JP3103630B2 - ウレットジオン基及び/又はイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート並びにそれらの製造方法 - Google Patents

ウレットジオン基及び/又はイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート並びにそれらの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、三価のリンを含有する
触媒を用いて有機ジイソシアネートのイソシアネート基
を部分的に二量化及び/又は三量化(総称用語“オリゴ
マー化”)しそしてこのオリゴマー化反応を酸化による
該触媒の失活化で停止させることによりウレットジオン
基及び/又はイソシアヌレート基を含有するポリイソシ
アネートを製造するための新規な方法、この方法により
得られ得るポリイソシアネート、並びにポリウレタン被
覆用組成物におけるそれらの使用に関する。
【0002】
【従来の技術】三価のリンを含有する触媒特に第3級ホ
スフィン又はペルアルキル化亜リン酸トリアミドを用い
る有機ジイソシアネートのオリゴマー化は、多数の刊行
物から公知である。かくして、DE−OS(独国特許公
開明細書)第1,670,667号又はDE−OS第
1,954,093号によれば、芳香族及び脂肪族のジ
イソシアネートの混合物が第3級ホスフィンの存在下で
反応されて、該ジイソシアネートに対応するイソシアヌ
レート基含有ポリイソシアネートが得られる。更に、D
E−OS第1,670,720号、第1,934,76
3号及び第3,900,053号並びにUS−PS(米
国特許明細書)第4,614,785号から、同触媒は
また脂肪族ジイソシアネートの二量化を促進してウレッ
トジオン構造を生成させることも公知である。DE−O
S第3,080,513号、第3,227,779号及
び第3,437,635号によれば、脂肪族ジイソシア
ネートの純粋な二量体が、ペルアルキル化亜リン酸トリ
アミドを用いかつ随意にDE−OS第3,437,63
5号に記載の如きH酸性助触媒の存在下で接触反応によ
り得られ得る。特定的に再現可能な性質を有する生成物
を得るためには、オリゴマー化反応は正確に予定点で停
止されねばならない。DE−OS(独国特許公開明細
書)第3,030,513号及び第3,227,779
号による方法では、触媒は所望のオリゴマー化度におい
て過剰の未反応ジイソシアネートと一緒に蒸留除去され
る。この処理操作の不利は、高温のために制御されない
二次反応が蒸留中に起こり得ることである。加えて、活
性触媒を含有し、従って限られた貯蔵安定性しか有さな
い留出物は、直ちに更なる加工がなされねばならない。
【0003】上述した公知の方法のほとんどにおいて、
これらの難点は、過剰の未反応ジイソシアネートが蒸留
により樹脂から分離される前に触媒の失活により或るオ
リゴマー化度においてオリゴマー化反応を停止させるこ
とにより解消される。該触媒は、一般に触媒毒の添加に
より失活される。関連の先行刊行物において提案されて
いる触媒毒は、一般に当該触媒と反応して塩を生成させ
る化合物である。これらの化合物には、ヨウ化メチル、
硫酸ジメチル及びトルエンスルホン酸メチルエステルの
如きアルキル化剤(DE−OS(独国特許公開明細書)
第1,670,667号及び第1,670,720
号)、ベンゾイルクロライド、アセチルクロライド、無
水酢酸、無水コハク酸及びクロロギ酸エステルの如きア
シル化剤(DE−OS第1,670,667号、第1,
670,720号及び第1,934,763号)並びに
クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタ
ンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、リン
酸、酸性リン酸エステル、ガス状塩化水素及び塩化水素
を放出する化合物(例えばカルバミン酸クロライド)の
如き酸(DE−OS第1,670,667号及び第3,
437,635号)が含まれる。更に、ホスフィン触媒
は、例えばスルホニルイソシアネート(US−PS(米
国特許明細書)第4,614,785号)及び元素状硫
黄(DE−OS第1,954,093号)により失活さ
れ得る。
【0004】しかしながら、これらの触媒毒が用いられ
る場合、実施の際に数多くの難点に遭遇する。上記の種
々の方法において、等モル量の停止剤で触媒を失活させ
ることが開示されている。しかしながら、当該変性反応
中常に或る量の触媒が消費されるので、所要触媒毒の正
確な量即ち等モル量を決定することは一般に困難であ
る。しかも、停止剤の使用量が少なすぎると、触媒の一
部は活性のままになり、このことは触媒毒を用いない上
述の種々の方法において遭遇する同じ問題が蒸発による
仕上げ中及び仕上げ後に生じることになり得る。これら
の難点を過剰量の停止剤を用いることにより解消させる
とすると、その過剰は未反応ジイソシアネートの除去中
留出物に入り、その結果再循環のために活性化するのが
困難又は不可能な留出物を生じ得る。触媒と触媒毒とか
ら生成される反応生成物は、使用モノマー状ジイソシア
ネートより高い沸点を有すべきであり、蒸留による仕上
げのために用いられる条件下で分解すべきでなく、しか
してそれ故樹脂中に留まるべきである。このことは一般
に、塩生成性触媒毒が用いられる場合当てはまる。一
方、ホスフィン触媒が元素状硫黄で失活される場合(D
OS(独国特許公開明細書)第1,954,093号)
に生成される硫化ホスフィンは蒸留のために要求される
条件下で易揮発性であり、そのためそれらは特に数回の
再循環後留出物中に不純物として蓄積する。加えて、上
述した触媒毒のいくつか例えばUS−PS(米国特許明
細書)第4,614,785号によるスルホニルイソシ
アネートは、生成ポリイソシアネートの色品質に悪影響
を及ぼす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、従来技術の先に論じた難点のいずれも伴わないで公
知の二量化及び/又は三量化触媒を用いてジイソシアネ
ートをオリゴマー化するための新規な方法を提供するこ
とである。本発明の追加的目的は、蒸留による過剰のモ
ノマー状ジイソシアネートの除去後ポリイソシアネート
及び留出物の完全な貯蔵安定性が得られるように、触媒
を失活させることである。本発明の更なる目的は、NC
O反応性基に対する反応性を保持する樹脂並びに不純物
不含でかくして再循環に適した留出物をもたらすことで
ある。更に本発明の目的は、目的生成物の変色又は曇り
を生じることなく触媒を失活させることである。
【0006】
【作用効果】驚くべきことに、これらの目的は、以下に
詳述される本発明の方法により達成され得る。本発明に
よる方法は、三価のリンを含有する触媒特に第3級ホス
フィンを五価の触媒的に不活性な誘導体特に対応するホ
スフィンオキシドに適当な酸化剤での処理により転化さ
せる原理に基づいている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明はウレットジオン
基及び/又はイソシアヌレート基を含有するポリイソシ
アネートの製造方法において、 a) 三価のリンを含有する触媒の存在下で有機ジイソ
シアネートのイソシアネート基を部分的にオリゴマー化
してウレットジオン基及び/又はイソシアヌレート基を
生成させ、 b) 酸化剤の添加により該触媒を触媒的に不活性な酸
化形態に転化させることにより、オリゴマー化反応を所
望のオリゴマー化度で停止させ、そして c) 引き続いて薄層蒸留により未反応ジイソシアネー
トを除去することを特徴とする上記方法に関する。本発
明はまた、この方法によって得られたウレットジオン基
及び/又はイソシアヌレート基を含有するポリイソシア
ネートに関する。更に本発明はまた、これらのポリイソ
シアネートを、随意にイソシアネート基に対するブロッ
キング剤でブロックして、ポリウレタン被覆用組成物に
おけるイソシアネート成分として用いることに関する。
【0008】本発明による方法のための出発物質には、
140〜400の分子量を有する脂肪族、環状脂肪族、
芳香脂肪族又は芳香族ジイソシアネートの如き有機ジイ
ソシアネート並びにこれらのジイソシアネートの混合物
が含まれる。かかる出発物質の例には、1,4−ジイソ
シアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、
1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、
2,2,4−又は2,4,4−トリメチル−1,6−ジ
イソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカ
ン、1,3及び1,4−ジイソシアナトシクロヘキサ
ン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−
イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソ
シアネート即ちIPDI)、1,3−及び1,4−キシ
リレンジイソシアネート、4,4′−ジイソシアナトジ
シクロヘキシルメタン、1,3−及び1,4−ビス(2
−イソシアナトプロピル−2)−ベンゼン、1−イソシ
アナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシ
クロヘキサン、4−(4′−メチル−3′−イソシアナ
トベンジル)−シクロヘキシルイソシアネート、2,4
−及び2,6−ジイソシアナトトルエン、2,4′−及
び4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5
−ジイソシアナトナフタレン並びにそれらの混合物が含
まれる。(環状)脂肪族に結合したイソシアネート基を
含有するジイソシアネートが、本発明による方法におけ
る出発物質として好ましく用いられる。1,6−ジイソ
シアナトヘキサン(HDI)及びイソホロンジイソシア
ネート(IPDI)が、本発明による方法にとって特に
好ましい出発物質である。
【0009】本発明による方法のために適した触媒に
は、三価のリンを含有する有機化合物好ましくはUS−
PS(米国特許明細書)第4,614,785号第4欄
第11行ないし第5欄第5行に開示されているような第
3級有機ホスフィン、ペルアルキル化亜リン酸トリアミ
ド及びそれらの混合物が含まれる。本発明による方法に
とって好ましい触媒は、酸化形態において使用モノマー
状ジイソシアネートよりも高い沸点を有するものであ
る。従って、1,6−ジイソシアナトヘキサン及び/又
はイソホロンジイソシアネートが本発明による方法にお
ける出発ジイソシアネートとして用いられる場合、トリ
−n−オクチルホスフィンが特に好ましい触媒である。
本発明による触媒は、一般に使用出発ジイソシアネート
の量を基準として0.01から5重量%の量好ましくは
0.1〜2重量%の量で用いられる。
【0010】DE−OS(独国特許公開明細書)第3,
437,635号第11頁第8行ないし第16頁第6行
(米国特許第4,929,724号第3欄第56行ない
し第5欄第58行)に記載されているような、酸素、窒
素又は硫黄に結合した少なくとも1個の水素原子を含有
しかつ少なくとも6の pKa値を有する有機化合物が、本
発明による方法において助触媒として随意に用いられ得
る。好ましい助触媒は、低分子量の一価又は多価アルコ
ール(一層好ましくは、32〜200の分子量を有する
もの)並びにこれらのアルコールの混合物である。適当
な助触媒の例には、メタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ヘ
キサノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−メト
キシ−2−プロパノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、異性体状のブタンジオール、ヘキサン
ジオール又はオクタンジオール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、2−エチルヘキサン−
1,3−ジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジ
オール、グリセロール、トリメチロールプロパン並びに
これらのアルコールの混合物が含まれる。該助触媒は、
用いられる場合には出発イソシアネートを基準として5
重量%まで好ましくは0.5〜3重量%のプラス的量で
用いられる。該助触媒は、出発ジイソシアネートと反応
してウレタン基を生成する。これらのウレタンが、現実
の助触媒をなす。従って、例示したアルコールの代わり
に別個に調製したウレタンを助触媒として用いることも
可能である。
【0011】本発明による方法において、触媒は、例え
ば「ホウベン−ヴェイル(Houben-Weyl), “有機化学の
方法(Methoden der organischen Chemie)”,第4版,
第E2巻,第41〜48頁,第IV/1d巻,第570〜
574頁,第XII/1巻,第140〜144頁及び第X
II/2巻,第109頁,第474頁」に記載のように、
三価のリンの化合物好ましくは第3級ホスフィンを対応
する五価のリンの化合物好ましくは対応するホスフィン
オキシドに転化させる公知の酸化剤で失活される。好ま
しくは、酸化剤は、その色が本発明による生成物の色品
質に悪影響を及ぼさないように選ばれる。適当な酸化剤
には、第3級ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロ
パーオキシド及びブタノンパーオキシドの如きヒドロパ
ーオキシド,ジエチルパーオキシド、ジ第3級ブチルパ
ーオキシド、ジアミルパーオキシド、ジベンゾイルパー
オキシド及びジラウロイルパーオキシドの如きジアルキ
ル及びジアシルパーオキシド,過酢酸、過安息香酸、m
−クロロ過安息香酸及びこれらの酸の第3級ブチルエス
テルの如き過オキシカルボン酸,過酸化水素,酸素,空
気,並びにこれらの酸化剤の混合物が含まれる。上記に
挙げた酸化剤は、固体形態、液体形態又はそれらの商業
的に入手できる溶液形態で存在する場合、一般に使用触
媒1モル当たり少なくとも1モルかつ多くとも3モルの
“活性”酸素が存在するような量で添加される。
【0012】酸素又は空気が触媒を失活させるのに用い
られる場合(この場合が好ましい。)、酸素は触媒の量
に対して少なくとも等モル量でしかし一般に等モル量の
数倍で反応混合物に通される。その代わりに、この量の
酸素を含有する空気の容量が反応混合物に通される。反
応がこのようにして停止される場合、少量のラジカル開
始剤例えばα,α′−アゾ−イソブチロニトリル(AI
BN)の如き化合物あるいはブタノンパーオキシドの如
き上記の(ハイドロ)パーオキシドを添加することが有
利であり得る。ラジカル開始剤が用いられる場合、ラジ
カル開始剤は酸素又は空気よりも前に反応混合物の重量
を基準として50〜500ppm の量で導入される。本発
明による方法は、例えばDE−OS(独国特許公開明細
書)第1,670,720号、第1,954,093号
又は第3,437,635号(米国特許第4,929,
724号)に記載のように公知のやり方で実施される。
一般に、出発ジイソシアネート又は出発ジイソシアネー
トの混合物は、本発明の目的に適した触媒と−20〜1
00℃好ましくは10〜80℃の温度にて随意に不活性
ガス雰囲気中で混合され、そしてオリゴマー化反応がこ
れらの範囲内の温度にて行われる。
【0013】先に挙げた助触媒が、オリゴマー化反応の
前又は反応中反応混合物に随意に添加され得る。オリゴ
マー化反応は、所望のオリゴマー化度(反応混合物のN
CO含有率を分析的に測定することにより監視され得
る。)に達した後停止される。一般に、オリゴマー化反
応は、10〜60%好ましくは10〜50%のオリゴマ
ー化度に達した後停止される。“オリゴマー化度”は、
反応して二量体及び/又は三量体及び随意にNCO反応
性助触媒との反応からのウレタン基を生成する出発ジイ
ソシアネート中のイソシアネート基の百分率である。オ
リゴマー化反応を停止するために、先に挙げた固体又は
液体の酸化剤が実質的に又は随意に溶解形態で反応混合
物に添加されそして次いで10〜100℃の温度で15
〜120分間加熱される。気体状の酸化剤(好ましくは
空気又は酸素)は、これらの温度に加熱された反応混合
物に通される。反応が本発明に従って停止された後、過
剰の未反応ジイソシアネートは、薄層蒸留の如き公知の
方法により除去されそして再使用され得る。上記の範囲
内の長い反応時間と高い温度は一般に三量体(イソシア
ヌレート)の生成を促進し、一方上記の範囲内の短い反
応時間と比較的低い温度は二量体(ウレットジオン)の
生成を促進する。
【0014】本発明による方法は、随意にイソシアネー
ト基に対して不活性である溶媒の存在下で実施され得
る。適当な溶媒には、ヘキサン、トルエン、キシレン、
クロロベンゼン、エチルアセテート、ブチルアセテー
ト、エチルグリコールアセテート、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート、アセトン、メチルイ
ソブチルケトン、メチレンクロライド、N−メチルピロ
リドン及びかかる溶媒の混合物が含まれる。好ましい
(環状)脂肪族ジイソシアネートから本発明に従って得
られる生成物は、過剰のモノマー状出発ジイソシアネー
トが除去された後室温において固体又は液体であり得
る。IPDIの如き環状脂肪族ジイソシアネートは一般
に固体の目的生成物をもたらし、一方液体の生成物は一
般にHDIの如き脂肪族ジイソシアネートから得られ
る。モノマー状出発ジイソシアネートの含有率は、一般
に1重量%未満好ましくは0.3重量%未満である。
【0015】DE−OS(独国特許公開明細書)第3,
900,053号(米国特許第4,994,541号)
から公知でありかつ反応が酸化により停止される場合の
二次的効果として生じる変性ポリイソシアネートに対す
る無機及び有機パーオキシドの淡色化効果は、本発明に
よる方法において特に有利であることがわかった。従っ
て、本発明による方法によって得られる生成物は、従来
技術による触媒毒を用いて生成される類似の変性ポリイ
ソシアネートよりも淡色である。特に好ましい出発ジイ
ソシアネート即ちヘキサメチレンジイソシアネート又は
イソホロンジイソシアネートと特に好ましい触媒即ちト
リ−n−オクチルホスフィン(TOP)とが用いられる
場合、本発明による方法による反応の酸化的停止は、ガ
スクロマトグラフィーにより測定されるように触媒が定
量的にトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOP
O)に転化されている反応混合物をもたらす。HDI及
びIPDIの沸点と比べて高いTOPOの沸点は、蒸留
が適当な条件下で行われる限り、未反応の過剰のジイソ
シアネートが純粋な形態で即ち失活触媒で汚染されるこ
となく回収されることを可能にする。本発明による方法
の目的生成物並びに回収されたジイソシアネートの元素
分析によるリンの測定及びガスクロマトグラフィー分析
によれば、ホスフィンオキシドは完全に蒸留残渣中に留
まり、かくして繰り返される再循環中でさえ留出物にお
ける蓄積が排除される。
【0016】本発明による方法の目的生成物は、NCO
含有率、粘度及び色品質に関して完全に貯蔵安定性であ
る。それらはポリイソシアネート重付加法によるポリウ
レタン好ましくは一成分系又は二成分系のポリウレタン
被覆用組成物の製造のための価値ある出発物質である。
それらは、公知のブロッキング剤でブロックされた場
合、ポリウレタン焼付けラッカー用の価値ある出発物質
である。ポリウレタン被覆用組成物の製造のための本発
明により得られたポリイソシアネートに対する好ましい
反応体は公知であり、しかしてかかる反応体には、ポリ
ヒドロキシポリエステル、ポリエーテル及びポリアクリ
レート、ポリカルボン酸並びに随意に低分子量の多価ア
ルコールが含まれる。ポリアミン特にポリケチミン又は
オキサゾリジンとしてブロックされた形態のポリアミン
もまた、本発明により得られたポリイソシアネートに対
する有用な反応体である。量比は、一般に随意にブロッ
クされたイソシアネート基1個当たり0.8〜3個好ま
しくは0.9〜1.1個のヒドロキシ、アミノ及び/又
はカルボキシル基をもたらすように選択される。
【0017】硬化は、公知の触媒例えばトリエチルアミ
ン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミ
ン、N,N−エンドエチレンピペラジン、N−メチルピ
ペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N
−ジメチルアミノシクロヘキサン及びN,N′−ジメチ
ルピペラジンの如き第3級アミン並びに塩化鉄(III)、
塩化亜鉛、亜鉛2−エチルカプロエート、スズ(II)エ
チルカプロエート、ジブチルスズ(IV)ジラウレート及
びモリブデングリコレートの如き金属塩を用いて促進さ
れ得る。本発明により得られたポリイソシアネートが焼
付けラッカーに用いられる場合、それらのNCO基は、
適当なブロッキング剤との反応により、好ましくは高め
られた温度にてそして随意に上述の触媒のうちの一つの
存在下で公知のやり方で完全に又は部分的にブロックさ
れる。
【0018】適当なブロッキング剤には、フェノール及
びクレゾールの如きモノフェノール,第3級ブタノール
及びジメチルフェニルカルビノールの如き第3級アルコ
ール,アセト酢酸エステル及びマロン酸誘導体の如き易
エノール化性化合物,N−メチルアニリン及びN−フェ
ニルキシリジンの如き第2級芳香族アミン,サクシンイ
ミドの如きイミド,ε−カプロラクタム及びδ−バレロ
ラクタムの如きラクタム,ブタノンオキシム及びシクロ
ヘキサノンオキシムの如きオキシム,メチルメルカプタ
ン及びエチルメルカプタンの如きメルカプタン,並びに
1H−1,2,4−トリアゾールの如きトリアゾールが
含まれる。被覆用組成物は、随意にブロックされたポリ
イソシアネート、多官能性反応体、触媒及び随意に公知
の添加剤(例えば顔料、充填剤、染料及び流れ調整剤)
を標準的な混合装置例えばサンドミル中で溶媒及び希釈
剤の存在下又は不存在下で互いに充分に混合及び均質化
することにより製造され得る。
【0019】適当な溶媒には、エチルアセテート、ブチ
ルアセテート、エチレングリコールモノメチル又はモノ
エチルエーテルアセテート、1−メトキシプロピル−2
−アセテート、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタ
ノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ソルベ
ントナフサ及びそれらの混合物の如き公知のペイント用
溶媒が含まれる。しかしながら、N−メチルピロリドン
又はN−メチルカプロラクタムの如き溶媒並びにリン
酸、スルホン酸又はフタル酸のエステルを基剤とした可
塑剤の如き可塑剤もまた適している。ペイント及び被覆
用組成物は、被塗装物品に溶液、溶融物又は固体形態に
てスプレッド塗装、ロール塗装、キャスト塗装、噴霧塗
装、流動浸漬塗装又は静電粉末吹付塗装の如き公知の方
法により施用され得る。
【0020】
【実施例】本発明を次の例により例示するが、これらの
例において別段指摘がなければ部及び百分率はすべて重
量による。
【0021】例1 15gの2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジ
オール(TMPD)及び4.5gのトリ−n−オクチル
ホスフィン(TOP)を1,500gのHDIに50℃
にて順次添加し、そして引き続いて60℃に加熱した。
5時間の反応時間後、この混合物のNCO含有率は4
1.2%であった。2.6gのブタノンパーオキシド
(ジメチルフタレート中50%)を添加しそして80℃
に1時間加熱することにより、反応を停止させた。その
後及び2日間の貯蔵後も、この粗生成物のNCO含有率
は40.8%であった。薄層蒸留(140℃/0.05
ミリバール)による未反応のモノマー状ジイソシアネー
トの除去後、21.2%のNCO含有率、180mPa.s
(23℃)の粘度及び0.3%の残留モノマー状HDI
含有率を有する485gの薄黄色生成物が得られた。熱
滴定(o−ジクロロベンゼン中3hr/180℃)により
測定されたウレットジオン基(分子量84であるC2
2 2 として表される。)の含有率は15.3%であっ
た。加えて、IRスペクトルはイソシアヌレート基(1
689,1465cm-1)の存在を示した。分析によれ
ば、留出物は1ppm 未満のリンを含有していた。樹脂も
留出物もどちらも、8週間の貯蔵後NCO含有率は何ら
低減していなかった。
【0022】例2 1,000gのHDIを、10gの2,2,4−トリメ
チル−1,3−ペンタンジオール(TMPD)と50℃
にて反応させた。この混合物のNCO含有率が48.9
%に低下した後、3.0gのトリ−n−オクチルホスフ
ィン(TOP)を添加しそしてこの混合物を60℃に加
熱した。5時間30分後、この混合物のNCO含有率は
42.5%であった。反応を停止させるために、100
mgのα,α′−アゾ−イソブチロニトリル(AIBN)
を添加し、この混合物を80℃に加熱し、そして乾性酸
素の流れ(おおよそ15 l/hr)をこの混合物に1時間
通した。室温に冷却後及び1日間の貯蔵後、NCO含有
率は42.5%であった。過剰量の未反応モノマー状ジ
イソシアネートを0.05ミリバールの圧力下130℃
にて薄層蒸留により除去すると、21.5%のNCO含
有率、150mPa.s(23℃)の粘度及び0.3%のモ
ノマー状HDI含有率を有する246gの薄黄色生成物
が得られた。熱滴定(o−ジクロロベンゼン中3hr/1
80℃)により測定されたウレットジオン基(分子量8
4であるC2 2 2 として表される。)の含有率は1
7.2%であった。元素分析によれば、留出物はリンを
全く含有していなかった。樹脂も留出物もどちらも、4
週間の貯蔵後NCO含有率は何ら低減していなかった。
【0023】例3 10gのTMPD及び3gのTOPを1,000gのH
DIに50℃にて順次添加し、次いで60℃にて7時間
加熱した。この時、この反応混合物は40.6%のNC
O含有率を有していた。5mlのt−ブチルヒドロパーオ
キシド(イソオクタン中3M)を添加しそして80℃に
て1時間加熱することにより、オリゴマー化反応を停止
させた。この粗生成物のNCO含有率は40.4%であ
った。過剰の未反応HDIを0.05ミリバールの圧力
下130℃にて薄層蒸留により除去すると、21.2%
のNCO含有率、300mPa.s (23℃)の粘度及び
0.1%のモノマー状HDIの残留含有率を有する30
3gの淡黄色生成物が得られた。熱滴定(o−ジクロロ
ベンゼン中3hr/180℃)により測定されたウレット
ジオン基(C2 2 2 として表される。)の含有率は
16.5%であった。分析によれば、留出物は1ppm 未
満のリンを含有していた。樹脂も留出物もどちらも、4
週間の貯蔵後NCO含有率は何ら低減していなかった。
【0024】例4 1gのTMPD及び0.3gのTOPを1,000gの
HDIに50℃にて添加し、次いで60℃にて6時間か
くはんした。この時、この反応混合物は41.3%のN
CO含有率を有していた。イソオクタン中の第3級ブチ
ルヒドロパーオキシドの2モル溶液0.5mlを添加し、
そしてこの混合物を80℃に1時間加熱した。室温に冷
却後及び30日間の貯蔵後も、この混合物のNCO含有
率は40.4%であった。
【0025】例5 2gのTMPD及び0.6gのTOPを、200gのH
DIに50℃にて添加した。60℃にて3.5時間後、
この混合物のNCO含有率は43.8%に低下してい
た。0.35gのブタノンパーオキシド(ジメチルフタ
レート中50℃)を添加しそして80℃に1時間加熱し
た後この反応混合物は43.7%のNCO含有率を有
し、そしてこのNCO含有率は室温にて30日間の貯蔵
中一定のままであった。
【0026】本発明は次の態様を含む。 (1) ウレットジオン基及び/又はイソシアヌレート
基を含有するポリイソシアネートの製造方法において、 a) 三価のリンを含有する触媒の存在下で有機ジイソ
シアネートのイソシアネート基を部分的にオリゴマー化
してウレットジオン基及び/又はイソシアヌレート基を
生成させ、 b) 酸化剤の添加により該触媒を触媒的に不活性な酸
化形態に転化させることにより、オリゴマー化反応を所
望のオリゴマー化度で停止させ、そして c) 引き続いて薄層蒸留により未反応ジイソシアネー
トを除去することを特徴とする上記方法。
【0027】(2) 酸素、窒素又は硫黄に結合した少
なくとも1個の水素原子を含有しかつ少なくとも6の p
Ka値を有する有機化合物を助触媒として存在させて工程
a)を行う、上記(1)の方法。 (3) 触媒が有機第3級ホスフィンからなる、上記
(1)の方法。 (4) 触媒がトリ−n−オクチルホスフィンからな
る、上記(1)の方法。 (5) 酸化剤が空気、酸素及び/又は有機パーオキシ
ドからなる、上記(1)の方法。 (6) 有機ジイソシアネートが、6〜15個の炭素原
子を含有する(環状)脂肪族ジイソシアネートからな
る、上記(1)の方法。 (7) 有機ジイソシアネートが、1,6−ジイソシア
ナトヘキサン及び/又は1−イソシアナト−3,3,5
−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン
からなる、上記(1)の方法。
【0028】(8) ウレットジオン基及び/又はイソ
シアヌレート基を含有するポリイソシアネートの製造方
法において、 a) 有機第3級ホスフィン触媒の存在下で並びに酸
素、窒素又は硫黄に結合した少なくとも1個の水素原子
を含有しかつ少なくとも6の pKa値を有する有機化合物
を助触媒として存在させて、6〜15個の炭素原子を含
有する有機(環状)脂肪族ジイソシアネートのイソシア
ネート基を部分的にオリゴマー化してウレットジオン基
及び/又はイソシアヌレート基を生成させ、 b) 空気、酸素又は有機パーオキシドからなる酸化剤
の添加により該触媒を触媒的に不活性な酸化形態に転化
させることにより、オリゴマー化反応を所望のオリゴマ
ー化度で停止させ、そして c) 引き続いて薄層蒸留により未反応ジイソシアネー
トを除去することを特徴とする上記方法。
【0029】(9) 有機第3級ホスフィン触媒がトリ
−n−オクチルホスフィンからなる、上記(8)の方
法。 (10) 有機ジイソシアネートが1,6−ジイソシアナ
トヘキサン及び/又は1−イソシアナト−3,3,5−
トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサンか
らなる、上記(8)の方法。 (11) 有機ジイソシアネートが1,6−ジイソシアナ
トヘキサン及び/又は1−イソシアナト−3,3,5−
トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサンか
らなる、上記(9)の方法。
【0030】(12) ウレットジオン基及び/又はイソ
シアヌレート基を含有するポリイソシアネートであっ
て、 a) 三価のリンを含有する触媒の存在下で有機ジイソ
シアネートのイソシアネート基を部分的にオリゴマー化
してウレットジオン基及び/又はイソシアヌレート基を
生成させ、 b) 酸化剤の添加により該触媒を触媒的に不活性な酸
化形態に転化させることにより、オリゴマー化反応を所
望のオリゴマー化度で停止させ、そしてc) 引き続い
て薄層蒸留により未反応ジイソシアネートを除去する ことからなる方法により製造される上記ポリイソシアネ
ート。
【0031】(13) 酸素、窒素又は硫黄に結合した少
なくとも1個の水素原子を含有しかつ少なくとも6の p
Ka値を有する有機化合物を助触媒として存在させて工程
a)を行う、上記(12)のポリイソシアネート。 (14) 触媒が有機第3級ホスフィンからなる、上記
(12)のポリイソシアネート。 (15) 触媒がトリ−n−オクチルホスフィンからな
る、上記(12)のポリイソシアネート。 (16) 酸化剤が空気、酸素及び/又は有機パーオキシ
ドからなる、上記(12)のポリイソシアネート。 (17) 有機ジイソシアネートが、6〜15個の炭素原
子を含有する(環状)脂肪族ジイソシアネートからな
る、上記(12)のポリイソシアネート。 (18) 有機ジイソシアネートが、1,6−ジイソシア
ナトヘキサン及び/又は1−イソシアナト−3,3,5
−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン
からなる、上記(12)のポリイソシアネート。
【0032】(19) ウレットジオン基及び/又はイソ
シアヌレート基を含有するポリイソシアネートであっ
て、 a) 有機第3級ホスフィン触媒の存在下で並びに酸
素、窒素又は硫黄に結合した少なくとも1個の水素原子
を含有しかつ少なくとも6の pKa値を有する有機化合物
を助触媒として存在させて、6〜15個の炭素原子を含
有する有機(環状)脂肪族ジイソシアネートのイソシア
ネート基を部分的にオリゴマー化してウレットジオン基
及び/又はイソシアヌレート基を生成させ、 b) 空気、酸素又は有機パーオキシドからなる酸化剤
の添加により該触媒を触媒的に不活性な酸化形態に転化
させることにより、オリゴマー化反応を所望のオリゴマ
ー化度で停止させ、そして c) 引き続いて薄層蒸留により未反応ジイソシアネー
トを除去することからなる方法により製造される上記ポ
リイソシアネート。
【0033】(20) 有機第3級ホスフィン触媒がトリ
−n−オクチルホスフィンからなる、上記(19)のポリ
イソシアネート。 (21) 有機ジイソシアネートが1,6−ジイソシアナ
トヘキサン及び/又は1−イソシアナト−3,3,5−
トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサンか
らなる、上記(19)のポリイソシアネート。 (22) 有機ジイソシアネートが1,6−ジイソシアナ
トヘキサン及び/又は1−イソシアナト−3,3,5−
トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサンか
らなる、上記(20)のポリイソシアネート。 (23) イソシアネート基がブロッキング剤で随意にブ
ロックされている上記(12)のポリイソシアネート並び
にポリヒドロキシル化合物を含んでなる、被覆用組成
物。
【0034】本発明は説明の目的のために上記に詳述さ
れているけれども、かかる詳述は専ら該目的のためであ
ること、並びに特許請求の範囲により限定され得る場合
を除いて種々の変更態様が本発明の精神及び範囲から逸
脱することなく本発明において当業者によりなされ得る
ことが理解されるべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヨセフ・ペダイン ドイツ連邦共和国デイー5000ケルン80、 ハツフエルカンプ 6 (56)参考文献 特開 平2−228317(JP,A) 特開 昭56−127359(JP,A) 特開 昭59−33265(JP,A) 特開 平2−6520(JP,A) 特公 昭54−11317(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 229/00 C07D 251/34 C08G 18/79 C09D 175/04 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウレットジオン基及び/又はイソシアヌ
    レート基を含有するポリイソシアネートの製造方法にお
    いて、 a) 三価のリンを含有する触媒の存在下で有機ジイソ
    シアネートのイソシアネート基を部分的にオリゴマー化
    してウレットジオン基及び/又はイソシアヌレート基を
    生成させ、 b) 酸化剤の添加により該触媒を触媒的に不活性な酸
    化形態に転化させることにより、オリゴマー化反応を所
    望のオリゴマー化度で停止させ、そして c) 引き続いて薄層蒸留により未反応ジイソシアネー
    トを除去することを特徴とする上記方法。
  2. 【請求項2】 酸素、窒素又は硫黄に結合した少なくと
    も1個の水素原子を含有しかつ少なくとも6の pKa値を
    有する有機化合物を助触媒として存在させて工程a)を
    行う、請求項1の方法。
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