JP3091141B2 - 内燃機関用ピストン - Google Patents

内燃機関用ピストン

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JP3091141B2 JP25594196A JP25594196A JP3091141B2 JP 3091141 B2 JP3091141 B2 JP 3091141B2 JP 25594196 A JP25594196 A JP 25594196A JP 25594196 A JP25594196 A JP 25594196A JP 3091141 B2 JP3091141 B2 JP 3091141B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、相対向する一対
のスカートの両側に、ピストンの円周面から半径方向内
方に凹むサイドウォールを介してピストンピンボスを設
けた内燃機関用ピストンに関し、特に高速回転する自動
二輪車などの内燃機関に好適なピストンに関する。
【0002】
【従来の技術】この種のピストンは、軽量化を図るため
に円筒形のスカートの一部(ピストンピンボス側)を除
去しており、一般的に、図5〜図8に示すように相対向
する一対のスカート12の幅(円周方向寸法)は上端か
ら下端にわたり一定である。また両側のスカート12に
直交して一対のピストンピンボス13が位置するが、こ
れらのピンボス13は、両側のスカート12の対向する
側縁から垂直方向に内方に延設されたサイドウォール
(側壁)15のほぼ中間部に支承されている。そして、
各サイドウォール15は、ピストンヘッド14の裏面に
対し垂直に下向きに延設され、補強のためにピンボス1
3とスカート12との間においてサイドウォール15の
内壁面に沿ってリブ17が一体に設けられている。
【0003】先行技術として、実開平7−8541号公
報に記載のピストンがあるが、このピストンは、ピスト
ンピンボスとスカートの両側縁との間に連設されるサイ
ドウォールを、ピンボス側が狭くスカート側が広い対称
的な外開き状に形成したことを特徴としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のピスト
ンでは、次のような点で改良の余地がある。すなわち、
ピストンがシリンダ内で昇降する際にスカートに側
圧が作用するが、スカートの接触面が小さく、面圧が高
いので、ピストンに偏摩耗、かじり、ピンボス方向のガ
タツキが生じるおそれがある。
【0005】 特に自動二輪車用内燃機関のように高
速回転型のエンジンにおいては、ピストンの軽量化が馬
力の向上に大きく影響するので軽量化を図ることが望ま
しいが、サイドウォールがピストンヘッドの裏面に対し
垂直に形成されているので、ピストンヘッドの頂面に作
用する燃焼ガスの爆発力がサイドウォールに直接的に作
用するため、サイドウォールをリブで補強しており、そ
のリブの重量が軽量化の妨げになるおそれがある。
【0006】 上記公報に記載のピストンも、サイド
ウォールがピストンヘッドの裏面に対し垂直に形成され
ているから、上記と同様に改良の余地がある。
【0007】 上記公報に記載のピストンも、スカー
トの幅が上下にわたり一定(同一寸法)であるという点
で上記した従来のピストンと共通する。公報記載のピス
トンは、スカートの幅が広くなるので、ピストンの案内
作用を大にし、接触面の面圧を低減するという面では有
利であるが、スカート全体にわたり一定の幅であるため
に、スカートの幅が広がる分だけ重量が増すことにな
り、軽量化の面では不利である。
【0008】この発明は上述の点に鑑みなされたもの
で、スカートの幅をピストンの案内作用の面から効果的
に広げると同時に、ピストンの重量を軽減して馬力を向
上できる内燃機関用ピストンを提供することを目的とし
ている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明にかかる内燃機関用ピストンは、相対向する
一対のスカートの両側に、ピストンの円周面から半径方
向内方に凹むサイドウォールを介してピストンピンボス
を設けた内燃機関用ピストンにおいて、前記各スカート
上端から下端にかけて円周方向の幅が左右対称に漸次
拡がるように形成するとともに、最大に幅が拡がった下
端の中央部分をさらに下方に延設し、この延設部分の下
端両側と最大に幅が拡がった下端両側とを左右対称に凹
状の円弧状に形成し、前記サイドウォールを、前記スカ
ートの下拡がりの傾斜側縁に沿って下向きに外方へ拡が
った形状(いいかえれば、下向きの外開き形状)にして
いる。
【0010】内燃機関の駆動時において、爆発力によっ
てピストンヘッドが下向きに押されるときに、コンロッ
ドが傾いてクランクシャフトを回転させるが、このとき
にクランクシャフト側からの負荷がコンロッドを介して
ピストンに作用し、スカートに大きなサイドスラスト
(側圧)がかかる。このサイドスラストはモーメントの
作用と相俟って通常、ピストンの頂面から下方に離れる
にしたがって大きくなるが、上記構成を有する本発明の
内燃機関用ピストンによれば、両側のスカートがピスト
ンの頂面から下方に離れるにしたがってスカート幅が広
くなっている、つまり、スカートの下方に行くにしたが
って幅が広くなる構成であるから、シリンダーとの接触
面の面圧がスカートの全体にわたりほぼ一定になるため
に、摩耗、かじり、ガタツキなどを防止するうえで有効
に機能する。また同様の理由で、スカートの上部より下
方に行くにしたがって幅の広がった構成により、ピスト
ンの案内作用も効果的に発揮されることになる。しかも
ピストンの重量は、スカートの上端から下端にわたり全
体的に幅を広げたものに比べて軽減されるから、軽量化
の面でも有利である。さらに、爆発力がピストンの頂面
に作用したとき下向きの衝撃力が両側のサイドウォール
を介してピンボス(ピストンピン)に作用するが、両側
のサイドウォールが下方に行くにしたがって外方へ広が
って(つまり、縦方向の断面において三角形状に下方へ
外開きして)いるから、頂面のサイドウォールにより支
持角度が大きく、また支持点が中央に近づくため、支持
点の応力が分散される。そのため、サイドウォールの厚
みを従来の傾斜していないサイドウォールの厚みと同程
度にしても、リブで補強する必要がなくなり、ピストン
全体の重量を従来のそれに比べて軽減できる。さらにま
た、スカートの下端中央部分を下方に延設しているか
ら、爆発時におけるピストンの傾動がとくに下方延設部
分で妨げられるので、ピストンのガタツキが防止され、
打音が減少する。
【0011】請求項2記載のように、前記スカートの位
置から円周方向に90°回転した位置に、ピストンの円
周面から半径方向内方に引っ込んでピストンピンボスを
相対向して設けるとともに、このピンボスの位置をピス
トンの幅方向の中心より一方へわずかに偏らせることが
できる。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】請求項3記載のように、前記スカートのピ
ストンピンボスの両側に、それぞれ開口を設けることが
できる。
【0016】この構成により、開口に相当する重量分の
軽量化が図れる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる内燃機関用
ピストンの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】図1は本発明の内燃機関用ピストンの実施
例を示す正面図(左半分)および中央縦断面図(右半
分)、図2は図1の状態から90°回転したピンボス側
を示す側面図、図3は図1のA−A線断面図、図4は図
2の底面図である。
【0019】図1〜図4に示すように、本例のピストン
1は、自動二輪車用の高速回転型エンジンに好適なピス
トンである。下端を開口した円筒形状のこのピストン1
の上端部に、上方から順にファーストピストンリング
(図示せず)用リング溝1a、セカンドピストンリング
(図示せず)用リング溝1b、およびオイルリング(図
示せず)用オイルリング溝1cが形成され、オイルリン
グ溝1cの溝底には、複数の排油孔1dが貫通して穿設
されている。オイルリング溝1cの下方の相対向する一
対のスカート2は、図1のように上端から下端にかけて
円周方向の幅が左右対称的に漸次拡がるように形成され
ている。そして、最大に幅が拡がった下端の中央部分が
さらに下方に延設され、この延設部分2aの下端両側と
最大に幅が拡がった下端両側とが左右対称に凹状の円弧
状に形成されている。スカート2の幅方向の寸法は、図
4に示すように上端が最も狭くW1 で、下端が最も広く
2である。
【0020】スカート2の位置から円周方向に90°回
転した位置に、ピストン1の円周面から半径方向内方に
引っ込んでピストンピンボス3が相対向して設けられて
いるが、このピンボス3の位置は、図3のようにピスト
ン1の幅方向の中心より左側へわずかに偏らせてある。
ピンボス3にはピン孔3aが穿設され、このピン孔3a
に挿入されるピストンピン(図示せず)によりコンロッ
ド(図示せず)の上端部が枢着される。ピンボス3は、
上端がピストンヘッド4の裏面に支持され、両側がピス
トン1の半径方向内方に凹むサイドウォール5を介して
支持されているが、サイドウォール5はスカート2の両
側縁から図2のように延設され、図1のように正面から
見てスカート2の拡がりに対応して外開き状に傾斜して
いる。サイドウォール5のピンボス3の両側には、長円
形の開口6がそれぞれ縦向きに開設されている。なお、
図3および図4中の符号7は、ピストンヘッド4の裏面
中央部に設けた補強用リブである。図1中の符号8はス
ナップリング(図示せず)用環状溝、図3中の符号9は
オイル溜めである。
【0021】上記のようにして本実施例にかかるピスト
ン1が構成されるが、このピストン1には、次のような
利点がある。すなわち、 両側のスカート2がそれぞ
れ上端から下端にかけて円周方向の幅が拡がった、下向
きに外開き状に形成されているため、シリンダー内周面
との接触面が広く、面圧が低減される。とくに、爆発力
がピストンヘッド4に作用したときモーメントの関係で
スカート2の下部に大きな側圧が作用し易いが、下部に
行くにしたがって幅が広いから、面圧が効果的に低減さ
れ、スカート2の摩耗が軽減されるとともに、かじり等
も防止される。また、スカート2の下端中央部分を下方
に延設しているから、爆発時におけるピストン1の傾動
がとくに下方延設部分2aで妨げられるので、ピストン
1のガタツキが防止され、打音が減少する。
【0022】 ピンボス3とスカート2両側縁間のサ
イドウォール5を、スカート2の下向き外開き状の両側
縁の傾きに合わせて傾斜させて、従来よりも頂面の中央
寄りを支持しているので、ピストンヘッド4に爆発力が
作用したときに、その衝撃力を効果的に分散させ、応力
集中が回避される。また、両側のサイドウォール5が下
向きに外開き状にスカート2を支持するから、スカート
2の支持力も大きくサイドウォール5自体の剛性も向上
する。このために、従来と違ってリブで補強する必要が
なくなる。この結果、ピストン全体としての重量を従来
のそれに比べて十数%位減少できる。
【0023】上記に本発明の内燃機関用ピストンの一例
を示したが、次のように実施することができる。
【0024】a) サイドウォール5におけるピンボス3
の両側の開口6を、省くことができる。
【0025】b) ピストン1の材質や製造方法について
はとくに限定しないが、上記実施例では、アルミニウム
合金を用いてグラビティダイカストにより製造してい
【0026】
【0027】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
この発明の内燃機関用ピストンには、次のような優れた
効果がある。
【0028】(1) 両側のスカートが下方に行くにしたが
ってスカート幅が広くなる構成であるから、シリンダー
との接触面の面圧がスカートの全体にわたりほぼ一定に
なって、スカートの摩耗やかじり現象を防止する。ま
た、ピストンの案内作用も同様に、下方に行くにしたが
って幅の広がったスカートにより有効に発揮される。し
かもピストンの重量は、スカートの上端から下端にわた
り全体的に幅を広げるのに比して軽減されるから、軽量
化の面でも有利である。また、両側のサイドウォールが
上方は従来より狭く下方に行くにしたがって外方へ広が
って(つまり、縦方向の断面で三角形状に下方へ外開き
して)いるから、燃焼ガスの爆発時に頂面に働く衝撃力
が効果的に分散されると同時に、サイドウォールの剛性
も向上し、またサイドウォールによるスカート両側の支
持部分が従来のそれに比べて長く、支持強度が向上する
から、サイドウォールの厚みを従来の垂直なサイドウォ
ールの厚みと同程度にしても、リブで補強する必要がな
く、ピストン全体としての重量を従来のそれに比べて軽
減でき、ピストンの軽量化が図れ、内燃機関の馬力がア
ップする。さらに、スカートの下端中央部分を下方 に延
設しているから、爆発時におけるピストンの傾動がとく
に下方延設部分で妨げられるので、ピストンのガタツキ
が防止され、打音が減少する。
【0029】(2) 請求項3記載のピストンは、開口に相
当する重量分の軽量化が図られる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関用ピストンの実施例を示す正
面図(左半分)および中央縦断面図(右半分)である。
【図2】図1の状態から90°回転したピンボス側を示
す側面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図2の底面図である。
【図5】従来の一般的な内燃機関用ピストンの実施例を
示す正面図(左半分)および中央縦断面図(右半分)で
ある。
【図6】図5の状態から90°回転したピンボス側を示
す側面図である。
【図7】図5のA−A線断面図である。
【図8】図6の底面図である。
【符号の説明】
1 ピストン 2 スカート 3 ピストンピンボス 4 ピストンヘッド 5 サイドウォール 6 開口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−49340(JP,A) 特開 平6−346787(JP,A) 特開 平3−149340(JP,A) 実開 平2−132834(JP,U) 実開 平3−89958(JP,U) 実開 平2−87943(JP,U) 実開 昭53−104857(JP,U) 実開 平2−132834(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16J 1/04 F02F 3/00 F16J 1/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対向する一対のスカートの両側に、ピ
    ストンの円周面から半径方向内方に凹むサイドウォール
    を介してピストンピンボスを設けた内燃機関用ピストン
    において、 前記各スカートを上端から下端にかけて円周方向の幅が
    左右対称に漸次拡がるように形成するとともに、最大に
    幅が拡がった下端の中央部分をさらに下方に延設し、こ
    の延設部分の下端両側と最大に幅が拡がった下端両側と
    を左右対称に凹状の円弧状に形成し、 前記サイドウォールを、前記スカートの下拡がりの傾斜
    側縁に沿って下向きに外方へ拡がった形状にしたことを
    特徴とする内燃機関用ピストン。
  2. 【請求項2】 前記スカートの位置から円周方向に90
    °回転した位置に、ピストンの円周面から半径方向内方
    に引っ込んでピストンピンボスを相対向して設けるとと
    もに、このピンボスの位置をピストンの幅方向の中心よ
    り一方へわずかに偏らせた請求項1記載の内燃機関用ピ
    ストン。
  3. 【請求項3】 前記スカートのピストンピンボスの両側
    に、それぞれ開口を設けた請求項1又は2記載の内燃機
    関用ピストン。
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