JP3095903B2 - ホルミル基を導入した光ファイバーの製造方法 - Google Patents

ホルミル基を導入した光ファイバーの製造方法

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JP3095903B2
JP3095903B2 JP04254171A JP25417192A JP3095903B2 JP 3095903 B2 JP3095903 B2 JP 3095903B2 JP 04254171 A JP04254171 A JP 04254171A JP 25417192 A JP25417192 A JP 25417192A JP 3095903 B2 JP3095903 B2 JP 3095903B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホルミル基を導入した
光ファイバーの製造方法に関する。さらに詳しくは、免
疫測定法による生理活性物質の測定に使用できる光ファ
イバーであって、特に光ファイバーのコア表面の白濁を
抑えて光伝搬損失の小さい免疫物質固定化用光ファイバ
ーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、免疫測定法による生理活性物
質の測定において、光ファイバーに抗原や抗体等の免疫
物質を固定化した光ファイバーを用いて蛍光免疫測定を
行う方法が知られている。この場合、光ファイバーの表
面に免疫物質が固定化し易いように、抗原や抗体中のア
ミノ基と容易に反応する架橋剤を光ファイバーの表面に
導入する方法が用いられている。例えば、WO90/1
3029号公報では、光ファイバーの表面に免疫物質が
固定化し易いように、光ファイバーとグルタルアルデヒ
ド、スクシンアルデヒド等のジアルデヒドを反応させ、
光ファイバーのコア表面にホルミル基を導入し、このホ
ルミル基と抗原や抗体のような生理活性成分中のアミノ
基を反応、結合させ、光ファイバーに生理活性成分等の
免疫物質を固定する方法である。即ち、このWO90/
13029号公報では、生理活性成分等の免疫物質固定
化担体として樹脂製の光ファイバーを用い、エステル構
造を有する樹脂を主成分とする樹脂製光ファイバーのコ
ア表面にホルミル基を導入するために、50〜100m
Mのエタノール溶媒KOH溶液、エタノール溶媒NiS
4 溶液およびグルタルアルデヒドやスクシンアルデヒ
ドの混合液中に樹脂製光ファイバーのコア表面を浸漬し
て反応させることによりホルミル基を導入している。そ
して、光ファイバーのコア表面上に導入されたホルミル
基と免疫物質中のアミノ基を結合させて免疫物質固定化
樹脂製光ファイバーが調製されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、WO9
0/13029号公報の方法では、光ファイバーのコア
表面にホルミル基を導入するに際し、ジアルデヒドを用
いて反応させるため、光ファイバー上で、ジアルデヒド
の重合が進み過ぎることにより、光ファイバーのコア表
面が白濁する傾向がある。そのため該光ファイバーを用
いて蛍光免疫測定等を行った場合、蛍光の伝搬損失が大
きくなるという問題点が指摘されている。そこで、この
白濁を防止するために、本発明者らはホルミル基を有す
る化合物やNi塩の濃度、アルカリ金属水酸化物やアル
コールの限定、反応時間や温度の限定等によってホルミ
ル基を導入する最適条件を検討したが、ジアルデヒドを
用いる方法では最適条件の幅が制限されるという問題が
指摘される。従って、本発明の目的は、ホルミル基を光
ファイバーの表面に導入するに際して、アルデヒドの重
合度を低くおさえることにより、光ファイバーのコア表
面の白濁を抑えて光伝搬損失を小さくし、かつ光ファイ
バーのコア表面へのホルミル基の導入を容易に工業的有
利に行うことのできる光ファイバーの製造方法を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を
解決するために鋭意検討した。その結果、生理活性成分
等の免疫物質との結合反応官能基となるホルミル基を導
入するに際し、まずvic−ジオール基を導入し、つい
で酸化してホルミル基に変換する方法を見いだし、本発
明を完成した。
【0005】即ち、本発明の要旨は、樹脂製光ファイバ
ーのコア表面にホルミル基を導入するに際し、光ファイ
バーを式(1) OHC−R−CH(OH)−CHR' OH (1) (式中、Rは単結合または炭素数1〜6のアルキレン基
を示し、R' は水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキ
ル基を示す。)で表される化合物と反応させることによ
り、光ファイバーのコア表面上に −R−CH(OH)−CHR' OH (式中、RおよびR' は前記と同意義である。)で表さ
れるvic−ジオール基を導入し、次いで酸化すること
を特徴とするホルミル基を導入した光ファイバーの製造
方法に関する。
【0006】本発明において用いる光ファイバーは、樹
脂製光ファイバーが用いられる。樹脂製光ファイバーを
構成する樹脂としては、特に限定されるものではない
が、免疫物質を吸着しない材質で透光性のよいものであ
ることが必要であり、例えば、ポリスチレン、ポリアク
リル酸エステル、ポリエステル、ポリアクリルアミド、
ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、
ポリカーボネート、あるいはこれらの共重合体等が挙げ
られる。なかでもポリアクリル酸エステルが好ましい。
ポリアクリル酸エステルは、アクリル樹脂のうちエステ
ル構造を有するものであって、例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸などのエステル誘導体の重合体からなる合成
樹脂であり、具体的にはアクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、メタクリル酸メチルなどの重合体が挙げられ
る。これらのポリアクリル酸エステルのうち、本発明に
おいて特に好適に用いられるものは、ポリメタクリル酸
メチルである。これはポリメタクリル酸メチルが他の樹
脂に比べ、特に透光性がよいからである。また、本発明
において用いられる樹脂製光ファイバーは、例えば、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチ
ルなどのモノマーとスチレンなどのモノマーとの共重合
体であってもよい。
【0007】このような光ファイバーの表面にvic−
ジオール基を導入するに際し、光ファイバーのクラッド
層を剥離してコア表面を露出させることが望ましい。こ
の理由は、通常光ファイバーの直径は1mmで、コア断
面の直径は0.97mm位(断面積は0.739m
2 )しかないので、vic−ジオール基を多く導入す
るためには、クラッド層を剥離してコア表面積を増やす
必要があるためである。また、光ファイバーの端面は研
磨しておくことが望ましく、研磨はアルコールを潤滑剤
とすることが好ましい。
【0008】本発明において、光ファイバーと反応させ
てvic−ジオール基を導入するための化合物として
は、式(1) OHC−R−CH(OH)−CHR' OH (1) (式中、Rは単結合または炭素数1〜6のアルキレン基
を示し、R' は水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキ
ル基を示す。)で表される化合物が挙げられる。ここ
で、Rで示されるアルキレン基としては、炭素数1〜6
の直鎖または分岐のアルキレン基が挙げられ、メチレ
ン、エチレン、プロピレン、トリメチレン等が例示され
る。また、R' で示される炭素数1〜6のアルキル基と
しては、直鎖または分岐のいずれでもよく、例えばメチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル等が挙げられる。
このような式(1)で表される化合物としては、具体的
にはグリセルアルデヒド、3,4−ジヒドロキシブタナ
ール、4,5−ジヒドロキシペンタナール等が挙げら
れ、好ましくはグリセルアルデヒドである。
【0009】光ファイバーと式(1)で表される化合物
を反応させるには、50〜100mMエタノール溶媒K
OH溶液に式(1)で表される化合物を0.1〜1Mに
なるように添加し、この溶液中に光ファイバーを浸漬し
て45〜60℃で5〜20分反応させることにより行
う。反応後、蒸留水、エタノール等で洗浄する。これに
より樹脂製光ファイバーのコア表面に、−R−CH(O
H)−CHR'OH(式中、RおよびR' は前記と同意
義である。)で表されるvic−ジオール基を導入する
ことができる。
【0010】本発明においては、このようにして得られ
たvic−ジオール基部分を次いで酸化することによ
り、ホルミル基に変換することができる。酸化剤として
は、具体的にはメタ過ヨウ素酸およびそのアルカリ金属
塩、又は四酢酸鉛などがあり、好ましくはメタ過ヨウ素
酸ナトリウムである。酸化反応は、例えば0.1〜5M
のメタ過ヨウ素酸ナトリウムの水溶液にファイバーを浸
漬し、氷冷下で1〜6時間反応させることにより行い、
反応後、蒸留水等で洗浄する。
【0011】このようにしてホルミル基を導入した光フ
ァイバーの表面を、アミノ基を有する抗原あるいは抗体
等の水溶液に浸漬し、4〜25℃に放置することによ
り、抗原あるいは抗体はアミド結合により結合され、測
定に必要な免疫物質である抗原あるいは抗体などを光フ
ァイバーの表面上に固定化し、生理活性物質等の蛍光免
疫測定等に供される。
【0012】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
【0013】実施例1 (1)ポリメタクリル酸メチル製の樹脂製光ファイバー
(三菱レイヨン(株)製)を3cmに切り、次いで、両
端面をエタノールを潤滑剤としてポリシングフィルムで
研磨した。 (2)エタノールを溶媒とする20mMKOH溶液0.
5mlにグリセルアルデヒド40mgを溶かし、ここへ
前記(1)の光ファイバーを浸漬し、50℃、10分間
加熱処理した。次いで、蒸留水で十分洗浄した。
【0014】(3)4gのメタ過ヨウ素酸ナトリウムを
50mlの水に溶かし、ここへ前記(2)の光ファイバ
ーを浸漬し、氷冷下、1時間放置した。反応後、水およ
びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、2mg/
mlのヒト膵アミラーゼ溶液に浸漬して、4℃に放置し
た。一晩放置後、0.05%Tween含有PBS(T
ween PBS)で洗浄して、ヒト膵アミラーゼ固定
化センサーとし、これを検出部とした。
【0015】(4)100μlの水に4mgのNa2
3 と10mgのビオチンを溶かした。次いで、1.8
μMのキトサン溶液2mlと混合し、水溶性カルボジイ
ミド100mgを添加して室温で一晩反応させた。次い
で0.2g/mlのNa2 CO3 と0.1g/mlのN
aClの混合液4mlを加えてビオチン化キトサン(b
−c)を沈澱させた。遠心分離にてこの沈澱を回収した
後、この沈澱を0.1g/mlのNa2 CO3 と0.3
g/mlのNaClの混合液で2回洗浄し、さらにこの
沈澱を10mMリン酸緩衝液(pH7)2mlに懸濁し
て、同緩衝液500mlに対して4℃、一晩透析した。
透析後、透析物を回収し、b−c懸濁液を得た。
【0016】(5)前記(4)のb−c懸濁液にヤギ由
来抗ヒトIg抗体100μgを加え、さらに水溶性カル
ボジイミド10mgを添加して、4℃、6時間反応させ
た。反応終了後、陰イオン交換カラムを用いて未反応物
を除去し、ヤギ由来抗ヒトIg抗体が結合したb−cを
得た。 (6)アビジン1mgおよびトリエチルアミン0.2m
lを1mlのエタノールに添加した。次いでシアニン色
素の一種、NK1160(日本感光色素研究所製)を加
えて十分に溶解させ、ジシクロヘキシルカルボジイミド
0.3mlを加えて、室温で一晩反応させた。 (7)遠心分離にてアビジンを沈澱回収後、この沈澱を
エタノールで2回洗浄し、遠心回収後、アスピレータで
沈澱中に残っているエタノールを減圧除去した。この残
留物を20mM酢酸緩衝液(pH6.5)に溶解し、N
K1160で修飾されたアビジンを得た。
【0017】(8)各濃度のヒト由来抗ヒト膵アミラー
ゼ抗体溶液中に前記(3)の検出部を20分浸漬した。
次に0.2%Tween20を含有する1Mチオシアン
酸カリウム水溶液(Tween KSCN)で洗浄後、
ヤギ由来抗ヒトIg抗体が結合したb−cの溶液に10
分間浸漬した。さらに前記(7)のNK1160で修飾
されたアビジン溶液に前記(3)の検出部を5分間浸漬
した。 (9)さらにTween KSCNで洗浄後、図1に示
す装置を用いてヘリウム−ネオンレーザ系で励起して蛍
光を測定したところ、0.4ng/mlまで測定でき
た。
【0018】比較例1 (1)実施例1の(2)においてグリセルアルデヒドの
代わりに50%グルタルアルデヒド50μlを加え、メ
タ過ヨウ素酸ナトリウム処理を行なわない以外は同様の
方法で光ファイバーを処理した。 (2)得られた光ファイバーを2mg/mlのヒト由来
膵アミラーゼ溶液に浸漬し、4℃に一晩放置した。放置
後、Tween PBSで洗浄して、ヒト由来膵アミラ
ーゼ固定化センサーとし、これを検出部とした。 (3)実施例1の(4)〜(9)と同様の手順で測定し
たところ、光ファイバー表面の白濁のため5ng/ml
までしか測定できなかった。
【0019】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来法にみられ
たジアルデヒドの重合が進み過ぎることによる光ファイ
バーのコア表面の白濁を防止することができる。従っ
て、該光ファイバーを用いて蛍光免疫測定を行った場
合、蛍光の伝搬損失が小さく光透過率を100%維持す
ることができるので高感度な免疫測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はレーザを使用する蛍光免疫測定装置の概
略図である。
【符号の説明】
1 光ファイバー 2 レーザ 3 光軸合わせのためのガイドレール 4 検出部 5 フィルター 6 蛍光検出部 7 ハーフミラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 国際公開90/13029(WO,A1) ケミカル・エンジニアリング,第35 巻,第11号(1990年),第26−30頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/00 - 6/54 G01N 33/533 G01N 33/543

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂製光ファイバーのコア表面にホルミ
    ル基を導入するに際し、光ファイバーを式(1) OHC−R−CH(OH)−CHR' OH (1) (式中、Rは単結合または炭素数1〜6のアルキレン基
    を示し、R' は水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキ
    ル基を示す。)で表される化合物と反応させることによ
    り、光ファイバーのコア表面上に −R−CH(OH)−CHR' OH (式中、RおよびR' は前記と同意義である。)で表さ
    れるvic−ジオール基を導入し、次いで酸化すること
    を特徴とするホルミル基を導入した光ファイバーの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 式(1)の化合物がグリセルアルデヒド
    である請求項1記載の製造方法。
JP04254171A 1992-06-23 1992-08-28 ホルミル基を導入した光ファイバーの製造方法 Expired - Lifetime JP3095903B2 (ja)

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US08/080,615 US5354574A (en) 1992-06-23 1993-06-22 Method for producing optical fiber having formyl groups on core surface thereof
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ケミカル・エンジニアリング,第35巻,第11号(1990年),第26−30頁

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