JP3092937B2 - ノルボルネン系開環重合体水素添加物、その製造方法、それで作られたデイスク基板、及びディスク - Google Patents

ノルボルネン系開環重合体水素添加物、その製造方法、それで作られたデイスク基板、及びディスク

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JP3092937B2 JP02295438A JP29543890A JP3092937B2 JP 3092937 B2 JP3092937 B2 JP 3092937B2 JP 02295438 A JP02295438 A JP 02295438A JP 29543890 A JP29543890 A JP 29543890A JP 3092937 B2 JP3092937 B2 JP 3092937B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ノルボルネン系開環重合体水素添加物、そ
の製造方法、それで作られたディスク基板、及びディス
クに関する。更に詳しくは、異物含有量が少なく、記録
信号更生時のノイズの少ない光学式記録媒体用光学材料
として好適なノルボルネン系開環重合体水素添加物、そ
の製造方法、それで作られたディスク基板、及びディス
クに関する。
〔従来の技術〕
テトラシクロドデセン、そのアルキル置換体、エステ
ル型置換体などに代表されるノルボルネン系モノマーの
開環重合体水素添加物は光学材料として好ましい性質を
有している。(例えば特開昭60−26024号、特開昭63−3
17520号、特開平1−132626号など)。とくに数平均分
子量(Mn)が20,000〜50,000、重量平均分子量(Mw)が
40,000〜80,000、分子量分布(Mw/Mn)が、2.5以下であ
り、かつポリマー中の揮発成分が0.3重量%以下である
場合には、射出成形の際にボイドやシルバーストリーク
を発生することがなく、光学用材料としてきわめて優れ
た特性を有している(特願平2−150684号)。
このような水素添加物を製造するに当たっては、一般
にノルボルネン系開環重合体を溶媒中で触媒を用いて水
素添加し、触媒を除去し、次いで重合体溶液に溶媒と同
量以上の貧溶媒、通常2〜3倍のケトンまたはアルコー
ルと接触させることによって析出単離させ、乾燥する方
法が採用されている(例えば特開平1−138257号)。
しかし、この方法の場合には、処理時間が長い、操作
が複雑であるといった問題に加え、水素添加物中に異物
が混入しやすいという問題がある。異物混入の原因とし
て、ポリマーの析出に用いる溶剤中の異物がポリマーに
混入する、析出したポリマーを分離・乾燥する工程での
移動操作時に塵が異物として混入する、重合触媒や水素
添加触媒の除去が不完全であることなどが挙げられる。
光学材料として、中でも光ディスクのごとき情報記録
媒体として使用する場合は、特に、樹脂中の異物が記録
信号の不良と密接な相関があることが公知である。(特
開昭61−90345) 異物含有量が多いポリマーを光学式記録媒体用光学材
料に使用すると記録信号再生時のノイズや信号エラーの
原因となるため好ましくないが、従来の方法では異物の
混入を避けられず、より異物含量の少ないポリマー及び
その製法の実現が望まれていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、記録信号再生時のノイズや信号エラーの少
ない光学式記録媒体用光学材料として優れたノルボルネ
ン系開環重合体水素添加物及び該添加物の製造に適した
ノルボルネン系開環重合体水素添加物の製造方法を提供
する。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、第1の発明としてノルボルネン系モ
ノマーの開環重合体の水素添加物であって、該水素添加
物の高速液体クロマトグラフィにより測定した数平均分
子量(Mn)が20,000〜50,000、重量平均分子量(Mw)が
40,000〜80,000、分子量分布(Mn/Mw)が2.5以下、該水
素添加物中に含まれる揮発成分0.3重量%以下であり、
かつ0.5μg以上の異物量が1×105/g以下であるノルボ
ルネン系開環重合体水素添加物が提供され、第2の発明
として該水素添加物を成形したディスク基板が提供さ
れ、第3の発明として該ディスク基板に金属反射膜を蒸
着した光学式記録媒体ディスクが提供され、さらに第4
の発明としてノルボルネン系開環重合体を溶液中で水素
添加触媒の存在下で水素添加反応した後の反応混液を孔
径が0.5μm以下のフィルターで濾過した後、濾液中の
揮発成分を減圧下の加熱により蒸発させることを特徴と
するノルボルネン系開環重合体水素添加物の製造方法が
提供される。
以下、本発明の構成について詳述する。
(ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物) 本発明のベースポリマーは、ノルボルネン系モノマー
の開環重合体の水素添加物である。
該水素添加物は、高速液体クロマトグラフィーにより
測定した数平均分子量(Mn)が20,000〜50,000、重量平
均分子量(Mw)が40,000〜80,000、分子量分布(Mw/M
n)が2.5以下であり、かつ、該水素添加物中に含まれる
揮発成分が0.3重量%以下であり、かつ0.5μm以上の異
物量が1×105個/g以下のものである。
数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)が上
記範囲より大きいと、複屈折が劣り、かつ、成形性が悪
くなり、グループ転写性も不良となる。数平均分子量
(Mn)が小さいと、機械的強度が劣り、また、分子量分
布(Mw/Mn)が大きいと、複屈折が大きくなる。
揮発成分の含有量が上記範囲より多いと、投影面積が
大きく、厚みの薄い光ディスク基板などを射出成形によ
り成形した場合に、ボイドやシルバーストリークの発生
が見られる。
さらに異物量が多くなると光学式記録媒体ディスクと
したときの記録再生時のノイズや信号エラーを起こしや
すくなる。
また、本発明における水素添加物は、耐熱性および射
出成形性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が100℃以
上、好ましくは120〜200℃、さらに好ましくは130〜180
℃であることが望ましい。
ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボル
ネン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、トリメタノド
デカヒドロアントラセン、およびそれらの置換体;ジシ
クロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエ
ン、ジメタノオクタヒドロベンゾインデン、ジメタノデ
カヒドロベンゾインデン。ジメタノデカヒドロフルオレ
ン、およびそれらの置換体等を挙げることができる。置
換基は、従来から周知のものであれば、炭化水素基、極
性基のいずれでもよく、例えば、アルキル基、アルキリ
デン基、アリール基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコ
キシカルボニル基、ピリジル基などが例示される。
これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独で
使用してもよいが、二種以上組合わせて使用することも
できる。目的とする開環重合体水素添加物のTgを100℃
以上とするためには、これらのノルボルネン系モノマー
の中でも四環体または五環体のものを使用するか、ある
いはこれらを主成分とし、二環体や三環体のモノマーと
併用することが好ましい。
特に、複屈折率の点では、四環体の低級アルキル置換
体またはアルキリデン置換体、中でもエチル置換体、エ
チリデン置換体およびプロピル置換体が好ましく、とり
わけエチル置換体またはエチリデン置換体のホモポノリ
マーまたはこれを50重量%以上、好ましくは70重量%以
上重合成分として含むコポリマーが望ましい。
また、共重合成分として、他のシクロオレフィン類、
例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテ
ン、シクロヘプテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロ
ジシクロペンタンジエン等を本発明の目的を損なわない
範囲、通常、30重量%以下の範囲で用いることができ
る。
また、分子量調節剤として、非環式オレフィンを少量
(通常、10モル%まで)用いてもよく、その中でも、特
に、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等のα−
オレフィンが好ましい。
このような重合体は、例えば、四ハロゲン化チタンな
どの遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物などの有
機金属および第三級アミンから成る触媒系を用いて、チ
タン成分とモノマーとを逐次添加する方法で得ることが
できる。もちろん、他の触媒系で調製したものでも、上
記の各要件に合致するものであればよい。
開環重合は、溶媒を用いなくても可能であるが、通常
は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロ
ヘキサンなどの脂環族炭化水素、ジクロルエタンなどの
ハロゲン化炭化水素等の不活性有機溶媒中で実施され
る。また、通常、重合温度は、−20℃〜100℃、重合圧
力は、0〜50kg/cm2以下の範囲から選択される。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物
は、周知の水素添加触媒を使用することにより製造され
る。
水添触媒としては、オレフィン化合物の水素化に際し
て一般に使用されているものであれば使用可能であり、
例えば、ウィルキンソン錯体、酢酸コバルト/トリエチ
ルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリ
イソブチルアルミニウム、パラジウム−カーボン、ルテ
ニウム−カーボン、ニッケル−けいそう土等を挙げられ
るが、次工程での触媒残渣の除去の容易さの見地から固
形触媒であることが必要である。
水素化反応は、不均一系で、1〜200気圧の水素圧
下、0〜250℃で行なわれる。
水素添加率は、耐熱劣化性、耐光劣化性などの観点か
ら、90%以上、好ましく95%以上、特に好ましくは99%
以上とする。
(異物の濾過工程) 本発明においては水素添加物の溶液を濾過することに
より異物を除去する異物除去工程が必要である。
この異物除去工程以降の処理は、新たな異物の混入を
防ぐため、クリーン・ルーム中等、クリーン度の高い環
境下、クリーン度クラス1000以下で行うことが好まし
く、特にクリーン度クラス100以下で行うことが好まし
い。
孔径が0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下のフィル
ターで濾過することにより、異物を除去する。孔径が0.
5μmより大きいフィルターを用いると水素添加物溶液
中の異物含有量が減少せず光学記録式光学材料として記
録再生時のノイズレベルが増大する。
フィルターの種類は特に限定されない。一般に、カー
トリッジフィルターやメンブランフィルターが用いられ
る。濾過の効率を上げるため、減圧、または加圧しても
よい。珪藻土、シリカ、アルミナ等を濾過助剤として使
用することもできる。
濾過の際の溶液濃度は5〜40重量%、好ましくは10〜
25重量%である。濃度が低いと大量の溶液を処理する必
要があり、濃度が高いと濾過性が低下し、共に生産性が
劣り工業的に不利となる。通常、反応後の溶液濃度は10
〜25重量%であるので、濃縮や希釈をすることなく濾過
すればよい。
(揮発成分除去工程) 本発明においては、異物除去工程に続いて、揮発成分
除去工程でポリマー溶液中の揮発分が除去される。揮発
成分としては、水添反応に用いた溶剤や、重合工程の反
応液を直接水素添加反応に供した場合に含有される未反
応モノマーなどがある。
揮発成分の含有量が上記範囲より多いと、投影面積が
大きく、厚みの薄い光ディスク基板(とくに大型の光デ
ィスク基板)などを射出成形により成形した場合に、ボ
イドやシルバーストリークの発生が見られる。
揮発成分の除去はポリマー溶液を減圧下に加熱するこ
とにより行われる。このための装置としてはコントロ
(日立製作所社製)、スミス式(神鋼フアウドラー社
製)などの遠心薄膜連続蒸発器型乾燥器、ボテーター
(ケメトロン社製)、オンレーター(桜製作所社製)な
どの掻面熱交換型連続反応器型乾燥器、SCR(三菱重工
社製)などの高粘度リアクタ装置などが挙げられる。
これらの装置の操作条件は適宜選択しうるが、通常は
200torr以下、好ましくは100torr以下、特に好ましくは
30torr以下で、また、200℃〜300℃、好ましくは250℃
〜270℃で、少なくとも10分間行う。圧力が高いと、蒸
発速度が遅く生産性が悪い。また、温度が300℃より高
いとポリマーの熱分解反応が生じ、200℃未満では揮発
成分が残留し易い。この際、窒素、アルゴンなどの不活
性ガス雰囲気下で処理することが望ましい。水素添加物
は酸素存在下で加熱すると、熱劣化により着色しやす
く、光学記録式光学材料に対する処理として好ましくな
い。
この工程では必要に応じて酸化防止剤、熱安定性剤、
滑剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。
このような方法によれば、0.5μm以上の異物量が1
×105個/g以下、好ましくは8×104個/g以下、とくに好
ましくは7×104個/g以下のポリマーを得ることができ
る。
これらの方法によって製造されたポリマー(水素添加
物)は、実質的に非晶性であり、透明性、寸法安定性、
耐熱性、吸水性に優れ、透湿性がほとんど認められな
い。
(酸化防止剤) 本発明において、前記水素添加物100重量部に対し
て、酸化防止剤を0.01〜5重量部の割合で配合すると、
成形加工時のポリマーの分解や着色を効果的に防止する
ことができる。
酸化防止剤としては、20℃における蒸気圧が10-6Pa以
下、特に好ましくは10-8Pa以下の酸化防止剤が望まし
い。蒸気圧が10-6Paより高いものは、射出成形時に蒸発
し、金型や光ディスク基板表面を汚染する。そして、例
えば、記録薄膜形成のための金属蒸着時、高真空に達し
にくくなり、また、装置内部を汚染する等の問題の他
に、蒸着金属膜の膨れや剥離といった問題も発生し易く
なる。
本発明で使用できる酸化防止剤としては、例えば、ペ
ンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス
[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチ
ルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウ
ンデカンなどのごときヒンダードフェノール系を挙げる
ことができる。
(ディスク基板及び光記録媒体) 本発明のノルボルネン系開環重合体水素添加物は、通
常の成形法により各種成形物に成形できるが、特に射出
成形により光ディスク基板を作成するのに適している。
射出成形によって得られた成形物は、常法に従ってさ
らに真空蒸着やスパッタリング等の方法によって、金
属、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属ハロゲ
ン化物等を目的に応じ、単層または多層に成膜すること
ができる。
透明基板上に、光学的に記録および/または読み出し
可能な反射膜や記録薄膜を設けて、記録媒体を製造する
ことができる。
金属反射膜としてはAl、Ni、Auなど使用される。記録
膜としては、孔形成型としてTe−C、As−Te−Se、Te−
Se−C系など、相変化型としてTeOx、Sn−Te−Se、Te−
Sb−Ge、Sb−Se/Bi−Te系など、光磁気型としてTb−F
e、Tb−Fe−Co、Nb−Dy−Fe、Nb−Dy−Fe−Co、Nb−Dy
−Co、Pt−Tb−Fe−Co系などが使用される。しかし、こ
こで例示したもの以外の反射膜や記録膜が適用されても
差し支えない。
(用途) 本発明のノルボルネン系開環重合体水素添加物は、射
出成形、プレス成形、押出成形、回転成形など一般的な
熱可塑性樹脂の加工方法が可能である。
そして、本発明のノルボルネン系重合体水素添加物
は、光ディスク基材(基材、ハブ、スペーサー等)、レ
ンズ、光ファイバー、光学ミラー、プリズム、発光ダイ
オード用封止材、各種カバー用ガラス、窓ガラス、アイ
ロンの水タンク、電子レンジ用品、液晶表示用基板、プ
リント基板、透明導電性シートおよびフィルム、注射
器、ピペット、アニマルゲージ、ハウジング類、フィル
ム、ヘルメット、スピーカーコーン等に用いることがで
きる。また、光記録媒体としては、光ディスク、CD、CD
−ROM、レーザーディスク、光カード、光フロッピー、
光テープ等を挙げることができる。
〔実施例〕
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて
具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに
限定されるものではない。また、以下の実施例および比
較例において、特に断りのない限り、部および%は重量
基準である。
〔参考例1〕 6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a
−オクタヒドロナフタレン(以下、ETDという)30部を
シクロヘキサン200部に溶解し、分子量調節剤として1
−ヘキセンを1部、トリエチルアルミニウムの15%シク
ロヘキサン溶液10部、およびトリエチルアミン5部を添
加した。この溶液を、30℃に保ちながらETD30部、およ
び四塩化チタンの20%シクロヘキサン溶液10部を1時間
にわたって連続的に反応系に添加して、開環重合を行っ
た。
ETDと四塩化チタンの全量を添加し、30分後、転化率8
5%の時点で六塩化タングステンの0.8%シクロヘキサン
溶液5部を添加し、更に30分間攪拌した。
単量体の重合体への転化率は98%であった。
〔実施例1〕 (水添工程) 参考例1の方法で得られた重合体溶液100部に、イソ
プロピルアルコール1部を添加し、室温で10分間攪拌し
た。さらに蒸留水を1部添加して、80℃で1時間攪拌し
た。反応終了後、無水硫酸マグネシウム3部を添加して
攪拌しながら溶液を室温まで冷却し、珪藻土(ラジオラ
イト#800昭和化学製)を濾過層として不溶化物を含ん
だ溶液を2.5kg/cm2加圧濾過し、淡黄色透明のポリマー
溶液を得た。
上記のポリマー溶液100部に、ニッケル−珪藻土触媒
1部を添加して、オートクレーブ中に入れ、攪拌混合後
に中の空気を水素で置換して、水素圧を45kg/cm2にて攪
拌しながら温度190℃まで加温した後、4時間不均一系
で反応させた。
(濾過工程) 不溶化物を含んだポリマー含量20%の反応液をラジオ
ライト#800をろ過床として、加圧ろ過器(フンダフィ
ルター、石川島播磨重工社製)を使用し、圧力2.5kg/cm
2で加圧濾過して、無色透明な溶液を得た。この溶液100
部に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス
〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕0.01部を加えて溶解し、クリーン
度クラス100の環境下で、この濾液をさらに0.2μmのフ
ィルターにて濾過し、異物を除去した。
(揮発成分除去工程) 上記溶液100部を用いて、揮発成分であるシクロヘキ
サン及び残留モノマーの蒸発を縦置円筒型濃縮器日立コ
ントロ(日立製作所製)によって行った。運転条件は、
ポリマー溶液温度251℃、圧力57torr、ポリマー溶液流
量5.9kg/hrにて行い、水素添加物19部を得た。残留溶剤
およびモノマーは水素添加物を10%含むトルエン溶液を
ガスクロマトグラフィで分析した結果、得られた水素添
加物中のシクロヘキサン含量0.08wt%、残留モノマー水
素添加物含量0.73%であった。
この回収した水素添加物溶融物100部を同濃縮器を用
いて、水素添加物溶融物温度260℃、圧力5torr、水素添
加物溶融物流量16.8kg/hrで処理した。溶融物をダイか
ら押し出し、ペレタイザー(OSP−2、長田製作所製)
でカッティングし、ペレット73部(ポリマーA)を得
た。得られたペレットを10%含むトルエン溶液をガスク
ロマトグラフィで分析した結果、残留シクロヘキサン
量、残留モノマー水素添化物量共に、測定限界以下であ
った。最終的に回収された水素添加物は、無色透明で、
Mnは29,000、Mwは59,500、Mn/Mwは2.05であった。ま
た、示差走査熱量分析(DSC)により測定したTgは140℃
であった。さらに、四塩化炭素溶液として1H−NMRスペ
クトルにより測定したを水素添加率はほぼ100%であっ
た。得られた水素添加物を0.1カートリッジフィルター
にて濾過精製したシクロヘキサンを用いて0.2%溶液に
調整し、光散乱式粒子検出器(KS−58、リオン社製)を
用いて異物個数を測定した結果、1μm以上の異物量21
0個/g、0.5μm以上の異物量6×104個/gであった。
〔実施例2〕 揮発成分除去工程の装置を縦置円筒型濃縮器に代えて
高粘度リアクタ装置SCR(三菱重工社製)とし、操作条
件を水素添加物溶融物温度250℃、圧力1torr、水素添加
物溶融物流量3.22kg/hrで1段で処理を行った以外は実
施例1と同様に処理して、水素添加物100部からペレッ
ト12部(ポリマーB)を得た。得られた水素添加物は無
色透明であり、Mnは28,800、Mwは59,000、Mw/Mnは2.0
5、Tgは140℃であった。残留シクロヘキサン量、残留モ
ノマー水素添加物量は検出限界以下であった。水素添加
物中の1μm以上の異物量は290個/g、0.5μm以上の異
物量は7×104個/gであった。
〔実施例3〕 モノマーとして6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,
4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナルタレンを使用する
以外は参考例1、実施例1と同様にして、開環重合体水
素添加物ペレット(ポリマーC)を得た。得られた水素
添加物のペレットは無色透明で、Mnは31,000、Mwは63,0
00、Mw/Mnは2.03、Tgは149℃であり水素添加率はほぼ10
0%であった。
また残留シクロヘキサン量、残留モノマー水素添加物
量は検出限界以下であった。水素添加物中の1μm以上
の異物量は320個/g、0.5μg以上の異物量は6×104個/
gであった。
〔実施例4〕 濾過工程において酸化防止剤を添加しないこと以外は
実施例1と同様にしてペレットを得た。得られた水素添
加物のペレットは、ごくわずかに黄色味を帯びていた
が、Mnは29,000、Mwは59,500、Mw/Mnは2.05、Tgは141℃
であった。残留シクロヘキサン量、残留モノマー水素添
加物量は検出限界以下であった。水素添加物中の1μm
以上の異物は340個/g、0.5μm以上の異物量は9×104
個/gであった。
〔実施例5〕 濾過工程において用いる酸化防止剤をイルガノックス
1330(チバガイギー社製)に代えること以外は実施例1
と同様にしてペレットを得た。得られた水素添加物のペ
レットは、無色透明で、Mnは29,000、Mwは59,500、Mw/M
nは2.05、Tgは140℃であった。残留シクロヘキサン量、
残留モノマー水素添加物量は検出限界以下であった。水
素添加物中の1μm以上の異物は240個/g、0.5μm以上
の異物量は6×104個/gであった。
〔比較例1〕 実施例1における水添工程終了後、実施例1と同様に
して濾過、引き続き精密濾過して、無色透明な溶液を得
た。クリーン度クラス1000のクリーンルーム内に設置し
たクリーンベンチ内のクリーン度クラス100の環境下
で、この溶液を0.1フィルターにて濾過精製したシクロ
ヘキサンを用いて水素添加物濃度5.0%に希釈した溶液1
00部を、300部のイソプルピルアルコール中に注ぎ入
れ、撹拌して水素添加物を析出させた。
析出した水素添加物と溶剤とは400メッシュステンレ
スフィルターにて分離し、回収された水素添加物はクリ
ーンルーム内に設置した真空乾燥器にて120℃、1torr以
下で24時間乾燥し、水素添加物4.2部を得た。得られた
水素添加物100部に実施例1に使用したのと同じ酸化防
止剤0.05部を配合し、クリーンルーム内に設置したスク
リュー径40mmの単軸押し出し器(SV−40、田辺プラスチ
ックス機械社製)にて240℃で溶融押し出しし、ペレタ
イザーでカッティングしてペレット91部(ポリマーD)
を得た。得られた水素添加物は無色透明で、Mnは29,00
0、Mwは59,700、Mw/Mnは2.06、Tgは137℃であった。得
られた水素添加物中の揮発成分は0.5%であり、異物個
数は、1μm以上で730個/g、0.5μm以上で3×105個/
gであった。
〔比較例2〕 比較例1と同様にして得られた、1度だけ凝固したの
ち、乾燥した水素添加物をシクロヘキサンに5%濃度に
再溶解して得られた溶液100部を0.2μmのフィルターに
て濾過し比較例1と同様にして再度凝固・乾燥・ペレッ
ト化して揮発成分含量0.2%のポリマー(ポリマーE)
を得た。
乾燥した水素添加物(ポリマーE)を、0.1フィルタ
ーにて濾過精製したシクロヘキサンを用いて0.5%溶液
に調整し、パーティクルカウンターにて異物個数を測定
した結果、1μm以上の異物量890個/g、0.5μm以上の
異物量4×105個/gであった。
以上の結果から、本発明の方法で回収したノルボルネ
ン系開環重合体水素添加物は、従来法と比較して0.5μ
m以上の異物の量が少ないことが判る。
〔実施例6〕 (光ディスク基板の作成) 前記の各ペレットを用い、射出成形機(住友重機械工
業社製、DISC 5M III)により、樹脂温度330℃、金型
温度110℃の条件で射出成形を行ない、直径130mm、厚さ
1.2mmの光ディスク基板を成形した。波長830nmにおける
光線透過率はいずれも90%以上であった。
この光ディスク基板について、目視検査による外観、
分子量(Mw)変化率、顕微鏡観察によるボイドの有無、
複屈折値(半径:25〜60mmの範囲)、オーブン中で、110
℃、48時間加熱した後の着色の状況(目視検査)を測定
した。結果を第1表に示した。
第1表から明らかなように、本発明の光ディスク基板
は、複屈折が小さく、ミクロボイドやシルバーストリー
クの発生がない。また、酸化防止剤を配合すると、成形
時の分子量低下がなく、長期にわたって着色を生じな
い。これに対して、揮発成分の含有量が多い対照例のも
のは、光ディスク基板の外周部にミクロボイドが発生
し、気泡を伴うこともあり、特に大型の光ディスク基板
を作成するときに重大な障害となる。
〔実施例7〕 第2表に示す材料を用いて得た光ディスク基板を、ク
リーンルーム内でイソプロピルアルコールで超音波洗浄
を行なった後、フレオン蒸気で乾燥を行なった。その
後、日本真空技術社製RFマグネトロンスパッタリング装
置を用い記録膜としてSi3N4/TbFeCo/Si3N4 3層膜(膜
厚は各層とも500オングストローム)を成膜した。
得られた光ディスクについて、各種物性試験を行な
い、その結果を第2表に示す。
物性測定 <C/N比> 光ディスクのC/N値(dB)の測定は、次の条件で行な
った。
書き込みレーザーパワー 5.5mW 再生レーザパワー 1.0mW ディスク回転数 1800rpm キャリア周波数 2MHz 印加磁界 300Oe レーザー波長 830nm <耐久性試験> 光ディスクを60℃、80%RHの恒温高湿槽に投入し、一
定時間後のC/N値、およびソリを測定した。
<ソリの測定> 日本光学社製反り角自動測定器を使用してソリ(mra
d)を測定した。
<機械強度> 機械強度は、1mの高さから光ディスクの落下試験を行
ない、割れや欠けの有無を観察した。
<エラー発生状況> 耐久性試験を行う前に、C/N比の測定と同条件で測定
した。
〔発明の効果〕 本発明により、光学用材料として優れた性能を有する
ノルボルネン系開環重合体水素添加物が提供される。特
に、本発明のノルボルネン系開環重合体水素添加物は、
光学用透明基板を射出成形により成形した場合に、機械
的強度の劣化がなく、ボイドやシルバーストリークなど
の発生がない。また本発明の成形材料から得た透明基板
を用いて耐久性に優れ、かつ記録再生時のノイズの少な
い光記録媒体を製造することができる。
さらに本発明の方法により、異物含量の少ないポリマ
ーを効率よく製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−286712(JP,A) 特開 平1−132626(JP,A) 特開 昭64−24826(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 61/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水
    素添加物であって、該水素添加物の高速液体クロマトグ
    ラフィにより測定した数平均分子量(Mn)が20,000〜5
    0,000、重量平均分子量(Mw)が40,000〜80,000、分子
    量分布(Mw/Mn)が2.5以下、該水素添加物中に含まれる
    揮発成分量が0.3重量%以下であり、かつ、0.5μm以上
    の異物量が1×105個/g以下であることを特徴とするノ
    ルボルネン系開環重合体水素添加物。
  2. 【請求項2】請求項1記載のノルボルネン系開環重合体
    水素添加物を成形したディスク基板。
  3. 【請求項3】請求項2記載のディスク基板に金属反射膜
    を蒸着した光学式記録媒体ディスク。
  4. 【請求項4】ノルボルネン系開環重合体を溶液中で水素
    添加触媒の存在下で水素添加反応する過程(A)、前記
    過程(A)の反応液を孔径が0.5μm以下のフィルター
    で濾過し、水素添加物を濾液として分離する過程
    (B)、該濾液を減圧下に加熱して揮発成分を蒸発させ
    ることにより水素添加物を取得する過程(C)から成る
    ことを特徴とするノルボルネン系開環重合体水素添加物
    の製造方法。
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