JP3106995B2 - ハイブリッドブレーキ材 - Google Patents

ハイブリッドブレーキ材

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JP3106995B2 JP09079914A JP7991497A JP3106995B2 JP 3106995 B2 JP3106995 B2 JP 3106995B2 JP 09079914 A JP09079914 A JP 09079914A JP 7991497 A JP7991497 A JP 7991497A JP 3106995 B2 JP3106995 B2 JP 3106995B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハイブリッドブレー
キ材に関する。本発明は車両や機器等のブレーキ装置で
使用されるブレーキ材に利用できる。
【0002】
【従来の技術】ブレーキ装置における引きずりについ
て、ディスクブレーキ装置を例にとって、図10を参照
して説明する。代表的なディスクブレーキ装置では、軸
芯PWの回りを回転するディスクロータ6の両側に、ブ
レーキパッドとも呼ばれるブレーキ材9が配置されてい
る。ブレーキ装置の非ブレーキ操作時には、ブレーキ材
9がディスクロータ6から矢印P1方向に退避してい
る。ブレーキ装置のブレーキ操作時には、油圧によりブ
レーキ材9が作動方向つまり矢印P2方向に移動し、ブ
レーキ材9がディスクロータ6に摩擦することにより、
制動が実行される。
【0003】ブレーキ装置の小型化やブレーキ応答性の
要請などから、ディスクロータ6とブレーキ材9との隙
間LAは、所定の大きさに設定される。ところでブレー
キ装置が制動動作を実行していない非ブレーキ操作時で
あっても、退避しているブレーキ材9にディスクロータ
6が接触し、ブレーキ材9が引きずられる引きずりが発
生することがある。引きずりの代表的な要因としては、
ディスクロータ6の回転時の振動、ブレーキ材9の退避
不足等が挙げられる。
【0004】例えば、図10(B)に示すように、予期
せね事情により軸線PWに対してディスクロータ6が傾
いている場合には、ディスクロータ6は軸線PWに沿っ
た向きの振動を伴って軸線PWを中心として回転する。
そのため、ブレーキ材9が退避している非ブレーキ操作
時であっても、退避しているブレーキ材9にディスクロ
ータ6が接触する。このような引きずりは、ディスクロ
ータ6の偏摩耗を発生することがある。
【0005】高温領域におけるブレーキの『効き』を確
保したり、ディスクロータ6の錆落とし性を高める場合
には、ブレーキ材9の材質として、セラミックスや金属
等の粉末や繊維のように相手攻撃性が比較的高めの摩擦
材を使用することがある。この場合には、引きずりによ
りディスクロータ6の偏摩耗が発生し易い。ディスクロ
ータ6の偏摩耗は、ブレーキ装置における異音や振動等
の要因となり易い。
【0006】そこで実開平1−58837号公報には、
摩擦材のうちディスクロータに対面する表層の隅部に炭
素繊維強化複合材料部を設けたブレーキ材が開示されて
いる。このものでは、摩擦材において、炭素繊維強化複
合材料部は他の部位と同一高さとされている。このもの
では、ブレーキ装置の非ブレーキ操作時において、仮に
ディスクロータとブレーキ材との間で引きずりが発生し
た場合であっても、相手攻撃性が低い炭素繊維強化複合
材料部がディスクロータに当たるため、引きずりよるデ
ィスクロータの偏摩耗を防止でき、異音や振動の低減に
有利である。
【0007】また特開平1−224531号公報には、
ブレーキ材のうち、ディスクロータの回転方向における
前側と後側を、ディスクロータを傷付け難い材料で構成
したディスクブレーキ装置が開示されている。この公報
には、引きずりに起因するディスクロータの摩耗を小さ
くでき、異常振動の発生を抑え得る旨、記載されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、ブレーキ装置に
おいてディスクロータ等の相手材の偏摩耗のさらなる低
減が要請されている。上記した公報技術は、相手攻撃性
が低い部位をブレーキ材に設けているものの、ブレーキ
材における部分的突出構造、ブレーキ材における圧縮弾
性率について着目したものではない。
【0009】本発明は上記した実情に鑑みなされたもの
であり、請求項1の課題は、相手攻撃性が相対的に低い
摩擦材を突出させることにより、非ブレーキ操作時に引
きずりが発生した場合であっても、ディスクロータ等の
相手材の偏摩耗の抑制に有利であり、これによりブレー
キ装置における異音や振動の低減に貢献できるハイブリ
ッドブレーキ材を提供することにある。
【0010】更に請求項2の課題は、相手攻撃性が相対
的に低い摩擦材の圧縮弾性率を小さくすることにより、
ブレーキ操作量が増加した高ブレーキ操作時に『効き』
を確保し易いハイブリッドブレーキ材を提供することに
ある。更に請求項3の課題は、相手攻撃性が相対的に低
い摩擦材の摩耗率を小さくすることにより、相手攻撃性
が低い摩擦材が突出する請求項1に係る突出構造を長期
にわたり維持し易いハイブリッドブレーキ材を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に係るハイブリ
ッドブレーキ材は、異なる相手攻撃性をもつ摩擦材を組
み合わせたハイブリッドブレーキ材であって、相手攻撃
性が相対的に低い摩擦材が他の部位より突出しているこ
とを特徴とする。
【0012】請求項2に係るハイブリッドブレーキ材
は、異なる相手攻撃性をもつ摩擦材を組み合わせたハイ
ブリッドブレーキ材であって、相手攻撃性が相対的に低
い摩擦材は、相手攻撃性が相対的に高い摩擦材よりも圧
縮弾性率が小さいことを特徴とする。請求項3に係るハ
イブリッドブレーキ材は、請求項1または2において、
相手攻撃性が相対的に低い摩擦材は、相手攻撃性が相対
的に高い摩擦材よりも摩耗率が小さいことを特徴とす
る。
【0013】
【発明の実施の形態】 請求項1によれば、相手攻撃性が相対的に低い摩擦材
が相手側に向けて突出しているため、ディスクロータ等
の相手材の振動、ブレーキ材の後退不足等により引きず
りが発生した場合であっても、相手攻撃性が相対的に高
い摩擦材よりも、相手攻撃性が相対的に低い摩擦材がデ
ィスクロータ等の相手材と優先的に摩擦する。これによ
り引きずりに起因する相手材の偏摩耗は、抑制される。
【0014】またブレーキ操作量が増加した高ブレーキ
操作時には、相手攻撃性が相対的に高く『効き』に有効
な摩擦材も、ディスクロータ等の相手材に摩擦するた
め、相手攻撃性が高い摩擦材の圧縮荷重の分担が大きく
なり、ブレーキの『効き』が効果的に確保される。 請求項2によれば、相手攻撃性が相対的に低い摩擦材
は、相手攻撃性が相対的に高い摩擦材よりも圧縮弾性率
が小さく、相手攻撃性が相対的に高い摩擦材に比較して
軟目であり、相手材により圧縮されると引っ込み易い。
【0015】従って高ブレーキ操作時には、相手攻撃性
が高い摩擦材の圧縮荷重の分担が大きくなり、ブレーキ
の『効き』が確保される。請求項2によれば、相手攻撃
性が相対的に低い摩擦材は、前述したように、圧縮弾性
率が小さく、相手材により圧縮されると引っ込み易い。
そのため相手攻撃性が相対的に低い摩擦材が突出してい
る形態の場合であっても、相手攻撃性が相対的に低い摩
擦材は、引っ込み易い。従って高ブレーキ操作時には、
相手攻撃性が高い摩擦材の圧縮荷重の分担が大きくな
り、ブレーキの『効き』が確保される。
【0016】更に請求項3によれば、相手攻撃性が相
対的に低い摩擦材は、相手攻撃性が相対的に高い摩擦材
よりも摩耗率が小さいため、ブレーキ操作時における摩
耗量が少ない。従って、非ブレーキ操作時には、相手攻
撃性が相対的に低い摩擦材は、相手攻撃性が相対的に高
い摩擦材よりも突出し易くなる。即ち、相手攻撃性が相
対的に低い摩擦材の突出構造は、維持され易くなる。
【0017】摩擦材は、一般的には、基材、摩擦摩耗
調整剤、結合剤等を混合した混合物を熱成形することに
より形成できる。基材としては、有機繊維や無機繊維を
適宜選択できる。具体的にはアラミド繊維(パラ系)、
レーヨン、ポリアミド繊維、アクリル繊維、炭素繊維、
スチール繊維等を採用できる。摩擦摩耗調整剤としては
ゴム、カシュ、バライタ、炭酸カルシウム、黒鉛、三硫
化アンチモン、二硫化モリブデン、アルミナやシリカ等
を適宜選択できる。結合剤としてはフェノール樹脂、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂等を採用できる。
【0018】上記した摩擦材における相手攻撃性の高低
は、硬質相の量を調整することにより形成できる。硬質
相としては、例えば、アルミナやシリカ等のセラミック
ス、スチールや銅等の金属等が挙げられる。硬質相の形
態は繊維でも粉粒体でも良い。
【0019】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の実施例1を説明する。本実
施例は車両のディスクブレーキ装置に使用されるハイブ
リッドブレーキ材(以下、単にブレーキ材という)に適
用したものである。
【0020】(実施例の構成) 図1はブレーキ材1を裏金2に装着した状態を示す。図
2は図1のA−A線に沿う断面を示す。ブレーキ材1
は、相手攻撃性が相対的に低い第1摩擦材3と、相手攻
撃性が相対的に高く、ブレーキの効きを確保する第2摩
擦材4とを組み合わせて構成されている。図1におい
て、第1摩擦材3の領域は斜線で示されており、摩擦摺
動方向である矢印B3方向に沿って円弧帯状に略同軸的
に配設されている。第1摩擦材3(前述したように相手
攻撃性が相対的に低い)は、ブレーキ材1の外縁1pと
内縁1iとの双方に配置されている。
【0021】なお第2摩擦材4の表出面積は、ブレーキ
の『効き』を確保すべく、第1摩擦材3の表出面積より
も大きくされている。本実施例によれば、非ブレーキ操
作時つまり通常の状態においては、図2に示す様に、相
手攻撃性が相対的に低い第1摩擦材3は、相手攻撃性が
相対的に高い第2摩擦材4よりもΔL1突出している。
なおΔL1はブレーキ材1の種類、使用条件、ブレーキ
フィーリングの要請等に応じて適宜選択できるが、一般
的には0.5mm以下、特に0.2mm以下にできる
が、これに限定されるものではなく、ブレーキ材の種類
によっては場合によっては1mm程度とすることもでき
る。
【0022】以下、相手攻撃性が相対的に低い第1摩擦
材3と、相手攻撃性が相対的に高い第2摩擦材4の摩擦
特性を説明する。 (A)相手攻撃性が低い第1摩擦材3 相手攻撃性dL :1.8μm 圧縮弾性率EL :10〔kgf/mm2 〕(ブレーキ
圧:10〔kgf/cm2 〕において) 摩耗率WL :0.9×10-4〔mm3 /kgf・m〕 (B)相手攻撃性が高い第2摩擦材4 相手攻撃性dH :21μm(dH >dL ) 圧縮弾性率EH :110〔kgf/mm2 〕(ブレーキ
圧:10〔kgf/cm2 〕において) 摩耗率WH :2.5×10-4〔mm3 /kgf・m〕 本実施例によれば、第1摩擦材3の相手攻撃性dL は第
2摩擦材4の相手攻撃性dH よりも小さくされている
(dL <dH )。また第1摩擦材3の圧縮弾性率EL
第2摩擦材4の圧縮弾性率EH よりも小さくされている
(EL <EH )。また第1摩擦材3の摩耗率WL は第2
摩擦材4の摩耗率WH よりも小さくされており(WL
H )、第1摩擦材3は摩耗しにくいものである。
【0023】本実施例では、(第2摩擦材4の摩耗率W
H /第1摩擦材3の摩耗率WL )は約2.8とされてい
る。また第1摩擦材3の面積をAL とし、第2摩擦材4
の面積をAH とすると、AH /AL =2〜3、特に2.
8とされている。相手攻撃性は、図10(A)に模式的
に示す構造を備えたディスクブレーキ装置のように、2
枚1組のブレーキ材1を組込み、車速100km/h相
当の回転数において、ブレーキ材1を引きずり状態で摩
擦させ、50hr経過後のディスクロータの摩耗量をマ
イクロメータにより測定し、これを相手攻撃性とした。
【0024】圧縮弾性率は、機械式圧縮試験機を用い、
所定の荷重で摩擦材(厚みt、面積A)を厚み方向に圧
縮し、荷重差F、荷重差Fに基づく圧縮量δを測定し、
圧縮弾性率E=(F/A)/(δ/t)に基づいて算出
した。摩耗率は、フルサイズダイナモメータを用い、車
速50km/hからブレーキにより減速度0.15Gで
減速して車両を停止させ、これを500回繰り返した。
上記試験を、制動開始前の摩擦材の温度が100°Cと
200°Cとで行った。各温度における摩耗率WT は次
式に基づいて求めた。
【0025】WT ={〔2×(A1×t1+A2×t
2)×r2 〕/〔I×V2 ×n〕} ここでA1はディスクロータを挟む一方のブレーキ材の
摩擦面の面積、t1は一方のブレーキ材の摩擦面の摩耗
深さを示す。A2はディスクロータを挟む他方のブレー
キ材の摩擦面の面積、t2は他方のブレーキ材の摩擦面
の摩耗深さを示す。Iは車両重量に相当する大きさの回
転体の慣性質量、Vは車速、rはタイヤの有効半径、n
は制動回数を示す。そしてそのブレーキ材の摩耗率W
は、100°Cにおける摩耗率W100 と200°Cにお
ける摩耗率W200 とを算出し、次式に基づいて求めた。
【0026】W=0.8×W100 +0.2×W200 本実施例に係る相手攻撃性が相対的に低い第1摩擦材
3、相手攻撃性が相対的に高いがブレーキ性能を確保す
るのに有効な第2摩擦材4の基本組成を、表1に示す。
【0027】
【表1】 表1から理解できるように、金属粉である銅、金属繊維
であるスチール繊維、研磨剤として機能するアルミナ等
のように相手攻撃性が高い原料は、相手攻撃性が低い第
1摩擦材3には使用されていないが、ブレーキの効きを
確保すべき第2摩擦材4には使用されている。ゴムダス
トは圧縮弾性率の低減に貢献でき、圧縮弾性率が相対的
に低い第1摩擦材3に多く含まれている。
【0028】(実施例の効果)以上の構成とした本実施
例によれば、図2から理解できる様に、相手攻撃性が相
対的に低い第1摩擦材3が第2摩擦材4よりもディスク
ロータ6に向けて突出している。そのため、非ブレーキ
操作時において、回転するディスクロータ6によりブレ
ーキ材1の引きずりが発生した場合であっても、相手攻
撃性が相対的に低い第1摩擦材3が、相手攻撃性が高い
第2摩擦材4よりも優先して当たる。そのため、引きず
り時には相手攻撃性が高い第2摩擦材4がディスクロー
タ6に擦ることを抑制できる。故に、引きずりに起因し
たディスクロータ6の偏摩耗が抑制される。この結果、
偏摩耗に起因するブレーキ装置の異音や振動の問題が軽
減、回避される。
【0029】またブレーキ操作量が増加した高ブレーキ
操作時つまり高踏力時には、図3から理解できる様に第
1摩擦材3が圧縮して、相手攻撃性は第1摩擦材3より
も大きいが摩擦係数μH が高く、ブレーキの『効き』に
強い第2摩擦材4が、ディスクロータ6に摩擦するよう
になる。そのため高ブレーキ操作時におけるブレーキの
『効き』が有効に確保される。
【0030】更に本実施例によれば、第1摩擦材3の圧
縮弾性率EL は小さいので、第2摩擦材4に比較して軟
目であり、相手材6に圧縮されて引っ込み易い特性をも
つ。故に、ブレーキの踏込み量が増加した高ブレーキ操
作時つまり高踏力時には、圧縮弾性率EL が小さい第1
摩擦材3の圧縮が進む。従って図3から理解できるよう
に、摩擦係数μH が高く『効き』に強い第2摩擦材4
(前述したように相手攻撃性が第1摩擦材3よりも高
い)が、ディスクロータ6に一層摩擦し易くなり、第2
摩擦材4の荷重分担が増加する。そのため高ブレーキ操
作時つまり高踏力時において、ブレーキの『効き』が確
保される。
【0031】更にまた本実施例によれば、第1摩擦材3
の摩耗率WL は第2摩擦材4の摩耗率WH よりも小さ
い。そのため、ブレーキ装置の使用が長期にわたって
も、第1摩擦材3の摩耗は第2摩擦材4に比較して相対
的に少ない。従って、非ブレーキ操作時において、相手
攻撃性が相対的に低い第1摩擦材3は、相手攻撃性が相
対的に高い第2摩擦材4よりもディスクロータ6側に突
出し易くなる。結果として、図2に示す第1摩擦材3の
突出構造が維持され易い。故に、ディスクロータ6の偏
摩耗を長期にわたり抑制するのに有利である。
【0032】(実施例2)本発明に係る実施例2を図4
に示す。この例は実施例1と基本的には同様の構成であ
り、従って基本的に同一の機能を奏する部位には、同一
の符号を付する。この実施例も基本的には実施例1と同
様の作用効果を奏する。即ち、図4に示す実施例2にお
いても、実施例1と同様に、相手攻撃性が相対的に低い
第1摩擦材3が第2摩擦材4よりもディスクロータ6に
向けて突出しているため、非ブレーキ操作時において、
回転するディスクロータ6によりブレーキ材1の引きず
りが発生した場合であっても、相手攻撃性が相対的に低
い第1摩擦材3が、相手攻撃性が高い第2摩擦材4より
も優先して当たる。そのため、引きずり時には相手攻撃
性が高い第2摩擦材4がディスクロータ6に擦ることを
抑制できる。故に、ディスクロータ6における偏摩耗が
抑制される。この結果、偏摩耗に起因するブレーキ装置
の異音や振動の問題が軽減、回避される。
【0033】この実施例では図4に示すように、第1摩
擦材3は、相手攻撃性が相対的に低い摩擦部32と、摩
擦部32の裏に配置された圧縮弾性率が低い軟質なクッ
ション部34とで構成されている。よってこの例ではデ
ィスクロータ6によりブレーキ材1が圧縮されると、第
1摩擦材3は矢印H1方向に引き込み易い。故に、ブレ
ーキの踏込み量が増加した高ブレーキ操作時つまり高踏
力時には、圧縮弾性率が小さい第1摩擦材3の圧縮が進
み、摩擦係数μH が高く『効き』に強い第2摩擦材4
が、ディスクロータ6に一層摩擦し易くなる。つまり第
2摩擦材4の荷重分担が増加する。そのため高ブレーキ
操作時つまり高踏力時において、ブレーキの『効き』が
確保される。
【0034】(実施例3)本発明に係る実施例3を図5
に示す。この例は実施例1と基本的には同様の構成であ
り、従って基本的に同一の機能を奏する部位には、同一
の符号を付する。この実施例においても、相手攻撃性が
相対的に低い第1摩擦材3が相手攻撃性が相対的に高い
第2摩擦材4よりも突出している。この実施例も基本的
には実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0035】以下異なる部分を中心として説明する。こ
の実施例では、ブレーキ材1のうち、摩擦摺動方向の両
端、つまりリーディングL側とトレーディングT側と
に、相手攻撃性が相対的に低い第1摩擦材3が配置さ
れ、相手攻撃性が相対的に高い第21摩擦材4は、第1
摩擦材3に挟まれるように配置されている。この実施例
では、図5から理解できるように、ブレーキ材1の外縁
1pから内縁1iにかけて、相手攻撃性が相対的に高い
第2摩擦材4が配置されている。換言すれば、ディスク
ロータ6の回転中心から半径方向において大きな距離に
まで、相手攻撃性が相対的に高く『効き』に有利な第2
摩擦材4が配置されている。そのため、ブレーキ性能の
確保に有効である。
【0036】(実施例4)本発明に係る実施例4を図6
に示す。この例は実施例1と基本的には同様の構成であ
り、従って基本的に同一の機能を奏する部位には、同一
の符号を付する。この実施例においても、相手攻撃性が
相対的に低い第1摩擦材3が相手攻撃性が相対的に高い
第2摩擦材4よりもディスクロータ6側に突出している
ため、この実施例も基本的には実施例1と同様の作用効
果を奏する。
【0037】以下異なる部分を中心として説明する。こ
の実施例では、ブレーキ材1のうち、摩擦摺動方向の両
端、つまりリーディングL側とトレーディングT側とに
おいて、外周縁1pと内周縁1iとの双方に、合計4個
の第1摩擦材3が配置されている。この実施例において
も、図6から理解できるように、ブレーキ材1の外縁1
pから内縁1iにかけて、相手攻撃性が相対的に高い第
2摩擦材4が配置されている。換言すれば、ディスクロ
ータ6の回転中心から半径方向において大きな距離にま
で、相手攻撃性が相対的に高い第2摩擦材4が配置され
ている。そのため、ブレーキ性能の確保に有効である。
【0038】(実施例5)本発明に係る実施例5を図
7、図8に示す。この例はドラムブレーキ装置に使用さ
れるブレーキライニングとも呼ばれるブレーキ材11に
適用した場合である。ブレーキ材11は、相手攻撃性が
相対的に低い第1摩擦材31と、相手攻撃性が相対的に
高く、ブレーキの効きを確保する第2摩擦材41とを組
み合わせて構成されている。図7において、第1摩擦材
31の領域は斜線で示されており、摩擦摺動方向である
矢印B4方向に沿って円弧帯状に略同軸的に配設されて
いる。なお第2摩擦材41の表出面積は、ブレーキの
『効き』を確保すべく、第1摩擦材31の表出面積より
も大きくされている。
【0039】非ブレーキ操作時つまり通常の状態におい
ては、図8に示す様に、相手攻撃性が相対的に低い第1
摩擦材31は、相手攻撃性が相対的に高い第2摩擦材4
1よりもΔL2突出している。なおΔL2はブレーキ材
11の種類、使用条件、ブレーキフィーリングの要請等
に応じて適宜選択できるが、一般的には0.5mm以
下、特に0.2mm以下にできるが、これに限定される
ものではなく、場合によっては1mm程度とすることも
できる。
【0040】この実施例においても、相手攻撃性が相対
的に低い第1摩擦材31が相手攻撃性が相対的に高い第
2摩擦材41よりも、相手材であるブレーキドラム61
側に突出しているため、この実施例も基本的には実施例
1と同様の作用効果を期待できる。 (実施例6)本発明に係る実施例6を図9に示す。この
例は、実施例1の場合と同様にディスクブレーキ装置に
適用した場合であり、基本的には実施例1と同様の構成
であり、基本的には同様の作用効果を奏する。この実施
例でも、ブレーキ材1は、相手攻撃性が相対的に低い第
1摩擦材3と、相手攻撃性が相対的に高くブレーキの
『効き』を確保する第2摩擦材4とを組み合わせて構成
されている。
【0041】但し本実施例によれば。非ブレーキ操作時
つまり通常の状態において、図9に示す様に、相手攻撃
性が相対的に低い第1摩擦材3は、相手攻撃性が相対的
に高い第2摩擦材4と実質的に同一高さとされている。
実施例6によれば、実施例1と同様に、第1摩擦材3の
相手攻撃性dL は第2摩擦材4の相手攻撃性dH よりも
小さくされている(dL <dH )。また第1摩擦材3の
圧縮弾性率EL は第2摩擦材4の圧縮弾性率EH よりも
小さくされている(EL <EH )。また第1摩擦材3の
摩耗率WL は第2摩擦材4の摩耗率WHよりも小さくさ
れている(WL <WH )。
【0042】図9に示す実施例によれば、非ブレーキ操
作時において、回転するディスクロータ6によりブレー
キ材1の引きずりが発生した場合であっても、相手攻撃
性が相対的に低い第1摩擦材3の面積相当ぶん、相手攻
撃性が相対的に高い第2摩擦材4がディスクロータ6に
当たる機会は、低減される。そのため引きずりが発生し
た場合であっても、相手攻撃性が高い第2摩擦材4がデ
ィスクロータ6に接触する頻度を低減するのに貢献でき
る。故に、ディスクロータ6における偏摩耗が抑制され
る。この結果、ディスクロータ6の偏摩耗に起因する異
音や振動の問題が軽減され易い。
【0043】またブレーキ操作量が増加した高ブレーキ
操作時つまり高踏力時には、相手攻撃性は第1摩擦材3
よりも大きいが摩擦係数μH が高くブレーキの『効き』
に強い第2摩擦材4が、ディスクロータ6に速やかに摩
擦するようになる。そのため高ブレーキ操作時における
ブレーキの『効き』が確保される。更に本実施例によれ
ば、実施例1と同様に、第1摩擦材3の圧縮弾性率EL
は小さいので、第2摩擦材4に比較して軟目であり、相
手材6に圧縮されて引っ込み易い特性をもつ。故に、ブ
レーキの踏み込み量が増加した高ブレーキ操作時には、
摩擦係数μH が高く『効き』に強い第2摩擦材4がディ
スクロータ6に一層摩擦し易くなる。そのため高ブレー
キ操作時つまり高踏力時において、ブレーキの『効き』
が確保される。
【0044】
【発明の効果】請求項1のブレーキ材によれば、非ブレ
ーキ操作時に、相手材とブレーキ材との間に引きずりが
発生した場合であっても、相手攻撃性が相対的に小さい
摩擦材が優先的に相手材に摩擦するため、相手材の偏摩
耗を抑制でき、従って相手材の偏摩耗に起因するブレー
キ装置の異音や振動の低減に有利である。更にブレーキ
操作量が増加した高ブレーキ操作時には、相手攻撃性が
高いが『効き』に有利な摩擦材が相手材に摩擦するよう
になるため、ブレーキの『効き』が効果的に確保され
る。故に、非ブレーキ操作時における異音や振動の低減
と、高ブレーキ操作時における『効き』との両立を一層
達成し易い構造を提供できる。
【0045】更に請求項2のブレーキ材によれば、相手
攻撃性が小さい摩擦材は圧縮弾性率が小さくいため、ブ
レーキ操作量が増加した高ブレーキ操作時に引き込み易
い。故に高ブレーキ操作時には、相手攻撃性が高いもの
の『効き』に有効な摩擦材の荷重分担が確保される。従
って、非ブレーキ操作時における異音や振動の低減と、
高ブレーキ操作時における『効き』との両立を一層達成
し易い構造を提供できる。
【0046】更に請求項3のブレーキ材によれば、相手
攻撃性が低い摩擦材は摩耗率が小さいので、相手攻撃性
が低い摩擦材が突出する請求項1に係る突出構造を維持
し易い。故に、非ブレーキ操作時に引きずりが発生する
場合であっても、相手攻撃性が相対的に小さい摩擦材を
優先的に相手材に接触させ易い利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係るブレーキ材の平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】相手材であるディスクロータとブレーキ材とが
摩擦している状態の断面図である。
【図4】実施例2に係るブレーキ材の断面図である。
【図5】実施例3に係るブレーキ材の平面図である。
【図6】実施例4に係るブレーキ材の平面図である。
【図7】実施例5に係るブレーキ材の斜視図である。
【図8】図7のA2−A2線に沿う斜視図である。
【図9】実施例6に係るブレーキ材の断面図である。
【図10】ディスクブレーキ装置の原理を模式的に示す
断面図である。
【符号の説明】
図中、1はブレーキ材、2は裏金、3は第1摩擦材、4
は第2摩擦材を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−259230(JP,A) 特開 平4−113039(JP,A) 特開 昭61−184232(JP,A) 実開 昭63−66633(JP,U) 実開 昭61−55525(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 69/00 F16D 65/092

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異なる相手攻撃性をもつ摩擦材を組み合わ
    せたハイブリッドブレーキ材であって、 相手攻撃性が相対的に低い摩擦材が他の部位より突出し
    ていることを特徴とするハイブリッドブレーキ材。
  2. 【請求項2】異なる相手攻撃性をもつ摩擦材を組み合わ
    せたハイブリッドブレーキ材であって、 相手攻撃性が相対的に低い摩擦材は、相手攻撃性が相対
    的に高い摩擦材よりも圧縮弾性率が小さいことを特徴と
    するハイブリッドブレーキ材。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、相手攻撃性が
    相対的に低い摩擦材は、相手攻撃性が相対的に高い摩擦
    材よりも摩耗率が小さいことを特徴とするハイブリッド
    ブレーキ材。
  4. 【請求項4】請求項1または2において、相手攻撃性が
    相対的に高い摩擦材は、相手攻撃性が相対的に低い摩擦
    材よりも摩擦係数が高いことを特徴とするハイブリッド
    ブレーキ材。
  5. 【請求項5】請求項4において、相手攻撃性が相対的に
    低い摩擦材は、相手攻撃性が相対的に高い摩擦材よりも
    摩耗率が小さいことを特徴とするハイブリッドブレーキ
    材。
  6. 【請求項6】請求項1または4において、摩擦摺動方向
    と交差する方向において、相手攻撃性が相対的に高い摩
    擦材の外側及び内側に、相手攻撃性が相対的に低い摩擦
    材が配置されていることを特徴とするハイブリッドブレ
    ーキ材。
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