JP3091345B2 - 養殖生簀 - Google Patents

養殖生簀

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JP3091345B2 JP05092608A JP9260893A JP3091345B2 JP 3091345 B2 JP3091345 B2 JP 3091345B2 JP 05092608 A JP05092608 A JP 05092608A JP 9260893 A JP9260893 A JP 9260893A JP 3091345 B2 JP3091345 B2 JP 3091345B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚類の飼育、育成に使
用する養殖生簀に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種養殖生簀にあっては、図5
に示す構造のものが広く使用されている。図中1は四角
形に組み立てられた木製或いは鉄製のフレーム、2はこ
のフレーム1に固定されたフロート、3はフレーム1に
その上端が固定された魚網又は金網よりなる網で、海水
中に垂下、かつ張りわたされ、上方のみ開放され、側面
及び底面をおおっている。4,4─は網3の側面下端に
取りつけられた複数の沈子である。網3で囲まれた海水
領域に養殖魚が放たれ、飼育される。網3で囲まれた海
水領域は、網3外の領域と連続しており、海水は網3内
外を交流している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような構造の生簀
では、生簀内に投下された餌のうち、魚によって食べ残
された餌が生簀底部の網を抜けて海底へ落下し、堆積す
る。通常、養殖魚の餌歩留まりは約50〜70%であ
り、約半分の餌が溶解、懸濁を含めて無駄に消費され
る。海底に堆積した残餌は、腐敗し海底付近の海水を汚
し、かつ酸素を消費し、貧酸素或いは無酸素状態とし、
底質環境を悪化させる。長期間一定海域でこのような養
殖を行うと水質悪化による病気の多発、成長速度の遅延
化等養殖効率の低下のみならず、最悪の場合、養殖自体
不可能になる場合もある。また近時、かかる環境悪化
は、生簀付近のみでなく、周囲海域の環境にも悪影響を
及ぼし、自然破壊という問題をもひき起こしつつある。
【0004】また従来構造の生簀は、常時外界海水と交
流しており、かつ海水表面に設置されることが多いた
め、赤潮発生時その影響を回避することができない場
合、養殖魚に大きな被害を受けることが屡々あった。通
常赤潮は、昼間は海水面から下方約2m付近まで、夜間
は4〜10mまでに拡がって分布するが、従来の生簀は
この海面水域に設置されるので、直接被害を受けるので
ある。
【0005】また海水表面は、四季に応じて水温の変化
が大きいという問題がある。すなわち、変温動物である
魚類では、水温の変化がその成長に大きな影響を及ぼ
し、一般に水温が高すぎても低すぎても餌を食べず、成
長が遅れるのである。魚の成長に最適な水温は、一般に
約15〜25℃である。海水面領域の水温は夏期には約
30℃まで上昇し、冬期には約10℃にまで低下する。
特に水温が約30℃を越えると、罹病率が高くなり、生
産効率が悪化する。
【0006】さらに海水領域に固定された生簀では、台
風等時化時の際受ける風、波浪により生簀自体が破損す
るという事故も発生する。
【0007】養殖魚は、成魚の達するまでに赤潮等によ
る海水汚染、台風等による災害或いは病気によりかなり
の数死亡するが、前述の如く、従来構造の生簀では、上
記死亡原因に対し十分な対策を施すことができず、生産
性を低下させ、したがってコストを上昇させ、養殖経営
を厳しいものにしているのが現状である。
【0008】本発明は、このような諸問題を解決するた
めになされたものであり、自然環境を保護しつつ、かつ
養殖効率を向上させることができる養殖生簀を提供する
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る養殖生簀
は、海水が満たされ養殖魚が放たれる海水領域及び該海
水領域の上方に空気層を形成してなる軟質可撓性樹脂製
の密閉中空殻体と、該殻体へ海水を供給又は排出する海
水制御手段と、中層水を汲み上げ上記海水制御手段へ供
給する中層水取水手段と、上記殻体内の上記空気層の空
気量及び空気圧を調整するとともに上記領域の海水に酸
素を供給する空気制御手段と、上記殻体内に餌を供給す
る給餌手段とを具備してなるものである。
【0010】また本発明は、上記殻体に連結され該殻体
に浮力を与えるフロートと、上記殻体に連結され該殻体
に沈降力を与えるシンカーとを備え、上記殻体内の上記
空気層の空気量及び上記フロートによる浮力と上記殻体
自体の重量及び上記シンカーの重量による沈降力を均衡
させ上記殻体を海水表面及び海底間の任意の位置に移動
静止せしめるものである。
【0011】さらに本発明においては、上記殻体を形成
する軟質可撓性樹脂を、遮光性樹脂材料にて構成するこ
とができる。
【0012】さらにまた本発明においては、上記海水領
域に旋回流を発生させる旋回流発生手段を設けることが
できる。
【0013】
【0014】さらにまた本発明においては、海水殺菌手
段を備え、中層水取水手段にて取水された中層水を上記
海水殺菌手段を介して殺菌処理し、処理後の海水を上記
殻体内へ供給することができるものである。
【0015】
【作用】海水領域及び空気層を有する殻体内は、外界と
遮断された環境を有する。殻体内には、海水制御手段に
て海水が、空気制御手段にて酸素が供給される。ここで
海水制御手段には、中層水取水手段にて四季を通じて水
温が安定している中層水が送られるので、殻体内の海水
が魚の生育に最適な温度に維持され、魚の成長が促進さ
れる。また、給餌手段にて、殻体内に餌が供給される。
空気層の空気圧は空気制御手段にて制御され、通常外気
の大気圧と略等しいか、これより僅か大きく設定され
る。これにより、殻体には膨脹力が与えられ、殻体は所
定形を維持する。殻体は軟質可撓性樹脂材料にて構成さ
れるから、波浪等により海水が揺れ動く場合には、殻体
はこれを伴って揺動或いは変形し、外部から受ける力を
吸収緩和する。この揺動、変形の際殻体に付着した海
藻、貝殻等を脱落させる作用がなされる。
【0016】殻体には、フロートにより浮力が、またシ
ンカーにより沈降力が付与され、さらに殻体内の空気の
量の増減により浮力が調整され、浮力増大により殻体は
海面に浮上し、浮力減少により海底に沈降する。浮力調
整により、殻体は、海面、海底間の任意の位置に静止せ
しめられる。
【0017】殻体は、遮光性樹脂材料にて構成される。
それ故、殻体内部は暗く、多くの養殖魚が棲息する環境
に類似した環境とされる。
【0018】海水領域に旋回流を発生させ、養殖魚に自
然の海流に近い環境を与え、回遊させる。回遊により、
魚は活発に活動し、餌を食べ成育を促進される。
【0019】
【0020】海水殺菌手段を介して、海水が殺菌処理さ
れた後、殻体内へ供給される。通常高密度で養殖が行わ
れるため、一旦病気が発生すると急速にその病気が伝染
することが多いが、雑菌の少ない衛生的環境に保つこと
により罹病率が低下せしめられる。
【0021】
【実施例】図1及び図2において、10は軟質可撓性樹
脂よりなる密閉構造とされた例えば球形の中空殻体(以
下球殻体という)、11はこの球殻体10の赤道付近に
固定された梯子状円形の鉄製又は硬質樹脂製フレームで
ある。球殻体10の直径は、約10m、厚さは約1〜3
mmであり、軟質可撓性を有することから、水圧を受け
て或いは波浪により多少変形しながら揺動する。フレー
ム11は、球殻体10の補強及び球形維持作用をなす。
軟質可撓性樹脂材料としては、例えば織布で補強したウ
レタン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂等が
使用でき、この材料は着色する等して遮光性とされるの
が望ましい。通常マダイ等の魚は水深約50m付近に棲
息しており、この領域には日光は届かない。このような
魚を海面下数mの領域で養殖すると所謂日焼けをおこ
し、魚の色合いが天然魚と異なったものになるからであ
る。
【0022】球殻体10には、海水が満たされ、海水領
域12と、その上方に空気層13が形成される。海水領
域12に養殖魚14,14─が放たれ、飼育される。1
5,15─は、フレーム11に紐16を介して連結され
たフロートで、球殻体10に一定の浮力を与えるもので
ある。18a,18a─はフレーム11に鎖17を介し
て連結された固定シンカーで、球殻体10を所定海域に
固定しておくものである。18b,18b─は、鎖17
の途中に連結された中間シンカーで、球殻体10に沈降
力を与えるものである。球殻体10には、フロート1
5,15─による一定の浮力と、球殻体10内の空気層
13による浮力が与えられ、一方中間シンカー18b,
18b─と球殻体10自身の重量により沈降力が与えら
れる。それ故空気層13の空気量を増減することによ
り、浮力を加減すれば、球殻体10は、海面、海底間の
任意の場所に浮遊静止させることができるのである。
【0023】図3は、球殻体10の浮力を増し、浮上状
態とした例を示す。浮上状態は、通常使用状態である。
図4は、球殻体10の浮力を減少させ、沈潜状態とした
例を示す。かかる状態は、台風到来等において、緊急非
難した状態である。
【0024】球殻体10は、浮桟橋19の一端に係留さ
れ、浮桟橋19の他端に配設したコントロールバージ2
0により制御される。球殻体10上部とコントロールバ
ージ20間には、給餌ライン21、海水供給ライン2
2、空気供給ライン23、電源供給ライン等が付設され
る。球殻体10の海水制御手段24、空気制御手段2
5、給餌手段26及び海水殺菌手段27はその主要部が
コントロールバージ20に設置され、ここで制御され
る。
【0025】28は、コントロールバージ20下方の海
中に垂下された長さ約15mの中層水取水ラインで、そ
の下端の取水口29より中層水が汲み上げられ、海水供
給ライン22を介して球殻体10内に海水が供給され
る。海水として中層水を使用するのは次のような理由に
よる。すなわち、海面下約15m付近の海水である中層
水は、夏期は海面水温により2〜3℃低く、また冬期に
は逆に海面水温より2〜3℃高く、四季を通じて約13
〜25℃の温度で安定している。かかる温度水域は魚の
養殖に最適である。変温動物である魚類の養殖において
は、水温はその生産性に重大な影響を及ぼす要素であ
り、例えば水温が低くなると活発さを失い、餌も食べず
成長が鈍化し、同様に水温が高すぎても餌を食べない。
特に水温が約30℃を越えると病気が発生し易くなると
いう問題がある。また中層水は、赤潮発生時にもその影
響を受けず、汚染されない、きれいな状態に保たれると
いう利点がある。このような事情から中層水は魚の養殖
に最適な海水といえるのである。
【0026】空気制御手段25は、コントロールバージ
20上に設置されたエアポンプ(図示せず)と、球殻体
10側に設けられた圧力逃がし弁29を含み、これらポ
ンプと圧力逃がし弁29の操作により、空気層13の気
圧は、外気の大気圧と略等しいか若しくはこれより僅か
大きく調整され、その結果球殻体10内に膨張力が付与
され、球殻体10は球形に維持されている。また海水領
域12の海水量を減らし、その減量分だけ空気を導入す
れば、球殻体10の浮力は増し、球殻体10の静止位置
を上昇させることができ、かかる空気制御手段25は、
球殻体10の浮遊静止位置の移動、調整を行う機能をも
つ。
【0027】空気制御手段25は、海水領域12中への
酸素供給機能をも有する。すなわち上記エアポンプの駆
動により、空気供給ライン23及びパイプ42を介して
球殻体10内の海水領域12に空気を導入し、空気中の
酸素が海水中に溶出せしめられる。海水領域12に空気
が導入され、内部空気圧が上昇すると、圧力逃し弁29
の作動により、増量した空気は外部へ排出される。尚、
図4に示すように球殻体10が海水中に沈潜せしめられ
ている場合にも、空気供給ライン23を介して球殻体1
0内に空気が導入され海水領域12に酸素が供給され
る。
【0028】給餌手段26により、コントロールバージ
20において、配合調整されたペレット状の固形餌3
0,30─は、海水に分散された状態で給餌ライン21
を介して球殻体10内へ導入され、投下される。海水領
域12に投下された餌は、海水中を自重により沈降し、
その間に魚によって食べられる。
【0029】31は残餌再供給装置で、球殻体10上端
から球殻体10の鉛直軸方向に垂下されたパイプ32
と、球殻体10の底部に連結され、球殻体10外側を通
って球殻体10上部に至り、球殻体10内部に向かって
開放された循環パイプ33よりなる。循環パイプ33
は、球殻体10内部を通って球殻体10上部にその上端
を位置させることもできる。パイプ32の上端は、海水
供給ライン22を介して海水制御手段24を構成する吸
水ポンプ(図示せず)に連結され、このポンプを介して
中層水が供給される。パイプ32の下端には、先細のノ
ズル34が取り付けられており、このノズル34は、循
環パイプ33の下端開口の僅か上方位置に、下に向かっ
て配置されている。したがってノズル34から噴出した
海水は、循環パイプ33の下端開口に勢いよく注ぎ込ま
れる。球殻体10内に投下された餌のうち約半分は食べ
残されて球殻体10内底部に沈下するが、これらはノズ
ル34から噴出する海水に巻き込まれて循環パイプ33
に吸い込まれる。循環パイプ33にて回収された残餌を
含む海水は、再度球殻体10内へ供給される。かくして
食べ残された餌は繰り返し球殻体10内へ供給されるこ
ととなる。ノズル34からの海水噴出力は、海水が循環
パイプ33中を上昇し、再度球殻体10上端より流下せ
しめられるよう、その強さが設定される。尚、循環パイ
プ33下端の開口に魚が吸い込まれないよう、開口の上
方位置に網を張っておくことが望ましい。
【0030】球殻体10内の海水は、外部海水の供給に
より増大する。この増大分は、球殻体10の適所例えば
側面に設けた圧力逃がし弁35を開くことにより外海へ
排出される。この圧力逃し弁35は、海水制御手段24
の一部を構成するものであり、球殻体10内の海水圧が
一定値以上に上昇すると自動的に開く構成とされる。か
くして球殻体10内の海水量は一定に保たれ、かつ中層
水の供給により、その海水は新鮮な状態に維持される。
尚、圧力逃がし弁35の海水排出口には、魚が通り抜け
ることができないよう、口径を小さくするか或いは網を
張る等の処置がなされることは言うまでもない。
【0031】36は、循環パイプ33の上端に設けたバ
ルブで、これを切り換えることにより、回収した残餌を
含む海水を球殻体10外へ排出することもできる。かか
る操作は、投入した餌が数度の循環を経て古くなった場
合、或いは球殻体10底部に溜まった魚の糞等を外部に
排出したい場合に行われる。
【0032】37は、球殻体10内の海水層に旋回流を
発生させる旋回流発生装置で、球殻体10上部に取り付
けられたパイプよりなり、その上端はバルブ41を介し
て海水供給ライン22に接続され、その下端は球殻体1
0の赤道付近の内側の略水平方向に向けて開口せしめら
れている。この開口より中層水が吐出され、海水領域1
2に鉛直軸回りの旋回流aを発生させる。これにより養
殖魚は一定方向に向けて回遊するから、互いにぶつかり
合うことは少なくなり、空間効率が増し、単位容積中の
魚の密度を上げることができる。また魚に運動をさせる
ことにより病気が少なくなり、また肉がしまって味がよ
くなる。
【0033】中層水取水口29から汲み上げられた海水
は、コントロールバージ20内に設けられたオゾンによ
る海水殺菌手段27にて殺菌された後海水供給ライン2
2を通じて球殻体10内へ供給される。かくして球殻体
10内は常時殺菌状態に維持される。
【0034】38は、魚捕獲パイプであり、下端は球殻
体10の赤道付近に連結され、上端は球殻体10上部付
近に設けられた収容網39内に開放されている。40は
このパイプ38の開閉バルブである。球殻体10内の養
殖魚を捕獲するに際しては、バルブ40を開き、球殻体
10内に空気を導入し、或いは海水を導入して球殻体1
0の内圧を上昇させることにより、海水を球殻体10外
部へパイプ38を介して排出させる。この排出時、魚は
海水とともに吸い上げられて収容網39内へ捕獲され
る。かかる捕獲方法は、従来の網を用いて生簀内をかき
回す方法に比べて魚に警戒心を与えることが少ない。す
なわち捕獲時生簀内の魚に全く混乱は生じず、他の魚に
気付かれない状態で捕獲することができるのである。
【0035】尚、図1及び図2において、給餌ライン2
1、海水供給ライン22及び空気供給ライン23には、
各々開閉バルブ41が設けられる。これらの各ライン
は、浮桟橋19上に付設される部分を可撓性パイプにて
構成することができる。
【0036】上記実施例では、1個の養殖生簀につき説
明したが、実際には、上記養殖生簀を1ユニットとし、
これを約10ないし20個配列し、これらを1基のコン
トロールバージにて制御する構成がとられる。コントロ
ールバージにおいて各制御手段を駆動制御する動力源と
して太陽光発電、風力発電等の利用も可能である。
【0037】球殻体を使用した養殖規模の一具体例につ
き説明する。球殻体の直径を10mとすると、その容積
は525m3、魚の収容量は7kg/m3 (1尾1kgとすると
7尾)、総収容数は3675尾、必要酸素量約42kg/
日、海水溶存酸素量8g/m3、必要海水量約5200
m3、平均給餌量110kg/日である。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、養殖魚を飼育する海水
で満たされた殻体内部は、外界と遮断された構造、すな
わち殻体に接した外部海水が自然に殻体内に流入するこ
とがない構造とされるから、殻体内を一定の環境に保つ
ことができ、養殖魚を安全かつ効率よく飼育することが
できる。特に赤潮発生時においても、その影響を受ける
ことは全くないのである。
【0039】また本発明によれば、残餌が海底に滞留し
て腐敗するおそれはないから、従来発生していた海水汚
染、自然環境破壊という問題は解消される。
【0040】さらに本発明によれば、殻体が軟質可撓性
樹脂材料で構成されるから、海流、波浪、風等により外
部から力を受けても、殻体の変形或いは揺動により、こ
の力を吸収緩和することができる。それ故、殻体が破損
するというおそれは殆どない。また殻体の変形、揺動に
より殻体に付着した海藻、貝殻類を脱落させることがで
きる。
【0041】さらにまた本発明によれば、殻体を海面、
海底間の任意の位置に移動させることができるから、通
常は海面に浮上させた状態とし、台風接近時等には沈潜
させて海底付近の静水域に静止させることにより、被害
を免れることができる。
【0042】さらにまた本発明によれば、殻体には殺菌
処理された中水層が供給されるから、殻体内の衛生状態
を良好に保ち罹病率を低下させることができ、かつ水温
を養殖に最適な範囲に維持することができるから、魚の
成長を最大限に促進させることができる。
【0043】さらにまた本発明によれば、殻体を遮光性
樹脂材料にて構成することにより日焼けを起こさない天
然魚に近い色合いを持つ魚を得ることができる。
【0044】さらに本発明によれば、海水領域に旋回流
を生じさせることにより、魚を回遊させることができ
る。魚は回遊により流れに逆らって、一定方向に配列す
るから、魚同士ぶつかり合って傷つくこともなく、また
単位容積当たりの養殖度も上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例に係る養殖生簀の概略を示す構成
図である。
【図2】同例養殖生簀を具体的に示す一部切欠斜視図で
ある。
【図3】同例養殖生簀の通常使用状態を示す正面図であ
る。
【図4】同例養殖生簀の避難状態を示す正面図である。
【図5】従来例に係る養殖生簀を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 球殻体 11 フレーム 12 海水領域 13 空気層 15 フロート 18a 固定シンカー 18b 中間シンカー 20 コントロールバージ 24 海水制御手段 25 空気制御手段 26 給餌手段 28 中層水取水ライン 31 残餌再供給装置 32 パイプ 33 循環パイプ 34 ノズル 37 旋回流発生装置 38 魚捕獲パイプ 39 収容網

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海水が満たされ養殖魚が放たれる海水領
    域及び該海水領域の上方に空気層を形成してなる軟質可
    撓性樹脂製の密閉中空殻体と、該殻体へ海水を供給又は
    排出する海水制御手段と、中層水を汲み上げ上記海水制
    御手段へ供給する中層水取水手段と、上記殻体内の上記
    空気層の空気量及び空気圧を調整するとともに上記領域
    の海水に酸素を供給する空気制御手段と、上記殻体内に
    餌を供給する給餌手段とを具備してなる養殖生簀。
  2. 【請求項2】 上記殻体に連結され該殻体に浮力を与え
    るフロートと、上記殻体に連結され該殻体に沈降力を与
    えるシンカーとを備え、上記殻体内の上記空気層の空気
    量及び上記フロートによる浮力と上記殻体自体の重量及
    び上記シンカーの重量による沈降力を均衡させ上記殻体
    を海水表面及び海底間の任意の位置に移動静止せしめる
    ことを特徴とする請求項1記載の養殖生簀。
  3. 【請求項3】 上記殻体を形成する軟質可撓性樹脂は、
    遮光性樹脂材料にて構成されたことを特徴とする請求項
    1又は2記載の養殖生簀。
  4. 【請求項4】 上記海水領域に旋回流を発生させる旋回
    流発生手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記
    載の養殖生簀。
  5. 【請求項5】 海水殺菌手段を備え、上記中層水取水手
    段にて取水された中層水を上記海水殺菌手段を介して殺
    菌処理し、処理後の海水が上記殻体内へ供給されること
    を特徴とする請求項1又は2記載の養殖生簀。
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