JP3090803B2 - アブラナ科植物の花粉の貯蔵方法 - Google Patents

アブラナ科植物の花粉の貯蔵方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アブラナ科植物の花粉
の貯蔵方法に関する。
【0002】
【従来の技術】被子植物の花粉は成熟段階の核の状態で
二細胞性と三細胞性の2つに分けられる。一般的に二細
胞性の花粉の方が寿命が長いことが知られており、花粉
貯蔵の技術開発も二細胞性の花粉を持つ種を中心に行わ
れてきた。しかしながら、三細胞性の花粉を持つ種に
は、イネ科、アブラナ科、キク科、アカザ科等人類にと
って重要な栽培作物が含まれている。これらのうち、本
発明の対象であるアブラナ科植物についても花粉貯蔵技
術は確立されていなかった。そのため、育種、採種の際
には、交配母株と花粉親株の2系統を開花期を合わせて
栽培する必要があった。花粉貯蔵技術が開発できれば、
花粉親を同じ場所で同時に栽培する必要がなくなり育
種、採種作業の効率化が期待される。
【0003】花粉貯蔵に関する技術としては、(1) 花粉
を乾燥させ低温で保存し、貯蔵後高湿度条件下で再吸水
させ使用する、ナシ、モモ等の果樹用の技術(Akihama,
T et al., Biotechnology in Agriculture and Forest
ry, Vol. 1, pp.101-112, 1986) 、(2) 湿度を調節した
低温下で花粉を貯蔵し使用するピスタチオ用の技術(Po
lito et al., Euphytica 39:265-269, 1988)等をはじめ
多くの技術が報告されているが、アブラナ科植物の保存
技術について言及したものは(3) 「ワサビ花粉の保存方
法」(特開平1−139510号)が唯一見出されてい
るのみである。この技術は、単に低温条件下(5℃以
下)に貯蔵し又は乾燥剤を併用し貯蔵するものである。
【0004】(3) の技術をハクサイ、キャベツ等のアブ
ラナ科植物の花粉貯蔵に応用した場合、花粉を採取する
アブラナ科植物が生育している環境の湿度条件によって
は必ずしも安定した結果が得られない。これはこの技術
が明確な花粉の含水率調節過程を含まず、さらにはアブ
ラナ科植物の冷蔵貯蔵に適した花粉含水率を特定してい
ないことによると考えられる。これはその他の既存の花
粉貯蔵技術にも当てはまるものであり、既存の花粉貯蔵
技術の適用によりアブラナ科植物の安定的な花粉貯蔵は
望めなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アブ
ラナ科植物についての安定的でより簡便な花粉貯蔵方法
を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、鋭意研
究の結果、アブラナ科植物の花粉の含水率をまず低下さ
せ、次いで花粉を冷凍貯蔵することにより、安定的、簡
便に花粉を貯蔵することができ、かつ、貯蔵後の花粉を
用いた場合の発芽率、着果能及び結実能も高く維持され
ていることを見出し本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、アブラナ科植物から
採集した花粉を含水率22%以下に調節する段階、次い
でこの花粉を0℃以下の温度下で貯蔵する段階から成る
アブラナ科植物の花粉の貯蔵方法を提供する。このとき
の花粉含水率は水分重量/(水分重量+花粉乾重量)の
百分率で算出されている。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明の貯蔵方法における第1段階では、
アブラナ科植物の花粉を含水率22%以下に調節する。
含水率は、花粉が発芽能を喪失しない範囲であれば特に
下限はないが、含水率が低くなり過ぎると花粉管発芽率
が低下する(実施例4参照)傾向にあるので、含水率は
22%〜13%の範囲に調節することが好ましい。
【0010】花粉の含水率を22%以下に調節すること
は、花粉又は葯を相対湿度66%以下の条件下に放置す
ることにより行うことができるが必ずしもこれに限定さ
れるものではない。放置する時間は、相対湿度や花粉量
にもよるが、通常2〜24時間程度が好ましい。なお、
相対湿度66%で花粉を5時間乾燥させると、含水率は
約21.4%になる。
【0011】密閉容器中に各種塩の飽和溶液を放置する
ことにより、その密閉容器内の空気の湿度を66%以下
にすることができる。ここで用いられる塩としては、相
対湿度を66%以下にできるものであればいずれのもの
でも用いることができ、例として塩化リチウム、塩化カ
ルシウム、硝酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硝酸ナ
トリウム等を挙げることができる。
【0012】本発明の第2段階では、上記第1段階にお
いて含水率を低下させた花粉を0℃以下の温度下で貯蔵
する。貯蔵は、花粉を密閉容器内に入れ、冷凍庫内で保
存することが好ましい。貯蔵期間は短いほど、貯蔵後の
花粉を使用した場合の発芽率が概高くなるが、下記実施
例において具体的に示されるように、10カ月貯蔵後で
もなお約60%の発芽率を維持しており、少なくとも1
0カ月は保存しても実用性を失わないと言える。
【0013】本発明の貯蔵方法で貯蔵した花粉は、貯蔵
後、再吸水処理等の処理を行うことなくそのまま受粉に
用いることができる。
【0014】本発明の貯蔵方法は、アブラナ科植物に対
して適用することができ、例として、ハクサイ、ブロッ
コリー、キャベツ、セイヨウナタネを挙げることができ
る。
【0015】以下、本発明を実施例に基づきより詳細に
説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
【0016】なお、含水率の測定方法は以下の通りに行
った。35mg(湿重)の花粉を採種した。その花粉を
温度20℃条件下で相対湿度が調整された密封容器内に
放置し、1時間毎に重量を測定した。数回にわたる測定
後、花粉の重量が安定することを確認できた時点で、そ
の値を設定された相対湿度条件下における花粉の湿重量
とした。次に花粉を80℃の乾燥器内に放置し、1時間
毎に重量を測定した。3時間目以降測定値が安定したの
で8時間後に乾燥を打ち切り、花粉の乾重量を測定し
た。各相対湿度条件下における花粉湿重量から花粉乾重
量を引くことにより、花粉の含水量を算出し、その値を
花粉湿重量で割ることにより、各相対湿度条件下におけ
る花粉の含水率を求めた。
【0017】
【実施例】実施例1 硫酸水素ナトリウムの飽和水溶液を収容し、多数の孔の
開いた蓋をのせた容器Aを密封容器Bに入れた。この密
封容器B内にハクサイ(品種:信玄)の花粉各200粒
ずつを収容して密封した。16時間後、花粉を取り出
し、プラスチック容器中に密封して冷凍庫内で−20℃
で貯蔵した。なお、16時間乾燥後の花粉の含水率は1
7.7%であった。冷凍庫内での貯蔵1カ月後、2カ月
後、4カ月後、6カ月後、8カ月後及び10カ月後にそ
れぞれ花粉を取り出し、花粉管発芽培地上で発芽させ
た。花粉管発芽培地の組成は、硝酸カルシウム4水塩30
0 mg/l、硫酸マグネシウム7水塩200mg/l 、硝酸カリウ
ム100 mg/l、ホウ酸100 mg/l、ショ糖20重量%(pH
8)であった。各貯蔵期間後の花粉の発芽率(%)を測
定した。結果を表1に示す。表1より、8カ月貯蔵後で
も発芽率は90%以上の高さを維持しており、10カ月
貯蔵後でも約60%で実用可能であることがわかる。
【0018】
【表1】
【0019】実施例2 実施例1と同じ方法で3カ月又は6カ月貯蔵したハクサ
イ(品種:信玄)の種子をハクサイ(品種:つばめ)に
受粉させ、着果数及び子房当たりの種子数を測定した。
結果を表2に示す。表2から、3カ月または6カ月貯蔵
した花粉を用いた場合でも一つのさく果から平均で19
個の種子が得られたことがわかる。
【0020】
【表2】
【0021】実施例3 実施例2の方法により得られた種子(貯蔵花粉を受粉さ
せて得られた種子)の発芽率(%)を調べた。なお、対
照として、ハクサイ(品種信玄)の種子(市販品、貯蔵
期間0)についてもその発芽率(%)を調べた。結果を
表3に示す。表3から明らかなように、本発明の方法に
より貯蔵した花粉を受粉させて得られた種子は、貯蔵し
ない花粉を用いて得られた種子と同様、100%の発芽
率を示した。
【0022】
【表3】
【0023】実施例4 ハクサイ(品種:信玄)の花粉を異なる湿度条件下で、
20℃の恒温器に16時間放置後、−20℃で一週間貯
蔵した後の花粉の花粉管発芽率を200粒の花粉を観察
することにより測定した。花粉管発芽培地は前記と同じ
組成のものを用いた。結果を表4に示す。81%又は9
5%相対湿度条件下に放置後貯蔵したものについては花
粉管の発芽が認められなかったのに対し、66%以下の
相対湿度条件下に放置後、貯蔵した花粉は高い発芽能を
維持していることが確認された。
【0024】
【表4】
【0025】
【発明の効果】本発明の方法により、安定的で簡便なア
ブラナ科植物の花粉の貯蔵方法が提供された。本発明の
方法により貯蔵された花粉は、長期間貯蔵後も高い発芽
率及び結実能を維持している。また、本発明の方法によ
り貯蔵された花粉は、特別の処理を要することなくその
まま受粉させることができる。従って、本発明はアブラ
ナ科植物の育種、採種作業の効率化に大いに貢献するも
のと期待される。
フロントページの続き (72)発明者 岩井 純夫 東京都品川区東品川四丁目12番62号 日 本たばこ産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−139510(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01N 3/00 A01F 25/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アブラナ科植物から採集した花粉を含水
    率22%以下に調節する段階、次いでこの花粉を0℃以
    下の温度下で貯蔵する段階から成るアブラナ科植物の花
    粉の貯蔵方法。
  2. 【請求項2】 花粉の含水率を22%以下に調節する段
    階は、花粉又は葯を相対湿度66%以下の条件下に放置
    することにより行われる請求項1記載の方法。
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