JP3089516B2 - 超音波センサ - Google Patents

超音波センサ

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JP3089516B2
JP3089516B2 JP05010200A JP1020093A JP3089516B2 JP 3089516 B2 JP3089516 B2 JP 3089516B2 JP 05010200 A JP05010200 A JP 05010200A JP 1020093 A JP1020093 A JP 1020093A JP 3089516 B2 JP3089516 B2 JP 3089516B2
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和子 川原
進 片山
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Matsushita Electric Works Ltd
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  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、監視空間内に所定周波
数の超音波を送波し、監視空間内の物体からの反射波を
検出することにより、反射空間内の移動物体の存在を検
知するのに適用される超音波センサに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の超音波センサとしては、移動物
体に超音波が送波されたときのドップラー効果を利用し
て、移動物体の検知を可能としたものが提案されてい
る。この従来のものは、送波器から所定周波数の超音波
を連続送波すると共に、受波器では一定時間間隔で反射
波を受波することにより、受波器から出力される受波信
号のドップラー成分の正・負を一定のルールに従って判
断するものである。そして、そのドップラー成分の正・
負に基づいて、予め定められた所定の単位値を順次加算
又は減算して積算値を求めてゆき、その積算値が所定の
閾値を超えれば、その時点で移動物体が監視空間内に存
在するものと判断し、所定の移動物体検知信号を出力す
るように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のものでは、次のような難点を生じていた。すなわ
ち、この種の超音波センサを例えば室内に設置して人体
検知に使用するような場合には、室温と温度差のある気
流が空調機器等から監視空間内に流入したり、或いは直
接超音波センサにあたるような場合がある。ところが、
かかる気流は、ドップラー効果に影響を与え、受波信号
中のドップラー成分を変化させる性質を有する。例え
ば、本件出願人の実験の一例では、超音波センサの前方
0.7mの位置に、風速40〜80〔cm/s〕の冷風
があったときには、図6に示すように、受波信号中にお
いて、ドップラー成分を正とする信号成分が68.2
〔%〕、負とする信号成分が19.11〔%〕、正・負
の判断ができない信号成分が11.78〔%〕、ドップ
ラー成分なしと判断される信号成分が10.73〔%〕
として認められた。かかるデータからも明らかなよう
に、監視空間内に室温と温度差のある気流が生じたので
は、受波信号中にドップラー成分の正・負を判断できな
い信号成分が多くなる。また、ドップラー成分を正又は
負の何れか一方に偏らせる信号成分も多く含まれること
となる。
【0004】一方、従来では、受波信号のドップラー成
分の正・負に基づいて、予め定められた所定の単位値を
順次加算又は減算して積算値を求めるように構成されて
いたに過ぎない。従って、従来では、監視空間内に冷房
用又は暖房用の気流が継続して発生しているときには、
その気流に原因する受波信号のドップラー成分の正又は
負が判断されて所定の単位値が加算され続け又は減算さ
れ続け、その積分値が一定の閾値を超える現象が生じて
いた。その結果、従来では、監視空間内に移動物体が存
在しないにも拘わらず、移動物体検知信号が出力される
という誤動作を生じ、これが難点となっていた。
【0005】本発明は上記の点に鑑みて提案されたもの
で、監視空間内に温度差のある気流が生じても、その気
流に原因して移動物体検知信号が出力される如き誤動作
が生じることがなく、移動物体検知の信頼性に優れた超
音波センサを提供することを、その目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に提案された請求項1に記載の本発明に係る超音波セン
サは、監視空間内に超音波の送波を行う送波器と、この
送波器から送波されて監視空間内に存在する物体から反
射されてくる反射波を受波してその受波信号を出力する
受波器と、その受波信号のドップラー成分の正・負を判
断する手段と、そのドップラー成分の正・負に基づいて
予め定められた所定の単位値を順次加算又は減算して積
算する積分処理回路と、この積分処理回路で算出される
積算値が予め定められた一定の閾値を超えたときに移動
物体検知信号を出力する手段とを備えた超音波センサで
あって、前記積分処理回路は、積算値が正のときの減算
処理、又は積算値が負のときの加算処理を実行するとき
には、前記所定の単位値に代えて、それよりも大きな値
で積算処理を行うように構成されており、更に、前記積
分処理回路は、受波信号のドップラー成分のレベルが予
め定められたレベルよりも低いときには、積算値が正の
ときはその積算値から所定の単位値の減算を行い、積算
値が負のときはその積算値に所定の単位値の加算を行う
ように構成されている。
【0007】請求項2に記載の本発明に係る超音波セン
サは、上記請求項1の構成において、前記積分処理回路
は、ドップラー成分の正・負を判断できないときには、
積算値が正のときはその積算値から前記所定の単位値よ
りも大きな値を減算し、積算値が負のときはその積算値
に前記単位値よりも大きな値を加算するように構成され
ている。
【0008】
【作用】上記構成を特徴とする請求項1に記載の本発明
に係る超音波センサにおいては、監視空間内に温度差の
ある気流が生じることに原因し、受波信号のドップラー
成分の正・負が判断されて積分処理回路で所定の単位値
の積算処理が継続されても、その積分値が正のときの減
算処理、又は積算値が負のときの加算処理を行うときに
は、所定の単位値よりも大きな値が減算、又は加算され
る。すなわち、例えば気流の影響によって受波信号中に
正のドップラー成分が多く含まれることにより、積分処
理回路において所定の単位値『1』の加算がなされてそ
の積分値が正となっているときに、ドップラー成分が負
に転換されたときには、前記積分値から所定の単位値
『1』が減算されるのではなく、それよりも大きな値
(例えば『3』)が減算される。従って、気流に原因し
て発生するドップラー成分に基づく積算値は、中点(即
ち、積分値が0のレベル)に復帰される度合いが大きく
なり、その積算値が閾値を容易に超えるようなことがな
くなる。その結果、移動物体が存在しないにも拘わらず
移動物体検知信号が不当に出力されるような虞れが解消
される。
【0009】また、上記のように、積算値が中点に復帰
される度合いが大きいと、監視空間内に実際に移動物体
が侵入してきたときに、正・負の両極の閾値のうち何れ
か一方の閾値に達するまでの時間が総合的に短縮化され
ることとなる。即ち、例えば、積算値が正の値にある状
態において、監視空間内に移動物体が実際に侵入するこ
とによりその積算値が負の方向に積算されるときには、
その積算値が負の閾値に達するまでに長時間を要するこ
ととなる。ところが、本発明のように、監視空間内に移
動物体が存在しない状態において、積算値が常に中点近
くに存在すれば、実際に移動物体が侵入したときに、そ
の積算値が正・負の何れの方向に積算される場合であっ
ても、その積算値が閾値に達するまでの時間が短縮化さ
れ、移動物体の検知時期を早めることが可能となる。
【0010】また、積分処理回路は、受波信号のドップ
ラー成分のレベルが予め定められたレベルよりも低いと
き、即ち、監視空間内に移動物体が存在せず、所定レベ
ルよりも大きいドップラー成分が得られないときには、
積分処理回路は、その時点において積算値が正のときは
その積算値から所定の単位値の減算を行うことにより積
算値を中点に近づけ、また積算値が負のときはその積算
値に所定の単位値の加算を行うことにより、その積算値
をより中点に近づけることとなる。従って、監視空間内
に移動物体が存在しないときに、温度差のある気流によ
り生じる受波信号中のドップラー成分に原因して、所定
の単位値が順次累積することを一層阻止することがで
き、移動物体の過誤検知を一層徹底して防止することが
できる。
【0011】請求項2に記載の本発明に係る超音波セン
サでは、ドップラー成分の正・負を判断できないときに
は、その時点において積算値が正であれば、その積算値
から前記所定の単位値よりも大きな値を減算することに
より、積算値の中点への収束が早まる。また逆に、積算
値が負であれば、その積算値に前記単位値よりも大きな
値を加算するために、やはり積算値の中点への収束が早
まる。而して、上記したドップラー成分の正・負を判断
できないときとは、監視空間内で人体等の物体が移動す
る場合とは異なり、一定した方向性のない温度差のある
気流が監視空間内に発生した場合に生じる特有の現象で
ある。従って、温度差のある気流が発生したときには、
やはりその気流に原因する積算値の累積が所定の単位の
単位値よりも大きな値で減算又は加算されることによ
り、中点に収束され易くなり、積算値が閾値を超えるこ
とが防止される。その結果、気流の発生に原因して移動
物体の過誤検知がなされることを一層徹底して防止する
ことが可能となる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
して説明する。図1は、本発明に係る超音波センサSの
ハード構成の一例を示すブロック図である。この超音波
センサSは、発振器1から発振されて送波回路2を介し
て供給されてくる発振信号(送波信号)に基づいて所定
周波数の超音波を連続的に送波する送波器3と、この送
波器3から送波されて監視空間内に存在する移動物体か
ら反射されてくる反射波を一定時間間隔で受波する受波
器4とを具備している。受波器4の後段には、受波器4
から一定時間間隔で出力される受波信号中のドップラー
成分を検出するためのドップラー成分検出部5、ベクト
ルローテーション回路6、積分処理回路7、及び検知判
断回路8等が設けられている。
【0013】上記のうち、ドップラー成分検出部5は、
受波器4から出力されて増幅回路50で増幅された受波
信号を、二つのミキサー51a、51bに入力するよう
に構成されている。一方のミキサー51aでは、受波信
号が送波回路2から出力される送波信号とミキシングさ
れることにより、検波回路52aで受波信号のドップラ
ー信号E’が検波され、増幅回路53aで増幅されるよ
うに構成されている。これに対し、他方のミキサー51
bでは、位相回路54でπ/2だけ位相が相違するよう
に変換された送波信号が受波信号とミキシングされるこ
とにより、検波回路52bで受波信号のドップラー信号
Eが検波され、増幅回路53bで増幅されるように構成
されている。従って、このドップラー成分検出部5で
は、互いにπ/2だけ位相が異なったドップラー信号
E、E’(ドップラー成分)が検出される。
【0014】ベクトルローテーション回路6は、上記の
ドップラー成分検出部5で検出されるドップラー成分の
信号E、E’をx、yの信号に置換し、例えば図2に示
すように、ドップラー信号E、E’を基本軸とするベク
トル座標で受波信号を表し、座標の原点に対する回転方
向を確認することにより、ドップラー成分の正・負を判
断するものである。具体的には、例えば図2において、
象限1のa点に位置する受波信号が象限2のb点に転移
し、またそのb点から象限3のc点に転移する等、受波
信号のベクトル座標位置が反時計方向に回転するときに
は、そのドップラー成分を正と判断する。また、c点の
次のベクトル座標位置d点が、先のc点と同一象限に留
まっているときにも、ドップラー成分を正と判断する。
これに対し、d点からe点に変化する如く、受波信号の
座標位置が上記とは逆に、基本軸の原点に対して時計方
向に沿って回転するときには、そのドップラー成分を負
と判断するものである。
【0015】尚、上記のドップラー成分の正・負の判断
に際しては、例えば監視空間内に移動物体が存在せず、
また温度差の大きい気流等も生じていないときには、受
波信号中のドップラー信号のレベルが0又は微小レベル
となる。ベクトルローテーション回路6は、このような
場合において、ドップラー信号の検出レベルが低く、予
め定められた一定レベルに満たないときには、正・負の
判断は行わず、これら正・負を判別する信号とは異なる
信号を積分処理回路7側に出力するように構成されてい
る。
【0016】また、温度差の大きい気流が監視空間内に
発生している場合には、例えば図2において、受波信号
の座標位置が、象限2のe点からこれとは不連続な象限
4のf点に転移するような現象を生じる場合がある。こ
のような場合には、受波信号の座標位置が時計回りなの
か反時計回りなのかを判断することができず、正・負の
判断ができない。従って、ベクトルローテーション回路
6では、かかる場合には、その旨の信号を積分処理回路
7側に出力するように構成されている。
【0017】積分処理回路7は、ベクトルローテーショ
ン回路6から一定時間間隔で出力される正・負の判別信
号等に基づいて、所定の単位値(例えば『1』)の積算
処理を行うものである。この積算処理は、基本的には、
正の信号を受信する都度、単位値としての『1』を加算
し(図3のA区間が相当)、また負の信号を受信する都
度『1』を減算(図3のD区間が相当)するものであ
る。但し、このような加算又は減算がなされて得られる
積算値が正の場合において、ベクトルローテーション回
路6から負の信号が出力され、減算処理を行うときに
は、単位値としての『1』は適用されず、図3の矢印B
や矢印Cで示すように、それよりも大きな例えば『3』
が減算される。また、積算値が負の場合において、加算
処理を行うときにも、単位値としての『1』は適用され
ず、図3の矢印Eに示すように、『3』が加算されるよ
うに構成されている。但し、本発明では、単位値『1』
とは異なる値として必ずしも『3』を用いる必要はな
く、所定の単位値『1』よりも大きな値であれば如何な
る値を用いてもよい。
【0018】一方、積分処理回路7は、ベクトルローテ
ーション回路6から正・負の信号とは異なり、ドップラ
ー成分のレベルが所定レベル以下である旨の信号を受信
したときにも所定の単位値の積算処理を行うように構成
されている。但し、この場合には、その時点で積算値が
正であれば、その積算値から所定の単位値『1』を減算
して、積算値を中点(0)に近づけるように処理すべく
構成されている。また逆に積算値が負であるときには、
その積算値に所定の単位値『1』を加算し、積算値を中
点(0)に近づけるように処理すべく構成されている。
また、ベクトルローテーション回路6においてドップラ
ー成分の正・負が判断できないときにおいては、所定の
単位値『1』よりも大きな値(例えば『3』)を用いた
積算処理を行う。この場合においては、その時点におけ
る積算値が正であれば、その積算値から『3』を減算す
る。また積算値が負であれば、その積算値に『3』を加
算する。このように、積分処理回路7では、何れの場合
にも積算値を中点(0)に早期に近づけるように処理す
べく構成されている。
【0019】検知判断回路8は、上記積分処理回路7に
よる積算値が予め定められた一定の閾値THを超えれ
ば、その時点で監視空間内に移動物体が存在するものと
判断し、その移動物体検知信号を出力するものである。
尚、閾値THは、図3で示すように、正・負(+,−)
の両極側に設けられている。
【0020】次に、上記構成の超音波センサSの作用に
ついて説明する。この超音波センサSでは、監視空間内
に移動物体が存在しない場合であっても、室内空調機器
から室温と温度差の大きい冷房用又は暖房用の気流が監
視空間内で発生している場合には、受波器4から出力さ
れる受波信号中に気流に原因したドップラー成分が含ま
れる。このような気流に原因するドップラー成分は、正
又は負の何れかに偏った性質を有するものの、これを図
2で示したベクトル座標で表せば、その転移方向は一定
せず、逐次その転移方向が反転し、正・負が不規則に切
り替わる性質となる。従って、気流に原因するドップラ
ー成分が暫くの間だけ正を維持することにより、例えば
図3のA区間に示したように積分処理回路7において所
定の単位値『1』が順次加算されていても、その途中段
階で不規則的にドップラー成分が負に反転する現象を生
じる。この場合には、矢印Bに示すように積算値の減算
処理がなされる。
【0021】而して、かかる減算処理に際しては、所定
の単位値『1』よりも大きな例えば『3』が適用される
ために、積算値が中点(0)に収束される度合いが大き
くなる。また、上記とは逆に、ドップラー成分が暫くの
間、負を維持し、図3のD区間のように、所定の単位値
『1』が順次減算されていても、その途中段階でドップ
ラー成分が正に反転し、矢印Eに示すように加算処理が
なされるときには、『3』の値が加算されることによ
り、やはり積算値が中点(0)に収束される度合いが大
きくなる。従って、温度差の大きい気流に発生して、積
分処理回路7における積算値が閾値THを超えるような
ことが解消されることとなる。
【0022】図4に示すように、従来では、監視空間内
の気流に原因して受波信号のドップラー成分が例えば正
に偏り、これが順次積算されることにより、積算値が閾
値THを超える場合があったが、本発明では中点(0)
へ収束される率が大きいために、従来のように気流に原
因して積算値が閾値THを超えるようなことはない。そ
の結果、本発明では、監視空間内に移動物体が存在しな
いにも拘わらず、過誤により、移動物体検知信号が出力
されるようなことが防止される。
【0023】また、監視空間内に移動物体が侵入して移
動する場合とは異なり、監視空間内に温度差のある気流
が発生する場合では、ベクトルローテーション回路6に
おいてドップラー成分の正・負を判断できない場合が多
々ある。而して、超音波センサSの積分処理回路7で
は、このような場合には、やはり所定の単位値『1』よ
りも大きな『3』の値を、積算値が正のときには減算
し、また積算値が負のときには加算することにより、積
算値を中点(0)に大きな度合いで収束させるために、
積算値が気流の存在に原因して、閾値THを超えること
が、一層徹底して防止されることとなる。
【0024】更に、監視空間内に移動物体が侵入してい
ないとき、及び大きな温度差の気流がさほど無いときに
は、受波信号中のドップラー信号のレベルが非常に小さ
くなるが、この場合においては、積算値を中点(0)に
収束させるべく所定の単位値『1』の加算又は減算処理
がなされる。従って、監視空間内に移動物体が実際に存
在しないときの積算値の増大を一層効果的に阻止するこ
とができ、移動物体検知信号が過誤出力されることを確
実に防止することが可能となる。
【0025】また、上記したように、この超音波センサ
Sでは、積算値が中点(0)に収束される度合いが大き
いことにより、積算値が中点(0)の近傍に復帰する時
間が短縮化されることとなる。その結果、監視空間内に
実際に移動物体が侵入してきたときの検知時期が早くな
るという利点も得られることとなる。即ち、図5に示す
ように、例えば区間Fにおいて、積算値が正である場合
において、監視空間内に実際に人体等の移動物体が侵入
することにより、区間Gでその積算値の減算処理がなさ
れる場合がある。このような場合において、従来では、
所定の単位値『1』ずつ減算されるから、積算値が中点
(0)に復帰する迄にはTbの時間を要するが、本発明
では積算値が正のときに減算される値は『3』であるか
ら、積算値が中点(0)に復帰する迄の時間Taはそれ
よりも短くなる。従って、積算値が負の閾値THを超え
るまでの時間は、本発明の時間T1の方が、従来のT2
よりも、(Tb−Ta)だけ早くなり、移動物体検知が
なされる時期を早めることが可能となり、応答性が優れ
たものとなる。
【0026】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、請求
項1乃至2に記載の本発明に係る超音波センサによれ
ば、監視空間内の温度差のある気流の存在に原因する受
波信号中のドップラー成分が検出されることにより積分
処理回路において所定の積算処理がなされても、その積
算値を中点に収束させる度合いを大きくすることにより
その積算値が所定の閾値を超えることを回避することが
でき、監視空間内に移動物体が存在しないにも拘わら
ず、気流に原因して移動物体検知信号が過誤出力される
といった難点を適切に防止できるという格別な効果が得
られる。しかも、積算値を中点に収束させる度合いを大
きくすることにより、監視空間内に実際に移動物体が侵
入した場合において積算値が所定の閾値を超えるまでの
時間を短縮することも可能となり、移動物体検知の応答
性をも良好なものにできるという利点も得られる。
【0027】特に、請求項1に記載の本発明によれば、
監視空間内に移動物体が存在せず、所定レベルよりも大
きいドップラー成分が得られないときであっても、積算
値を中点に近づける処理を行うから、監視空間内に移動
物体が存在しないときに、移動物体の過誤検知がなされ
ることを一層確実に防止することができる。
【0028】また、請求項2に記載の本発明によれば、
監視空間内に温度差のある気流が生じた場合に特有なド
ップラー成分の正・負を判断できない事態を生じたとき
にも、積算値を中点に対して大きな度合いで収束させる
から、温度差のある気流に原因する移動物体の過誤検知
をやはり一層徹底して防止することができるという効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波センサのハード構成の一例
を示すブロック図。
【図2】受波信号のドップラー成分の正・負を判断する
場合の一例を示す説明図。
【図3】積分処理回路で積分処理を行う場合の一例を示
す説明図。
【図4】監視空間内に室温と温度差のある気流が発生し
た場合における本発明と従来例との積算値の変化状態を
示す説明図。
【図5】監視空間内に実際に移動物体が侵入してきた場
合における本発明と従来例との積算値の変化状態を示す
説明図。
【図6】室温と温度差のある気流が監視空間内に発生し
た場合のドップラー成分の特性の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1 発振器 2 送波回路 3 送波器 4 受波器 5 ドップラー成分検出部 6 ベクトルローテーション回路 7 積分処理回路 8 検知判断回路 51a,51b ミキサー 52a,52b 検波回路 54 位相回路 S 超音波センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−223885(JP,A) 特開 平2−213792(JP,A) 特開 昭61−246686(JP,A) 特開 昭61−54484(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 15/04 G01S 15/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】監視空間内に超音波の送波を行う送波器
    と、この送波器から送波されて監視空間内に存在する物
    体から反射されてくる反射波を受波してその受波信号を
    出力する受波器と、その受波信号のドップラー成分の正
    ・負を判断する手段と、そのドップラー成分の正・負に
    基づいて予め定められた所定の単位値を順次加算又は減
    算して積算する積分処理回路と、この積分処理回路で算
    出される積算値が予め定められた一定の閾値を超えたと
    きに移動物体検知信号を出力する手段とを備えた超音波
    センサであって、 前記積分処理回路は、積算値が正のときの減算処理、又
    は積算値が負のときの加算処理を実行するときには、前
    記所定の単位値に代えて、それよりも大きな値で積算処
    理を行うように構成されており、更に、前記積分処理回
    路は、受波信号のドップラー成分のレベルが予め定めら
    れたレベルよりも低いときには、積算値が正のときはそ
    の積算値から所定の単位値の減算を行い、積算値が負の
    ときはその積算値に所定の単位値の加算を行うように構
    成されていることを特徴とする超音波センサ。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記積分処理回路は、
    ドップラー成分の正・負を判断できないときには、積算
    値が正のときはその積算値から前記所定の単位値よりも
    大きな値を減算し、積算値が負のときはその積算値に前
    記単位値よりも大きな値を加算するように構成されてい
    ることを特徴とする超音波センサ。
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