JP3099532U - 磁気テープ走行モード切換え装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 磁気テープ走行モード切換え装置において、クラッチ板を付勢する圧縮コイルばねの形状に工夫を講じることによって、圧縮コイルばねの不安定な挙動に起因するクラッチ板の動作の不安定性などを抑制する。
【解決手段】 駆動歯車4と、回転入力輪体5と、駆動歯車4と一体の摩擦板42と、クラッチ板7と、回転入力輪体5を摩擦板42に弾圧させるための圧縮コイルばね6と、を有する。圧縮コイルばね6の一端フック部61を駆動歯車4の第1係止溝部46に係止させ、圧縮コイルばね6の他端フック部65をクラッチ板7の第2係止溝部76に係止させる。第1係止箇所イと第2係止箇所ロとの開き角度を180度に定める。第2係止溝部76の溝低77と他端フック部65の先端との間に隙間h1を形成する。
【選択図】    図1

Description

 本考案は、磁気テープ走行モード切換え装置、詳しくは、磁気テープ装置において、磁気テープの走行速度を切り換えるために採用される磁気テープ走行モード切換え装置に関する。
 図4に磁気テープ装置の要部を例示してある。同図において、1はシャーシ、2はシャーシ1に垂直に固着された支軸であり、この支軸2にアーム3の基部が揺動自在に取り付けられている。また、支軸2には駆動歯車4が取り付けられていて、この駆動歯車4の回転方向に応じ、アーム3に取り付けられて駆動歯車4に常時噛み合っているアイドル歯車9が、アーム3の揺動を伴いながら首振り運動を行い、そのようなアイドル歯車9の首振り運動を通じて、そのアイドル歯車9の両側に配備されている歯車91,92〜94に回転が伝達されて左右のリール台95,96が択一的に磁気テープ巻取り方向に回転するようになっている。
 図5に駆動歯車4に回転を伝達するための構造を示してある。駆動歯車4は、支軸2に摺動回転自在に嵌合された筒状軸部41を備えていて、その筒状軸部41の下端に摩擦板42のボス43を圧入してある。これによって摩擦板42と駆動歯車4とを直結させてあるのに対し、筒状軸部41を貫挿して摩擦板42の下側に突出した支軸2にワッシャ21を取り付けることによって摩擦板42の抜落ちを防いでいる。また、摩擦板42のボス43に、モータ(不図示)の回転が伝達されるプーリでなる回転入力輪体5のボス部51が回転自在に嵌合されていると共に、上記筒状軸部41に外嵌された圧縮コイルばね6が、上記駆動歯車4と回転入力輪体5のボス部51との間に介在されている。したがって、駆動歯車4と回転入力輪体5とは、圧縮コイルばね6によって互いに離れる方向に常時弾発付勢され、そのような付勢作用によって回転入力輪体5の摺動面52が、摩擦板42のパッド44に常時押し付けられている。このため、モータの回転が回転入力輪体5に伝達されると、その回転入力輪体5の摺動面52と摩擦板42のパッド44との摺動箇所で生じる摩擦抵抗によって摩擦板42が回転入力輪体5に追従して回転し、その摩擦板42に直結されている駆動歯車4も回転入力輪体5に追従して回転する。そして、駆動歯車4側で一定以上の大きさの負荷が発生すると、その負荷が上記摺動箇所での摺動面52とパッド44との擦れ合いによって吸収される。駆動歯車4側に加えられる負荷としては、図示していないキャプスタンとピンチローラとによって磁気テープを挟んで一定速度で走行させるのに伴って発生する負荷がある。
 一方、磁気テープ装置は、磁気テープの走行速度として、通常速度での送りモード(通常送りモード)と高速での早送りモードとを選択することができるようになっている。この2つの走行モードは、駆動歯車4の回転速度を2段階に切り換えて図4で説明したリール台95,96の回転速度を変化させることによって選択される。そして、このような磁気テープ走行モードの切り換えを可能にするために、図5で説明した回転を伝達するための構造にクラッチ板7が付加されている。
 このクラッチ板7は、駆動歯車4に具備されて円環状に配列された複数のガイド片45によって軸線方向でのみ移動可能に配備されたクラッチ板本体72と、このクラッチ板本体72と回転入力輪体5との間に介在されてクラッチ板7を常時上方へ付勢しているばね体73と、クラッチ板本体72と回転入力輪体5とに振り分けて設けられてクラッチ板7が下降したときに噛み合う噛合い歯74,75とを備えている。そして、通常送りモードでは、図示のようにクラッチ板7がばね体73により上方へ押し上げられることにより初期位置に位置して上記噛合い歯74,75の噛合いが解除されていて、回転入力輪体5の回転が、この回転入力輪体5の摺動面52と摩擦板42のパッド44との摩擦抵抗を介して駆動歯車4に伝達される。これに対し、磁気テープの早送りや巻戻しのような早送りモードでは、クラッチ板7が図示していない制御部材によりばね体73の付勢に抗して押し下げられて噛合い歯74,75が噛み合い、回転入力輪体5の回転がそのまま駆動歯車4に伝達される。
 図5で説明した基本構成を備える磁気テープ走行モード切換え装置では、通常送りモードと早送りモードとのそれぞれにおいて、回転入力輪体5が正方向又は逆方向に回転することによって磁気テープの走行方向が正方向と逆方向とに切り換えられる。
 ところで、上記磁気テープ走行モード切換え装置において、回転入力輪体5を摩擦板42に押し付ける作用を果たしている圧縮コイルばね6は、次の構成を採用することによって駆動歯車4やクラッチ板7に対し回り止めされており、そうすることによって回転入力輪体5や駆動歯車4が回転するときの振れや傾動などを抑制している。この点を図6又は図7を参照して説明する。
 図6は駆動歯車4とその駆動歯車4に円環状に配列されている複数のガイド片45の内側に嵌合されている圧縮コイルばね6とを下方から見て示した底面図、図7(A)は圧縮コイルばね6の平面図、同(B)は圧縮コイルばね6の部分側面図である。
 図7のように、圧縮コイルばね6は、その巻線の一端部及び他端部を径方向外側に折り曲げる(曲成する)ことによって形成された一端フック部61と他端フック部65とを備えていて、それらのフック部61,65の開き角度が捩れ方向無負荷状態で90度又は略90度に定められていた。そして、図6で判るように、一端フック部61が駆動歯車4の相隣接する一対のガイド片45,45の相互間に形成された第1係止溝部46に嵌合係止されているのに対し、他端フック部65が、クラッチ板7に具備されて圧縮コイルばね6が貫挿されている筒部78に備わっている第2係止溝部76に嵌合係止されていて、第1係止溝部46と一端フック部61との第1係止箇所イと、第2係止溝部76と他端フック部65との第2係止箇所ロとの圧縮コイルばね6の軸線回りでの開き角度を90に定めており、かつ、第2係止溝部76の溝低77と他端フック部65の先端との間に隙間hを形成した状態で、他端フック部65と第2係止溝部76との掛り幅dを確保することによって、他端フック部65を第2係止溝部76に対してクラッチ板7の軸線方向に相対移動可能としている。
 一方、圧縮コイルばね6の一端側輪部6は、その一端側輪部6のリード角βに見合って傾斜しているのに対し、その一端側輪部62が弾接している駆動歯車4の受面47は、その駆動歯車4の回転軸線に対して直交する平坦面として形成されている。このため、圧縮コイルばね6には、当該圧縮コイルばね6を傾かせようとする荷重(傾斜荷重)が作用し、その荷重の影響によって、回転入力輪体5の回転時などに圧縮コイルばね6が駆動歯車4の回転軸線に対して振れたり傾動したりするという事態が起こり得る。
 他の従来例として、アイドラー駆動装置あるいはリールトルク装置として、上記したクラッチ板に相当する部材やその部材を圧縮コイルばねによって常時一方向に付勢する構造を採用したものが知られている(特許文献1又は特許文献2参照)。
特開平5−128650号公報 特開平6−176448号公報
 しかしながら、図7に示した形状ないし構造の圧縮コイルばね6を採用した従来の磁気テープ走行モード切換え装置では、図6を参照して既述したように、圧縮コイルばね6に加わる傾斜荷重の影響によって、圧縮コイルばね6が駆動歯車4の回転軸線に対して振れたり傾動したりするという事態が起こり得るので、そのような圧縮コイルばねの不安定な挙動のために、図6で説明した第2係止溝部76の溝低77に他端フック部65の先端が干渉したり、場合によっては第2係止溝部76の溝低77に他端フック部65の先端が引掛かったままになって、クラッチ板7の上下動が円滑に行われなくなるというおそれがあった。たとえば、クラッチ板7が押し下げられて早送りモードに設定されているときに、第2係止溝部76の溝低77に他端フック部65の先端が引掛かったままになって、クラッチ板7が初期位置(図5で示した位置)に円滑に復帰しなくなるといった事態の起こるおそれがあった。また、圧縮コイルばね6の上記した不安定な挙動のために、他端フック部65が第2係止溝部76から外れてしまって、圧縮コイルばね6の不安定な挙動がさらに顕著になり、そのために、磁気テープ走行安定性が損なわれて画像や音の周波数が変動してしまうというおそれがあった。
 そこで、本願考案者は、圧縮コイルばね6の形状を図8を示したものに変更することによって、圧縮コイルばね6に加わる傾斜荷重を軽減することを試みた。
 図8(A)は圧縮コイルばね6の平面図、同(B)は圧縮コイルばね6の側面図である。この圧縮コイルばね6において、図7で説明したものと異なる点は、一端側輪部62に水平円弧部62aを具備させ、その水平円弧部62aを、図5に示した駆動歯車4の平坦な受面47に弾接させるようにしてある。この構成であると、図7で説明した圧縮コイルばね6を用いる場合に比べると、圧縮コイルばね6の不安定な挙動が幾分かは軽減されるものの、そのような不安定な挙動に起因して起こり得る上述の事態、すなわち、第2係止溝部76の溝低77に他端フック部65の先端が干渉したり引掛かったままになるといった事態や、他端フック部65が第2係止溝部76から外れてしまうといった事態を満足のいく程度に改善するには至らなかった。
 そこで、次善策として、図6に示した第2係止溝部76の溝深さを深くしたり他端フック部65の突出長さを長くすることによって、隙間hの広さや掛り幅dを十分に大きくすることも考えられるけれども、そのようにすると、クラッチ板7の外周直径を大きくせざるを得ないので、そのクラッチ板7が大形化し、ひいては、磁気テープ走行モード切換え装置の全体形状が大形化するので好ましくない。
 本考案は以上の状況の下でなされたものであり、クラッチ板を付勢するための圧縮コイルばねの形状ないし構造及び第1又は第2のいずれかの係止溝部の位置に変更を加えるだけで、磁気テープ走行モード切換え装置の全体形状を大形化させることなく、圧縮コイルばねの不安定な挙動に起因するクラッチ板の動作安定性ないし動作円滑性や磁気テープ走行安定性を確保することのできる磁気テープ走行モード切換え装置を提供することを目的とする。
 本考案に係る磁気テープ走行モード切換え装置は、アイドル歯車に常時噛み合いそのアイドル歯車の首振り運動を通じて左右のリール台を択一的に回転させる正逆回転可能な駆動歯車と、モータの回転が伝達される回転入力輪体と、上記駆動歯車の軸部に連結されて上記回転入力輪体の回転を摩擦抵抗を介して上記駆動歯車に伝達する摩擦板と、上記駆動歯車の軸部に外嵌されていて上記回転入力輪体を摩擦板に弾圧させるための圧縮コイルばねと、回転入力輪体に対する直結位置と回転入力輪体から離れた遮断位置との間で軸線方向に移動可能で遮断位置側に常時弾発付勢されかつ上記駆動歯車に軸線方向でのみ移動可能に連結されたクラッチ板と、を有し、上記圧縮コイルばねの一端側輪部が上記駆動歯車に備わっている回転軸線に対して直交する平坦な受面に弾接していると共にその圧縮コイルばねの巻線を曲成することにより上記一端側輪部から径方向外側に突出された一端フック部が上記駆動歯車に具備された第1係止溝部に係止され、かつ、上記圧縮コイルばねの他端側輪部で上記巻線を曲成することにより径方向外側に突出された他端フック部が、上記クラッチ板に具備された第2係止溝部にクラッチ板の軸線方向相対移動可能に嵌合係止されている、という基本構成を備えている。
 そして、上記第1係止溝部と上記一端フック部との第1係止箇所と、上記第2係止溝部と上記他端フック部との第2係止箇所との圧縮コイルばねの軸線回りでの開き角度を90度よりも大きい角度に定めてあり、上記第2係止溝部の溝低と上記他端フック部の先端との間に隙間を形成したものである。
 この構成を採用すると、圧縮コイルばねが駆動歯車の軸線に対して振れたり傾動したりしても、他端フック部の振れ幅が小さく抑えられる。そのために、磁気テープ走行モード切換え装置の全体形状を大形化させることなく、圧縮コイルばねの不安定な挙動に起因するクラッチ板の動作安定性ないし動作円滑性や磁気テープ走行安定性の低下が抑制される。
 本考案では、特に、上記開き角度を180度に定めてあることが望ましい。この構成であると、圧縮コイルばねが駆動歯車の軸線に対して振れたり傾動したりしても、他端フック部がほとんど振れなくなり、磁気テープ走行モード切換え装置の全体形状を大形化させることなく、圧縮コイルばねの不安定な挙動に起因するクラッチ板の動作安定性ないし動作円滑性や磁気テープ走行安定性を向上させることができた。その理由は次の通りである。すなわち、圧縮コイルばねの振れや傾動は、駆動歯車の受面に弾接している一端フック部を支点としてその一端フック部の片側と他側とに向かう両方向に向けて起こるので、他端フック部の位置を一端フック部に対して180度変位した位置にしておくと、他端フック部が圧縮コイルばねの径方向に変位するという事態が起こりにくくなる。そのために、圧縮コイルばねの振れや傾動の影響によって第2係止溝部の溝低と他端フック部の先端との間の隙間の広さが変動したり他端フック部の掛り幅が変動したりすることが起こりにくくなるからである。
 本考案において、上記開き角度は、上記圧縮コイルばねに軸線方向の圧縮荷重だけが加わっているときの開き角度であることが望ましく、この構成であると、駆動歯車の第1係止溝部やクラッチ板の第2係止溝部に無理な力が加わらなくなって、磁気テープ走行安定性を損なうような力が発生しにくい。
 本考案に係る磁気テープ走行モード切換え装置は、アイドル歯車に常時噛み合いそのアイドル歯車の首振り運動を通じて左右のリール台を択一的に回転させる正逆回転可能な駆動歯車と、モータの回転が伝達される回転入力輪体と、上記駆動歯車の軸部に連結されて上記回転入力輪体の回転を摩擦抵抗を介して上記駆動歯車に伝達する摩擦板と、上記駆動歯車の軸部に外嵌されていて上記回転入力輪体を摩擦板に弾圧させるための圧縮コイルばねと、回転入力輪体に対する直結位置と回転入力輪体から離れた遮断位置との間で軸線方向に移動可能で遮断位置側に常時弾発付勢されかつ上記駆動歯車に軸線方向でのみ移動可能に連結されたクラッチ板と、を有し、上記圧縮コイルばねの一端側輪部が上記駆動歯車に備わっている回転軸線に対して直交する平坦な受面に弾接していると共にその圧縮コイルばねの巻線を曲成することにより上記一端側輪部から径方向外側に突出された一端フック部が上記駆動歯車に具備された第1係止溝部に係止され、かつ、上記圧縮コイルばねの他端側輪部で上記巻線を曲成することにより径方向外側に突出された他端フック部が、上記クラッチ板に具備された第2係止溝部にクラッチ板の軸線方向相対移動可能に嵌合係止されている磁気テープ走行モード切換え装置において、上記第1係止溝部と上記一端フック部との第1係止箇所と、上記第2係止溝部と上記他端フック部との第2係止箇所との圧縮コイルばねの軸線回りでの開き角度を180度に定めてあり、上記第2係止溝部が、上記クラッチ板に形成されて上記圧縮コイルばねが貫挿された筒部に備わり、その第2係止溝部の溝低と上記他端フック部の先端との間に隙間を形成してあり、上記開き角度は、上記圧縮コイルばねに軸線方向の圧縮荷重だけが加わっているときの開き角度である、という構成を採用することによっていっそう具体化される。この考案の作用については、実施形態を参照して後述することにする。
 本考案に係る磁気テープ走行モード切換え装置は、クラッチ板を付勢するための圧縮コイルばねの形状ないし構造及び第1又は第2のいずれかの係止溝部の位置に変更を加えるだけで、磁気テープ走行モード切換え装置の全体形状を大形化させることなく、圧縮コイルばねの不安定な挙動に起因するクラッチ板の動作安定性ないし動作円滑性や磁気テープ走行安定性を確保することができる。そのため、部品点数の増加によるコストアップを来さずに、再生ないし記録性能の安定性が高まるという効果が奏される。
 図1は本考案の実施形態に係る磁気テープ走行モード切換え装置の要部を示した底面図で、図6に相応している。図2(A)は圧縮コイルばね6の平面図、同(B)は圧縮コイルばね6の部分側面図、図3(A)は変形例による圧縮コイルばね6の平面図、同(B)は同(A)の圧縮コイルばね6の部分側面図である。
 この実施形態において、圧縮コイルばね6は、図2(A)(B)のように、一端フック部61と他端フック部65とは、捩れ方向無負荷状態で互いに180度変位した箇所に形成されている。言い換えると、圧縮コイルばね6に軸線方向の圧縮荷重だけが加わっているときのそれぞれのフック部61,65の開き角度が180度に定められている。この点で図7や図8で説明したものと相違している。また、図1のように、第2係止溝部76は、図6で説明したそれよりも90度だけ変位した箇所に設けられている。そして、一端フック部61が駆動歯車4の第1係止溝部46に嵌合係止され、他端フック部65が第2係止溝部76に嵌合係止されている。したがって、第1係止溝部46と一端フック部61との第1係止箇所イと、第2係止溝部76と他端フック部65との第2係止箇所ロとの圧縮コイルばね6の軸線回りでの開き角度が180度になっている。また、第2係止溝部76の溝低77と他端フック部65の先端との間に隙間h1を形成した状態で、他端フック部65と第2係止溝部76との掛り幅d1を確保することによって、他端フック部65を第2係止溝部76に対してクラッチ板7の軸線方向に相対移動可能としている。
 その他の基本構成は、図5で説明したところと同様であるので説明を省略して説明の重複を避けることとする。
 この構成を備えた磁気テープ走行モード切換え装置において、駆動歯車4や回転入力輪体5(図5参照)の回転に伴って生じる圧縮コイルばね6の振れや傾動は、駆動歯車4の平坦な受面47に弾接している一端フック部61を支点としてその一端フック部61の片側と他側とに向かう両方向に向けて起こるので、他端フック部65が圧縮コイルばね6の径方向に変位するという事態が起こりにくい。そのために、圧縮コイルばね6の振れや傾動の影響によって第2係止溝部76の溝低77と他端フック部65の先端との間の隙間h1の広さが変動したり他端フック部65の掛り幅d1が変動したりすることが起こりにくい。このことより、隙間h1を狭くし、掛り幅d1を小さくしてクラッチ板5(図5参照)を小形化しても、クラッチ板7が押し下げられて早送りモードに設定されているときに、第2係止溝部76の溝低77に他端フック部65の先端が引掛かったままになって、クラッチ板7が初期位置(図5で示した位置)に円滑に復帰しなくなるといった事態の起こるおそれがなくなり、また、他端フック部65が第2係止溝部76から外れてしまって圧縮コイルばね6の不安定な挙動が顕著になり、磁気テープ走行安定性が損なわれて画像や音の周波数が変動してしまうという事態が起こらなくなる。その上、第1係止溝部46と一端フック部61との第1係止箇所イと、第2係止溝部76と他端フック部65との第2係止箇所ロとの圧縮コイルばね6の軸線回りでの開き角度を180度に定めることによって、駆動歯車の第1係止溝部46やクラッチ板の第2係止溝部76に無理な力が加わらない構成としてあるので、無理な力によって磁気テープ走行安定性を損なうことがない。
 この実施形態では、第1係止溝部46と一端フック部61との第1係止箇所イと、第2係止溝部76と他端フック部65との第2係止箇所ロとの圧縮コイルばね6の軸線回りでの開き角度を180度に定めることによって、圧縮コイルばね6の振れや傾動による他端フック部65の変位を抑制しているけれども、この作用は、開き角度を90度よりも大きい角度に定めることによってあるい程度達成することができる。たとえば、図3(A)(B)に示した変形例では、一端フック部61と他端フック部65との捩れ方向無負荷状態での開き角度を90度より大きくて180度に近い角度に定め、上記第1係止箇所と第2係止箇所との開き角度をそれと同一に定めるようにしてある。このようにしておくと、少なくとも、図6で説明した第1係止箇所イと第2係止箇所ロとの開き角度が90度の場合に比べて、圧縮コイルばね6の振れや傾動による他端フック部65の変位を抑制することが可能である。
本考案の実施形態に係る磁気テープ走行モード切換え装置の要部を示した底面図である。 (A)は圧縮コイルばねの平面図、(B)は圧縮コイルばねの部分側面図である。 (A)は変形例による圧縮コイルばねの平面図、(B)は(A)の圧縮コイルばねの部分側面図である。 磁気テープ装置の要部を例示した説明図である。 磁気テープ走行モード切換え装置の基本構成を説明するための縦断面図である。 従来の磁気テープ走行モード切換え装置の要部を示した底面図である (A)は圧縮コイルばねの平面図、(B)は圧縮コイルばねの部分側面図である。 (A)は圧縮コイルばねの平面図、(B)は圧縮コイルばねの側面図である。
符号の説明
 2 支軸(軸部)
 4 駆動歯車
 5 回転入力輪体
 6 圧縮コイルばね
 7 クラッチ板
 9 アイドル歯車
 42 摩擦板
 46 第1係止溝部
 47 受面
 61 一端フック部
 62 圧縮コイルばねの一端側輪部
 65 他端フック部
 76 第2係止溝部
 77 溝低
 78 筒部
 95,96 リール台
 イ 第1係止箇所
 ロ 第2係止箇所
 h1 隙間

Claims (4)

  1. アイドル歯車に常時噛み合いそのアイドル歯車の首振り運動を通じて左右のリール台を択一的に回転させる正逆回転可能な駆動歯車と、モータの回転が伝達される回転入力輪体と、上記駆動歯車の軸部に連結されて上記回転入力輪体の回転を摩擦抵抗を介して上記駆動歯車に伝達する摩擦板と、上記駆動歯車の軸部に外嵌されていて上記回転入力輪体を摩擦板に弾圧させるための圧縮コイルばねと、回転入力輪体に対する直結位置と回転入力輪体から離れた遮断位置との間で軸線方向に移動可能で遮断位置側に常時弾発付勢されかつ上記駆動歯車に軸線方向でのみ移動可能に連結されたクラッチ板と、を有し、
     上記圧縮コイルばねの一端側輪部が上記駆動歯車に備わっている回転軸線に対して直交する平坦な受面に弾接していると共にその圧縮コイルばねの巻線を曲成することにより上記一端側輪部から径方向外側に突出された一端フック部が上記駆動歯車に具備された第1係止溝部に係止され、かつ、上記圧縮コイルばねの他端側輪部で上記巻線を曲成することにより径方向外側に突出された他端フック部が、上記クラッチ板に具備された第2係止溝部にクラッチ板の軸線方向相対移動可能に嵌合係止されている磁気テープ走行モード切換え装置において、
     上記第1係止溝部と上記一端フック部との第1係止箇所と、上記第2係止溝部と上記他端フック部との第2係止箇所との圧縮コイルばねの軸線回りでの開き角度を180度に定めてあり、上記第2係止溝部が、上記クラッチ板に形成されて上記圧縮コイルばねが貫挿された筒部に備わり、その第2係止溝部の溝低と上記他端フック部の先端との間に隙間を形成してあり、上記開き角度は、上記圧縮コイルばねに軸線方向の圧縮荷重だけが加わっているときの開き角度であることを特徴とする磁気テープ走行モード切換え装置。
  2. アイドル歯車に常時噛み合いそのアイドル歯車の首振り運動を通じて左右のリール台を択一的に回転させる正逆回転可能な駆動歯車と、モータの回転が伝達される回転入力輪体と、上記駆動歯車の軸部に連結されて上記回転入力輪体の回転を摩擦抵抗を介して上記駆動歯車に伝達する摩擦板と、上記駆動歯車の軸部に外嵌されていて上記回転入力輪体を摩擦板に弾圧させるための圧縮コイルばねと、回転入力輪体に対する直結位置と回転入力輪体から離れた遮断位置との間で軸線方向に移動可能で遮断位置側に常時弾発付勢されかつ上記駆動歯車に軸線方向でのみ移動可能に連結されたクラッチ板と、を有し、
     上記圧縮コイルばねの一端側輪部が上記駆動歯車に備わっている回転軸線に対して直交する平坦な受面に弾接していると共にその圧縮コイルばねの巻線を曲成することにより上記一端側輪部から径方向外側に突出された一端フック部が上記駆動歯車に具備された第1係止溝部に係止され、かつ、上記圧縮コイルばねの他端側輪部で上記巻線を曲成することにより径方向外側に突出された他端フック部が、上記クラッチ板に具備された第2係止溝部にクラッチ板の軸線方向相対移動可能に嵌合係止されている磁気テープ走行モード切換え装置において、
     上記第1係止溝部と上記一端フック部との第1係止箇所と、上記第2係止溝部と上記他端フック部との第2係止箇所との圧縮コイルばねの軸線回りでの開き角度を90度よりも大きい角度に定めてあり、上記第2係止溝部の溝低と上記他端フック部の先端との間に隙間を形成してあることを特徴とする磁気テープ走行モード切換え装置。
  3. 上記開き角度を180度に定めてある請求項2に記載した磁気テープ走行モード切換え装置。
  4. 上記開き角度は、上記圧縮コイルばねに軸線方向の圧縮荷重だけが加わっているときの開き角度である請求項2又は請求項3に記載した磁気テープ走行モード切換え装置。
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