JP3098095B2 - 透湿性支持体を用いた貼付剤 - Google Patents

透湿性支持体を用いた貼付剤

Info

Publication number
JP3098095B2
JP3098095B2 JP04082038A JP8203892A JP3098095B2 JP 3098095 B2 JP3098095 B2 JP 3098095B2 JP 04082038 A JP04082038 A JP 04082038A JP 8203892 A JP8203892 A JP 8203892A JP 3098095 B2 JP3098095 B2 JP 3098095B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
patch
support
drug
film
moisture permeability
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04082038A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05279251A (ja
Inventor
哲久 宇田川
隆司 中川
唯夫 河盛
環 吉岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP04082038A priority Critical patent/JP3098095B2/ja
Publication of JPH05279251A publication Critical patent/JPH05279251A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3098095B2 publication Critical patent/JP3098095B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は透湿性支持体を用いた
貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】薬物の局所的もしくは全身的効果を目的
として、支持体の片面に薬物含有粘着剤層が設けられた
貼付剤や、支持体の片面に薬物のマトリックス層と粘着
剤層が形成された貼付剤が利用されている。
【0003】このような貼付剤の支持体としては不織布
や、合成樹脂フィルムなどが利用されている。合成樹脂
フィルムからなる支持体は、水蒸気や薬物を透過させな
いため、密封包帯療法効果が得られ、薬物を効果的に吸
収させることが可能である。しかしこのような素材の支
持体を使用すると、蒸れによる皮膚障害も又発生し易
い。そのため、比較的透湿性に優れたポリウレタン等の
支持体を用いたり、支持体を薄くしたり、穴をあける等
の方法によって透湿性を持たせた支持体が用いられてい
る。
【0004】しかし、ポリウレタンや薄いフィルムの場
合は、腰が弱い(自立性がない)ため、貼付時に粘着剤
同士がくっついたり、均一に貼付されずにしわになると
いう欠点がある。
【0005】また、フィルムに穴をあけた支持体を用い
た貼付剤が、例えば、特開平2─221218号公報や
特開昭57─64613号公報などに開示されている。
しかしながら、上記の貼付剤に用いられている多孔化の
方法のうち、溶融延伸によるものは空隙の大きさに広い
分布ができ、空隙率の調整が難しい。そのため、フィル
ムの透湿度の制御が困難であり、空隙が大きすぎると粘
着剤がしみ出してくるという欠点がある。
【0006】また、延伸により多孔化ができる合成樹脂
は、主にポリオレフィン系のものであり、それ以外の合
成樹脂は、延伸による多孔化には適さない。予め合成樹
脂に充填剤や発泡剤を添加し、フィルム化した後、延
伸、抽出、及び加熱発泡などの処理を行って多孔化する
という方法は、延伸のみによる多孔化よりも孔径や孔密
度の制御が容易である。しかし、そのためには、添加剤
を界面活性剤を用いて合成樹脂中に均一に分散させるこ
とが必要で、ノウハウや技術がないとその制御はできな
いし、複雑な前処理、後処理が必要となる。
【0007】また、上記各方法により多孔化されたフィ
ルムには貫通孔だけでなく、貫通しない、つまり透湿度
に寄与しない穴もあいてしまうため、フィルムの強度が
弱くなるという欠点もある。また、針で穿孔して多孔化
するという方法は、数μm以下の孔径の孔をあけるのが
困難である。
【0008】一方、不織布を支持体に用いた貼付剤は、
非常に透湿性に優れているが、密封包帯療法効果が得ら
れないという欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
欠点を解決するものであり、その目的とするところは、
支持体に孔径及び孔密度の制御された貫通孔をあけるこ
とにより、適度の透湿度をもつ貼付剤を提供することで
ある。それにより、発汗によって生じた水分を効果的に
蒸発させ、皮膚障害を起こり難くすると共に、密封包帯
療法効果により薬物を効果的に利用することが可能にな
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は次の二つよりな
る。請求項1記載の透湿性支持体を用いた貼付剤は、合
成樹脂フィルム支持体の片面に、薬物含有の粘着剤層が
形成された貼付剤であって、該支持体には、予めレーザ
ー加工により、孔径0.1〜60μmの貫通孔が、孔密
度1〜50%となるように多数穿設され、貼付剤全体の
透湿度が100〜500g/m2 ・24hrとなされて
いることを特徴とする。請求項2記載の透湿性支持体を
用いた貼付剤は、合成樹脂フィルムと不織布又は織布と
の積層体を支持体とし、該支持体の合成樹脂フィルム面
に薬物含有の粘着剤層が形成された貼付剤であって、該
支持体には、予めレーザー加工により、孔径0.1〜6
0μmの貫通孔が、孔密度1〜50%となるように多数
穿設され、貼付剤全体の透湿度が100〜500g/m
2 ・24hrとなされていることを特徴とする。
【0011】以上により、上記目的が達成される。請求
項1記載の発明について、以下に説明する。本発明の貼
付剤の支持体に用いられる合成樹脂フィルムとしては、
例えば、ポリエチレン、ポリブデン、ポリプロピレン、
ポリイソプレン、ポリブタジエン等のオレフィン系合成
樹脂、スチレン─イソプレン─スチレンブロック(SI
S)共重合体、スチレン─ブタジエン─スチレンブロッ
ク共重合体、スチレン─エチレン─ブタジエン─スチレ
ンブロック共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、可塑化酢酸ビニル─塩化
ビニル共重合体、ナイロン、エチレン─酢酸ビニル共重
合体、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化
ビニリデン、シリコーン樹脂等のフィルムが挙げられ
る。
【0012】本発明に用いられる支持体としては、例え
ば、上記合成樹脂フィルムの単層又は二枚以上のフィル
ム積層体に、予めレーザー加工により貫通孔を多数穿設
し、多孔化したものが使用される。上記貫通孔の孔径
は、小さくなると十分な透湿度が得られず、大きくなる
と粘着剤がしみ出してくるので、0.1〜60μmの範
囲に限定される。また、貫通孔の孔密度は、小さくなる
と十分な透湿度が得られず、大きくなると透湿度が大き
くなって、密封包帯療法効果が得られなくなるので、1
〜50%の範囲に限定される。
【0013】ここでいう孔密度とは、支持体の全体積中
に占める孔体積の比率(%)を示す数値である。上記孔
径および孔密度は、水銀圧入法(水銀の圧入量と圧入圧
によって空隙率と孔径を測定する方法)により、ポロシ
ティメーターで測定する。
【0014】支持体を多孔化する方法として、レーザー
加工を用いることにより、均一な孔径を有する円柱状の
貫通孔を、所定の孔密度となるように開けることができ
るので、透湿度の制御が容易であり、従来の多孔化加工
法に比べて、フィルム強度の低下も起こらない。さら
に、レーザー加工には、被処理物に複雑な前処理や後処
理をする必要もなく、どんな種類の合成樹脂でも多孔化
することができ、特別なノウハウも必要としない等の利
点がある。
【0015】支持体として、目的に応じて、粘着剤との
密着性の良い合成樹脂フィルム、薬物移行のない素材の
合成樹脂フィルム、薬物安定性のいい素材の合成樹脂フ
ィルムなど、様々な粘着剤組成や薬物組成に適したフィ
ルムを選択し、レーザー加工により多孔化することによ
り、透湿度の制御ができる。
【0016】本発明に用いられる粘着剤としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合
体;スチレン─イソプレン─スチレンブロック共重合
体、スチレン─ブタジエンゴム、ポリブデン、ポリイソ
プレン、ブチルゴム、天然ゴム等のゴム系重合体;及び
シリコーン系重合体を主成分とするものが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合体
を形成し得るモノマーとしては、例えば、(メタ)アク
リル酸アルキルエステル及びこれと共重合可能な重合性
単量体が挙げられる。
【0017】上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル
としては、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルが挙げられ、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が
使用可能である。
【0018】上記重合性単量体としては、例えば、(メ
タ)アクリル酸、ビニルピロリドン、ダイアセトンアク
リルアミド、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アク
リレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アク
リレート、2─ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、酢酸ビニル、スチレン等が使用可能である。(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合体は、溶液
重合、塊状重合など、通常の重合方法によって調製され
る。
【0019】上記粘着剤には、必要に応じて、粘着付与
剤、酸化防止剤、液状ゴム、軟化剤、老化防止剤、着色
剤、充填剤などが添加されてもよい。
【0020】本発明において粘着剤層に含有される薬物
は、皮膚を通して吸収され得る薬物であれば、特に限定
されることがなく、例えば、非ステロイド系抗炎症剤、
コルチコステロイド類、抗ヒスタミン剤、鎮痒剤、抗高
血圧剤、麻酔剤、抗真菌剤、抗てんかん剤、冠血管拡張
剤、ホルモン類、筋弛緩剤、消炎・鎮痛剤及び局所刺激
剤が挙げられる。
【0021】上記非ステロイド系抗炎症剤としては、例
えば、ピロキシカム、フェニルブタゾン、アセチルサリ
チル酸、フルフェナム酸、イブプロフェン、ケトプロフ
ェン、フルルビプロフェン、スリンダク、インドメタシ
ン、ジクロフェナック、アンフェナック、フェンブフェ
ン、チノリジン、エモルフアゾンなどが挙げられる。コ
ルチコステロイド類としては、例えば、プレトニゾロ
ン、プロピオン酸クロベタゾール等が挙げられる。
【0022】抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェ
ンヒドラミン、ジフェニルイミダゾール、クロルフェニ
ラミン等が挙げられる。
【0023】鎮痒剤としては、例えば、クロタミトン等
があり、抗高血圧剤としては、例えば、クロニジン、ニ
フェジピン、プロプラノール等が挙げられる。
【0024】麻酔剤としては、リドカイン、ベンゾカイ
ン等があり、抗真菌剤としては、クロトリマゾール、ペ
ンタマイシン等があり、抗てんかん剤としては、ニトロ
ゼバム、メプロバメート等が挙げられる。
【0025】冠血管拡張剤としては、ニトログリセリ
ン、イソソルビドジナイトレート等があり、ホルモン剤
としてはエストラジオール等が挙げられる。
【0026】筋弛緩剤としては、塩酸エペリゾン等があ
り、消炎・鎮痛剤としては、サリチル酸メチル、サリチ
ル酸グリコール、グリチルリチン酸、グリチルレチン
酸、ボルネオール、おうばく末、塩酸ベルベリル等が挙
げられる。
【0027】局所刺激剤としては、例えば、トウガラシ
(末、エキス、チンキ)、カプサイシン、ノニル酸ワニ
リルアミド、テレピン油、dl─カンフル、ニコチン酸
ベンジル、ニコチン酸β─ブトキシエチル、はっか油、
l─メントール、ユーカリ油などが挙げられる。
【0028】本発明の貼付剤は、例えば、以下の方法に
より調製される。まず、上記合成樹脂フィルムに、予め
レーザー加工により、貫通孔を多数穿設して支持体とす
る。
【0029】次に粘着剤、薬物、及び必要に応じて、吸
収助剤などを含む溶液もしくは分散液を調製し、これを
上記支持体の片面に塗工、乾燥することにより、本発明
の貼付剤が得られる。上記溶液もしくは分散液の溶剤と
しては、適当な有機溶媒もしくは水が利用される。
【0030】また、溶液もしくは分散液を用いる代わり
に、上記粘着剤、薬物および吸収助剤などの混合物を加
熱、溶融し、これを支持体上に塗布する方法も採用され
る。さらに、上記溶液、分散液または溶融物を適当な剥
離紙上に塗工し、乾燥後、これに支持体を密着させる方
法も用いられる。該剥離紙は、粘着剤層の保護を目的と
して使用され、ポリエステルフィルム、ポリエチレンコ
ート上質紙、ポリオレフィンコートグラシン紙、ポリプ
ロピレンフィルム等の片面にシリコーン離型処理を行っ
たもの等が使用可能である。
【0031】上記粘着剤層には、薬物が均一に分散また
は溶解されており、その厚みは、通常、約30μm〜2
mmの範囲が好ましい。
【0032】本発明の貼付剤の透湿度は、小さくなると
貼付剤を皮膚表面に貼付した時に、蒸れによりかぶれや
皮膚の発赤が起こり易くなり、大きくなると薬物の吸収
性が低下するので、100〜500g/m2 ・24hr
の範囲に限定される。得られた貼付剤の透湿度が、上記
の範囲となるように、支持体や粘着剤の材質が選定さ
れ、さらに、支持体や粘着剤の厚みが決定される。
【0033】上記透湿度は、JIS Z0208の防湿
包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準拠して測定
された値である。
【0034】本発明の貼付剤の具体的な例としては、S
ISフィルム(スチレン─イソプレン─スチレンブロッ
ク共重合体フィルム、厚み60μm)をレーザー加工に
より多孔化したもの(孔径2〜3μm、孔密度20%、
透湿度1400g/m2 ・24hr)を支持体とし、こ
の支持体の片面に、厚み50μmのアクリル系粘着剤層
を形成することにより、透湿度を300g/m2 ・24
hrに調節できる。
【0035】次に、請求項2記載の発明について説明す
る。本発明に用いられる支持体としては、合成樹脂フィ
ルムの単層、又は二層以上の合成樹脂フィルム積層物
と、不織布又は織布を積層した積層体が使用される。上
記合成樹脂フィルムとしては、請求項1記載の発明に用
いられるものが好適であり、該フィルムには、予めレー
ザー加工により貫通孔を多数穿設して多孔化したものが
使用される。
【0036】レーザー加工による貫通孔は、請求項1記
載の発明と同様な理由により、孔径0.1〜60μm、
孔密度1〜50%の範囲となるように穿設される。
【0037】上記不織布又は織布としては、特に制限が
なく、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成
繊維を素材とするものや、木綿等の天然繊維を素材とす
るものが使用可能である。
【0038】レーザー加工により多孔化された合成樹脂
フィルムは、例えば、アクリル系やゴム系等の粘着剤、
もしくは溶剤系、硬化系やホットメルト系等の接着剤に
よる接着、又は熱融着により、不織布もしくは織布と積
層して積層体を得る。接着や熱融着により積層体を得る
場合は、合成樹脂フィルム全面に、不織布又は織布を積
層するよりも、合成樹脂フィルムとスポット状に積層す
る方が、貫通孔を塞ぐのが防止されるので好ましい。ま
た、熱融着の場合は、不織布側もしくは織布側を加熱す
る方が好ましい。本発明における粘着剤としては、請求
項1記載の発明に使用されるものが好適に用いられる。
【0039】本発明において粘着剤層に含有される薬物
としては、請求項1記載の発明に使用されるものが挙げ
られる。本発明において、請求項1記載の発明と同様な
方法により、粘着剤、薬物及び必要に応じて、吸収助剤
等を含む溶液もしくは分散液を調製し、これを上記支持
体の合成樹脂フィルム面に、塗工、乾燥することによ
り、本発明の貼付剤が得られる。上記貼付剤の透湿度
は、請求項1記載の発明と同様の理由により、100〜
500g/m2 ・24hrの範囲に調節される。
【0040】
【作用】請求項1記載及び請求項2記載の発明の貼付剤
は、レーザ加工により、支持体に均一な孔径を有する貫
通孔を、孔密度を変えて穿設することができるので、貼
付剤の透湿度の制御が容易になり、特定の透湿度を付与
するように調整することにより、発汗によって生じた水
分を効果的に蒸発させることができ、薬物の吸収性が良
好となり、皮膚障害が起こりにくい。このような貼付剤
は、目的に応じて各種の薬物を含有させる事により、各
種疾患の治療もしくは予防に好適に用いられる。また、
薬物によって吸収量の調節も行うことができる。また、
請求項2記載の発明の貼付剤は、支持体の腰を強くし
て、貼付時に粘着剤同士がくっついたり、貼付時にしわ
が発生するのを防止する。
【0041】
【実施例】以下に本発明を実施例につき説明する。
【0042】(実施例1)アクリル系粘着剤〔メタクリ
ル酸とアクリル酸ブチルとの共重合体(モル比3:9
7)、日本アクリル化学社製「プライマルN−580
(NF−22)」〕100g、インドメタシン2g、ク
ロタミトン2gを酢酸エチル300gに均一に溶解させ
て配合液を調製した。この配合液を、乾燥時の厚みが5
0μmになるようにポリエチレンコートグラシン紙上に
延展し、60°Cで乾燥させた後、レーザー加工により
多孔化したSISフィルム〔シェル化学社製「カリフレ
ックスTR1101」を加熱溶融後、造膜したもの(厚
み60μm)を、レーザー加工により多孔化したもの
で、多孔化したフィルムの孔径は2〜3μm、孔密度は
20%で、フィルムの透湿度は1400g/m2 ・24
hrであった。尚、この孔の形状を顕微鏡で観察したと
ころ、略円柱状の貫通孔となっていた。〕を密着させて
貼付剤を得た。得られた貼付剤の透湿度を、JIS Z
0208の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)
に準拠して測定したところ、300g/m2 ・24hr
であった。得られた貼付剤につき、人貼付試験およびヌ
ードマウスの皮膚を用いた薬物透過性試験を下記の方法
により行い、その結果を表1に示した。
【0043】<人貼付試験>上記の方法により得られた
貼付剤2×2cmを被験者(健常男子10名)の上腕部
に貼付し、貼付性(貼り易さ)、貼付した後の貼付感、
及び24時間貼付後の該試験片による皮膚刺激の程度を
試験し、その結果を表1に示した。 1)貼付性の項において、○は、貼付剤に適度な腰があ
り貼付時に均一に貼付できることを示す。 2)貼付感の項において、○は、貼付剤が皮膚表面にな
じんで違和感を感じさせないことを、そして、△は、関
節などの屈伸運動部では、皮膚が突っ張るなどの違和感
をやや感じさせることを、それぞれ示す。 3)皮膚刺激性の項において、+は、明らかな紅斑が認
められることを、±は、わずかな紅斑が認められること
を、−は、異常がないことを、それぞれ示す。
【0044】<薬物のヌードマウス皮膚透過性>ヌード
マウスの背部摘出皮膚をフランツ型の拡散セルにセット
し、この皮膚に上記貼付剤(面積:2cmφ=3.14
cm2 )を貼付する。レセプター液としてはリン酸緩衝
液(pH7.2)を用い、貼付剤から皮膚を通してレセ
プター液に移行したインドメタシンの量を24時間後に
HPLCで測定し、インドメシタンの皮膚透過率を次式
により算出した。 この試験を3回くり返し、その平均値によって皮膚透過
率を決定した。
【0045】(比較例1)支持体にレーザー加工による
多孔化を行っていないSISフィルム(厚み150μ
m)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、貼付
剤を得た。得られた貼付剤につき、実施例1と同様にし
て、透湿度の測定、人貼付試験及びヌードマウスの皮膚
を用いた薬物透過性試験を行い、その結果を、それぞれ
表1に示した。
【0046】(比較例2)支持体にレーザー加工による
多孔化を行っていないSISフィルム(厚み60μm)
を用いたこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を得
た。得られた貼付剤につき、実施例1と同様にして、透
湿度の測定、人貼付試験およびヌードマウスの皮膚を用
いた薬物透過性試験を行い、その結果を、それぞれ表1
に示した。
【0047】(実施例2)SISフィルムをポリエチレ
ンフィルム(厚み30μm)に変えて、レーザー加工に
より多孔化(多孔化したフィルムの孔径は30μm、孔
密度は5%)し、多孔化したフィルムに、ポリプロピレ
ンの不織布(日本バイリーン社製、目付量:70g/m
2 )を、熱融着によって積層したものを支持体として用
い、そのポリエチレンフィルム側に粘着剤層を密着させ
たこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を得た。得
られた貼付剤につき、実施例1と同様にして、透湿度の
測定、人貼付試験およびヌードマウスの皮膚を用いた薬
物透過性試験を行い、その結果を、それぞれ表1に示し
た。
【0048】(比較例3)支持体に実施例2に用いたポ
リプロピレン不織布単体を用いた以外は、実施例1と同
様にして貼付剤を得た。得られた貼付剤につき、実施例
1と同様にして、透湿度の測定、人貼付試験およびヌー
ドマウスの皮膚を用いた薬物透過性試験を行い、その結
果を、それぞれ表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】表1の実施例1と比較例1との比較から、
本発明の貼付剤は貼付性、貼付感に優れ、かつ適度な透
湿性があるので長時間貼付しても、皮膚に刺激による紅
斑を生じないことを示している。これに対し、レーザー
加工により多孔化を行っていない支持体を用いた貼付剤
は、貼付感に問題があったり、透湿性がないため皮膚刺
激による紅斑の発生が認められる。比較例3は、支持体
に不織布を用いているが透湿性が大きすぎるので薬物透
過性が低い。しかし、実施例2のようにレーザー加工に
より多孔化したポリエチレンフィルムに、不織布を貼り
合わせることで適度な透湿度に調節することができ、密
封包帯療法効果により、薬物の利用率を改善することが
できる。
【0051】(実施例3)ゴム系粘着剤100gを15
0°Cで溶融し、サリチル酸グリコール3g、l─メン
トール3g、ニコチン酸β─ブトキシエル20mgを添
加、混合後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フ
ィルムにシリコン加工を施し離型性を持たせたものに、
ホットメルト法により薬物含有粘着剤層の厚みが30μ
mになるように塗工したのち、ポリウレタンフィルム
(厚み60μm)をレーザー加工により多孔化した支持
体(多孔化したフィルムの孔径は0.2〜0.3μm、
孔密度は48%)を密着させて貼付剤を得た。この貼付
剤の透湿度は240g/m2 ・24hrであった。尚、
上記ゴム系粘着剤は、SISブロック共重合体(シェル
化学社製「カリフレックスTR1107)20重量部、
脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学社製「アルコンP−
90」)40重量部、流動パラフィン40重量部及びポ
リブテン(出光社製「300H」、平均分子量145
0)10重量部を配合したものを使用した。
【0052】<保存試験>上記貼付剤を、5×5cmに
切断したものを試験片とし、該試験片を離型フィルムを
付けたままアルミ包材(藤森工業社製)中に密封し、6
0°Cで2週間保存した後、貼付剤の外観の観察、及び
試験片を有機溶剤抽出後、高速液体クロマトグラフィー
を行うことによって、薬物含有粘着剤層における薬物の
含量測定を行ない、保存開始前の薬物含量に対する保存
後の薬物の残存率(%)を求め、その結果を表2に示し
た。尚、アルミ包材は、PETフィルム(12μm
厚)、低密度ポリエチレンフィルム(13μm厚)、軟
質アルミ(9μm厚)及び低密度ポリエチレンフィルム
(40μm厚)からなる4層積層体を使用した。
【0053】(比較例4)支持体に、レーザー加工を行
っていないポリウレタンフィルム(厚み60μm)を用
いたこと以外は、実施例3と同様にして貼付剤を得た。
この貼付剤の透湿度を、実施例1と同様にして測定した
ところ、60g/m2・24hrであった。また、上記
貼付剤につき、実施例3と同様にして、保存試験を行
い、その結果を表2に示した。
【0054】(比較例5)支持体としてポリプロピレン
樹脂を溶融製膜した後、一軸延伸して多孔化したもの
(厚み60μm)を用いたこと以外は、実施例3と同じ
ようにして貼付剤を得た。この貼付剤の透湿度を、実施
例1と同様にして測定したところ、390g/m2 ・2
4hrであった。また、上記貼付剤につき、実施例3と
同様にして、保存試験を行い、その結果を表2に示し
た。
【0055】
【表2】
【0056】比較例5の貼付剤は、保存試験後、粘着剤
が支持体の裏面からしみ出しておりべたつき感があっ
た。他の試験片についてはしみ出しは見られなかった。
この結果から、延伸により多孔化したフィルムは、空隙
の大きさが制御しにくく、極端に大きな空隙が開いてし
まい、そこから粘着剤がしみ出すものと予想される。こ
れに対してレーザー加工により多孔化したフィルムは、
孔径が小さいため、粘着剤のしみだしは起こらない。6
0℃で2週間保存前の薬物含量に対する、保存後の薬物
の残存率は、すべて95%以上の残存率だった。
【0057】
【発明の効果】請求項1及び請求項2記載の発明によれ
ば、上述のように、支持体にレーザー加工を施すことに
より、適当な透湿度に調整された貼付剤を得ることがで
きる。従って、皮膚障害を起こすことなく薬物が効果的
に皮膚へ吸収され、かつ貼付性に優れ、皮膚へのなじみ
も良好な薬物含有貼付剤が得られる。また、このような
貼付剤は、各種の薬物を含有させることにより、各種疾
患の治療もしくは予防に好適に用いられる。請求項2記
載の発明によれば、得られた貼付剤の支持体の腰が強い
ので、貼付時に粘着剤同士がくっついたり、支持体にし
わの発生がなくなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−244019(JP,A) 特開 平4−300823(JP,A) 特開 平3−110141(JP,A) 特開 平3−90344(JP,A) 特開 昭63−20336(JP,A) 実開 昭60−110434(JP,U) 実公 平4−33627(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 9/00 - 9/72 WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂フィルム支持体の片面に、薬物含
    有の粘着剤層が形成された貼付剤であって、該支持体に
    は、予めレーザー加工により、孔径0.1〜60μmの
    貫通孔が、孔密度1〜50%となるように多数穿設さ
    れ、貼付剤全体の透湿度が100〜500g/m2 ・2
    4hrとなされていることを特徴とする透湿性支持体を
    用いた貼付剤。
  2. 【請求項2】合成樹脂フィルムと不織布又は織布との積
    層体を支持体とし、該支持体の合成樹脂フィルム面に薬
    物含有の粘着剤層が形成された貼付剤であって、該支持
    体には、予めレーザー加工により、孔径0.1〜60μ
    mの貫通孔が、孔密度1〜50%となるように多数穿設
    され、貼付剤全体の透湿度が100〜500g/m2
    24hrとなされていることを特徴とする透湿性支持体
    を用いた貼付剤。
JP04082038A 1992-04-03 1992-04-03 透湿性支持体を用いた貼付剤 Expired - Fee Related JP3098095B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04082038A JP3098095B2 (ja) 1992-04-03 1992-04-03 透湿性支持体を用いた貼付剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04082038A JP3098095B2 (ja) 1992-04-03 1992-04-03 透湿性支持体を用いた貼付剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05279251A JPH05279251A (ja) 1993-10-26
JP3098095B2 true JP3098095B2 (ja) 2000-10-10

Family

ID=13763355

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04082038A Expired - Fee Related JP3098095B2 (ja) 1992-04-03 1992-04-03 透湿性支持体を用いた貼付剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3098095B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09124462A (ja) * 1995-11-01 1997-05-13 Nitto Denko Corp 貼付剤および貼付製剤
WO2000032144A1 (fr) 1998-12-02 2000-06-08 Nichiban Co., Ltd. Ruban autocollant pour l'application sur la peau, et materiau de base pour son utilisation
JP7339782B2 (ja) * 2018-06-15 2023-09-06 積水化学工業株式会社 光学用粘着シート

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05279251A (ja) 1993-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2598308C (en) Transdermal systems having control delivery system
US8865207B2 (en) Compositions and methods for delivering active agents in transdermal drug delivery systems
ES2626784T3 (es) Dispositivo de administración transdérmica de fármacos
US5306503A (en) Patch with a high content of softening ingredients
US11311495B2 (en) Fibre-free transdermal therapeutic system and method for its production
JP5185626B2 (ja) 活性化可能な過飽和および制御された浸透促進剤を有する経皮治療システム
JPH11506744A (ja) 室温で液体である低分子量薬を含む経皮組成物
JP2001009985A (ja) 貼付剤用包装袋及び包装貼付剤
US20180256562A1 (en) Transdermal Delivery System
JP2009173679A (ja) 部分的ドーパミン−d2作用薬の投与用の経皮治療吸収システム
JP2001512465A (ja) 物理的特性の改善されたポリアクリレートマトリックスを有する経皮吸収または局所プラスターシステム
JP4938949B2 (ja) アセチルサリチル酸および/またはサリチル酸投与用の経皮治療システム
US20180235903A1 (en) Fentanyl Transdermal Delivery System
JPH06199659A (ja) 経皮治療用装置
JP3098095B2 (ja) 透湿性支持体を用いた貼付剤
JPS6314685B2 (ja)
JPH0459296B2 (ja)
JPS6342602B2 (ja)
JPH07116023B2 (ja) ポリウレタンフィルムを支持体とする貼付剤
JPH0429927A (ja) 貼付剤
JPS5846959A (ja) 貼付剤の製造方法
JPH04368323A (ja) 貼付剤
JP3233705B2 (ja) 貼付剤
JPH03120213A (ja) 経皮吸収製剤
JPH09278650A (ja) ニトログリセリン経皮吸収型製剤

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees