JP3112015B1 - ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents

ニッケル粉末の製造方法

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JP3112015B1 JP2000005894A JP2000005894A JP3112015B1 JP 3112015 B1 JP3112015 B1 JP 3112015B1 JP 2000005894 A JP2000005894 A JP 2000005894A JP 2000005894 A JP2000005894 A JP 2000005894A JP 3112015 B1 JP3112015 B1 JP 3112015B1
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高康 朝藤
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雅文 吉本
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  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】表面が平滑な球状で、平均粒子径が0.1〜1μ
mの範囲にあると共に、粒子径が2μmを越える粗大な
粒子の混在がなく、しかも、粒度分布が狭く、凝集がな
く、高分散性を有し、従って、積層セラミックコンデン
サの内部電極材料として好適に用いることができるニッ
ケル粉末の製造方法を提供すること。 【解決手段】水溶性の有機ホスホン酸類及び有機ホスフ
ィン酸類から選ばれる少なくとも1種の形状制御剤(代
表的には、例えば、2−ホスホノブタントリカルボン酸
−1,2,4)の存在下に塩化ニッケルのような水溶性
ニッケル塩をその水溶液中において強アルカリ性条件下
で還元剤で還元する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル粉末の製
造方法に関し、詳しくは、粒子形状が球状で表面が平滑
であり、平均粒子径が0.1〜1μmの範囲にあると共
に、粒子径が2μmを越える粗大な粒子の混在がなく、
粒度分布が狭く、凝集がなく、高分散性を有し、従っ
て、特に、積層セラミックコンデンサの内部電極材料と
して好適に用いることができるニッケル粉末の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、積層セラミックコンデンサは、内
部電極材料であるパラジウム、銀−パラジウム合金、白
金等の貴金属の粉末を有機バインダーに分散させてペー
ストとし、これを主としてチタン酸バリウムからなるセ
ラミック誘電体のグリーンシート上にスクリーン印刷等
の手段によって塗布、乾燥させ、次いで、これらを複数
枚積み重ねて圧着し、一体化し、これを中性乃至僅かに
還元性の雰囲気中、1300℃程度の温度で焼成して、
上記貴金属からなる内部電極を有する積層焼結体とした
後、この積層焼結体の両端面に上記内部電極と導通する
外部引出し用電極を焼付けて製造されている。
【0003】しかし、近年、積層セラミックコンデンサ
の大容量化と小型化が急速に進んでおり、この大容量化
のために、セラミック誘電体の積層数を大幅に増やすこ
とが必要であるが、上述したように、内部電極材料とし
て貴金属を用いるときは、得られる積層セラミックコン
デンサの製造費用が非常に高くなるという問題がある。
そこで、最近、内部電極材料として、上記貴金属に代え
て、低廉なニッケルを用いることが提案されている。他
方、積層セラミックコンデンサの小型化のためには、内
部電極層と誘電体層を共に薄膜化することが必要であ
る。
【0004】そこで、積層セラミックコンデンサの大容
量化と小型化のためには、上記積層焼結体の製造時にク
ラックやデラミネーション等のような構造欠陥を生じる
ことなく、誘電体間に均一で断点のない緻密な連続した
膜厚からなる内部電極を形成し得ることが求められる。
【0005】このような内部電極を形成するには、用い
るニッケル粉末粒子が表面が平滑な球状であり、平均粒
子径が0.1〜1μmの範囲にあると共に、粒子径が2μ
mを越える粗大な粒子が混在せず、しかも、粒度分布が
狭く、凝集がなく、高分散性を有することが必要であ
る。
【0006】このような技術の事情にあって、従来、積
層セラミックコンデンサの内部電極材料として用いるた
めのニッケル粉末の製造方法が種々提案されているが、
しかし、製造費用と物性のいずれの点においても満足し
得る方法は知られていない。
【0007】例えば、特開平4−45207号公報に
は、塩化ニッケルを1000℃程度の高温下、水素で気
相還元する方法が提案されている。しかし、この方法に
よれば、得られるニッケル粉末は、高温下の反応なる熱
履歴を有するので、その粒子の表面は平滑ではあるが、
粒度分布が広く、粗大粒子も存在するので、内部電極の
薄膜化に用いるには適しない。
【0008】他方、特開平7−278619号公報に記
載されているように、塩化ニッケルや硫酸ニッケル等の
水溶性ニッケル塩の水溶液を強アルカリ性条件下、還元
剤としてヒドラジンやその水和物を用いて還元して、ニ
ッケル粉末を得る湿式還元法も提案されている。このよ
うな湿式還元法によれば、気相還元法によるニッケル粉
末に比べて、粒度分布は幾分改善されているものの、粒
子の表面が平滑でなく、緻密な電極を形成させることが
困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、表面が平滑
な球状で、平均粒子径が0.1〜1μmの範囲にあると共
に、粒子径が2μmを越える粗大な粒子の混在がなく、
しかも、粒度分布が狭く、凝集がなく、高分散性を有
し、従って、積層セラミックコンデンサの内部電極材料
として好適に用いることができるニッケル粉末の製造方
法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によるニッケル粉
末の製造方法は、水溶性の一般式(I)
【0011】
【化7】
【0012】(式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又は
アルカリ金属を示す。)で表わされる有機ホスホン酸
類、一般式(II)
【0013】
【化8】
【0014】(式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又は
アルカリ金属を示す。) で表わされる有機ホスホン酸
類、一般式(III)
【0015】
【化9】
【0016】(式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又は
アルカリ金属を示す。)で表わされる有機ホスホン酸
類、一般式(IV)
【0017】
【化10】
【0018】(式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又は
アルカリ金属を示し、mは1〜4の整数を示す。)で表
わされる有機ホスホン酸類、及び一般式(V)
【0019】
【化11】
【0020】(式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又は
アルカリ金属を示し、x及びyは4≦x+y≦16を満
たす整数を示す。)で表わされる有機ホスフィン酸類
ら選ばれる少なくとも1種の形状制御剤の存在下に水溶
性ニッケル塩をその水溶液中において還元剤で還元する
ことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明において、水溶性ニッケル
塩としては、例えば、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、酢
酸ニッケル、硝酸ニッケル等が用いられるが、しかし、
これらに限定されるものではない。
【0022】また、還元剤としては、通常、ヒドラジン
又はその水和物が好ましく用いられる。このような還元
剤は、用いるニッケル塩に由来するNi2+1モル部に対
して、1〜10モル部の範囲で用いられる。還元剤の使
用量がNi2+1モル部に対して、1モル部よりも少ない
ときは、塩化ニッケルが十分に還元されず、ニッケル粉
末の収量が低下する。しかし、Ni2+1モル部に対して
10モル部を越える量の還元剤を用いるときは、得られ
るニッケル粉末の粒子径が過度に小さくなり、凝集が強
くなるので好ましくない。特に、本発明においては、還
元剤は、Ni2+1モル部に対して、好ましくは、2〜5
モル部の範囲で用いられる。
【0023】本発明は、水溶性の有機ホスホン酸類及び
有機ホスフィン酸類から選ばれる少なくとも1種の形状
制御剤の存在下に水溶性ニッケル塩をその水溶液中にお
いて還元剤で還元する点に特徴を有する。有機ホスホン
酸類及び有機ホスフィン酸類は、その塩をも含むものと
する。
【0024】本発明によれば、上記形状制御剤として、
一般式(I)
【0025】
【化12】
【0026】(式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又は
アルカリ金属を示す。)で表わされる有機ホスホン酸
類、一般式(II)
【0027】
【化13】
【0028】(式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又は
アルカリ金属を示す。)で表わされる有機ホスホン酸
類、一般式(III)
【0029】
【化14】
【0030】(式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又は
アルカリ金属を示す。)で表わされる有機ホスホン酸
類、一般式(IV)
【0031】
【化15】
【0032】(式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又は
アルカリ金属を示し、mは1〜4の整数を示す。)で表
わされる有機ホスホン酸類、又は一般式(V)
【0033】
【化16】
【0034】(式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又は
アルカリ金属を示し、x及びyは4≦x+y≦16を満
たす整数を示す。)で表わされる有機ホスフィン酸類か
ら選ばれる少なくとも1種が用いられる
【0035】これらの有機ホスホン酸類及び有機ホスフ
ィン酸類の塩としては、特に、ナトリウム塩又はカリウ
ム塩が好ましく用いられる。
【0036】従って、上記一般式(I)で表わされる有
機ホスホン酸又はその塩の具体例として、例えば、2−
ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、2−ホス
ホノブタントリカルボン酸−1,2,4−一ナトリウム
塩、2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4−
一カリウム塩、2−ホスホノブタントリカルボン酸−
1,2,4−二ナトリウム塩、2−ホスホノブタントリ
カルボン酸−1,2,4−二カリウム塩、2−ホスホノ
ブタントリカルボン酸−1,2,4−三ナトリウム塩、
2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4−三カ
リウム塩、2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,
2,4−四ナトリウム塩、2−ホスホノブタントリカル
ボン酸−1,2,4−四カリウム塩等を挙げることがで
きる。
【0037】上記一般式(II)で表わされる有機ホスホ
ン酸又はその塩の具体例として、例えば、1−ヒドロキ
シエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシ
エチリデン−1,1−ジホスホン酸−一ナトリウム塩、
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸−一
カリウム塩、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホ
スホン酸−二ナトリウム塩、1−ヒドロキシエチリデン
−1,1−ジホスホン酸−二カリウム塩、1−ヒドロキ
シエチリデン−1,1−ジホスホン酸−三ナトリウム
塩、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
−三カリウム塩等を挙げることができる。
【0038】上記一般式(III)で表わされる有機ホスホ
ン酸又はその塩の具体例として、例えば、アミノトリ
(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホスホ
ン酸)−一ナトリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホ
ン酸)−一カリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン
酸)−二ナトリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン
酸)−二カリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン
酸)−三ナトリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン
酸)−三カリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン
酸)−四ナトリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン
酸)−四カリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン
酸)−五ナトリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン
酸)−五カリウム塩等を挙げることができる。
【0039】上記一般式(IV)で表わされる有機ホスホ
ン酸又はその塩の具体例として、例えば、エチレンジア
ミンテトラ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン
テトラ(メチレンホスホン酸)−一ナトリウム塩、エチ
レンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)−一カリウ
ム塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)
−二ナトリウム塩、エチレンジアミンテトラ(メチレン
ホスホン酸)−二カリウム塩、エチレンジアミンテトラ
(メチレンホスホン酸)−三ナトリウム塩、エチレンジ
アミンテトラ(メチレンホスホン酸)−三カリウム塩、
エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)−四ナ
トリウム塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホ
ン酸)−四カリウム塩、エチレンジアミンテトラ(メチ
レンホスホン酸)−五ナトリウム塩、エチレンジアミン
テトラ(メチレンホスホン酸)−五カリウム塩、エチレ
ンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)−六ナトリウ
ム塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)
−六カリウム塩等を挙げることができる。
【0040】また、上記一般式(V)で表わされる有機
ホスフィン酸又はその塩の具体例として、例えば、ビス
(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸、ビス
(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸ナトリウ
ム、ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸
カリウム等を挙げることができる。
【0041】本発明によれば、これらのなかでも、上記
一般式(I)で表わされる有機ホスホン酸又はその塩が
好ましく用いられ、特に、2−ホスホノブタントリカル
ボン酸−1,2,4又は2−ホスホノブタントリカルボ
ン酸−1,2,4−四ナトリウム塩が好ましく用いられ
る。
【0042】本発明においては、このような形状制御剤
は、用いるニッケル塩に由来する全Ni2+に対して、0.
5〜20重量%の範囲、好ましくは、1〜15重量%、
最も好ましくは、2〜10重量%の範囲で用いられる。
形状制御剤の使用量がNi2+に対して0.5重量%よりも
少ないときは、得られるニッケル粉末の粒子の表面が平
滑でなく、凹凸を有し、また、粒度分布も広くなる。し
かし、形状制御剤をNi2+に対して、20重量%を越え
て多く用いても、得られるニッケル粉末の形状や表面の
平滑さがそれ以上改善されることもなく、また、不経済
でもある。
【0043】本発明によれば、このような形状制御剤の
存在下、好ましくは、pH10〜14程度の強アルカリ
性条件下において、上記ニッケル塩を還元剤で還元する
ことによって、ニッケル粉末を得る。上記強アルカリと
しては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの
ようなアルカリ金属水酸化物が好ましく用いられる。ま
た、還元反応のための反応温度は、通常、40〜80℃
の範囲であり、好ましくは、50〜70℃の範囲であ
る。
【0044】本発明によれば、この場合において、水溶
性ニッケル塩の水溶液に先ず、還元剤を加えて、ニッケ
ル−ヒドラジン錯体を生成させた後、これを上記温度に
加温し、次に、強アルカリ物質を加え、強アルカリ性と
して、攪拌下に還元反応を行なってもよく、また、水溶
性ニッケル塩の水溶液に先ず、強アルカリ物質を加え
て、強アルカリ性とし、次に、これを上記温度に加温し
た後、これに還元剤を加えて、攪拌下に還元反応を行な
ってもよい。
【0045】更に、本発明においては、必要に応じて、
水溶性ニッケル塩の水溶液に予め分散剤を溶解させてお
いてもよい。このような分散剤としては、例えば、ゼラ
チンやカルボキシメチルセルロース等が用いられるが、
これらに限定されるものではない。
【0046】本発明によれば、ニッケル塩を還元するた
めに要する反応時間は、特に、限定されるものではない
が、通常、30分から5時間の範囲であり、好ましく
は、45分から3時間の範囲である。
【0047】反応の進行に伴って、水溶性ニッケル塩の
水溶液からニッケル粉末が析出、沈殿する。そこで、反
応の終了後、例えば、デカンテーションと水洗を繰り返
して、洗液がほぼ中性となるまで、生成したニッケル粉
末を洗浄した後、これを加熱乾燥して、目的とするニッ
ケル粉末を得る。また、反応の終了後、必要に応じて、
得られた反応混合物に塩酸、酢酸等の酸を加えて、反応
混合物を中和し、この後、生成したニッケル粉末を濾取
し、洗液がほぼ中性となるまで洗浄し、加熱乾燥するこ
とによっても、目的とするニッケル粉末を得ることもで
きる。
【0048】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0049】実施例1 Ni2+濃度1モル/Lの塩化ニッケル水溶液を反応槽に
仕込み、これに0.5重量%濃度のカルボキシメチルセル
ロース水溶液を全Ni2+に対してカルボキシメチルセル
ロース換算で1重量%加え、更に、2−ホスホノブタン
トリカルボン酸−1,2,4を全Ni2+に対して5重量
%加えた。
【0050】次いで、このようにして得られた混合溶液
を攪拌しながら、これにヒドラジン水和物をNi2+1モ
ル部に対して3モル部加えて、ニッケル−ヒドラジン錯
体を生成させた後、55℃に加温し、この温度に保ちな
がら、これに同じ温度の300g/L濃度の水酸化ナト
リウム水溶液をNi2+1モル部に対して2.5モル部加え
て強アルカリ性(pH11)とし、2時間、還元反応を
行なって、ニッケル粉末を析出させた。
【0051】反応終了後、得られたニッケル粉末を洗液
のpHが7〜8となるまでデカンテーションと50℃の
温水洗浄を繰り返した後、ニッケル粉末を濾取し、10
0℃で15時間乾燥させた。収率は99.1%であった。
【0052】このようにして得られたニッケル粉末は、
その走査型電子顕微鏡写真(20000倍)を図1に示
すように、表面が平滑な球状の粒子からなるものであっ
た。また、粒度分布が狭いことも示されている。より正
確には、その粒度分布を図2に示すように、D10=0.9
1μm、D50(平均粒子径)=0.54μm、D90=0.2
6μmであった。また、タップ密度は2.8g/cm3
BET比表面積は3.6m2 /gであった。これらの結果
を表面積換算粒子径DS 及び粒径比(D50/DS )と共
に表1及び表2に示す。
【0053】実施例2〜14 実施例1と同様にして、表1に示すニッケル塩水溶液
(Ni2+濃度1モル/L)を反応槽に仕込み、これに0.
5重量%濃度のカルボキシメチルセルロース水溶液を全
Ni2+に対してカルボキシメチルセルロース換算で1重
量%加え、更に、表1に示すように、形状制御剤を全N
2+に対して予め定めた割合にて加えた。
【0054】次いで、このようにして得られた混合溶液
を攪拌しながら、これにNi2+に対して表1に示す割合
にてヒドラジン水和物を加えて、ニッケル−ヒドラジン
錯体を生成させた後、表1に示す温度に加温し、この温
度に保ちながら、これに同じ温度の300g/L濃度の
水酸化ナトリウム水溶液をNi2+1モル部に対して2.5
モル部加えて強アルカリ性とし、表1に示す所定時間、
還元反応を行なって、ニッケル粉末を析出させた。
【0055】反応終了後、得られたニッケル粉末を洗液
のpHが7〜8となるまでデカンテーションと50℃の
温水洗浄を繰り返した後、ニッケル粉末を濾取し、10
0℃で15時間乾燥させた。収率を表1に示す。
【0056】このようにして得られたニッケル粉末につ
いて、走査型電子顕微鏡写真(20000倍)観察した
結果、いずれの場合も、実施例1によるニッケル粉末と
同様に、表面が平滑な球状の粒子であった。
【0057】また、このようにして得られたニッケル粉
末のそれぞれについて、粒度分布(D10、D50(平均粒
子径)及びD90)、タップ密度、BET表面積、表面積
換算粒子径DS 及び粒径比(D50/DS )を表2に示
す。
【0058】尚、表1において、形状制御剤は以下のも
のを示す。 :2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4 :2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4−四ナトリウム塩 :2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4−四カリウム塩 :1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 :アミノトリ(メチレンホスホン酸) :エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸) :ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸
【0059】比較例1 実施例1において、2−ホスホノブタントリカルボン酸
−1,2,4を用いなかった以外は、実施例1と同様に
して、ニッケル粉末を収率99.2%で得た。
【0060】このようにして得られたニッケル粉末は、
その走査型電子顕微鏡写真(20000倍)を図3に示
すように、表面が平滑でなく、凹凸を有する粒子からな
るものであった。
【0061】また、その粒度分布を図4に示すように、
粒度分布が広く、D10=1.35μm、D50(平均粒子
径)=0.70μm、D90=0.29μmであった。更に、
タップ密度は2.4g/cm3 、BET比表面積は4.5m
2 /gであった。これらの結果を表面積換算粒子径DS
及び粒径比(D50/DS )と共に表1及び表2に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、水溶性
の有機ホスホン酸類及び有機ホスフィン酸類から選ばれ
る少なくとも1種の形状制御剤の存在下に水溶性ニッケ
ル塩をその水溶液中において還元剤で還元することによ
って、表面が平滑な形状の粒子からなり、平均粒子径が
0.1〜1μmの範囲にあると共に、2μmを越える粗大
な粒子を含まず、粒度分布が狭く、凝集がなく、高分散
性を有するニッケル粉末を容易に得ることができる。従
って、このようなニッケル粉末は、積層セラミックコン
デンサの内部電極材料として好適に用いることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の実施例1によるニッケル粉末の走
査型電子顕微鏡写真(20000倍)である。
【図2】は、本発明の実施例1によるニッケル粉末の粒
度分布図である。
【図3】は、比較例1によるニッケル粉末の走査型電子
顕微鏡写真(20000倍)である。
【図4】は、本発明の比較例1によるニッケル粉末の粒
度分布図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 芳一 大阪府堺市上89番地 大崎工業株式会社 内 (72)発明者 吉本 雅文 大阪府堺市上89番地 大崎工業株式会社 内 (72)発明者 長谷川 一成 大阪府堺市上89番地 大崎工業株式会社 内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 9/24

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性の一般式(I) 【化1】 (式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又はアルカリ金属
    を示す。)で表わされる有機ホスホン酸類、一般式(I
    I) 【化2】 (式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又はアルカリ金属
    を示す。)で表わされる有機ホスホン酸類、一般式(II
    I) 【化3】 (式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又はアルカリ金属
    を示す。)で表わされる有機ホスホン酸類、一般式(I
    V) 【化4】 (式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又はアルカリ金属
    を示し、mは1〜4の整数を示す。)で表わされる有機
    ホスホン酸類、及び一般式(V) 【化5】 (式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又はアルカリ金属
    を示し、x及びyは4≦x+y≦16を満たす整数を示
    す。)で表わされる有機ホスフィン酸類から選ばれる少
    なくとも1種の形状制御剤の存在下に水溶性ニッケル塩
    をその水溶液中において還元剤で還元することを特徴と
    するニッケル粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】形状制御剤が一般式(I) 【化6】 (式中、Mはそれぞれ独立に水素原子又はアルカリ金属
    を示す。)で表わされる有機ホスホン酸類及びその塩か
    ら選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のニッ
    ケル粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】形状制御剤を全Ni2+に対して0.5〜20
    重量%の範囲で存在させる請求項1又は2に記載のニッ
    ケル粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】還元剤をNi2+1モル部に対して1〜10
    モル部の範囲で用いる請求項1に記載のニッケル粉末の
    製造方法。
  5. 【請求項5】還元剤がヒドラジン又はその水和物である
    請求項1又はに記載のニッケル粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】形状制御剤の存在下に水溶性ニッケル塩を
    強アルカリ性の水溶液中において還元剤で還元する請求
    項1からのいずれかに記載のニッケル粉末の製造方
    法。
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