JPH06276887A - 養殖生簀 - Google Patents

養殖生簀

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JPH06276887A
JPH06276887A JP5092608A JP9260893A JPH06276887A JP H06276887 A JPH06276887 A JP H06276887A JP 5092608 A JP5092608 A JP 5092608A JP 9260893 A JP9260893 A JP 9260893A JP H06276887 A JPH06276887 A JP H06276887A
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Riichi Ogura
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KAIYO KAIHATSU GIJUTSU KENKYUS
KAIYO KAIHATSU GIJUTSU KENKYUSHO KK
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KAIYO KAIHATSU GIJUTSU KENKYUS
KAIYO KAIHATSU GIJUTSU KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自然環境に悪影響を及ぼさず、かつ養殖効率
を上げる養殖生簀を提供する。 【構成】 海水領域12と空気層13を有し、密閉構造
とされた球殻体10を有する。球殻体は、軟質可撓性樹
脂にて形成される。球殻体内には海水制御手段24を介
して海水が供給される。球殻体内の空気層の空気量及び
空気圧は空気制御手段25にて制御され、球形に維持さ
れる。球殻体はその浮力が加減され浮上、沈潜操作がな
される。海水領域には、給餌手段にて餌が供給される。 【効果】 周囲海域とは、遮断された構造であるから、
残餌の放出等による海水汚染のおそれはない。海水領域
には特定の選択された海水が供給されるから、水質、水
温、衛生状態等球殻体内の環境を養殖に最適な条件とす
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚類の飼育、育成に使
用する養殖生簀に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種養殖生簀にあっては、図5
に示す構造のものが広く使用されている。図中1は四角
形に組み立てられた木製或いは鉄製のフレーム、2はこ
のフレーム1に固定されたフロート、3はフレーム1に
その上端が固定された魚網又は金網よりなる網で、海水
中に垂下、かつ張りわたされ、上方のみ開放され、側面
及び底面をおおっている。4,4─は網3の側面下端に
取りつけられた複数の沈子である。網3で囲まれた海水
領域に養殖魚が放たれ、飼育される。網3で囲まれた海
水領域は、網3外の領域と連続しており、海水は網3内
外を交流している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような構造の生簀
では、生簀内に投下された餌のうち、魚によって食べ残
された餌が生簀底部の網を抜けて海底へ落下し、堆積す
る。通常、養殖魚の餌歩留まりは約50〜70%であ
り、約半分の餌が溶解、懸濁を含めて無駄に消費され
る。海底に堆積した残餌は、腐敗し海底付近の海水を汚
し、かつ酸素を消費し、貧酸素或いは無酸素状態とし、
底質環境を悪化させる。長期間一定海域でこのような養
殖を行うと水質悪化による病気の多発、成長速度の遅延
化等養殖効率の低下のみならず、最悪の場合、養殖自体
不可能になる場合もある。また近時、かかる環境悪化
は、生簀付近のみでなく、周囲海域の環境にも悪影響を
及ぼし、自然破壊という問題をもひき起こしつつある。
【0004】また従来構造の生簀は、常時外界海水と交
流しており、かつ海水表面に設置されることが多いた
め、赤潮発生時その影響を回避することができない場
合、養殖魚に大きな被害を受けることが屡々あった。通
常赤潮は、昼間は海水面から下方約2m付近まで、夜間
は4〜10mまでに拡がって分布するが、従来の生簀は
この海面水域に設置されるので、直接被害を受けるので
ある。
【0005】また海水表面は、四季に応じて水温の変化
が大きいという問題がある。すなわち、変温動物である
魚類では、水温の変化がその成長に大きな影響を及ぼ
し、一般に水温が高すぎても低すぎても餌を食べず、成
長が遅れるのである。魚の成長に最適な水温は、一般に
約15〜25℃である。海水面領域の水温は夏期には約
30℃まで上昇し、冬期には約10℃にまで低下する。
特に水温が約30℃を越えると、罹病率が高くなり、生
産効率が悪化する。
【0006】さらに海水領域に固定された生簀では、台
風等時化時の際受ける風、波浪により生簀自体が破損す
るという事故も発生する。
【0007】養殖魚は、成魚の達するまでに赤潮等によ
る海水汚染、台風等による災害或いは病気によりかなり
の数死亡するが、前述の如く、従来構造の生簀では、上
記死亡原因に対し十分な対策を施すことができず、生産
性を低下させ、したがってコストを上昇させ、養殖経営
を厳しいものにしているのが現状である。
【0008】本発明は、このような諸問題を解決するた
めになされたものであり、自然環境を保護しつつ、かつ
養殖効率を向上させることができる養殖生簀を提供する
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る養殖生簀
は、海水が満たされ養殖魚が放たれる海水領域及び該海
水領域の上方の空気層を形成してなる軟質可撓性樹脂製
の密閉中空球殻体と、該球殻体へ海水を供給又は排出す
る海水制御手段と、上記球殻体内の上記空気層の空気量
及び空気圧を調整するとともに上記海水領域の海水に酸
素を供給する空気制御手段と、上記球殻体内に餌を供給
する給餌手段とを具備してなるものである。
【0010】また本発明は、上記球殻体に連結され該球
殻体に浮力を与えるフロートと、上記球殻体に連結され
該球殻体に沈降力を与えるシンカーとを備え、上記球殻
体内の上記空気層の空気量及び上記フロートによる浮力
と上記球殻体自体の重量及び上記シンカーの重量による
沈降力を均衡させ上記球殻体を海水表面及び海底間の任
意の位置に移動静止せしめるものである。
【0011】さらに本発明においては、上記球殻体を形
成する軟質可撓性樹脂を、遮断性樹脂材料にて構成する
ことができる。
【0012】さらにまた本発明においては、上記海水領
域に旋回流を発生させる旋回流発生手段を設けることが
できる。
【0013】さらにまた本発明においては、中層水取水
手段を備え、該中層水取水手段にて取水された中層水を
上記海水制御手段を介して上記球殻体内へ供給させるこ
とができるものである。
【0014】さらにまた本発明においては、海水殺菌手
段を備え、中層水取水手段にて取水された中層水を上記
海水殺菌手段を介して殺菌処理し、処理後の海水を上記
球殻体内へ供給することができるものである。
【0015】
【作用】海水領域及び空気層を有する球殻体内は、外界
と遮断された環境を有する。球殻体内には、海水制御手
段にて海水が、空気制御手段にて酵素が供給される。ま
た給餌手段にて、球殻体内に餌が供給される。空気層の
空気圧は空気制御手段にて制御され、通常外気の大気圧
と略等しいか、これより僅か大きく設定される。これに
より、球殻体には膨張力が与えられ、球殻体は球形を維
持する。球殻体は軟質可撓性樹脂材料にて構成されるか
ら、波浪等により海水が揺れ動く場合には、球殻体はこ
れに伴って揺動或いは変形し、外部から受ける力を吸収
緩和する。この揺動、変形の際球殻体に付着した海藻、
貝殻等を脱落させる作用がなされる。
【0016】球殻体には、フロートにより浮力が、また
シンカーにより沈降力が付与され、さらに球殻体内の空
気の量の増減により浮力が調整され、浮力増大により球
殻体は海面に浮上し、浮力減少により海底に沈降する。
浮力調整により、球殻体は、海面、海底間の任意の位置
に静止せしめられる。
【0017】球殻体は、遮光性樹脂材料にて構成され
る。それ故、球殻体内部は暗く、多くの養殖魚が棲息す
る環境に類似した環境とされる。
【0018】海水領域に旋回流を発生させ、養殖魚に自
然の海流に近い環境を与え、回遊させる。回遊により、
魚は活発に活動し、餌を食べ成育を促進される。
【0019】中層水取水手段により、球殻体内に供給さ
れた中層水は、四季を通じて水温が安定しており、かつ
その水温は魚の成育に最適な温度であるから、成長が促
進される。
【0020】海水殺菌手段を介して、海水が殺菌処理さ
れた後、球殻体内へ供給される。通常高密度で養殖が行
われるため、一旦病気が発生すると急速にその病気が伝
染することが多いが、雑菌の少ない衛生的環境に保つこ
とにより罹病率が低下せしめられる。
【0021】
【実施例】図1及び図2において、10は軟質可撓性樹
脂よりなる密閉構造とされた中空の球殻体、11はこの
球殻体10の赤道付近に固定された梯子状円形の鉄製又
は硬質樹脂製フレームである。球殻体10の直径は、約
10m、厚さは約1〜3mmであり、軟質可撓性を有する
ことから、水圧を受けて或いは波浪により多少変形しな
がら揺動する。フレーム11は、球殻体10の補強及び
球形維持作用をなす。軟質可撓性樹脂材料としては、例
えば織布で補強したウレタン樹脂、飽和ポリエステル樹
脂、ナイロン樹脂等が使用でき、この材料は着色する等
して遮光性とされるのが望ましい。通常マダイ等の魚は
水深約50m付近に棲息しており、この領域には日光は
届かない。このような魚を海面下数mの領域で養殖する
と所謂日焼けをおこし、魚の色合いが天然魚と異なった
ものになるからである。
【0022】球殻体10には、海水が満たされ、海水領
域12と、その上方に空気層13が形成される。海水領
域12に養殖魚14,14─が放たれ、飼育される。1
5,15─は、フレーム11に紐16を介して連結され
たフロートで、球殻体10に一定の浮力を与えるもので
ある。18a,18a─はフレーム11に鎖17を介し
て連結された固定シンカーで、球殻体10を所定海域に
固定しておくものである。18b,18b─は、鎖17
の途中に連結された中間シンカーで、球殻体10に沈降
力を与えるものである。球殻体10には、フロート1
5,15─による一定の浮力と、球殻体10内の空気層
13による浮力が与えられ、一方中間シンカー18b,
18b─と球殻体10自身の重量により沈降力が与えら
れる。それ故空気層13の空気量を増減することによ
り、浮力を加減すれば、球殻体10は、海面、海底間の
任意の場所に浮遊静止させることができるのである。
【0023】図3は、球殻体10の浮力を増し、浮上状
態とした例を示す。浮上状態は、通常使用状態である。
図4は、球殻体10の浮力を減少させ、沈潜状態とした
例を示す。かかる状態は、台風到来等において、緊急非
難した状態である。
【0024】球殻体10は、浮桟橋19の一端に係留さ
れ、浮桟橋19の他端に配設したコントロールバージ2
0により制御される。球殻体10上部とコントロールバ
ージ20間には、給餌ライン21、海水供給ライン2
2、空気供給ライン23、電源供給ライン等が付設され
る。球殻体10の海水制御手段24、空気制御手段2
5、給餌手段26及び海水殺菌手段27はその主要部が
コントロールバージ20に設置され、ここで制御され
る。
【0025】28は、コントロールバージ20下方の海
中に垂下された長さ約15mの中層水取水ラインで、そ
の下端の取水口29より中層水が汲み上げられ、海水供
給ライン22を介して球殻体10内に海水が供給され
る。海水として中層水を使用するのは次のような理由に
よる。すなわち、海面下約15m付近の海水である中層
水は、夏期は海面水温により2〜3℃低く、また冬期に
は逆に海面水温より2〜3℃高く、四季を通じて約13
〜25℃の温度で安定している。かかる温度水域は魚の
養殖に最適である。変温動物である魚類の養殖において
は、水温はその生産性に重大な影響を及ぼす要素であ
り、例えば水温が低くなると活発さを失い、餌も食べず
成長が鈍化し、同様に水温が高すぎても餌を食べない。
特に水温が約30℃を越えると病気が発生し易くなると
いう問題がある。また中層水は、赤潮発生時にもその影
響を受けず、汚染されない、きれいな状態に保たれると
いう利点がある。このような事情から中層水は魚の養殖
に最適な海水といえるのである。
【0026】空気制御手段25は、コントロールバージ
20上に設置されたエアポンプ(図示せず)と、球殻体
10側に設けられた圧力逃がし弁29を含み、これらポ
ンプと圧力逃がし弁29の操作により、空気層13の気
圧は、外気の大気圧と略等しいか若しくはこれより僅か
大きく調整され、その結果球殻体10内に膨張力が付与
され、球殻体10は球形に維持されている。また海水領
域12の海水量を減らし、その減量分だけ空気を導入す
れば、球殻体10の浮力は増し、球殻体10の静止位置
を上昇させることができ、かかる空気制御手段25は、
球殻体10の浮遊静止位置の移動、調整を行う機能をも
つ。
【0027】空気制御手段25は、海水領域12中への
酸素供給機能をも有する。すなわち上記エアポンプの駆
動により、空気供給ライン23及びパイプ42を介して
球殻体10内の海水領域12に空気を導入し、空気中の
酸素が海水中に溶出せしめられる。海水領域12に空気
が導入され、内部空気圧が上昇すると、圧力逃し弁29
の作動により、増量した空気は外部へ排出される。尚、
図4に示すように球殻体10が海水中に沈潜せしめられ
ている場合にも、空気供給ライン23を介して球殻体1
0内に空気が導入され海水領域12に酸素が供給され
る。
【0028】給餌手段26により、コントロールバージ
20において、配合調整されたペレット状の固形餌3
0,30─は、海水に分散された状態で給餌ライン21
を介して球殻体10内へ導入され、投下される。海水領
域12に投下された餌は、海水中を自重により沈降し、
その間に魚によって食べられる。
【0029】31は残餌再供給装置で、球殻体10上端
から球殻体10の鉛直軸方向に垂下されたパイプ32
と、球殻体10の底部に連結され、球殻体10外側を通
って球殻体10上部に至り、球殻体10内部に向かって
開放された循環パイプ33よりなる。循環パイプ33
は、球殻体10内部を通って球殻体10上部にその上端
を位置させることもできる。パイプ32の上端は、海水
供給ライン22を介して海水制御手段24を構成する給
水ポンプ(図示せず)に連結され、このポンプを介して
中層水が供給される。パイプ32の下端には、先細のノ
ズル34が取りつけられており、このノズル34は、循
環パイプ33の下端開口の僅か上方位置に、下に向かっ
て配置されている。したがってノズル34から噴出した
海水は、循環パイプ33の下端開口に勢いよく注ぎ込ま
れる。球殻体10内に投下された餌のうち約半分は食べ
残されて球殻体10内底部に沈下するが、これらはノズ
ル34から噴出する海水に巻き込まれて循環パイプ33
に吸い込まれる。循環パイプ33にて回収された残餌を
含む海水は、再度球殻体10内へ供給される。かくして
食べ残された餌は繰り返し球殻体10内へ供給されるこ
ととなる。ノズル34からの海水噴出力は、海水が循環
パイプ34中を上昇し、再度球殻体10上端より流下せ
しめられるよう、その強さが設定される。尚、循環パイ
プ33下端の開口に魚が吸い込まれないよう、開口の上
方位置に網を張っておくことが望ましい。
【0030】球殻体10内の海水は、外部海水の供給に
より増大する。この増大分は、球殻体10の適所例えば
側面に設けた圧力逃がし弁35を開くことにより外海へ
排出される。この圧力逃し弁35は、海水制御手段24
の一部を構成するものであり、球殻体10内の海水圧が
一定値以上に上昇すると自動的に開く構成とされる。か
くして球殻体10内の海水量は一定に保たれ、かつ中層
水の供給により、その海水は新鮮な状態に維持される。
尚、圧力逃がし弁35の海水排出口には、魚が通り抜け
ることができないよう、口径を小さくするか或いは網を
張る等の処置がなされることは言うまでもない。
【0031】36は、循環パイプ33の上端に設けたバ
ルブで、これを切り換えることにより、回収した残餌を
含む海水を球殻体10外へ排出することもできる。かか
る操作は、投入した餌が数度の循環を経て古くなった場
合、或いは球殻体10底部に溜まった魚の糞等を外部に
排出したい場合に行われる。
【0032】37は、球殻体10内の海水層に旋回流を
発生させる旋回流発生装置で、球殻体10上部に取りつ
けられたパイプよりなり、その上端はバルブを介して海
水供給ラインに接続され、その下端は球殻体10の赤道
付近の内側の略水平方向の向けて開口せしめらている。
この開口より中層水が吐出され、海水領域12に鉛直軸
回りの旋回流aを発生させる。これにより養殖魚は一定
方向に向けて回遊するから、互いにぶつかり合うことは
少なくなり、空間効率が増し、単位容積中の魚の密度を
上げることができる。また魚に運動をさせることにより
病気が少なくなり、また肉がしまって味がよくなる。
【0033】中層水取水口29から汲み上げられた海水
は、コントロールバージ20内に設けられたオゾンによ
る海水殺菌手段27にて殺菌された後海水供給ライン2
2を通じて球殻体10内へ供給される。かくして球殻体
10内は常時殺菌状態に維持される。
【0034】38は、魚捕獲パイプであり、下端は球殻
体10の赤道付近に連結され、上端は球殻体10上部付
近に設けられた収容網39内に開放されている。40は
このパイプ38の開閉バルブである。球殻体10内の養
殖魚を捕獲するに際しては、バルブ40を開き、球殻体
10内に空気を導入し、或いは海水を導入して球殻体1
0の内圧を上昇させることにより、海水を球殻体10外
部へパイプ38を介して排出させる。この排出時、魚は
海水とともに吸い上げられて収容網39内へ捕獲され
る。かかる捕獲方法は、従来の網を用いて生簀内をかき
回す方法に比べて魚に警戒心を与えることが少ない。す
なわち捕獲時生簀内の魚に全く混乱は生じず、他の魚に
気付かれない状態で捕獲することができるのである。
【0035】尚、図1及び図2において、給餌ライン2
1、海水供給ライン22及び空気供給ライン23には、
各々開閉バルブ41が設けられる。これらの各ライン
は、浮桟橋19上に付設される部分を可撓性パイプにて
構成することができる。
【0036】上記実施例では、1個の養殖生簀につき説
明したが、実際には、上記養殖生簀を1ユニットとし、
これを約10ないし20個配列し、これらを1基のコン
トロールバージにて制御する構成がとられる。コントロ
ールバージにおいて各制御手段を駆動制御する動力源と
して太陽光発電、風力発電等の利用も可能である。
【0037】球殻体を使用した養殖規模の一具体例につ
き説明する。球殻体の直径を10mとすると、その容積
は525m3、魚の収容量は7kg/m3 (1尾1kgとすると
7尾)、総収容数は3675尾、必要酸素量約42kg/
日、海水溶存酸素量8g/m3、必要海水量約5200
m3、平均給餌量110kg/日である。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、養殖魚を飼育する海水
で満たされた球殻体内部は、外界と遮断された構造、す
なわち球殻体に接した外部海水が自然に球殻体内に流入
することがない構造とされるから、球殻体内を一定の環
境に保つことができ、養殖魚を安全かつ効率よく飼育す
ることができる。特に赤潮発生時においても、その影響
を受けることは全くないのである。
【0039】また本発明によれば、残餌が海底に滞留し
て腐敗するおそれはないから、従来発生していた海水汚
染、自然環境破壊という問題は解消される。
【0040】さらに本発明によれば、球殻体が軟質可撓
性樹脂材料で構成されるから、海流、波浪、風等により
外部から力を受けても、球殻体の変形或いは揺動によ
り、この力を吸収緩和することができる。それ故、球殻
体が破損するというおそれは殆どない。また球殻体の変
形、揺動により球殻体に付着した海藻、貝殻類を脱落さ
せることができる。
【0041】さらにまた本発明によれば、球殻体を海
面、海底間の任意の位置に移動させることができるか
ら、通常は海面に浮上させた状態とし、台風接近時等に
は沈潜させて海底付近の静水域に静止させることによ
り、被害を免れることができる。
【0042】さらにまた本発明によれば、球殻体には殺
菌処理された中層水が供給されるから、球殻体内の衛生
状態を良好に保ち罹病率を低下させることができ、かつ
水温を養殖に最適な範囲に維持することができるから、
魚の成長を最大限に促進させることができる。
【0043】さらにまた本発明によれば、球殻体を遮光
性樹脂材料にて構成することにより日焼けを起こさない
天然魚に近い色合いを持つ魚を得ることができる。
【0044】さらに本発明によれば、海水領域に旋回流
を生じさせることにより、魚を回遊させることができ
る。魚は回遊により流れに逆らって、一定方向に配列す
るから、魚同士ぶつかり合って傷つくこともなく、また
単位容積当たりの養殖度も上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例に係る養殖生簀の概略を示す構成
図である。
【図2】同例養殖生簀を具体的に示す一部切欠斜視図で
ある。
【図3】同例養殖生簀の通常使用状態を示す正面図であ
る。
【図4】同例養殖生簀の避難状態を示す正面図である。
【図5】従来例に係る養殖生簀を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 球殻体 11 フレーム 12 海水領域 13 空気層 15 フロート 18a 固定シンカー 18b 中間シンカー 20 コントロールバージ 24 海水制御手段 25 空気制御手段 26 給餌手段 28 中層水取水ライン 31 残餌再供給装置 32 パイプ 33 循環パイプ 34 ノズル 37 旋回流発生装置 38 魚捕獲パイプ 39 収容網

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海水が満たされ養殖魚が放たれる海水領
    域及び該海水領域の上方の空気層を形成してなる軟質可
    撓性樹脂製の密閉中空球殻体と、該球殻体へ海水を供給
    又は排出する海水制御手段と、上記球殻体内の上記空気
    層の空気量及び空気圧を調整するとともに上記領域の海
    水に酸素を供給する空気制御手段と、上記球殻体内に餌
    を供給する給餌手段とを具備してなる養殖生簀
  2. 【請求項2】 上記球殻体に連結され該球殻体の浮力を
    与えるフロートと、上記球殻体に連結され該球殻体に沈
    降力を与えるシンカーとを備え、上記球殻体内の上記空
    気層の空気量及び上記フロートによる浮力と上記球殻体
    自体の重量及び上記シンカーの重量による沈降力を均衡
    させ上記球殻体を海水表面及び海底間の任意の位置に移
    動静止せしめることを特徴とする請求項1記載の養殖生
  3. 【請求項3】 上記球殻体を形成する軟質可撓性樹脂
    は、遮光性樹脂材料にて構成されたことを特徴とする請
    求項1又は2記載の養殖生簀
  4. 【請求項4】 上記海水領域に旋回流を発生させる旋回
    流発生手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記
    載の養殖生簀
  5. 【請求項5】 中層水取水手段を備え、該中層水取水手
    段にて取水された中層水が上記海水制御手段を介して上
    記球殻体内へ供給されることを特徴とする請求項1又は
    2記載の養殖生簀
  6. 【請求項6】 海水殺菌手段を備え、上記中層水取水手
    段にて取水された中層水を上記海水殺菌手段を介して殺
    菌処理し、処理後の海水が上記球殻体内へ供給されるこ
    とを特徴とする請求項5記載の養殖生簀
JP05092608A 1993-03-25 1993-03-25 養殖生簀 Expired - Fee Related JP3091345B2 (ja)

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