JP3110584U - ハブボルト - Google Patents

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宣裕 竹内
忠弘 井出
健治 岩本
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Abstract

【課題】 ディスクプレートの外周部が回転時に左右に揺れて波打ち、振動することを解消し、自動車の走行中におけるブレーキ作動時のブレーキジャダー現象を解消する駆動輪ハブおよびハブボルトを提供する。
【解決手段】 駆動輪ハブ(11)がハブボルト用貫通孔(11d)の裏面入口の面取り部(11e)の角度(α)が、ハブボルト(12)に形成された移行部(12c)の切込み角度(β)に対し、+10度以内に構成され、ハブボルト(12)が固定部(12b)、移行部(12c)およびガイド部(12d)をセレーション加工され、駆動輪ハブ(11)のハブボルト用貫通孔(11d)に対して固定部(12b)はシマリバメ、移行部(12c)の切込み角度(β)が15度以下に構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

この考案は、自動車の車輪部においてタイヤホイールおよびディスクプレートを保持するハブおよびハブボルトについて、その改善された形状に関する。
自動車の走行性能の向上に伴い、多くの自動車においてディスク式ブレーキが採用されている。駆動輪の場合は、ドライブシャフトの駆動力をタイヤホイールへ伝達するハブにブレーキ用ディスクプレートが保持されている。図4は自動車の駆動輪における駆動力伝達部示す組立断面図であり、図5はハブボルトを示す正面図である。
図4において、符号1で示すものは自動車の駆動輪における駆動力伝達部であり、駆動力伝達部1は、ステアリングナックル2、ベアリング3、ドライブシャフト4、ハブ11、ディスクプレート6およびタイヤホイール8を主要部材として構成されている。ハブ11は、略円筒状の軸部11a、軸部11aの一端(図4において左端)において軸芯に鉛直に形成された略円盤状のフランジ部11bおよびフランジ部11bの表面(図4において左側の面)において軸部11aと同芯に突出する略円筒状のホイールガイド部11cにより構成されている。
前記フランジ部11bは、表面がホイールガイド部11cから外周縁まで平面状に形成され、やや外周に近い同心円上の複数箇所に、ハブボルト用貫通孔11dおよび皿ビス用貫通ネジ孔11fが、軸部11aの軸芯に平行して形成されている。ハブボルト用貫通孔11dには、裏面(図4において右側の面)側入口に面取り部11eが形成されている。また、軸部11aに対するフランジ部11bの表面の鉛直度は、自動車の走行中におけるブレーキ作動時の車体の振動に影響し、鉛直度を確保するためのハブ11の加工方法が特願2004−014189により出願されている。
図5において、符号9で示すものはハブボルトであり、ハブボルト9は丸棒形状の一端(図5において右端)に丸棒よりも大径の円盤形状の頭部9aが形成され、頭部9aから他端(図5において左端)へ、セレーション加工された固定部9b、無加工丸棒状のガイド部9cおよびネジ部9dが順次形成して構成されている。固定部9bは、前記ディスクプレート6および前記タイヤホイール8を前記ハブ11へ確実に締付け固定するために、ハブボルト9がハブ11のハブボルト用貫通孔11d内で空転しないようシマリバメ状態に組込まれる。従って、固定部9bの外径は前記ハブボルト用貫通孔11dの内径に対してシマリバメとなるように大きく構成されているが、セレーションがローリング加工により成形されていることにより寸法精度が悪く、組込みの安全性を考慮してシマリバメ公差の上限値が採用されている。ガイド部9cおよびネジ部9dの外径は、ハブボルト用貫通孔11dへ容易に挿入できるように、その内径よりも小さく構成されている。
以上のように構成されたハブ11およびハブボルト9は、駆動力伝達部1において以下のように組立てられている。すなわち、まず、ハブ11の各ハブボルト穴11dにおいて、フランジ部11bの裏面(図4において右側の面)からハブボルト9が挿入され、その後圧入され、頭部9aがフランジ部11bの裏面に当接した状態でハブボルト9のネジ部9dおよび大部分のガイド部9cが表面から突出し、固定部9bがハブボルト穴11dに対してシマリバメ状態となる。つぎに、ベアリング3がステアリングナックル2の内孔に挿入して固定される。つぎに、ハブ11の軸部11aがベアリング3の内孔に圧入され、ステアリングナックル2に対してハブ11が回転可能に一体化される。つぎに、ハブ11がその軸部11aの貫通内孔にドライブシャフト4の先端部を挿入して組込まれ、ドライブシャフト4の突出した先端ネジ部にシャフトナット5を螺合され、ドライブシャフト4に締付け固定される。
つぎに、ディスクプレート6が、その内周部にハブボルト9およびホイールガイド部11cを貫通させながら、ハブ11のフランジ部11bの表面に当てがわれ、各ビスネジ穴11fにおいて、皿ビス7により締付け固定される。なお、ディスクプレート6の内周部には、中心部にハブ11のホイールガイド部11cを挿入可能な貫通孔、その周囲に各ハブボルト穴11dおよびビスネジ穴11fに対応する貫通孔が、それぞれ事前に形成されている。つぎに、タイヤホイール8が、その内周部にハブボルト9およびホイールガイド部11cを貫通させながら、ディスクプレート6の表面に当てがわれる。なお、タイヤホイール8の内周部には、中心部にハブ11のホイールガイド部11cを挿入可能な貫通孔、その周囲に各ハブボルト穴11dに対応する貫通孔が、それぞれ事前に形成されている。つぎに、各ハブボルト9において、ハブボルト用ナット10が螺合され、タイヤホイール8がディスクプレート6を挟んでハブ11のフランジ部11bの表面へ均等に締付け固定される。なお、ステアリングナックル2は車台に保持され、ディスクプレート6の周辺部にはステアリングナックル2に保持されたブレーキパッドが配置され、タイヤホイール8の外周にはタイヤが嵌め込まれている。
特願2004−014189(未公開)
従来のハブおよびハブボルトは以上のように構成されていたため、つぎのような課題が存在していた。すなわち、従来のハブ11およびハブボルト9により構成され組立てられた駆動力伝達部1において、自動車の走行中におけるブレーキ作動時に、ペダル、ハンドル、フロア等が振動するブレーキジャダー現象が発生する。
ブレーキジャダー現象が発生する原因は、ハブ11のフランジ部11b表面に組付けられたディスクプレート6において、ハブ11の軸部11aの軸芯に対する鉛直度が正確でなく、その結果、ディスクプレート6の外周部において、回転時に図4の左右方向に揺れて波打ち、振動することによるものである。
さらにその原因は、ハブ11のハブボルト用貫通孔11dへハブボルト9を圧入する際に、ハブボルト9のガイド部9cがハブボルト用貫通孔11dの内径よりも小径に構成されていることにより、ハブボルト9がハブボルト用貫通孔11dの軸芯に対して傾斜して圧入される可能性があること、ハブ11の面取り部11eが一般的な角度で加工されていることにより、ハブボルト用貫通孔11dの周囲に大きな圧入力が急激に掛かること、また、ローリング加工により成形されているハブボルト9の固定部9bの外形寸法は寸法精度が低くバラツキがあることにより圧入力に差異があること、などにより、フランジ部11b表面の各ハブボルト用貫通孔11d端部が不均一に変形することによるものである。
この考案は以上のような課題を解決するためになされたものであり、ディスクプレート6の外周部が回転時に左右に揺れて波打ち、振動することを解消し、自動車の走行中におけるブレーキ作動時のブレーキジャダー現象を解消するハブおよびハブボルトを提供することを目的とする。
この考案によるハブは、ハブボルト用貫通孔の裏面(ハブボルト挿入側)入口の面取り部の角度が、ハブボルトに形成された移行部の切込み角度に対し、+10度以内に構成されていることを特徴とする。
この考案によるハブボルトは、略丸棒形状の一端に丸棒よりも大径の円盤形状の頭部が形成され、頭部から他端へ、固定部、移行部、ガイド部およびネジ部を順次形成して構成され、固定部、移行部およびガイド部がセレーション加工され、ハブのハブボルト用貫通孔に対して固定部はシマリバメ、ガイド部およびネジ部は隙間状態となるように、それぞれの外径を形成され、移行部の切込み角度が15度以下に構成されていることを特徴とする。
詳細には、前記固定部のシマリバメの公差が下限値を採用されていることを特徴とする。
詳細には、前記固定部、前記移行部および前記ガイド部のセレーションが冷間鍛造により成形加工されていることを特徴とする。
この考案によるハブおよびハブボルトが以上のように構成されていることにより、以下のような効果を得ることができる。すなわち、ハブが、ハブボルト用貫通孔の裏面(ハブボルト挿入側)入口の面取り部の角度を、ハブボルトに形成された移行部の切込み角度に対し、+10度以内に構成されていることにより、ハブボルトが強大な力を加えることなく圧入される。
ハブボルトは、移行部がセレーション加工され、切込み角度を15度以下に構成されていることにより、急激に大きな力を加えることなく、また軸芯を合せて圧入される。
尚、ガイド部の外径は、穴径に対して僅かに小さいため、遊びが少なく、圧入前の段階で、穴に対して傾斜をおさえるためのガイド的役割をしている。
ハブボルトは、固定部のシマリバメの公差が下限値を採用されていることにより、圧入力が従来よりも小さく、軸芯を合せ易くなった。また、ハブボルトは、固定部、移行部およびガイド部のセレーションが冷間鍛造により成形加工されることにより、寸法精度が向上し、固定部のシマリバメ公差の下限値を採用することが可能になった。
以上の効果から、ハブボルトをハブへ圧入により組込む際に、従来よりも小さな力で軸芯を傾斜させることなく十分なシマリバメ状態に組込むことが可能になり、圧入力が徐々に掛かり、圧入力がハブボルト用貫通孔の周囲へ容易に分散する。その結果、フランジ部の表面の変形が少なくなった。
以下、図面とともにこの考案によるハブおよびハブボルトの好適な実施の形態について詳細に説明する。この考案によるハブおよびハブボルトは、背景技術において図4により説明した通りに駆動力伝達部を構成しており、駆動力伝達部の構成については説明を省略する。図1はこの考案によるハブとハブボルトとの連結状態を示すハブボルト用貫通孔部の部分断面図であり、図2はこの考案によるハブのハブボルト用貫通孔部を示す部分断面図であり、図3はこの考案によるハブボルトを示す正面図である。
図2において、符号11dで示すものはハブボルト用貫通孔であり、ハブ11のフランジ部11bのやや外周に近い箇所において、ハブ11の軸芯から所定距離の円周上の複数箇所に、軸芯に平行して形成されている。ハブボルト用貫通孔11dの内孔径は、後述するハブボルト12のネジ部12eおよびガイド部12dより大きく、ネジ部12eおよびガイド部12dが抵抗なく容易に挿入可能な大きさに構成されている。ハブボルト用貫通孔11dの裏面(ハブボルトを挿入する)側入口の角部には面取り部11eの加工がなされており、この考案により、面取り部11eの角度αが、後述するハブボルト12に形成された移行部12cの切込み角度βに対し、+10度以内となるように構成されている。ハブボルト用貫通孔11dの表面(ハブボルトが突出する)側の角部には通常の面取り部11gの加工がなされている。
図3において、符号12で示すものはこの考案によるハブボルトであり、ハブボルト12は丸棒形状の一端(図3において右端)に丸棒よりも大径の円盤形状の頭部12aが形成され、頭部12aから他端(図3において左端)へ、固定部12b、移行部12c、ガイド部12dおよびネジ部12eを順次形成して構成されている。固定部12b、移行部12cおよびガイド部12dは冷間鍛造によりセレーションが成形加工されている。固定部12bの外径は前記ハブボルト用貫通孔11dの内径に対してシマリバメとなるようにその内径よりも大きく、ガイド部12dの外径はハブボルト用貫通孔11dの内径に対して隙間状態となるようにその内径よりも僅かに小さく、それぞれ構成されている。固定部12bとガイド部12dとの間の移行部12cはガイド部12d側が小径の円錐台形状であり、円錐台の傾斜角度すなわち切込み角度が15度以下になるように構成されている。ネジ部12eの外径はハブボルト用貫通孔11dの内径よりも小さく構成されている。また、冷間鍛造によるセレーションの成形加工は精度の高い加工が可能であり、前記固定部12bのシマリバメのシメ代として公差の最小値が採用されている。
図1において、前記ハブボルト12が前記ハブ11のハブボルト用貫通孔11dへ圧入され、頭部12aがフランジ部11bの裏面に当接している。ハブボルト用貫通孔11dに対し、ハブボルト12の固定部12b、移行部12cおよびガイド部12dの一部がハブボルト用貫通孔11d内に隠れ、ガイド部12dの残部およびネジ部12eがフランジ部11bの表面から突出している。
ハブボルト12をハブボルト用貫通孔11dへ圧入する場合、フランジ部11bの裏面において、ハブボルト12のネジ部12eから順次ハブボルト用貫通孔11dへ挿入し圧入する。まず、ネジ部12eおよびガイド部12dはその外径がハブボルト用貫通孔11dの内径に対して小さく構成されていることにより、ハブボルト用貫通孔11dへ抵抗なく容易に挿入される。即ち、ガイド部の外径は、穴径に対して僅かに小さいため、遊びが少なく、圧入前の段階で、穴に対して傾斜をおさえるためのガイド的役割をしているからである。
つぎに、移行部12cは隙間状態からシマリバメに移行する箇所であり、その切込み角度βが緩やかな15度以下に構成されていることにより、圧入操作に従って圧入力が徐々に増加する。また、ハブボルト用貫通孔11dは裏面入口の角部に面取り部11eの加工がなされており、面取り部11eの角度αが移行部12cの切込み角度βに対し僅か(+10度以内)に大きく構成されていることにより、移行部12cはハブボルト用貫通孔11dの裏面入口の周囲に対して徐々に力を加えてゆくので、その力は容易に周囲へ分散する。
つぎに、固定部12bは、その外径がハブボルト用貫通孔11dの内径に対して下限値のシメ代によるシマリバメに構成されていることにより、比較的小さな力で圧入できる。また、事前の移行部12cの圧入により、すでに徐々に大きくなる力がハブボルト用貫通孔11dの周囲に先行して加えられているので、それに続く固定部12bは比較的容易に圧入できる。また、比較的小さな力で容易に圧入されることにより、ハブボルト用貫通孔11dの軸芯とハブボルト12の軸芯とが狂い難く、容易に一致する。固定部12bの全長の圧入が終わり、頭部12aがフランジ部11bの裏面に当接した状態で、図1に示すように、固定部12b、移行部12cおよびガイド部12dの一部がハブボルト用貫通孔11d内に隠れ、ガイド部12dの残部およびネジ部12eがフランジ部11bの表面から突出した状態となる。
この考案によるハブとハブボルトとの連結状態を示すハブボルト用貫通孔部の部分断面図である。 この考案によるハブのハブボルト用貫通孔部を示す部分断面図である。 この考案によるハブボルトを示す正面図である。 自動車の駆動輪における駆動力伝達部示す組立断面図である。 従来のハブボルトを示す正面図である。
符号の説明
1 駆動力伝達部
2 ステアリングナックル
3 ベアリング
4 ドライブシャフト
5 シャフトナット
6 ディスクプレート
7 皿ビス
8 タイヤホイール
9 ハブボルト
9a 頭部
9b 固定部
9c ガイド部
9d ネジ部
10 ハブボルト用ナット
11 ハブ
11a 軸部
11b フランジ部
11c ホイールガイド部
11d ハブボルト用貫通孔
11e 面取り部
11f 皿ビス用貫通ネジ孔
11g 面取り部

Claims (4)

  1. ハブボルト用貫通孔(11d)の裏面(ハブボルト挿入側)入口の面取り部(11e)の角度(α)が、ハブボルト(12)に形成された移行部(12c)の切込み角度(β)に対し、+10度以内に構成されていることを特徴とする駆動輪ハブ。
  2. 略丸棒形状の一端に丸棒よりも大径の円盤形状の頭部(12a)が形成され、頭部(12a)から他端へ、固定部(12b)、移行部(12c)、ガイド部(12d)およびネジ部(12e)を順次形成して構成され、固定部(12b)、移行部(12c)およびガイド部(12d)がセレーション加工され、駆動輪ハブ(11)のハブボルト用貫通孔(11d)に対して固定部(12b)はシマリバメ、ガイド部(12d)およびネジ部(12e)は隙間状態となるように、それぞれの外径を形成され、移行部(12c)の切込み角度(β)が15度以下に構成されていることを特徴とするハブボルト。
  3. 前記固定部(12b)のシマリバメの公差が下限値を採用されていることを特徴とする請求項2に記載のハブボルト。
  4. 前記固定部(12b)、前記移行部(12c)および前記ガイド部(12d)のセレーションが冷間鍛造により成形加工されていることを特徴とする請求項2および請求項3に記載のハブボルト。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS5842596A (ja) * 1981-12-14 1983-03-12 株式会社安田製作所 自動張力制御型の延線車
JP2015148301A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 大豊工業株式会社 リンク機構、およびリンク機構の組立方法

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