JP3098582B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JP3098582B2 JP03227144A JP22714491A JP3098582B2 JP 3098582 B2 JP3098582 B2 JP 3098582B2 JP 03227144 A JP03227144 A JP 03227144A JP 22714491 A JP22714491 A JP 22714491A JP 3098582 B2 JP3098582 B2 JP 3098582B2
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壮一 木村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、光ファイバ−通信等
に利用される長波長帯半導体レ−ザ等の半導体発光素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レ−ザは通常活性層を含むダブル
ヘテロ接合を第1のエピタキシャル成長により形成し、
ストライプエッチングにより発振領域を限定した後、第
2のエピタキシャル成長によりストライプを埋め込むこ
とによって作製される。このとき発振領域以外の領域に
はPNPN構造のサイリスタが形成され、電流阻止領域
となる。このサイリスタがOFF状態を保っている限
り、電流は発振領域に集中し、良好な発振効率が維持さ
れる。従って、サイリスタのON電圧を高くすることが
レ−ザの性能を向上させることになる。特に高温動作時
や高出力動作時においてはレ−ザにかかる電圧が高くな
るため、高いON電圧を有するサイリスタを形成する必
要がある。この方法としては、アイ イ− イ− イ−
ジャ−ナルオブ ライトウェ−ブ テクノロジ− (I
EEE JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY) 第LT−2巻
第4号(1984年8月)第496ペ−ジにも記載され
ているように、サイリスタの構造をPNPQN(Qは4
元層)とし、禁制帯幅の小さいQ層を入れることにより
電子の注入効率を小さくしてON電圧を高くするやりか
たがある。この構造を用いた半導体発光素子の一例を図
4に示す。これは、アイイ− イ− イ− ジャ−ナル
オブ ライトウェ−ブ テクノロジ− (IEEE JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY) 第LT−1巻第1
号(1983年3月)第195ペ−ジにも記載されてい
るように、DC−PBH型と呼ばれており、高出力、高
温動作等の良好な特性が得られている。
【0003】以下従来の半導体発光素子について説明す
る。図4は従来の半導体発光素子であるDC−PBH型
レーザの要部断面図である。図に示すように従来の半導
体発光素子は、N型InP基板51の上にN型InPバ
ッファ層52、InGaAsP活性層53、P型InP
クラッド層54、P型InPブロック層55、N型In
Pブロック層56、P型InP埋め込み層57、P型I
nGaAsPキャップ層58が形成されており、一部に
メサストライプを形成するための溝59を有している。
60はメサストライプ、61は発振領域である。
【0004】このように、InGaAsP活性層53を
含み、溝59の外側にP型InP埋め込み層57から下
の方にN型InPバッファ層52にいたる層がPNPQ
N構造のサイリスタを形成しており、電流阻止領域のO
N電圧を高くすることができる。そのために、高出力動
作時においても発振領域61に有効に電流が注入され、
良好な発振効率が維持される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のDC−PBH型レ−ザは、特性面では非常に優れる
が、作製工程において以下のような課題を有している。
DC−PBH型レ−ザではPNPQN構造のサイリスタ
を形成するために、第2のエピタキシャル成長において
P型InPブロック層55とN型InPブロック層56
とP型InP埋め込み層57とP型InGaAsPキャ
ップ層58を成長させるが、このときP型InPブロッ
ク層55とN型InPブロック層56はメサストライプ
60の上部には成長させないようにしている。これはメ
ルト溶液中の過飽和度を厳密に制御し、溝59の段差部
の成長速度の速い領域を利用して、メサストライプ60
の上部の過飽和度をなくし成長させないようにしてい
る。ところが、わずかに過飽和度が変動したり、溝59
の段差部の形状がわずかに異なった場合では、メサスト
ライプ60の上部にわずかに過飽和度がつき成長するこ
とがある。さらに、メサストライプ60の上部に結晶が
成長しない場合でも過飽和度がわずかに小さくなると、
溝59の肩の部分でN型InPブロック層56が途切れ
ることが生じる。これらのことによりDC−PBH型レ
−ザは、その構造上における問題から再現性良く形成す
ることが困難であり、歩留りが低く生産性が悪いという
問題を有していた。
【0006】この発明は上記従来の問題を解決するもの
で、優れた特性を有し、再現性が良く高い歩留りと生産
性が得られる半導体発光素子を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
にこの発明の半導体発光素子は、発振領域とその両側に
形成された一対の電流阻止領域とを有した半導体発光素
子であって、発振領域下部に所定の幅と高さのメサスト
ライプが形成されたP型の半導体基板と、メサストライ
部分を除く半導体基板上の一対の電流阻止領域に選択
に形成されたN型の第1の半導体層と、第1の半導体
層およびメサストライプ上に形成されたP型の第2の半
導体層と、第2の半導体層上の一対の電流阻止領域内の
所定領域および発振領域に選択的に形成された4元混晶
第3の半導体層と、第3の半導体層上に形成された
の第4の半導体層とを備えて、一対の電流阻止領域に
は半導体基板および第1ないし第4の半導体層からなる
PNPQN構造のサイリスタが形成されたことを特徴と
する。
【0008】
【作用】この構成によって、作製時に溶液の過飽和度を
厳密に制御する必要なく、メサストライプを除く領域に
半導体基板および第1ないし第4の半導体層からなるP
NPQN構造の高いON電圧を有するサイリスタを含む
電流阻止領域を形成することができるため、高温動作時
や高出力動作時においても高い発振効率を維持するとい
う優れた特性を有するとともに、製作上再現性が良く高
い歩留りと生産性が得られる。
【0009】
【実施例】この発明の一実施例における半導体発光素子
についてInGaAsP/InP系レ−ザを例として図
面を参照しながら説明する。図1はこの発明の一実施例
における半導体発光素子の断面図である。この半導体発
光素子は、メサストライプ13が形成されたP型InP
基板(半導体基板)1上に、第1のエピタキシャル成長
によりN型InPブロック層(第1の半導体層)2とP
型InPバッファ層(第2の半導体層)3とInGaA
sP活性層(第3の半導体層)4とN型InPクラッド
層(第4の半導体層)5を積層し、InGaAsP活性
層4とN型InPクラッド層5を選択的に除去し、第2
のエピタキシャル成長によりP型InP埋め込み層(第
5の半導体層)6とN型InP電流阻止層(第6の半導
体層)7とP型InP電流阻止層(第7の半導体層)8
とN型InP埋め込み層(第8の半導体層)9を成長さ
せ、最後にN側電極10とP側電極11を形成してい
る。
【0010】この半導体発光素子において、電流は、P
型InP基板1のメサストライプ13よりP型InPバ
ッファ層3を通って発振領域12へ有効に注入される。
電流阻止領域14は、InGaAsP活性層4を含めた
PNPQN構造のサイリスタとなっているため、ON電
圧が高く高温動作時や高出力動作時においてもOFF状
態を保つことができ、高い発振効率を維持することがで
きる。
【0011】次に、この半導体発光素子の第1の作製方
法について説明する。図2(a)〜(c)はこの第1の
作製方法を示す工程断面図である。まず、同図(a)に
示すように,P型InP基板1の上に通常のフォトリソ
グラフィ工程とエッチング工程によりメサストライプ1
3を形成する。メサストライプ13の幅と高さは、それ
ぞれ約2μmと約0.7μmとする。
【0012】次に、同図(b)に示すように、第1の液
相エピタキシャル成長によりN型InPブロック層2と
P型InPバッファ層3とInGaAsP活性層4とN
型InPクラッド層5を積層する。このとき,N型In
Pブロック層2はメサストライプ13の上を除いて選択
的に成長させる。これは二相融液法を用いることにより
容易に行なうことができる。二相融液法は、InP結晶
をメルト溶液中に過剰に入れることにより、溶液の過飽
和度を安定して小さく抑えることができるため、メサス
トライプ13のような段差の上部では過飽和度がなくな
り成長しない。これは、厳密に過飽和度を制御して成長
しなければならないDC−PBH型に比べて非常に容易
に実施できるものである。各層の厚みは、N型InPブ
ロック層2を0.7μm、P型InPバッファ層3を
0.5μm、InGaAsP活性層4を0.1μm、N
型InPクラッド層5を0.7μmとした。
【0013】次に、同図(c)に示すように、通常のフ
ォトリソグラフィ工程とエッチング工程により、InG
aAsP活性層4とN型InPクラッド層5を選択的に
除去しメサストライプ15を形成する。これは、N型I
nPクラッド層5の選択エッチングとして塩酸(HC
l)を用い、InGaAsP活性層4の選択エッチング
として硫酸(H2 SO4 ):過酸化水素水(H22
を用いることにより容易に行なうことができる。
【0014】次に、第2の液相エピタキシャル成長によ
りP型InP埋め込み層6とN型InP電流阻止層7と
P型InP電流阻止層8とN型InP埋め込み層9を成
長させる。P型InP埋め込み層6とN型InP電流阻
止層7とP型InP電流阻止層8は、N型InPブロッ
ク層2の成長と同様、二相融液法により成長する。これ
により、容易にメサストライプ15の上を除いて選択的
に成長させることができる。第2の液相エピタキシャル
成長後、N側電極10とP側電極11を形成し、図1に
示す半導体発光素子とする。
【0015】この作製方法の特長は、N型InPブロッ
ク層2とP型InP埋め込み層6とN型InP電流阻止
層7とP型InP電流阻止層8を二相融液法を用いて成
長できる点にある。これにより、溶液の過飽和度を厳密
に制御する必要がなくなり、非常に再現性良く作製でき
るとともに、歩留りを向上させることができ、生産性に
優れている。
【0016】次に、この半導体発光素子の第2の作製方
法について説明する。図3(a)は第2の作製方法を説
明するための工程断面図、同図(b)は同図(a)の要
部拡大図である。まず第1の作製方法と同様に、図2
(a)に示すようにP型InP基板1上に通常のフォト
リソグラフィ工程とエッチング工程によりメサストライ
プ13を形成する。
【0017】次に図3(a)に示すように、第1の液相
エピタキシャル成長によりN型InPブロック層21と
P型InPバッファ層22とInGaAsP活性層23
とN型InPクラッド24を積層するのであるが、第1
の作製方法と異なるところは、第1層目のN型InPブ
ロック層21をメサストライプ13の上にも成長させる
ところにある。N型InPブロック層21の厚みを1μ
mとすれば、メサストライプ13の上に約0.3μm成
長する。InP系の場合、通常P型のド−パントとして
亜鉛(Zn)をもちいるが、Znは拡散係数が大きいた
め成長中にN型層への拡散が起きる。この様子を図3
(b)に示す。
【0018】図3(b)は、図3(a)のメサストライ
プ上部25を拡大したものであるが、成長中にP型In
P基板1とP型InPバッファ層22からZnがN型I
nPブロック層21へ拡散した状態を示している。P型
InP基板1からN型InPブロック層21へZnが拡
散してP型に反転した部分が反転領域26であり、P型
InPバッファ層22からN型InPブロック層21へ
Znが拡散してP型に反転した部分が反転領域27であ
る。この反転領域26,27の深さはP型とN型のキャ
リア濃度の差によって決まる。N型InPブロック層2
1のキャリア濃度に対してP型InP基板1のキャリア
濃度を約3倍、P型InPバッファ層22のキャリア濃
度を約1.5倍としたとき、反転深さ、すなわち反転領
域26と反転領域27の幅は、それぞれ約0.2μmと
約0.1μmとなる。したがって図3(b)に示すよう
に、メサストライプ13の上で反転領域26と反転領域
27がつながり、P型InP基板1とP型InPバッフ
ァ層22を電気的に導通させることができる。
【0019】以降の工程は第1の作製方法と全く同様で
ある。この第2の作製方法の特長は、N型InPブロッ
ク層21をメサストライプ13の上にも成長させること
ができる点にある。これにより、溶液の過飽和度を厳密
に制御する必要がなくなり、非常に再現性良く作製する
ことができるとともに、歩留りを向上させることがで
き、生産性に優れている。
【0020】次に、このようにして作製されたこの実施
例の半導体発光素子の特性について説明する。発振しき
い値は約15mA、外部微分量子効率として片面当り約
27%が得られた。また、最大光出力65mW、最高発
振温度として125℃が得られた。このような高出力、
高温動作が得られたのは、電流阻止領域14のPNPQ
Nサイリスタが有効に働いているためと考えられる。
【0021】なお、この実施例ではInGaAsP/I
nP系について説明したが,他の化合物半導体材料(例
えばAlGaAs/GaAs系)でも構わない。
【0022】
【発明の効果】以上のようにこの発明は、作製時に溶液
の過飽和度を厳密に制御する必要なく、メサストライプ
を除く領域に半導体基板および第1ないし第4の半導体
層からなるPNPQN構造の高いON電圧を有するサイ
リスタを含む電流阻止領域を形成することができる優れ
た半導体発光素子を実現できるものである。また作製
上、非常に再現性が良く、高い歩留まりと生産性が得ら
れるものであり、その工業的価値は十分大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例における半導体発光素子の
断面図である。
【図2】同実施例における半導体発光素子の第1の作製
方法を示す工程断面図である。
【図3】(a)は同実施例における半導体発光素子の第
2の作製方法を説明するための工程断面図、(b)は同
図(a)の要部拡大図である。
【図4】従来の半導体発光素子の要部断面図である。
【符号の説明】
1 P型InP基板(半導体基板) 2 N型InPブロック層(第1の半導体層) 3 P型InPバッファ層(第2の半導体層) 4 InGaAsP活性層(第3の半導体層) 5 N型InPクラッド層(第4の半導体層) 6 P型InP埋め込み層(第5の半導体層) 7 N型InP電流阻止層(第6の半導体層) 8 P型InP電流阻止層(第7の半導体層) 9 N型InP埋め込み層(第8の半導体層) 13 メサストライプ 14 電流阻止領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50 H04B 10/02 H04B 10/28

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発振領域とその両側に形成された一対の
    電流阻止領域とを有した半導体発光素子であって、 前記発振領域下部に 所定の幅と高さのメサストライプが
    形成されたP型の半導体基板と、前記メサストライプ
    を除く半導体基板上の前記一対の電流阻止領域に選択
    に形成されたN型の第1の半導体層と、前記第1の半
    導体層および前記メサストライプ上に形成されたP型
    第2の半導体層と、前記第2の半導体層上の前記一対の
    電流阻止領域内の所定領域および前記発振領域に選択的
    に形成された4元混晶の第3の半導体層と、前記第3の
    半導体層上に形成されたN型の第4の半導体層とを備え
    て、前記一対の電流阻止領域には前記半導体基板および
    第1ないし第4の半導体層からなるPNPQN構造のサ
    イリスタが形成されたことを特徴とする半導体発光素
    子。
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