JP3095925B2 - ホルミル基を導入した光ファイバーの製造方法 - Google Patents
ホルミル基を導入した光ファイバーの製造方法Info
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Description
光ファイバーの製造方法に関する。さらに詳しくは、免
疫測定法による生理活性物質の測定に使用できる光ファ
イバーであって、特に光の伝搬効率を損なうことなく安
定にホルミル基を導入できる免疫物質固定化用光ファイ
バーの製造方法に関するものである。
り、免疫測定法による生理活性物質の測定において、光
ファイバーに抗原や抗体等の免疫物質を固定化した光フ
ァイバーを用いて蛍光免疫測定を行う方法が知られてい
る。この場合、光ファイバーの表面に免疫物質が固定化
し易いように、抗原や抗体中のアミノ基と容易に反応す
る架橋剤を光ファイバーの表面に導入する方法が用いら
れている。例えば、WO90/13029号公報では、
光ファイバーの表面に免疫物質が固定化し易いように、
光ファイバーとグルタルアルデヒド、スクシンアルデヒ
ド等のジアルデヒドを反応させ、光ファイバーのコア表
面にホルミル基を導入し、このホルミル基と抗原や抗体
のような生理活性成分中のアミノ基を反応、結合させ、
光ファイバーに生理活性成分等の免疫物質を固定する方
法である。即ち、このWO90/13029号公報で
は、生理活性成分等の免疫物質固定化担体として樹脂製
の光ファイバーを用い、エステル構造を有する樹脂を主
成分とする樹脂製光ファイバーのコア表面にホルミル基
を導入するために、50〜100mMのエタノール溶媒
KOH溶液、エタノール溶媒NiSO4 溶液およびグル
タルアルデヒドやスクシンアルデヒドの混合液中に樹脂
製光ファイバーのコア表面を浸漬して反応させることに
よりホルミル基を導入している。そして、光ファイバー
のコア表面上に導入されたホルミル基と免疫物質中のア
ミノ基を結合させて免疫物質固定化樹脂製光ファイバー
が調製されている。
報の方法では、光ファイバーのコア表面にホルミル基を
導入するに際し、ジアルデヒドを用いて反応させるた
め、光ファイバー上で、ジアルデヒドの重合が進み過ぎ
ることにより、光ファイバーのコア表面が白濁する傾向
がある。そのため該光ファイバーを用いて蛍光免疫測定
等を行なった場合、蛍光の伝搬損失が大きくなるという
問題点が指摘されている。そこで、この白濁を防止する
ために、本発明者らはホルミル基を有する化合物やNi
塩の濃度、アルカリ金属水酸化物やアルコールの限定、
反応時間や温度の限定等によってホルミル基を導入する
最適条件を検討したが、ジアルデヒドを用いる方法では
最適条件の幅が制限されているという問題が指摘され
る。従って、本発明の目的は、ホルミル基を光ファイバ
ーの表面に導入するに際して、一級水酸基を酸化してホ
ルミル基を導入することにより、光ファイバーのコア表
面の白濁を抑えて光伝搬損失を小さくし、かつ、光ファ
イバーのコア表面へのホルミル基の導入を容易に工業的
有利に行うことのできる光ファイバーの製造方法を提供
することにある。
解決するために鋭意検討した。その結果、生理活性成分
等の免疫物質との結合反応官能基となる官能基を一級水
酸基を酸化してホルミル基とすることによって、コア表
面の白濁を抑えて、光伝搬損失を小さくした光ファイバ
ーを製造することができることを見出し、本発明を完成
した。
ァイバーのコア表面と一級アルデヒドアルコールとを反
応させて該コア表面に一級水酸基を結合せしめ、ついで
該一級水酸基を酸化して該樹脂製光ファイバーのコア表
面にホルミル基を導入することを特徴とするホルミル基
を導入した光ファイバーの製造方法、(2)一級アルデ
ヒドアルコールが一般式OHC−R−CH2 OH(但
し、Rはアルキレン基を示す)で表される化合物である
ことを特徴とする(1)記載の製造方法、(3)樹脂製
光ファイバーのコア表面と一級アルデヒドアルコールと
の反応がアルカリ性アルコール中での加熱処理により行
われる(1)記載の製造方法、(4)樹脂製光ファイバ
ーのコア表面に結合した一級水酸基の酸化に用いる酸化
剤が、ピリジウムクロロクロム酸(PCC)またはピリ
ジウムジクロム酸(PDC)である(1)記載の製造方
法に関する。
脂製光ファイバーが用いられる。樹脂製光ファイバーを
構成する樹脂としては、特に限定されるものではない
が、免疫物質を吸着しない材質で透光性のよいものであ
ることが必要であり、例えば、ポリスチレン、ポリアク
リル酸エステル、ポリエステル、ポリアクリルアミド、
ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、
ポリカーボネート、あるいはこれらの共重合体等が挙げ
られる。なかでもポリアクリル酸エステルが好ましい。
ポリアクリル酸エステルは、アクリル樹脂のうちエステ
ル構造を有するものであって、例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸などのエステル誘導体の重合体からなる合成
樹脂であり、具体的にはアクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、メタクリル酸メチルなどの重合体が挙げられ
る。これらのポリアクリル酸エステルのうち、本発明に
おいて特に好適に用いられるものは、ポリメタクリル酸
メチルである。これはポリメタクリル酸メチルが他の樹
脂に比べ、特に透光性がよいからである。また、本発明
において用いられる樹脂製光ファイバーは、例えば、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチ
ルなどのモノマーとスチレンなどのモノマーとの共重合
体であってもよい。
基を導入するに際し、光ファイバーのクラッド層を剥離
してコア表面を露出させることが望ましい。この理由
は、通常光ファイバーの直径は1mmで、コア断面の直
径は0.97mm位(断面積は0.739mm2 )しか
ないので、ホルミル基を多く導入するためには、クラッ
ド層を剥離してコア表面積を増やす必要があるためであ
る。また、光ファイバーの端面は研磨しておくことが望
ましく、研磨はアルコールを潤滑剤とすることが好まし
い。
ア表面にホルミル基を導入するには、まず該コア表面と
一級アルデヒドアルコールとを反応させて該コア表面に
一級水酸基を結合せしめ、ついで該一級水酸基を酸化し
てホルミル基に変換する方法が採用される。
基を導入するために該樹脂製光ファイバーと反応させる
一級アルデヒドアルコールとしては、一般式OHC−R
−CH2 OH(但し、Rはアルキレン基を表す)で表さ
れる化合物が用いられる。本発明においては、特に限定
されるものではないが、Rは好ましくは炭素数1〜6の
直鎖又は分岐のアルキレン基であり、例えば3−ヒドロ
キシプロパナール、4−ヒドロキシブタナール、5−ヒ
ドロキシペンタナール、6−ヒドロキシヘキサナール、
7−ヒドロキシヘプタナール、8−ヒドロキシオクタナ
ール、4−ヒドロキシ−3−メチルブタナール又は4−
エチル−6−ヒドロキシヘキサナール等が選ばれる。樹
脂製光ファイバーのコアと一級アルデヒドアルコールと
の結合反応は、アルカリ性アルコール中での加熱処理に
より行われる。例えば、低級アルコールを溶媒とするア
ルカリ金属水酸化物溶液に一級アルデヒドアルコールを
溶解して得られる処理溶液に樹脂製光ファイバーのコア
表面を浸漬し、一定時間加熱処理した後蒸留水等で洗浄
することにより行う。
タノール、エタノール、プロパノールおよびブタノール
よりなる群から選ばれた少なくとも1種のアルコールが
用いられ、好ましくはエタノールである。本発明におい
てはこのような低級アルコールを溶媒とするアルカリ金
属水酸化物溶液が使用される。アルカリ金属水酸化物と
しては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸
化リチウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種が使
用され、いずれでもよいが好ましくは水酸化カリウムで
ある。このアルカリ金属水酸化物の濃度は0.5〜10
0mM、好ましくは20〜50mMである。
記のような低級アルコールを溶媒とするアルカリ金属水
酸化物溶液および一級アルデヒドアルコールを混合して
得られるものであるが、好ましくはNi塩溶液をさらに
混合して用いられる。本発明において用いるNi塩溶液
は、NiSO4 、NiCl2 等のNi塩を前記のような
低級アルコールに溶解して、飽和させた溶液が用いら
れ、好ましくはNiSO4 溶液である。低級アルコール
としては、特に限定されるものではないが、好ましくは
エタノールが使用される。
ドアルコールの濃度は、通常0.2M以上である。この
理由は0.2Mより濃度が低い場合は、導入できる一級
水酸基の量が少ないからである。Ni塩は混合しなくて
もよいが、混合する場合の濃度は通常0.9mM以下で
あり、少なくとも0.01mM程度以上の濃度であるこ
とが好ましい。
通常5〜20分間の加熱処理を行うことによりなされ
る。加熱処理後は、通常蒸留水等により洗浄を行う。
ーコア表面の一級水酸基は酸化してホルミル基に変換す
ることができる。ここで使用される酸化剤としてはPC
CまたはPDC等が挙げられる。
水を溶媒とした、1〜20%のPCC又はPDC溶液の
中に一級水酸基を有する光ファイバーを浸漬し、4℃な
いし室温下で0.5時間ないし8時間反応させた後、1
〜20mMの希塩酸または希硫酸、及び水で洗浄する。
このような処理を行うことにより一級水酸基を酸化して
ホルミル基をコア表面に導入できる。
ァイバーの表面を、アミノ基を有する抗原あるいは抗体
等の水溶液に浸漬し、4〜25℃に放置することによ
り、抗原あるいは抗体はシッフ結合により結合され、光
ファイバーの表面上に抗原あるいは抗体などの測定に必
要な免疫物質を固定化し、生理活性物質等の蛍光免疫測
定等に供される。
明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定さ
れるものではない。
(三菱レイヨン(株)製)を3cmに切り、次いで、両
端面をエタノールを潤滑剤としてポリシングフィルムで
研磨した。 (2)0.5mlの水に10mgのNiSO4 を溶か
し、次いで2.5mlのエタノールを加えた。この際に
生じる沈澱を遠心分離にて除去し、採取した上清をNi
−エタノール溶液とした。次にエタノールを溶媒とする
20mMのKOH溶液0.4mlにNi−エタノール溶
液0.1mlと3−ヒドロキシプロパナール50μl添
加し混合して処理溶液とした。
前記(2)の処理溶液中に、50℃で10分間浸漬し
た。次いで、蒸留水で洗浄して、光ファイバーのコア表
面に3−ヒドロキシプロピル基を導入した。さらに、こ
の光ファイバーを10%PCCに室温で3時間浸漬して
ホルミル基を導入した。
バーを10mM硫酸、蒸留水およびPBSで洗浄した。
次に2mg/mlのヒト膵アミラーゼ溶液に浸漬し、4
℃、一晩放置した。反応後、0.05%Tween含有
PBS(Tween PBS)で洗浄して、ヒト膵アミ
ラーゼ固定化センサーとし、これを検出部とした。
O3 と10mgのビオチンを溶かした。次いで、1.8
μMのキトサン溶液2mlと混合し、水溶性カルボジイ
ミド100mgを添加して室温で一晩反応させた。次い
で0.2g/mlのNa2 CO3 と0.1g/mlのN
aClの混合液4mlを加えてビオチン化キトサン(b
−c)を沈澱させた。遠心分離にてこの沈澱を回収した
後、この沈澱を0.1g/mlのNa2 CO3 と0.3
g/mlのNaClの混合液で2回洗浄し、さらにこの
沈澱を10mMリン酸緩衝液(pH7)2mlに懸濁し
て、同緩衝液500mlに対して4℃、一晩透析した。
透析後、透析物を回収し、b−c懸濁液を得た。
来抗ヒトIg抗体100μgを加え、さらに水溶性カル
ボジイミド10mgを添加して、4℃、6時間反応させ
た。反応終了後、陰イオン交換カラムを用いて未反応物
を除去し、抗ヒトIg抗体が結合したb−cを得た。 (7)アビジン1mgおよびトリエチルアミン0.2m
lを1mlのエタノールに溶解させた。次いでシアニン
色素の一種、NK1160(日本感光色素研究所製)を
加えて十分に溶解させ、ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド0.3mlを加えて、室温で一晩反応させた。 (8)遠心分離にてアビジンを沈澱回収後、この沈澱を
エタノールで2回洗浄し、遠心回収後、アスピレータで
沈澱中に残っているエタノールを減圧除去した。この残
留物を20mM酢酸緩衝液(pH6.5)に溶解し、N
K1160で修飾されたアビジンを得た。
中に前記(4)の検出部を20分浸漬した。次に0.2
%Tween20を含有する1Mチオシアン酸カリウム
水溶液(Tween KSCN)で洗浄後、抗ヒトIg
抗体が結合したb−cの溶液に10分間浸漬した。さら
に前記(8)のNK1160で修飾されたアビジン溶液
に前記(4)の検出部を5分間浸漬した。 (10)さらにTween KSCNで洗浄後、図1に
示す装置を用いてヘリウム−ネオンレーザ系で励起して
蛍光を測定したところ、3ng/mlまで測定できた。
%PDC溶液を使用する以外は、同様に行って3ng/
mlまで再現よく測定できた。
りに5−ヒドロキシペンタナールを用いて、実施例1の
(1)〜(3)と同様の方法により光ファイバーのコア
表面にホルミル基を導入した。ついで、こうして得られ
たホルミル基を有する光ファイバーを実施例1の(4)
〜(10)と同様に処理して、3ng/mlまで測定す
ることができた。
の代わりに4−ヒドロキシ−3−メチルブタナールを用
いて、実施例1の(1)〜(3)と同様の方法により、
光ファイバーのコア表面にホルミル基を導入した。 (2)次いで、実施例1の(4)〜(10)と同様の方
法でヒト膵アミラーゼ抗体を測定したところ4ng/m
lまで測定できた。
の代わりにグルタルアルデヒドを用い、(3)において
PCCへの浸漬処理を行わない以外は、実施例1と同様
に処理を行った。これにより得られたコア表面にジアル
デヒド基の結合した光ファイバーを用いて、実施例1と
同様にして免疫測定を行ったところ、コア表面に白濁が
認められ、30ng/mlまでしか測定することができ
ず測定感度が低下していた。
ア表面上に導入したホルミル基は、ジアルデヒド基を導
入した場合とは異なり、重合が進まないため、コア表面
上に白濁の心配がなく、測定時において、光ファイバー
の光透過率を100%維持できる。
略図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 樹脂製光ファイバーのコア表面と一級ア
ルデヒドアルコールとを反応させて該コア表面に一級水
酸基を結合せしめ、ついで該一級水酸基を酸化して該樹
脂製光ファイバーのコア表面にホルミル基を導入するこ
とを特徴とするホルミル基を導入した光ファイバーの製
造方法。 - 【請求項2】 一級アルデヒドアルコールが一般式OH
C−R−CH2 OH(但し、Rはアルキレン基を示す)
で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載
の製造方法。 - 【請求項3】 樹脂製光ファイバーのコア表面と一級ア
ルデヒドアルコールとの反応がアルカリ性アルコール中
での加熱処理により行われる請求項1記載の製造方法。 - 【請求項4】 樹脂製光ファイバーのコア表面に結合し
た一級水酸基の酸化に用いる酸化剤が、ピリジウムクロ
ロクロム酸またはピリジウムジクロム酸である請求項1
記載の製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05024853A JP3095925B2 (ja) | 1993-01-19 | 1993-01-19 | ホルミル基を導入した光ファイバーの製造方法 |
US08/080,615 US5354574A (en) | 1992-06-23 | 1993-06-22 | Method for producing optical fiber having formyl groups on core surface thereof |
EP9393110005A EP0575973A3 (en) | 1992-06-23 | 1993-06-23 | Method for producing optical fiber having formyl groups on core surface thereof |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05024853A JP3095925B2 (ja) | 1993-01-19 | 1993-01-19 | ホルミル基を導入した光ファイバーの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06214123A JPH06214123A (ja) | 1994-08-05 |
JP3095925B2 true JP3095925B2 (ja) | 2000-10-10 |
Family
ID=12149777
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05024853A Expired - Lifetime JP3095925B2 (ja) | 1992-06-23 | 1993-01-19 | ホルミル基を導入した光ファイバーの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3095925B2 (ja) |
-
1993
- 1993-01-19 JP JP05024853A patent/JP3095925B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
ケミカル・エンジニアリング,第35巻,第11号(1990年),第26−30頁 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06214123A (ja) | 1994-08-05 |
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