JP3094861B2 - 相手攻撃性の低い耐摩耗性焼結含油軸受 - Google Patents

相手攻撃性の低い耐摩耗性焼結含油軸受

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JP3094861B2 JP07219802A JP21980295A JP3094861B2 JP 3094861 B2 JP3094861 B2 JP 3094861B2 JP 07219802 A JP07219802 A JP 07219802A JP 21980295 A JP21980295 A JP 21980295A JP 3094861 B2 JP3094861 B2 JP 3094861B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、相手材である回
転軸に対するなじみ性にすぐれ、かつ自己潤滑性にもす
ぐれているので、苛酷な条件下での実用に際しても、き
わめて低い相手攻撃性で、すぐれた耐摩耗性を示す焼結
含油軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に各種駆動装置には、相手材
である回転軸の支持部材として焼結含油軸受が用いられ
ており、この焼結含油軸受が、重量%で(以下、組成に
関する%は重量%を示す)、Cu:10〜30%、C:
0.1〜5%を含有し、残りがFeと不可避不純物から
なる基本組成を有し、さらに図3に組織拡大模写図で示
されるように、個々のパーライト相がCu合金結合相を
介して分布した組織を有し、さらに10〜35%の気孔
率をもった多孔質Fe−Cu−C系焼結合金に浸油した
ものからなることは良く知られるところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の駆動装置
の高性能化および小型化、さらに高出力化はめざまし
く、これに伴ない、駆動装置の構造部材である回転軸の
回転は高速化し、かつこれへの負荷は高荷重となる傾向
にあるが、上記の従来焼結含油軸受においては、これを
構成する多孔質Fe−Cu−C系焼結合金が、図3に示
される通り、相対的に硬質のパーライト相が原因で、相
手材である回転軸に対するなじみ性が低く、さらに自己
潤滑性も十分でなく、したがって高速回転および高荷重
条件では相手攻撃性が強く現われ、かつ摩耗進行も加速
されるようになるのが避けられないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、特になじみ性および自己潤滑性
のすぐれた焼結含油軸受を開発すべく、特に上記の従来
焼結含油軸受に着目し研究を行なった結果、上記の従来
焼結含油軸受を構成する多孔質Fe−Cu−C系焼結合
金に、合金成分としてSと窒化ほう素(以下、BNで示
す)、望ましくは六方晶窒化ほう素(以下、hBNで示
す)を含有させると、前記S成分が核となって遊離黒鉛
が析出し、この遊離黒鉛の成長をBN成分が促進するよ
うに作用することから、前記多孔質Fe−Cu−C系焼
結合金は、図1に組織拡大模写図で示される通り、硬質
のパーライト相に代って、主体がFeのフェライト相が
Cu合金結合相を介して分布し、このフェライト相内の
結晶粒界にそってS成分が核となって成長した微細な遊
離黒鉛が分散分布し、かつフェライト相とCu合金結合
相の界面部にBN成分が分布した組織をもつようにな
り、この結果の多孔質Fe−Cu−C系焼結合金は、軟
質のフェライト相と遊離黒鉛によってすぐれたなじみ性
と自己潤滑性をもち、さらに前記多孔質Fe−Cu−C
系焼結合金に硫化モリブデン(以下、MoS2 で示す)
を含有させると、同じく図2の組織拡大模写図で示され
る通り、フェライト相とCu合金結合相の界面部にBN
成分と共に分布して自己潤滑性が一段と向上したものに
なることから、焼結合金軸受として高速回転および高荷
重条件での実用に際しても相手攻撃性が著しく低く、か
つすぐれた耐摩耗性を発揮するという研究結果を得たの
である。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、Cu:10〜30%、
C:0.1〜5%、S:0.05〜1%、 BN:
0.1〜3%、を含有し、さらに必要に応じて、MoS
2 :0.5〜2%、を含有し、残りがFeと不可避不純
物からなる組成、個々のフェライト相がCu合金結合相
を介して分布し、かつ前記フェライト相内にはS成分を
核として成長した遊離黒鉛が分散分布し、さらにフェラ
イト相とCu合金結合相の界面部に、BN、またはBN
とMoS2 が分布した組織、および10〜35%の気孔
率、を有する多孔質Fe−Cu−C系焼結合金で構成し
てなる、相手攻撃性の低い耐摩耗性焼結含油軸受に特徴
を有するものである。
【0006】つぎに、この発明の焼結含油軸受におい
て、これを構成する多孔質Fe−Cu−C系焼結合金の
成分組成および気孔率を上記の通りに限定した理由を説
明する。 (a) Cu Cu成分には、液相焼結を可能ならしめ、焼結性向上に
寄与して強度を向上させる作用があるが、その割合が1
0%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方そ
の割合が30%を越えると耐摩耗性が低下するようにな
ることから、その割合を10〜35%、望ましくは15
〜25%と定めた。
【0007】(b) C C成分には、SとBN成分の作用でフェライト相内の結
晶粒界に微細な遊離黒鉛として析出し、成長して自己潤
滑性を向上させる作用があるが、その割合が0.1%未
満では遊離黒鉛の分布割合が少なすぎて所望の自己潤滑
性を確保することができず、一方その割合が5%を越え
ると完全な黒鉛化が困難になり、セメンタイトが析出す
るようになって相手攻撃性が高くなることから、その割
合を0.1〜5%、望ましくは1〜3%と定めた。
【0008】(d) S S成分は、上記の通り遊離黒鉛の析出には不可欠の成分
であり、したがってその割合が0.05%未満では黒鉛
化が不十分となって所望の自己潤滑性が得られず、その
分セメンタイトが析出して相手攻撃性を増すようにな
り、一方その割合が1%を越えると急激に脆化し、強度
が低下するようになることから、その割合を0.05〜
1%、望ましくは0.1〜0.7%と定めた。
【0009】(e) BN BN成分には、フェライト相とCu合金結合相の界面部
に分布して、フェライト相内の粒界にS成分を核として
析出した遊離黒鉛を成長させる、いいかえればパーライ
ト相のセメンタイトを黒鉛化して前記パーライト相をフ
ェライト相と遊離黒鉛にする作用があるが、その割合が
0.1%未満では黒鉛化が不十分で、残留パーライトに
よる相手攻撃性は避けられず、かつ所望の自己潤滑性も
得られず、一方その割合が3%を越えると焼結性が低下
し高強度を確保することができなくなることから、その
割合を0.1〜3%、望ましくは0.5〜2%と定め
た。
【0010】(f) MoS2 MoS2 成分には、BN成分と共にCu合金結合相とフ
ェライト相の界面部に分布して自己潤滑性を一段と向上
させる作用があるので必要に応じて含有されるが、その
割合が0.5%未満では前記作用に所望の効果が得られ
ず、一方その割合が2%を越えると強度が急激に低下す
るようになることから、その割合を0.5〜2%、望ま
しくは1〜1.5%と定めた。
【0011】(g) 気孔率 気孔には浸油して軸受の摺動特性を高めるが、その気孔
率が10%未満では浸油による摺動特性向上効果を十分
に発揮させることができず、一方その気孔率が35%を
越えると、強度低下が著しいことから、その気孔率を1
0〜35%、望ましくは20〜30%と定めた。
【0012】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の焼結含油軸受
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、粒
度:−100メッシュのアトマイズFe−S合金(S:
0.3%含有)粉末、同−100メッシュのアトマイズ
Fe粉末、同−150メッシュの電解Cu粉末、同−1
00メッシュのりん片状黒鉛粉末、同−100メッシュ
のhBN粉末、および同−100メッシュのMoS2
末を用意し、これら原料粉末を表1,2に示される配合
組成に配合し、これに潤滑剤として0.4%のステアリ
ン酸亜鉛を添加してV型ミキサーにて30分間混合した
後、2〜3ton /cm2 の範囲内の所定の圧力で圧粉体に
プレス成形し、この圧粉体を、アンモニア分解ガス雰囲
気中、850〜950℃の範囲内の所定温度に30分間
保持の条件で焼結して、同じく表1,2に示される気孔
率および配合組成と実質的に同一の成分組成をもった多
孔質Fe−Cu−C系焼結合金本体を形成し、これに真
空浸油を施すことにより、いずれも外径:16mmφ×内
径:8mmφ×長さ:8mmの寸法を有し、かつ前記多孔質
Fe−Cu−C系焼結合金本体が図1,2に示される組
織をもった本発明焼結合金軸受1〜13、並びに同じく
図3に示される組織をもった従来焼結含油軸受1〜5を
それぞれ製造した。
【0013】ついで、この結果得られた各種の焼結含油
軸受のそれぞれを、図4に概略正面図で示されるラジア
ル式摩擦試験機の支持治具1に嵌め込み、これにS45
C(炭素鋼)製回転軸3を25μmのクリアランスで挿
通し、前記回転軸3に焼結含油軸受2、支持治具1、お
よびボールベアリング4を介して1.05kgf/cm2
高荷重Wをかけた状態で前記回転軸を4000rpm の回
転数で高速回転させ、100時間運転の摩耗試験を行な
い、試験後、焼結含油軸受および回転軸の最大摩耗深さ
を測定した。この測定結果を表1,2に示した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【発明の効果】表1,2に示される結果から、本発明焼
結含油軸受1〜13は、いずれも高速回転および高荷重
運転の苛酷な条件にもかかわらず、フェライト相と、こ
のフェライト相内に微細に分散分布する遊離黒鉛によっ
てすぐれたなじみ性と自己潤滑性を具備することから、
相手材である回転軸の摩耗少なく、すなわち低い相手攻
撃性で、すぐれた耐摩耗性を示すのに対して、従来焼結
含油軸受1〜5においては、硬質のパーライト相が原因
で、上記の苛酷な条件下では著しく高い相手攻撃性を示
すばかりでなく、なじみ性にも劣るので偏摩耗が発生し
易いことが明らかである。上述のように、この発明の焼
結含油軸受は、相手材である回転軸に対するなじみ性に
すぐれ、かつ自己潤滑性にもすぐれているので、苛酷な
条件下でも、きわめて低い相手攻撃性で、すぐれた耐摩
耗性を長期に亘って発揮するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明焼結含油軸受を構成する多孔質Fe−C
u−C系焼結合金の組織拡大模写図である。
【図2】本発明焼結含油軸受を構成する多孔質Fe−C
u−C系焼結合金の組織拡大模写図である。
【図3】従来焼結含油軸受を構成する多孔質Fe−Cu
−C系焼結合金の組織拡大模写図である。
【図4】ラジアル式摩擦試験機を示す概略正面図であ
る。
【符号の説明】
1 支持治具 2 焼結含油軸受 3 回転軸 4 ボールベアリング 5 ロードセル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−49047(JP,A) 特開 平9−49060(JP,A) 特開 平9−49061(JP,A) 特開 平9−49062(JP,A) 特開 平9−49063(JP,A) 特開 平9−49064(JP,A) 特開 平9−41069(JP,A) 特開 平9−41070(JP,A) 特開 平9−41071(JP,A) 特開 昭56−169750(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 33/02 C22C 38/00 - 38/60 B22F 5/00 F16C 33/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 Cu:10〜30%、 C:0.1〜5%、 S:0.05〜1%、 窒化ほう素:0.1〜3
    %、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組
    成、 個々のフェライト相がCu合金結合相を介して分布し、
    かつ前記フェライト相内にはS成分を核として成長した
    遊離黒鉛が分散分布し、さらに前記フェライト相とCu
    合金結合相の界面部に窒化ほう素が分布した組織、 および10〜35%の気孔率、を有する多孔質Fe−C
    u−C系焼結合金で構成したことを特徴とする相手攻撃
    性の低い耐摩耗性焼結含油軸受。
  2. 【請求項2】 重量%で、 Cu:10〜30%、 C:0.1〜5%、 S:0.05〜1%、 窒化ほう素:0.1〜3
    %、を含有し、さらに、 硫化モリブデン:0.5〜2%、を含有し、残りがFe
    と不可避不純物からなる組成、 個々のフェライト相がCu合金結合相を介して分布し、
    かつ前記フェライト相内にはS成分を核として成長した
    遊離黒鉛が分散分布し、さらにフェライト相とCu合金
    結合相の界面部に窒化ほう素と硫化モリブデンが分布し
    た組織、 および10〜35%の気孔率、を有する多孔質Fe−C
    u−C系焼結合金で構成したことを特徴とする相手攻撃
    性の低い耐摩耗性焼結含有軸受。
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