JP2005314833A - ゴム補強用スチールコード - Google Patents

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Abstract

【課題】 ゴムの浸透性を向上させることを可能にしたゴム補強用スチールコードを提供する。
【解決手段】 芯ストランド2の周囲に複数本の側ストランド3を撚り合わせたマルチストランド構造からなるゴム補強用スチールコード1において、芯ストランド2を複撚り構造とし側ストランド3を単撚り構造とすると共に、芯ストランド2の直径D0と側ストランド3の直径D1との比D0/D1を1.05〜1.35にした。
【選択図】 図1

Description

本発明はゴム補強用スチールコードに関し、さらに詳しくは、ゴムの浸透性を向上させることを可能にしたゴム補強用スチールコードに関する。
一般に、ゴム製品を補強するスチールコードにはゴム中の水分による腐蝕を防止するような措置が施される。スチールコードを腐蝕から守るためにはスチール素線に亜鉛等のめっきを施すほか、コードの構造を素線間にゴムが浸透し易くすることが行なわれ、コード構造に関する提案が多数なされている。
これらのうち、特に高張力下で使用されるコンベヤベルトの補強用コードとして、芯ストランドとその周囲を囲む複数の側ストランドとからなるマルチストランド構造を採用し、各ストランドを1本以上の中心素線とその周囲を囲む2層以上の素線とで構成することにより、ゴムの浸透を良くし、かつコードの疲労抵抗性を増大させるようにした提案がある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、これらの提案では芯ストランドが単撚り構造からなるためにゴムの浸透効果が充分に得られず、加えてコードを構成する素線径の数が多くなることからスチールコードの生産性が低下するという問題があった。
特開平6−240590号公報
この発明の目的は、上述する問題点を解消するもので、ゴムの浸透性を向上させることを可能にしたゴム補強用スチールコードを提供することにある。
上記目的を達成するためのこの発明のゴム補強用スチールコードは、芯ストランドの周囲に複数本の側ストランドを撚り合わせたマルチストランド構造からなるゴム補強用スチールコードにおいて、前記芯ストランドを複撚り構造とし前記側ストランドを単撚り構造とすると共に、前記芯ストランドの直径D0と前記側ストランドの直径D1との比D0/D1を1.05〜1.35にしたことを要旨とする。
上述したように、この発明のゴム補強用スチールコードは、芯ストランドと側ストランドとからなるスチールコードにおいて、芯ストランドを複撚り構造とし側ストランドを単撚り構造にすると共に、芯ストランドの直径D0と側ストランドの直径D1との比D0/D1を1.05〜1.35にしたので、スチールコードに対するゴムの浸透を充分に得ることができる。
以下、この発明の構成につき添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1はこの発明のゴム補強用スチールコードの一例を示す断面図である。
図1において、ゴム補強用スチールコード(以下、スチールコードという)1は中央側に位置する芯ストランド2とその外周に撚り合わされたM本(図では6本)の側ストランド3とからなり、コード全体を所謂マルチストランド構造に構成している。中央側の芯ストランド2はN本(図では3本)の中央ストランド2a(図では(1+6)構造)を撚り合わせた複撚り構造からなり、 外周側の側ストランド3は複数本の素線が層状に撚り合わされた単撚り構造(図では(1+6+12)構造)からなる。中央側の芯ストランド2の直径D0と外周側の側ストランド3の直径D1との比D0/D1は1.05〜1.35に調整されている。
このように、芯ストランド2を複撚り構造にすると共に、芯ストランド2の直径D0と外周側の側ストランド3の直径D1との比D0/D1を1.05〜1.35とすることによりスチールコード1に対するゴムの浸透を良好にすることができる。上記するD0/D1が1.05未満ではコードへのゴムの浸透が不充分になり、1.35超ではコードの強度が充分得られなくなる。
また、芯ストランド2を複撚り構造にすることにより、コード全体を構成するスチールモノフィラメントの素線径の数を少なくすることができる。すなわち、中央ストランド2aの素線A、 B、及び側ストランド3の素線C、D、Eのうち、側ストランド3の素線C、D、Eの外層側の素線D、Eに中央ストランド2aの素線A、 Bと同一の直径を有する素線を使用することができるからである。したがって、スチールコード1の素線の種類としては最低3種類で済むことになる。
一方、図1のスチールコード1と略同等の強度を有する従来のスチールコード51は、図2にその断面を示すように、芯ストランド52と側ストランド53とが、それぞれ7×(1+6+12)からなる単撚り構造となっているため、芯ストランド52の素線P、Q、R、及び側ストランド53の素線S、T、Uのうち、側ストランド53の素線S、T、Uの外層側の素線T、Uに芯ストランド52の素線Q、Rと同一の直径を有する素線を使用することしかできない。したがって、スチールコード1の素線の種類としては最低5種類は必要になる。なお、図1のスチールコード1と図2のスチールコード51との引張強さは、コード径(7mm)及び芯ストランド径/側ストランド径(1.2)をそれぞれ同一にした場合には、図1のスチールコード1が100であるのに対して図2のスチールコード51が101となる。
この発明のスチールコード1は、高張力下で使用されるゴム製品の補強用として使用され、これを適用する商品は特に限定されないが、高張力下で使用されるコンベヤベルトの補強用として好ましく適用される。コンベヤベルトの補強用として使用する場合には、芯ストランド2をN×(1+6)構造とし、Nを2〜4にするとよい。さらに、側ストランド3をM×(1+6+12)構造とし、Mを5〜7にするとよい。さらに好ましくは、図1に示すように、スチールコード1の構造を3×(1+6)+6×(1+6+12)にするとよい。
上述するように、この発明のスチールコード1は、芯ストランド2を複撚り構造にすると共に、芯ストランド2の直径D0と側ストランド3の直径D1との比D0/D1を1.05〜1.35にすることを特徴とするもので、これによりスチールコード1に対するゴムの浸透を良好にすることができる。さらに、コードを構成する素線径の数を少なくできることから、コードの生産性の観点から有利である。
スチールコードのコード径及び芯ストランド径/側ストランド径をそれぞれ表1のように異ならせて、コードの構造を図2とした従来コード(従来例1、2に相当)とコードの構造を図1とした本発明コード(実施例1〜4に相当)及び比較コード(比較例1、2に相当)とをそれぞれ製作した。これら各コードをそれぞれゴムに埋設し、同一の条件により金型内で加硫してコードの上下左右を2mm厚さのゴムで被覆して、断面が正方形で長さ460mmの従来試験片(従来例1、2)、本発明試験片(実施例1〜4)及び比較試験片(比較例1、2)とした。
上記8種類の試験片について、以下の方法によりゴム浸透性を測定し、その結果を表1に記載した。また、各試験片におけるスチールコードを構成するスチールモノフィラメントの素線の種類(素線径の数)及び実施例2を100とする指数によるコード強力をそれぞれ表1に併せて記載した。
〔ゴム浸透性〕
各試験片をオーストラリア規格(AS−1333)による「空気透過性試験方法」に準拠して、試験片の長手方向の一端部から100kPaの空気圧を圧入し、他端部側に透過した空気圧が5kPaになるまでの時間(秒)を測定した。この時間が長いほど耐空気透過性に優れ、スチールコードに対するゴム透過性が優れていることを示す。
Figure 2005314833
表1より、本発明コードは従来コード及び比較コードに比して、コード強力を低下させることなしにゴム透過性が優れていることがわかる。また、コードを構成する素線径の数が本発明コードは従来コードに比して少なくなっていることがわかる。
この発明のゴム補強用スチールコードの一例を示す断面図である。 従来のゴム補強用スチールコードを示す断面図である。
符号の説明
1、51 スチールコード
2、52 芯ストランド
2a 中央ストランド
3、53 側ストランド

Claims (5)

  1. 芯ストランドの周囲に複数本の側ストランドを撚り合わせたマルチストランド構造からなるゴム補強用スチールコードにおいて、
    前記芯ストランドを複撚り構造とし前記側ストランドを単撚り構造とすると共に、前記芯ストランドの直径D0と前記側ストランドの直径D1との比D0/D1を1.05〜1.35にしたゴム補強用スチールコード。
  2. 前記芯ストランドがN×(1+6)構造(ただし、N=2〜4)である請求項1に記載のゴム補強用スチールコード。
  3. 前記側ストランドがM×(1+6+12)構造(ただし、M=5〜7)である請求項1又は2に記載のゴム補強用スチールコード。
  4. 前記芯ストランド及び前記側ストランドを構成する素線が3種類の直径を有するスチールモノフィラメントからなる請求項1、2又は3に記載のゴム補強用スチールコード。
  5. コンベヤベルトの補強用である請求項1〜4のいずれかに記載のゴム補強用スチールコード。
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