JP3094062B2 - ペースト式ニッケル極の製造方法及びアルカリ蓄電池の製造方法 - Google Patents
ペースト式ニッケル極の製造方法及びアルカリ蓄電池の製造方法Info
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Description
ル極の製造方法及びペースト式ニッケル極とカドミウ
ム、亜鉛または水素吸蔵合金等を含む負極とを備えたア
ルカリ蓄電池の製造方法に関するものである。
ては、例えばカーボニルニッケルをパンチドメタル上に
焼結成形した基板に硝酸ニッケル等のニッケル塩を水溶
液の形で充填後、アルカリ液中で水酸化ニッケルに転化
した、いわゆる焼結式が主流であった。焼結式の利点と
して、基板であるカーボニルニッケルの焼結体が孔径数
〜10μmの非常に微細な細孔構造であるため、元来不
導体である水酸化ニッケルの集電能力に優れていること
が挙げられる。反面ニッケル極全体に占める基板体積の
比率が20%程度必要であり、その分活物質の充填量が
制限されてしまい、ニッケル極としての容量密度が45
0mAh/cc程度しか得られないという欠点があっ
た。
スト式ニッケル極が提案されている。ペースト式ニッケ
ル極は孔径100〜500μmのスポンジ状あるいはフ
ェル卜状金属多孔体を基板とし、この基板の孔に粉末状
水酸化ニッケルを適当な溶媒やバインダーでペースト状
に調製したものを充填し、乾燥、加圧して得られるもの
である。また、ニッケル極全体に占める基板の体積比率
を10%未満に低下させることができるため、活物質の
充填量を増加することが可能となり、同容量密度に換算
すると600mAh/cc程度まで向上することができ
る。このペースト式ニッケル極に使用される前記粉末状
水酸化ニッケルは原理的には焼結式と同様に硝酸ニッケ
ル、硫酸ニッケル等のニッケル塩の水溶液を過剰の苛性
ソーダや苛性カリ等のアルカリ水溶液と、直径1〜数1
0ミクロンの粒子を生成させるように反応させ、沈澱物
を水洗、乾燥して得られるものが一般的である。
スト式ニッケル極には数々の問題点が存在する。とりわ
け、充放電を行った際の水酸化ニッケルの利用率が小さ
いという問題、充放電サイクルによる活物質の膨潤が著
しく顕著なものである問題が挙げられる。
集電性能の差が挙げられる。前記の通り焼結式基板の孔
径が数〜10μmであるのに対し、ペースト式の基板で
あるスポンジ状及びフェルト状金属多孔体は100〜5
00μmと数十倍も大きい。すなわち反応の際の活物質
中の電荷移動距離が長くなってしまい、抵抗による分極
が大きくなる傾向にある。分極の大きい電極における欠
点として放電電圧の低下ならびに充電中に不可逆な充電
生成物を生ずることが挙げられる。この不可逆な充電生
成物は一般にγ−NiOOHとして知られており、正常
なニッケル極の充電生成物であるβ−NiOOHと比較
して放電されにくく、また結晶がC軸方向に伸びた形態
のため活物質の膨潤を生じ易いことが知られている。す
なわち焼結方式とペースト方式を比較すると水酸化ニッ
ケルとして同じものを使用した場合、基板の集電能力の
違いに起因してペースト方式は利用率低下や活物質の膨
潤をおこし易い欠点があり、その原因は不可逆な充電生
成物であるγ−NiOOHの生成が大きく関与している
と言うことができる。
いても広く知られていたコバルト化合物の添加をペース
ト方式に、例えば特公昭57−5344、特公昭60−
60449に示される様に金属コバルト、特開昭61−
138458に示される様にー酸化コバルトといった導
電性に優れた形態のコバルトを配合することで、分極を
抑制する試みが広く行われている。また特開平1−26
0762、特開平2一30061に示される様に水酸化
ニッケルの結晶中にカドミウムまたは亜鉛等を共晶状態
にして添加する試みも同様に行われている。しかしなが
ら何れの方法も上記問題に対して充分な対策とは言え
ず、例えば利用率に関しても焼結式が95%以上である
のに対しペースト式では90%前後が限界であり、サイ
クル寿命に関しても焼結式が500サイクル以上である
のに対しペースト式が300サイクル前後と劣っている
のが現状で、これらの問題がペースト式ニッケル極の普
及を妨げる大きな障害となっていた。
は、比表面積が60m2 /g以上で、かつ結晶度が14
以下で、主成分が水酸化ニッケルの粒子にβ型水酸化コ
バルトの薄層を形成したことを特徴とする蓄電池用ニッ
ケル活物質が記載されている。また、主成分が硫酸ニッ
ケル塩あるいは硝酸ニッケル塩の水溶液を用い、苛性カ
リあるいは苛性ソーダ等のPH9.5〜12.5に調整
されたアルカリ水溶液中で水酸化ニッケル粉末を析出さ
せた後、硫酸コバルト塩あるいは硝酸コバルト塩の水溶
液中に浸漬し、次にアルカリ水溶液で中和させることを
特徴とする蓄電池用ニッケル活物質の製造法が記載され
ている。なお、「結晶度」は水酸化ニッケルの(00
1)面の特性ピークの高さを半価巾で割ったものであ
る。
た結晶度及び比表面積を有する水酸化ニッケルを活物質
として含むペースト式ニッケル極を備えたアルカリ蓄電
池は、前記水酸化ニッケルにコバルト、あるいはカドミ
ウムを共沈させないと前記ニッケル極の充電時のγ−N
iOOHの生成率が高いため、利用率及びサイクル寿命
が劣るという問題点がある。また、前述した活物質の製
造方法は、アルカリ水溶液のPH以外の他の製造条件、
例えば、反応系の温度や、使用する水溶液の濃度、攪拌
速度等の影響を受けやすい。このため、前記方法により
製造されたニッケル活物質を含むペースト式ニッケル極
は、前述したように性能が劣るばかりか、性能がばらつ
くという問題点がある。
になされたもので、高利用率で、かつ長寿命なペースト
式ニッケル極の製造方法を提供しようとするものであ
る。本発明は、高利用率のペースト式ニッケル極を備え
た長寿命なアルカリ蓄電池の製造方法を提供しようとす
るものである。
ニッケル極の製造方法は、CuKα線を用いるX線回折
における(101)面のピークの半価幅が0.8゜/2
θ以上である水酸化ニッケル(Ni(OH) 2 )を主体
とする活物質を用意する工程と、 前記活物質と、前記水
酸化ニッケルと共晶していない金属コバルトもしくはコ
バルト酸化物とを含むペーストを調製する工程と、 金属
多孔体を有する基板に前記ペーストを充填する工程とを
具備したことを特徴とするものである。本発明に係るペ
ースト式ニッケル極の製造方法は、CuKα線を用いる
X線回折における(101)面のピークの半価幅が0.
8゜/2θ以上であると共に、カドミウムもしくは亜鉛
が共晶されている水酸化ニッケル(Ni(OH) 2 )を
主体とする活物質を用意する工程と、 前記活物質と、前
記水酸化ニッケルと共晶していない金属コバルトもしく
はコバルト酸化物とを含むペーストを調製する工程と、
金属多孔体を有する基板に前記ペーストを充填する工程
とを具備したことを特徴とするものである。 本発明に係
るアルカリ蓄電池の製造方法は、ペースト式ニッケル極
を正極として具備したアルカリ蓄電池の製造方法におい
て、前記正極は、 CuKα線を用いるX線回折における
(101)面のピークの半価幅が0.8゜/2θ以上で
ある水酸化ニッケル(Ni(OH) 2 )を主体とする活
物質を用意する工程と、 前記活物質と、前記水酸化ニッ
ケルと共晶していない金属コバルトもしくはコバルト酸
化物とを含むペーストを調製する工程と、 金属多孔体を
有する基板に前記ペーストを充填する工程とを具備する
方法により作製されることを特徴とするものである。 本
発明に係るアルカリ蓄電池の製造方法は、ペースト式ニ
ッケル極を正極として具備したアルカリ蓄電池の製造方
法において、前記正極は、 CuKα線を用いるX線回折
における(101)面のピークの半価幅が0.8 ゜/2
θ以上であると共に、カドミウムもしくは亜鉛が共晶さ
れている水酸化ニッケル(Ni(OH) 2 )を主体とす
る活物質を用意する工程と、 前記活物質と、前記水酸化
ニッケルと共晶していない金属コバルトもしくはコバル
ト酸化物とを含むペーストを調製する工程と、 金属多孔
体を有する基板に前記ペーストを充填する工程とを具備
する方法により作製されることを特徴とするものであ
る。
本発明に係る方法によれば、ペースト式ニッケル極を、
例えば、X線回折による(101)面のにおけるピーク
の半価幅を指標とし、この半価幅が0.8゜/2θ以上
の水酸化ニッケルを主体とする活物質を用意する工程
と、用意された活物質を含むペーストを調製する工程
と、前記ペーストを金属多孔体を有する基板に充填する
工程とを具備する方法により作製することができる。
は、カドミウムもしくは亜鉛が共晶されていても良い。
また、前記ペーストに前記水酸化ニッケルと共晶してい
ない金属コバルトもしくはコバルト酸化物が存在してい
ても良い。
ルやフェルト状ニッケルのような三次元構造を有するも
のを挙げることができる。前記水酸化ニッケルの製造方
法としては硝酸ニッケルや硫酸ニッケル等のニッケル塩
の水溶液と苛性ソーダや苛性カリ等のアルカリ水溶液と
の中和反応で得られるが、反応雰囲気のpHを調節する
ことにより、同じ水酸化ニッケルでもX線回折における
(101)面のピークの半価幅の異なる結晶を得ること
ができる。
から選択された金属元素を共晶状態で添加、および金属
コバルト、コバルト酸化物(例えば、水酸化コバルト、
一般化コバルト)を添加することにより性能が向上す
る。
ても結晶性の大小により、γ−NiOOHの生成度合い
が異なる傾向にある。それは充電時の反応でNi(O
H)2結晶は電解液界面のプロトン移動の自由度が結晶
化の大小により異なり、結晶性の小さいものの方がプロ
トン移動の自由度は高い傾向にあり、反面プロトン移動
の不自由なものほどγ−NiOOHを生成しやすい傾向
にあることから、全体的には結晶性の大きなNi(O
H)2 はγ−NiOOHを生成しやすいと言うことがで
きる。
は数々の方法があるが、発明者は特にX線回折を行った
際の(101)面、Cu Kα管球を使用した場合2θ
値で38.7°付近に見られるピークの半価幅と、γ−
NiOOHの生成比率との間に高い相関性を見いだして
本発明を作成した。充電時のβ−NiOOH+γ−Ni
OOH量に対するγ一Ni00Hの比率が小さいほど、
ニッケル極の利用率は高く、また活物質の膨潤度合いが
小さいため、サイクル寿命が大きい傾向にある。
する。まず主活物質である水酸化ニッケルを下記の方法
で調製した。反応雰囲気のpHが一定に管理された環境
下で硫酸ニッケル水溶液と苛性ソーダ水溶液を順次投入
し、結晶成長、水洗、乾燥を経て、粒径1〜30μmの
水酸化ニッケルを作製した。反応雰囲気のpH値を4種
類にさせることにより結晶性の異なるNi(OH)2 を
4種類得ることができた。
XD−34型X線回折分析装置にCu Kα管球及びグ
ラフィトモノクロメータを装着して結晶性を測定したと
ころ、(101)面を示す38.7゜付近のピークの半
価幅が0.9,0.8,0.7,0.6゜に相当するチ
ャートを示した。チャートの一例を図1に示す。この水
酸化ニッケル100重量部に対して一酸化コバルト10
重量部、カルボキシメチルセルロース0.3重量部を水
30重量部と共に混練してペースト状に調製後、このペ
ーストを孔径300μmのスポンジ状ニッケル多孔体に
充填し、乾燥、加圧、リード溶接を経て、本発明のペー
スト式ニッケル極を作製した。
ドミウム極、ナイロン製セパレータと共に捲回して電池
缶に挿入し、AAサイズのニッケルカドミウム蓄電池を
作製し、0.3C充電/1C充電の充放電サイクルを5
00サイクル行った。その時のサイクル数に対するニッ
ケル極理論容量に対する利用率の推移を図2に示す。
態で分解し、ニッケル極を取り出し粉砕処理して同様に
X線回折分析を行い、2θで13゜付近に見られるγ−
NiOOHのピーク高さ(P−γ)と、19゜付近にみ
られるβ−NiOOHのピーク高さ(P−β)を測定
し、(P−γ)/{(P−γ)+(P−β)}の値から
全体中のγ−NiOOHの比率を算出した。上記半価幅
に対するγ−NiOOHの比率を図3に示す。
幅が0.9,0.8゜の水酸化ニッケルを使用したニッ
ケル極の場合、利用率が95%と高く、かつ500サイ
クルを経ても利用率の変化がほとんど見られない。図3
のγ−NiOOH比率も20%未満と小さい傾向にあ
る。これに対し、0.7,0.6゜のものは利用率が最
高でも90%であり、しかもサイクル中の低下が著しく
300サイクル付近で初期の50%未満に低下してい
る。これに対応してγ−NiOOH比率は40%〜80
%と非常に高い傾向にあり、活物質膨潤による電解液の
偏在を起こしていた。
化コバルトを使用したが、代用として金属コバルトや水
酸化コバルト等のコバルト酸化物を使用しても同様な効
果が得られる。またここでは詳細な結果を示さないが、
水酸化ニッケルにカドミウムまたは亜鉛を3〜7重量%
共晶添加したペースト式ニッケル極においては700サ
イクルの経過後も利用率の変化は見られず、良好な特性
を示した。
酸化ニッケルの利用率が高く、かつ長寿命なペースト式
ニッケル極の製造方法及びアルカリ蓄電池の製造方法を
提供することができ、その工業的価値は大である。
の2θにおけるピークの半価幅とニッケル極の活物質利
用率との関係を示す特性図。
の2θにおけるピークの半価幅と500サイクル後のγ
−NiOOHの生成比率との関係を示す特性図。
Claims (6)
- 【請求項1】 CuKα線を用いるX線回折における
(101)面のピークの半価幅が0.8゜/2θ以上で
ある水酸化ニッケル(Ni(OH) 2 )を主体とする活
物質を用意する工程と、 前記活物質と、前記水酸化ニッケルと共晶していない金
属コバルトもしくはコバルト酸化物とを含むペーストを
調製する工程と、 金属多孔体を有する基板に前記ペーストを充填する工程
とを具備したことを特徴とする ペースト式ニッケル極の
製造方法。 - 【請求項2】 CuKα線を用いるX線回折における
(101)面のピークの半価幅が0.8゜/2θ以上で
あると共に、カドミウムもしくは亜鉛が共晶されている
水酸化ニッケル(Ni(OH) 2 )を主体とする活物質
を用意する工程と、 前記活物質と、前記水酸化ニッケルと共晶していない金
属コバルトもしくはコバルト酸化物とを含むペーストを
調製する工程と、 金属多孔体を有する基板に前記ペーストを充填する工程
とを具備したことを特徴とする ペースト式ニッケル極の
製造方法。 - 【請求項3】 前記水酸化ニッケルは、CuKα線を用
いるX線回折における(101)面のピークの半価幅が
0.8゜/2θ以上であると共に、亜鉛が共晶されてい
ることを特徴とする請求項2記載のペースト式ニッケル
極の製造方法。 - 【請求項4】 ペースト式ニッケル極を正極として具備
したアルカリ蓄電池の製造方法において、前記正極は、 CuKα線を用いるX線回折における(101)面のピ
ークの半価幅が0.8゜/2θ以上である水酸化ニッケ
ル(Ni(OH) 2 )を主体とする活物質を用意する工
程と、 前記活物質と、前記水酸化ニッケルと共晶していない金
属コバルトもしくはコバルト酸化物とを含むペーストを
調製する工程と、 金属多孔体を有する基板に前記ペーストを充填する工程
とを具備する方法により作製されることを特徴とする ア
ルカリ蓄電池の製造方法。 - 【請求項5】 ペースト式ニッケル極を正極として具備
したアルカリ蓄電池の製造方法において、前記正極は、 CuKα線を用いるX線回折における(101)面のピ
ークの半価幅が0.8゜/2θ以上であると共に、カド
ミウムもしくは亜鉛が共晶されている水酸化ニッケル
(Ni(OH) 2 )を主体とする活物質を用意する工程
と、 前記活物質と、前記水酸化ニッケルと共晶していない金
属コバルトもしくはコバルト酸化物とを含むペーストを
調製する工程と、 金属多孔体を有する基板に前記ペーストを充填する工程
とを具備する方法により作製されることを特徴とするア
ルカリ蓄電池の製造方法。 - 【請求項6】 前記水酸化ニッケルは、CuKα線を用
いるX線回折における(101)面のピークの半価幅が
0.8゜/2θ以上であると共に、亜鉛が共晶されてい
ることを特徴とする請求項5記載のアルカリ蓄電池の製
造方法。
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JP10018738A JP3094062B2 (ja) | 1998-01-30 | 1998-01-30 | ペースト式ニッケル極の製造方法及びアルカリ蓄電池の製造方法 |
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Family Applications (1)
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- 1998-01-30 JP JP10018738A patent/JP3094062B2/ja not_active Expired - Fee Related
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