JP3000585B2 - 2,2,6,6―テトラアルキル―4―ピペリジノンの精製方法 - Google Patents

2,2,6,6―テトラアルキル―4―ピペリジノンの精製方法

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JP3000585B2
JP3000585B2 JP1102774A JP10277489A JP3000585B2 JP 3000585 B2 JP3000585 B2 JP 3000585B2 JP 1102774 A JP1102774 A JP 1102774A JP 10277489 A JP10277489 A JP 10277489A JP 3000585 B2 JP3000585 B2 JP 3000585B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジノ
ンの精製方法に関するものである。
〔従来の技術〕
2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジノンは一般
にケトンまたはその縮合物とアンモニアとの反応により
製造され、高分子化合物の光安定剤や漂白剤などの製造
原料として使用されている。これらの用途に使用する2,
2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジノンとしては、
高純度のもの、特に着色のないものが要求されている。
従来、2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジノン
の精製方法として蒸留精製法がある。この方法によれ
ば、純度99.5重量%程度の高純度品を取得することがで
きるが、空気に触れると着色する不純物が含まれてお
り、保存時等に経時着色するという問題点があった。
また他の精製方法として、水和物の再結晶精製法があ
る。この方法は水から再結晶する、または先に水を加え
て水和物を形成し、この水和物を加熱して溶媒に溶解
後、冷却して結晶を析出させるという方法であり、この
方法では得られる2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペ
リジノンの精度は高いが、回収率が低いという問題点が
ある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、上記問題点を解決するため、高純度
で色相も優れ、経時着色もない2,2,6,6−テトラアルキ
ル−4−ピペリジノンを高回収率で得ることができる2,
2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジノンの精製方法
を提案することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、一般式 (式中、Rはそれぞれ同一または異なる低級アルキル基
である。) で示される2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジノ
ンを有機溶媒に溶解した溶液中に、2,2,6,6−テトラア
ルキル−4−ピペリジノンに対して0.5〜10倍モルの量
の水を添加して1水和物を形成させ、析出した水和物を
分離することを特徴とする2,2,6,6−テトラアルキル−
4−ピペリジノンの精製方法である。
本発明において精製の対象となる2,2,6,6−テトラア
ルキル−4−ピペリジノンは前記一般式〔I〕で示され
る化合物である。一般式〔I〕において、Rで示される
低級アルキル基は炭素数1〜4のものが一般的である。
特にすべてのRがメチル基である2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ピペリジノンは高分子化合物の高安定剤や漂白
剤の製造原料として有用である。
このような2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジ
ノンは、ケトン類またはその縮合物とアンモニアとの反
応により製造されるが、2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジノンはアセトンまたはその縮合物とアンモニア
との反応により製造される。
本発明において精製の対象とする2,2,6,6−テトラア
ルキル−4−ピペリジノンは、上記のような方法により
製造されたものをそのまま使用してもよいが、あらかじ
め蒸留により予備精製した純度95〜99重量%程度のもの
が好ましい。
本発明において精製に使用する有機溶媒としては、2,
2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジノンを溶解でき
るものであればよいが、水との混和性を有しないものが
好ましい。このような溶媒としては、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、シクロヘキサン、イソプロピルエーテ
ル、トルエンなどがあげられ、ハロゲン等により置換し
たものでもよい。有機溶媒に溶解したときの2,2,6,6−
テトラアルキル−4−ピペリジノンの濃度は10〜80重量
%、好ましくは20〜50重量%程度が好ましい。
本発明では2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジ
ノンを有機溶媒に溶解した溶液中に水を添加して1水和
物を形成させる。水の添加量は、2,2,6,6−テトラアル
キル−4−ピペリジノンに対して0.5〜10倍モル量、好
ましくは1〜2倍モル量とする。
1水和物を形成するための反応温度は−30〜50℃、好
ましくは10〜30℃、圧力は1〜10Kg/cm2、好ましくは1
〜3Kg/cm2、反応時間は0.1〜5時間、好ましくは0.5〜
2時間程度が適当である。反応は攪拌下に行うのが好ま
しく、反応器は槽型、管型などの任意のものでもよく、
処理方式もバッチ式、連続式のいずれでもよい。
2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジノンの1水
和物は有機溶媒に難溶性であるため、1水和物の形成に
より2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジノン1水
和物は析出し、着色性成分その他の不純物は溶液中に残
る。従って、固液分離により析出物を溶液から分離する
ことにより、純度が高く着色性不純物を含まない2,2,6,
6−テトラアルキル−4−ピペリジノン1水和物を回収
することができる。この場合、水の添加量が多ければ1
水和物の生成も多く、2,2,6,6−テトラアルキル−4−
ピペリジノンの回収率は高くなるが、1水和物の生成に
必要以上の水を加えると逆に回収率は悪くなる。固液分
離の方法としては、遠心分離、濾過などの任意の方法が
採用できる。
こうして得られる精製2,2,6,6−テトラアルキル−4
−ピペリジノンは1水和物として純度99.9重量%以上と
なり、精製直後および経時の着色はなく、回収率も高
い。
〔発明の効果〕
以上の通り、本発明によれば、簡単な操作により、高
純度で色相も優れ、経時着色もない2,2,6,6−テトラア
ルキル−4−ピペリジノンを高回収率で得ることができ
る。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について説明する。各例中、透
過率以外の%は重量%である。
実施例1 蒸留により取得した純度98.0%の2,2,6,6−テトラア
ルキル−4−ピペリジノン(以下、TAAと略す)46.5gを
ヘキサン67.4gに溶解し(TAA40%)、20℃でTAA溶液を
攪拌しながら、水5.3g(TAAと等モル量)を約10分間で
滴下し、TAA1水和物の結晶を析出させた。約30分間攪拌
後、結晶を遠心分離により分離して乾燥し、42.3gの精
製TAA1水和物を得た(回収率83.7%)。
精製TAA1水和物をガスクロマトグラフィ分析(検出器
FID)したところ、純度は99.95%であり、透過率(425n
m)97.5%、水分9.8%であった。また、空気中室温で2
か月放置した後の透過率(425nm)は95.5%であった。
なお、透過率(425nm)はTAA2.5g(水は除く)をメタノ
ールで25mlにメスアップして波長425nm、スリット幅1n
m、セル10nmで測定した値であり、水分はカールフィッ
シャー法で測定した。
実施例2〜3 実施例1において、水の量を第1表に示す量に変えた
以外は実施例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
実施例4 蒸留により取得した純度98.0%のTAA38.7gをヘキサン
87.7gに溶解し(TAA30%)、20℃でTAA溶液を攪拌しな
がら、水6.6g(TAAの1.5倍モル量)を約10分間で滴下
し、結晶を析出させた。約30分間攪拌後結晶を遠心分離
して乾燥し、41.2gの精製TAA1水和物を得た(回収率92.
1%)。
精製TAA1水和物を分析したところ、純度99.95%、透
過率(425nm)97.5%、水分10.1%であった。2か月放
置後の透過率(425nm)は95.8%であった。
実施例5 実施例4において、ヘキサンの使用量を151g(TAA20
%)に変えた以外は実施例4と同様に行い、37.9gの精
製TAA1水和物を得た(回収率90.0%)。
精製TAA1水和物を分析したところ、純度99.97%、透
過率(425nm)98.0%、水分10.0%であった。また2か
月放置後の透過率(425nm)は95.9%であった。
実施例6〜9 実施例1において、ヘキサンの代わりに第2表に示す
溶媒を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を第
2表に示す。
比較例1 蒸留により取得した純度98.0%のTAA53.0gを50〜60℃
に加熱し、水6.0g(TAAと等モル量)を加えてTAA1水和
物を調製した。これに、ヘキサン69gを加えて60℃に加
熱して溶解し、攪拌しながらゆっくりと25℃まで降温し
結晶を析出させた。得られた結晶を遠心分離して乾燥
し、精製TAA1水和物34.8gを得た(回収率59.2%)。
精製TAA1水和物を分析したところ、純度99.94%、透
過率(425nm)99.5%、水分11.7%であった。また2か
月放置後の透過率(425nm)は94.5%であった。
比較例2〜5 比較例1において、ヘキサンの代わりに第3表に示す
溶媒を用いた以外は比較例1と同様に行った。結果を第
3表に示す。
比較例6 蒸留により取得した純度98.0%のTAAの透過率(425n
m)は90.5%であったが、空気中室温で2か月放置した
後の透過率(425nm)は0%であった。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−145674(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 211/44

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Rはそれぞれ同一または異なる低級アルキル基
    である。) で示される2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジノ
    ンを有機溶媒に溶解した溶液中に、2,2,6,6−テトラア
    ルキル−4−ピペリジノンに対して0.5〜10倍モルの量
    の水を添加して1水和物を形成させ、析出した水和物を
    分離することを特徴とする2,2,6,6−テトラアルキル−
    4−ピペリジノンの精製方法。
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