JP3100828B2 - 改質芳香族ポリカーボネート樹脂およびその製造法 - Google Patents

改質芳香族ポリカーボネート樹脂およびその製造法

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JP3100828B2
JP3100828B2 JP06086400A JP8640094A JP3100828B2 JP 3100828 B2 JP3100828 B2 JP 3100828B2 JP 06086400 A JP06086400 A JP 06086400A JP 8640094 A JP8640094 A JP 8640094A JP 3100828 B2 JP3100828 B2 JP 3100828B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改質芳香族ポリカーボ
ネート樹脂およびその製造法に関する。特に本発明は、
芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の優れた透明性およ
び機械的物性を保持しているが、溶融流動性および耐ト
ラッキング性が一層改善された改質芳香族ポリカーボネ
ート樹脂およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、代表的な芳香族ポリカーボネート
樹脂として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン(通称ビスフェノールA)にホスゲンやジフェニ
ルカーボネート等のカーボネート前駆物質を反応させて
得られるものが知られ、工業的に大量に生産されてい
る。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂の成形品は透明
性、耐熱性、寸法精度がよい等の優れた性質を有するこ
とから多くの分野に用いられている。また、近年光ディ
スク等の分野で情報記録媒体用基板としても広く用いら
れている。
【0003】しかしながら、家庭用品、家庭用電気機
器、ビデオ製品、オーディオ製品などの最近の軽薄短小
化の動向を反映して、芳香族ポリカーボネート樹脂も、
いっそう溶融流動性、転写性に優れ、且つ成形サイクル
の短い樹脂の開発が要望されている。また、電気機器の
分野では耐トラッキング性の改善された芳香族ポリカー
ボネート樹脂も求められている。
【0004】芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融流動性
を改善する方法として、平均分子量を可能な限り下げる
方法、可塑剤を添加する方法、長鎖脂肪族炭化水素置換
基をポリマー末端に付与する方法およびポリマーブレン
ドによる方法等が提案されている。しかしながら、これ
らの方法ではいずれも物性の低下を招いたり、透明性が
損なわれる等芳香族ポリカーボネート樹脂成形品が有し
ている本来の優れた特性を保持できないという問題があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、芳香族ポリカーボネート樹脂の本来有している透明
性、耐熱性および寸法安定性などの優れた特性を実質的
に損うことなく、溶融流動性の改善された芳香族ポリカ
ーボネート樹脂を提供することにある。
【0006】本発明の第2の目的は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の前記した優れた特性を保持しつつ、電気特
性、殊に耐トラッキング性の改良された芳香族ポリカー
ボネート樹脂を提供することにある。
【0007】本発明の第3の目的は、種々の電気・電子
部品および光学部品の構造材料として優れた特性を有す
る芳香族ポリカーボネート樹脂およびその成形品を提供
することにある。
【0008】本発明者の他の目的は、前記改質芳香族ポ
リカーボネート樹脂の製造法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、前記本発明の目的は、下記一般式(III)
【化4】 [式中、R 4 、R 5 、R 6 およびR 7 は互いに同一もしくは
異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の脂肪
族炭化水素基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基
を示す。Aは単結合、−O−、−S−、−SO 2 −、炭
素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルキリデ
ン基、炭素数6〜10のシクロアルキレン基、炭素数6
〜10のシクロアルキリデン基またはフェニル置換の炭
素数2〜6のアルキリデン基を示す。]で表される二環
の二価フェノール成分または単環の二価フェノール成分
からなり、且つ、0.229〜0.559の比粘度を有
する芳香族ポリカーボネート樹脂であって、その全末端
基の少くとも5モル%は下記一般式(I)
【0010】
【化5】
【0011】[式中、Xはハロゲン原子または炭素数1
〜10の一価の脂肪族炭化水素基を示し、Pは0〜4の
整数を示し、Qは
【0012】
【化6】
【0013】を示す。ここでYは炭素数1〜10の二価
の脂肪族炭化水素基を示し、W1 は水素原子、−C(=
O)R1 、−C(=O)OR2 またはR3 であり、ここ
でR1、R2 およびR3 は、それぞれ炭素数1〜10の
一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8の一価の脂環族
炭化水素基または炭素数6〜15の一価の芳香族炭化水
素基を示す。mは4〜20の整数を示し、nは1〜10
0の整数を示す。]で表される少なくとも一種の置換フ
ェニルオキシ基を含有していることを特徴とする改質芳
香族ポリカーボネート樹脂によって達成されることが見
出された。
【0014】従来知られている芳香族ポリカーボネート
樹脂は、その末端基に、通常フェニルオキシ基またはア
ルキル基置換フェニルオキシ基を有しているものが殆ん
どである。このような末端基を重合体中に付与すること
は、重合度の調整や耐熱性の向上に寄与している。とこ
ろが、本発明においては、全末端の少なくとも5モル%
好ましくは7〜90モル%を前記式(I)で表される特
定構造の置換フェニルオキシ基とすることにより、芳香
族ポリカーボネート樹脂の透明性、耐熱性および寸法安
定性などの優れた特性を損うことなく、溶融流動性がよ
くなり加工が容易となるばかりでなく、電気特性が改善
された。
【0015】前記一般式(I)で表される置換フェニル
オキシ基は、Qで示されるアルキレンエステル基を有す
る残基がフェニルオキシ基に置換されている構造を有し
ている点に特徴を有している。
【0016】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。本発明において末端基を前記一般式(I)で表され
る置換フェニルオキシ基で置換されるべき構造の芳香族
ポリカーボネート樹脂は、それ自体従来知られているか
或いは工業的に生産されている重合体であることができ
る。すなわち、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の
骨格は、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応
によって得られた重合体であることができる。
【0017】芳香族ポリカーボネート樹脂の製造に使用
される二価フェノールとしては、単環および二環の二価
フェノールが挙げられ、単環の二価フェノールの具体例
としてはハイドロキノン、レゾルシンがあり、また二環
の二価フェノールの具体例としては前記一般式(II
I)で表される化合物である。
【0018】
【0019】
【0020】芳香族ポリカーボネート樹脂を形成する前
記二価フェノールの具体例としては例えばハイドロキノ
ン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−
イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,
2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4′−ジヒドロキ
シジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフェニル
スルフィド、3,3′−ジメチル−4,4′−ジヒドロ
キシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルオキシド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよび
1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジ
メチルアダマンタン等が挙げられる。
【0021】これら二価フェノール化合物のうち、ビス
フェノールA、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−フェ
ニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサンおよび1,3−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマ
ンタンが好ましい。
【0022】さらに、これら二価フェノールのうち、実
用性および物性の点からビスフェノールA、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサンおよび1,3−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタンが好ま
しい。これらは単独でまたは二種以上を組合わせて用い
てもよい。また、少量の三官能化合物を分岐剤として用
いても、脂肪族二官能性化合物を少量併用してもよい。
とりわけ本発明の芳香族ポリカーボネートは、ビスフェ
ノールAを使用して得られた樹脂が特に有用である。
【0023】芳香族ポリカーボネート樹脂は、前記二価
フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造す
ることができる。その際使用されるカーボネート前駆物
質としては例えばホスゲン、ホスゲンダイマー、ホスゲ
ントリマー、上記二価フェノール類のビスクロロホーメ
ート等が挙げられ、なかでもホスゲンが好ましい。
【0024】二価フェノールとカーボネート前駆物質か
ら芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するには、芳香族
ポリカーボネート樹脂の製造に用いる通常の方法、例え
ば二価フェノールにホスゲン等のカーボネート前駆物質
を反応させる方法を用いることにより製造される。二価
フェノールとホスゲンとの反応では、通常酸結合剤及び
溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸
化物、ピリジン等が用いられる。溶媒としては例えば塩
化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が
用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミ
ン、第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることができ
る。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時
間、反応中の pH は通常10以上に保つのが好ましい。
【0025】本発明の改質芳香族ポリカーボネート樹脂
は、前記芳香族ポリカーボネート樹脂の製造において、
前記一般式(I)の置換フェニルオキシ基が末端基に結
合するように、単官能性のフェノール化合物を、二価フ
ェノール化合物およびカーボネート前駆体と共に反応系
に存在させればよい。
【0026】すなわち、前記一般式(I)の末端基を形
成させるために使用される代表的化合物は下記一般式
(II)で表される置換フェノール化合物である。
【0027】
【化7】
【0028】[式中、X、PおよびQは前記一般式
(I)における定義と同じ意味を有する]前記一般式
(II)で表される置換フェノール化合物はフェノール性
水酸基を一個有する単官能性化合物であり、芳香族ポリ
カーボネート樹脂の製造に添加されると、末端停止剤と
して作用し、末端に結合する。本発明の改質芳香族ポリ
カーボネート樹脂を得るために、前記一般式(II)で表
される置換フェノール化合物を使用すると共に他の単官
能性フェノール化合物を併用することができる。この他
の単官能性フェノール化合物は下記一般式(IV)で表す
ことができる。
【0029】
【化8】
【0030】[式中、X´はハロゲン原子または炭素数
1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、p´は0〜5の整
数を示す]
【0031】前記一般式(IV)で表される単官能性フェ
ノール化合物の具体例としては、フェノール、p−te
rt−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよび
イソオクチルフェノールを挙げることができる。
【0032】本発明の改質芳香族ポリカーボネート樹脂
を製造する際に、前記一般式(II)で表される置換フェ
ノール化合物の使用量またはそれと前記一般式(IV)で
表される単官能性フェノール化合物との使用量並びに割
合は、ポリカーボネート樹脂の種類、末端基の種類、重
合度および所望する特性などによって決められる。
【0033】前記したように、本発明の改質芳香族ポリ
カーボネート樹脂は、その全末端基の少なくとも5モル
%好ましくは7〜90モル%特に好ましくは10〜80
モル%は、前記一般式(I )で表される置換フェニルオ
キシ基を含有している。この一般式(I)で表される置
換フェニルオキシ基は前記一般式(II)で表される置換
フェノール化合物を使用することによって、ポリマーの
末端基に導入される。
【0034】本発明の改質芳香族ポリカーボネート樹脂
は、前記一般式(I)で表される置換フェニルオキシ基
を前記割合で末端に含有しているが、その他の末端基は
特に制限されるわけではない。しかし、他の末端基は前
記一般式(IV)の単官能性フェノール化合物に基づく末
端基であるのが好ましい。
【0035】本発明の改質芳香族ポリカーボネート樹脂
を製造する最も簡単な方法は、芳香族ポリカーボネート
樹脂の重合中に前記一般式(II)で表される置換フェノ
ール化合物を原料と共に添加する方法である。しかし本
発明の改質芳香族ポリカーボネート樹脂は、必ずしも前
記式(II)の化合物を重合原料中に添加する方法によっ
て得る必要はなく、他の化合物を添加し得られた芳香族
ポリカーボネート樹脂にさらに反応性の化合物を付与し
て、結果的に前記式(I)で表される置換フェニルオキ
シ基を末端基として含有する方法であればよい。また重
合原料中に前記式(II)で表される化合物を添加し得ら
れた改質芳香族ポリカーボネート樹脂に、さらに反応性
の化合物を添加し、前記式(I)で表される置換フェニ
ルオキシ基の範ちゅうに含まれる他の末端基に変換する
こともできる。このように、一旦改質芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を製造した後に後処理によって目的とする末
端基を付与することもできる(以下これらの方法を“後
処理法”と称することがある)。
【0036】このような方法の例としては、前記一般式
(II)においてW1 が水素原子である化合物を使用して
その化合物を末端基に有する改質芳香族ポリカーボネー
ト樹脂を得、次いで、前記式(II)の化合物の末端のア
ルコール性水酸基をカルボン酸エステル{−C(=O)
1 }或いは炭酸エステル{−C(=O)OR2 }の形
で封鎖する方法である。これら封鎖のためには前記改質
芳香族ポリカーボネート樹脂にカルボン酸クロライド或
いはクロロ蟻酸エステルを反応させればよい。その際使
用されるカルボン酸クロライドとしては式ClCOR1
表される化合物であり、ここでR1 は前記式(I)およ
び(II)の定義で示したとおり、炭素数1〜10好まし
くは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8好
ましくは5〜6の脂環族炭化水素基または炭素数6〜1
5好ましくは6〜12の芳香族炭化水素基を示す。また
クロロ蟻酸エステルは式ClCOOR2 で表される化合物
であり、ここでR2 は前記R1 で説明した炭化水素基か
ら選ばれる。
【0037】かくして得られる改質芳香族ポリカーボネ
ート樹脂の分子量は、あまりに低いと脆くて実用性がな
くなるので、ポリマー0.7gを塩化メチレン100m
lに溶解し、20℃で測定した溶液の比粘度が0.22
9〜0.559の範囲であり、このものが成形品として
の優れた特性を与える。特に好ましい比粘度は0.26
4〜0.451の範囲である。
【0038】本発明の改質芳香族ポリカーボネート樹脂
は例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、溶液キ
ャスティング法等任意の方法で成形することができる。
なお本発明の改質芳香族ポリカーボネート樹脂には、必
要に応じて熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、着色剤、
帯電防止剤、滑剤、離型剤等の添加剤、ガラス繊維、ガ
ラスビーズ、カーボン繊維、金属繊維、タルク、シリカ
等の無機充填剤を加えることができる。また、他のポリ
カーボネート樹脂または他の熱可塑性樹脂をブレンドし
て用いることもできる。
【0039】本発明による改質芳香族ポリカーボネート
樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂の本来の優れた透
明性、耐熱性および機械的物性を保持したままで溶融流
動性が著しく改善され、低温ハイサイクル成形にも適用
でき、更に耐トラッキング性も著しく改善されている。
【0040】また、改質芳香族ポリカーボネート樹脂を
得るための二価フェノールとして、2,2−ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1
−フェニルエタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビ
ス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、4,4′−ジヒドロキシテトラフェニルメタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、9,
9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(3−イソプロ
ピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および1,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチ
ルアダマンタンから選ばれた少なくとも一種を使用した
ものは、光学的特性が優れ、殊に複屈折率が小さいので
その樹脂を成形したものは低複屈折性の用途に適してい
る。かくしてこの樹脂を使用した成形品は、光学部品の
構造材料や機能材料用途、特に液晶ユニットのフラット
パネル、光カード、光ディスク、光ファイバー、コネク
ター、各種レンズ、プリズム、フィルムおよび光導波路
に適している。
【0041】さらに本発明の改質芳香族ポリカーボネー
ト樹脂が1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを二価フェノー
ルとして使用して得られたものは、他の樹脂よりも一層
耐熱性および光弾性定数が優れており、そのためランプ
用レンズとして使用するのが望ましくまたその樹脂を基
板として使用した光学情報記録媒体としても利用でき
る。
【0042】特に光学情報記録媒体の基板として使用す
るためには、比粘度および下記定数Nが下記式(a)お
よび(b)を満足するものが好適である。 0.23≦ηSP≦0.37 (a) 30≦N≦60 (b) [上記式中ηSPは改質芳香族ポリカーボネート樹脂の
比粘度を示し、Nは改質芳香族ポリカーボネート樹脂中
の二価フェノール単位および一般式(I)で表される置
換フェニルオキシ基におけるエステル単位{−C(=
O)(CH2 m O−}の合計モル数に対する該エステ
ル単位の割合(%)を示す]
【0043】さらに本発明の改質芳香族ポリカーボネー
ト樹脂をガラス系充填剤と、両者屈折率の差を一定範囲
に調整して混合すると、透明性が改良され且つ優れた物
性を有する樹脂組成物が得られることがわかった。
【0044】すなわち、本発明によれば、改質芳香族ポ
リカーボネート樹脂40〜95重量%および該改質芳香
族ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が0.01以下
であるガラス系充填剤60〜5重量%よりなる樹脂組成
物およびそれからの成形品が提供される。
【0045】かかる樹脂組成物に配合されるガラス系充
填剤は、改質芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率の
差が0.01以下、好ましくは0.005以下である。
屈折率の差が0.01越えると透明性が低下するように
なる。その形状は例えば繊維状、粉粒状、フレーク状、
板状等通常熱可塑性樹脂に適用可能な任意の形状のもの
であり、繊維状のものにあっては径3〜25μm 程度が
好ましく、成形品中の繊維長は0.02〜0.5mm程度
が好ましい。また、ガラス系充填剤には、樹脂との親和
性を向上させる目的でシランカップリング剤等の表面処
理を施したり、取扱性を向上させる目的でエポキシ樹
脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等で集束処理を施
してもよい。ガラス系充填剤の添加割合は5〜60重量
%、好ましくは10〜55重量%である。5重量%未満
では、十分なガラス補強効果が得られ難く、60重量%
より多くなると成形性が低下するので適当でない。
【0046】前記樹脂組成物を製造するには任意の方法
が採用される。例えば改質芳香族ポリカーボネート樹脂
およびガラス系充填剤をタンブラー、スーパーミキサ
ー、ナウターミキサー等を用いてドライブレンドした後
押出機によりペレット化する方法、改質芳香族ポリカー
ボネート樹脂および他の添加剤を予め混合した後、ガラ
ス繊維と共に押出してペレット化する方法等いずれでも
よい。また、この樹脂組成物は例えば射出成形法、圧縮
成形法、押出成形法等任意の方法で成形品とすることが
できる。
【0047】また前記樹脂組成物には、必要により各種
熱安定剤および酸化防止剤を加えることができる。熱安
定剤としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリ
スノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−
tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホス
ファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシ
ルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、
ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピル
モノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホス
ファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオ
クチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−te
rt−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ
−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス
(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイトおよびテトラキス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレ
ンホスホナイト等の亜りん酸のトリエステル、ジエステ
ル、モノエステルが挙げられ、これらは単独で使用して
も、二種以上併用してもよい。一方酸化防止剤としては
例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert
−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラ
キス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシベンジル)ベンゼン、N,N −ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロ
シンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)イソシアヌレートおよび3,9−ビス{1,1−
ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチ
ル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,
5)ウンデカン等のフェノール系酸化防止剤が挙げられ
る。
【0048】前記熱安定剤および酸化防止剤の添加量
は、改質芳香族ポリカーボネート樹脂に対して0.00
005〜0.05重量%の範囲が適当である。また必要
により多価アルコールの高級脂肪酸エステルを加えるこ
ともでき、好ましい脂肪酸エステルとしては炭素原子数
8〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸とグリコール類、
グリセロール、ペンタエリスリトール等との全エステ
ル、部分エステル等が挙げられ、その好ましい添加量は
0.001〜0.2重量%程度である。さらに光安定
剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤等の添加剤を加えること
もでき、他のポリカーボネート樹脂や他の熱可塑性樹脂
をブレンドすることもできる。
【0049】前記ガラス系充填剤含有樹脂組成物は透明
性が改善されているので自動車部品、建材分野、電気電
子部品等の分野の成形品として極めて好適に用いられ
る。
【0050】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に説明す
る。なお、実施例中の部及び%は重量部及び重量%であ
り、評価は下記の方法によった。 (a) 比粘度はポリマー0.7g を塩化メチレン100ml
に溶解し、20℃で測定した。 (b) ガラス転移温度はデュポンDSC 910を用いて測定
した。 (c) 全光線透過率は日本電色製シグマ80を用いて測定
した。 (d) 溶融流動性(MFR)はJIS K 7210に準拠して東洋
精機製セミオートメルトインデクサーを用いて測定し
た。測定温度は280℃とし荷重は2.16kgとした。 (e) アイゾット衝撃強度はJIS K 7110に準拠して測
定した(厚み1/8インチ、ノッチ付き)。 (f) 耐トラッキング性はIEC 112に準拠して測定し
た。
【0051】[参考例1](置換フェノ−ル化合物の合
成) 乾燥した温度計、撹拌機および還流冷却器付き反応器に
m−ヒドロキシベンジルアルコール248部およびテト
ライソプロピルチタネート0.02部を入れて窒素気流
中で145℃に加熱し、この温度でテトライソプロピル
チタネート0.08部を配合したε−カプロラクトン1
140部を70分を要して添加した。この添加中に温度
は徐々に180℃に上昇した。さらに120分間170
℃で攪拌を続けて反応を終了した。得られた反応生成物
の水酸基価は75.8mg KOH/g、酸価は2.3mg KOH
/g 、収率は殆ど定量的であった。この反応生成物のNM
Rのチャートを図1に示した。このNMR のチャートから
も反応生成物がフェノール末端ポリε−カプロラクトン
(n=5)であることが判る。以下、この反応生成物を
“置換フェノ−ル化合物A”と略称する。すなわちこの
反応生成物は下記構造を有する。
【0052】
【化9】
【0053】ここでε−カプロラクトンの重合度部分の
n=5は平均値を表すものとする(以下同じ)。
【0054】なお、前記反応生成物の酸価および水酸基
価は日本薬局法油脂試験法に準拠して測定し、NMR の測
定は重クロロホルム溶液を使用して行なった。
【0055】[参考例2]m−ヒドロキシベンジルアル
コールの使用量を62部とする以外は参考例1と同様に
反応させた。得られた反応生成物の水酸基価は24.3
mg KOH/g 、酸価は1.0mg KOH/g であった。収率は
殆ど定量的であった。この反応生成物のNMR チャートを
図2に示した。このNMR チャートからも反応生成物がフ
ェノール末端ポリε−カプロラクトン(n=20)であ
ることが判る。以下この反応生成物を“置換フェノール
化合物B”と略称する。
【0056】[実施例1]温度計、攪拌機、ホスゲン吹
込管および還流冷却器付き反応槽にイオン交換水495
4部及び48%水酸化ナトリウム水溶液347.7部を
仕込み、これにビスフェノールA955.9部およびハ
イドロサルファイト0.95部を溶解した後、塩化メチ
レン3049.5部を加え、撹拌下15〜20℃でホス
ゲン456.3部を60分を要して吹込んだ。ホスゲン
吹込み終了後置換フェノール化合物A)165.8部を
塩化メチレン400部に溶解して加え、更に48%水酸
化ナトリウム水溶液174.9部およびビスフェノール
A93.3部を加えて乳化させた後、トリエチルアミン
3部を加え、28〜33℃で約2時間撹拌して反応を終
了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈し、水
洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン
交換水と殆ど同じになったところで塩化メチレンを蒸発
させて無色の改質ポリカーボネート1130部(収率9
2%)を得た。このポリマーのカプロラクトン部分の割
合は IR 吸収スペクトル分析で12.3%、比粘度は
0.390、ガラス転移温度は104℃、MFR は28 g
/10分、全光線透過率は89%、アイゾット衝撃強度
は41kg・cm/cmであった。
【0057】[実施例2]実施例1で用いた反応槽にイ
オン交換水4206.2部および48%水酸化ナトリウ
ム水溶液295.2部を仕込み、これにビスフェノール
A811.7部およびハイドロサルファイト2.4部を
溶解した後、塩化メチレン2589.4部を加え、実施
例1と同様の条件でホスゲン387.5部を吹込んだ。
ホスゲン吹込み終了後置換フェノール化合物B487.
8部を塩化メチレン800部に溶解して加え、更に48
%水酸化ナトリウム水溶液148.5部およびビスフェ
ノールA79.2部を加え、以下実施例1と同様にして
改質ポリカーボネート1321.4部(収率95%)を
得た。このポリマーのカプロラクトン部分の割合は IR
吸収スペクトル分析で34.3%、比粘度は0.35
5、ガラス転移温度は35.4℃であった。このポリマ
ーにガラスファイバーチョップドストランド[日東紡
(株)製3 PE-455 FB ]を20%ドライブレンド
し、押出機によりペレット状に押出した後3mm厚みの角
板に射出成形した。このものの耐トラッキング性は20
0V で100滴以上であった。
【0058】[実施例3]比粘度0.405のビスフェ
ノールAポリカーボネート[帝人化成(株)製パンライ
ト L−1225 W]100部に実施例1で得た改質ポリ
カーボネート68.5部を混合し、押出機により250
℃で押出してペレット化した。このもののカプロラクト
ン部分の割合は IR 吸収スペクトル分析で5%、MFR は
17 g/10分、全光線透過率は89%、衝撃強度は8
6kg・cm/cmであった。
【0059】[実施例4]比粘度0.405のビスフェ
ノールAポリカーボネート[帝人化成(株)製パンライ
ト L−1225 W]100部に実施例2で得た改質ポリ
カーボネート17.1部を混合し、押出機により250
℃で押出してペレット化した。このもののカプロラクト
ン部分の割合は IR 吸収スペクトル分析で5%、MFR は
18 g/10分、全光線透過率は89%、衝撃強度は8
5kg・cm/cmであった。
【0060】[実施例5]比粘度0.405のビスフェ
ノールAポリカーボネート[帝人化成(株)製パンライ
ト L−1225 W]100部に実施例2で得た改質ポリ
カーボネート41.2部を混合し、押出機により230
℃で押出してペレット化した。このもののカプロラクト
ン部分の割合は IR 吸収スペクトル分析で10%、MFR
は25 g/10分、全光線透過率は89%、衝撃強度は
45kg・cm/cmであった。
【0061】[比較例1]比粘度0.405のビスフェ
ノールAポリカーボネート[帝人化成(株)製パンライ
ト L−1225 W]を押出機により270℃で押出して
ペレット化した。このものの MFRは11 g/10分、全
光線透過率は90%、衝撃強度は95kg・cm/cmであっ
た。このポリマーに実施例2と同様にガラスファイバー
チョップドストランドを20%ドライブレンドして耐ト
ラッキング性を評価したところ200V で40〜90滴
とバラツキが大きかった。
【0062】[比較例2]比粘度0.405のビスフェ
ノールAポリカーボネート[帝人化成(株)製パンライ
ト L−1225 W]に市販のポリカプロラクトン[ダイ
セル(株)製 PLACCEL H−1、数平均分子量1000
0)を5%ドライブレンドし、押出機により260℃で
押出してペレット化した。このものの見かけの粘度平均
分子量は22000、比粘度は0.400、MFR は13
g/10分、全光線透過率は88%、衝撃強度は9kg・
cm/cmであった。
【0063】[実施例6]実施例1で用いた反応槽に純
水17800部および48.5%水酸化ナトリウム水溶
液3732部を仕込み、これに1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サン3131部を溶解した後、塩化メチレン11110
部を加え、撹拌下20℃でホスゲン1200部を約40
分を要して吹込んだ。ホスゲン吹込み終了後内温を30
℃に上げ、置換フェノール化合物A420.6部を加え
て乳化させた後、トリエチルアミン3.5部を加え、約
2時間撹拌して反応を終了した。反応終了後有機相を分
離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸で中和
し、水洗を繰返して水相の導電率が純水と殆ど等しくな
ったところで有機相を分離し、塩化メチレンを蒸発させ
ながら粉砕して無色の改質ポリカーボネート3794.
5部(収率99.5%)を得た。このポリマーの比粘度
は0.339、ガラス転移温度は175℃、MFR は2.
0 g/10分であった。このポリマーにトリス(ノニル
フェニル)ホスファイトを0.03%、イルガノックス
1076を0.05%及びステアリン酸モノグリセリド
を0.2%加え、280℃で溶融押出してペレット化し
た後、40mmφ、1mm厚みの試験片に射出成形した。こ
の試験片の全光線透過率は89%であった。
【0064】[実施例7]置換フェノール化合物Aの使
用量を350.5部にし、更に p−tert−ブチルフェノ
ールを15.2部用いる以外は実施例6と同様にして改
質ポリカーボネート3721部(収率99%)を得た。
このポリマーの比粘度は0.293、ガラス転移温度は
176℃、MFR は2.5 g/10分であった。このポリ
マーに実施例6と同様の添加剤を加えて実施例6と同様
に成形して評価したところ全光線透過率は89%であっ
た。
【0065】[実施例8]置換フェノール化合物Aの使
用量を350.5部にし、更に p−tert−ブチルフェノ
ールを30.3部用いる以外は実施例6と同様にして改
質ポリカーボネート3736部(収率99%)を得た。
このポリマーの比粘度は0.253、ガラス転移温度は
173℃、MFR は4.0 g/10分であった。このポリ
マーに実施例6と同様の添加剤を加えて実施例6と同様
に成形して評価したところ全光線透過率は90%であっ
た。
【0066】[実施例9]置換フェノール化合物Aの使
用量を210.3部にし、更に p−tert−ブチルフェノ
ールを45.5部用いる以外は実施例6と同様にして改
質ポリカーボネート3593.9部(収率98.5%)
を得た。このポリマーの比粘度は0.290、ガラス転
移温度は180℃、MFR は2.0 g/10分であった。
このポリマーに実施例6と同様の添加剤を加えて実施例
6と同様に成形して評価したところ全光線透過率は90
%であった。
【0067】[比較例3]置換フェノール化合物Aに代
えて p−tert−ブチルフェノールを90.9部用いる以
外は実施例6と同様にしてポリマー3469.7部(収
率99.6%)を得た。このポリマーの比粘度は0.2
48、ガラス転移温度は227℃、MFR は0.3 g/1
0分と溶融流動性が悪かった。このポリマーを用いて実
施例6と同様に成形したところ、成形片にヤケが生じ、
全光線透過率は83%と低くなった。
【0068】[実施例10]実施例1で用いた反応槽に
イオン交換水4954部および48%水酸化ナトリウム
水溶液347.7部を仕込み、これにビスフェノールA
955.9部およびハイドロサルファイト0.95部を
溶解した後塩化メチレン3049.5部を加え、撹拌下
15〜20℃でホスゲン456.3部を60分を要して
吹込んだ。ホスゲン吹込み終了後置換フェノール化合物
A165.8部を塩化メチレン400部に溶解して加
え、更に48%水酸化ナトリウム水溶液174.9部お
よびビスフェノールA93.3部を加えて乳化させた
後、トリエチルアミン3部を加えて28〜33℃で約1
時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化
メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、
水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところ
で塩化メチレン相を分離し、乾燥した無水硫酸ナトリウ
ムで脱水した後塩化ベンゾイル50.4部を加え、更に
ピリジン28.5部を加え、約1時間撹拌して反応を終
了した。反応を終了後濾過してピリジンの塩酸塩を除去
した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交
換水と殆ど同じになったところで塩化メチレンを蒸発さ
せて無色の改質ポリカーボネート1165.2部(収率
93%)を得た。このポリマ−の末端 OH 基は IR 吸収
スペクトル分析で殆ど検出されず、比粘度は0.39
4、ガラス転移温度は105℃、MFR は26 g/10
分、全光線透過率は89%、衝撃強度は45kg・cm/cm
であった。
【0069】[実施例11]実施例1で用いた反応槽に
イオン交換水4206.2部および48%水酸化ナトリ
ウム水溶液295.2部を仕込み、これにビスフェノー
ルA811.7部およびハイドロサルファイト2.4部
を溶解した後、塩化メチレン2589.4部を加え、実
施例1と同様の条件でホスゲン387.5部を吹込ん
だ。ホスゲン吹込み終了後置換フェノール化合物Bのア
ルコール末端をアセチル化したもの496.3部を塩化
メチレン800部に溶解して添加し、更に48%水酸化
ナトリウム水溶液148.5部およびビスフェノールA
79.2部を加えて乳化させた後、トリエチルアミン3
部を加えて28〜33℃で約1時間撹拌して反応を終了
した。反応終了後実施例1と同様に精製して改質ポリカ
ーボネート1315.2部(収率94%)を得た。この
ポリマーの末端 OH 基は IR 吸収スペクトル分析で殆ど
検出されず、比粘度は0.360、ガラス転移温度は3
7℃であった。このポリマーにガラスファイバーチョッ
プドストランド[日東紡(株)製3 PE-455 FB ]を
20%ドライブレンドし、押出機によりペレット状に押
出した後3mm厚みの角板に射出成形した。このものの耐
トラッキング性は200V で100滴以上であった。
【0070】[実施例12]比粘度0.405のビスフ
ェノールAポリカーボネート[帝人化成(株)製パンラ
イト L−1225 W]100部に実施例10で得た改質
ポリカーボネート69.8部を混合し、押出機により2
50℃で押出してペレット化した。このもののカプロラ
クトン部分の割合は IR 吸収スペクトル分析で5%、MF
R は15 g/10分、全光線透過率は89%、衝撃強度
は84kg・cm/cmであった。
【0071】[実施例13]比粘度0.405のビスフ
ェノールAポリカーボネート[帝人化成(株)製パンラ
イト L−1225 W]100部に実施例11で得た改質
ポリカーボネート17.2部を混合し、押出機により2
50℃で押出してペレット化した。このもののカプロラ
クトン部分の割合は IR 吸収スペクトル分析で5%、MF
R は19 g/10分、全光線透過率は89%、衝撃強度
は81kg・cm/cmであった。
【0072】[実施例14]実施例1で用いた反応槽に
純水17800部および48.5%水酸化ナトリウム水
溶液3732部を仕込み、これに1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン3131部を溶解した後塩化メチレン11110
部を加え、撹拌下20℃でホスゲン1200部を約40
分を要して吹込んだ。ホスゲン吹込み終了後内温を30
℃に上げ、置換フェノール化合物A420.6部を加え
て乳化させた後、トリエチルアミン3.5部を加え、約
1時間撹拌して反応を終了し、反応終了後有機相を分離
し、塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸で中和
し、水洗を繰返して水相の導電率が純水と略等しくなっ
たところで有機相を分離し、乾燥した無水硫酸ナトリウ
ムで脱水した後クロロ蟻酸フェニル123.3部を加
え、更にピリジン62.5部を加えて約1時間撹拌して
反応を終了した。反応終了後濾過してピリジンの塩酸塩
を除去し、水洗した後塩酸酸性にして水洗を繰返し、水
相の導電率が純水と略等しくなったところで塩化メチレ
ンを蒸発させながら粉砕して無色の改質ポリカーボネー
ト3730.8部(収率96%)を得た。このポリマー
の末端 OH 基は IR 吸収スペクトル分析で殆ど検出され
ず、比粘度は0.341、ガラス転移温度は177℃、
MFR は3.0 g/10分であった。このポリマーにトリ
ス(ノニルフェニル)ホスファイトを0.03%、イル
ガノックス1076を0.05%及びステアリン酸モノ
グリセリドを0.2%加えて280℃で溶融押出してペ
レット化した後40mmφ、1mm厚みの試験片に射出成形
した。この試験片の全光線透過率は89%であった。
【0073】[実施例15]置換フェノール化合物A1
65.8部の代りに置換フェノール化合物B60.4部
および p−tert−ブチルフェノール33.9部を用いる
以外は実施例1と同様にして改質ポリカーボネート10
91.5部(収率97%)を得た。このポリマーのカプ
ロラクトン部分の割合は IR 吸収スペクトル分析で5.
2%、比粘度は0.316、ガラス転移温度は115
℃、MFR は38 g/10分、全光線透過率は89%、衝
撃強度は32kg・cm/cmであった。
【0074】
【発明の効果】本発明による改質芳香族ポリカーボネー
ト樹脂は、本来の優れた透明性、機械的物性を保持した
ままで溶融流動性が著しく改善され、低温ハイサイクル
成形にも適用でき、更に耐トラッキング性も著しく改善
されており、本発明の奏する効果は格別なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42 C08L 69/00 CAPLUS(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(III) 【化1】 [式中、R 4 、R 5 、R 6 およびR 7 は互いに同一もしくは
    異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の脂肪
    族炭化水素基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基
    を示す。Aは単結合、−O−、−S−、−SO 2 −、炭
    素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルキリデ
    ン基、炭素数6〜10のシクロアルキレン基、炭素数6
    〜10のシクロアルキリデン基またはフェニル置換の炭
    素数2〜6のアルキリデン基を示す。]で表される二環
    の二価フェノール成分または単環の二価フェノール成分
    からなり、且つ、0.229〜0.559の比粘度を有
    する芳香族ポリカーボネート樹脂であって、その全末端
    基の少くとも5モル%は下記一般式(I)【化2】 [式中、Xはハロゲン原子または炭素数1〜10の一価
    の脂肪族炭化水素基を示し、Pは0〜4の整数を示し、
    Qは【化3】 を示す。ここでYは炭素数1〜10の二価の脂肪族炭化
    水素基を示し、W1は水素原子、−C(=O)R1、−C
    (=O)OR2またはR3であり、ここでR1、R2および
    3は、それぞれ炭素数1〜10の一価の脂肪族炭化水
    素基、炭素数4〜8の一価の脂環族炭化水素基または炭
    素数6〜15の一価の芳香族炭化水素基を示す。mは4
    〜20の整数を示し、nは1〜100の整数を示す。]
    で表される少なくとも一種の置換フェニルオキシ基を含
    有していることを特徴とする改質芳香族ポリカーボネー
    ト樹脂。
  2. 【請求項2】 溶融成形可能な請求項1記載の改質芳香
    族ポリカーボネート樹脂。
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