JP3088745B2 - 石膏または石膏水溶液の食品への利用方法 - Google Patents

石膏または石膏水溶液の食品への利用方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は石膏または石膏水溶液の食品への利用方法に
関する。
〔従来の技術とその問題点〕
一般に食品の美味・不味が判断される最大の基準は食
品の「新鮮さ」の度合いにある。ここでいう「新鮮さ」
とは生魚や野菜等の生鮮食料品に関して慣用的に用いら
れる狭義の意味に留まらず、例えばコーヒー豆の焙煎直
後の「新鮮さ」のようなある食品本来が有している時間
経過とともに失われる風味をどの程度残しているかの度
合いでもある。
このような「新鮮さ」を保つためには、生鮮食料品の
場合であれば産地から輸送するのに要する時間を短縮す
ることや例えば上記コーヒー豆の「新鮮さ」を長時間維
持するための包装方法や保存方法に工夫を凝らすことが
行われている。
しかしながら、上記「新鮮さ」を保つための各種の方
法や手段によって得られる効果は限度があり、一定の
「新鮮さ」を備えた食品は時間の経過とともに空気中の
酸素の影響を受けて生成される酸化物や、食品自体の
「呼吸」によって生成される老廃物を食品のうちに蓄積
して、該酸化物や老廃物の影響によって「味」が変質
し、さらに上記酸化が進行すると周知の如く腐敗に到る
のである。このような酸化の進行は空気中に酸素が存在
する限り不可避であり、上記「新鮮さ」を保つための各
種の方法や手段は上記酸化による「味」の変質の進行を
遅らせるに過ぎないからである。従って、いかに保存方
法や輸送方法を改善しても直接需要者の口に入る時点の
「味」を問題とする場合にはもはや以前の「新鮮さ」は
失われて上記酸化物質が蓄積した状態の食品を賞味する
ことになる。
このようなことはあらゆる食品に関して生じる現象で
あり、以下逐一、実例を示しながら説明する。
例えば茶の場合には新茶ほど甘味と香りがあって美味
しいとされているが、このような新茶としての新鮮度は
極めて短期間のうちに消滅し、保存には空気にはなるべ
く触れさせないで、冷暗所に保存する必要があるなど、
厳重な管理を要する。また新茶に引き続いて収穫され
る、2番茶、3番茶、4番茶は後から収穫された茶ほど
苦味あるいは酸味が増し、味の点では新茶には劣るとさ
れている。このことは茶葉が長時間空気に触れると空気
中の酸素と反応して酸化物を茶葉に蓄積するとともに、
収穫後も呼吸をしている茶葉自体に老廃物が蓄積する結
果、煎れたときに上記酸化によって生じるタンニン酸等
による酸味、苦味が抽出されることによる。
またコーヒーの場合、収穫、焙煎、あるいは挽いた直
後から構成成分が酸化されることによって時間の経過と
ともに飲んだ時に感じる酸味が増すことは周知の事実で
あり、コーヒー豆の外皮は最も空気に触れる時間が長い
ためにその部分は除去して煎れるのが美味しいコーヒー
の煎れ方であるとされているが、このようなことも上記
空気中の酸素との反応によって生成・蓄積される酸化物
質の味に対する影響である。
さらに牛乳あるいはコーヒーフレッシュ等の乳製品に
は独特の臭いがあり、こうした臭いは包装を解いてから
時間の経過とともに強くなるが、この臭いのもととなる
物質も乳製品の成分が酸化されて生成する。
その他にも米、小麦等の穀類や豆類、その他植物質の
食品を原料とする食品なども加工・調理直後より空気中
の酸素によって酸化を受け、「味」は時間の経過ととも
に酸味がかったものへと変質し、例えば醗酵工程が介在
する日本酒、醤油、味醂、食酢、味噌、納豆、もろみ等
では上記酸化物質の影響によって醗酵のための醗酵菌の
繁殖が阻害されるので材料の「新鮮さ」が肝要とされて
いて、更に例をあげると吟醸酒は製造する際には上質の
米を原料として採用することは勿論であるが、もとの米
粒の10分の1程度の大きさにまで研ぎこまれ、酸化物質
を多量に蓄積した外郭部を除去した米を後段の醸造工程
に使用するのである。
また、こうした食品の酸化は味ばかりでなく、「歯触
り」に影響する弾力性も失われる。例えば同じ小麦を原
料として製造された麺においては、粉状にされた直後の
小麦粉を使用した場合と粉状にされてから相当時間が経
過した小麦粉を使用した場合とでは、歯触りが大きく異
なり、前者は適度な弾力をもって「シコシコ」とした歯
触りの麺をうることが可能であるが、後者は弾力を失っ
ていわゆるこしのない麺となることは自明である。この
ようなことも小麦粉内に蓄積された酸化物質の量の差が
影響しているのである。
そこで外部から加えられる添加剤や熟練した調理技能
に頼ることとなるがこうした「歯触り」については味よ
りも調整が難しく、末端の需要者が手軽に「歯触り」を
向上させる手段はないにも等しかった。さらに例えば、
御飯の歯ざわりは専ら米の種類によって左右されること
が多く、寿司屋等では極めて良質の米を使用する必要が
あり、煮豆等が惣菜用としてパックに封入あるいは封入
されないで販売されているが、この場合においても、上
記したように歯ざわりは専ら豆の種類や産地あるいは調
理の技量によって決まってしまい、どの様な材料でもあ
るいはどの様な煮方をしても常に美味しいというわけに
はいかなかった。また、即席ラーメン等の素麺では歯ざ
わりの向上を目的として、炭酸カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、リン酸類のカリウム塩もしく
はナトリウム塩のうちの少なくとも一種を含む「かん
水」と称する添加物を用いているが、充分な効果を上げ
ていない。
上記麺類のような植物質粉製品に対してのみならず、
ハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ等のような動物質
練製品おいても同様の状況にあり、動物質練製品に適度
な「腰」をもたせ、好ましい歯ざわりを得るために弾力
剤を混入するケースもあるが、更に改善する余地はあ
る。
それに加えて料理の善し悪しを左右する食品材料の色
に関しても上記と同様に敷衍することができ、酸化によ
って食品に含まれる色素が変質され材料本来の有する色
が失われる。
更にまた吸物、味噌汁、朝粥、雑炊、鍋物、スープ等
のように比較的多量の水とともに材料を加熱する料理に
際して、各種の調味料を添加することはあっても、該材
料や調味料の味を引き立たせる味の調整剤としての添加
物はない。
本発明は上記の事情に鑑みて提案されたものであっ
て、原料の鮮度や、調理の技量に左右されることが少な
く、味や色、形がよく、歯ざわりも良い食品、例えば
米、豆等の穀類、野菜や魚類、肉類の煮上げ料理、鍋物
料理、植物質粉製品、動物質練製品、酒類等の醗酵、醸
造工程を伴う食品、ならびに日本茶、紅茶、抹茶、ウー
ロン茶、コーヒー、果汁飲料、牛乳等の飲料、魚、肉類
の味の低下を防止しうる、すなわち新鮮さ/食感を保持
するための石膏または石膏水溶液の利用方法を提供する
ことを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の問題点を解決し、目的を達成するために本発明
は以下の手段を採用する。すなわち、水に0.10〜0.35%
の石膏を添加して撹拌すれば、石膏は溶解して石膏水溶
液を得ることができる。0.35%以上の濃度の石膏による
石膏水溶液を必要とする場合には、0.35〜0.45%の割合
で石膏を水に加えて加熱し、石膏を溶解させた後常温に
戻した石膏水溶液を使用する。
尚、上記石膏の製法は特に限定されず、天然石膏、化
学的製法によるいわゆる化学石膏のいずれも用いること
ができるが、化学石膏のほうが溶解度が高く有効であ
る。
この石膏または石膏水溶液は各種飲料に使用する水も
しくは、飲料、醗酵食品の原料を蒸す前の段階の蛋白
質、澱粉等の植物類の漬け水、植物性粉製品、動物性練
製品の製造工程に使用する水、および通常の煮炊きに使
用する水に新鮮さ/食感保持材として添加する石膏また
は石膏水溶液の食品への利用方法である。
〔作 用〕
本発明は以下に記載する従来より経験的に認識されて
いたカルシウムの作用を食品に応用したものである。す
なわち、例えば料理の際に「だし」として使用される昆
布、煮干し、鰹節、動物の骨等は多量に含有するカルシ
ウムが抽出され、その「だし」を使用して調理される他
の材料の味を引き立たせる。同様にしてコーヒー、紅茶
等に添加される生クリームはコーヒー、紅茶等のもつ苦
味や酸味を緩和していわゆる「まろやかな」味に変え
る。
上記した例はカルシウムの効用のほんの一例に過ぎな
いが、食品の成分と空気中の酸素が反応して生成され
た、例えば窒素、硫黄等の酸化物はカルシウムによって
還元され、該カルシウムは自らは酸化されて無味・無臭
な物質に変化する。このような反応によって、食品はそ
れ自体が本来が有していた酸化前の状態(「味」)に戻
って、口にした際に「味」が向上した印象を受けたり、
あるいは「新鮮」な材料を用いて調理した食品に感ぜら
れるのである。
上記のような反応は全てのカルシウムを含む物質にお
いて共通であり、天然に存在して容易に手に入る物質と
しては炭酸カルシウム、骨粉、貝殻、卵殻等があるが、
これらの物質中に含まれるカルシウムは水にほとんど溶
解しないことに加えて、すでに酸化されたカルシウムで
あるので、上記のような食品に蓄積された酸化物質と反
応して「味」の向上を図ることができない。また、水に
溶解する塩化カルシウム、酸化カルシウム等のカルシウ
ムを含有する物質は水溶液のpHや塩分濃度が高すぎて食
品に使用すれば味そのものが変化するばかりでなく、人
体へ及ぼす影響もあって多くの問題を引き起こす可能性
がある。他にも水に溶解するカルシウム塩としてカルシ
ウムシアナミド(石炭窒素)があり肥料として使用され
ているが、悪臭があり食品添加物としては使用できな
い。
それに対して本発明において使用する石膏は全くの中
性で、無味、無臭であることに加えて比較的容易に水に
溶解し、上記酸素との反応で生成された酸化物ばかりで
なく、生物の活動による新陳代謝で発生されるタンニン
酸等の酸性物質とも反応し、中和させる活性な状態にあ
る。これによって食品の材料となる植物、動物を活性化
し、「新鮮さ」を蘇らせ、あるいは身を引き締め、食品
中の色素を酸化前の状態に戻して食料、飲料の「味」の
向上に寄与する。
また、上記の作用とともに、カルシウム自体の持つ
「味」によって、食品材料や調味料本来の味を際立たせ
る味の調整剤としての機能を有する。
尚、上記のような用途に使用される石膏の製法は特に
限定されず、天然石膏、化学的製法によるいわゆる化学
石膏のいずれも用いることができるが、化学石膏のほう
が溶解度が高く有効である。
〔実施例〕
本発明による石膏水溶液は1000ccの水に微量、例えば
0.1〜3gの石膏を入れて常温での石膏水溶液とするか、1
000ccの水に3〜5gの石膏を入れて加熱して得られるや
や濃度の高い石膏の水溶液とする。上記石膏の水溶液を
基本として、該石膏または石膏の水溶液の添加量または
石膏水溶液の石膏濃度は使用目的によって濃度を選定す
ることができる。
以下本発明を種々の飲料もしくは食品に応用した実施
例を示す。
=各種飲料= A.日本茶 石膏300gに水を加え、石膏粉末が飛散しないように混
合し、ドロドロとしたスラリー状の液を調製する。該石
膏によるスラリー状の液を揉捻工程に到る前の茶の生葉
55kg(このときの水分量65〜70%)に加え、揉捻機で揉
捻し、以後は常法通りの製造工程を経て製品とする。
このような工程を経て得られた日本茶は、甘味の充分
にある、渋味の適度に除去されたお茶を得た。これはお
茶の葉から抽出されるタンニン酸がカルシウムの作用に
よって充分に中和された結果である。
さらに、 茶葉95重量%、抹茶2重量%、石膏粉末3重量%の混
合物を湯または水で抽出して得た茶、 の混合物80重量%、ミルク粉末20重量%の混合物を
湯または水で抽出して得た茶、 抹茶50重量%、ミルク粉末37重量%、石膏粉末13重量
%の混合物を湯または水で抽出して得たミルク茶、 抹茶85重量、石膏粉末15重量%の混合物を湯または水
で抽出して得た茶、 の組合せにより、一般に世界に多くある茶の中でカルシ
ウムの含有量が比較的高い日本茶に、これもカルシウム
の含有量の高いミルク粉末と本発明による石膏粉末を混
合した飲料によって高いカルシウム含有量の飲料を得る
ことができ、味も従来の飲料にないまろやかなものであ
った。尚、上記「抹茶」は一般に使用されている特別な
抹茶用の茶葉を挽いたものではなく、普通の日本茶を挽
いて粉末状とした「粉茶」で代用することもできる。
B.日本酒 従来より「フグ」等の魚の尾ヒレを日本酒に浸して飲
用する「ヒレ酒」は該魚の尾ヒレより抽出されるカルシ
ウムの作用によってまろやかな味の酒となることは知ら
れている。この例を基に石膏粉末を適量(例えば1升に
対して5〜10g程度以上)溶解させた「ヒレ酒」を、所
定の手段を用いて濾過して得られた「ヒレ酒」は石膏を
添加しない「ヒレ酒」にまして「まろやかな」「ヒレ
酒」となった。特に1級以下の日本酒を用いた場合、吟
醸酒並みの口当たりのよい酒となった。
更に、抹茶と石膏粉末との混合比1:1の混合粉末を日
本酒にほぼ序器と同様に適量溶解させる。上記日本酒も
1級酒以下の日本酒を使用し、なにも添加しない従来の
日本酒に比べて口あたりが「まろやか」になり、後口が
さっぱりした日本酒が得られた。
上記2例においては、日本酒に若干量含有されている
酸化物が石膏に含まれるカルシウムと魚の尾ヒレから抽
出されるカルシウム、更に後者においては石膏に含まれ
るカルシウムと抹茶に含まれるカルシウムとの相乗作用
によって中和・除去された結果である。
尚、日本酒の醸造工程に本発明を適用した例は後述す
る醗酵食品の項で詳述する。
C.乳飲料 ミルク粉末75重量%、石膏粉末25重量%の混合物を湯
または水で抽出して得た飲料からは乳製品特有の臭いを
発することがなく、牛乳の嫌いな人でも抵抗なく飲め
た。更に飲料は特にカルシウムの含有量が多く、栄養豊
富な飲料が得られた。また、本発明は上記の実施例の乳
飲料に限らず、コーヒーフレッシュ、洋菓子の材料とし
ての牛乳等と混合してもよく、さらにチーズ、バター等
の乳製品にも適用して、乳製品特有の臭いを除去するこ
とができるとともに、味をさらに「まろやか」にするこ
とが可能である。
D.コーヒー 例えばインスタントコーヒーもしくはレギュラーコー
ヒーを抽出する際に用いる湯の中に石膏粉末もしくは石
膏水溶液を混合するか、挽かれたコーヒー豆あるいはコ
ーヒー粉末に石膏粉末を若干量混合して抽出するか、コ
ーヒーに石膏を混合したコーヒーフレッシュ(上記乳飲
料の項参照)を従来量通りに添加するか、そのまま石膏
粉末を抽出したコーヒーに添加する。
この場合、コーヒー中に存在するカルシウムによって
タンニン酸ばかりでなく、挽いてから一定期間経過した
コーヒー豆から抽出される種々の酸化物を中和するの
で、「まろやか」な味で、しかも挽きたてのようなコー
ヒーを得ることができた。
E.果汁飲料 果汁飲料に石膏粉末を適量(例えば100%果汁200gに
石膏粉末0.5から1.0g)加えると、カルシウムの作用に
より果汁にもともと含有されている酸化物が原因となっ
た苦味が消えて、果汁の本来もつ甘味が強調されて糖分
の添加なしに充分美味しい果汁飲料が得られた。100%
果汁飲料だけでなく、他の添加料とともに使用すること
としても同様の効果が期待できることはいうまでもな
い。
F.その他 上記5例の飲料だけでなく、ワイン、ウーロン茶、紅
茶、豆乳等にも適用でき、特に抹茶(通常の茶葉を粉末
状に挽いた「粉茶」も含む)と石膏粉末との混合物を添
加することにより両者に含有されるカルシウムの作用に
より、無用な酸化物を中和・除去し、各飲料の味を引き
立たせることとなる。
=魚肉・獣肉= 魚の切り身の表面に石膏粉末をふりかける、 魚の切り身の表面に石膏水溶液を塗布する、 このことによって、切り身が空気から酸化作用を受
け、切り身自身も腐敗がわずかながら進行した結果、生
成する各種酸化物を石膏粉末もしくは石膏水溶液に含ま
れるカルシウムによって中和して鮮度の低下を防止す
る。また、石膏水溶液に魚の切り身を浸しても同様の効
果が期待できることは明らかであり、牛、豚、鶏等他の
食用肉に同様の処置を施して、酸化もしくは腐敗の進行
を抑えることができる。
さらにカルシウムは、蛋白質を引締める作用をも有す
ることから、特に魚肉に適用した場合、身が引き締めら
れて「シコシコ」とした歯応えのある刺身を得ることが
できた。
=植物質粉製品= この石膏または石膏水溶液を食品加工に用いると食品
中の蛋白質、デンプン質を引き締めるように作用する。
従って以下のような利用方法がある。
すなわち、うどん、素麺等の麺類の原料となる小麦粉
の麺生地に対して、濃度3%の石膏水溶液を通常の水に
代えて練り水として混合して得られた本発明品と、通常
の水を練水として使用した従来品とで目的の麺に仕上げ
ると、本発明品は、従来品に比較して歯ざわりのよい、
腰の強い麺に仕上げることができた。
また、この石膏または石膏水溶液は上記のように麺類
の製造過程に用いてもよいが製品としての麺類を調理す
るときに用いてもよい。すなわち、うどん、ラーメン等
を茹でるときに、水1000ccに対して0.1〜数g程度の石
膏を混入して加熱した石膏水溶液を用いると、歯ざわり
の良いうどんやラーメンを作ることができる。即席ラー
メン1袋を必要量の水(500〜600cc)に対して0.1〜3g
程度の石膏を加えて加熱し沸騰したところで即席ラーメ
ンを加えてほぐしたところ、歯ざわりのよい腰のあるラ
ーメンが得られた。更に、従来の方法で作られた上記ラ
ーメンやうどんは一旦作って温度が低くなると、べとつ
いた感じの状態となるが上記のように作られたラーメン
やうどんは温度が低くなっても腰のある状態を保持す
る。
=動物質練製品= また、ハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、てんぷ
ら等の動物質練製品を練るときに使用する水に上記石膏
を添加するか、または石膏水溶液を練り水として使用す
るか、予め原料中に上記石膏もしくは石膏水溶液を混入
して製品に仕上げると、カルシウムによる蛋白質の凝固
作用によって「シコシコ」と歯応えがあり、腰の強い動
物質練製品を得ることができる。また、例えば水道水中
に含まれる酸化物をカルシウムによって中和して、蛋白
質のうける酸化作用の進行を抑える作用も同時に発揮す
るので、材料の味が際立ち美味な製品を得ることが出来
る。
=醗酵食品= 日本酒、ワイン、焼酎、醤油、味噌、焼酎、納豆、漬
物等の醗酵工程を必要とする食品は、醗酵菌の成育状態
が味に大きな影響を与える。上記醗酵菌(例えば麹菌)
は原料が新しいほど早く生育するされている。その理由
は原料が古いほどタンニン酸等の醗酵菌の生育阻害する
酸化物の蓄積量が多くなるためである。
そこで例えば大豆などの原料を蒸す前の浸し水に石膏
または石膏水溶液を添加するか、あるいは該原料に石膏
をふりかけた後、浸し水に浸すかすることで、タンニン
酸等の酸化物を中和・除去することができ、醗酵が良好
に進行することにより美味しい醗酵食品を得ることがで
きる。
更に例えば日本酒の場合であれば米の仕込み水にこの
石膏または石膏水溶液を添加するとカルシウム自体の味
も加わり、「まろやか」な日本酒、を得ることができ、
さらに中間工程の産物である醪自体も「まろやか」な味
となる。
また、特に醗酵食品ではないが、豆腐の凝固剤とし
て、石膏粉末とカルシウムを豊富に含んだ抹茶との混合
物を添加することにより大豆本来の味を引き出した豆腐
を得ることができるとともに、抹茶とカルシウムとの味
が相まって独特の風味をもつ豆腐をうることができた。
=加熱調理= A.野菜調理 野菜を茹でるあるいは煮るについて、1000ccの水に対
して、0.1〜数g程度の石膏を混入し、その水で野菜を
加熱すると色は生のときのように非常に鮮やかとなり、
また身が引き締まるので型崩れを生じない。
上記「あく」の抽出効果は、例えばこの石膏または石
膏水溶液を吸物、味噌汁、朝粥、鍋物、雑炊、スープ等
に添加することによっても発揮され、上記各料理をより
美味しくすることができる。
B.卵料理 卵焼き、だし巻き等の卵を使用した料理に用いること
が出来る。すなわち、例えば、ほぐした卵に石膏粉末、
あるいは石膏水溶液を単独もしくは他のだしや調味料等
とともに添加した後、所定の方法で調理された卵焼きは
卵自体に含有されているカルシウムと石膏に含有されて
いるカルシウムとの相乗作用で味のよいふっくらとした
仕上がりとなった。
C.洋菓子 卵もしくは牛乳を使用した料理として洋菓子(カステ
ラ・生クリーム・カスタードクリーム)がある。これら
の原料として使用される卵、牛乳、バターに石膏粉末も
しくは石膏水溶液を混入して所定の工程を経て製造され
た洋菓子はカルシウムの作用によって、原材料中の酸化
物を中和・除去して味がよくなった。
D.その他 更に上記のような水分の多いものだけでなく、単に野
菜を煮るあるいは穀類を炊く場合でもこの石膏または石
膏水溶液(または石膏を入れた水)を用いることによっ
て充分な効果が得られる。
例えば、魚あるいは肉を加熱調理する場合でも同様の
方法で、身の引き締まった煮物を得ることができるし、
特に上記醸造工程時に石膏粉末を添加した醤油もしくは
味噌を使用することで、カルシウム自体の味によって、
減塩効果を発揮する。
この発明は調味料、例えば、塩、砂糖の味を調整する
効果がある。この石膏または石膏水溶液を用いた場合
と、通常の水を用いた場合とで、塩あるいは砂糖の使用
量を同じにすると、該塩あるいは砂糖の使用量が少ない
と塩味あるいは砂糖味は通常の水を用いた場合の方が淡
く感じられるが、該塩あるいは砂糖の使用量が一定量よ
り多いと石膏または石膏水溶液を用いた場合の方が味が
濃く感じられる。従って、このことは塩あるいは砂糖を
少なくしても塩味、砂糖味を濃くすることができること
を意味しており、食品に添加される塩や砂糖の量を目的
に応じて減らすことができる効果がある。
更に、グルタミン酸ソーダ、イノシン酸ナトリウム、
サッカリン等に極微量の石膏を混入した調味料を使用す
ると、上記調味料の効果が大きくなる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明は新鮮さ/食感保持材と
して僅かな量の石膏または石膏水溶液を使用するだけ
で、原料の鮮度や、調理の技量に左右されることが少な
く、味や色、形がよく、歯ざわりも良い食品、例えば
米、豆等の穀類、洋菓子の調理、野菜や魚類、肉類の煮
上げ料理、鍋物料理、植物質粉製品、豆腐の凝固剤、動
物質練製品、酒類等の醗酵等、醸造工程を伴う食品、な
らびに日本茶、紅茶、抹茶、ウーロン茶、コーヒー、果
汁飲料、牛乳、豆乳等の各種飲料を提供することができ
る。また、特に野菜や魚類、肉類の煮上げ料理、鍋物料
理等に加える塩や砂糖等の調味料の添加量を減らしても
引き締まった味の料理とすることができる。
更に、日本茶、コーヒー、紅茶等に含まれるタンニン
酸を除去して本来の風味を損なうことなく美味なお茶類
を提供することができる。
また、魚、肉類の切り身等の表面に石膏または石膏水
溶液もしくは直接石膏をふりかけることにより魚、肉類
の酸化を抑制して新鮮な味を長時間保持することができ
る。
また、上記石膏または石膏水溶液は例えば抹茶、粉
茶、あるいはその他のカルシウム含有量の多い食品、飲
料とともに食品添加物で使用すると、さらにカルシウム
のもつ作用を顕著に発揮して、食品の味、栄養の向上に
つながる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各種飲料の製造工程時、あるいは完成品に
    石膏または石膏水溶液を単独もしくは他の添加材料とと
    もに、新鮮さ/食感保持材として添加することを特徴と
    する石膏または石膏水溶液の食品への利用方法。
  2. 【請求項2】植物質粉製品、動物質練製品の製造工程時
    で使用する水に石膏または石膏水溶液を新鮮さ/食感保
    持材として添加することを特徴とする石膏または石膏水
    溶液の食品への利用方法。
  3. 【請求項3】醗酵食品の原料を加熱する前段階で該原料
    を所定時間漬ける水もしくは完成品に石膏または石膏水
    溶液を新鮮さ/食感保持材として添加することを特徴と
    する石膏または石膏水溶液の食品への利用方法。
  4. 【請求項4】加熱調理に際して、材料もしくは調理に使
    用する水に石膏または石膏水溶液を新鮮さ/食感保持材
    として添加することを特徴とする石膏または石膏水溶液
    の食品への利用方法。
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「食品添加物便覧(1964年版)」株式会社食品と科学社、第288頁

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