JP3093833B2 - う蝕原性菌の検出定量方法 - Google Patents

う蝕原性菌の検出定量方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、う蝕(虫歯)の主たる原
性菌であるストレプトコッカス・ミュータンス(Strept
ococcus mutans)の新規な検出定量方法、ならびに該う
蝕原性菌を検出定量するためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】多種類存在する口腔内細菌の中で、スト
レプトコッカス・ミュータンスがう蝕の主たる原因菌と
して注目されている。ストレプトコッカス・ミュータン
スは健康な歯面のプラークではその23%からしか分離
されないが、う蝕部位からは全て分離されるという報告
がある。また、ストレプトコッカス・ミュータンスが存
在する比率と、う蝕の発生の程度(DMFS)とが比例す
るということも報告されている。さらに、健康な歯面に
う蝕が起こるまでの経過を時間を追って調べると、う蝕
が発生する前には、その部位にストレプトコッカス・ミ
ュータンスが増加するということも知られている。また
混合唾液中にストレプトコッカス・ミュータンスが4.
5×104以上認められると、う蝕発生の危険性が高い
という報告もある。
【0003】ストレプトコッカス・ミュータンスは、血
清学的な性状の違いからa〜hの8つの血清型に分けら
れることが近年報告された(Mamada,S. & Slade,H.D., M
icrobiol. Rev. 44:331,1980)。この中で、血清型が
c、e、またはfであるものを狭義のストレプトコッカ
ス・ミュータンスと、血清型がbであるものをストレプ
トコッカス・ラタス(S.rattus)と、血清型がd、gで
あるものをストレプトコッカス・ソブリナス(S.sobrin
us)と、血清型がhであるものをストレプトコッカス・
ダウニアイ(S.downei)と、血清型がaであるものをス
トレプトコッカス・クリセタス(S.cricetus)と呼ぶこ
ともある(本明細書中で単にストレプトコッカス・ミュ
ータンスと記すときは広義の意味を有する)。これらス
トレプトコッカス・ミュータンスのうち、人からの分離
率が最も高いのは血清型がcであるものであり、その分
離率は80%に達する。その他に、血清型がd、e、
f、g、またはhであるものも人から分離される(鷹森
健志郎、「臨床家のための口腔微生物学」、185-188
頁、株式会社書林)。
【0004】この様な背景のもと、口腔内のう蝕原性菌
のレベルを検出する目的で、いくつかのう蝕活動性試験
方法が開発されている。例えば、被検者から歯垢を採取
し、これをう蝕原性菌に対する選択培地の入ったアンプ
ル中に入れ、恒温槽中で培養し、う蝕原性菌が産生する
有機酸の量を培地中に含まれるpH指示薬の色で定量し
て間接的にう蝕原性菌の量を求める方法がある。また、
う蝕原性菌が有している還元作用に注目し、選択培地に
おいて37℃で培養することにより酸化還元指示薬レザ
スリンを変色させて、う蝕原性菌を定量する方法も存在
する。また、東京歯科大学のグループは、選択培地を利
用した唾液中のストレプトコッカス・ミュータンスの簡
易菌数測定法(MSBB test)を報告している(松久保隆
ら、歯科学報 第84巻 No.1、115-117頁、1984)。さら
に、唾液を直接ミチスサリバリウス・バシトラシン プ
レートに蒔き、形成されるコロニーの数から唾液中のス
トレプトコッカス・ミュータンス数を測定するために、
ミクロピペット法(J. Clin. Microbiol. 7:82-83)やス
パチュラ法(J. Clin. Microbiol. 9:584-588)などの簡
易型サンプリング法が開発されている。
【0005】しかしながら、これらの方法はすべて、そ
の検出操作の過程で恒温条件下(通常37℃)での培養過
程を必要とし、検査の結果が得られるのに時間がかか
り、長いものでは数日間を要する。また、検体を分離培
養に供する迄に検体中のう蝕原性菌の生存率を保持する
必要があるため、すぐに分離培養に取りかかれない状況
ではVMG II transport mediumなどの移送用の培地を
必要とする。また、これらの検査方法に使われる選択培
地は、う蝕の主たる原因菌であるストレプトコッカス・
ミュータンスに完全には選択的ではなく、例えばこれら
の検査方法に用いられることが多いミチス・サリバリウ
ス培地(Gold,O.G.ら, Arch. oral Biol.18:1357-1364,
1974)、およびその改良型培地の選択性にはいくつかの
疑問が報告されている。
【0006】例えば、ミチスサリバリウス培地中に含ま
れるトリパンブルーがストレプトコッカス・ミュータン
スの生育を阻害するということが報告されており(J. Cl
in.Microbiol. 5:604-609)、また、同様に含まれてい
るChapman terullite溶液が出現すべきコロニーの数を
減らすことも報告されている(J. Clin. Microbiol. 5:
578-583)。さらに、いくつかの改良型培地においてスト
レプトコッカス・ミュータンスを選択的に培養するため
に培地中に加えられるスルホンアミド、バシトラシン、
ポリミキシンおよびシュークロースなども、ストレプト
コッカス・ミュータンスの生育を抑制することが報告さ
れている(J. Clin. Microbiol. 4:95-98;J. Clin. Mi
crobiol. 5:578-583)。このような報告は、現在使われ
ているストレプトコッカス・ミュータンスの選択培地が
ストレプトコッカス・ミュータンスのすべてを選択的に
検出するためには充分でないことを示している(Microbi
ological Reviews44:331-334)。
【0007】免疫学的測定法を利用したストレプトコッ
カス・ミュータンスの検出方法も既に知られている。特
開平1−250067号には、ストレプトコッカス・ミ
ュータンスに対するポリクローナル抗体を不溶性の粒径
0.1〜100μmのラテックスビーズに担持させ、抗原
抗体反応の多寡を凝集の程度で判定することからなる逆
受身凝集反応を利用したストレプトコッカス・ミュータ
ンスの検出定量法が開示されている。しかしながら、こ
の方法は、不溶性粒子に固定担持させた特異抗体と菌体
浮遊液という不溶性2分子間の抗原抗体反応であるた
め、反応の効率が悪く、従って感度が悪い。これを改善
するために、蛋白質分解酵素、亜硝酸で菌体を前処理
し、抗原を可溶化して感度を上げる方法が知られている
が、当該開示されたデータによると得られる感度は決し
て満足のいくものではない。さらに、ポリクローナル抗
体を用いる場合には特異性において問題を生じる。即
ち、ここで用いられるポリクローナル抗体は、通常、ス
トレプトコッカス・ミュータンスそのものを抗原として
ウサギなどの小動物を免疫し、この動物から得られる血
清から調製される。従って、ストレプトコッカス・ミュ
ータンスが他の菌種と共通して保持する抗原に対する抗
体も当然にこのポリクローナル抗体に含まれることにな
り、特異性に劣ることになる。モノクローナル抗体を用
いれば特異性の問題は解決され得るが、固定抗体と菌体
の反応を利用する限り、前述したように不溶性2分子間
の反応であるため感度が悪くなる。さらに、モノクロー
ナル抗体は、ポリクローナル抗体とは異なり、菌体表面
の単一抗原と反応する。従って、ポリクローナル抗体を
用いたときに生じる担体間の架橋は形成されにくくな
り、従って凝集反応が起こらないか、起こりにくくな
る。その結果として感度はさらに悪くなると考えられ
る。即ち、凝集法においては、モノクローナル抗体より
ポリクローナル抗体を用いる方が有利である面もある。
【0008】また、モノクローナル抗体を利用した免疫
測定方法として酵素免疫測定法が広く臨床診断に利用さ
れ、生体成分などの検出・定量に用いられている。この
測定法の中でサンドイッチ法は、感度、特異性、定量性
ともに良好であり、よく用いられる方法である。この方
法は、抗原特異的なモノクローナル抗体を不溶性固相に
担持させ、この抗体に抗原を特異的に結合させ、次にこ
の抗原に特異的な標識2次抗体を加えて結合させた後、
適当な洗浄液で固相を洗浄することで結合型抗体/遊離
型抗体の分離(B/F分離)を行なっている。この方法を
ストレプトコッカス・ミュータンスの検出に適用した場
合、やはり不溶性2分子間の抗原抗体反応であるために
反応の効率が悪く、従ってB/F分離がうまく行なえ
ず、その結果感度が極めて悪くなる。以上に述べたよう
に、従来より知られているう蝕原性菌の検出方法は、感
度、特異性、定量性においてすべて不十分かつ不適当な
ものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記のよ
うな現状に鑑み、検出に際してストレプトコッカス・ミ
ュータンスの選択培地での培養を必要とせず、簡便かつ
短時間で検体中に存在しているストレプトコッカス・ミ
ュータンスを感度よく検出および定量しうるう蝕原性菌
の検出定量方法を開発すべく鋭意研究を行った。
【0010】
【課題を解決するための手段】その結果、う蝕の主たる
原性菌であるストレプトコッカス・ミュータンスに特異
的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体および膜
によるB/F分離を利用することからなる方法により、
迅速かつ簡便にう蝕原性菌を検出および定量することが
可能な新規なう蝕原性菌検出方法を開発することに成功
した。
【0011】即ち、本発明は、 (a)検体中のストレプトコッカス・ミュータンスを抗原
抗体反応を行わせるための適当な緩衝能を有する溶液中
に分散して被検液を調製し、これにストレプトコッカス
・ミュータンスに特異的な結合能を有するポリクローナ
ルまたはモノクローナル抗体を加えて抗原抗体反応を行
わせ、 (b)ストレプトコッカス・ミュータンスと特異的に結合
した結合型抗体と、結合せずに被検液中に存在している
遊離型抗体とを、ストレプトコッカス・ミュータンスを
捕集しうる細孔を有するメンブランフィルターで濾過す
ることによって分離し、そして (c)メンブランフィルター上に捕集されたストレプトコ
ッカス・ミュータンスと特異的に結合した結合型抗体の
量を、然るべき抗体の定量方法により定量すること、 からなる被検液中に存在するストレプトコッカス・ミュ
ータンスを検出および/または定量するう蝕原性菌検出
方法を提供するものである。
【0012】即ち、本方法によれば、ポリクローナルま
たはモノクローナル抗体を固相に固定することなく遊離
の状態すなわち可溶化された状態で使用するため、特異
抗体は浮遊状態のストレプトコッカス・ミュータンスの
菌体表面に存在する抗原と極めて効率的に抗原抗体反応
を行ない得る。また、このように効率的に抗原抗体反応
を行わせた後に、菌体を捕集し得る適当なメンブランフ
ィルターによる濾過によって未反応の特異抗体を分離
(B/F分離)することにより、酵素免疫測定法などのよ
り定量性の高い免疫測定法を蛋白質分解酵素や亜硝酸処
理等の煩雑な抗原の可溶化のステップを含むことなくス
トレプトコッカス・ミュータンスの検出に適用すること
を可能にし、迅速かつ簡便にストレプトコッカス・ミュ
ータンスを高感度に定量することを可能にした。また、
ストレプトコッカス・ミュータンスを検出する際の臨床
検体としては、通常、唾液やプラーク(歯垢)などが良く
用いられるが、これら検体は固有の特性(例えば、粘張
性など)を有し、これらをそのまま用いて抗原抗体反応
を行わせることは難しい。そのため、通常は検体を適当
な緩衝液に希釈し、超音波処理などの前処理を行ってス
トレプトコッカス・ミュータンスを分散させるが、この
ような希釈による分散は抗原濃度の低下を招き、逆受身
凝集法等、従来の免疫定量法を適用すると臨床検体中に
存在するストレプトコッカス・ミュータンスの検出限界
を高める大きな原因となる。本法によれば、膜によるB
/F分離の過程により検体中に存在するストレプトコッ
カス・ミュータンスは膜上に濾過濃縮されるため、この
ような希釈・分散による影響を全く受けない特徴をも有
する。すなわち本法は、唾液、歯垢等の口腔内臨床サン
プルから主たるう蝕原性菌であるストレプトコッカス・
ミュータンスを高感度に極めて効率良く検出定量するこ
とを可能にした。
【0013】上記の工程(a)は次のようにして行うこと
ができる。検体は、抗原抗体反応を速やかに行わせるの
に適した緩衝液中にストレプトコッカス・ミュータンス
が均一に分散するように懸濁し、これを被検液とする。
これにストレプトコッカス・ミュータンスに特異的に反
応する標識または未標識のポリクローナルまたはモノク
ローナル抗体を加え、室温に放置して抗原抗体反応を行
わせる。ここで未標識の特異抗体を使用する場合には、
次いでこの特異抗体と特異的に反応する標識2次抗体
(例えば、抗マウスIgG抗体)を加え、室温に放置して
抗原抗体反応を行わせる。ここで用いるストレプトコッ
カス・ミュータンスに特異的なポリクローナルおよびモ
ノクローナル抗体は、ストレプトコッカス・ミュータン
スを抗原として用い、文献公知の方法によって調製する
ことができる。例えば、ポリクローナル抗体は、ストレ
プトコッカス・ミュータンスを抗原としてウサギなどの
小動物を免疫し、この動物から得られる血清から調製す
ることができる。また、モノクローナル抗体は、例え
ば、特開平2−177898号に記載のようにして調製
することができる。本発明においては、抗体と結合した
菌体の分離に凝集法を使用せず、メンブランフィルター
による濾過法を使用するので、先に記した理由から特異
性に優れたモノクローナル抗体を用いるのが好ましい。
この目的に好ましいモノクローナル抗体としては、例え
ば上記の特開平2−177898号に記載されているス
トレプトコッカス・ミュータンスの血清型c、eおよび
fに特異的な反応性を有するMAb f89(マウスIgG
抗体)を挙げることができる。勿論、他の血清型の菌体
に特異的な反応性を有するモノクローナル抗体を用い
て、該菌体を特異的に検出することができる。抗体の標
識は、酵素、蛍光物質、放射性同位体など当分野で周知
のものを用いて行ってよい。
【0014】工程(b)は次のようにして行うことができ
る。工程(a)の抗原抗体反応が充分に進行した後、スト
レプトコッカス・ミュータンスに特異的に反応した結合
型抗体と反応せずに緩衝液中に存在している遊離型抗体
とを、ストレプトコッカス・ミュータンスを捕集しうる
メンブランフィルターを用いて濾過分離する。洗浄液を
濾過することによってこのメンブランフィルターを充分
に洗浄し、フィルター上に存在する遊離型抗体を洗い流
す。結合型抗体と遊離型抗体の分離(B/F分離)に使用
するメンブランフィルターは特に限定されるものではな
く、微生物を捕集しうる通常のメンブランフィルターを
使用することができる。好ましいメンブランフィルター
は遊離型抗体の非特異的吸着量の少ないものであり、例
えば、多孔質メンブランであるセルロースアセテート系
のMF−ミリポア、親水性デュラポア(ミリポア・リミ
テッド)、あるいは、直孔性メンブランであるニュクリ
ポアメンブランフィルター(野村マイクロサイエンス株
式会社)などが挙げられる。また、これらフィルター
は、使用に先立って市販のブロッキング剤で処理するの
が望ましい。これらのブロッキング剤は特に限定される
ものではなく、文献などから周知の1%BSAやスキム
ミルク系のブロックエース(大日本製薬株式会社)などを
挙げることができる。また、その処理方法も文献記載の
方法あるいはメーカーの使用説明に従ってよい。濾過の
方法としては、注射筒を用いて加圧濾過する方法、減圧
吸引による方法あるいは遠心による方法などが使用され
る。
【0015】工程(c)の定量は当分野で周知の測定法に
従って行うことができる。例えば、酵素免疫測定法によ
れば、フィルター上に捕捉した結合型抗体に酵素の基質
を加え、反応の結果生じた可溶性もしくは不溶性の色素
を吸光光度計によって、または目視によって比較定量す
ることができる。また、ラジオイムノアッセイでは、そ
の量を液体シンチレーションカウンターにより定量する
ことができる。
【0016】また、始めに検体を濾過してストレプトコ
ッカス・ミュータンスをフィルター上に捕捉し、次いで
ストレプトコッカス・ミュータンスに特異的に反応する
モノクローナル抗体を加え、同一フィルター上で抗原抗
体反応を行わせることも可能である。
【0017】本発明は、さらにストレプトコッカス・ミ
ュータンスを検出・定量するためのキットを提供するも
のである。このキットは、(i)標識または未標識のスト
レプトコッカス・ミュータンスに特異的な抗体を含む緩
衝液、および(ii)B/F分離を行うためのメンブランフ
ィルター、からなる。このキットは、ストレプトコッカ
ス・ミュータンスに特異的な抗体が未標識である場合に
は、該抗体に特異的な標識2次抗体を含む緩衝液をさら
に含有していてよい。また、これら抗体を含む緩衝液
は、該抗体の安定化に必要な試薬をさらに含有している
のが望ましい。さらに、本キットは、検体を分散・希釈
するための緩衝液、および/または非特異的に吸着され
た抗体を除去するための洗浄液をさらに含有していても
よい。また、標識が酵素標識である場合には、該酵素の
基質溶液をさらに含有していてもよい。
【0018】ストレプトコッカス・ミュータンスに特異
的な抗体、抗体の標識、およびB/F分離のためのメン
ブランフィルターについては、先に記した通りである。
抗体を含有させる緩衝液としては、抗体を安定化する為
の試薬、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、チメロサ
ール、アジ化ナトリウム等を適量含有させたPBS
(−)、生理食塩水、トリス塩酸緩衝液等を挙げることが
できる。抗体の分散・希釈のための緩衝液としては、リ
ン酸緩衝化生理食塩水[PBS(−)]、生理食塩水、トリ
ス緩衝液等を挙げることができる。非特異的に吸着され
た抗体を除去する為の洗浄液としては、蒸留水、PBS
(−)、トリス緩衝液、またはこれらの液に例えばTween
20等のノニオン系界面活性剤、あるいBSA等を適量
含有させたものを挙げる事ができる。酵素基質溶液とし
ては、例えばペルオキシダーゼによる可溶性色素による
発色の場合、1液として適当な緩衝液に溶解したABT
S(2,2'−アジノ−ジ−[3−エチルベンズチアゾリン
スルホン酸塩(6)])、2液として過酸化水素溶液を挙げ
ることができ、これらを用時当量混合する。また、不溶
性色素による発色を目的とした酵素基質溶液としては、
例えばペルオキシダーゼの場合、1液として4−CN
(4−クロロ−1−ナフトール)溶液、2液として過酸化
水素溶液を挙げることができ、これらを用時当量混合す
る。このほか標識する酵素あるいは測定系により酵素基
質溶液は変わるが、それぞれ文献既知の方法に従い調製
することが可能である。上記に挙げた成分のうち、液体
として供するものは適当な容器に入れてキットとする。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0020】実施例1 ストレプトコッカス・ミュータ
ンスおよび口腔内ストレプトコッカス属菌体の培養 BHI(Brain Heart Infusion)寒天培地に植継いだスト
レプトコッカス・ミュータンス(血清型c)(ATCC 25175)
をBHIにて18時間、37℃にて嫌気的に培養した。
これを遠心して集菌し、PBS(−)で3回遠心洗浄した
後、再びPBS(−)に懸濁し、560nmの濁度が0.3
5になるように菌液を調製した。このように調製した5
60nmにおける濁度が0.35である菌体懸濁液をPB
S(−)にて10倍連続希釈し、菌体希釈列サンプルを調
製した。常法に従って調製したミチスサリバリウス寒天
平板培地(DIFCO LABORATORIES)、BHI寒天平板培地(D
IFCO LABORATORIES)、およびコロンビアCNA5%ヒツ
ジ血液寒天平板培地(日本ベクトン・ディッキンソン株
式会社)に菌体希釈列サンプルをプレーティングし、3
7℃にて5%CO2、5%H2、90%N2下、嫌気的に
24時間培養し、引き続き室温にて好気的に2日間培養
し、生ずるコロニーを数え、560nmにおける濁度が
0.35の菌体懸濁液の菌体濃度[コロニー形成単位(cf
u)/ml]を決定した。同様の方法にて、ストレプトコッ
カス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)(ATCC
7073)の培養を行い、菌体濃度を決定した。その結果、
560nmにおける濁度が0.35である菌体の濃度はす
べて1x107cfu/mlであった。
【0021】実施例2 ストレプトコッカス・ミュータ
ンスおよび口腔内ストレプトコッカス属菌体標準サンプ
ルの調製 実施例1と同様の方法で調製した560nmにおける濁度
が0.35であるストレプトコッカス・ミュータンス(AT
CC 25175)菌体懸濁液を、PBS(−)にて2倍連続希釈
して菌体懸濁液希釈列を調製し、以後の標準サンプルと
した。同様の方法により、ストレプトコッカス・サリバ
リウス(ATCC 7073)の標準サンプルを調製した。
【0022】実施例3 モノクローナル抗体の調製 特開平2−177898号に記載されているモノクロー
ナル抗体MAb f89(マウスIgG抗体)を産生するハ
イブリドーマf89株(この菌株は受託番号FERM P
−10464のもとで微工研に寄託されている;寄託日
昭和63年12月23日)を、10%ウシ胎児血清、0.18
%NaHCO3、0.011%ピルビン酸ナトリウム、1
0万単位/LペニシリンGカリウム明治(明治製菓)、
0.1g力価/L硫酸ストレプトマイシン明治(明治製
菓)、2mg力価/Lファンギゾン(三共製薬)を含むDM
EM培地に1.0×105個/mlになるように懸濁し、こ
の細胞浮遊液10mlを25cm2組織培養用フラスコ(コー
ニング社製、No.25120)に分注し、37℃で5%
炭酸ガスを含む炭酸ガス培養器中で培養を行った。増殖
がほぼ定常状態に達した4日目には、細胞数は約1.6
×106個/mlであった。雌性BALB/cマウス(6〜
7週)にプリスタン(2、6、10、14−テトラメチル
ペンタデカン)0.5mlを腹腔内投与し、7〜10日後に
同マウスの腹腔内に、培養して増殖させたハイブリドー
マf89を2×106個接種した。接種の10〜30日
後に同マウスより腹水を採取し、遠心分離により腹水上
清を得た。このようにして得られた上清16mlに同量の
飽和硫安溶液を加えて塩析を行い、生成する沈殿を遠心
分離にて採取し、これを2.5mlのPBS(−)に溶解し
た。こうして得た粗抗体分画溶液を、予め140mMの
リン酸緩衝液(pH8.0)で平衡化しておいたプロテイン
Aカラムに吸着させた。次いで、それぞれ約100mlの
140mMリン酸緩衝液(pH8.0)、140mMリン酸緩
衝液(pH6.0)、100mMクエン酸ナトリウム緩衝液
(pH4.5)で順次溶離を行い、100mMクエン酸ナト
リウム緩衝液(pH4.5)にて溶出してくる蛋白成分を含
む分画 約24mlを採取し、1M トリス塩酸緩衝液(pH
9.0)で中和した。この分画をセントリプレップ−10
(グレースジャパン株式会社)を用いて限外濾過濃縮し、
4mlの抗体濃縮液を得た。プロテインアッセイキット(B
IO Rad社)を用いて蛋白質濃度を測定した結果、4.0mg
/mlであった。これをPBS(−)で100倍に希釈し、
MAb f89抗体溶液として以下の実施例において使用
した。
【0023】実施例4 親水性デュラポアフィルターHVLP(ミリポア・リ
ミテッド)をブロックエース(大日本製薬株式会社)に浸
し、室温にて2時間放置し、フィルターのブロッキング
を行った。このように処理したフィルターをスウィネク
スホルダー(ミリポア・リミテッド)にセットし、洗浄液
[0.05%Tween20、10%ブロックエース/PBS
(−)]2mlにて洗浄した。次に、実施例2の様に調製し
た標準検体1mlに実施例3で調製したMAb f89(4
0μg/ml)溶液0.2mlを加え、37℃で1時間反応さ
せた。続いて、ペルオキシダーゼ標識化抗マウスIgG
(Whole Molecule)抗体(Organon Teknika Corporatio
n)の100倍PBS(−)希釈溶液0.02mlを加え、3
7℃にて1時間反応させた。反応終了後、抗原抗体反応
液を注射器に入れ、これを加圧することにより、上記の
予め前処理してホルダー中にセットしておいたフィルタ
ーで濾過した。反応液を濾過した後、すぐに反応液の濾
過と同様の方法で、洗浄液2mlを3回濾過してフィルタ
ーを洗浄した。洗浄後、メンブランフィルターをホルダ
ーから取り出し、濾紙上でしばらく風乾した後、これを
ウェル中に入れ、これにABTSペルオキシダーゼ基質
(Krikegaard & Perry Laboratories Inc.)0.3mlを加
え、よく混ぜ、室温にて30分間反応させた。30分後
に5%SDS溶液0.1mlを加えて充分に混合し、PB
S(−)で3.5倍に希釈して、生成した可溶性色素の吸
光度を405nmにて測定した。この結果を図1に示す
が、ストレプトコッカス・ミュータンスの濃度と吸光度
の間に定量的な比例関係が得られた。また、ストレプト
コッカス・サリバリウスはほとんど吸光度を示さなかっ
た。
【0024】実施例5 親水性デュラポアフィルターHVLPに代えてニュク
リポアメンブランフィルター(野村マイクロサイエンス
株式会社)を用いること以外は、実施例4と同様にして
図2に示す結果を得た。ここでも、ストレプトコッカス
・ミュータンスの濃度と吸光度の間に定量的な比例関係
が得られ、そしてストレプトコッカス・サリバリウスは
ほとんど吸光度を示さなかった。
【0025】実施例6 MF−ミリポアHAWP(ミリポア・リミテッド)をブ
ロックエースに浸し、室温にて2時間放置し、フィルタ
ーのブロッキングを行った。このように処理したフィル
ターをスウィネクスホルダーにセットし、洗浄液2mlに
て洗浄した。次に、実施例2で調製した標準検体1mlに
実施例3で調製したMAb f89(40μg/ml)溶液0.
2mlを加え、37℃で1時間反応させた。続いて、ペル
オキシダーゼ標識化抗マウスIgG抗体の100倍PB
S(−)希釈溶液0.02mlを加え、37℃にて1時間反
応させた。反応終了後、抗原抗体反応液を注射器に入
れ、これを加圧することにより、上記の予め前処理して
ホルダー中にセットしておいたフィルターで濾過した。
反応液を濾過した後、反応液の濾過と同様の方法で、洗
浄液2mlを3回濾過してフィルターを洗浄した。洗浄
後、このホルダーの出口をキャッピングし、4−クロロ
−1−ナフトール基質(4CN Membrane Peroxidase
Substrate System:Krikegaard & Perry Laboratorie
s Inc.)300μlを加え、室温にて30分間反応させ
た。反応終了後、ホルダー出口のキャッピングを外し、
2mlのPBS(−)にて2回洗浄し、不溶性色素をメンブ
ランに吸着させた。メンブランをホルダーから取り出
し、濾紙上でしばらく風乾し、目視にて比色定量した。
【0026】実施例7 ウルトラフリーC3GV(ミリポア・リミテッド)の内
筒にブロックエース400μlを入れ、室温にて2時間
放置した後、内筒からブロックエースを遠心濾過し、フ
ィルター部分のブロッキングを行った。次に、洗浄液
[0.05%Tween20、10%ブロックエース/PBS
(−)]400μlを加え、遠心濾過した。次に、実施例2
で調製した標準検体1mlに実施例3で調製したMAb f
89(40μg/ml)溶液0.2mlを加え、37℃で1時間
反応させた。続いて、ペルオキシダーゼ標識化抗マウス
IgG抗体の100倍PBS(−)希釈溶液0.02mlを加
え、37℃にて1時間反応させた。抗原抗体反応の終了
後、この反応液を上記の予めブロッキングしておいたウ
ルトラフリーC3GVの内筒に400μl加え、遠心濾
過した。続いて、洗浄液[0.05%Tween20、10%
ブロックエース/PBS(−)]400μlを加え、遠心濾
過し、これを3回繰り返した。次いで、この内筒に、A
BTSペルオキシダーゼ基質0.4mlを加え、室温にて
30分間反応させた。この反応液を30分後に遠心濾過
し、この濾液にPBS(−)600μlを加え、反応によ
って生成した可溶性の色素の405nmでの吸光度を測定
した。この結果を図3に示す。
【0027】実施例8 唾液検体からのストレプトコッ
カス・ミュータンスの検出 実施例4と同様にして親水性デュラポアフィルターHV
LPをブロックエースでブロッキングし、スウィネクス
ホルダーにセットし、洗浄した。コットンロールを口に
含ませることによって被験者から採取した唾液を、ピペ
ットチップの先に綿を詰めたもので遠心濾過した。この
唾液1mlにPBS(−)1mlを加え、2倍希釈の検体液を
調製した。この検体液1mlに実施例3で調製したMAb
f89(40μg/ml)溶液0.2mlを加え、37℃で1時
間反応させた。続いて、ペルオキシダーゼ標識化抗マウ
スIgG抗体の100倍PBS(−)希釈溶液0.02mlを
加え、37℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液
を注射器に入れ、加圧して上記ホルダー中のフィルター
で濾過した。次いで、洗浄液2mlを3回濾過してフィル
ターを洗浄した。洗浄後、メンブランフィルターをホル
ダーから取り出し、濾紙上でしばらく風乾した。これを
ウェルに入れ、ABTSペルオキシダーゼ基質0.3ml
を加え、よく混ぜ、室温にて30分間反応させた。30
分後に5%SDS溶液0.1mlを加えて充分に混合した
後、生成した可溶性色素の405nmでの吸光度を測定し
た。その結果、被験者の唾液中に存在するストレプトコ
ッカス・ミュータンス数は図1から7.6X105cfu/ml
であることがわかった。
【0028】実施例9 ペルオキシダーゼによるMAb
f89の標識化 実施例3で調製したMAb f89を5mg/0.5mlとな
るように100mMリン酸緩衝液(pH6.5)で調整し、
これにS−アセチルメルカプトコハク酸無水物0.6mg
をN,N−ジメチルホルムアミド0.01mlに溶解して加
え、室温にて30分間反応させた。0.02mlの0.1M
EDTA、0.1mlの0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.
0)、0.1mlの1Mヒドロキシルアミン−HCl(pH7.
0)を加え、30℃で4分間加熱して反応を停止させ
た。Sephadex G−25、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.
0;5mM EDTAを含む)にてゲル濾過を行い未反応
成分を除去し、メルカプトスクシニル化したMAb f8
9を回収した。5mM EDTAを含む0.1Mリン酸緩
衝液(pH6.0)0.25mlに溶解したメルカプトスクシ
ニル化したMAb f89 2.3mgに、0.1Mリン酸緩
衝液(pH6.0)0.25mlに溶解した3.0mgマレイミド
化ペルオキシダーゼを加え、4℃にて20時間反応させ
た。反応終了後、HiLoad Superdex 200pg(ファル
マシア)にて精製を行い、ペルオキシダーゼ標識化した
MAb f89を得た。
【0029】実施例10 ペルオキシダーゼによるMA
b g344の標識化 ストレプトコッカス・ソブリナス(血清型d、g)及びス
トレプトコッカス・ミュータンス(c、e、f)に特異的
なモノクローナル抗体MAb g344を産生するハイブ
リドーマg344を用いて実施例3と同様にして調製し
たMAb g344を、実施例9と同様にして標識化し
た。
【0030】実施例11 マルチスクリーンシステム(日本ミリポアリミテッド)
の96ウェルフィルトレーションアッセンブリMAHV
N45にブロックエース300μlを入れ、室温にて1
時間放置した後、システムにより吸引濾過し、さらに洗
浄液300μlにて1回洗浄した。次に、実施例2で調
製した標準菌体1mlに実施例9で調製したペルオキシダ
ーゼ標識化MAb f89 40μlを加え、室温にて30
分間反応させた。抗原抗体反応の終了後、この反応液8
00μlを上記の予めブロッキングした96ウェルフィ
ルトレーションアッセンブリにて吸引濾過した。続い
て、洗浄液300μlを加えて吸引濾過し、これを2回
繰り返して洗浄を行った。次いで、この各ウェルにAB
TSペルオキシダーゼ基質100μlを加え、室温にて
30分間反応させた。反応終了後、反応液を吸引濾過
し、96ウェルEIAプレートに受け、EIAプレート
リーダーにより405nmでの吸光度を測定した。また、
標準菌体液中の生菌数を通常の混釈培養法で測定してC
FU値を求めた。EIA値とCFU値の相関を図4に示
す。
【0031】実施例12 マルチスクリーンシステム(日本ミリポアリミテッド)
の96ウェルフィルトレーションアッセンブリMAHV
N45にブロックエース300μlを入れ、室温にて1
時間放置した後、システムにより吸引濾過し、さらに洗
浄液300μlにて1回洗浄した。次に、実施例2と同
様にして調製した標準菌体[ストレプトコッカス・ソブ
リナスOMZ65(ATCC 11061)(血清型g);ストレプト
コッカス・サンギウス(S.sangius)(ATCC 10556)]1ml
に、実施例10で調製したペルオキシダーゼ標識化MA
b g334 40μlを加え、室温にて30分間反応させ
た。抗原抗体反応の終了後、この反応液を上記の予めブ
ロッキングした96ウェルフィルトレーションアッセン
ブリにて吸引濾過した。続いて、洗浄液300μlを加
えて吸引濾過し、これを2回繰り返して洗浄を行った。
次いで、この各ウェルにABTSペルオキシダーゼ基質
100μlを加え、室温にて30分間反応させた。反応
終了後、反応液を吸引濾過し、96ウェルEIAプレー
トに受け、EIAプレートリーダーにより405nmでの
吸光度を測定した。また、標準菌体液中の生菌数を通常
の混釈培養法で測定してCFU値を求めた。EIA値と
CFU値の相関を図5に示す。
【0032】実施例13 2才〜5才児21名から、スプーンエキスカベーター
で一杯程度の歯垢を採取し、PBS(−)1mlに懸濁後、
超音波処理を行ない、歯垢を一様に分散させてこれを被
検液とした。実施例9で調製したペルオキシダーゼ標識
化のMAb f8940μlを加えて、室温にて1時間反
応させた。反応終了後、反応液350μlを実施例11
と同様の方法で96ウェルフィルトレーションアッセン
ブリにて吸引濾過し、洗浄液にて2回洗浄後、ABTS
ペルオキシダーゼ基質を加え、室温にて30分間反応さ
せた。反応終了後、反応液を96ウェルEIAプレート
に吸引濾過し、EIAプレートリーダーにより405nm
での吸光度を測定した。また、同被検液を適宜希釈し、
ミチスサリバリウス・バシトラシン プレートに蒔き、
CFU値を測定した。EIA値とCFU値の相関を図6
に示す。
【0033】実施例14 BHI寒天平板培地上にイモビロン−NCトランスフ
ァーメンブラン・フイルタ−HATF(ミリポア・リミ
テッド)を置き、その上に実施例13で調製した同被検
液を適宜希釈した後にプレーティングした。37℃で嫌
気的に一晩培養した後、メンブランを培地から剥がし、
37℃で30分間乾燥した。PBST[1%BSAおよ
び0.001%チメロサールを添加したPBS(−)]20
0mlで30分間ブロッキングを行なった後、PBST
100mlにペルオキシダーゼ標識化MAbf89 0.4m
lを加え、緩やかに振盪させながら室温で16時間反応
させた。反応終了後、メンブランをPBSTで3回洗浄
した。続いて、メンブランを4−クロロナフトール基質
に浸し、室温で30分間放置した後メンブラン上に染め
出された青色のコロニーをカウントした。実施例13で
得られたEIA値とイムノステインによって得たCFU
値の相関を図7に示す。
【0034】実施例15 以下からなるストレプトコッカス・ミュータンス検出
・定量用のキットを調製した。 A 液 :検体を分散・希釈するためのPBS(−) B 液 :実施例3で調製したMAb f89ならびに
チメロサール(40μg/ml)およびBSA(1mg/ml)を含
有するPBS(−) C 液 :POD標識化抗マウスIgG溶液 メンブラン:親水性デュラポアフィルターHVLP 洗浄液 :0.05%Tween20および10%ブロッ
クエースを含有するPBS(−) 発色試薬 :1液・・ABTSペルオキシダーゼ基質
(2,2'−アジノ−ジ[3−エチル−ベンズチアゾリン硫
酸塩])を含有するグリシン緩衝液(pH6.5) 2液・・0.02%H22を含有するクエン酸緩衝液(p
H2.8)
【0035】実施例16 以下からなるストレプトコッカス・ミュータンス検出
・定量用のキットを調製した。 A 液 :検体を分散・希釈するためのPBS(−) B 液 :実施例9で調製したペルオキシダーゼ標識
化MAb f89ならびにチメロサール(40μl/ml)およ
びBSA(1mg/ml)を含有するPBS(−) メンブラン:96ウェルフィルトレーションアッセンブ
リMAHV N45 洗浄液 :0.05%Tween20および10%ブロッ
クエースを含有するPBS(−) 発色試薬 :1液・・ABTSペルオキシダーゼ基質
(2,2'−アジノ−ジ[3−エチル−ベンズチアゾリン硫
酸塩])を含有するグリシン緩衝液(pH6.5) 2液・・0.02%H22を含有するクエン酸緩衝液(p
H2.8)
【0036】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の方法に
よれば、検体をその検出に先立って選択的に培養する必
要もなく、また患者からの検体の採取から検出作業に至
るまでに起こる菌の生存率の低下も問題にすることな
く、迅速かつ簡便にストレプトコッカス・ミュータンス
を検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 親水性デュラポアフィルターHVLPを用い
て本発明を実施したときの、ストレプトコッカス・ミュ
ータンスの濃度と吸光度の関係を示すグラフである。
【図2】 ニュクリポアメンブランフィルターを用いて
本発明を実施したときの、ストレプトコッカス・ミュー
タンスの濃度と吸光度の関係を示すグラフである。
【図3】 ウルトラフリーC3GVを用いて本発明を実
施したときの、ストレプトコッカス・ミュータンスの濃
度と吸光度の関係を示すグラフである。
【図4】 ペルオキシダーゼ標識化MAb f89および
マルチスクリーンシステムを用いて本発明を実施したと
きの、ストレプトコッカス・ミュータンスの濃度と吸光
度の関係を示すグラフである。
【図5】 ペルオキシダーゼ標識化MAb g334およ
びマルチスクリーンシステムを用いて本発明を実施した
ときの、ストレプトコッカス・ゾブリナスの濃度と吸光
度の関係を示すグラフである。
【図6】 ミチスサリバリウス・バシトラシン プレー
ト上でのCFUと吸光度の関係を示すグラフである。
【図7】 イムノステインにより得られたCFUと吸光
度の関係を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 太田 房雄 徳島県徳島市中島田町3丁目23の10 (72)発明者 西野 瑞穗 徳島県徳島市国府町竜王3番地 (56)参考文献 特開 平1−250067(JP,A) 特開 昭59−107263(JP,A) 米国特許4399229(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/569 G01N 33/577

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体中のストレプトコッカス・ミュータ
    ンスと該菌体に特異的な反応性を有するモノクローナル
    抗体を反応させ、メンブランフィルターで濾過して菌体
    に結合した抗体と未結合の抗体とを分離し、フィルター
    上に捕集された菌体結合型抗体を検出することを特徴と
    するう蝕原性菌の検出方法。
  2. 【請求項2】 モノクローナル抗体がMAb f89であ
    る請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 (i)標識または未標識のストレプトコッ
    カス・ミュータンスに特異的なモノクローナル抗体を含
    む緩衝液、および(ii)B/F分離を行うためのメンブラ
    ンフィルター、からなるう蝕原性菌を検出するためのキ
    ット。
  4. 【請求項4】 ストレプトコッカス・ミュータンスに特
    異的な抗体が未標識である場合、該抗体に特異的な標識
    2次抗体を含む緩衝液をさらに含有する請求項3に記載
    のキット。
  5. 【請求項5】 抗体を含む緩衝液が、該抗体の安定化に
    必要な試薬をさらに含有する請求項3または4に記載の
    キット。
  6. 【請求項6】 検体を分散・希釈するための緩衝液、お
    よび/または非特異的に吸着された抗体を除去するため
    の洗浄液をさらに含有する請求項3〜5のいずれかに記
    載のキット。
  7. 【請求項7】 標識が酵素標識である場合、該酵素の基
    質溶液をさらに含有する請求項3〜6のいずれかに記載
    のキット。
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