JP4098756B2 - 操作用ロープ - Google Patents

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    • D07B2401/2005Elongation or elasticity

Description

この発明は、操作用ロープの耐久性の向上に関する。
操作用ロープは、複数の素線を撚った芯ストランドの周りに、複数の素線を撚った複数の側ストランドを配し、撚り合わせた構造を有する。この操作用ロープとして、芯ストランドの素線は7本、側ストランドの素線は7本、側ストランドの数は6束のものが多用されている。この操作用ロープは、芯ストランドの弾性係数と側ストランドの弾性係数との比(弾性係数比)が3.5以上であり、引張力に対して芯ストランドが先行して断線し、後に側ストランドが断線するため、寿命が十分ではなかった。
操作用ロープの耐久性を向上させるためには、素線径を小さくするとともに素線数を多くして、素線の受ける曲げ応力を小さくする方法が有効である。また、締め率が小さく形付率の大きい操作用ロープは、回転しないガイドのような、摺動しながら屈曲を受ける部位に使用すると、形くずれが起こり易い。操作用ロープは、形くずれが生じると、素線が二次曲げ(外圧によって素線がその下の素線層に押し付けられて生ずる局部的曲げ)を受けるため、疲労耐久性が低い。
特許文献1には、鋼心部(芯ストランド)と側部(側ストランド)とを構成するワイヤで、鋼心部の引張強度を低くして、鋼心部と側部との伸びを実質的に同一にする発明が開示されている。この発明は、芯ストランドと側ストランドとの伸びのみを考慮して鋼心部の先行断線を防止し寿命の延長を図っている。
特許文献2には、締め率を4〜11%、形付率を65〜90%とし、大きい締め率で固く撚ることにより形くずれを防止した操作用ロープが提案されている。この締め率が大きく形付率の小さい操作用ロープは、撚りあがった側ストランドに、中心方向に締まろうとする力を生じる。このため、形くずれが防止され、素線の二次曲げが起こり難い利点がある。
特開平11−93089号公報 特許第2669754号公報
芯ストランドと側ストランドとの伸びのみを考慮して芯ストランドの引張強度を低くした操作用ロープは、断線時の引張強度は増大するが、通常の使用範囲内(常用荷重)で繰返し加わる過負荷に対する過負荷耐久性に配慮がなされておらず、実用的なロープ寿命の延長が十分ではなかった。
この発明の目的は、通常の使用範囲内で繰返し操作用ロープに加わる荷重の負荷の分担を、芯ストランドと側ストランドとで概ね同等にして、過負荷耐久性を著しく向上できる操作用ロープの提供にある。
この発明は、それぞれ複数本の金属素線を撚合した芯ストランドおよび側ストランドからなり、前記芯ストランドの外周を包むように複数本の側ストランドを撚合した複撚り構造の操作用ロープにおいて、常用荷重の最大荷重が第2種剛性範囲内で、かつ、その最大荷重時における前記芯ストランドと側ストランドとの弾性係数比が1以上、2以下であることを特徴とする。なお、この弾性係数比は1以上、1.3以下に設定すると、過負荷耐久性が一層向上する。
請求項に記載の操作用ロープは、芯ストランドは7本のステンレス鋼線の素線を撚って形成され、前記側ストランドは12〜19本のステンレス鋼線の素線を撚って形成され、1束の芯ストランドの回りに6束の側ストランドを撚り合わせるとともに、外径が2.0mm以下であることを特徴とする。この構成では、側ストランドが細い多数の素線で構成されているため、操作用ロープは外周が柔軟性に優れ、操作用ロープが摺接する相手部品になじみ易い利点がある。
請求項に記載の操作用ロープは、芯ストランドは19本のステンレス鋼線の素線をウォリントン撚りして形成され、前記側ストランドは7〜19本のステンレス鋼線の素線を撚って形成され、1束の芯ストランドの回りに8束の側ストランドを撚合させるとともに、外径が2.0mm以下であることを特徴とする。この構成では、芯ストランドが多数の細い素線で形成されているため、操作用ロープ全体が柔軟性に優れ、かつ径小であるため、相手部品がプーリである場合に、プーリの径小化および省スペース化が可能となる。
請求項に記載の操作用ロープは、ロープピッチがロープ外径の6倍以上、7倍以下であることを特徴とする。このロープピッチの範囲が、過負荷耐久性の向上に最も有利である。
請求項またはに記載の操作用ロープは、芯ストランドは、引張強さが2400N/mm2 以上、2650N/mm2 以下のオーステナイト系ステンレス鋼線を使用したことを特徴とする。この構成では、芯ストランドが常温加工に有利で伸線加工が容易であるため、弾性係数比の調節が適正にできる。
この操作用ロープは、請求項7、8に記載の如く、複数本のステンレス鋼線を撚合して側ストランドを形成する工程と、引張強さが2400〜2650N/mm2 のオーステナイト系ステンレス鋼線を撚合して芯ストランドを形成する工程と、芯ストランドの外周にロープピッチがロープ外径の6〜7倍で複数の側ストランドを撚り合わせる工程からなり、常用荷重の最大荷重がロープの第2種剛性範囲内で、かつ、その最大荷重時における芯ストランドと側ストランドとの弾性係数比を1以上、2以下とする製造方法で製造される。
この発明のロープは、芯ストランドの弾性係数と側ストランドの弾性係数との弾性係数比を「1」に近づけているため、常用荷重の最大荷重以下の引張荷重が繰返し加わる使用条件において、操作用ロープに加わる荷重の負荷の分担を、芯ストランドと側ストランドとで概ね同等にできる。この結果、ロープの過負荷耐久性が向上し、実用的な寿命を著しく増大できる。
この発明の最良の実施形態を、図に示す実施例とともに説明する。
この発明の操作用ロープ(以下、ロープ)1は、図1の(イ)に示す如く、複数本の素線20を撚った芯ストランド2の回りを、複数本の素線30を撚った複数の側ストランド3で包囲し、撚合した複撚り構造である。ロープ1は、図1の(ロ)に示す如く、常用荷重の最大荷重がロープ1の、図2の(ロ)に示す第2種剛性範囲内で、かつ、その最大荷重時における芯ストランド2の弾性係数k1 と側ストランド3の弾性係数k2 との弾性係数比k2 /k1 が、1≦k2 /k1 ≦2以下となっている。後記する理由により、繰返し過負荷耐久性を向上させる観点から、芯ストランド2と側ストランド3との弾性係数比k2 /k1 は「1」以上で「1」に近いことが望ましく、1.0≦k2 /k1 ≦1.3の範囲が有利である。
図3の(イ)〜(ニ)は、ロープ1の試供品1〜4の仕様を示す。各ロープ1は、外径が2mm以下であり、試供品1〜4の弾性係数比k2 /k1 は1以上、2以下の範囲に設定されている。試供品1〜4のロープピッチは、いずれも図2の(イ)に示す如く、ロープ外径の6倍以上、7倍以下に設定してある。また、芯ストランド2は、引張強度が2400〜2650N/mm2 のオーステナイト系ステンレス鋼線を使用している。
試供品1{図3(イ)参照}、試供品2{図3(ロ)参照}は、芯ストランド2が7本の素線20を撚って形成されている。側ストランド3は、試供品1が12本、試供品2が19本の素線20を撚って形成され、6本の側ストランド3が芯ストランド2の外周を囲んで撚合されている。試供品3{図3(ハ)参照}、試供品4{図3(ニ)参照}は、芯ストランド2が19本の素線20を撚って形成されている。側ストランド3は、試供品3が12本、試供品4が19本の素線30を撚って形成され、8本の側ストランド3が芯ストランド2の外周を囲んで撚合されている。
試供品1〜4のロープ1は、つぎのように製造される。複数のステンレス鋼線を撚合して側ストランド3を形成する。引張強度が2400〜2650N/mm2 のオーステナイト系ステンレス鋼線を複数撚合して芯ストランド2を形成する。芯ストランド2の外周に所定数の側ストランド3を配し、ロープピッチがロープ外径の6〜7倍となるように複撚りする。この複撚りにより、常用荷重の最大荷重が、図2の(ロ)に示すロープの第2種剛性範囲内で、かつ、その最大荷重時における芯ストランド2と側ストランド3との弾性係数比k2 /k1 を、1≦k2 /k1 ≦2の範囲となるように設定する。
試供品1〜4のロープ1は、つぎの作用がある。ロープ1に引張荷重が加わったとき、弾性係数比k2 /k1 が1に近いため、芯ストランド2と側ストランド3との負荷の分担が均等または近似する。このためロープ1は、常用荷重の最大値以下の過負荷の繰返し荷重が加わる使用条件においても、どちらか一方のストランドが先に断線し、続いて全負荷が加わる残りのストランドが破断する不具合を最大限に防止でき、耐久性(寿命)が大幅に向上する。
以下、この発明の作用、効果をモデル化して説明する。1本の芯ストランド2の回りに複数本の側ストランド3を撚合した複撚りロープ1は、図4の(ロ)、(ハ)に示す如く、芯ストランド2単体の引張荷重に対する伸び特性は、複数本の側ストランド3のみの特徴とは、大きくその傾きが異なり、芯ストランド2は傾斜が緩く、かつ破断荷重が低い。一方、複数本の側ストランド3のみでは、この逆の傾向である。つまり、この引張荷重に対する伸び特性が芯ストランド2と側ストランド3とで異なっているため、いずれか一方に負荷が集中して破断した後に、全破断に至る。とくに図4の(ロ)に示す例では、引張荷重の増大に伴い、芯ストランド2が早期に破断し、後に側ストランド3が破断する。
従って、図4の(イ)、(ハ)に示す如く、芯ストランド2と側ストランド3との引張荷重に対する伸び特性曲線の傾きが一定範囲内に近づき{図4の(ハ)}最も好ましくは第2種剛性範囲内で同一(弾性係数比k2 /k1 =1)とする{図4の(イ)}。この場合は、ロープ1に加わる引張荷重に対する芯ストランド2と側ストランド3との負荷が均等になり、芯ストランド2と側ストランド3との同時破断荷重まで過負荷耐久性を向上させることができる。
これは、芯ストランド2と側ストランド3との弾性係数k1 とk2 とを均等とし、引張荷重に対する負荷を均等とすることにより、引張荷重をロープ1の全体に分散させ、その結果として引張応力を低下させることが可能になるためである。一定範囲は、引張荷重に対する伸び特性の特性曲線の傾き比、つまり弾性係数比k2 /k1 を、1≦k2 /k1 ≦2の範囲となるように設定することであり、k2 /k1 =1であることが最も望ましい。
Figure 0004098756
表1に示す仕様の試供品D−1、D−2、D−3、D−4、D−5、D−6の各ロープ1について、過負荷試験の測定結果に基づき、弾性係数比k2 /k1 と、ロープ1の耐久性との関係について以下に説明する。過負荷耐久試験は、図6に示す如く、20kg負荷して、ストローク150mmの後、最大荷重50kgの過負荷を加え、これを繰り返す耐久試験である。
1)弾性係数比k2 /k1 と過負荷耐久回数との関係は、図5の(イ)に示すグラフとなる。つまり、弾性係数比k2 /k1 が「1」に近くなるほど耐久性は向上するが、弾性係数比k2 /k1 が「1」を下回ると急激な低下が見られる。
2)弾性係数比k2 /k1 が「1」に近いと耐久性が向上する理由は、繰返し加わる負荷の最大荷重時における芯ストランド2と側ストランド3との弾性係数比k2 /k1 を一定範囲内「1〜2」もしくは「1」とすることにより、芯ストランド2と側ストランド3とのいずれか一方への負荷荷重の集中を防止し、分散させることにより、各素線に加わる引張応力を低減させた結果である。
また、図5の(ロ)に示す弾性係数比k2 /k1 >1の一定範囲では大きかった過負荷耐久回数が、弾性係数比k2 /k1 <1で急激に低下する。この理由は、側ストランド3の伸び特性を増大させるため、素線数を多くしたことにより素線が細径化し、接触摩擦(プーリーとの接触、1次曲げ、素線間の接触、2次曲げ)が大きくなるとともに、芯ストランド2の引張荷重に対する伸び特性の傾きが側ストランド3よりも「大」となることにより、芯ストランド2の1束分のみ(側ストランド3では8束分存在し、いずれかに分散できる)に引張荷重が集中したことによると推測される。
Figure 0004098756
つぎに、表2に示す試供品D−3、D−4、D−5について、ロープピッチと耐久性との関係を、図5、図7のグラフとともに説明する。
イ)ロープピッチを小さくするほど耐久性が向上するが、一定範囲に限られる。その範囲は9.5〜11mmである。
ロ)ロープピッチを小さくするほど耐久性が向上する理由は、ロープピッチを小さくすることにより、側ストランド3全体で伸びが発生し弾性係数比が1に近づく結果、引張応力の各ストランドへの均等分散作用が生じると推定される。
ハ)ロープピッチが一定範囲に限るとしたのは、ロープピッチが9.5mmを下回る小さいピッチは、側ストランド3同士が接触して浮き上がりを生じて凸凹状となり、一定外径のロープが製造できないからである。また、ロープピッチが11mmまでとする理由は、このポイントに変曲点があると推測され、これについては後述する。
Figure 0004098756
ここで芯ストランド2に接触している側の芯ストランド2の素線20と側ストランド3の中心線との交差角を整理すると、表3となる。この表3から、ロープピッチを小さくすると、交差角は時計回りの方向へ「大」となる。この状態において、引張荷重が加わると、芯ストランド2のほうが伸びが大きいため、この交差角は時計回りの方向へ、より「大」となる。
交差角が「大」となることにより、芯ストランド2と側ストランド3との接触部でのアンカー効果として芯ストランド2に働く力を、側ストランド3への伝達、負荷分担を大きくさせ、かつ、ロープピッチ「小」により、側ストランド3全体の伸びが試供品D−3、D−4、D−5の内のD−3が最も大きくなり、ロープ全体で負荷を分担させる作用により、過負荷耐久性を向上させた結果である。
さらに、芯ストランド2がウォリントン撚りの場合、外周素線が太細線の組合せであり、この太線に側ストランド3が乗り上げる撚合形態となるため、アンカー効果がより一層高まる。この結果、側ストランド3への負荷分担を大きくさせ、ロープ全体で負荷を分散させることにより、過負荷耐久性が向上したものである。なお、ここで言う一定範囲をロープ外径との関係で示すと、ロープピッチは、ロープ外径の概ね6〜7倍(9.5/1.55=6.12、11/1.55=7.09)である。また、各表中、Wとはウォリントン撚りのことをさし、W(19)とは、芯ストランド3が素線19本で平行に撚られたウォリントン撚りをいう。
Figure 0004098756
つぎに、芯ストランド2が7本の芯線を撚って形成されている場合を説明する。
表4は、試供品C−1、C−2の仕様を示し、過負荷耐久試験では、弾性係数比k2 /k1 が「1〜2」の範囲内で耐久性が高く、「1」に近づくほど高くなる傾向にあるが、弾性係数比k2 /k1 が「1」を下回ると低下し、「2」を越えても低下する。これは、前記と同じ理由による。
Figure 0004098756
つぎに、表5に示す試供品D−3、D−4、D−5について、芯ストランド2と側ストランド3との繰返し過負荷試験における芯ストランド2と側ストランド3との接触部のこすれ摩耗と耐久性の関係について、説明する。芯ストランド2と側ストランド3との接触部の形態は、表5となる。つまり、接触側の側ストランド素線は、ロープピッチが小になるほど偏平度合いが大きくなり、軸直交方向の断面積が大きくなるため、繰返しの過負荷に対する耐久性が増大する。
この理由は、荷重が負荷されると、芯ストランド2と側ストランド3との接触部で滑り移動によるこすれ摩擦が始まる。このこすれ摩擦は、弾性係数比k2 /k1 が高いほど芯ストランド2と側ストランド3との伸び量に差を生ずる結果「大」となる。さらに、弾性係数比k2 /k1 が高い試供品ほど接触側の側ストランドの素線断面は円形に近く、断面積が「小」となる。
従って、弾性係数比k2 /k1 の低い試供品D−3の耐久回数が多い理由は、芯ストランド2と側ストランド3との伸び量の差が少なく、かつ、接触部の側ストランド素線の軸直交方向の断面積が「大」とする楕円形状による、こすれ耐摩耗性の長期化により耐久性を向上させたものである。この接触部での側ストランド素線の断面積を「大」とするのは、撚り方向とロープピッチとの関係に依存し、芯ストランド2、側ストランド3、およびロープ1の撚り方向としては表6に示す組合せが望ましい。
Figure 0004098756
Figure 0004098756
表6に示す芯ストランド2、側ストランド3、ロープ1の撚り方向の内、(a)、(b)は、表7に示す組合せの内の(イ)と(ニ)にそれぞれ相当する。(イ)と(ニ)では、芯ストランド2の外周に接触している側ストランド3の内側(図示下側)の側ストランド3の素線の断面形状は、楕円形となっているため、断面積が大きくなっている。また、表6の内の(c)、(d)は、(a)、(b)と逆の組合せであり、内側(図示下側)の側ストランド3の素線の断面形状は、楕円形で断面積が大きくなっている。
つぎに、少なくとも芯ストランド2に引張強さが2400〜2650N/mm2 のオーステナイト系ステンレス鋼線を用いる理由は、以下の通りである。
イ)弾性係数比k2 /k1 を低くして「1」に近づけるため、側ストランド3の素線数を多くしたり、側ストランド3の撚りピッチを小さくすることにより、側ストランド3の伸び「大」とする代わりに、芯ストランド2の引張強度を増大させて側ストランド3の特性に近づける方法が採用できる。
Figure 0004098756
一般に用いられ規格化されているステンレス鋼線の引張強さは表8である。試供品D−3の芯ストランド2に、JIS規格を越える引張強度の線材を用いることにより、この弾性係数比k2 /k1 を低くして「1」に近づけることができる。図8及び図9は試供品D−3のロープの断面を示し、芯ストランド2は、直径Φ0.17の1本の芯線、直径Φ0.16の6本の中間層線、直径Φ0.17の太線と直径Φ0.13の細線とを交互に配した、12本の外層素線の3層構造となっている。
芯ストランド2に引張強さが概ね2650N/mm2 の線材を用い、側ストランドに2000N/mm2 の線材を用いると、引張強度差は約30%となり、これらを組み合わせて弾性係数比k2 /k1 を「1」に近づける。さらに、上記の線材Φ0.13、Φ0.16、Φ0.17は、Φ0.13mmの線材は母線径がΦ0.65mmより伸線加工し、Φ0.16、Φ0.17の線材は、Φ0.75mmより伸線加工することにより、その引張強さが約2580〜2650N/mm2 の線材を得ることができる。
オーステナイト系ステンレス鋼線を用いる理由は、以下の通りである。マルテンサイト系ステンレス鋼線は、熱によって焼き入れ硬化性を示し、また、フェライト系ステンレス線は「475℃脆性」「σ脆性」等高温脆性が存在し、熱の影響を受けやすい。これに対し、オーステナイト系ステンレス鋼線は、常温加工が容易で、伸線加工による加工硬化が顕著なため、引張強度の任意組合せ調節が容易で、本用途に好適である。
つぎにこの発明のロープ1の用途について説明する。
建物に設置される排煙用窓の開閉操作用ロープは、衝撃荷重が加わるため、負荷の不均等を生じると芯ストランド2と側ストランド3のいずれか一方に引張荷重が集中し、一般には芯ストランド2が先に破断し、その後に側ストランド3が破断して全破断に至る。この発明のロープ1は、芯ストランド2と側ストランド3の弾性係数比k2 /k1 を1以上で1に近づけているため芯ストランド2の先行破断を防止できる。このため、排煙用窓の開閉操作用ロープとして高い耐久性を有する。
自動車用アクセルペダルの操作用ロープは、最大荷重15kgfで100万回の耐久性が要求される。このため芯ストランド2と側ストランド3の弾性係数比k2 /k1 が大きいと、こすれ摩耗が大きくなり、必要な耐久性を得ることが困難となる。弾性係数比k2 /k1 を一定範囲、1≦k2 /k1 ≦2、この好ましくは「1」に近づけた本発明のロープ1は、自動車用アクセルペダルの操作用ロープに適用すると、優れた耐久性を有する。
複写機ロープは反復動作が多く伝達速度の増大に伴い芯ストランド2の先行破断が問題となるが、弾性係数比k2 /k1 を一定範囲、1≦k2 /k1 ≦2、この好ましくは「1」に近づけた本発明のロープ1は、複写機ロープに使用した場合に長期間の寿命が保証できる。
自動車のスライドドアの操作ロープは、スライドドアの開閉時に最大で50kgの衝撃荷重が生じ、芯ストランド2が先に破断し、側ストランド3が後に破断して、全破断に至る。弾性係数比k2 /k1 を一定範囲、1≦k2 /k1 ≦2、この好ましくは「1」に近づけた本発明のロープは、自動車のスライドドアの操作ロープとして、十分な耐久性を有する。
[実施例の効果]
この発明のロープ1は、芯ストランド2の弾性係数k1 と側ストランド3の弾性係数k2 との弾性係数比k2 /k1 を「1」に近づけているため、常用荷重の最大荷重以下の引張荷重が繰返し加わる使用条件において、操作用ロープ1に加わる荷重の負荷の分担を、芯ストランド2と側ストランド3とで概ね同等にできる。この結果、ロープ1の過負荷耐久性が向上し、実用的な寿命を著しく増大できる。
操作用ロープの斜視図および弾性係数比のグラフである。 操作用ロープの模式図および伸長特性のグラフである。 操作用ロープのサンプル1〜4の断面図である。 弾性係数比のグラフである。 弾性係数比と過負荷耐久回数との関係を示すグラフである。 過負荷耐久試験の模式図である。 ロープピッチと過負荷耐久回数との関係を示すグラフである。 操作用ロープの試供品の拡大断面図である。 図8の断面写真である。
符号の説明
1 操作用ロープ
2 芯ストランド
3 側ストランド

Claims (8)

  1. それぞれ複数本の金属素線を撚合した芯ストランドおよび側ストランドからなり、前記芯ストランドの外周を包むように複数本の側ストランドを撚合した複撚り構造の操作用ロープにおいて、前記芯ストランドは7本のステンレス鋼線の素線を撚って形成され、前記側ストランドは12〜19本のステンレス鋼線の素線を撚って形成され、1束の芯ストランドの回りに6束の側ストランドを撚合させるとともに、外径が2.0mm以下であり、常用荷重の最大荷重が第2種剛性範囲内で、かつ、その最大荷重時における前記芯ストランドと側ストランドとの弾性係数比が1以上、2以下であることを特徴とする操作用ロープ。
  2. それぞれ複数本の金属素線を撚合した芯ストランドおよび側ストランドからなり、前記芯ストランドの外周を包むように複数本の側ストランドを撚合した複撚り構造の操作用ロープにおいて、前記芯ストランドは19本のステンレス鋼線の素線をウォリントン撚りして形成され、前記側ストランドは7〜19本のステンレス鋼線の素線を撚って形成され、1束の芯ストランドの回りに8束の側ストランドを撚合させるとともに、外径が2.0mm以下であり、常用荷重の最大荷重が第2種剛性範囲内で、かつ、その最大荷重時における前記芯ストランドと側ストランドとの弾性係数比1以上、以下であることを特徴とする操作用ロープ。
  3. 請求項1または2において、前記弾性係数比は1以上、1.3以下であることを特徴とする操作用ロープ。
  4. 請求項において、ロープピッチがロープ外径の6倍以上、7倍以下であることを特徴とする操作用ロープ。
  5. 請求項1または3において、前記芯ストランドは、引張強さが2400N/mm 2 以上、2650N/mm 2 以下のオーステナイト系ステンレス鋼線を使用したことを特徴とする操作用ロープ。
  6. 請求項2または4において、前記芯ストランドは、引張強さが2400N/mm2 以上、2650N/mm2 以下のオーステナイト系ステンレス鋼線を使用したことを特徴とする操作用ロープ。
  7. それぞれ複数本の金属素線を撚合した芯ストランドおよび側ストランドからなり、前記芯ストランドの外周を包むように複数本の側ストランドを撚合した複撚り構造の操作用ロープにおいて、
    前記芯ストランドは7本のステンレス鋼線の素線を撚って形成され、前記側ストランドは12〜19本のステンレス鋼線の素線を撚って形成され、1束の芯ストランドの回りに6束の側ストランドを撚合させるとともに、外径が2.0mm以下であり、
    前記12〜19本のステンレス鋼線を撚合して側ストランドを形成する工程と、引張強さが2400以上、2650N/mm2 以下のオーステナイト系ステンレス鋼線を撚合して前記芯ストランドを形成する工程と、
    前記芯ストランドの外周にロープピッチがロープ外径の6〜7倍の前記側ストランドを撚り合わせて、
    常用荷重の最大荷重がロープの第2種剛性範囲内で、かつ、その最大荷重時における芯ストランドと側ストランドとの弾性係数比を、1以上、2以下としたことを特徴とする操作用ロープの製造方法
  8. それぞれ複数本の金属素線を撚合した芯ストランドおよび側ストランドからなり、前記芯ストランドの外周を包むように複数本の側ストランドを撚合した複撚り構造の操作用ロープにおいて、
    前記芯ストランドは19本のステンレス鋼線の素線をウォリントン撚りして形成され、前記側ストランドは7〜19本のステンレス鋼線の素線を撚って形成され、1束の芯ストランドの回りに8束の側ストランドを撚合させるとともに、外径が2.0mm以下であり、
    前記7〜19本のステンレス鋼線を撚合して側ストランドを形成する工程と、引張強さが2400以上、2650N/mm2 以下のオーステナイト系ステンレス鋼線を撚合して前記1束の芯ストランドを形成する工程と、
    前記芯ストランドの外周にロープピッチがロープ外径の6〜7倍の前記側ストランドを撚り合わせて、
    常用荷重の最大荷重がロープの第2種剛性範囲内で、かつ、その最大荷重時における芯ストランドと側ストランドとの弾性係数比を、1以上、2以下したことを特徴とする操作用ロープの製造方法。
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