JP3102640B1 - エネルギー線硬化性樹脂組成物、エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化方法、及び、エネルギー線硬化性樹脂成形品 - Google Patents

エネルギー線硬化性樹脂組成物、エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化方法、及び、エネルギー線硬化性樹脂成形品

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JP3102640B1 JP11229490A JP22949099A JP3102640B1 JP 3102640 B1 JP3102640 B1 JP 3102640B1 JP 11229490 A JP11229490 A JP 11229490A JP 22949099 A JP22949099 A JP 22949099A JP 3102640 B1 JP3102640 B1 JP 3102640B1
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Abstract

【要約】 【課題】 流動性組成物を前駆体としてエネルギー線の
作用によって低温・短時間で硬化させて応力歪みが低減
された成形加工品を製造する。 【解決手段】 エネルギー線硬化性樹脂組成物が、カチ
オン重合性有機化合物と、エネルギー線感受性カチオン
重合開始剤と、エネルギー線感受性カチオン重合開始剤
より発生した酸により新たに自己触媒的に酸を発生する
モノあるいはジスルホン酸シクロアルキルエステルから
なる酸増殖剤とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活性エネルギー線
(以下、エネルギー線と略称する)によって硬化が促進
される新規な重合性樹脂組成物に関し、詳しくは、カチ
オン重合性化合物、エネルギー線によって酸を発生する
カチオン重合開始剤(酸発生化合物)、及び、発生した
酸の作用によって新たに自己触媒的に酸を発生する物質
(以下、酸増殖能剤と呼ぶ)を組み合わせることによ
り、硬化速度を向上させるエネルギー線硬化性樹脂組成
物及びそれを用いるエネルギー線硬化性樹脂の加工方
法、並びに、エネルギー線硬化性樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】省エネルギーや環境汚染防止の観点か
ら、紫外線あるいは電子線のようなエネルギー線によっ
て液状物を迅速に硬化させる方法が広く普及している。
これらの硬化技術は、液状の重合前駆体を非被覆体上に
塗布し、紫外線あるいは電子線を照射することによって
なされる。このための硬化反応として、とくに、ラジカ
ル重合反応、カチオン重合反応が好んで用いられてい
る。
【0003】(ラジカル重合組成物)ラジカル重合反応
では、活性エネルギー線照射によって発生するフリーラ
ジカル種によって開始されるアクリル、あるいはメタク
リル基を持つモノマーあるいはオリゴマーの連鎖的反応
が採用される。この重合反応は迅速であり、また、モノ
マー自体が反応性希釈剤であり溶媒を用いることがない
ので、省エネルギー、環境汚染防止に適している。これ
までに、ラジカル重合性モノマーあるいはオリゴマーの
エネルギー線重合速度を向上させるために、ラジカル重
合開始剤の性能向上、モノマーあるいはオリゴマーの化
学構造の改良、より幅広い波長の光に感光するための増
感剤の開発などに努力が傾注されてきた。さらには、硬
化物の特性を目的に合わせるために、適切なモノマーあ
るいはオリゴマーを配合することに工夫が重ねられてき
た。
【0004】しかしながら、空気中の酸素と容易に反応
するラジカル種が成長種であるために、十分な連鎖反応
が完結することなく終結する。とくに、空気中の酸素が
容易に内部拡散する薄い塗膜においては、この酸素阻害
硬化は顕著であるため、紫外線照射の場合であれば光源
の強度を著しく高める必要があるし、電子線照射の場合
には照射時に不活性ガス、たとえば、窒素ガスの雰囲気
下で行う必要があり、いずれもさらなる省エネルギー、
低価格化のための方策が求められている。さらには、ア
クリル、あるいはメタクリル系モノマー類の重合は体積
収縮を伴うので、成形品には応力歪みが発生することは
避けられないという本質的な欠点を有している。とくに
紫外線硬化の場合には、光の透過性による制約のため
に、厚膜硬化や顔料や各種フィラーが共存する硬化には
不適当である。
【0005】(カチオン重合組成物)カチオン重合はラ
ジカル重合とは異なって、酸素阻害効果がない点に優位
性があり、かつ、エポキシ基のような開環重合反応の場
合には体制収縮の度合いが非常に小さいために、応力歪
みが低減される。さらには、エポキシ基由来の酸素原子
の極性によって基板表面への接着性、密着性が良好であ
り、しかも柔軟性に優れた硬化被膜を与えるという特徴
も兼ね備えている。さらには、エネルギー線照射時ある
いは照射後の加熱処理によって、硬化被膜の特性を一層
向上させることができる。これらの点で、ラジカル重合
型硬化反応に比較してカチオン重合型硬化反応は有利で
あるが、硬化速度が前者に比較して遅いために、硬化を
十分に行うためには活性エネルギー線照射のみならず、
加熱処理を必要とする場合が多い。
【0006】(酸化反応組成物等)さらには、乾性油に
おけるような空気中の酸素による酸化反応や、メラミン
樹脂などに見るような脱水架橋反応などによる反応も利
用されるが、反応の効率が低いために省エネルギー効果
が不十分であるだけでなく、生産性にも問題があった。
【0007】(カチオン重合化合物)本発明が対象とす
るカチオン重合性有機化合物とは、熱あるいはエネルギ
ー線照射により、活性化したエネルギー線感受性カチオ
ン重合開始剤から発生するカチオンあるいは酸の作用に
よって、高分子化あるいは架橋反応を起こす化合物であ
る。カチオン重合能を有する化合物としては、α-メチ
ルスチレンに代表されるアルケニル、アルキニルあるい
はジエン系化合物、不対電子を有する酸素原子、窒素原
子あるいはイオウ原子がC=C結合に共役したビニルエ
ーテル、プロペニルエーテル、ビニルスルフィド、N-
ビニルアミンなどの不飽和性化合物、不対電子を有する
酸素原子、窒素原子、イオウ原子を含む環状構造からな
るエポキシ、オキセタン、スピロオルトエステルなどの
残基を有する化合物、などをあげることができる。
【0008】エネルギー線感受性カチオン重合開始剤は
熱あるいはエネルギー線を受けることにより、カチオン
重合性有機化合物の重合を開始させるカチオンあるいは
酸を発生する化合物で、芳香族スルホニウム塩、芳香族
ヨードニウム塩、フェロセニウム塩等があげられる。こ
れらには、CyractureUVI−6990,69
74(ユニオンカーバイド社)、UVE−1014,1
016(ゼネラルエレクトリック社)、オプトマーSP
150,170(旭電化工業社)、等の商品名で市販さ
れており、カチオン性熱重合開始剤として、サンエイド
SI−100(三新化学(株)、商品名)ベンジルテト
ラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート
などがあり、これらの組み合わせでコーティング剤など
に使用されている。
【0009】しかしながら、ラジカル重合系よりも硬化
速度が遅いことや、さらにはエネルギー線を吸収する顔
料やフィラーなどが分散した樹脂組成物や厚い被膜の硬
化は表面層のみに起こるために、エネルギー線が到達で
きない内部では十分な硬化がもたらされないという問題
点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】(先願技術・特開平
8−248561号公報) そこで、本発明者は、上記従来技術の不具合を解決すべ
く研究開発を進め、まず、特開平08−248561
公報に開示の技術、すなわち、エネルギー線の作用で酸
を発生する物質に、発生した酸によって新たに酸を自己
触媒的に発生する物質を組み合わせることにより、感光
速度を向上させたエネルギー線反応組成物を見いだし、
エネルギー線化学反応を増幅させて感光速度を向上させ
る発明を完成した。
【0011】上記発明では、酸の作用によって新たに酸
を発生する酸増殖剤をエネルギー線酸発生剤と組み合わ
せることによって、エネルギー線の作用によってエネル
ギー線酸発生剤より、例えば一つの酸を発生し、該酸が
酸増殖剤分子を分解して新たに一つ以上の酸を発生する
ので、一回の反応で一つ以上の酸分子が増殖して、計2
つ以上の酸分子となり、この反応が連鎖的に生じて、酸
の発生がねずみ算的に増えることになる。すなわち、こ
のような特性を持つ酸増殖剤の添加により、急激に酸が
増加し、その結果、塩基性物質による酸触媒反応の停止
も防止でき、また、副反応による酸の消失も防止でき
て、酸触媒反応を大幅に加速することができるようにし
たものである。
【0012】上述の反応原理を図示すると、次のように
なる。 PAG → H+ ・・・・・・・・・・・・・光酸発生 m×X → m×H+ ・・・・・・・・・・・酸増殖反応 n×M → n×N ・・・・・・・・・・・・酸触媒反応 ここで、PAG:光酸発生剤、H+:酸、X:酸増殖
剤、M:酸反応性分子、N酸反応生成物、m,nは分子
数である。このような酸を増殖する有機化合物を使用し
て、ねずみ算的に酸を発生させる増殖反応は、核分裂反
応や爆発反応に類似しているが、有機化学反応としては
これまでまったく知られていなかった。
【0013】酸増殖剤は、熱的にできるだけ安定である
が、酸によって分解し、自ら強酸を発生するもので、強
い酸の残基で置換された化合物であり、比較的容易に脱
離反応を引き起こして酸を発生する。したがって、酸触
媒反応によってこの脱離反応を大幅に活性化させること
ができれば、酸の不存在下では安定であるが、酸の存在
下では容易に熱化学反応によって酸を生成させることが
可能となる。このような性質を持つ酸増殖剤を光酸発生
剤と組み合わせることによって、感光速度が向上された
感光性材料が可能となったのである。
【0014】(先願技術・特開平10−1508号公
報)次に、特開平10−1508号公報には以下の開示
の技術が提案されている。この先願発明は、 1.オニウムカチオンとボレートアニオンとから構成さ
れるオニウムボレート錯体からなる感エネルギー線酸発
生剤と、該感エネルギー線酸発生剤から発生した酸によ
って新たに酸を発生する酸増殖剤とを組み合わせること
によって酸発生効率が高まる感活性線酸発生剤組成物、 2.前記感活性線酸発生剤組成物を用い、発生した酸の
触媒作用によって重合または硬化可能な化合物からなる
感応性組成物、 3.酸を触媒とする反応により、現像液に対する親和性
あるいは溶解性が増加する性質を有する化合物からなる
感応性組成物(ポジ型感応性組成物)、及び、 4.酸を触媒とする反応により、発色する性質を有する
色素前駆体からなる画像記録用組成物、に関する。 このように、該先願技術においては、感エネルギー線酸
発生剤としてオニウムボレート錯体を用いることを主た
る特徴としている。
【0015】(本発明の課題)本発明は、上記先願発明
の技術を更に発展させ新規に開発したものであり、その
課題とするところは、流動性組成物を前駆体としてエネ
ルギー線の作用によって低温・短時間で硬化させて応力
歪みが低減された成形加工品を製造するために、貯蔵安
定性に優れた一液型のエネルギー線によって硬化促進さ
れる組成物、及び、それを用いて製造される硬化成型品
を製造する方法を提供することにある。このためには、
液状で顕著に貯蔵安定性に優れた酸増殖剤が不可欠であ
り、しかも、酸増殖剤から発生するスルホン酸のような
プロトン酸によって効率よくカチオン重合を起こす液状
モノマーとの組み合わせは本質的に重要である。
【0016】
【問題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題
点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、脂環式カチ
オン重合性基を有する化合物とエネルギー線あるいは熱
によって酸を発生する酸発生剤に、酸の作用によって酸
を発生する酸増殖剤として脂環式スルホン酸エステル類
を配合することによって製造される硬化性組成物が、著
しく貯蔵安定性に優れ、しかも、低温、短時間でエネル
ギー線によって硬化でき、しかも得られた硬化物は応力
歪みが低減されているうえに、優れた基板接着性、耐薬
品性、及び、耐候性を示すことを見いだし、本発明を完
成するに至った。
【0017】請求項1記載のエネルギー線硬化性樹脂組
成物は、カチオン重合性有機化合物と、エネルギー線感
受性カチオン重合開始剤と、エネルギー線感受性カチオ
ン重合開始剤より発生した酸により新たに自己触媒的に
酸を発生するモノあるいはジスルホン酸シクロアルキル
エステルからなる酸増殖剤とからなる。請求項2記載の
エネルギー線硬化性樹脂組成物は、請求項1記載のエネ
ルギー線硬化性樹脂組成物において、スルホン酸シクロ
アルキルエステルからなる酸増殖剤として、一般式[1]
【0018】
【化3】
【0019】(式中、nは0又は1であり、R1および
2は同一でも異なってもよいアルキル、アリール、置
換アリール、アラルキル基であり、これらのビススルホ
ニルオキシ基は同一の炭素原子以外であればいずれの位
置に結合してもよい。)で表されるビススルホン酸シク
ロペンチルあるいはシクロヘキシルエステルを必須成分
として含有するものである。
【0020】請求項3記載のエネルギー線硬化性樹脂組
成物は、請求項1記載のエネルギー線硬化性樹脂組成物
において、スルホン酸シクロアルキルエステルからなる
酸増殖剤として、一般式[2]
【0021】
【化4】
【0022】(式中、R3はアルキル、アリール、アラ
ルキル基であり、R4は水素原子、メチル基、ヒドロキ
シメチル基、アルコキシカルボニルメチル基、アルコキ
シカルボニルオキシメチル基である。)で表されるビシ
クロ型環状1,2-ジオールモノスルホン酸エステルを含有
するものである。
【0023】請求項4記載のエネルギー線硬化性樹脂組
成物は、請求項1記載の組成物に、その全成分の10重
量%以上のエチレン性ラジカル重合モノマーあるいはオ
リゴマーを添加して成るものである。
【0024】請求項5記載のエネルギー線硬化性樹脂組
成物は、請求項1〜4に記載のカチオン重合性有機化合
物における脂環式カチオン重合基がエポキシ基であるも
のである。
【0025】請求項6記載のエネルギー線硬化性樹脂組
成物の硬化方法は、請求項1〜5記載のいずれかのエネ
ルギー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜もしくはバルク
液状層にエネルギー線を照射することを特徴とするもの
である。
【0026】請求項7記載のエネルギー線硬化性樹脂成
形品は、請求項1〜5記載のいずれかのエネルギー線硬
化性樹脂組成物をマトリクス樹脂とし、これを強化繊維
に含浸させた後に活性エネルギー線を照射して製造され
ることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】(カチオン重合性有機化合物)通
常用いられるカチオン重合開始剤は非プロトン性のルイ
ス酸であり、スルホン酸のようなプロトン酸はほとんど
用いられない。これは、スルホネートイオンが弱いなが
ら求核反応性を持つために、成長種であるカチオン部位
と反応することに起因する。本発明のカチオン重合性有
機化合物としては、硬化物の応力歪みを低減するため
に、脂環式カチオン重合性基を有するものが好ましく、
エポキシ基、オキセタン基、オキサゾリン基、スピロオ
ルトエステル基、スピロカーボネート基、ビシクロオル
ソエステル基、などを挙げることができる。これらのカ
チオン重合性基のうち、とくに、エポキシ基が酸増殖剤
から発生するスルホン酸によって効率よく重合を起こ
し、本発明に好適に用いられることを見いだし、本発明
をなすに至った。
【0028】さらに、硬化を効果的に行うために、これ
らの分子中に少なくとも2つのエポキシ基で置換された
化合物がより好ましい。このためのエポキシ化合物とし
ては公知のものを用いることができる。常温で液体のエ
ポキシ化合物としては、図1に示したA1からA16を
挙げることができる。さらには、エポキシ化大豆油など
の線状脂肪族エポキシド等が挙げられる。常温で固体状
のエポキシ樹脂としては、トリグルシジルエーテルトリ
フェニルメタンおよびテトラグリシジルエーテルテトラ
フェニルエタン、ビスフェノールSジグリシジルエーテ
ル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル、トリグ
リシジルイソシアヌレート、テトラブロモビスフェノー
ルAジグリシジルなどが挙げられる。これらから選ばれ
た化合物単独、あるいは2種類以上配合することによっ
て、本発明の「カチオン重合性有機化合物」とする。
【0029】耐薬品性、耐候性などに優れた硬化物を与
えるためには、上記のエポキシ化合物のうち、芳香族系
エポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ基が3
つ以上導入された樹脂を用いることは有用であり、その
含有量は使用するエポキシ化合物全量に対して10重量
%以上であることが好ましい。さらには、硬化速度を速
めるために、(メタ)アクリル系のラジカル重合性モノ
マーあるいはオリゴマーを添加することも有効である。
後述のエネルギー線酸発生剤は、酸のみならずラジカル
種をも発生するので、ラジカル重合開始剤をかならずし
も添加する必要はない。
【0030】(エネルギー線)エネルギー線源として
は、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀
灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライ
ドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマラン
プ、窒素レーザー、アルゴンイオンレーザー等に代表さ
れる光エネルギー源が用いられる。これらの光源から得
られる200nm〜700nmの波長を有する電磁波エ
ネルギーが好適に用いられる。また、電子線を発生する
各種電子線発生装置を用いることができる。
【0031】(加熱)発生した酸を系中に効率よく拡散
せしめるために、さらには、発生した酸による増殖反応
ならびに重合反応を促進せしめるために、エネルギー線
による照射を行った後に加熱してもよい。加熱方法とし
て、加熱オーブンの使用や、サーマルヘッドなどの使用
が可能である。該方法による硬化加速のための温度範囲
は、酸発生剤および酸増殖剤の種類、使用するカチオン
重合性有機化合物の種類などによって適宜選択するが、
一般的には40℃〜150℃の範囲で行う。
【0032】(照射時間)これらのエネルギー線照射時
間は、その強度によるが、通常は数秒間から数分間であ
る。とくに、膜厚が大きい場合や三次元的な成形体の場
合には比較的長い時間照射することが効果的である。高
強度紫外線照射の場合には、照射時に温度が上昇するの
でとくに好ましい。照射時に40℃〜100℃程度の加
熱を施すことは硬化物のガラス転移温度を向上させるた
めにも効果的である。照射後直ちに表面層での硬化が起
こるが、さらに硬化を完全にするために、40℃〜20
0℃の温度範囲で数秒間から数分間にわたって加熱する
ことができる。
【0033】(重合開始剤)エネルギー線感受性カチオ
ン重合開始剤は、活性エネルギー線あるいは熱の作用に
よって強酸を発生する酸発生剤である。光やX線などの
電磁波や電子線の照射によって、酸を発生する酸発生剤
としては、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合
に利用される光酸発生剤が用いられる(有機エレクトロ
ニクス材料研究界編、「イメージング用有機材料」、ぶ
んしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。また、
これらの光酸発生剤の感光波長領域を拡大するために、
適宜光増感剤を共存させることもできる。これらの物質
の光分解によって生成する酸は、光反応性物質とともに
酸増殖剤に作用して酸の発生を促進する。
【0034】本発明に好適に用いられる感エネルギー線
酸発生剤の例を以下に示すが、これらの限定されるもの
ではない。第1に、ヨードニウム、スルホニウム、ホス
ホニウムなどの芳香族オニウム化合物のPF6 -, AsF
6 -,SbF6 -,CF3SO3 -塩を挙げることができる。
具体的な例を図2に示す。第2に、スルホン酸を発生す
るスルホン化物を挙げることができる。具体的な化合物
を図3に例示する。
【0035】熱酸発生剤としては、スルホニウム塩型化
合物、アニリニウム塩型化合物、ピリジニウム塩型化合
物、ホスホニウム塩型化合物などの既知化合物が挙げら
れる。 これらのオニウム塩型化合物の対アニオンとし
ては、SbF6 -、BF4 -、AsF6 -、 PF6 -、トルエ
ンスルホネート、トリフレートなどを挙げることができ
る。
【0036】(酸増殖剤)酸増殖剤は、エネルギー線感
受性カチオン重合開始剤から発生する強酸の作用によっ
て分解して新たに強酸を発生する酸増殖剤である。本発
明に好適に用いられる酸増殖剤に要求される条件として
は、次の3つが挙げられる。 1)酸触媒によってスムーズに分解し、酸を発生するこ
と。 2)その分解過程で放出される酸は、カチオン重合を開
始するために、かつ、自己触媒的に自らを分解するため
に十分な酸強度を持つこと、 3)酸が存在しなければ、熱的に十分に安定であるこ
と。
【0037】本発明を達成する上で、一方では酸触媒の
存在下で爆発的に反応が進行することを望み、他方で高
度な熱安定性を要求するという極めて厳しい条件であ
る。一般的に、スルホン酸アルキルエステル、あるいは
アラルキルエステルはアルキル化剤あるいはアラルキル
化剤として用いられ、メチルエステルを例外として、そ
の熱的な長期安定性は乏しいことがよく知られている。
【0038】特開平08−248561号公報ならびに
特開平10−1508号公報には、アセト酢酸エステル
系、β−ケタールスルホネート系、1,2−シクロヘキサ
ンジオールモノスルホネート系、グルシジルスルホネー
ト系が酸増殖剤として例示されているが、いずれも室温
での長期保存安定性に劣っている。とくに、酸増殖反応
は非線形的な爆発的な反応であるため、一部の酸増殖剤
の熱的な分解によって反応は急激に進行し、一液型の硬
化組成物の成分とするためには高度な熱的な安定性が不
可欠である。これらの条件を満足する酸増殖剤として
は、とくに、請求項2に記載の一般式[1]で示されるビ
ススルホン酸シクロペンチルあるいはシクロヘキシルエ
ステル、および、請求項3に記載の一般式[2]で表され
るビシクロ型環状1,2−ジオールモノスルホン酸エステ
ルがあり、本発明に好適に用いることができる。
【0039】(ビススルホン酸シクロペンチル等)上記
一般式[1]で表されるビススルホン酸シクロペンチルあ
るいはシクロヘキシルエステルとしては、図4の化合物
が挙げられる。
【0040】(ビシクロ型環状1,2-ジオールモノスルホ
ン酸エステル)一般式[2]で表されるビシクロ型環状1,
2-ジオールモノスルホン酸エステルとしては、図5の化
合物が挙げられる。
【0041】(スルホン酸の生成)これらの化合物が酸
増殖反応を引き起こすことは、その溶液に触媒量の強酸
を添加し、この溶液を加熱して分解反応の速度を追跡す
ることによって確認できる。 一般式[1]で表される
1,3−ビス(p−トルエンスルホニルオキシ)シクロ
ヘキサン(D8)あるいは1,4−ビス(p−トルエン
スルホニルオキシ)シクロヘキサン(D9)を重クロロ
ホルムに溶解し、これらの溶液に触媒量のp−トルエン
スルホン酸を添加して100℃に加熱したときの、分解
に伴うスルホン酸の生成ついて調べた結果を表1および
表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】(表1,2の分析)p−トルエンスルホン
酸の不存在下では、1,3−ビス(p−トルエンスルホ
ニルオキシ)シクロヘキサンは4000分加熱してもま
ったく変化は起こらないのに対して、p−トルエンスル
ホン酸の存在下では、約2000分で分解が始まり、急
速に分解が進行して3500分後には定量的に分解して
いることが分かる。 1,4−ビス(p−トルエンスル
ホニルオキシ)シクロヘキサンの場合には、p−トルエ
ンスルホン酸の不存在下では2000分加熱によっても
変化がないが、p−トルエンスルホン酸が存在すると、
1300分後に定量的に分解してスルホン酸を発生して
いることが分かる。いずれの場合にも、分解はシグモイ
ダル曲線を描いており、自己触媒的な反応である酸増殖
反応であることが確認できる。
【0045】同様にして、一般式[2]で表されるシス−
3−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−ピナノー
ル(E2)あるいはシス−3−(p−オクタンスルホニ
ルオキシ)−2−ピナノール(E4)について、同様に
溶液中で分解を調べた結果を表3および表4に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】(表3,4の分析)両者とも、p−トルエ
ンスルホン酸の存在下で一定の誘導期を経た後、急激に
分解が起こり、シグモイダル曲線を描く反応挙動を示
し、酸増殖反応が起こっていることが実証できる。
【0049】本発明の硬化性樹脂組成物は液状であるか
ら、酸増殖反応は表1〜4とまったく同様な速度論的な
挙動を示し、未硬化部へも酸が連鎖的に拡散することに
なる。この結果、たとえば、着色性あるいは散乱性充填
剤の存在のために紫外線が到達しない部位にまで強酸が
拡散し、硬化を完結させることができる。
【0050】(成分割合)本発明の組成物は、カチオン
重合性有機化合物100重量部に対して、エネルギー線
感受性カチオン重合開始剤は0.1〜20重量部、より
好ましくは0.5〜5重量部であり、酸増殖は0.1〜
20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部であ
る。エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の重量部が
この範囲より少ないと、活性線照射時間が著しく長時間
になるので生産性に劣るし、この範囲より大きい場合に
は、それ以上の添加効果が認められないので意味がな
い。酸増殖剤の重量部がこの範囲より小さい場合には、
その添加による硬化加速効果は顕著とならないし、その
範囲以上の配合では硬化物の物性が劣るので好ましくな
い。
【0051】(ラジカル重合性有機化合物)請求項4の
発明において併用するラジカル重合性有機化合物の種類
の具体例とその併用手段、作用効果について説明する。
上記のエネルギー線感受性酸発生剤は、エネルギー線の
作用によって酸のみならず、ラジカル種も発生する。し
たがって、発生するラジカル種をも樹脂硬化に利用する
ことによって、さらに硬化速度を向上させることができ
る。用いられるエチレン性ラジカル重合性モノマーある
いはオリゴマーとしては、アクリレートあるいはメタク
リレート基を少なくとも一つ有する公知のものを用いる
ことができる。これらのラジカル重合性モノマーあるい
はオリゴマーの重合をさらに促進させるために、公知の
光ラジカル重合開始剤を添加することは効果的である。
本発明に好適なラジカル重合性有機化合物としては、図
6のものを例示することができる。
【0052】(その他の配合剤)本発明において、上記
必須成分以外に必要に応じて、少なくとも2つの水酸基
を持つ化合物(ポリオール)、充填剤、着色剤、顔料、
顔料分散剤、流動調製剤、レベリング剤、消泡剤、酸化
防止剤、などを配合することができる。ポリオール化合
物の添加量としては、水酸基1当量に対してエポキシ基
は2から10当量の範囲にあることが望ましい。
【0053】顔料としては、たとえば、キナクリドン
系、アゾ系、フタロシアニン系などの有機顔料、酸化
鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、などの顔
料、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素系顔
料、などを配合することができる。これらの着色性配向
剤の存在下でも硬化が進行することは、前述のように、
酸増殖反応が連鎖的である。
【0054】(強化用充填剤)また、機械的強度と同時
に成形性に優れた硬化物を製造するために、上記必須成
分をマトリックスとし、強化用充填剤を配合した複合材
料前駆体とすることも効果的である。強化用充填剤とし
ては、球状シリカおよびガラスファイバーが好適に用い
られる。これらフィラーは光吸収や散乱の度合いが小さ
いので、厚膜成形体、三次元的成形体の製造に用いられ
る。
【0055】しかしながら、着色充填剤、たとえば、炭
素繊維などの強化用着色フィラーや三次元織物に上記必
須成分をマトリックスとして配合した複合材料前駆体
も、エネルギー線照射によって十分に硬化させることが
可能であることが判明した。これは、たとえば、照射さ
れた光は着色フィラーによって強く吸収されるために、
表面層にある酸発生剤のみ分解が分解されるが、フィラ
ーによって吸収された光エネルギーは効率よく熱エネル
ギーに変換されるために、酸が未露光部へ拡散すること
が容易となると同時に、酸増殖反応によってより深部で
のカチオン重合が進行するためと推察される。エネルギ
ー線照射後に、さらに、加熱処理によって硬化を完結さ
せることが望ましい。
【0056】(適用物)本発明の組成物は、金属、プラ
スチック、紙、木質材、無機質材、およびこれらを組み
合わせた基材の表面加工に適用することができる。さら
には、これらの基材表面に印刷を施した試料を用いるこ
とが出来る。この種の表面加工のためには、本発明の組
成物をこれらの基材表面に、膜厚がおよそ0.5〜10
0 μm、好ましくは1〜50 μmとなるように塗布し、
これをエネルギー線で照射する。エネルギー線源として
は、上記の高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハロゲンラ
ンプ、キセノンランプ、レーザー光などから得られる2
00〜700nmの波長を有する電磁波エネルギーや電
子線などの高エネルギー線が用いられる。酸増殖剤を添
加することによって、硬化速度を著しく向上させること
ができる。
【0057】(成形加工)成形加工品とするためには、
本発明の流動性組成物を水平に展開し、これにエネルギ
ー線を照射することによって、厚みのある製品とする。
あるいは、活性エネルギー線を透過する鋳型に本発明の
組成物を注入し、これにエネルギー線を照射すればよ
い。
【0058】(繊維含浸)さらには、ガラスファイバ
ー、ポリエステル、ナイロン、セルロースなどの繊維に
よって成形体や三次元織物としてから本発明の組成物を
含浸させ、これに紫外線などのエネルギー線を照射させ
てもよい。これによって、成形された複合材料を製造す
ることができる。
【0059】
【発明の効果】カチオン重合性有機化合物と、エネルギ
ー線感受性カチオン重合開始剤と、エネルギー線感受性
カチオン重合開始剤より発生した酸により新たに自己触
媒的に酸を発生するモノあるいはジスルホン酸シクロア
ルキルエステルからなる酸増殖剤とを必須成分とするエ
ネルギー線硬化性樹脂組成物が提供され、さらに、エチ
レン性ラジカル重合モノマーあるいはオリゴマーを添加
して成るエネルギー線硬化性樹脂組成物が提供される。
【0060】酸増殖剤としてビススルホン酸シクロペン
チル、シクロヘキシルエステルあるいはビシクロ型環状
1,2-ジオールモノスルホン酸エステルを用いることによ
って、長期貯蔵安定性に優れた一液性、かつ、硬化速度
が大きな樹脂組成物が提供される。
【0061】これらによって塗膜もしくはバルク液状層
にエネルギー線を照射することを特徴とする樹脂硬化加
工法が提供され、かつ、樹脂硬化成形体が製造できる。
したがって、本発明の組成物ならびに活性エネルギー線
照射による硬化加工方法によって、塗料、表面コート
剤、接着剤、粘着剤、離型剤などの表面加工材料、オフ
セット、凸版、グラビア、シルクスクリーン、ジェット
印刷などの感光性印刷インキ材料、プリント基板用レジ
スト、印刷用感光性樹脂などのパターニング材料、成形
樹脂、注型樹脂、封止剤、光造形樹脂等の三次元的な成
形加工品等の製造に好適に用いられる。
【0062】更に、酸増殖剤の添加によって硬化速度が
向上するので生産効率が上がり、省エネルギー型の製造
工程が実現できることになる。
【0063】
【実施例1】スルホニウム系光酸発生剤(ユニオンカー
バイド社製、製品名UVI−6990)4部、酸増殖剤
としての1,4−ビス(p−トルエンスルホニルオキ
シ)シクロヘキサン(D8)1部、3,4−エポキシシ
クロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン
カルボキシレート100部からなる液状硬化性組成物
を、バーコーターを用いてポリエステルフィルム上に溶
液を塗布し、4μmの塗膜を得た。この塗膜を10分画
に分けて、それぞれを水銀・キセノンランプからの光
(313nmで12mJ/cm2)で1秒から10秒露
光した。鉛筆硬度2Hを与える最小露光時間は4秒であ
った。それに対して、1,4−ビス(p−トルエンスル
ホニルオキシ)シクロヘキサンを添加しない場合には、
鉛筆硬度2Hを与える最小露光時間は8秒であった。
【0064】
【実施例2】スルホニウム系光酸発生剤(ユニオンカー
バイド社製、製品名UVI−6990)4部、酸増殖剤
としての1,4−ビス(p−トルエンスルホニルオキ
シ)シクロヘキサン(D8)1部、3,4−エポキシシ
クロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン
カルボキシレート100部およびポリオール(ユニオン
カーバイド製、製品名TONE(登録商標)Polyol 0301)
30部からなる液状硬化性組成物を、バーコーターを用
いてポリエステルフィルム上に溶液を塗布し、4μmの
塗膜を得た。この塗膜を10分画に分けて、それぞれを
水銀・キセノンランプからの光(313nmで12mJ
/cm2)で1秒〜10秒間露光した。鉛筆硬度Hを与
える最小露光時間は5秒であった。それに対して、1,
4−ビス(p−トルエンスルホニルオキシ)シクロヘキ
サンを添加しない場合には、鉛筆硬度Hを与える最小露
光時間は10秒であった。
【0065】
【実施例3】光酸発生剤としてジフェニル−(p−フェ
ニルチオフェニル)スルホニウム・ヘキサフルオロアン
チモネート(B5)を3部、酸増殖剤として1,3−ビ
ス(p−トルエンスルホニルオキシ)シクロヘキサン
(D8)1部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
(ユニオンカーバイド社製、製品名ERL−4221)
100部からなる硬化性組成物を、バーコーターを用い
てアルミ板の上に厚みが約5μmになるように塗布し
た。これを、(株)東芝製紫外線照射装置(メタルハラ
イドランプ3KW2灯、120W/cm、照射距離18
0mm)を用いて20m/minのコンベアスピードで
照射したところ、タックフリーの高度に透明な硬化膜が
得られた。酸増殖剤を添加しない場合には、この照射条
件では膜面にはべたつきが認められた。
【0066】
【実施例4】実施例3と同様にして、酸増殖剤としての
1,3−ビス(p−トルエンスルホニルオキシ)シクロ
ヘキサンの代わりに、1,4−ビス(p−トルエンスル
ホニルオキシ)シクロヘキサン(D9)、シス−3−
(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−ピナノール
(E2)あるいはシス−3−(p−オクタンスルホニル
オキシ)−2−ピナノール(E4)を、それぞれ別々に
添加した三種類の組成物を調製した。これらを同様にし
てそれぞれアルミ板上に塗布し、同じ紫外線照射装置で
照射したところ、いずれもタックフリーの透明な硬化膜
となった。
【0067】
【実施例5】実施例4で調製した組成物のうち、酸増殖
剤として1,4−ビス(p−トルエンスルホニルオキ
シ)シクロヘキサン(D9)を添加して調整した組成物
を、直径5cmのシャーレーに深さが5mmになるよう
に入れ、これに500W超高圧水銀灯からの光を1分間
照射したところ、完全に硬化した。
【0068】
【実施例6】3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ユ
ニオンカーバイド社製、製品名ERL−4221)70
部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ社製、製品名エピコート828)30部、ジフェニ
ル−(p−フェニルチオフェニル)スルホニウム・ヘキ
サフルオロアンチモネート(B5)4部、1,4−ビス
(p−トルエンスルホニルオキシ)シクロヘキサン(D
9)2部を撹拌して均一な液状物とし、これを実施例3
と同様な照射条件によって処理したところ、タックフリ
ーの透明硬化膜を得た。
【0069】
【実施例7】3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ユ
ニオンカーバイド社製、製品名ERL−4221)85
部、ε-カプロラクトン変性2官能脂環式エポキシ樹脂
(ダイセル化学工業製、製品名セロキサイド2085)
15部、ジフェニル−(p−フェニルチオフェニル)ス
ルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート(B5)4
部、1,4−ビス(p−トルエンスルホニルオキシ)シ
クロヘキサン(D9)2部を撹拌して均一な液状物と
し、これを実施例3と同様な照射条件によって処理した
ところ、タックフリーの透明硬化膜を得た。
【0070】
【実施例8】ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)アジペート(ユニオンカーバイド社製、製品名UV
R−6199)80、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(油化シェルエポキシ社製、製品名エピコート828)
20部、ジフェニル−(p−フェニルチオフェニル)ス
ルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート(B5)3
部、1,4−ビス(p−トルエンスルホニルオキシ)シ
クロヘキサン(D9)2部を撹拌して均一な液状物と
し、これを実施例3と同様な照射条件によって処理した
ところ、タックフリーの透明硬化膜を得た。
【0071】
【実施例9】実施例3で調製した組成物に、ヘキサメチ
レンジアクリレートあるいはトリメチロールプロパント
リアクリレートを、別々に全体の20重量%添加して十
分に磁気撹拌してから、これらを実施例3と同様にして
アルミ板上にバーコーターを用いて塗布し、紫外線照射
を行った。その結果、両方とも、タックフリーの透明な
硬化膜が得られた。
【0072】
【実施例10】実施例3で、調製したジフェニル−(p
−フェニルチオフェニル)スルホニウム・ヘキサフルオ
ロアンチモネート、1,3−ビス(p−トルエンスルホ
ニルオキシ)シクロヘキサン、および3,4−エポキシ
シクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサ
ンカルボキシレートからなる試料をマトリックス樹脂と
し、これを板厚3mmのガラスクロスに含浸させてから
500W超高圧水銀灯で1分間照射し、繊維強化複合材
料を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】A1〜A16は、常温で液体のエポキシ化合物
の例。
【図2】B1〜B10は、芳香族オニウム化合物のPF
6 -, AsF6 -, SbF6 -, CF3SO3 -塩の例。
【図3】C1〜C4は、スルホン酸を発生する化合物の
例。
【図4】D-1〜D-15は、一般式[1]で表されるビス
スルホン酸シクロペンチルあるいはシクロヘキシルエス
テルの例。
【図5】E-1〜E-12は、一般式[2]で表されるビシ
クロ型環状1,2-ジオールモノスルホン酸エステルの例。
【図6】F-1〜F-6は、本発明に好適なラジカル重合
性有機化合物の例。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−248561(JP,A) 特開 平9−34106(JP,A) 特開 平10−1508(JP,A) 特開 平10−182769(JP,A) 特開 平10−147632(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 85/00 C08G 59/00 - 59/72 C08F 2/46 - 2/56 C08J 5/24 B29C 70/06 G03F 7/004 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン重合性有機化合物と、エネルギ
    ー線感受性カチオン重合開始剤と、エネルギー線感受性
    カチオン重合開始剤より発生した酸により新たに自己触
    媒的に酸を発生する下記一般式[1]又は[2]で表さ
    れるスルホン酸シクロアルキルエステルからなる酸増殖
    剤とを必須成分とするエネルギー線硬化性樹脂組成物。 【化1】 (式中、nは0又は1であり、R 1 およびR 2 は同一でも
    異なってもよいアルキル、アリール、アラルキル基であ
    り、これらのビススルホニルオキシ基は同一の炭素原子
    以外であればいずれの位置に結合してもよい。) 【化2】 (式中、R 3 はアルキル、アリール、アラルキル基であ
    り、R 4 は水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、
    アルコキシカルボニルメチル基、アルコキシカルボニル
    オキシメチル基である。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のエネルギー線硬化性樹脂
    組成物に、その全成分の10重量%以上のエチレン性ラ
    ジカル重合モノマーあるいはオリゴマーを添加して成る
    エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 カチオン重合性有機化合物における脂環
    式カチオン重合基がエポキシ基である請求項1又は2
    載のエネルギー線硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜記載のいずれかのエネルギ
    ー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜もしくはバルク液状
    層にエネルギー線を照射することを特徴とするエネルギ
    ー線硬化性樹脂組成物の硬化方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜のいずれかのエネルギー線
    硬化性樹脂組成物をマトリクス樹脂とし、これを強化繊
    維に含浸させた後に活性エネルギー線を照射して製造さ
    れる樹脂成形品。
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