JP3103360B2 - 高純度リン酸及びその製造方法 - Google Patents

高純度リン酸及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は高純度リン酸及びその製造方法に関するもの
である。
更に言えば、電子工業用であって、半導体製造工程に
おいて窒化珪素膜を除去する際に使用し、微細素子の電
気特性を劣化させる不純物を実質的に含まない高純度リ
ン酸及びその製造方法に関するものである。この高純度
リン酸は不純物の含有量が少ないという特徴から、その
他に金属アルミニウムエッチング液、セラミックス用ア
ルミナエッチング液、光ファイバーガラス用リン酸ガラ
ス原料としても好適な材料となるものである。
[従来の技術] リン酸を晶析法で精製する技術は、従来より広く知ら
れていて、古くは特公昭44−14692号公報にみられる。
これによれば、リン酸を所望純度に精製するために晶析
操作、母液からの分離操作及び融解操作からなる一連の
晶析精製操作を3回繰り返す方法が開示されている。
追村ら:東洋曹達報告、10、2、21(1966)は、リン
酸を晶析操作で精製する基礎物性データである飽和溶解
度、過飽和度と成長速度の相関、リン酸半水結晶の吸湿
性、リン酸中の結晶沈降速度について明らかにしたが、
析出したリン酸半水結晶粒子の純度については、定量的
には論じていない。
また、例えば青山ら:Proceedings of a Conference o
f Industrial Crystallization、pp413〜420(1976)
は、流動層型晶析装置での応用例を示している。この流
動層型晶析装置では、均一粗大粒子が生成するため、母
液からの分離操作が容易になる上に、流動層部分に設け
られた外部熱交換器により溶液を冷却し、効率よく晶析
熱を除去することにより生産速度を高くすることができ
る特徴をもっている。
このようにリン酸を晶析操作で精製することは従来よ
り公知であるが、これらの操作によって得られたリン酸
の純度については明確に記されていない。
[発明が解決しようとする課題] 更に、これらの方法には、精製操作中の不純物の混入
を防止する手段が明確でなく、また、不純物の混入の防
止を行ったときの効果も明示されていない。
従って、本発明の目的は各種不純物金属元素が、その
液中の状態が溶解・不溶解に拘わらず実質的に検出しう
る限界よりも少ない高純度リン酸及びその製造方法を提
供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は上述のような従来技術に鑑みて鋭意研究を行
った結果完成されたものである。
即ち、本発明は晶析工程を経て得られた高純度リン酸
であって、H3PO4の濃度を85重量%に換算したときの不
純物含有量として、 Feは20ppb以下、 Mnは3ppb以下、 Naは40ppb以下 であり、且つリン酸中に含まれる0.5μm以上の粒径を
もつ浮遊微粒子の個数が1ml当たり50個以下であること
を特徴とする半導体装置の窒化珪素膜エツチング用高純
度リン酸に係る。
更に、本発明は空気相より浮遊微粒子を取り除き、0.
3μm以上の微粒子個数を1ft3当たり実質的に0ないし1
0000の範囲に清浄化した雰囲気において、 (イ)濃度70重量%以上の原料リン酸を飽和温度より0
ないし10℃低い温度範囲で保持した状態で、種晶を添加
した後、降温してリン酸半水結晶を析出させる晶析工
程、 (ロ)(イ)で得られたリン酸半水結晶を洗浄及び/ま
た発汗操作してリン酸半水結晶を精製する工程、及び (ハ)次いで、精製したリン酸半水結晶を融解した後、
精密過してリン酸中に含まれる0.5μm以上の粒径を
もつ浮遊微粒子を除去する工程、からなることを特徴と
する高純度リン酸の製造方法に係る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においてリン酸とは、下記の一般式 H3PO4 で表される成分とH2Oの任意の比率の混合液体であり、
各種金属に対する腐食性が強いため、金属等の表面のエ
ッチング液として好適な物質である。リン酸は他の鉱酸
と比べて蒸気分圧が低く蒸留法を適用して精製すること
は容易でなく、また、工業的に精製することは実質的に
非常に困難な化合物であるけれども本発明に係る高純度
リン酸は、前記したようにFe、Mn及びNaの含有量が低い
ことに特徴がある。
本発明に係る高純度リン酸は、前記したようにFe、Mn
及びNaすなわち鉄、マンガン及びナトリウムの含有量が
少ないことを特徴とするリン酸である。
ここで、リン酸の濃度はJIS K−1449に示される水酸
化ナトリウムによる滴定法で測定するものである。
なお、リン酸中のFe、Mn及びNaの含有量の測定は、希
釈率5倍(Naにおいては100倍)に希釈した試料を炭素
製加熱炉に10μ注入し、800℃に加熱してリン酸を除
去し、第1表に示す元素に応じた原子化温度において原
子状となった元素を元素によって定めた測定波長の光の
吸光度を希薄塩酸中の標準試料の吸光度と比較する、い
わゆるフレームレス原子吸光光度分析法で評価する。こ
こで、リン酸の純度は、単位リン酸質量当たりの元素の
質量の比率として表す。
フレームレス原子吸光光度分析による元素の検出下限
は次式で算出する: 第1表に示す吸光度が0.005となる元素質量[g]を試
料注入量10μと試料密度[g/cm3]で除し、注入試料
の希釈率[−]を乗ずることで検出下限を算出した。こ
こで試料密度は1g/cm3とした。
Fe、Mn及びNaの検出限界を前記の式で求め第1表に示
す。
また、浮遊微粒子の個数は、レーザー光束中に設置し
たサファイア製セル中を被検液体を流し、微粒子による
光遮断信号を測定する方法によるのであって、被検流体
中の浮遊微粒子の個数とは、被検流体の光遮断信号に対
して同一装置に超純水中に標準粒子を分散させた流体を
用いたときの光遮断信号と標準粒子の粒子密度関数の検
量線より求めた値である。このような測定方法を実現し
たものが市販されていて、ここでは、Hiac/Royco社製の
パーティクルカウンターModel4100/4150を用いた。
リン酸半水結晶とは、H3PO4・1/2H2Oの組成からなる
結晶性物質である。
晶析操作及び発汗操作における過冷却温度とは、リン
酸の温度からそのリン酸の濃度に対して次式で示す飽和
温度を差し引いた値である。
飽和温度=27.9−(91.6−リン酸濃度) (なお、飽和温度=リン酸濃度−63.7) ここで、飽和温度の単位は[℃]、リン酸濃度は[重
量%]で表し、65〜89重量%の範囲の値である。
従って、過冷却温度は晶析操作においては、過冷却温
度は負の値、発汗操作においては正の値である。
本発明はこのような高純度リン酸の工業的な製造法を
も提供するものであり、以下に示す3つの工程を基本と
しているものである: すなわち、空気相より浮遊微粒子を取り除き、0.3μ
m以上の微粒子個数を1ft3当たり実質的に0ないし1000
0の範囲に清浄化した雰囲気において、 (イ)濃度70重量%以上の原料リン酸を飽和温度より0
ないし10℃低い温度範囲で保持した状態で、種晶を添加
した後、降温してリン酸半水結晶を析出させる晶析工
程、 (ロ)(イ)で得られたリン酸半水結晶を洗浄及び/ま
た発汗操作してリン酸半水結晶を精製する工程、及び (ハ)次いで、精製したリン酸半水結晶を融解した後、
精密過してリン酸中に含まれる0.5μm以上の粒径を
もつ浮遊微粒子を除去する工程。
本発明に係る高純度リン酸中の不純物は、リン酸結晶
あるいはリン酸液と接触する空気中に含まれる微粒子の
影響をうけ、清浄雰囲気で取り扱う必要がある。このこ
とは、晶析、分離、洗浄、発汗、精密過等の操作より
なる本発明に係る高純度リン酸の製造プロセスにおいて
リン酸結晶及びリン酸液と接触させる空気相の0.1μm
以上の浮遊微粒子を1ft3当たり実質的に0ないし10000
個に保持することを意味する。このような清浄環境は、
製造環境に取り入れる空気を高性能フィルターを通過さ
せ、発塵量のできるだけ少ない製造装置と製造方法を採
用することによって達成することができる。
空気相における0.3μm以上の微粒子個数は、日本工
業規格JIS B9921に定められた規格を満足する光散乱式
粒子計数器を用い、空気中に浮遊している塵埃に光をあ
て、その散乱光の量により大きさ別に個数を計算する方
法での濃度を測定し、これにより1ft3当たりの0.3μm
以上の粒子の個数の総和を算出した。
本発明者らの研究によれば、通常の空気中には空気相
の0.1μm以上の浮遊微粒子個数が1ft3当たり100,000個
以上含まれており、そのような環境では本発明に係る高
純度リン酸は得られないことが分かった。
本発明方法の原料に用いる原料リン酸は、いわゆる湿
式法、乾式法による製造履歴は問わず、工業用として供
給されているリン酸を使用することができる。原料リン
酸のH3PO4の濃度としては、70重量%以上が好適であ
る。リン酸濃度が70重量%未満では、飽和温度が低く、
晶析に際し適切な過飽和度を得るのに多大のエネルギー
を必要とし、工業的に好ましくない。また、上限は飽和
濃度(91.6重量%)までであり、それ以上はリン酸半水
結晶以外の結晶が析出する恐れがあり、更に粘度が高く
なって晶析、分離が困難となり好ましくない。
本発明方法においては、原料リン酸の前処理として次
のような処理を行うことが可能である。すなわち、原料
リン酸を晶析する前に、飽和温度より高い温度で1時間
程度の所定の時間保持し、リン酸中に含まれ、後の晶析
操作において悪影響を及ぼし易いリン酸のクラスターを
分解することができる。また、原料のリン酸を過して
予め微粒子を除去してもよい。しかしながら、このよう
な原料リン酸の前処理は本発明に係る高純度リン酸の製
造において好ましい操作であるが、本発明方法の必須の
要件ではない。
晶析は撹拌機等の混合装置及び温度制御機構を具備し
ている耐食性の容器を用い、所定の液温度を保ちつつ、
リン酸に種晶を添加することによって行われる。ここで
用いる種晶はリン酸半水結晶で、前回の晶析操作で得ら
れた結晶の一部を使用することができ、また、特公昭62
−30606号公報、特公昭62−30607号公報及び特公昭62−
30608号公報に見られる方法で作製したリン酸半水結晶
を用いることができる。例えば85重量%の高純度リン酸
200gをPTFE製ビーカーに入れ、300rpmで撹拌しながら0
℃まで冷却し、0.1g程度のリン酸半水結晶を投入すると
100μm程度のリン酸半水結晶を析出させることができ
る。このリン酸半水結晶は高純度リン酸中でスラリー状
を呈しているが、本発明方法に係る晶析工程での種晶と
して使用できる。
種晶の添加量は晶析槽に仕込む原料リン酸の質量によ
り、原料リン酸の質量に対して0.1〜2%が好ましく、
0.1%未満では効果が少なく、また、2%を超える量を
添加しても、添加量に見合った効果の向上は認められな
い。
晶析容器としては、晶析槽内の温度制御が可能な機構
を具備する必要があるが、通常の工業晶析操作で用いら
れている装置を採用することができる。容器の材質は、
容器からの不純物の混入を防ぐ意味で、リン酸に対し耐
食性を有するものが好ましく、例えばポリエチレン、ポ
リプロピレン、フッ素樹脂等の合成樹脂製のものを用い
ることができ、更によく洗浄した硼珪酸ガラス製のもの
も用いることができる。
晶析時の過飽和度の制御は一般に晶析操作と同様に考
えることができ、適宜条件を選択することが可能である
が、過飽和温度として0ないし−10℃、好ましくは−2
〜−8℃の範囲に保つとよい。
過飽和温度を−10℃より低温にすると、結晶粒子が凝
集し易く、不純物の包含も多くなり好ましくなく、ま
た、冷却に要するエネルギーを考慮すれば経済的な条件
とは言えない。また、過飽和温度が0〜−2℃では、晶
析速度が比較的小さく、生産速度が低下し、更に所望の
生産量を得るために大量の原料リン酸を要するために最
適条件とは言えない。
本発明方法に係る晶析操作は以上のような条件を満た
すならば、回分操作、連続操作のいずれの方法も採用す
ることができる。
本発明方法により得られるリン酸半水結晶は、長径が
0.5〜10mmの針状結晶であり、このものは過、遠心分
離等通常の工業操作により母液から分離回収することが
できる。このようにして回収された結晶は、結晶中に不
純物を包含したり、母液を付着しているため、このまま
では本発明にかかる高純度リン酸は得られない。従っ
て、次の2種類の操作により結晶を精製する必要があ
る。
すなわち、 母液より分離した母液が付着した結晶を超純水または
本発明に係る高純度リン酸で洗浄して除去し、リン酸半
水結晶を精製する。
母液より分離したリン酸半水結晶を付着母液の飽和温
度より0〜10℃高い温度で保持し、発汗操作により不純
物を含む部分を選択的に融解させ、融解部分を除去して
リン酸半水結晶を精製する。
この及びの操作は、それぞれ単独で行ってもよい
し、とを組み合わせて行ってもよい。とを組み
合わせて行う場合、その順序は本発明の必須要件とはな
り得ず、どちらの操作を先に行ってもかまわない。
精製した結晶は、次に融解し、超純水を添加して所定
の濃度のリン酸とする。
このようにして得られるリン酸は、通常浮遊微粒子を
大量に含有し、半導体製造を中心とする高度の電子工業
用に用いるにはまだ不適当であり、更なる処理を必要と
する。本発明方法では、このリン酸を精密過し、リン
酸中に含まれる0.5μm以上の粒径をもつ浮遊微粒子を1
ml当たり50個以下にする。
精密過装置は、それ自体リン酸中に微粒子を放出し
たり不純物を溶出したりするような構造、材質であって
はならないことは勿論であるが、昨今の技術開発により
所望の装置が入手できるようになった。本発明方法で
は、例えばケミポート[PC−11000、クラボウ(株)
製]を使用することができる。
本発明者らの研究によれば、高純度リン酸中の浮遊微
粒子個数が1ml当たり50個以上、5000個以下の範囲にお
いて、微粒子個数が多いとFe、Mn及びNaの含有量が増加
する傾向が見られたことから、浮遊微粒子の個数と高純
度リン酸中のFe、Mn及びNaの含有量には、定量的、機構
的に明確でないにせよ相関関係があり、浮遊微粒子の除
去は純度の向上にも寄与しているものと推察される。
なお、上記の洗浄操作、発汗操作並びに精密過操作
を所望により複数回反復して所定の高純度リン酸を得る
こともできる。
以上、詳細に説明したように本発明方法による製造方
法を採用することにより本発明に係る高純度リン酸を得
ることができる。
[実 施 例] 以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
従来より公知のリン酸の製造法である乾式法によりリ
ン酸を製造した。すなわち、黄リンを過剰の空気中で燃
焼してP2O5とし、それを純水に溶解する製造方法であ
る。この方法で製造したリン酸(H3PO4として89重量
%)をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でできた孔
径0.8μmのメンブランフィルター[東洋紙(株)社
製:T080A047A]で過することによって0.8μm以上の
粒子の個数を減少させ、とりわけ2μm以上の浮遊微粒
子を取り除いた。
このリン酸中の金属元素の量をフレームレス原子吸光
光度分析によって測定したところFeは180ppb、Mnは10pp
b、Naは250ppbであった。
このリン酸を以下の実施例において原料リン酸として
使用した。
実施例1 (イ)前記の原料リン酸800gを0.3μm以上の微粒子個
数を1ft3当たり10ないし100個の範囲に清浄化した雰囲
気において、晶析容器としてのPTFE製セパラブルフラス
コに注ぎ、PTFE製の撹拌翼を挿入し、これを100rpmで回
転させて撹拌した。このリン酸を入れた晶析容器を恒温
槽中に浸漬し、リン酸を冷却した。リン酸の温度を25℃
より20℃まで冷却し、種晶として粒径0.5〜1.5mmのリン
酸半水結晶を1g投入した。リン酸の温度を徐々に下げ種
晶を投入してから3時間後に14℃になるように降温して
リン酸半水結晶を晶析させた。
(ロ)この結晶懸濁液をPTFE製ブフナーロートの多孔板
上に移し、母液を分離した。このときの結晶の質量は約
280gであった。
(ハ)次いで前記ブフナーロート上の結晶の上方から超
純水を噴霧し、結晶表面・結晶粒子間に保持された原料
リン酸を洗浄して除去した。
(ニ)(ハ)によって得られたリン酸を孔径0.1μm、
過面積0.17m2のフィルターを備えた薬液循環過装置
[ケミポートPC−11000、クラボウ(株)製]を用いて
リン酸を0.1/分で送液し30回繰り返し浮遊微粒子を
過した。
この(ロ)、(ハ)の一連の操作で得られたリン酸結
晶を融解したリン酸及び(ニ)で得られたリン酸中のF
e、Mn及びNaの含有量を原子吸光光度法で分析した。そ
の結果を第2表に示す。
また、(ニ)で得られた高純度リン酸中に懸濁した浮
遊微粒子の個数を測定したところ、0.5μm以上の浮遊
微粒子は1cm3当たり45個であった。
実施例2 (イ)実施例1で用いた原料のリン酸を実施例1で用い
た晶析容器に入れ、実施例1に示した晶析操作条件で晶
析し、リン酸半水結晶を得た。
(ロ)晶析用フラスコ内に生成したリン酸半水結晶が懸
濁したスラリー状液体をPTFE製ブフナーロートの多孔板
上に移し、母液を分離した。
(ハ)前記多孔板上の結晶をブフナーロートごと恒温雰
囲気に保持し、発汗操作を行った。リン酸半水結晶を融
解し、滴下液量が約100gとなるまで発汗操作を加え、結
晶表面・結晶粒子間に保持された原料リン酸を滴下して
除去した。
(ニ)(ハ)によって得たリン酸を孔径0.1μm、過
面積0.17m2のフィルターを備えた薬液循環過装置を用
いてリン酸を0.1/分で送液し30回繰り返し浮遊微粒
子を過した。
この(ロ)、(ハ)の一連の操作で得られたリン酸結
晶を融解したリン酸及び(ニ)で得られたリン酸中のF
e、Mn及びNaの含有量を原子吸光光度法で分析した。そ
の結果を第3表に示す。
また、(ニ)で得られた高純度リン酸中に懸濁した浮
遊微粒子の個数を測定したところ、0.5μm以上の浮遊
微粒子数は1cm3当たり40個であった。
実施例3 (イ)実施例1で用いた原料のリン酸を実施例1で用い
た晶析容器に入れ、実施例1に示した晶析操作条件で晶
析し、リン酸半水結晶を得た。
(ロ)晶析用フラスコ内に生成したリン酸半水結晶が懸
濁したスラリー状液体をPTFE製ブフナーロートの多孔板
上に移し、母液を分離した。
(ハ)前記多孔板上の結晶をブフナーロートごと恒温雰
囲気に保持し、発汗操作を行った。リン酸半水結晶を融
解し、滴下液量が約100gとなるまで発汗操作を加え、結
晶表面・結晶粒子間に保持された原料リン酸を滴下して
除去した。
(ニ)次いで、多孔板上の結晶の上方から超純水を噴霧
し、結晶表面・結晶粒子間に残留したリン酸を洗浄し、
洗浄液を滴下除去した。
(ホ)(ニ)によって得たリン酸を孔径0.1μm、過
面積0.17m2のフィルターを備えた薬液循環過装置を用
いてリン酸を0.1/分で送液し30回繰り返し浮遊微粒
子を過した。
この(ロ)、(ハ)及び(ニ)の一連の操作で得られ
たリン酸結晶を融解したリン酸及び(ホ)で得られたリ
ン酸中のFe、Mn及びNaの含有量を原子吸光光度法で分析
した。その結果を第4表に示す。
また、(ニ)で得られた高純度リン酸中に懸濁した浮
遊微粒子の個数を測定したところ、0.5μm以上の浮遊
微粒子数は1cm3当たり40個であった。
比較例 本発明の要件であるところの、空気相より浮遊微粒子
を取り除き、0.3μm以上の微粒子個数を1ft3当たり中
に実質的に0ないし10000の範囲に清浄化した雰囲気が
必須の条件であることを立証するために、清浄化した雰
囲気であることを除いて同一の実験を行い、その結果得
られたリン酸のFe、Mn及びNaの含有量について比較し
た。
連続的に外気を直接導入する構造の実験室において、
実施例1と同一の原料リン酸を実施例1に用いて晶析容
器に入れ、実施例1と同一の晶析操作条件において精製
分離する実験を行った。
この実験室の空気相に浮遊する微粒子の個数を測定し
たところ、0.3μm以上の微粒子の個数は1ft3当たり100
000であった。
(イ)前記の原料リン酸800gを前記雰囲気において、晶
析容器としてのPTFE製セパラブルフラスコに注ぎ、PTFE
製撹拌翼を挿入し、これを100rpmで回転させ撹拌した。
このリン酸を入れた晶析容器を恒温槽中に浸漬し、リン
酸を冷却した。リン酸の温度を25℃より20℃まで冷却
し、種晶として粒径0.5〜1.5mmのリン酸半水結晶1gを投
入した。リン酸の温度を徐々に下げ種晶を投入してから
3時間後に14℃になるように降温してリン酸半水結晶を
晶析した。
(ロ)この結晶懸濁液をPTFE製ブフナーロートの多孔板
上に移し、母液を分離した。
(ハ)前記多孔板上の結晶をブフナーロートごと恒温雰
囲気に保持し、発汗操作を行った。リン酸半水結晶を融
解し、滴下液量が約100gとなるまで発汗操作を加え、結
晶表面・結晶粒子間に保持された原料リン酸を滴下して
除去した。
(ニ)次いで、多孔板上の結晶の上方から超純水を噴霧
し、結晶表面・結晶粒子間に保持された原料リン酸を洗
浄して除去した。
(ホ)(ニ)によって得たリン酸を孔径0.1μm、過
面積0.17m2のフィルターを備えた薬液循環過装置を用
いてリン酸を0.1/分で送液し30回繰り返して浮遊微
粒子を過した。
この(ロ)、(ハ)、(ニ)の一連の操作で得られた
リン酸結晶を融解したリン酸及び(ホ)で得られたリン
酸中のFe、Mn及びNaの含有量を原子吸光光度法で分析し
た。その結果を第5表に示す。
また、(ニ)で得られた高純度リン酸中に懸濁した浮
遊微粒子の個数を測定したところ、0.5μm以上の浮遊
微粒子数は1cm3当たり4000個であった。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の高純度リン酸はFe、Mn
及びNa元素の混入が少ないために半導体製造工程におい
て窒化珪素膜を除去するために使用した際に、微細粒子
の電気特性を劣化させる不純物を実質的に含まない好適
な電子材料となる。
また、更に言えば、この高純度リン酸は不純物の含有
量が少ないという特徴から金属アルミニウムエッチング
液、セラミックス用アルミナエッチング液、光ファイバ
ーガラス用リン酸ガラス原料としても好適な材料となる
ものである。
また、本発明による上記高純度リン酸の製造法によれ
ば、各種金属元素が混入していない高純度リン酸を容易
に精製し製造できる利点を挙げることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−131009(JP,A) 特公 昭44−14692(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 25/234

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】H3PO4の濃度を85重量%に換算したときの
    不純物含量として、 Feは20ppb以下、 Mnは2ppb以下、 Naは40ppb以下 であり、且つリン酸中に含まれる0.5μm以上の粒径を
    もつ浮遊微粒子の個数が1ml当たり50個以下であること
    を特徴とする半導体装置の窒化珪素膜エツチング用高純
    度リン酸。
  2. 【請求項2】空気相より浮遊微粒子を取り除き、0.3μ
    m以上の微粒子個数を1ft3当たり実質的に0ないし1000
    0個の範囲に清浄化した雰囲気において、 (イ)濃度70重量%以上の原料リン酸を飽和温度より0
    ないし10℃低い温度範囲で保持した状態で、種晶を添加
    した後、降温してリン酸半水結晶を析出させる晶析工
    程、 (ロ)(イ)で得られたリン酸半水結晶を洗浄及び/ま
    たは発汗操作してリン酸半水結晶を精製する工程、及び (ハ)次いで、精製したリン酸半水結晶を融解した後、
    精密濾過してリン酸中に含まれる0.5μm以上の粒径を
    もつ浮遊微粒子を除去する工程 からなることを特徴とする高純度リン酸の製造方法。
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