JP3090898B2 - ワイヤロープ - Google Patents

ワイヤロープ

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JP3090898B2
JP3090898B2 JP09268420A JP26842097A JP3090898B2 JP 3090898 B2 JP3090898 B2 JP 3090898B2 JP 09268420 A JP09268420 A JP 09268420A JP 26842097 A JP26842097 A JP 26842097A JP 3090898 B2 JP3090898 B2 JP 3090898B2
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wire
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swaging
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    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
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    • D07B2201/1012Rope or cable structures characterised by their internal structure
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はワイヤロープに関す
る。さらに詳しくは、複数の素線から構成されスウェー
ジングなどの加工をされてなる複撚りのワイヤロープに
関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】乗用
車のシートベルトは通常の走行状態では、ドライバーに
緩めに装着されていて、衝突の際にドライバーを座席に
縛り付けるような緊張状態が付与される。このように緊
急時にシートベルトを操作するための手段としてワイヤ
ロープが使用されているが、充分な柔軟性を備えていて
も引張り強度が不足しているものが多い。これは柔軟性
を増加するために素線径を減少させることで対応される
からである。
【0003】しかしながら素線径を減少させると本数を
増加させても、素線間の隙間は増加し、ワイヤロープの
単位面積当りの強度が低下するという問題がある。この
ように所定のワイヤロープの外径で高強度と高柔軟性が
必要な複撚りロープにおいて、通常、強度または柔軟性
のいずれかが犠牲にされている。
【0004】一方、特表平7−508193号公報に
は、19×7の撚り構成を有するワイヤロープにおい
て、素線隙間率が22%になるようにスウェージングさ
れることが記載されている(図6参照)。しかしなが
ら、このばあい平均素線径率が6.5%程度となり柔軟
性が悪いため、シートベルトを操作するためのワイヤロ
ープに使用できるものではない。
【0005】また前記公報には、19×19の撚り構成
を有するワイヤロープにおいて、素線隙間率が12%に
なるようにスウェージングされることが記載されている
(図8参照)。しかしながら、このばあいはスウェージ
ング加工による素線の変形が大きすぎるため、スウェー
ジング加工前と比べて強度が低下し、柔軟性についても
素線の干渉により低下し、やはりシートベルトを操作す
るためのワイヤロープに使用できるものではない。
【0006】さらに前記公報には、7×7×7の撚り構
成を有するワイヤロープにおいて、素線隙間率が36%
になるようにスウェージングされることが記載されてい
る(図7参照)。しかしながら、このばあいは素線隙間
率が35%を超えており、所定のワイヤロープの外径に
おいて、所要の強度を満足できるものではなく、やはり
シートベルトを操作するためのワイヤロープに使用でき
るものではない。
【0007】本発明の目的は、叙上の従来技術の問題点
を解消し、柔軟性に優れ引張り強度が高いワイヤロープ
を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のワイヤロープ
は、複数の素線から構成されスウェージングなどの加工
がされてなる複撚りの、所定の破断荷重および所定の反
発力を備えた高強度および柔軟性が必要とされる用途に
用いられるワイヤロープであって、前記複数の素線の平
均素線径率が5%以下であり、スウェージングなどの加
工により素線隙間率が20〜35%であり、前記所定の
破断荷重が13〜16kNであり、前記所定の反発力が
10〜12Nであり、前記平均素線径率が(d/D)×
100で表され、前記素線隙間率が(1−(S/A))
×100で表され、前記dが素線の平均外径であり、前
記Dがスウェージングなどの加工前のワイヤロープの外
径であり、前記Sが各素線の断面積の総和であり、Aが
スウェージングなどの加工後のワイヤロープの外接円の
面積であることを特徴としている。前記用途がシートベ
ルトを操作するための用途であることがとくに好まし
い。
【0009】前記ワイヤロープの撚り構成が19×19
であることが好ましい。
【0010】前記ワイヤロープの撚り構成が7×7+6
×37であることが好ましい。
【0011】前記ワイヤロープの撚り構成が7×7×7
であることが好ましい。
【0012】前記ワイヤロープの第1層の撚り方向が第
1層のストランドの撚り方向と同じであることが好まし
い。
【0013】
【発明の実施の態様】本発明のワイヤロープは、外径に
規制があり、高強度と柔軟性とが必要とされる用途での
使用が可能となる。また本発明のワイヤロープが従来の
ワイヤロープと同じ強度および柔軟性を有しているばあ
いでも、スウェージングなどの加工によってワイヤロー
プの径を小さくしうるので、スペースの確保または周辺
部品の小型化が可能となる。
【0014】添付図面を参照しながら本発明のワイヤロ
ープを詳細に説明する。
【0015】図1は本発明のワイヤロープの一実施例を
示す断面図であり、図2は本発明のワイヤロープの他の
実施例を示す断面図であり、図3は本発明のワイヤロー
プのさらに他の実施例を示す断面図であり、図4は本発
明のワイヤロープにおける素線隙間率(%)と、反発力
(N)および破断荷重(kN)との関係を示すグラフで
ある。図5は反発力の測定方法を示す説明図である。
【0016】本発明のワイヤロープ10は、複数の素線
1から構成され、スウェージングなどの加工をされてな
る複撚りのワイヤロープである。素線1の素材としては
JIS G 3506の硬鋼線材SWRH62Aが好適
に採用される。素線の撚り方としては、19×19(図
1参照)、7×7+6×37(図2参照)、7×7×7
(図3参照)などが採用される。
【0017】平均素線径率(%)を(d/D)×100
で定義したとき、前記複数の素線の平均素線径率は5%
以下である。ここに、dは素線の平均外径であり、Dは
スウェージングなどの加工前のワイヤロープ10の外径
である。
【0018】素線隙間率(%)を(1−(S/A))×
100で定義したとき、スウェージングなどの加工によ
り素線隙間率は20〜35%である。ここに、Sは各素
線1の断面積の総和であり、Aはスウェージングなどの
加工後のワイヤロープ10の外接円の面積である。
【0019】シートベルトを操作するためのワイヤロー
プ10のばあい、平均素線径率については5%以上にな
ると柔軟性を満足することができない。一方、素線隙間
率については、20%未満のときスウェージングなどの
加工時に素線の変形が大きすぎて、強度が加工前より低
下し、柔軟性も素線の干渉により低下する。また35%
以上になると所定のワイヤロープの外径では充分な強度
がえられない。
【0020】実施例1 本実施例のワイヤロープ10のばあい、19本の素線1
をS撚りに撚り合わせた心ストランド2と、該心ストラ
ンド2の回りに形成された第1層3と、該第1層3の回
りに形成された第2層4から構成されている(図1参
照)。
【0021】第1層3は6本の第1層ストランド3aが
心ストランド2の回りにS撚りに撚り合わされている。
第2層4は12本の第2層ストランド4aが第1層3の
回りにZ撚りに撚り合わされている。第1層ストランド
3aおよび第2層ストランド4aは、それぞれ19本の
素線1がS撚りに撚り合わされている。
【0022】本実施例の撚り構成が19×19で平均素
線径率が4.0%のワイヤロープ10において、素線隙
間率が22%になるようにスウェージング加工を施し、
スウェージング加工後の外径が3.2mmのワイヤロー
プについて、破断荷重(kN)および反発力(N)を測
定した。本実施例のばあい、破断荷重および反発力とも
満足しうるものであった(表1参照)。
【0023】実施例2 撚り構成および平均素線径率が前記実施例1と同じワイ
ヤロープにおいて、素線隙間率が32%になるようにス
ウェージング加工を施し、スウェージング加工後の外径
が3.2mmのワイヤロープについて、破断荷重(k
N)および反発力(N)を測定した。本実施例のばあ
い、強度(破断荷重)および柔軟性(反発力)とも満足
しうるものであった(表1参照)。
【0024】実施例3 本実施例のワイヤロープ10のばあいは7本の素線1を
Z撚りに撚り合わせた心ストランド2と、該心ストラン
ド2の回りに形成された第1層3と、該第1層3の回り
に形成された第2層4から構成されている(図2参
照)。
【0025】第1層3は6本の第1層ストランド3aを
心ストランド2の回りにZ撚りに撚り合わされている。
第2層4を構成している6束の第2層ストランド4aが
第1層3のまわりにZ撚りに撚られている。第1層スト
ランド3aは、7本の素線1がZ撚りに撚り合わされて
おり、第2層ストランド4aは37本の素線1がS撚り
に撚り合わされている。
【0026】本実施例の撚り構成が7×7+6×37
で、平均素線径率が4.6%のワイヤロープにおいて、
素線隙間率が25%になるようにスウェージング加工を
施し、スウェージング加工後の外径が3.2mmのワイ
ヤロープについて、破断荷重(kN)および反発力
(N)を測定した。本実施例のばあい、強度(破断荷
重)および柔軟性(反発力)とも満足しうるものであっ
た(表1参照)。
【0027】実施例4 本実施例のワイヤロープ10のばあいは7本の素線1を
Z撚りに撚り合わせた心ストランド2と、該心ストラン
ド2の回りに形成された第1層3と、該第1層3の回り
に形成された第2層4から構成されている(図3参
照)。
【0028】第1層3は6本の第1層ストランド3aを
心ストランド2の回りにZ撚りに撚り合わされている。
第2層4は6本の第2層ストランド4aを第1層3の回
りにZ撚りに撚り合わされている。第1層ストランド3
aは、7本の素線1がS撚りに撚り合わされており、第
2層ストランド4aはそれぞれ7本の素線1がS撚りに
撚り合わされた心ストランド4bと、心ストランド4b
の回りにS撚りに撚り合わされた6本の側ストランド4
cから構成されており、側ストランド4cは7本の素線
1がZ撚りに撚り合わされている。
【0029】本実施例の撚り構成が7×7×7で、平均
素線径率が3.7%のワイヤロープにおいて、素線隙間
率が21%になるようにスウェージング加工を施し、ス
ウェージング加工後の外径が3.2mmのワイヤロープ
について、破断荷重(kN)および反発力(N)を測定
した。本実施例のばあい、強度(破断荷重)および柔軟
性(反発力)とも満足しうるものであった(表1参
照)。
【0030】比較例1 素線1の撚り構成および平均素線径率が前記実施例1と
同じワイヤロープにおいて(図8参照)、素線隙間率が
12%になるようにスウェージング加工を施し、スウェ
ージング加工後の外径が3.2mmのワイヤロープにつ
いて、破断荷重(kN)および反発力(N)を測定し
た。比較例1のばあい、実施例1、2に比べ柔軟性(反
発力)はやや悪く、強度(破断荷重)が低いことが判明
した(表1参照)。
【0031】比較例2 素線1の撚り構成および平均素線径率が前記比較例1と
同じワイヤロープにおいて、素線隙間率が38%になる
ようにスウェージング加工を施し、スウェージング加工
後の外径が3.2mmのワイヤロープについて、破断荷
重(kN)および反発力(N)を測定した。比較例2の
ばあい、柔軟性(反発力)については実施例1、2と同
じであったが、強度(破断荷重)が低いことが判明した
(表1参照)。
【0032】比較例3 素線1の撚り構成および平均素線径率が前記実施例4と
同じワイヤロープにおいて(図7参照)、素線隙間率が
36%になるようにスウェージング加工を施し、スウェ
ージング加工後の外径が3.2mmのワイヤロープにつ
いて、破断荷重(kN)および反発力(N)を測定し
た。比較例3のばあい、柔軟性(反発力)については実
施例4と同じであったが、強度(破断荷重)が低いこと
が判明した(表1参照)。
【0033】比較例4 本比較例のワイヤロープ10のばあい、7本の素線1を
S撚りに撚り合わせた心ストランド2と、該心ストラン
ド2の回りに形成された第1層3と、該第1層3の回り
に形成された第2層4から構成されている(図6参
照)。
【0034】第1層3は6本の第1層ストランド3aを
心ストランド2の回りにS撚りに撚り合わされている。
第2層4は12本の第2層ストランド4aを第1層3の
回りにZ撚りに撚り合わされている。第1層ストランド
3aおよび第2層ストランド4aは、それぞれ7本の素
線1がS撚りに撚り合わされている。
【0035】本比較例の撚り構成が19×7で、平均素
線径率が6.7%のワイヤロープにおいて、素線隙間率
が23%になるようにスウェージング加工を施し、スウ
ェージング加工後の外径が3.2mmのワイヤロープに
ついて、破断荷重(kN)および反発力(N)を測定し
た。比較例4のばあい、強度(破断荷重)については実
施例2と同程度であったが、柔軟性(反発力)が悪いこ
とが判明した(表1参照)。
【0036】比較例5 本比較例のワイヤロープ10のばあい、19本の素線1
をS撚りに撚り合わせた心ストランド2と、該心ストラ
ンド2の回りに形成された第1層3から構成されている
(図9参照)。
【0037】第1層3は6本の第1層ストランド3aを
心ストランド2の回りにZ撚りに選り合わされている。
第1層ストランド3aは、19本の素線1がS撚りに撚
り合わされている。
【0038】素線1の撚り構成が7×19で平均素線径
率が6.7%のワイヤロープにおいて、素線隙間率が2
2%になるようにスウェージング加工を施し、スウェー
ジング加工後の外径が3.2mmのワイヤロープについ
て、破断荷重(kN)および反発力(N)を測定した。
比較例5のばあい、強度(破断荷重)については実施例
2と同程度であったが、柔軟性(反発力)が悪いことが
判明した(表1参照)。
【0039】なお反発力については、実施例1〜4およ
び比較例1〜5とも図5に示されるようにして測定し
た。
【0040】
【表1】
【0041】実施例1および2で用いたワイヤロープか
ら素線隙間率と反発力および破断荷重との関係をプロッ
トすると、図4に示すような関係があることが判明し
た。
【0042】
【発明の効果】本発明のワイヤロープによれば、外径に
規制があり、高強度と柔軟性とが必要とされる用途での
使用が可能となる。また本発明のワイヤロープが従来の
ワイヤロープと同じ強度および柔軟性を有しているばあ
いでも、スウェージングなどの加工によってワイヤロー
プの径を小さくしうるので、スペースの確保または周辺
部品の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のワイヤロープの一実施例を示す断面図
である。
【図2】本発明のワイヤロープの他の実施例を示す断面
図である。
【図3】本発明のワイヤロープのさらに他の実施例を示
す断面図である。
【図4】本発明のワイヤロープにおける素線隙間率
(%)と、反発力(N)および破断荷重(kN)との関
係を示すグラフである。
【図5】反発力の測定方法を示す説明図である。
【図6】従来のワイヤロープの一例を示す断面図であ
る。
【図7】従来のワイヤロープの一例を示す断面図であ
る。
【図8】従来のワイヤロープの一例を示す断面図であ
る。
【図9】従来のワイヤロープの一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 素線 10 ワイヤロープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−230783(JP,A) 特開 平5−179585(JP,A) 特開 平5−5288(JP,A) 特開 平7−10478(JP,A) 実開 昭60−177995(JP,U) 特表 平7−508193(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D07B 1/00 - 9/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の素線から構成されスウェージング
    などの加工がされてなる複撚りの、所定の破断荷重およ
    び所定の反発力を備えた高強度および柔軟性が必要とさ
    れる用途に用いられるワイヤロープであって、 前記複数の素線の平均素線径率が5%以下であり、 スウェージングなどの加工により素線隙間率が20〜3
    5%であり、前記所定の破断荷重が13〜16kNであり、 前記所定の反発力が10〜12Nであり、 前記平均素線径率が(d/D)×100で表され、 前記素線隙間率が(1−(S/A))×100で表さ
    れ、 前記dが素線の平均外径であり、前記Dがスウェージン
    グなどの加工前のワイヤロープの外径であり、前記Sが
    各素線の断面積の総和であり、Aがスウェージングなど
    の加工後のワイヤロープの外接円の面積であることを特
    徴とする高強度および柔軟性が必要とされる用途に用い
    られるワイヤロープ。
  2. 【請求項2】 前記用途がシートベルトを操作するため
    の用途である請求項1記載のワイヤロープ。
  3. 【請求項3】 前記ワイヤロープの撚り構成が19×1
    9であることを特徴とする請求項1記載のワイヤロー
    プ。
  4. 【請求項4】 前記ワイヤロープの撚り構成が7×7+
    6×37であることを特徴とする請求項1記載のワイヤ
    ロープ。
  5. 【請求項5】 前記ワイヤロープの撚り構成が7×7×
    7であることを特徴とする請求項1記載のワイヤロー
    プ。
  6. 【請求項6】 前記ワイヤロープの第1層の撚り方向が
    第1層のストランドの撚り方向と同じであることを特徴
    とする請求項1、2、3、4または5記載のワイヤーロ
    ープ。
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