JP3087582B2 - 給紙装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複写機、レーザプリン
タ、ファクシミリ等の画像形成装置における給紙装置の
構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プリンタ等の画像形成装置における給紙
装置において、例えば、特公昭６２−５４７３０号公報
等に開示されているように、上向き開放状のカセット箱
体内に、先端が上向きとなるように傾斜状に配置し且つ
上下回動可能に配置した受け板とカセット箱体底板との
間に上向き付勢バネを介挿し、前記受け板に用紙を積層
し、この用紙の先端側表面を給紙部に配置した側面視略
Ｄ字状の給紙ローラに対して、押圧するように構成し、
給紙ローラの回転により印字部に向かって用紙を一枚ず
つ給紙する構成が知られている。

【０００３】この場合、受け板の基部に設けた枢軸を、
カセット箱体の左右両側部に形成した軸受部に回動自在
に枢支する構成が一般的であった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
前記の構成では、合成樹脂製のカセット箱体に軸受を一
体的に形成していたから、受け板に積層する用紙枚数が
多い場合、受け板側の枢軸を介して前記軸受作用する荷
重が大きくなり、長期間の使用により前記合成樹脂製の
軸受部分が摩耗しがたつき易くなり、耐久性に欠けると
いう問題がある。この問題を解決するには、軸受部も金
属製のブッシュを埋設する等の工夫が必要となり、カセ
ット箱体の製造コストが高くなるという問題が生じるの
であった。

【０００５】本発明は、これらの問題を解決すべくなさ
れたものであり、耐久性を向上させ、且つ製造コストの
低い給紙装置を提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の給紙装置は、画像形成装置における給紙部
の給紙ローラに、合成樹脂製のカセット箱体内に積層し
た用紙の表面を押し当てて給紙するように、前記カセッ
ト箱体内に、前記積層した用紙の少なくとも先端側を支
持する受け板と、該受け板の自由端側を上向き付勢する
付勢手段とを備えた給紙装置において、前記受け板の後
部に、互いに横方向外向きに突出するように設けられた
支持用基部片と、カセット箱体の左右両側部材に穿設さ
れた、前記支持用基部片を嵌挿する装着孔と、該各装着
孔の下縁に形成された、前記各支持用基部片の下面を回
動可能に支持するための上向き凸湾曲状の支持部と、を
備えたものである。

【０００７】

【実施例】次に、本発明を具体化した実施例について説
明する。図１はプリンタ１の側面図、図２は上面開放状
のカセット箱体２の概略斜視図、図３はカセット箱体２
の平面図を各々示す。プリンタ１の本体１ａ内の下部に
は、前向きに開口した第１カセット収納部４ａと第２カ
セット収納部４ｂとが上下に形成されており、各カセッ
ト収納部４ａ，４ｂにカセット箱体２，２をそれぞれ着
脱自在に装着している。同じ形状に形成された各カセッ
ト箱体２内には、後に詳述するように、用紙Ｐを積層し
て載置するための受け板５の基端（後端部）がカセット
箱体２の底部近傍にて回動自在に載置され、前記受け板
５の下面に自由端側を支持し、基端をカセット箱体２に
上下回動可能に枢支した荷重支持用の梃レバー６と、付
勢バネ７とからなり、カセット箱体２に一端を支持した
付勢バネ７の他端が取付く取付け体８を、前記梃レバー
６の基端寄り部位と自由端寄り部位との複数の位置に対
して選択的に位置変更可能に装着するように構成した付
勢力調節手段を備えるものである。

【０００８】前記下段の第２カセット収納部４ｂに備え
た略Ｄ字状の給紙ローラ３によって引き出された下段の
カセット箱体２内の用紙Ｐは、上段のカセット箱体２の
前部に上下貫通するように形成され用紙通路溝９を通過
してガイド通路１０に導かれ、上段の第１カセット収納
部４ａに備えた給紙ローラ３によって引き出された上段
のカセット箱体２内の用紙Ｐはそのままガイド通路１０
に導かれる。図示しないトナーカートリッジ、帯電装置
等を備えた画像形成ユニット１１に到達した用紙Ｐは、
画像形成ユニット１１における感光体ドラム１２とその
円周面に押圧する転写ローラ１３との間に送られて、ト
ナー画像が転写された後、加熱ローラ１４と押圧ローラ
１５とからなる定着ユニット１６の箇所でトナー画像が
定着された用紙Ｐは、排出通路１７を介して排紙トレイ
部１８に搬送されるものである。

【０００９】なお、側面視略Ｄ字状の給紙ローラ３は前
記各カセット箱体２内に積層された用紙Ｐの表面に当接
する円周面状の接触部と、用紙に当接しない非接触部と
を有し、少なくとも接触部は摩擦係数の大きいゴム等に
て構成されている。給紙の待機中では、前記給紙ローラ
３は非接触部が用紙Ｐの表面と対峙する移送で停止し、
給紙命令に従って、給紙ローラ３が一回転してから停止
するものである。

【００１０】次に、図２〜図６を参照しながら、カセッ
ト箱体２の構成について説明する。合成樹脂製のカセッ
ト箱体２は、平面視略矩形状の底板２ａと、その前部に
設けた前記用紙通路溝９を備えた前部枠２ｂと、左右両
側板２ｃ，２ｃとからなり、この左右両側板２ｃ，２ｃ
の後部寄り部位には、図２に示すように、金属板製の受
け板５の左右両側後部から外向き（横向き）に突出する
支持用基部片５ａ，５ａを嵌挿して上下回動可能に支持
するための装着孔２１，２１が穿設されている。

【００１１】そして、図５に示すように、前記各装着孔
２１の下面縁には、略半円弧状または略半楕円状等の上
向き凸湾曲状の支持部２１ａを一体的に形成して、前記
支持用基部片５ａを回動自在に支持するものである。ま
た、図２及び図３に示すように、用紙Ｐのサイズに応じ
て当該用紙Ｐの後端縁に当接する後規制体２２は底板２
ａに穿設された前後長手の縦ガイド孔２３に沿って前後
移動可能に装着されており、この後規制体２２の底板部
に左右方向長手に穿設された横ガイド孔２４に対して用
紙Ｐの一側縁に当接する側規制体２５が移動自在に装着
され、側規制体２５にピン２６にて枢着されたリンク機
構２７と伝動歯車群２８とを介して用紙サイズ検出用の
カム群２９を回動させるよう構成されており、プリンタ
１の第１カセット収納部４ａ及び第２カセット収納部４
ｂにそれぞれ配置された接触式センサ（図示せず）に、
前記カム群２９の適宜周面が当接して、各カセット箱体
２内に収納した用紙Ｐのサイズが自動的に検出できるよ
うになっている。

【００１２】前記用紙Ｐを多数枚積層した受け板５の下
面先端側を上向きに付勢する押圧力調節手段は、図３及
び図４に示すように、受け板５の下面に自由端側を支持
し、基端をカセット箱体２に上下回動可能に枢支した荷
重支持用の梃レバー６と、つる巻きばね状の付勢バネ７
と、梃レバー６に対する付勢バネ７の他端の取付け体８
とからなり、梃レバー６は、基端側の幅が狭く、自由端
側の幅が広いほぼ扇状であって合成樹脂製の射出成形品
である。梃レバー６の基端左右両側の枢支孔は前部枠２
ｂの枢支ピン３１に上下回動可能に枢支され、梃レバー
６の自由端はカセット箱体２の後方で上向きに延び、そ
の自由端の左右の一側または両側に取付けピン３２が、
受け板５に下向きに切り起こしたブラケット３３の前後
長手のガイド溝３４に摺動自在に嵌合している。

【００１３】梃レバー６の前後方向中途部には、前記取
付け体８の左右一対のアーム３５，３５が嵌まって移動
可能な平面視略矩形状の一対の窓孔（図示せず）が穿設
されており、該左右の窓孔の側縁から立設するブラケッ
トから横向きに突出する枢支ピン４２，４２には、前記
取付け体８の左右一対のアーム３５，３５に穿設した枢
支孔を回動自在に嵌合する一方、この両窓孔３６，３６
の周囲の下面は、中心線が前記枢支ピン４２の軸線とほ
ぼ一致する略半円弧面状等の下向き凸湾曲状の案内部３
７に形成されており、前記取付け体８の断面円弧状の支
持片部３８の上面が前記案内部３７に沿って、梃レバー
６の基端側部位から自由端側へと摺動自在に摺接し得る
ものである。

【００１４】他方、合成樹脂製等の取付け体８における
断面円弧状の支持片部３８の上面には、左右一対のつる
巻きばね状の付勢バネ７，７の下端を係止する係止部４
４，４４が設けられている。さらに、支持片部３８の下
面には摘み片４７が一体的に突出されており、作業者が
指で摘み片４７を摘んで取付け体８の移動操作をし易く
している。

【００１５】そして、各付勢バネ７の上端は、カセット
箱体２における前部枠２ｂの係止部４６に係止されてい
る。また、梃レバー６の自由端側が上向き回動する角
度、ひいては受け板５の先端が給紙ローラ３の下面に近
接する位置で停止する最上位置を規制するには、受け板
５のブラケット３３に穿設したガイド溝３４の端部に、
梃レバー６の上端側の取付けピン３２が当接することに
より達成しても良いし、前部枠２ｂに穿設した挿通孔５
０の上縁に梃レバー６の中途部上面が当接することによ
り達成させても良い。

【００１６】このように構成すれば、カセット箱体２の
左右両側板２ｃ，２ｃに穿設した装着孔２１，２１に対
して、金属製の受け板５を若干湾曲させながら支持用基
部片５ａ，５ａを嵌挿すれば良く、受け板５に積層した
用紙Ｐの荷重は、受け板５の前端側では前記梃レバー６
と付勢バネ７の引っ張り力で支持される一方、受け板５
の後端側は横向きの支持用基部片５ａ，５ａが、前記両
装着孔２１，２１内の上向き凸湾曲状の支持部２１ａ，
２１ａに当接されて支持される。

【００１７】そして、各支持部２１ａが凸湾曲状である
ので、受け板５に積層される用紙Ｐの量が多い状態で
は、受け板５がカセット箱体２の底板２ａとほぼ平行状
であるから、前記支持部２１ａの略最上点で支持用基部
片５ａが支持される。積層される用紙Ｐの量が少なくな
るに従って、受け板５の先端側が上向きとなる傾斜に姿
勢変化するので、前記各支持用基部片５ａの下面と支持
部２１ａとの当接箇所が上向き凸湾曲状の後部側に移動
することになる（図５参照）。

【００１８】従って、カセット箱体２の長期間の使用中
に、受け板５における支持用基部片５ａの下面と支持部
２１ａとの当接箇所が、前記上向き凸湾曲状の面の広い
範囲にわたってまんべんなく変動するから、支持部２１
ａの摩耗箇所が一箇所に集中せず、耐久性が向上するの
である。なお、図７に示す他の実施例では、装着孔２１
の下面縁から略半円弧状または半楕円状等の凸湾曲状の
支持部２１ａを突出するように一体的に形成する一方、
装着孔２１の上面縁の前側部位を、受け板５の先端側上
向き傾斜の最大傾斜姿勢に略等しく斜め傾斜面とする規
制面２１ｂに形成する。これにより、受け板５の先端側
が最上まで上昇した位置では、当該受け板５の後端側の
支持用基部片５ａの上面の前側が前記規制面２１ｂに当
接し、且つ支持用基部片５ａの下面の後側が前記支持部
２１ｂの上向き凸湾曲面のうち後寄り部位に当接し、こ
の２点で支持用基部片５ａの回動姿勢を規制するので、
受け板５の傾斜姿勢の規制による支持部２１ａの摩耗も
少なくできるという効果を奏する。

【００１９】そして、図４に示すように、カセット箱体
２の底板２ａの前部に穿設した操作孔４８から作業者が
指で取付け体８の摘み片４７を押せば、取付け体８は前
記案内部３７に沿って梃レバー６の基端側部位または自
由端側部位に選択的に摺動移動可能となる。この場合、
図４で示すように、枢支ピン３１を回動支点とする片持
ち梁（梃レバー６）の自由端で受け板５からの下向き荷
重Ｗを支持する一方、この梃レバー６を前記取付け体８
を介して付勢バネ７にて上向き付勢力Ｆを付与する。

【００２０】従って、梃レバー６の基端側部位に移動さ
せた取付け体８を介して付勢バネ７により梃レバー６を
上向きに付勢したときの当該自由端での受け板５を上向
きに付勢する力（前記荷重Ｗと反対向きの力）は、梃レ
バー６の自由端側部位に移動させた取付け体８を介して
付勢バネ７により梃レバー６を上向きに付勢したときの
当該自由端での受け板５を上向きに付勢する力より小さ
くすることができる。

【００２１】この原理を利用すれば、葉書サイズやＢ５
等のサイズの小さい用紙Ｐを受け板５に積層するときに
は、これらの用紙Ｐを積層したことによる下向き荷重Ｗ
が小さいから、前記取付け体８を梃レバー６の基端側部
位に移動させた状態に保持すれば、適性な上向きの付勢
力で用紙Ｐを給紙ローラ３に付与することができる。反
対に、Ａ４サイズやＬＧ（リーガル）サイズのように大
きいサイズの用紙Ｐを受け板５に積層するときには、こ
れらの用紙Ｐを積層したことによる下向き荷重Ｗが大き
くなるから、前記取付け体８を梃レバー６の自由端側部
位に移動させた状態に保持すれば、付勢バネ７による上
向き付勢力作用点から前記枢支ピン３１までの距離が長
くなり、前記の荷重に抗して適性な上向きの付勢力で用
紙Ｐを給紙ローラ３に付与することができるというもの
である。

【００２２】なお、前記実施例では、受け板５の後部支
持用基部片５ａに対する装着孔２１をカセット箱体２の
左右両側板２ｃ，２ｃに穿設形成したが、底板２ａから
一体的に突設した部材（前記左右両側板２ｃ，２ｃ以
外）に装着孔及び上向き凸湾曲状の支持部２１ａを形成
するようにしても良いことはいうまでもない。

【００２３】

【発明の作用・効果】以上に説明したように、本発明の
給紙装置は、画像形成装置における給紙部の給紙ローラ
に、合成樹脂製のカセット箱体内に積層した用紙の表面
を押し当てて給紙するように、前記カセット箱体内に、
前記積層した用紙の少なくとも先端側を支持する受け板
と、該受け板の自由端側を上向き付勢する付勢手段とを
備えた給紙装置において、前記受け板の後部に、互いに
横方向外向きに突出するように設けられた支持用基部片
と、カセット箱体の左右両側部材に穿設された、前記支
持用基部片を嵌挿する装着孔と、該各装着孔の下縁に形
成された、前記各支持用基部片の下面を回動可能に支持
するための上向き凸湾曲状の支持部と、を備えたもので
ある。

【００２４】従って、受け板に積層した用紙の量によっ
て、受け板の傾斜角度が順次変動するにつれて、当該受
け板の後部の支持用基部片の下面が支持部に当接する箇
所が変動することになり、前記用紙の荷重が上向き凸湾
曲状の支持部の一箇所に集中しないから、支持部の摩耗
も一箇所に集中せず、カセット箱体の耐久性を向上させ
ることができるという効果を奏する。また、それを実現
するために、装着孔の下面縁側に上向き凸湾曲状の支持
部を形成するだけであるから、製造コストが高くなると
いう不都合も解消できるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】プリンタの概略側断面図である。

【図２】カセット箱体の斜視図である。

【図３】カセット箱体の平面図である。

【図４】押圧力調節手段の要部側断面図である。

【図５】カセット箱体に対する受け板の後部支持箇所の
側面図である。

【図６】図５のVI−VI線矢視断面図である。

【図７】他の実施例を示す側面図である。

【符号の説明】

２ カセット箱体 ２ａ 底板 ２ｂ 前部枠 ２ｃ 側板 ３ 給紙ローラ ５ 受け板 ５ａ 支持用基部片 ６ 梃レバー ７ 付勢バネ ８ 取付け体 ２１ 装着孔 ２１ａ 支持部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 画像形成装置における給紙部の給紙ロー
   ラに、合成樹脂製のカセット箱体内に積層した用紙の表
   面を押し当てて給紙するように、前記カセット箱体内
   に、前記積層した用紙の少なくとも先端側を支持する受
   け板と、該受け板の自由端側を上向き付勢する付勢手段
   とを備えた給紙装置において、 前記受け板の後部に、互いに横方向外向きに突出するよ
   うに設けられた支持用基部片と、 カセット箱体の左右両側部材に穿設された、前記支持用
   基部片を嵌挿する装着孔と、 該各装着孔の下縁に形成された、前記各支持用基部片の
   下面を回動可能に支持するための上向き凸湾曲状の支持
   部と、 を備えた ことを特徴とする給紙装置。