JP3107322B2 - 超電導デバイスの製造方法 - Google Patents
超電導デバイスの製造方法Info
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Description
超電導トランジスタ等に用いられるトンネル型接合構造
の超電導デバイスの製造方法に関する。
ニクスの進歩は目覚ましく、これに伴って転移温度Tc
の高いビスマス系酸化物超電導物質やイットリウム系酸
化物超電導物質が提案されている。
超電導デバイスを作製する場合には、例えば、一定の作
動電圧を有し回路動作の安定性に優れたトンネル型接合
が用いられる。このトンネル型接合は、SIS又はSI
N(Sは超電導体、Iは絶縁層、Nは常伝導体)からな
るサンドイッチ構造となっているが、この場合、S層上
にMgO等の絶縁層を設けた後、超電導体又は常伝導体
を積層形成している。
いて、薄く且つ均一なトンネルバリヤとして、非晶質マ
グネシウム酸化物を用いることが特公平2−55955
号公報(国際特許分類 H01L 39/22)に開示
されている。
として、非晶質マグネシウム酸化物を用いたSISから
なるサンドイッチ構造においては、超電導体としてN
b,Nb3Ge,Pb等の金属系超電導材料を用いてい
る。この金属系超電導材料においては、スパッタリング
などで非晶質マグネシウム酸化物を形成する時に、相互
拡散などは発生しないため、界面にダメージがなく良好
な接合が得られる。
やイットリウム系酸化物超電導物質において、この酸化
物超電導材料上にスパッタリングなどで非晶質マグネシ
ウム酸化物を形成すると、下部の酸化物超電導材料に非
晶質マグネシウム酸化物の材料が拡散し、界面にダメー
ジが発生する。特に、酸化物超電導物質においては、そ
の組成比によって、超電導体になったり、半導体になっ
たりとその特性が相違する。従って、非晶質マグネシウ
ム酸化物の材料が酸化物超電導材料に拡散するとその特
性が変化し、良好なトンネル接合が得られないという問
題があった。
成する非晶質絶縁材料の形成温度等につき鋭意検討した
結果、所定温度以下で形成した非晶質絶縁材料であれば
酸化物超電導物質に拡散が発生しないことを見出した。
この発明は係る現状を考慮してなされたものであって、
生産性を向上しつつ良好なトンネル型接合が得られる超
電導デバイスの提供を目的としている。
かかる超電導デバイスの製造方法は、Ba1-xKxBiO
3(0.2<X<0.5)という組成からなる酸化物超
電導体上に、非晶質材料からなる絶縁層を300℃以下
の温度で形成した後、その非晶質材料からなる絶縁層の
表面に熱処理を施して結晶系絶縁層を形成し、この結晶
系絶縁層上に超電導層を形成することを特徴とする。
導デバイスの製造方法は、Bi2Sr2Ca1Cu2Oxか
らなる酸化物超電導体上に、非晶質材料からなる絶縁層
を250℃以下の温度で形成した後、その非晶質材料か
らなる絶縁層の表面に熱処理を施して結晶系絶縁層を形
成し、この結晶系絶縁層上に超電導層を形成することを
特徴とする。
導デバイスの製造方法は、Y1Ba2Cu3Oxからなる酸
化物超電導体上に、非晶質材料からなる絶縁層を150
℃以下の温度で形成した後、その非晶質材料からなる絶
縁層の表面に熱処理を施して結晶系絶縁層を形成し、こ
の結晶系絶縁層上に超電導層を形成することを特徴とす
る。
iO3,ZrOx,YSZ,LaGaO3,LaAlO3,
NdGaO3から選択される。
に夫々所定温度以下で非晶質絶縁材料形成することで、
酸化物超電導体への拡散が抑制され、良好な接合界面が
得られる。しかも非晶質絶縁材料は酸化物超電導体上に
緻密に形成され、超電導体表面に凹凸が存在してもピン
ホール発生するおそれもない。従って、リークのない非
常に良好なトンネル接合が形成できる。
その上に、超電導体との格子定数のミスマッチ等による
格子のみだれを抑制でき、極薄膜での絶縁性が高く、均
質な超電導体が得られる。
下に説明する。
の第1の実施例を示す断面図であり、SIN(Sは超電
導体、Iは絶縁層、Nは常伝導体)から成るサンドイッ
チ構造が形成された構造となっている。上記S層1及び
N層3は、厚み約1000Åであって、S層1はBa
0.6K0.4BiO3、Bi2Sr2Ca1Cu2OxまたはY1
Ba2Cu3OxからN層5はAu等から構成される。一
方、上記I層2は厚み約40Åであって、MgO,Sr
TiO3,ZrOx,YSZ,LaGaO3,LaAl
O3,NdGaO3から選択される非晶質材料よりなる。
この非晶質材料からなるI層2はスパッタリング法など
により形成されるが、この絶縁層の成膜時の温度は下地
となる超電導材料に応じて設定される。即ち、各超電導
材料の安定性が確保できる温度で拡散が発生しない温度
である。Ba0.6K0.4BiO3の場合は300℃以下、
Bi2Sr2Ca1Cu2Oxの場合は250℃以下、Y1B
a2Cu3Oxの場合は150℃以下である。
のようにして作製した。先ず、S層1としてBa0.6K
0.4BiO3を用いる場合につき説明する。
導体基板を用意する。このBa0.6K 0.4BiO3組成の
超電導体は、Bi2Sr2Ca1Cu2Ox、Y1Ba2Cu3
Ox系とは異なり、その表面にBaO,BaBiO3,K
O2と考えられる絶縁層となる酸化膜バリア(native ba
rrier)が形成されている。この酸化膜バリアを絶縁層
としてこの上に超電導体を設けてトンネル接合を作るこ
ともできるが、このトンネル接合は強い非線形を示す有
効なコンダクタンスを得ることができるが、図3に示す
ように、かなり非線形の弱いものができる場合が有り、
このままでは再現性に乏しいという欠点が有る。そこ
で、この酸化膜バリアの上に非晶質材料からなるI層2
を形成する。
をスパッタリングターゲットとしてMgO焼結体又はパ
ウダーを固めたものをスパッタリング装置内に配置した
後、スパッタリング装置内に、Arガスを導入し、装置
内ガス圧は1〜10Paとなる様に設定した。
では室温に保ち、50〜100WのRF出力を印加する
ことによって、アモルファスMgOを成膜する。成膜速
度は2〜40Å/minで、約20〜40Åのアモルファ
スMgOからなるI層2を積層する。尚、この成膜温度
は、300℃以下で有れば良いが、酸化膜バリア拡散の
発生を考慮すると、100℃以下室温までが望ましい。
厚2000ÅのAu等のN層5に設ける。
コンダクタンスを示す。この図4に示すように、酸化膜
バリアの上にアモルファスMgOを積層することで、B
KBOのエネルギーギャップに相当する2〜3meVで強
い非線形を示すデバイスを再現良く得ることができる。
薄膜を用いる場合につき説明する。基板(図示しない)
をエチルアルコール中で超音波洗浄した後、煮沸、乾燥
させる。次に、この洗浄された基板を、スパッタリング
ターゲットが装着されたrf−マグネトロンスパッタ装
置内に取付けた後、装置内圧が10-4〜10-6Paとな
るまで真空引きを行う。
を導入する。この際、ArガスとO2ガスとの比は5
0:50に、且つ装置内ガス圧は80Paとなる様に設
定した。
の放電電力を印加することによって装置内にプラズマを
発生させた後、装置内の加熱装置により基板を300℃
〜500℃に加熱する。
行った後、基板を300℃〜500℃に加熱した状態
で、装置内シャッタを開成して本スパッタを開始する。
これにより、S層1の形成が開始される。この際、成膜
速度は、500Å/hrであるので、約2時間本スパッ
タを行う。本スパッタ終了後、上記シャッタを閉成し更
にプラズマを消灯させる。この後、Arガスの導入を中
止すると共に、O2ガスの導入状態を維持し350℃以
上の温度で1時間程度保持する。その後、温度を低下
し、基板をO2ガス雰囲気で冷却する。そのS層1表面
にBaO,BaBiO3,KO2と考えられる絶縁層とな
る酸化膜バリア(native barrier)が形成される。
MgO焼結体又はパウダーを固めたものをスパッタリン
グ装置内に配置した後、スパッタリング装置内に、Ar
ガスを導入し、装置内ガス圧は1〜10Paとなる様に
設定した。
では室温に保ち、50〜100WのRF出力を印加する
ことによって、アモルファスMgOを成膜する。成膜速
度は2〜40Å/minで、約20〜40Åのアモルファ
スMgOからなるI層2を積層する。
厚2000ÅのAu等のN層5に設ける。
る場合につき説明する。
基板を用意する。そして、スパッタリングターゲットと
してMgO焼結体又はパウダーを固めたものをスパッタ
リング装置内に配置した後、スパッタリング装置内に、
Arガスを導入し、装置内ガス圧は1〜10Paとなる
様に設定した。
では室温に保ち、50〜100WのRF出力を印加する
ことによって、アモルファスMgOを成膜する。成膜速
度は2〜40Å/minで、約20〜40Åのアモルファ
スMgOからなるI層2を積層する。成膜時の温度を1
50℃以上に上げるとY1Ba2Cu3Ox表面層から酸素
が抜け超電導性が劣化する。
厚2000ÅのAu等のN層5に設ける。
xを用いる場合につき説明する。
用意し、ソースとしてMgO溶融体を真空チャンバー内
に入れ、真空チャンバー内で背圧1×10-9Torrと
なる様に設定した。
例では室温に保ち、EBガンによりアモルファスMgO
を成膜する。成膜速度は2×10Å/minで、約20〜
40ÅのアモルファスMgOからなるI層2を積層す
る。
厚2000ÅのAu等のN層5に設ける。
10にMgO11とNb12の構造において、この発明
によるアモルファスMgOと結晶系MgOを夫々形成
し、図中矢印方向からエッチングしながら深さ方向の原
子成分を観察した結果を図6及び図7に示す。図6はこ
の発明によるもの、図7は従来例による積層構造のオー
ジェ電子分光図である。
明によれば、Bi2Sr2Ca1Cu2Oxの拡散が抑制さ
れていることが分かる。
による転移温度(Tc)を測定した結果を夫々示す。
度(Tc)の違いにより、この発明によるものは超電導
体にダメージが受けていないことが分かる。
の第2の実施例を示す断面図であり、SIS(Sは超電
導体、Iは絶縁層)から成るサンドイッチ構造の本体部
2が形成された構造となっている。上記S層1及びN層
3は、厚み約1000Åであって、S層1はBa0.6K
0.4BiO3、Bi2Sr2Ca1Cu2OxまたはY1Ba2
Cu3OxからN層5はAu等から構成される。S層3は
Ba0.6K0.4BiO3又はBa0.6Rb0.4BiO3からN
層5はAu等から構成される。
て、MgO,SrTiO3,ZrOx,YSZ,LaGa
O3,LaAlO3,NdGaO3から選択される非晶質
材料よりなる。この非晶質材料からなるI層2とこのI
層2を300〜400℃で熱処理(レーザアニール等)
をおこなって結晶化させたI層21とからなる。I層2
はスパッタリング法などにより形成されるが、この絶縁
層の成膜時の温度は下地となる超電導材料に応じて設定
される。即ち、各超電導材料の安定性が確保できる温度
で拡散が発生しない温度である。Ba0.6K0.4BiO3
の場合は300℃以下、Bi2Sr2Ca1Cu2Oxの場
合は250℃以下、Y1Ba2Cu3Oxの場合は150℃
以下である。また、一旦超電導材料上に非晶質材料から
なるI層2を形成すると、その後、温度を上昇させても
相互拡散は発生しない。従って、熱処理(レーザアニー
ル等)をおこなって非晶質層を結晶化させても超電導材
料と非晶質材料との間で拡散することはない。
して作製した。
ウム(K)はS層1表面上に非晶質材料からなるI層2
の形成方法は前述した第1の実施例と同じなので、ここ
では説明を省略し、I層2の表面上に結晶化絶縁層21
を形成する方法を説明する。
非晶質I層2の表面に300〜400℃の温度でレーザ
アニールを施し、表面上に多結晶絶縁層21を形成す
る。
によりNb等の超電導体層3を形成する。この時、絶縁
層は結晶系であるので、格子のミスマッチ等による格子
のみだれがなく、極薄膜の超電導体層3が形成される。
してMgOを用いた場合について説明したが、MgO以
外にSrTiO3,ZrOx,YSZ,LaGaO3,L
aAlO3,NdGaO3を用いても同様の効果が得られ
る。
ば、酸化物超電導体の表面に夫々所定温度以下で非晶質
絶縁材料形成することで、酸化物超電導体への拡散が抑
制され、良好な接合界面が得られる。しかも非晶質絶縁
材料は酸化物超電導体上に緻密に形成され、超電導体表
面に凹凸が存在してもピンホール発生するおそれもな
い。従って、リークのない非常に良好なトンネル接合が
形成できる。
その上に、超電導体との格子定数のミスマッチ等による
格子のみだれを抑制でき、極薄膜での絶縁性が高く、均
質な超電導体が得られる。
接合におけるトンネルコンダクタンスを示すグラフであ
る。
ルコンダクタンスを示すグラフである。
成したデバイスを示す断面図である。
ある。
果を示すグラフである。
を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 Ba1-xKxBiO3(0.2<X<0.
5)という組成からなる酸化物超電導体上に、非晶質材
料からなる絶縁層を300℃以下の温度で形成した後、
その非晶質材料からなる絶縁層の表面に熱処理を施して
結晶系絶縁層を形成し、この結晶系絶縁層上に超電導層
を形成することを特徴とする超電導デバイスの製造方
法。 - 【請求項2】 Bi2Sr2Ca1Cu2Oxからなる酸化
物超電導体上に、非晶質材料からなる絶縁層を250℃
以下の温度で形成した後、その非晶質材料からなる絶縁
層の表面に熱処理を施して結晶系絶縁層を形成し、この
結晶系絶縁層上に超電導層を形成することを特徴とする
超電導デバイスの製造方法。 - 【請求項3】 Y1Ba2Cu3Oxからなる酸化物超電導
体上に、非晶質材料からなる絶縁層を150℃以下の温
度で形成した後、その非晶質材料からなる絶縁層の表面
に熱処理を施して結晶系絶縁層を形成し、この結晶系絶
縁層上に超電導層を形成することを特徴とする超電導デ
バイスの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP03342032A JP3107322B2 (ja) | 1991-11-29 | 1991-11-29 | 超電導デバイスの製造方法 |
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JPH05152627A JPH05152627A (ja) | 1993-06-18 |
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Country | Link |
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---|---|---|---|---|
JP4741805B2 (ja) * | 2004-03-04 | 2011-08-10 | シャープ株式会社 | 超電導素子 |
-
1991
- 1991-11-29 JP JP03342032A patent/JP3107322B2/ja not_active Expired - Fee Related
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