JP3102795B2 - 感熱孔版原紙用フィルム - Google Patents

感熱孔版原紙用フィルム

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JP3102795B2 JP02243757A JP24375790A JP3102795B2 JP 3102795 B2 JP3102795 B2 JP 3102795B2 JP 02243757 A JP02243757 A JP 02243757A JP 24375790 A JP24375790 A JP 24375790A JP 3102795 B2 JP3102795 B2 JP 3102795B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は感熱孔版原紙用フィルムに関し、さらに詳し
くはカールがなく、高感度でヘッド汚れがなくかつ高画
質の製版、印刷が可能な感熱孔版原紙を、多孔性支持体
との貼り合せで形成し得るフィルムに関する。
[従来の技術] 感熱孔版印刷は通常インク透過性のある多孔性支持体
と熱溶融穿孔性のフィルムとを直接または接着剤を介し
て貼り合わせた原紙を用い、この原紙のフィルムに所望
の文字、図形その他形状を熱穿孔させることで版をつく
り、この版を用いて印刷するものであるが、この版の作
製方法としてサーマルヘッドによるデジタル製版(以
下、TH法と略す)と、赤外線やキセノンフラッシュ光を
照射する方法(以下、閃光法と略す)が既に知られてい
る。特にTH法は、静電複写(PPC)と比較して、多数枚
印刷時の印刷コストが安い、高速印刷が可能である等の
利点を有し、オフィス、学校等に急速に普及している。
一方、熱溶融穿孔性のフィルムとインク透過性のある
多孔性支持体との貼り合せ方法としては、ドライラミネ
ート法、ウェットラミネート法などの通常のラミネート
法や、特公昭55−47997号公報に記載されているラミネ
ート法などを用いることが知られている。
このようにして製造される原紙は、ラミネート条件あ
るいは保存中の温湿度変化により、フィルム側を内側に
カールし易い。そしてカールが大きくなると、取り扱い
及び孔版印刷機内での原紙の搬送性が不良となり、原紙
詰り等のトラブルが生じ大きな問題となる。特に最近、
高速製版、低エネルギー製版、高解像度化をはかる目的
で、穿孔感度を向上させたフィルム、例えば150℃にお
ける収縮率を大きくして穿孔性を向上させたフィルム
(特開昭63−312192号公報)が提案されているが、この
場合穿孔感度は向上するものの、通常のラミネート法で
はラミネート時の収縮量が大きいため原紙のカールが大
きいという欠点が生じる。
原紙のカールを低減する方法として、例えばインク透
過性多孔性支持体に張力を加えて伸長し、これをフィル
ムと重ね、貼り合せる方法(特開平1−156096号公報)
が提案されている。この方法では原紙製造直後のカール
は良好なものの、保存中に温湿度の大きな変化があると
かカールが発生する。特に穿孔エネルギー低減のため最
近はフィルム厚みが1〜3μmと極く薄いものとなって
おり、これを貼り合せる際の張力の制御は非常に微妙で
あり原紙の連続的な大量生産技術としては採用し難い。
また、TH法においては、高温の感熱ヘッドで瞬時にフ
ィルムを溶融穿孔するため、感熱ヘッドとフィルムの間
でスティック現象を起すことが問題となる。この場合ヘ
ッドの発熱素子のわずかな部分にでも熱融着が発生して
も閃光法とは異なって該ヘッド(発熱部)とフィルムは
絶えず相対的に移動しているため、前述のような重大な
問題が発生する。
これを防止する方法として、フィルム表面に界面活性
剤やシリコンオイル層等を塗布して離形層を形成するこ
とが提案されている(例えば特開昭60−19592号、特開
昭60−97891号)。
離形層の形成はヘッドへの熱融着を防止するのに有効
であるが、フィルムと離形層の接着が十分でないと離形
層の剥離が発生し、ヘッドにカス状に付着する。この場
合、スティック現象とはならないものの多数回製版した
場合ヘッド上の堆積量が増し、フィルムへの熱伝達が低
下するため穿孔生が低下し、印字濃度の低下あるいは画
像鮮明性の低下という問題が生じる。
[目 的] 本発明の目的は、穿孔感度が良好であり、多様な温湿
度状況下においてもカールが小さく、かつ多数回製版に
おいても感熱ヘッド汚れの少ない感熱孔版原紙用フィル
ムを提供することにある。
[構成] 本発明のかかる目的は、芳香族ポリエステルからなる
厚み0.5〜3.5μmの二軸延伸フィルムであって、70℃に
おける収縮率が0.20%以下であり、150℃における収縮
率が1.5%以上であり、かつフィルムの面方向屈折率が
1.485以上1.500未満であることを特徴とする感熱孔版原
紙用フィルムによって達成される。
芳香族ポリエステルからなる二軸延伸フィルムはその
厚みが0.5〜3.5μmであることが必要であり、好ましく
は1.0〜2.5μmである。フィルムの厚みが薄すぎると穿
孔精度が低下し、不鮮明で濃淡斑がでやすく、一方厚す
ぎると印刷の欠落を生じたり、太さの斑となるため、好
ましくない。
本発明における二軸延伸フィルムは、さらに150℃に
おける収縮率が1.5%以上、好ましくは2%以上である
ことが必要である。この収縮率が小さいと、フィルムの
感熱穿孔性が悪くなり、好ましくない。一方、この収縮
率が大きすぎると、原紙がフィル側を内側にしたカール
を生じるようになる。それ故150℃における収縮率は70
℃における収縮率とのバランスを考慮する必要がある
が、5%以下におさえることが好ましい。
本発明における二軸延伸フィルムの特徴は、150℃に
おける収縮率を1.5%以上、好ましくは2%以上に維持
しながら、70℃における収縮率を0.20%以下、好ましく
は0.15%以下にしたことにある。これによりフィルムの
感熱穿孔性を低下させることなく、カールの発生を著し
く低減し、実用上問題にならないレベルにすることがで
きる。
二軸延伸フィルムの70℃における収縮率とカールの関
係は、次の如く考えられる。
原紙は通常多孔性支持体例えば多孔性薄葉紙、紗等と
フィルムとを接着剤を介して貼り合せ、さらにフィルム
上に離形層を塗設して製造されるが、この貼り合せや塗
設の乾燥工程では加熱処理、通常60〜80℃加熱処理がな
される。そして、この処理条件下でのフィルムの収縮が
原紙のフィルム側に収縮応力として作用し、カールを発
生させる。従って、カール防止にはフィルムの70℃にお
ける収縮率を小さくすることが有効となる。
例えばポリエチレンテレフタレート系フィルムの場合
70℃の温度はポリマーガラス転移温度の近傍の温度であ
り、このため70℃における収縮率はフィルムに内在する
残留応力に左右される。従って長期にわたってフィルム
を保存すると、この収縮率は低減の方向にあるが、この
ためには工業的には広い保管スペースが必要となる等の
理由で、フィルムの製造段階で70℃における収縮率を小
さくする必要がある。
二軸延伸フィルムは上述したフィルム特性を発現させ
る処理を施す以外は当業界に知られている方法で製造す
ることができる。例えば芳香族ポリエステルは所定の温
度で十分乾燥した後押出機に供給し、口金より溶融状態
で回転冷却ドラム上に押出し、フィルム状溶融物を該ド
ラムに密着して急冷固化させて未延伸フィルムとし、つ
づいて該未延伸フィルムに二軸延伸、熱固定処理を施し
て二軸延伸フィルムとする方法が通常用いられる。二軸
延伸法としては、逐次二軸延伸法、あるいは逐次二軸延
伸後再度縦方向に延伸する多段延伸法などが好ましく挙
げられる。延伸倍率は通常縦横方向各々2.5〜5倍であ
る。また、熱固定は通常100〜250℃の温度で弛緩率20%
以下で行う。
二軸延伸フィルムの150℃における収縮率の調整は、
例えば特開昭63−31292号公報にも記載されているよう
に、二軸延伸後の熱処理条件を調整することで行うこと
ができる。熱処理条件を緩くすることで収縮率を大きく
することができ、例えば熱処理温度を低くすることで収
縮率を大きくすることができる。しかし、この温度を低
くすると、必然的に70℃における収縮率も大きくなる。
150℃における収縮率を1.5%以上に維持しながら70℃
における収縮率を小さくする方法としては、フィルムを
巻取る際の張力、あるいは二軸延伸後の熱処理工程を出
た後の引取り張力等を調整する方法が特に有効である。
これら張力を小さくすることで、70℃における収縮率を
小さくすることができる。
本発明における二軸延伸フィルムにより一層のカール
低減性を付与するには、上述の収縮率特性に加え、特に
ポリエステルフィルムにおいてその面方向の屈折率(以
下、nzと略記することがある)を1,485以上1,500未満、
さらには1,487以上1,500未満とするのが好ましい。
この面方向屈折率がカール低減に寄与する理由として
は、次の如く考えられる。
カールをおこす要因として前述の熱収縮の他に多孔性
支持体とフィルムの湿度膨張差が考えられる。例えば多
孔性支持体として通常用いられる紙は湿度膨張率が1×
10-4〜7×10-5%RH程度であり、一方フィルム例えば厚
み2.5μmのポリエステルフィルムの湿度膨張率は10×1
0-6RH程度であり、両者を貼り合せた孔版原紙はこの湿
度膨張率の差から高湿度下でフィルム側にカールする要
因を内在しているといえる。ただし、一般的にはフィル
ムの厚みに対し紙の厚みははかるに厚いので、湿度膨張
差のみではカールは発現しないが、前述のフィルムの70
℃における収縮率が大きいと相乗作用でカールを発生さ
せると考えられる。
フィルムの面方向屈折率(nz)は、二軸延伸フィルム
の縦、横方向の配向を低下させると、相対的に大きくな
る。この縦、横方向の配向を小さくすることにより湿度
膨張率が大きくなり、結果として紙の湿度膨張率との差
が小さくなってカールが発生し難くなると解される。し
かし、面方向屈折率(nz)を1,500より大きくすると、
フィルムの機械的強度が低下し、不充分となり、取扱い
性が不良となる等の問題が生じるので好ましくない。
二軸延伸フィルムの面方向屈折率(nz)を1,485以上
1,500未満にすることはカール低減に有効であるが同時
にフィルムと離形層との接着性を向上するという利点が
得られる。この接着性の向上はヘッドに堆積するカスの
量を低減し、多数枚の製版、印刷においても印字濃度の
低下、にじみ等がなく、製版、印刷開始時と同じ鮮明な
画像が得られる。
本発明の感熱孔版原紙用フィルムには、多孔性支持体
との接着性を向上させるため、該フィルムの表面に空
気、炭酸ガスまたは窒素ガス雰囲気中でコロナ放電処理
を施してもよい。また、他の易接着性処理を施してもよ
い。さらにこのフィルムには滑り性を改良するため勇
気、無機の添加剤を含有させてもよい。
上述のフィルムを貼り合せる多孔性支持体としては、
特に限定されないが、和紙、曲具帖紙、合成繊維抄造
紙、各種織布、不織布などをその代表例として挙げるこ
とができる。また、使用する多孔性支持体の秤量は特に
限定されないが、通常は2〜20g/m2、好ましくは5〜15
g/m2程度のものが使用される。また、メッシュ状シート
を用いる場合は20〜60μmの太さの繊維を織ったものを
使用するのが、また格子間隔としては20〜250μmのも
のを使用するのが好ましい。
本発明のフィルムと多孔性支持体を貼り合せるのに使
用される接着剤としては、特に限定されないが、酢酸ビ
ニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂をその代表例として挙げることができる。
[実施例] 以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明する。な
お、例中の特性は次の方法で測定した。
1)フィルムの収縮率 フィルムを1cm幅の短冊状にサンプリングし、これに
一定距離(通常10cm)のマークをつけてから、下記の所
定温度に加熱されたオーブン中に所定時間保持し、その
後室温に戻してマーク間の距離を測定し、下記式から収
縮率を算出した。
[ただし、l0:加熱保持前のマーク間距離 l :加熱保持後のマーク間距離] (ア) 150℃における収縮率 加熱温度150℃、加熱保持時間30分として求めた。
(イ)70℃における収縮率 加熱温度70℃、加熱保持時間60分として求めた。
2)面方向の屈折率 アタゴ(株)製アッベ屈折計を用い、光源にはナトリ
ウムランプを用いて、フィルム面方向の屈折率を測定し
た。
3)通版性 相対湿度70%以上の高湿環境下にて原紙の通版試験を
行い、搬送性を下記の基準で評価した。
搬送性評価基準 ◎:ほとんどカールがなく、良好に通版する ○:ややカールがあるものの通版する ×:カールが大きく、通版トラブルの発生頻度が高い △:○と×の中間 4)感熱ヘッドの汚れ 感熱孔版印刷装置((株)リコー製:プリポートSS88
0)にて、一般的な文字原稿を用いて1000版製版した後
のサーマルヘッド上の体積物の付着状態を目視あるいは
顕微鏡等にて下記基準で評価した。
ヘッド汚れ評価基準 ○:ヘッド汚れがほどんどない △:ヘッド汚れがややある ×:ヘッド汚れがひどく、ヘッド地肌がほとんどみえ
ない 実施例1、2及び比較例1、2 固有粘度(o−クロロフェノール、35℃)0.62のポリ
エチレンテレフタレートを十分乾燥したのち押出機にて
シート状に溶融押出し、静電キャスト法にて急冷固化し
て無定形シートとし、続いて該シートを縦方向に3.3〜
3.6倍、横方向に3.7〜3.9倍延伸し、さらに200〜230℃
にて約1.5秒間熱処理を行って第1表に示す物性の厚み
2.0μmの二軸延伸フィルムを得た。
次にフルムをテトラン 紗と貼り合わせて感熱孔版用
原紙を作製した。この原紙の特性を第1表に示す。
第1表から明らかなように、実施例1、2のフィルム
によればカールが少なくかつヘッド汚れなのない感熱孔
版用原紙を得ることができる。
[発明の効果] 本発明のフィルムによれば、高感度感熱孔版原紙の取
扱いで問題となっているカールの発生を軽減あるいは防
止し、かつ多数回製版においてもヘッド汚れの少ない、
優れた穿孔感度、画質の感熱孔版原紙を製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 一義 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人株式会社相模原研究センター内 (72)発明者 冨田 博史 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人株式会社相模原研究センター内 (72)発明者 加藤 光太郎 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人株式会社相模原研究センター内 (56)参考文献 特開 昭63−160895(JP,A) 特開 昭62−282983(JP,A) 特開 平2−307789(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41N 1/24 102

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリエステルからなる厚み0.5〜3.5
    μmの二軸延伸フィルムであって、70℃における収縮率
    が0.20%以下であり、150℃における収縮率が1.5%以上
    であり、かつフィルムの面方向屈折率が1.485以上1.500
    未満であることを特徴とする感熱孔版原紙用フィルム。
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