JP3087318B2 - 過給機付内燃機関の制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は過給機付内燃機関の制
御装置に係り、特にエアクリーナとスロットルバルブ間
の吸気通路途中に過給機を設け、この過給機によって過
給エアをエンジンに導入する過給機付内燃機関の制御装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関には、排気ガスによって排気側
の排気タービンを駆動させ、排気タービンに対して同軸
上に設けられる吸気側のコンプレッサにより過給エアを
供給する排気ターボ過給式の過給機を備えたものがあ
る。また、過給機には、機械的なスーパーチャージャ等
に分類されるものもある。

【０００３】前記過給機付内燃機関の制御装置として
は、実公昭６２−２４０１４号公報に開示されるものが
ある。この公報に開示される排気ターボ過給式内燃機関
の過給圧制御装置は、内燃機関の吸気系に気化器及びス
ロットル弁をバイパスするバイパス通路を設けるととも
に、このバイパス通路途中に気化器よりも上流側の過給
圧が多核なると開くようにした制御弁を設け、排気系に
排気タービンをバイパスすべく設けたウエストゲート用
バイパス通路途中にはウエストゲート弁を設け、このウ
エストゲート弁と前記制御弁とを同時に作動するように
連結し、制御作動の相互の干渉を防止するとともに、構
造を簡略化している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の過給
機付内燃機関の制御装置においては、過給機による過給
状態から減速操作、すなわちスロットルバルブを閉鎖す
べく回動させると、スロットルバルブによってエンジン
に過給エアが供給されなくなり、スロットルバルブによ
り堰止められた過給エアが過給機のコンプレッサ側に逆
流する。

【０００５】この結果、過給エアの逆流によってサージ
音が発生し、減速時の操作感を悪化させ、乗心地が悪い
という不都合がある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述不都合を除去するために、エアクリーナとスロットル
バルブ間の吸気通路途中に過給機を有する過給機付内燃
機関において、前記スロットルバルブを迂回するバイパ
ス通路を設けるとともにこのバイパス通路途中に制御弁
を設け、所定エンジン回転以上の過給状態からの減速時
には前記制御弁を全開させてバイパス通路を開放しこの
バイパス通路により過給エアを前記スロットルバルブ下
流側の吸気通路に導入してサージ音の発生を防止すべく
制御信号を出力制御する制御部を設けたことを特徴とす
る。

【０００７】

【作用】上述の如く発明したことにより、所定エンジン
回転以上の過給状態からの減速時には、制御部によって
制御弁を全開させてバイパス通路を開放し、このバイパ
ス通路により過給エアをスロットルバルブを迂回してス
ロットルバルブ下流側の吸気通路に導入させ、サージ音
の発生を防止している。

【０００８】

【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
に説明する。

【０００９】図１〜図３はこの発明の実施例を示すもの
である。図１及び図２において、２は過給機付内燃機関
の制御装置、４はエンジン、６は吸気側のコンプレッサ
８と排気側の排気タービン１０とにより構成された過給
機、１２は吸気通路、１４は排気通路である。

【００１０】前記過給機６のコンプレッサ８上流側の第
１吸気通路１２−１には、エアクリーナ１６が設けられ
ている。また、コンプレッサ８下流側の第２吸気通路１
２−２は、インタクーラ１８を介してサージタンク２０
に接続されるとともに、このサージタンク２０は吸気マ
ニホルド２２により前記エンジン４に接続されており、
このインタクーラ１８よりも下流側の第２吸気通路１２
−２にはスロットルバルブ２４が介設される。

【００１１】前記エンジン４の図示しない燃焼室に第１
排気通路１４−１の上流側が連通している。この第１排
気通路１４−１の下流側には、前記過給機６の排気ター
ビン１０が設けられ、この排気タービン１０下流側は第
２排気通路１４−２に連通している。

【００１２】前記スロットルバルブ２４を迂回するバイ
パス通路２６が設けられている。そして、このバイパス
通路２６途中に制御弁２８を設け、所定エンジン回転以
上の過給状態からの減速時には前記制御弁２８を全開さ
せてバイパス通路２６を開放しこのバイパス通路２６に
より過給エアを前記スロットルバルブ２４下流側の吸気
通路に導入してサージ音の発生を防止すべく制御信号を
出力制御する制御部３０を設ける構成とする。

【００１３】詳述すれば、過給状態からの減速時に、制
御弁２８の作動範囲を限定、すなわち、後述するイグニ
ションコイル３６によって検出されるエンジン回転数が
２０００ｒｐｍ以上である場合に、前記制御弁２８を全
開すべく制御信号を出力制御するものである。

【００１４】そして、前記インタクーラ１８よりも下流
側の第２吸気通路１２−２とサージタンク２０とをバイ
パス通路２６により連絡して設ける。

【００１５】また、バイパス通路２６途中の制御弁２８
を、例えば負圧切換弁（ＶＳＶ、バキューム・スイッチ
ング・バルブ）とする。

【００１６】更に、前記制御部３０には、サージタンク
２０内の過給圧を検出する圧力センサ３２、前記スロッ
トルバルブ２４の開度を検出するスロットルセンサ３
４、エンジン回転数を検出するイグニションコイル３
６、排気ガス中の酸素濃度を検出するＯ２（酸素）セン
サ３８が夫々接続されている。

【００１７】次に図３の過給機付内燃機関の制御装置２
の制御用フローチャートに沿って作用を説明する。

【００１８】例えば、前記エンジン４の始動動作によっ
て制御部３０内のプログラムがスタート（２００）し、
運転状態が過給状態からの減速時か否かを判断（２０
２）し、この判断（２０２）がＮＯの場合には、制御部
３０から減速時以外の制御信号を出力し（２０４）、前
記制御弁２８の通常の制御、つまりアイドリング等のエ
ンジン状態に応じて制御弁２８の開閉制御を行う（２０
６）。

【００１９】また、判断（２０２）がＹＥＳの場合に
は、前記制御部３０から減速時の制御信号を出力し（２
０８）、その後、イグニションコイルによって検出され
るエンジン回転数が２０００ｒｐｍ以上であるか否かを
判断（２１０）する。

【００２０】そして、この判断（２１０）がＮＯの場合
には、上述の制御弁２８の通常の制御（２０６）に移行
させ、判断（２１０）がＹＥＳの場合には、制御弁２８
を全開とすべく制御する（２１２）。

【００２１】これにより、運転状態が所定エンジン回転
以上の過給状態から減速時に移行した際には、制御弁２
８の作動範囲を限定してより細かな制御が可能となり、
制御機能を拡大し得て、実用上有利である。

【００２２】また、前記制御弁２８の全開時には、過給
エアを前記バイパス通路２６によってスロットルバルブ
２４を迂回させることができることにより、過給エアの
過給機６のコンプレッサ８側への逆流が阻止され、過給
エアの逆流によるサージ音の発生を効果的に防止するこ
とができ、減速時の操作感を良好とし、乗心地を向上さ
せ得る。

【００２３】なお、この発明は上述実施例に限定される
ものではなく、種々の応用改変が可能である。

【００２４】例えば、この発明の実施例においては、所
定エンジン回転以上の過給状態からの減速時、つまり過
給状態からの減速時に、イグニションコイルによって検
出されるエンジン回転数が２０００ｒｐｍ以上である場
合に、制御弁を全開すべく制御する構成としたが、制御
弁の作動範囲を限定すべく更に限定条件を追加すること
もできる。つまり、過給状態からの減速時に、イグニシ
ョンコイルによって検出されるエンジン回転数が２００
０ｒｐｍ以上である場合且つサージタンク圧が＋５０ｍ
ｍＨｇ以上からの減速時に、制御弁を全開すべく制御す
る構成とする。そして、図４に示す如く、前記エンジン
の始動動作によって制御部内のプログラムがスタート
（３００）し、運転状態が過給状態からの減速時か否か
を判断（３０２）し、この判断（３０２）がＮＯの場合
には、制御部から減速時以外の制御信号を出力し（３０
４）、前記制御弁の通常の制御、つまりアイドリング等
のエンジン状態に応じて制御弁の開閉制御を行う（３０
６）。また、判断（３０２）がＹＥＳの場合には、前記
制御部から減速時の制御信号を出力し（３０８）、その
後、イグニションコイルによって検出されるエンジン回
転数が２０００ｒｐｍ以上であるか否かを判断及びサー
ジタンク圧が＋５０ｍｍＨｇ以上からの減速時か否かを
判断（３１０）する。そして、この判断（３１０）がＮ
Ｏの場合には、上述の制御弁の通常の制御（３０６）に
移行させ、判断（３１０）がＹＥＳの場合には、制御弁
を全開とすべく制御するものである（３１２）。

【００２５】また、この発明の実施例においては、制御
弁としてサージ音対策用のＶＳＶを新たに設けたが、ア
イドル・スピード・コントロール（Ｉ．Ｓ．Ｃ）用ＶＳ
Ｖや電気負荷用アイドルアップＶＳＶ、あるいはエアコ
ン用アイドルアップＶＳＶ等の既設のＶＳＶを制御弁と
して使用し、減速時に制御弁を全開さすべく制御する構
成とすることもでき、構成の簡略化及びコストダウンに
寄与し得る。

【００２６】更に、この発明の実施例においては、スロ
ットルバルブを迂回するバイパス通路を設ける際に、イ
ンタクーラよりも下流側の第２吸気通路とサージタンク
とをバイパス通路により連絡して設けたが、バイパス通
路がスロットルバルブを迂回するものであればよく、例
えば過給機のコンプレッサ下流側且つインタクーラより
も上流側の第２吸気通路とエンジン直上流側の吸気系と
をバイパス通路により連絡して設ける構成とすることも
可能である。

【００２７】

【発明の効果】以上詳細に説明した如くこの発明によれ
ば、所定エンジン回転以上の過給機付内燃機関のスロッ
トルバルブを迂回するバイパス通路を設けるとともに、
バイパス通路途中に制御弁を設け、過給状態からの減速
時に制御弁を全開させてバイパス通路を開放しバイパス
通路により過給エアをスロットルバルブ下流側の吸気通
路に導入してサージ音の発生を防止すべく制御信号を出
力制御する制御部を設けたので、運転状態が所定エンジ
ン回転以上の過給状態から減速時に移行した際に、制御
弁の作動範囲を限定してより細かな制御が可能となり、
制御機能を拡大し得て、実用上有利である。また、所定
エンジン回転以上の運転状態が過給状態から減速時に移
行した際には、過給エアがバイパス通路によってスロッ
トルバルブを迂回することとなり、過給エアの過給機側
への逆流が阻止され、過給エアの逆流によるサージ音の
発生を効果的に防止し得て、減速時の操作感を良好と
し、乗心地を向上させ得る。更に、前記制御弁としてア
イドル・スピード・コントロール（Ｉ．Ｓ．Ｃ）用ＶＳ
Ｖや電気負荷用アイドルアップＶＳＶ、あるいはエアコ
ン用アイドルアップＶＳＶ等の既設のＶＳＶを使用すれ
ば、構成の簡略化及びコストダウンに寄与し得るもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す過給機付内燃機関の制
御装置の概略図である。

【図２】過給機付内燃機関の制御装置の構成図である。

【図３】過給機付内燃機関の制御装置の制御用フローチ
ャートである。

【図４】この発明の他の実施例を示す過給機付内燃機関
の制御装置の制御用フローチャートである。

【符号の説明】

２ 過給機付内燃機関の制御装置 ４ エンジン ６ 過給機 ８ コンプレッサ １０ 排気タービン １２ 吸気通路 １４ 排気通路 ２０ サージタンク ２２ 吸気マニホルド ２４ スロットルバルブ ２６ バイパス通路 ２８ 制御弁 ３０ 制御部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エアクリーナとスロットルバルブ間の吸
   気通路途中に過給機を有する過給機付内燃機関におい
   て、前記スロットルバルブを迂回するバイパス通路を設
   けるとともにこのバイパス通路途中に制御弁を設け、所
   定エンジン回転以上の過給状態からの減速時には前記制
   御弁を全開させてバイパス通路を開放しこのバイパス通
   路により過給エアを前記スロットルバルブ下流側の吸気
   通路に導入してサージ音の発生を防止すべく制御信号を
   出力制御する制御部を設けたことを特徴とする過給機付
   内燃機関の制御装置。