JP3090038B2 - クラッド板の製造方法 - Google Patents

クラッド板の製造方法

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JP3090038B2 JP10548596A JP10548596A JP3090038B2 JP 3090038 B2 JP3090038 B2 JP 3090038B2 JP 10548596 A JP10548596 A JP 10548596A JP 10548596 A JP10548596 A JP 10548596A JP 3090038 B2 JP3090038 B2 JP 3090038B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム板ま
たはアルミニウム合金板とステンレス鋼板とを重ね合わ
せたクラッド板の圧延による製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、アルミニウム板とステンレス
鋼板とのクラッド板を圧延によって製造する方法につい
て種々の提案がなされている。
【0003】例えば、特開平1−266981号公報に
は、アルミニウム板またはアルミニウム合金板とステン
レス鋼板を重ね合わせた後、素材板が200〜500℃
となるように所定時間加熱した後、10〜30%の圧下
率で圧延し接合するクラッド板の製造方法が開示されて
いる。しかし、この製造方法は、ステンレス鋼板の重ね
合わせ面を純アルミニウムで被覆した後に接合すること
により接合強度の高いクラッド板を得る方法である。し
たがってこの製造方法では、ステンレス鋼板を純アルミ
ニウムで被覆するという煩雑な素材処理工程が必要であ
り、安価なクラッド板を製造することが困難である。
【0004】また別の例として特公平3−2588号公
報には、アルミニウム条またはアルミニウム合金条と焼
鈍した金属板とのクラッド板を冷間圧延によって製造す
る際、金属板の表面を予め研磨し、表層に20μm以下
の硬化層を生成させた後に、圧下率25〜70%で冷間
圧延し、接合する方法が開示されている。
【0005】しかし、冷間圧延方法は、温間圧延方法や
熱間圧延方法と較べて非常に大きな圧延荷重を必要と
し、幅広のクラッド板を製造できないという欠点があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、製造コスト
が低く、しかもプレス加工に耐えうる成形性と高い接合
強度を有するアルミニウム板またはアルミニウム合金板
とステンレス鋼板とを重ね合わせたクラッド板の温間圧
延法による製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決する方法として製造コストが低くかつ製品寸法の
制限のない温間圧延方法に着目した。そして詳細に検討
した結果、ステンレス鋼板の接合面の表面粗さ、圧
延温度、総圧下率を規定することにより、成形性と高
い接合性を有するクラッド板を製造できることを知得し
た。本発明は上記の知見を基になされたものであってそ
の要旨は次の通りである。
【0008】「アルミニウム板またはアルミニウム合金
板とステンレス鋼板とからなるクラッド板の製造方法に
おいて、ステンレス鋼板の接合面を表面平均粗さRaが
(1)式を満たすようにブラシ研磨し、ステンレス鋼板
の接合面とアルミニウム板またはアルミニウム合金板と
を重ね合わせた後、温度200℃以上、500℃以下
で、総圧下率が15%以上、40%以下の条件で温間圧
延を行うことを特徴とするアルミニウム板またはアルミ
ニウム合金板とステンレス鋼板とからなるクラッド板の
製造方法。
【0009】 Ra≧1.2×10-4×Br+0.1・・・・・(1) Ra:表面平均粗さ(μm) Br:ブラシ研磨装置のブラシ1本の直径(μm) ただし、200≦Br≦3600とする。」 ここでいうアルミニウムまたはアルミニウム合金とはJ
IS H4000で規格されているA1000番台〜A
5000番台等の一般的に使用されている純アルミニウ
ム及びアルミニウム合金を意味している。
【0010】ステンレス鋼とは、JISで規格されてい
るオーステナイト系、フェライト系、オーステナイトフ
ェライト系等の一般的に使用されているステンレス鋼を
意味している。
【0011】クラッド板とは1枚以上のアルミニウム
(またはアルミニウム合金)板と1枚以上のステンレス
鋼板とを交互に重ね合わせてクラッド化した板を意味し
ている。例えば、アルミニウム(またはアルミニウム合
金)板とステンレス鋼板を1枚ずつ重ねてクラッド化す
るものや、アルミニウム板/ステンレス鋼板/アルミニ
ウム板の3層に重ねてクラッド化するものや、ステンレ
ス鋼板/アルミニウム板/ステンレス鋼板のように重ね
てクラッド化するものが挙げられる。
【0012】ブラシ研磨とは、ステンレス鋼を素材とす
るワイヤもしくはステンレス鋼よりも硬い素材からなる
ワイヤまたは先端に耐摩耗性に優れたSiC等の炭化物
やAl23を備えるワイヤからなるワイヤブラシをステ
ンレス鋼板の接合面に接触させて、ブラシを回転させる
ことにより、表面を研磨し、ステンレス鋼板の表面に凹
凸を付けることを意味している。ワイヤは1本の直径が
200μm以上、3600μm以下のものを使用する。
【0013】総圧下率とは {〔(TB.Al+TB.St)−(TA.Al+TA.St)〕/(T
B.Al+TB.St)}×100 TB.Al:圧延前のアルミニウムまたはアルミニウム合金
の板厚の合計 TB.St:圧延前のステンレス鋼の板厚の合計 TA.Al:圧延後のアルミニウムまたはアルミニウム合金
の板厚の合計 TA.St:圧延後のステンレス鋼の板厚の合計 で表される量である。
【0014】本発明でいう温間圧延とは、ステンレス鋼
板とアルミニウム板を圧延によってクラッド接合を行う
際に通常用いられる圧延機によって、圧延温度を200
〜500℃の範囲として圧延することを意味している。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明を具体的に説明する。
【0016】クラッド化のために温間圧延を採用した場
合は、圧延の前の加熱によってステンレス鋼板の表面に
酸化膜が発生する。この酸化膜がクラッド接合における
接合力を低下させ、成形性の劣化を招く要因となってい
る。本発明は温間圧延の際の圧下力によって酸化膜の一
部を破壊し、ステンレス鋼板の表面を露出させることに
特徴がある。効果的に酸化膜の一部を破壊するために
は、ステンレス鋼板の表面を粗くしておく必要がある。
ステンレス鋼板の表面をブラシ研磨すると表面には粗い
凹凸が形成され、その上には酸化膜が発生する。この凹
凸面に酸化膜が形成されたステンレス鋼板とアルミニウ
ム板とを重ね合わせた後に圧延すると、凸部に発生して
いる酸化膜の方が、凹部に発生しているそれよりも応力
がかかるので凸部に発生している酸化膜が破壊される。
酸化膜が破壊された部分にステンレス鋼が露出(以下、
単に新生部と記す)し、この新生部がアルミニウム板と
の接合の強度を向上させる。
【0017】圧延を行う前のステンレス鋼板とアルミニ
ウム板は、それぞれ別個の加熱装置によって加熱した後
に重ね合わせても良いし、ステンレス鋼板とアルミニウ
ム板を重ね合わせた後に加熱しても良い。
【0018】以下、さらに詳しく本発明方法における
ステンレス鋼板の接合面の表面粗さ、圧延温度、総
圧下率について説明する。
【0019】ステンレス鋼板の接合面の表面粗さ ステンレス鋼板を研磨するブラシは、ステンレス鋼を素
材とするワイヤもしくはステンレス鋼よりも硬い素材か
らなるワイヤまたは先端に耐摩耗性に優れたSiC等の
炭化物やAl23を備えるワイヤからなるワイヤブラシ
を使用する。ステンレス鋼板の接合面にワイヤブラシを
接触させて、ブラシを回転させることにより、表面を研
磨し、凹凸を付ける。本発明においては、ワイヤ1本の
直径が200μm以上、3600μm以下のワイヤブラ
シを使用する。ワイヤ1本の直径が200μm未満のワ
イヤブラシでは、研磨後のステンレス鋼板の表面平均粗
さが小さすぎて、高強度の接合が得られない。3600
μmを超えるワイヤブラシでは、ステンレス鋼板表面の
凹凸の間隔が広くなり、新生面の露出の密度が低下して
しまう。ワイヤ1本の直径は、200μm以上、360
0μmの範囲において比較的小さいワイヤブラシを使用
する方がステンレス鋼板の表面の凹凸の間隔は狭くな
り、新生面の露出の密度が増大し、接合強度が向上する
ので好ましい。ワイヤ1本の直径が比較的大きいワイヤ
ブラシを使用すると、ステンレス鋼板の表面の凹凸の間
隔は広くなり、新生面の露出の密度が低下してしまう。
したがって、接合強度を向上するためには個々の新生面
の露出の面積を増加させるよう深く研磨しなければなら
ない。
【0020】本発明では、上記したワイヤブラシを使用
して、加熱前のステンレス鋼板の表面に表面平均粗さR
aがRa≧1.2×10-4×Br+0.1を満たすよう
にブラシ研磨を施す。ステンレス鋼板を加熱した後に、
ブラシ研磨を施してもよいが、研磨中にステンレス鋼板
の温度が低下して圧着した際の接合強度が落ちるので加
熱前にブラシ研磨を施すのが好ましい。本発明でいう表
面平均粗さRaは、JIS B0601で定義されるも
のと同じである。Raが1.2×10-4×Br+0.1
未満の値では、高い接合力を有するクラッド板を得るこ
とができない。上式を満たさない研磨では、ステンレス
鋼板表面に発生した凹凸の間隔に対して、表面粗さが細
かくなりすぎて圧延時にかかる凸部の酸化膜への応力が
不足し、酸化膜が完全に破壊されず新生面の露出が少な
くなり接合力が増大しないからである。
【0021】アルミニウム板やアルミニウム合金板の表
面には、ブラシ研磨を施す必要はないが、アルミニウム
合金板を素材として用いる際は、ブラシ研磨を施す方が
好ましい。
【0022】圧延温度 圧延温度は200℃以上、500℃以下とする。200
℃未満の圧延温度で接合するためには強圧下が必要であ
る。強圧下を施すと、被接合材料の硬化によるプレス成
形時の割れが生じる。500℃を超えると、ステンレス
鋼の表面に過度の酸化被膜が生成し、またアルミニウム
では粒成長が発生し、さらに接合界面に金属間化合物が
発生するので、プレス成形性と接合性に優れたクラッド
板を得ることができない。
【0023】総圧下率 総圧下率は15%以上、40%以下とする。総圧下率1
5%未満の圧延ではステンレス鋼板表面の酸化皮膜を破
壊し、新生面を露出させることが十分にできず、満足す
る接合強度が得られない。また、40%を超える強圧下
を加えたステンレス鋼板は加工硬化してしまう。
【0024】
【実施例】本発明の方法を実施例によって具体的に説明
する。
【0025】素材としては、厚さ0.6mm、幅400
mmのコイル状のSUS430のステンレス鋼板と、厚
さ1.65mm、幅400mmのコイル状のA1100
のアルミニウム板を用いた。
【0026】ステンレス鋼板の表面のブラシ研磨は、ワ
イヤ長が800mmでワイヤ1本の直径が0.1×10
3〜3.8×103μmの9種類のブラシを用いて、ブラ
シ回転数を800rpm、ステンレスコイルのライン速
度を20m/minとした条件で研磨を行った。研磨後
のステンレス鋼板の表面平均粗さRaはポータブルタイ
プの表面粗さ計により板幅中央位置を測定することによ
り求めた。
【0027】図1は、ステンレス鋼板とアルミニウム板
をそれぞれ1枚ずつ重ね合わせてクラッド板を製造した
場合における本発明方法の工程を示した概略図である。
【0028】ステンレス鋼板3はステンレスアンコイラ
ー6によって供給し、ブラシ研磨装置9によりステンレ
ス鋼板3の接合表面を研磨する。アルミニウム板4はア
ルミニウムアンコイラー7によって供給する。
【0029】その後、ステンレス鋼板3とアルミニウム
板4を各々の加熱装置2により、加熱し、その後ステン
レス鋼板3とアルミニウム板4を重ね合わせ、圧延装置
1により総圧下率12〜42%、圧延温度100〜55
0℃の条件で圧延を行うことにより接合し、クラッド板
5を得た。
【0030】得られた様々なクラッド板の接合強度と成
形性を調査するために、はく離試験とプレス成形性試験
を実施した。試験片は下記とした。
【0031】 はく離試験片 :JIS K 6854に記載のも
の プレス成形性試験片:直径320mmのブランク はく離試験は、JIS Z 2247の条件に従って、
板のエッジから10mmの両サイド部を測定箇所として
行った。試験の評価については、はく離強度が20N/
mm以上有したものを接合性が十分に高いものと判断し
た。
【0032】プレス成形性試験のプレス条件は以下の通
りである。
【0033】 ポンチ径 :165mm(肩径20mm) ダイス径 :170mm(肩径10mm) 潤滑 :ポリエチレンフィルム 板押さえ力:2.4〜4.0N/mm2 試験の評価は、上記条件でプレスを行った結果、割れ、
横しわのないものを○(プレス性良好)、割れ、横しわ
の生じたものを×(プレス性不良)とした。
【0034】表1にこれらの試験結果を示す。表中の総
合評価欄の○は、はく離強度20N/mm以上でかつ、
割れおよび横しわの発生がないプレス成形性にも優れた
クラッド材であることを示している。
【0035】
【表1】
【0036】表1から本発明で規定する表面平均粗さR
a、圧延温度、総圧下率を満足する方法で製造した本発
明例のクラッド板は、はく離強度、プレス成形性のいず
れも優れており、接合強度、成形性が良いことが確認さ
れた。一方、本発明で規定する範囲外の条件で製造した
比較例のクラッド板では満足する評価は得られなかっ
た。
【0037】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来の方法より
も成形性、接合性に優れたアルミニウム板またはアルミ
ニウム合金板とステンレス鋼板からなるクラッド板を製
造できる。さらに、本発明の方法によれば従来の方法に
較べ、不良接合部分が少ないのでクラッド板の歩留ま
り、プレス成形性歩留まりも向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の1実施例の手順を示した概略図で
ある。
【符号の説明】
1…圧延装置 2…加熱装置 3…ステンレス鋼板 4…アルミニウム板 5…クラッド板 6…ステンレスアンコイラー 7…アルミニウムアンコイラー 8…クラッドアンコイラー 9…ブラシ研磨装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−192854(JP,A) 特開 平1−166890(JP,A) 特開 昭50−73868(JP,A) 特公 昭43−29263(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 20/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム板またはアルミニウム合金板
    とステンレス鋼板とからなるクラッド板の製造方法にお
    いて、ステンレス鋼板の接合面を表面平均粗さRaが
    (1)式を満たすようにブラシ研磨し、ステンレス鋼板
    の接合面とアルミニウム板またはアルミニウム合金板と
    を重ね合わせた後、温度200℃以上、500℃以下
    で、総圧下率が15%以上、40%以下の条件で温間圧
    延を行うことを特徴とするアルミニウム板またはアルミ
    ニウム合金板とステンレス鋼板とからなるクラッド板の
    製造方法。 Ra≧1.2×10-4×Br+0.1・・・・・(1) Ra:表面平均粗さ(μm) Br:ブラシ研磨装置のブラシ1本の直径(μm) ただし、200≦Br≦3600とする。
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KR100339746B1 (ko) * 1999-12-15 2002-06-05 김진영 성형 가공용 합금판재의 크레드 제조방법
KR100813569B1 (ko) * 2006-10-30 2008-03-17 한국원자력연구원 기계적 또는 화학적 처리를 거친 베릴륨과 구리 합금의접합방법
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CN104203566B (zh) * 2012-03-29 2016-08-24 日铁住金建材株式会社 金属箔层压金属板以及金属箔层压金属板的制造方法

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