JP3102810B2 - 粗チャートルシンの精製方法 - Google Patents

粗チャートルシンの精製方法

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JP3102810B2 JP03228171A JP22817191A JP3102810B2 JP 3102810 B2 JP3102810 B2 JP 3102810B2 JP 03228171 A JP03228171 A JP 03228171A JP 22817191 A JP22817191 A JP 22817191A JP 3102810 B2 JP3102810 B2 JP 3102810B2
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邦昭 長谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、3″−デメチルチャー
トルシン(以下3″−DMCと略す)を含有する粗チャ
ートルシンから3″−DMCを除去して粗チャートルシ
ンを精製する方法に関し、本法で得られるチャートルシ
ンは抗癌活性のより高い薬剤を製造する為の中間体とし
て有用である。
【0002】
【従来技術】特開昭62−99391号及び特開平2−
67293号公報に記載されているように、粗チャート
ルシンにアシルハライドを反応させ、次いでそれらをベ
ンジリデン化させることにより、高い抗癌活性を有する
6−O−置換−3′,4′−O−ベンジリデンチャート
ルシン誘導体を製造することができる。
【0003】上記製造方法の原料である粗チャートルシ
ンはストレプトミセス・チャートルシス(StrePt
omyces Chartreusis)を培養して得
られるがこの粗チャートルシンには不純物として3″−
DMCが通常2%以上、場合により3〜20%含有され
ている。この不純物である3″−DMC及びその反応誘
導体を上記製造方法の各工程で除去しようとすれば、最
終製品に近くなればなるほどチャートルシン誘導体と
3″−DMCの誘導体との物性が近似し分離しにくくな
るため、目的物(最終製品)の得量が極端に低下し、ま
た一方、目的物(最終製品)の得量を上げようとして、
3″−DMC及びその反応誘導体を除去しない場合、目
的物(最終製品)の純度が医薬分野で通常求められてい
る98%以上にならない。従って、目的物(最終製品)
の得量を極端に低下させずにしかも最終製品純度98%
以上のものを得るためにはあらかじめ原料の粗チャート
ルシンを精製し、3″−DMCを除去しておく必要があ
る。
【0004】粗チャートルシンを精製する方法として
は、J.Am.chem.Soc.,80,1636〜
1638(1958)及びJ.Am.chem.So
c.,75,4011〜4012(1953)に培養に
よって得られた粗チャートルシンに対してアセトン又は
塩化メチレン−エタノール混合溶媒或いはアセトン−水
混合溶媒を用いて再結晶を行なう方法が記載されてい
る。しかし、上記方法は再結晶に用いる上記有機溶媒に
対し粗チャートルシンの溶解度が低い為、膨大な量の溶
媒を用いなければならず、さらにはチャートルシンの回
収率が非常に低いため工業的に望ましくない。また、一
般的な精製方法として用いられているカラムクロマトグ
ラフィーによる精製は大規模な装置が必要となり、経済
的に不利である。このようなことから、前述のような問
題点が解決された工業的に有利な方法が希求されてい
る。
【0005】
【発明の開示】本発明者等は、粗チャートルシンの精製
方法において再結晶法に着目して種々検討したところ、
培養によって得られる粗チャートルシンに対して、非プ
ロトン性極性溶媒と低級アルコールとを用いて再結晶を
行なうことにより高収率で高純度のチャートルシンが得
られるという知見を得、工業的に有利な本発明方法を完
成した。
【0006】すなわち本発明は、3″−DMCを含有す
る粗チャートルシンから3″−DMCを除去して粗チャ
ートルシンを精製する方法において、非プロトン性極性
溶媒と低級アルコールとを用いて再結晶を行なうことを
特徴とする、粗チャートルシンの精製方法である。
【0007】本発明の精製方法である再結晶は、以下の
(1)〜(5)の手順で行なわれる。まず、特開平2−
200698号公報に開示されている方法若しくはそれ
に準じた方法により3″−DMCを含有する粗チャート
ルシンを得た後、(1)3″−DMCを含有する粗チャ
ートルシンに非プロトン性極性溶媒を加え50〜100
℃で0.5〜5時間加温溶解させ、(2)その後放冷
下、攪拌しながら低級アルコールを0.3〜2時間かけ
て加え、(3)その後室温で1〜5時間攪拌し、(4)
析出した結晶を濾過し、(5)残渣に低級アルコールを
加え、室温で0.25〜2時間攪拌しながら洗浄し、選
択的に3″−DMCが除去され、精製されたチャートル
シンの結晶を得る。
【0008】この一連の工程(1)〜(5)の再結晶の
回数は、粗チャートルシンにおける3″−DMCの混入
割合により適宜望ましい回数が選択される。例えば3″
−DMCを10%以上含有している粗チャートルシンに
対しては、前記(1)〜(5)の再結晶を2回程度繰返
す必要があると思われるが、最終的に精製されたチャー
トルシン中の3″−DMCの混入割合が2%程度以下と
なるようにすることが望ましい。
【0009】尚、前記(1)〜(5)の再結晶を行なっ
て精製されたチャートルシンを得た後、得られた濾液か
ら同様の再結晶を繰返すことにより精製されたチャート
ルシンを得ることができる。また、前述のように(1)
〜(5)の再結晶を繰返した後、得られた濾液からシリ
カゲルカラムクロマトグラフイー等の一般的な精製方法
により精製された3″−DMCが得られる。
【0010】本発明の精製方法において使用される非プ
ロトン性極性溶媒としては、粗チャートルシンの溶解度
が比較的高く、さらに低級アルコールにより目的物を析
出させることのできるものであればいずれのものでもよ
いが、例えばN,N−ジメチルアセタミド、1,3−ジ
メチル−2−イミダゾリドン、N−メチルピロリドン、
N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げら
れ、それらの使用量は、粗チャートルシン1重量部に対
して3〜30重量部、望ましくは5〜20重量部であ
り、使用量がこの範囲よりも少なすぎると粗チャートル
シンが未溶解で残って精製効率が低下し、逆に多すぎる
と低級アルコールの使用量も増え不経済であるとともに
チャートルシンの得量が低下する。
【0011】また、本発明の精製方法において使用され
る低級アルコールとしては、炭素数が1〜6のアルコー
ル、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなど
が挙げられ、結晶を析出させる工程でのその使用量は、
粗チャートルシン1重量部に対して3〜10重量部、望
ましくは3〜7重量部であり、使用量がこの範囲よりも
少なすぎるとチャートルシンの得量が低下し、逆に多す
ぎると精製効率が低下し、析出した結晶を洗浄する工程
でのその使用量は、粗チャイールシン1重量部に対して
3〜30重量部、望ましくは3〜15重量部であり、使
用量がこの範囲より少なすぎると十分な洗浄が行なえ
ず、逆に多すぎると不経済である。
【0012】
【実施例】次に本発明の実施例を記載するが、本発明は
これらに限定されるものではない (1)培養 ラクトース40g、大豆粉20g、コンスティープリカ
ー20gおよび炭酸カルシウム5gを含有し、PHを
7.0に調整した液体培地1リットルから、50ml容
試験管に15ml宛分注し、常法に従って滅菌した。ス
トレプトミセス・チャートルシス1F0−12753の
胞子を接種して、28℃で3日間振とう培養を行ない、
第一種菌を得た。同様に、前記組成の液体培地を500
ml入れた2リットル容フラスコで28℃で3日間振と
う培養を行って、第二種菌を得た。次いで50リットル
容ジャーファメンターに前記組成の液体培地を35リッ
トル入れて滅菌した後、第二種菌1リットルを接種し、
培養温度28℃、通気量35リットル/分及び攪拌機回
転数250rPmの条件で7日間培養を行った。
【0013】(2)抽出 前記(1)の培養と同様の培養をした70リットルの培
養液をpH5.5〜6.0とし、塩化ナトリウム7kg
を加えて塩析を行った。同液をシャープレス遠心分離機
で2回反復操作することにより、同液から菌体(約15
kg/Wet)を分離した。この菌体に塩化メチレン:
メタノール=3:1の混合溶媒を加えて2〜3回反復抽
出を行った。得られた抽出層を減圧濃縮した後、メタノ
ールを加えて50〜60℃で15分間攪拌し、続いて4
℃で一晩放置した。次いで、この溶液を濾別し得られた
固形物について、メタノール及びヘキサンを用いて洗浄
した後乾燥して粗粉末(粗チャートルシン)約10gを
得た。この粗チャートルシン中には3″−DMCが5.
1%混入していた。
【0014】(3)精製 攪拌機及び温度計を備えた2リットル容四ツ口フラスコ
に、前記(1)及び(2)と同様の操作により得られた
粗チャートルシン(3″−DMCを5.1%含有)10
0gを入れ、そこへN,N−ジメチルホルムアミド1k
gを投入し、攪拌下80〜90℃に加温し、1.5時間
かけて粗チャートルシンを完全に溶解した。次いで、放
冷下攪拌しながら滴下ロートを用い、メタノール500
mlを30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で2
時間攪拌を行ない、減圧濾過してチャートルシンの固形
物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィーで分析
したところ、3″−DMCの含有率は2%であった。そ
の後、この固形物を室温でメタノール750mlを用い
て30分間攪拌しながら洗浄し、再度減圧濾過して3″
−DMCの含有率が1.73%に低下したチャートルシ
ンの結晶を得た。この結晶を80℃で24時間減圧乾燥
し、純度95.7%の精製チャートルシン82.6g
(3″−DMC以外の不純物2.57%含有)を得た
(純分収率86%)。
【0015】
【発明の効果】本発明の精製方法によって得られる精製
されたチャートルシンは、特間昭62−99391号公
報に開示されている抗癌活性の高い薬剤を製造するため
の重要な中間体であり、該精製方法によれば経済的且つ
工業的に粗チャートルシンを精製することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 17/04 C07H 1/06 - 1/08 CA(STN) CAOLD(STN) CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3″-デメチルチャートルシンを含有する
    粗チャートルシンから3″-デメチルチャートルシンを除
    去して粗チャートルシンを精製する方法において、(1)
    粗チャートルシンにN,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジ
    メチル-2-イミダゾリドン、N-メチルピロリドン、N,N-
    ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びヘキ
    サメチルホスホリックトリアミドからなる群より選ばれ
    る少なくとも1種の非プロトン性極性溶媒を加え加温溶
    解させ、(2)その後放冷下、攪拌しながら低級アルコー
    ルを加え、(3)その後室温で攪拌し、(4)析出した結晶を
    濾過し、(5)残渣に低級アルコールを加え、室温で攪拌
    しながら洗浄し、選択的に3″−デメチルチャートルシ
    ンが除去され、精製されたチャートルシンの結晶を得る
    ことを特徴とする、粗チャートルシンの精製方法。
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