JP3095861B2 - ポリプロピレン樹脂被覆鋼管 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂被覆鋼管

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JP3095861B2 JP04051089A JP5108992A JP3095861B2 JP 3095861 B2 JP3095861 B2 JP 3095861B2 JP 04051089 A JP04051089 A JP 04051089A JP 5108992 A JP5108992 A JP 5108992A JP 3095861 B2 JP3095861 B2 JP 3095861B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリプロピレン樹脂被
覆鋼管に関し、特に、ポリプロピレン樹脂被覆層の劣化
が防止され、耐久性の改良された被覆鋼管に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、鋼管の腐蝕防止等を目的とし
て、その表面に、例えば不飽和カルボン酸またはその無
水物による変性ポリプロピレン樹脂層を介して、ポリプ
ロピレン樹脂層を被覆することが知られている。
【0003】しかしながら、従来のポリプロピレン樹脂
被覆鋼管は、地下埋設等による使用時において、特に地
中の水との接触によって、そのポリプロピレン樹脂被覆
層が、早期に劣化するという問題がある。そして、従来
より、例えば、テトラキス〔メチレン−3−(3′,
5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕メタン等の酸化防止剤を配合してポリプ
ロピレン樹脂被覆層の水接触による劣化を防止する方法
等が提案されているが、未だ実用化に耐え得る程度の改
良には到っていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、ポリプロピレン樹脂被覆鋼管の使用時にお
けるポリプロピレン樹脂被覆層の劣化を防止すべく鋭意
検討した結果、被覆層としてのポリプロピレン樹脂に配
合する酸化防止剤を特定の酸化防止剤の併用系とするこ
とによって樹脂の劣化を防止し得ることを見出し、本発
明に到ったものであって、従って、本発明は、ポリプロ
ピレン樹脂被覆層の劣化が防止され、耐久性の改良され
たポリプロピレン樹脂被覆鋼管を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のポリプロピレン
樹脂被覆鋼管は、鋼管の表面に、不飽和カルボン酸また
はその無水物で変性した変性ポリプロピレン樹脂からな
る接着剤層を介して、ポリプロピレン樹脂に下記(A)
及び(B)成分を該樹脂100重量部に対して各々0.
05〜3重量部配合したポリプロピレン樹脂組成物から
なる被覆層が被覆されてなることを特徴とする。 (A)3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−
テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、及び、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンから
なる群より選ばれた少くとも一種の化合物 (B)ジアルキル−3,3′−チオジプロピオネート、
及び、ペンタエリスリット−テトラ(β−アルキル−チ
オプロピオネート)からなる群より選ばれた少くとも一
種の化合物(ここで、アルキル基の炭素数は12〜18
である。)
【0006】本発明におけるポリプロピレン樹脂組成物
に用いられるポリプロピレン樹脂としては、プロピレン
の単独重合体、プロピレンと、エチレン、ブテン−1、
ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−
1等のα−オレフィン、アクリル酸、アクリル酸エチ
ル、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びその誘導
体、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、スチ
レン、メチルスチレン等の不飽和芳香族化合物、等との
ランダム、ブロック、又はグラフト共重合体等が挙げら
れる。なかで、プロピレン−エチレンブロック共重合体
が好ましい。
【0007】また、本発明において前記ポリプロピレン
樹脂に配合される(A)成分とは、3,9−ビス{2−
〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエ
チル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.
5〕ウンデカン、及び、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)ベンゼンからなる群より選ばれた少くと
も一種の化合物であり、これら以外の化合物では被覆層
としてのポリプロピレン樹脂の劣化防止効果が得られな
い。
【0008】また、本発明において前記ポリプロピレン
樹脂に配合される(B)成分とは、アルキル基の炭素数
が12〜18の、ジアルキル−3,3′−チオジプロピ
オネート、及び、ペンタエリスリット−テトラ(β−ア
ルキル−チオプロピオネート)からなる群より選ばれた
少くとも一種の化合物であり、前記(A)成分との併用
系において、これら以外の化合物では被覆層としてのポ
リプロピレン樹脂の劣化防止効果が得られない。
【0009】これら(B)成分の具体例としては、ジラ
ウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチ
ル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−
3,3′−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル
−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリッ
ト−テトラ(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ペ
ンタエリスリット−テトラ(β−ステアリル−チオプロ
ピオネート)等が挙げられ、なかで、ジステアリル−
3,3′−チオジプロピオネートとペンタエリスリット
−テトラ(β−ラウリル−チオプロピオネート)が好ま
しい。
【0010】本発明において、前記(A)成分、及び、
(B)成分の配合量は、前記ポリプロピレン樹脂100
重量部に対して各々0.05〜3重量部とし、各々0.
1〜1重量部とするのが好ましい。(A)及び(B)成
分共に、この配合量の範囲未満ではポリプロピレン樹脂
の劣化防止効果が不充分となり、一方、この配合量の範
囲超過では被覆層表面へのブリードアウト、被覆層自身
の着色等の問題が発生する。
【0011】本発明のポリプロピレン樹脂被覆鋼管の被
覆層を構成するポリプロピレン樹脂組成物は、前記ポリ
プロピレン樹脂に前記(A)及び(B)成分を配合した
ものから本質的になるが、これら以外の付加的成分を配
合してもよい。この付加的成分の例としては、前記
(A)及び(B)成分以外の酸化防止剤、光安定剤、中
和剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、着色剤、分
散剤、核剤、充填剤、及び前記ポリプロピレン樹脂以外
の樹脂、ゴム等がある。
【0012】特に、酸化防止剤として、2,6−ジ−t
−ブチルフェノール、4,4′−チオビス(3−メチル
−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチレンビ
ス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,
2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−t
−ブチルフェノール)、d,l−α−トコフェロール等
のヒンダードフェノール系化合物、トリス(ミックスド
−モノ及びジ−ノニルフェニル)フォスファイト、トリ
ス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイ
ト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエ
リスリトール−ジフォスファイト、テトラキス(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)4−4′−ビフェニレン−
ジフォスフォナイト等の芳香族燐系化合物等を、前記ポ
リプロピレン樹脂100重量部に対して0.001〜1
重量部配合することによって、ポリプロピレン樹脂組成
物を本発明における被覆層に成形加工する際の劣化に対
する安定性を向上させることができる。
【0013】また、充填剤として、タルク、マイカ、ガ
ラス繊維等を前記ポリプロピレン樹脂100重量部に対
して5〜30重量部配合することによって、被覆層の耐
擦傷性を向上させ、結果として被覆鋼管の押し込み深さ
を小さくすることができる。付加的成分の樹脂、ゴムと
しては、低・中・高密度ポリエチレン、ポリブテン、エ
チレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−ブテン共
重合体ゴム等が挙げられる。
【0014】なお、本発明において接着剤層を構成する
変性ポリプロピレン樹脂は、被覆層において例示したと
同様のポリプロピレン樹脂を、アクリル酸、メタクルリ
酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸また
はこれらの無水物を加えて、例えばラジカル発生剤の存
在下で押出機中で溶融混練する等の公知の方法によって
得られるものである。
【0015】本発明のポリプロピレン樹脂被覆鋼管は、
鋼管の内表面または外表面に、前記変性ポリプロピレン
樹脂からなる接着剤層を介して、前記ポリプロピレン樹
脂組成物からなる被覆層が被覆されてなる。
【0016】鋼管は、その表面に接着剤層を融着する前
に、種々の表面処理、例えば、クロメート処理、燐酸亜
鉛処理等の防錆処理、あるいはサンドブラスト、グリッ
ドブラスト、ショットブラスト、酸洗浄等のブラストま
たは表面汚染除去処理等をしたものを用いるのが好まし
く、また、予め鋼管の表面にエポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂等のプライマーを塗布する
のが好ましい。
【0017】鋼管への接着剤層、被覆層の被覆方法とし
ては、公知の方法を適用でき、例えば押出コーティング
法、粉体塗装法等によることができる。また、本発明に
おける接着剤層の厚みは0.05〜1.0mm程度、被
覆層の厚みは0.5〜6.0mm程度である。
【0018】
【実施例】ショットブラスト処理した鋼管(SGP、2
0A)を180℃に予熱し、その表面に、無水マレイン
酸変性ポリプロピレン樹脂(メルトフローレート1.3
g/10分、三菱油化(株)製、商品名「モディックP
−300F」)を、丸ダイを備えた押出被覆装置を用い
て溶融押出しすることにより、厚み0.2mmの接着剤
層を形成した。引続いて、その接着剤層の上に、プロピ
レン−エチレンブロック共重合体樹脂(メルトフローレ
ート0.5g/10分)に該樹脂100重量部に対して
表1に示した各種酸化防止剤等化合物を表1に示した重
量部配合した各組成物を、丸ダイを備えた押出被覆装置
を用いて溶融押出しすることにより、厚み2mmの被覆
層を形成し、ポリプロピレン樹脂被覆鋼管を製造した。
【0019】得られた被覆鋼管を各々300mmの長さ
に切断し、各鋼管の内外周面を80℃の上水(酸素含有
量7ppm)を通水することにより接水させた。500
0時間経過後に通水を止め、鋼管外表面におけるクラッ
クの発生状況を目視観察し、さらに、通水後の各鋼管に
ついて、150℃の空気循環式オーブン中で脆性破壊に
到るまでの時間を測定した。これらの結果を表1に示
す。
【0020】
【表1】
【0021】なお、表1中の酸化防止剤の各記号は、そ
れぞれ以下の化合物を示す。 A−1;3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオ
キシ〕−1,1′−ジメチルエチル}−2,4,8,1
0−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン A−2;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン B−1;ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネー
ト B−2;ペンタエリスリット−テトラ(β−ラウリル−
チオプロピオネート) C−1;テトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−ジ
−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート〕メタン C−2;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フ
ォスファイト C−3;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
【0022】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン樹脂被覆鋼管
は、ポリプロピレン樹脂に特定の酸化防止剤を併用して
特定量配合した樹脂組成物を被覆層としてなるので、水
との接触によっても被覆層の劣化が防止され、耐久性の
改良されたものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 均 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化 株式会社四日市総合研究所内 (56)参考文献 特開 平3−252444(JP,A) 特開 平3−265638(JP,A) 実公 平2−44148(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 F16L 9/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼管の表面に、不飽和カルボン酸または
    その無水物で変性した変性ポリプロピレン樹脂からなる
    接着剤層を介して、ポリプロピレン樹脂に下記(A)及
    び(B)成分を該樹脂100重量部に対して各々0.0
    5〜3重量部配合したポリプロピレン樹脂組成物からな
    る被覆層が被覆されてなることを特徴とするポリプロピ
    レン樹脂被覆鋼管。 (A)3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4
    −ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
    シ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−
    テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、及び、1,
    3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
    −t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンから
    なる群より選ばれた少くとも一種の化合物 (B)ジアルキル−3,3′−チオジプロピオネート、
    及び、ペンタエリスリット−テトラ(β−アルキル−チ
    オプロピオネート)からなる群より選ばれた少くとも一
    種の化合物(ここで、アルキル基の炭素数は12〜18
    である。)
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