr(j)の演算を行う。この演算
は、上記有効心拍データHm(i)と有効心拍計測数aとに
基いて、 によって行う。
【0053】そして、上記単純平均心拍数Fr(j)に基
き、ステップSA25以下で、上記有効心拍計測数aの
いかんに応じて平均心拍数Hav(J) の決定を行う。すな
わち、ステップSA25で上記有効心拍計測数aが設定
数as より多いか否かを判別し、多ければ上記単純平均
心拍数Fr(j)は有効としてステップSA26でその単純
平均心拍数Fr(j)を平均心拍数Hav(j) とする。上記計
測数aが設定数as に等しいか少なければ、ステップS
A27で標準偏差SHr(j)の演算を上記有効心拍データ
Hm(i)と有効心拍計測数aと上記単純平均心拍数Fr(j)
とに基いて、
【数1】 によって行う。加えて、ステップSA28で変動率、す
なわち、上記標準偏差SHr(j)を平均心拍数Fr(j)で除
した値が10%以内か否かの判別を行う。変動率が10
%より小さければ有効心拍計測数aは少なくても上記平
均心拍数Fr(j)は有効として、上記ステップSA26に
進みこのFr(j)を平均心拍数Hav(j) とし、上記変動率
が10%以上であれば今回の単純平均心拍数Fr(j)は無
効としてステップSA29で今回の平均心拍数Hav(j)
として前回の平均心拍数Hav(j-1)を設定する。
【0054】そして、ステップSA30で上記平均心拍
数Hav(j) から基準心拍数Hb を減算して偏差Cb(j)を
演算し、この偏差Cb(j)に基いて、ステップSA31
で、今回の偏差Cb(j)が前回値Cb(j-1)と比べ小さい程
より大きく制御ゲインkを変更し、この制御ゲインkを
制御手段30に出力する。終わりに、ステップSA32
で上記平均心拍数Hav(j) および偏差Cb(j)の更新を、
ステップSA33で有効心拍データHm(i)および有効心
拍計測数aの初期化をそれぞれ行ってリターンする。
【0055】上記ステップSA19〜SA29が平均値
演算部51を、ステップSA30およびSA31が制御
ゲイン変更部52をそれぞれ構成する。
【0056】次に、上記構成の第1実施例の作用・効果
について説明する。
【0057】車両の走行中、ドライバーの左右両手は、
ステアリングホイール4の中立回転位置における上半部
の左右両側の各領域4b,4e、もしくは、下半部の左
右両側の各領域4c,4dのいずれかを握ることによ
り、ステアリングホイール4を保持している。すなわ
ち、ステアリングホイール4の上半部を握る時は右手で
右上領域4eを、左手で左上領域4bをそれぞれ握り、
ステアリングホイール4の下半部を握る時は右手で右下
領域4dを、左手で左下領域4cをそれぞれ握ることに
なる。従って、上半部もしくは下半部のいずれを握る場
合においても、左右両手の一方が+極41aと接触し、
他方が−極41bと接触することになる。さらに、上記
中立回転位置から転舵のためにステアリングホイール4
を回転させた場合においても、上記各領域4b,4c,
4d,4eには+極41aと−極41bとが交互に配設
されているため、左右両手の一方が+極41aと接触
し、他方が−極41bと接触することになる。このた
め、両電極41a,41bによりドライバーの左右両手
間の電位差が検出され、この電位差が増幅器42で増幅
された後、バンドパスフィルタ43により心電位以外の
余分な周波数域が除かれた状態で、計測部44に送られ
る。この計測部44で、心電位からR波を取り出しその
時間間隔から心拍数hr が求められ、この心拍数からド
ライバーの有効心拍数Hr がキャンセル部45により検
出される。そして、検出結果が制御ゲイン変更手段50
に送られ、平均値演算部51での平均心拍数Hav(j) の
演算結果に基いて制御ゲイン変更部52で基準心拍数H
b との偏差Cb(j)が求められ、この偏差Cb(j)に基き制
御ゲインkが変更される。そして、この制御ゲインkに
基いて制御手段30での後輪転舵角の制御が行われる。
【0058】上記ドライバーの実際心拍数の検出に際
し、本実施例では、ステアリングホイール4に配設した
電極41を介してドライバーの両手間の電位差を検出す
ることによりドライバーの実際心拍数の検出を行うよう
にしているため、ドライバーの実際心拍数の検出をドラ
イバー自身に特別な計測装置の装着を強制するなどの負
担をかけることなく容易に行うことができる。しかも、
上記電極41はステアリングホイール4に被覆された状
態で配設されているため、ステアリングホイール4の機
能を損なうことなく、かつ、ドライバーに意識させるこ
となく、上記電位差の検出を行うことができる。
【0059】また、信号源であるドライバー(生体)か
らのインピーダンスの極めて高い信号が上記増幅器42
により増幅されるため、インピーダンスが高いゆえにノ
イズを拾い易いという不都合を解消することができる。
その上、バンドパスフィルタ43を介在させているた
め、各電極41で検出された電位差から、ドライバーの
手の掌からの筋電位(高周波信号成分)を除去して筋電
位混入に伴うノイズを除去することができる一方、上記
電極41とドライバーの手との接触不良に伴う低周波信
号成分を除去して低周波混入に伴うベース電位のドリフ
ト発生を防止してベース電位を安定化させることがで
き、これらにより、R波検出の容易化、確実化を図るこ
とができる。
【0060】さらに、検出したR波から心拍数を検出す
るに当り、設定変動幅(±5bpm )を超える心拍数検出
値hr を無効データとしてキャンセルし、上記設定変動
幅の範囲内にある心拍数検出値hr を有効データとして
用いるようにしているため、R波の一時的なとぎれやノ
イズの混入などに基く心拍数の誤検出の防止を図ること
ができる。すなわち、生体の心拍数の最大変動幅である
設定変動幅の範囲外の検出心拍数をキャンセルすること
により心拍数の誤計測の発生を容易かつ確実に防止する
ことができる。
【0061】また、10秒間と比較的長時間にわたりR
波の検出がとぎれた場合、その後に検出された心拍数検
出値hr の有効性を判断するための前回値がとぎれによ
り存在しないために上記変動幅による有効性の判断を適
用することができない。このため、本実施例では、その
後に検出された一対の心拍数検出値hr が所定心拍数範
囲内のものであり、かつ、前後の心拍数の変動幅が設定
変動幅内である場合に限り、その検出した心拍数を真値
であると判断するようにしているため、R波の長時間の
とぎれ後に検出する心拍数の有効性を的確に判定するこ
とができ、R波の長時間のとぎれが発生しても、これに
基きドライバーの実際心拍数を的確に把握することがで
きる。
【0062】そして、車両の走行環境が、例えば走行車
両の比較的少ない高速道路などの交通流の変動が極めて
小さい場合、ドライバーは比較的リラックスした状態で
運転操作を継続しており、そのドライバーの実際心拍数
はほぼ基準心拍数に保たれている。このため、制御ゲイ
ン変更手段50での制御ゲインkの変更は行われず(k
=1)、後輪操舵装置20は基準転舵比特性に基き転舵
制御される。
【0063】一方、上記走行環境が上記の場合から、例
えば走行車両が増加して車間距離が極めて小さくなった
り、もしくは、交通流の変動が激しくなったりした状態
に変化した場合、ドライバーは上記のリラックス状態か
ら緊張状態に移行し、これに伴いドライバーの実際心拍
数も増加する。この結果、制御ゲイン変更手段50に入
力される実際心拍数の計測値も増大して、基準心拍数と
の偏差が生じる。そして、この偏差に対応して制御ゲイ
ンkが変更されて上記基準転舵比特性がより同位相側に
変更される。すなわち、それまでの後輪Rw ,Rw の転
舵角が、逆位相側もしくは同位相側であるに拘らず、よ
り同位相側に変更される結果、回頭性がさがる側に変更
されてドライバーの転舵操作に対する車両の旋回運動特
性をより安定側に変更することができる。つまり、緊張
状態にあるドライバーが行う転舵操作に対しては、車両
の転舵特性をより安定側に変更することができ、車両の
急激な運動を回避してドライバーの要求に沿わせること
ができる。
【0064】そして、上記ドライバーの緊張状態が高く
なる程、実際心拍数がより高く(偏差がより大きく)な
り、その結果、制御ゲインkがより大きい値に変更され
て上記同位相側への変更がより大きく行われる。このた
め、走行中のドライバーの緊張度合い、すなわち、走行
環境に応じて変化するドライバーの心理状態の変化度合
いに応じて車両の運動特性をより安定側に変更すること
ができ、車両の走行環境の緩急度合いに基いて変化す
る、車両の運動特性に対するドライバーの要求を的確に
車両に反映させることができ、より高度な安全走行状態
の実現を図ることができる。従って、本実施例では、ド
ライバーの心理状態に基く要求を車両の制御に直接的に
反映することができ、車両の運動特性を車両の運転状態
として表れる車速値などのパラメータによってドライバ
ーの要求を推測して間接的に変更制御する従来装置と比
べ、車両の運動特性をドライバーの内面的要求により合
致したものに変更制御することができる。
【0065】この際、上記制御ゲイン変更手段50で
は、上記実際心拍数検出手段40からの有効心拍数Hr
をそのまま制御に用いずに、所定平均化処理時間Tごと
の平均心拍数Hav(j) に基いて制御ゲインkの変更を行
うにしているため(ステップSA26,SA29〜SA
31参照)、上記有効心拍数Hr の個々の変動によりそ
の都度転舵比特性が変更されることを防止して、ドライ
バーの違和感を取り除きつつドライバーの内面的要求を
加味して車両運動特性の変更制御を行うことができる。
しかも、平均心拍数Hav(j) の決定を上記有効心拍数H
r の計測数aの多少によって場合分けして行っているた
め、上記制御ゲインkの変更をより有効な平均心拍数H
av(j) に基いて行うことができる上、上記計測数aが少
ない場合であっても、その標準偏差SHr(j)に基く変動
率の多少によって上記平均心拍数Hav(j) の有効性を判
断しているため(ステップSA25〜SA29参照)、
よりきめの細かい判断を行うことができ、より広範な心
拍データに基いて制御に用いる平均心拍数Hav(j) の有
効性向上を図ることができる。そして、この場合、設定
変動率(10%)を外れるデータをキャンセルして代わ
りに平均心拍数の前回値Hav(j-1) を用いるようにして
いるため(ステップSA28,SA29参照)、無効な
データに基く誤制御を回避しつつ、その間の制御を現在
の状況に最も近い前回値に基いて継続させることができ
る。さらに、上記制御ゲインkの変更を基準心拍数Hb
に対する偏差Cb(j)に応じて変更するようにしているた
め(ステップSA30,SA31参照)、ドライバーの
緊張状態の変動をより客観的に把握することができる。
【0066】(第2実施例)図9は上記第1実施例にお
ける制御ゲイン変更手段50の代わりに他の態様のもの
を備えたエンジンの制御装置についての第2実施例を示
し、60は制御ゲイン変更手段、70はこの制御ゲイン
変更手段60と制御手段30とを備えたコントロールユ
ニットである。
【0067】上記制御ゲイン変更手段60は、実際心拍
数検出手段40から入力された有効心拍数Hr に基き実
際心拍数の変動量である心拍ゆらぎ量を演算するゆらぎ
量演算部61と、このゆらぎ量演算部61により演算さ
れた心拍ゆらぎ量の大小に応じて図3に実線で示す基準
転舵比特性が同図に一点鎖線で示すようにより同位相側
に変更されるように制御ゲインkを変更する制御ゲイン
変更部62とを備えている。そして、この制御ゲイン変
更部62は、上記ゆらぎ量が小さい程ドライバーがより
緊張状態にあるものとして上記基準転舵比特性をより大
きく同位相側に移行させるための制御ゲインkを演算
し、この制御ゲインkを上記制御手段30に出力するよ
うになっている。
【0068】以下、上記ゆらぎ量演算部61および制御
ゲイン変更部62での処理を、図10および図11に示
すフローチャートに基いて具体的に説明する。
【0069】まず、ステップSB1での有効心拍数Hr
の検出判別、ステップSB2での有効心拍計測数aの積
算、および、ステップSB3での有効心拍データHm(i)
の蓄積を、第1実施例における計測部51のステップS
A19〜SA21(図7参照)と同様に行う。そして、
これらステップSB1〜SB3をステップSB4により
平均化処理時間Tの経過まで行う。
【0070】次に、上記平均化処理時間Tの経過により
ステップSB5で上記時間Tのタイマカウントを0に
し、ステップSB6での単純平均心拍数Fr(j)の演算と
ステップSB7での標準偏差SHr(j)の演算とを、上記
第1実施例におけるステップSA24およびステップS
A27と同様の演算により行う。
【0071】そして、ステップSB8〜SB11におい
て、上記有効心拍計測数aのいかんに応じて心拍ゆらぎ
量U(j) の決定を行う。すなわち、ステップSB8で上
記有効心拍計測数aが設定数as より多いか否かを判別
し、多ければ上記標準偏差SHr(j)は有効としてステッ
プSB9でその標準偏差SHr(j)を心拍ゆらぎ量U(j)
とする。上記計測数aが設定数as に等しいか少なけれ
ば、後述の極小計測数時ルーチンR1を経てステップS
B10で上記標準偏差SHr(j)を平均心拍数Fr(j)で除
した値である変動率が10%以内か否かの判別を行う。
変動率が10%より小さければ有効心拍計測数aは少な
くても上記標準偏差SHr(j)は有効として、上記ステッ
プSB9に進みこのSHr(j)を心拍ゆらぎ量U(j) と
し、上記変動率が10%以上であれば今回の標準偏差S
Hr(j)は無効としてキャンセルしステップSB11で今
回の心拍ゆらぎ量U(j) として前回の心拍ゆらぎ量U(j
-1)を設定する。
【0072】そして、ステップSB12で上記心拍ゆら
ぎ量U(j) に基いて今回の心拍ゆらぎ量U(j) が前回値
U(j-1) と比べ小さい程より大きく制御ゲインkを変更
し、この制御ゲインkを制御手段30に出力する。終わ
りに、ステップSB13で上記心拍ゆらぎ量U(j) の更
新を、ステップSB14で有効心拍データHm(i)および
有効心拍計測数aの初期化をそれぞれ行ってリターンす
る。
【0073】ここで、上記ステップSB19〜SB11
がゆらぎ量演算部61を、ステップSB12が制御ゲイ
ン変更部62をそれぞれ構成する。
【0074】また、上記極小計測数時ルーチンR1は、
図12に示すように、まず、ステップSB15で有効心
拍計測数aが設定数as と比べ極めて少ないか否かを判
別し、極めて少ないことはないが上記設定数As より少
ない(ステップSB8参照)場合、上記ステップSB1
0,SB9,SB11の処理を行う。次に、上記計測数
aが極めて少ない場合、ステップSB16でiに1を設
定した後、ステップSB17およびSB18で計測数a
の有効心拍データHm について相前後する有効心拍デー
タHm 各間の偏差d(i) の演算を行い、i=1〜(a−
1)の偏差行列d(i) を求める。そして、この偏差行列
d(i) に基きステップSB19でメジアン値、モード
値、平均値などのゆらぎ統計量の演算を行い、これらの
ゆらぎ統計量に基き極小数のデータ検出期間における心
拍ゆらぎ量U(j) の推定を行う。そして、この推定した
心拍ゆらぎ量U(j) をステップSB12での制御ゲイン
kの変更に用いる。
【0075】なお、上記エンジンの制御装置のその他の
構成は第1実施例のものと同様であるために、同一部材
には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0076】そして、上記第2実施例の場合、実際心拍
数検出手段40で得られる有効心拍数Hr に基いて心拍
ゆらぎ量U(j) を制御ゲイン変更手段60のゆらぎ量演
算部61で求め、この心拍ゆらぎ量U(j) に基いて制御
ゲインkの変更を行っているため(ステップSB12参
照)、第1実施例のように基準値としての基準心拍数を
定める必要はなく、上記心拍ゆらぎ量U(j) によっての
みドライバーの緊張度合いを把握することができる。す
なわち、上記心拍ゆらぎ量は、運転者が緊張状態にある
時、副交感神経の働きが減弱して比較的小さい値となる
一方、リラックス状態にある時、副交換神経の機能が亢
進して比較的大きい値となるという生理特性に基き変化
するため、その心拍ゆらぎ量の変化により運転者の緊張
度合いの変化が把握可能となる。従って、このゆらぎ量
の大小に応じて制御ゲインの変更を行うことにより、走
行中の運転者の緊張度合いの変化をより客観的に車両に
反映させることができる。
【0077】この際、上記制御ゲイン変更手段60で
は、上記実際心拍数検出手段40からの有効心拍数Hr
に基く標準偏差SHr(j)をそのまま心拍ゆらぎ量U(j)
として制御に用いずに、上記有効心拍数Hr の計測数a
の多少によって場合分けして行っているため、上記制御
ゲインkの変更をより有効な心拍ゆらぎ量U(j) に基い
て行うことができる上、上記計測数aが少ない場合であ
っても、その標準偏差SHr(j)の変動率の多少によって
上記標準偏差SHr(j)の有効性を判断しているため(ス
テップSB10,SB9,AB11参照)、よりきめの
細かい判断を行うことができ、より広範な心拍データに
基いて制御に用いる心拍ゆらぎ量U(j) の有効性向上を
図ることができる。そして、この場合、設定変動率(1
0%)を外れる標準偏差SHr(j)をキャンセルして標準
偏差の前回値SHr(j-1)を今回の心拍ゆらぎ量U(j) と
して用いるようにしているため(ステップSB10,S
B11参照)、無効なデータに基く誤制御を回避しつ
つ、その間の制御を現在の状況に最も近い前回値に基い
て継続させることができる。
【0078】さらに、上記極小計測数時ルーチンR1を
介在させているため、実際心拍数についての計測数aが
設定数as に比べ極端に少ない場合であっても、この極
小計測数時ルーチンR1によって比較的有効な心拍ゆら
ぎ量U(j) を得ることができ、この心拍ゆらぎ量U(j)
に基いて無制御状態の発生を防止しつつ制御を有効にか
つ継続して行うことができ、制御ゲイン変更手段60で
制御をバックアップすることができる。
【0079】図13は上記第2実施例における極小計測
数時ルーチンR1について、他の態様のものを示してい
る。この態様例の極小計測数時ルーチンR2は、まず、
ステップSC1で有効心拍計測数aが設定数as と比べ
極めて少ないか否かを判別し、極めて少ないことはない
が上記設定数As より少ない(ステップSB8参照)場
合、上記ステップSB10,SB9,SB11(図11
参照)の処理を行う。次に、上記計測数aが極めて少な
い場合、ステップSC2で予め記憶設定されている平均
心拍数Fr(j)と心拍ゆらぎ量U(j) との関係図から単純
平均心拍数Fr(j)(ステップSB6参照)に基き心拍ゆ
らぎ量U(j) を求め、この心拍ゆらぎ量U(j) をステッ
プSB12での制御ゲインkの変更に用いる。
【0080】上記態様の極小計測数時ルーチンR2の場
合、上記極小計測数時ルーチンR1と同様に、実際心拍
数についての計測数が極端に少ない場合であっても、こ
の極小計測数時ルーチンR2によって比較的有効な心拍
ゆらぎ量U(j) を得ることができ、この心拍ゆらぎ量U
(j) に基いて無制御状態の発生を防止しつつ制御を有効
にかつ継続して行うことができ、制御ゲイン変更手段6
0で制御をバックアップすることができる。この場合、
平均心拍数Fr(j)と心拍ゆらぎ量U(j) との関係が予め
求められて記憶保持されているため、上記極小計測数時
ルーチンR1と比べ処理のための容量が少なくて済む。
【0081】また、図14は上記第2実施例における極
小計測数時ルーチンR1について、さらに別の態様を示
している。この態様例の極小計測数時ルーチンR3は、
まず、ステップSD1で有効心拍計測数aが設定数as
と比べ極めて少ないか否かを判別し、極めて少ないこと
はないが上記設定数As より少ない(ステップSB8参
照)場合、上記ステップSB10(図11参照)以下の
処理を行う。次に、上記計測数aが極めて少ない場合、
ステップSD2で上記各有効心拍数の計測が間でとぎれ
る直前およびとぎれた後最初の両瞬時心拍数間の変動量
を単位時間当りに換算した偏差dh(m)の平均値である平
均時間当り偏差dhav の演算を行う。この演算は、例え
ば、上記とぎれる直前に検出した一対のR波間の時間間
隔dt1と、とぎれた後最初に検出した一対のR波間の時
間間隔dt2とからとぎれの前後の瞬時心拍数hr(1)とh
r(2)とを求め、両者の心拍差をとぎれ時間dT1 で除す
ることにより、そのとぎれ時間dT1 内の単位時間当り
の心拍偏差dh(1)を求め、順次、次のとぎれ時間dT2
における単位時間当りの心拍偏差dh(2)を求め、これら
の心拍偏差dh(m)から平均時間当り偏差dhav 求めれば
よい。そして、ステップSD3で上記平均時間当り偏差
dhav に応じて心拍ゆらぎ量U(j) の推定を行い、この
心拍ゆらぎ量U(j) をステップSB12での制御ゲイン
kの変更に用いる。
【0082】上記態様例の極小計測数時ルーチンR3の
場合、計測データ間の各とぎれを挟んだ直前、直後の心
拍数間の変動を、各とぎれ時間内では一様に変化したと
仮定して心拍ゆらぎ量U(j) の推定が行われる。そし
て、この極小計測数時ルーチンR3の場合も、上記極小
計測数時ルーチンR1と同様に、実際心拍数についての
計測数が極端に少ない場合であっても、比較的有効な心
拍ゆらぎ量U(j) を得ることができ、この心拍ゆらぎ量
U(j) に基いて無制御状態の発生を防止しつつ制御を有
効にかつ継続して行うことができ、制御ゲイン変更手段
60で制御をバックアップすることができる。
【0083】なお、本発明は上記第1および第2実施例
に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含
するものである。すなわち、上記第1および第2実施例
では、制御手段30で制御する対象を4輪操舵装置にお
ける後輪転舵特性とし、ドライバーの緊張状態が高くな
る程、転舵特性をより安定側に変更制御する場合を示し
たが、これに限らず、制御対象を以下に示すものとして
もよい。すなわち、アクティブサスペンションの硬軟特
性を制御対象とする場合、上記偏差が大きくなる程より
ハード側に、すなわち、操縦安定性の増す側に変更制御
すればよい。また、パワートレインの駆動力伝達特性を
制御対象とする場合、上記偏差が大きくなる程より低出
力側に変更制御すればよい。さらに、アクセルペダル操
作に対するエンジンの出力特性を制御対象とする場合、
上記偏差が大きくなる程より低出力側に変更制御すれば
よい。
【0084】上記第1および第2実施例では、実際心拍
数検出手段40において、R波の検出が長時間とぎれた
場合、その後に検出した連続する複数の心拍数が設定心
拍数の範囲内にあるか否かで、その心拍数の有効性を判
断し、範囲内にあるものを真値としているが、これに限
らず、例えば、上記心拍数の代わりにこの心拍数演算の
基になるR波間の時間間隔に基いて有効性を判断しても
よい。すなわち、とぎれ後に検出した連続する複数のR
波間の時間間隔が設定時間間隔の範囲内にあるか否かを
見て、範囲内にあるものを有効として、この時間間隔か
ら心拍数を求めるようにすればよい。
【0085】また、上記第1実施例では、実際心拍数検
出手段40でのとぎれ後計測において、とぎれ後最初に
検出する時間間隔dtが1.5秒より小さいか否かを判
別しているが(図6のステップSA11参照)、これに
限らず、例えば、上記時間間隔の判別値を1.5秒に代
えて1.0秒(換算心拍数60bpm )としてもよい。こ
の場合、とぎれ後に検出する一対の心拍数が共に60bp
m 以上であるときに真値とされることになる。
【0086】さらに、上記第1および第2実施例では、
ドライバーの心拍信号をステアリングホイール4に配設
した電極41から検出しているが、これに限らず、例え
ばシフトノブ、センターアームレスト、ドア側アームレ
ストおよびパーキングブレーキノブなどに電極を配設し
て、これらとドライバーの手との接触から検出するよう
にしてもよい。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明における車両の制御装置によれば、実際心拍数検出手
段においてドライバーから心拍信号を取り出す際、その
心拍信号の検出が所定時間以上とぎれた場合、とぎれ後
計測部によって、その後に検出した連続する複数の心拍
信号間の時間間隔がそれぞれ設定時間間隔の範囲内にあ
る時、その心拍信号の時間間隔に基く心拍数を真値とさ
れるため、ドライバーの実際心拍数の変動を把握する上
で上記とぎれに起因して検出心拍数の有効性判断が不能
となることを回避することができ、心拍信号の長時間の
とぎれ後に検出する心拍数の有効性を的確に判定するこ
とができる。これにより、心拍信号検出に長時間のとぎ
れが発生しても、ドライバーの実際心拍数を的確に把握
することができる。
【0088】そして、このような的確な計測結果に基き
制御ゲイン変更手段にて制御ゲインを変更して制御手段
における車両の運動特性を変更するようにしているた
め、制御中に心拍信号検出に長時間のとぎれが発生して
も、実際心拍数に基く車両の制御を続行させることがで
き、その実際心拍数より把握される運転者の心理状態を
車両の制御に反映させることができる。
【0089】請求項2記載の発明によれば、上記請求項
1記載の発明による効果に加えて、制御ゲイン変更手段
において、計測された実際心拍数に基き演算部で演算さ
れた平均値と、基準心拍数との偏差に応じて制御ゲイン
変更部で制御ゲインの変更を行うようにしているため、
走行中の運転者の緊張度合いにより把握される心理状態
の変化を上記基準心拍数を基準としてより客観的に判定
することができ、車両の制御に的確に反映させることが
できる。また、この際、上記偏差を求める対象として上
記実際心拍数検出手段からの計測結果をそのまま用いる
のではなく、それらの平均値を用いるようにしているた
め、上記計測結果の個々の変動によりその都度制御ゲイ
ンが変更されることを防止して、ドライバーの違和感を
取り除きつつ車両の変更制御を行うことができる。
【0090】請求項3記載の発明によれば、上記請求項
1記載の発明による効果に加えて、制御ゲイン変更手段
において、実際心拍数検出手段により得られた実際心拍
数から実際心拍数の変動量である心拍ゆらぎ量を演算部
で演算し、制御ゲイン変更部でこの心拍ゆらぎ量に応じ
て制御ゲインの変更を行うようにしているため、走行中
の運転者の緊張度合いの変化をより客観的に判定するこ
とができ、運転者の心理状態をより的確に車両の動きに
反映させることができる。すなわち、上記心拍ゆらぎ量
は、運転者が緊張状態にある時、副交感神経の働きが減
弱して比較的小さい値となる一方、リラックス状態にあ
る時、副交換神経の機能が亢進して比較的大きい値とな
るという生理特性に基き変化するため、この心拍ゆらぎ
量の大小により運転者の緊張度合いの変化を的確に把握
することができ、この場合、請求項2記載の発明と比べ
基準心拍数の設定を省略することができ、個々の運転者
の内面的要求をより的確に車両の制御に反映させること
ができる。
【0091】請求項4記載の発明によれば、上記請求項
2もしくは請求項3に記載の発明による効果に加えて、
設定時間範囲内に計測された実際心拍数の計測数が設定
数より多い場合にその計測された実際心拍数を有効なも
のとして各演算部での演算処理を実行するようにしてい
るため、有効なデータに基き制御ゲインの変更を行うこ
とによりドライバーの心理状態をより的確に車両の制御
に反映させることができる。
【0092】請求項5記載の発明によれば、上記請求項
2もしくは請求項3に記載の発明による効果に加えて、
設定時間範囲内に計測された実際心拍数の計測数が設定
数より少ない場合であっても、その計測数の心拍数群の
変動率が設定値より小さいか等しければ上記計測された
実際心拍数は有効なものとして各演算部での演算処理を
実行するようにしているため、請求項4記載の発明と比
べ、より広範な心拍数データに基いてドライバーの心理
状態をより的確に車両の制御に反映させることができ
る。
【0093】請求項6記載の発明によれば、上記請求項
2記載の発明による効果に加えて、計測された実際心拍
数の変動率が設定値より大きいときには、その計測され
た心拍数を無効なものとしてキャンセルして前回値を今
回の心拍数として用いるようにしているため、無効なデ
ータに基く誤制御を回避しつつ、その間の制御を現在の
状況に最も近い前回値に基いて継続させることができ
る。
【0094】また、請求項7記載の発明によれば、上記
請求項3記載の発明による効果に加えて、実際心拍数に
ついての計測数が設定数と比べ極めて少ない場合であっ
ても、演算部における心拍ゆらぎ量を、上記少ない計測
数の実際心拍数の平均心拍数に基いて、予め記憶設定さ
れた平均心拍数と心拍ゆらぎ量との関係から求めるよう
にしているため、有効な心拍ゆらぎ量を得ることができ
る。これにより、計測数が極端に少ない場合であって
も、この心拍ゆらぎ量に基いて無制御状態の発生を防止
しつつ制御を有効にかつ継続して行うことができ、制御
ゲイン変更手段での制御をバックアップすることができ
る。
【0095】さらに、請求項8記載の発明によれば、上
記請求項3記載の発明による効果に加えて、実際心拍数
についての計測数が設定数と比べ極めて少ない場合であ
っても、演算部における心拍ゆらぎ量を、計測された各
実際心拍数間の前後の瞬時心拍数の単位時間当りの変動
量の平均値に基いて求めるようにしているため、有効な
心拍ゆらぎ量を得ることができる。これにより、計測数
が極端に少ない場合であっても、請求項7記載の発明と
同様に、この心拍ゆらぎ量に基いて無制御状態の発生を
防止しつつ制御を有効にかつ継続して行うことができ、
制御ゲイン変更手段での制御をバックアップすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す全体概略構成図であ
る。
【図3】各種車速に対する転舵比特性を示す関係図であ
る。
【図4】図2のステアリングホイールの拡大図である。
【図5】標準的な心電位に基く心電図である。
【図6】図2の計測部およびキャンセル部での処理を示
すフローチャートである。
【図7】図2の制御ゲイン変更手段での処理の前半部を
示すフローチャートである。
【図8】図2の制御ゲイン変更手段での処理の後半部を
示すフローチャートである。
【図9】第2実施例を示す図2相当図である。
【図10】図9の制御ゲイン変更手段での処理の前半部
を示すフローチャートである。
【図11】図9の制御ゲイン変更手段での処理の後半部
を示すフローチャートである。
【図12】図10の極小計測数時ルーチンR1での処理
を示すフローチャートである。
【図13】図10の極小計測数時ルーチンR2での処理
を示すフローチャートである。
【図14】図10の極小計測数時ルーチンR3での処理
を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1,30 制御手段 2,40 実際心拍数検出手段 2a とぎれ後計測部 3,50,60 制御ゲイン変更手段 3a,51 平均値演算部 3c,61 ゆらぎ量演算部 3b,3d,52,62 制御ゲイン変更部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B62D 113:00 137:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 B60K 28/06

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両を制御する制御手段と、運転者から
    心拍信号を取り出して運転者の実際心拍数を計測する実
    際心拍数検出手段と、この計測された実際心拍数に基い
    て上記制御手段の制御ゲインを変更する制御ゲイン変更
    手段とを備えており、 上記実際心拍数検出手段は、心拍信号の検出が所定時間
    以上とぎれた後の実際心拍数を計測するとぎれ後計測部
    を備えており、このとぎれ後計測部は、上記とぎれの後
    に検出した連続する複数の心拍信号間の時間間隔がそれ
    ぞれ設定時間間隔の範囲内にある時、この心拍信号の時
    間間隔に基く心拍数を真値として計測するように構成さ
    れていることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明において、制御ゲイ
    ン変更手段は、実際心拍数検出手段により検出された実
    際心拍数の平均値を演算する演算部と、この演算部で演
    算された平均実際心拍数と所定の基準心拍数との偏差に
    応じて制御ゲインを変更する制御ゲイン変更部とを備え
    ている車両の制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の発明において、制御ゲイ
    ン変更手段は、実際心拍数検出手段により検出された実
    際心拍数の変動量である心拍ゆらぎ量を演算する演算部
    と、この演算部で演算された心拍ゆらぎ量に応じて制御
    ゲインを変更する制御ゲイン変更部とを備えている車両
    の制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項2もしくは請求項3に記載の発明
    において、演算部は、設定時間内に計測された実際心拍
    数の計測数が設定数より多いとき、その計測された実際
    心拍数に基いて演算を実行するように構成されている車
    両の制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項2もしくは請求項3に記載の発明
    において、演算部は、設定時間内に計測された実際心拍
    数の計測数が設定数より少ないか等しいときであって
    も、計測された心拍数群の変動率が設定値より小さいか
    等しいとき、その計測された実際心拍数に基いて演算を
    実行するように構成されている車両の制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の発明において、演算部
    は、今回計測された心拍数の変動率が設定値より大きい
    とき、今回値に代えて前回計測された実際心拍数を用い
    て演算を実行するように構成されている車両の制御装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項3記載の発明において、演算部に
    は、平均心拍数と心拍ゆらぎ量との関係が記憶保持され
    ており、上記演算部は設定時間範囲内に計測された実際
    心拍数の計測数が設定数より極めて小さいとき、平均心
    拍数に基き上記関係から心拍ゆらぎ量の演算を行うよう
    に構成されている車両の制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項3記載の発明において、演算部
    は、設定時間範囲内に計測された実際心拍数の計測数が
    設定数より極めて小さいとき、各瞬時心拍数間の単位時
    間当りの変動量の平均値に基いて心拍ゆらぎ量の演算を
    行うように構成されている車両の制御装置。
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